JP5652685B1 - 柿ワインの製造方法及び柿酢の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態に係る柿ワイン又は柿酢の製造方法は、原料に渋柿の熟柿を用いるものであり、放射性物質に汚染された渋柿を原料に用いることができるものである。まず、渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、木になったままの状態で自然凍結させる(前処理工程)。木になったままの渋柿は、例えば、外気温が−15℃程度にまで下がると自然凍結する。自然凍結は1回でもよく、また、自然凍結と自然解凍とを複数回繰り返してもよい。例えば、夜中に外気温が下がり自然凍結したのち、日中に外気温が上がって自然解凍し、また、外気温が下がり自然凍結するという工程を複数回繰り返してもよい。自然凍結と自然解凍を複数回繰り返すようにすれば、日中に風にさらされるなどして乾燥が進むので、糖度が高くなり、発酵が促進されるので好ましい。なお、熟柿は、果肉がとろとろの状態となり、取り扱いが難しいが、自然凍結させることにより取り扱いが容易となる。
本発明の第1の実施の形態に係る柿ワイン又は柿酢の製造方法は、原料に熟柿となる前の渋柿を用いるものであり、放射性物質に汚染された渋柿を原料に用いることができるものである。まず、渋柿を熟柿となる前に木から取って収穫し、冷凍庫などで冷凍する(前処理工程)。冷凍は急速冷凍ではなく、−5℃以下−15℃以上の温度で徐々に冷凍することが好ましい。氷結晶を大きく成長させて柿の細胞膜及び細胞壁を破壊するためである。冷凍は1回でも、冷凍と解凍とを複数回繰り返してもよく、冷凍と解凍とを数回程度行うことが好ましい。冷凍と解凍を繰り返すことにより、糖度が上がり、発酵を促進させることができるからである。なお、解凍したのちに、再冷凍する前に、乾燥させるようにすれば、より糖度が上がるので好ましい。乾燥は、どのような方法でもよいが、風を当てるようにすれば効率よく乾燥させることができるので好ましい。
まず、渋柿の蜂屋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、木になったままの状態で自然凍結と自然解凍とを5回から6回繰り返した(前処理工程)。具体的には、外気温が−15℃程度まで下がり渋柿が自然凍結したと思われる夜が5回から6回あるまで、渋柿を木になったままの状態で放置した。次いで、自然凍結した蜂屋柿を木から取り、へたを取って、樽に入れて発酵させた(発酵工程)。樽には蜂屋柿以外は何も入れず、樽は密閉せずに放置した。一部の樽については、2ヵ月後に発効後物質を取り出して布袋に入れて吊るし、柿ワインと果肉とを分離した(固液分離工程)。また、他の一部の樽については、4ヵ月後に発酵後物質を取り出して布袋に入れて吊るし、柿酢と果肉とに分離した(固液分離工程)。いずれも、自らの重みで、容易に固液分離することができた。得られた柿ワイン及び柿酢について試飲したところ、まろやかで風味豊かな柿ワイン及び柿酢であった。また、原料の蜂屋柿と、得られた柿ワインについて、放射性セシウムの含有量を調べたところ、原料の蜂屋柿は、セシウム137が10Bq/kg、セシウム134が15Bq/kgであったが、柿ワインは、セシウム137についても、セシウム134についても、共に、検出限界以下であった。なお、自然凍結と自然解凍を3回、又は、4回、又は7回以上繰り返した場合についても、同様の結果が得られた。
まず、渋柿の蜂屋柿を熟柿となる前に木から取って収穫し、−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍したのち、解凍する冷凍解凍工程を3回繰り返した(前処理工程)。なお、解凍と再冷凍との間には、風を当てて乾燥させる乾燥工程を行った。次いで、実施例1と同様にして、へたを取り、樽に入れて発酵させ(発酵工程)、布袋に入れて固液分離した(固液分離工程)。実施例2においても、自らの重みで、容易に固液分離することができた。得られた柿ワイン及び柿酢について試飲したところ、まろやかで風味豊かな柿ワイン及び柿酢であった。また、原料の蜂屋柿と、得られた柿ワインについて、放射性セシウムの含有量を調べたところ、原料の蜂屋柿は、セシウム137が10Bq/kg、セシウム134が15Bq/kgであったが、柿ワインは、セシウム137についても、セシウム134についても、共に、検出限界以下であった。なお、冷凍解凍工程を4回以上繰り返した場合についても、同様の結果が得られた。
渋柿の蜂屋柿を熟柿としたのち、自然凍結する前に木から取ったことを除き、他は実施例1と同様にして柿ワイン及び柿酢を製造した。その結果、熟柿はとろとろの状態であるので、取り扱いが難しく、また、発酵後の固液分離においては、布袋に入れて吊るしただけでは、柿ワイン及び柿酢をほとんど分離することができず、柿ワイン及び柿酢を得ることができなかった。
渋柿の蜂屋柿を熟柿となる前に木から取って収穫し、冷凍せずに発酵させたことを除き、他は実施例2と同様にして柿ワイン及び柿酢を製造した。その結果、発酵後の固液分離においては、布袋に入れて吊るしただけでは、柿ワイン及び柿酢をほとんど分離することがでず、柿ワイン及び柿酢を得ることができなかった。
このように、熟柿となった渋柿を自然凍結させるようにすれば、又は、熟柿となる前の渋柿について−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍するようにすれば、発酵後の固液分離を容易とすることができると共に、原料の柿に放射性セシウムが含まれていても、得られた柿ワイン又は柿酢には含まれないことが分かった。また、取り扱いを容易とすることができ、更に、風味豊かな柿ワイン又は柿酢を得ることができることも分かった。
Claims (4)
- 渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、自然凍結させるか、又は、渋柿を熟柿となる前に収穫し、−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍する前処理工程と、
前記前処理工程を行った渋柿を発酵させる発酵工程と
を含むことを特徴とする柿ワインの製造方法。 - 放射性物質に汚染された渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、自然凍結させるか、又は、放射性物質に汚染された渋柿を熟柿となる前に収穫し、−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍する前処理工程と、
前記前処理工程を行った放射性物質に汚染された渋柿を発酵させる発酵工程と、
前記発酵工程により得られた発酵後物質を果肉と柿ワインとに固液分離する固液分離工程と
を含むことを特徴とする放射性物質に汚染された柿から放射性物質を含まない柿ワインを製造する柿ワインの製造方法。 - 渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、自然凍結させるか、又は、渋柿を熟柿となる前に収穫し、−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍する前処理工程と、
前記前処理工程を行った渋柿を発酵させる発酵工程と
を含むことを特徴とする柿酢の製造方法。 - 放射性物質に汚染された渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、自然凍結させるか、又は、放射性物質に汚染された渋柿を熟柿となる前に収穫し、−5℃以下−15℃以上の温度で冷凍する前処理工程と、
前記前処理工程を行った放射性物質に汚染された渋柿を発酵させる発酵工程と、
前記発酵工程により得られた発酵後物質を果肉と柿酢とに固液分離する固液分離工程と
を含むことを特徴とする放射性物質に汚染された柿から放射性物質を含まない柿酢を製造する柿酢の製造方法。
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