JP5651973B2 - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関するものである。
従来、液体噴射装置の一種としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という)がある。このプリンターは、キャリッジに搭載された液体噴射ヘッド(以下、「ヘッド」という)の複数のノズルからプラテン上に配置された媒体にインク(液体)を噴射することで印刷を行っている。
このようなプリンターにあっては、圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として媒体に吐出させて印刷を行っている。この関係上、ノズルからインク滴を媒体に噴射したときには、着弾したインクが媒体の繊維に沿って滲んで(フェザリング)、媒体に形成される線や文字の輪郭がぼやけてしまうことがある。また、媒体に着弾したインクが、印字濃度にほとんど寄与しない媒体の厚み方向に浸透してしまう。このため、ベタ印字など媒体の広い面積に亘って印字する場合に、見た目の印字濃度を十分に高くすることができないという問題がある。
このような問題点を解決するための技術が検討されており、例えば、特許文献1では、インクを収容する圧力室に対して2つのノズルが形成されている。このため、圧力室内のインクに圧力が付与されたときには、この圧力室に連通する2つのノズルから2つのインク滴が噴射されることとなる。これに伴って、媒体に着弾する各インク滴の液滴径が小さくなる。これにより、フェザリングの発生を抑制し、ベタ印字等における印字濃度を高くすることを可能にしている。
特開2006−305948号公報
しかしながら、特許文献1では、2つのノズルが形成されたノズルプレートがポリイミド等の高分子樹脂材料(有機膜)からなり、この有機膜により、圧力室にインクを供給するリザーバーが外気と遮断された構造となっている。このため、有機膜を経由してリザーバー内のインク溶媒が蒸発し、インク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまう。その結果、印刷動作中においてノズル開口に目詰まりを生じ、印刷不良を引き起こす場合がある。また、有機膜からなるノズルプレートは柔軟であるため、静電気帯電により撓んでヘッド組立て時のハンドリングが非常に困難となる。
一方、この対策として、ノズルプレートを有機膜に替えて剛性に優れた金属プレートにより形成することも考えられる。しかしながら、金属プレートに2つのノズルを形成することは、以下の理由により非常に困難である。例えば、金属プレートに2つのノズルを形成する方法としては、パンチで1つのノズルを開けた後にもう1つのノズルを開ける方法があるが、2つ目のノズルを開ける際に1つ目のノズルが変形してしまう。また、2つのノズルを同時に開ける方法があるが、このようなパンチを作製することは組立て効率及び組立て精度の面から好ましくない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の液体噴射ヘッドは、液体を収容する圧力室と、前記圧力室に連通するとともに前記液体を供給するリザーバーと、前記圧力室に連通して前記液体を噴射する一対のノズルが形成された有機膜からなるノズルプレートと、前記ノズルプレートに積層され、前記ノズルプレートよりも水分透過性が低く、所定の間隔で離間されて開口部を形成する複数の支持基板と、を備え、前記支持基板は、平面視において少なくとも前記リザーバーに対応する領域全体に配置されているとともに、前記開口部に複数の前記一対のノズルが配置されていることを特徴とする。
この液体噴射ヘッドによれば、有機膜からなるノズルプレートと該ノズルプレートよりも水分透過性の低い支持基板とが積層されているので、印刷動作中において液体の溶媒(インク溶媒)の蒸発によりインク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまうことが抑制される。また、ノズルプレートが1枚からなる場合に比べて剛性が高くなっているので、静電気帯電により撓んでしまうことが抑制される。したがって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射ヘッドを提供することができる。
そして、支持基板が平面視において少なくともリザーバーに重なる位置に配置されているので、有機膜からなるノズルプレートを経由してリザーバー内のインク溶媒が蒸発し、インク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまうことが抑制される。したがって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができる。
また、上記液体噴射ヘッドにおいて、前記支持基板は、前記ノズルプレートよりも外側に配置されていてもよい。
この液体噴射ヘッドによれば、一対のノズルに対応する領域を除いて選択的に支持基板を配置することができる。このため、支持基板に局所的に孔を開けて開口部を形成するのではなく、孔の開いていない支持基板を複数用いこれらを所定の間隔だけ離間することで開口部とすることができる。したがって、ノズルプレートと支持基板とを積層する際に、組立て効率の向上を図ることが可能となる。
また、上記液体噴射ヘッドにおいて、前記圧力室と前記リザーバーとの間に前記液体の流路を形成する流路基板が設けられており、前記流路基板は、前記液体の流れにより発生する力を吸収する撓み部を有していてもよい。
この液体噴射ヘッドによれば、撓み部によって圧力室とリザーバーとの間を流れる液体の流動力を吸収することができる。このため、前記液体の流動力がノズルプレートに付与され、これに起因してノズルプレートが撓んでしまうことを抑制することができる。したがって、ノズル開口が歪んでしまうことがなく高品質な印字を記録することができる。
本発明の液体噴射装置は、上述した液体噴射ヘッドを備えていることを特徴とする。
この液体噴射装置によれば、上述した液体噴射ヘッドを備えているので、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射装置を提供することができる。
第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。 第1実施形態における液体噴射ヘッドのノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。 第1実施形態における液体噴射ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。 第1実施形態における液体噴射ヘッドの内部構成を示す要部拡大図である。 第2実施形態における液体噴射ヘッドのノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。 第2実施形態における液体噴射ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。 第3実施形態における液体噴射ヘッドのノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。 第3実施形態における液体噴射ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。 第3実施形態における液体噴射ヘッドの内部構成を示す要部拡大図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。以下、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明する。
液体噴射装置1は、プラテン50に支持された記録用紙(媒体)Pにインク(液体)を噴射することで記録用紙Pに所定の情報や画像を印字する記録処理を行うものである。この液体噴射装置1は、複数のノズル21(図2参照)からインクを記録用紙Pに向けて噴射する液体噴射ヘッド10と、液体噴射ヘッド10を搭載して走査移動するキャリッジ40と、を備えて構成されている。
以下、図1に示したXYZ直交座標系に基づいて説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向がプラテン50の面方向と平行となっており、Z方向がプラテン50の面方向と直交している。実際には、XY平面が水平面に平行な面に設定されており、Z方向が鉛直上方向に設定されている。ここでは、記録用紙Pの搬送方向がY方向、液体噴射ヘッド10の走査方向がX方向に設定されている。
図1に示すように、液体噴射装置1は、平面視矩形状をなすフレーム42を備えている。このフレーム42内には、プラテン50が架設されている。このプラテン50は、記録用紙Pを吸引する複数の吸引孔(図示略)を備えている。記録用紙Pは複数の吸引孔に作用する吸引力によってプラテン50の上面に保持される。これにより、記録用紙Pのコックリングやカールが抑えられる。
また、プラテン50上には、フレーム42の背面に設けられた紙送りモーター44を有する紙送り機構により記録用紙Pが+Y方向側から給送される。これにより、記録用紙PがY方向に延びる搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、フレーム42内におけるプラテン50の上方には、プラテン50の長手方向(X方向)と平行な棒状のガイド部材45が架設されている。
ガイド部材45には、キャリッジ40がガイド部材45の長手方向(X方向)に沿って往復移動可能に支持されている。キャリッジ40は、フレーム42内の後面に設けられた一対のプーリ47a間に張設されたタイミングベルト47を介してフレーム42の背面に設けられたキャリッジモーター48に連結されている。キャリッジ40は、キャリッジモーター48の駆動によりガイド部材45に沿って往復移動される。
キャリッジ40の下面には、液体噴射ヘッド10が設けられている。液体噴射ヘッド10の下面は、複数のノズル21が形成されたノズル形成面となっている(図2参照)。また、キャリッジ40における液体噴射ヘッド10の上側には、インクカートリッジ41が着脱可能に搭載されている。このインクカートリッジ41内には、インクがそれぞれ液体噴射ヘッド10に供給可能に収容されている。
また、フレーム42内の右端部(X方向端部)に位置する非液体噴射領域には、非印刷時に液体噴射ヘッド10のメンテナンス(例えば、クリーニングやフラッシング等)を行うためのメンテナンスユニット52が設けられている。メンテナンスユニット52は、液体噴射ヘッド10のノズル形成面を封止可能な上側(+Z方向側)が開口したキャップ53を備えている。
ところで、従来の液体噴射ヘッドにおいては、2つのノズルが形成されたノズルプレートがポリイミド等の高分子樹脂材料(有機膜)からなり、この有機膜により、圧力室にインクを供給するリザーバーが外気と遮断された構造となっていた。このため、有機膜を経由してリザーバー内のインク溶媒が蒸発し、インク粘度の上昇やインクの固化により、印刷動作中においてノズル開口に目詰まりを生じ、印刷不良を引き起こすという問題があった。また、有機膜からなるノズルプレートは柔軟であるため、静電気帯電により撓んでヘッド組立て時のハンドリングが非常に困難となっていた。
そこで、本発明に係る液体噴射ヘッド10では、有機膜からなるノズルプレートと該ノズルプレートよりも水分透過性の低い支持基板とを積層構造とすることによって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易にしている。以下、図2〜図4を用いて液体噴射ヘッド10の構成について説明する。
図2は、第1実施形態における液体噴射ヘッド10のノズル形成面におけるノズル21の配列状態を示す図である。図3は、液体噴射ヘッド10の内部構成を示す部分断面図である。図4は、液体噴射ヘッド10の内部構成を示す要部断面図である。なお、図4において、図4(a)は一対のノズル及びその周辺部を示す平面図である。また、図4(b)は図4(a)に示すA−A線に沿った断面図である。
図2に示すように、ノズル21はノズル形成面において搬送路の幅方向(X方向)に沿って複数設けられ、ノズル列31を形成している。このノズル列31は、搬送方向(Y方向)に沿って計4列設けられている。ノズル列31Y、31M、31C、31Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に応じたインクを噴射する構成となっている。なお、液体噴射ヘッド10どうしをノズル21間のピッチの半分だけ左右方向にずらして配置してもよい。これにより、記録用紙Pに対して印字する解像度を向上させることができる。
図3に示すように、液体噴射ヘッド10は、圧力室26を含む個別インク流路30が形成された流路ユニット20と、この流路ユニット20の上面に配置されて圧力室26内のインクに圧力を付与する圧電素子18とを備えている。なお、本実施形態にかかる液体噴射ヘッド10は、圧電素子18が横になって振動板17に貼り付けられたMLChips(Multi Layer Ceramic with Hyper Integrated Piezo Segment)タイプである。
流路ユニット20は、振動板17と、圧力室プレート(キャビティプレート)16と、第2連通プレート(ベースプレート)15と、フレキシブルプレート14と、第1連通プレート(マニホールドプレート)13と、ノズルプレート11と、支持基板12と、を備えている。そして、これら7枚のプレート11〜17が前記した順に積層状態で接合されている。これらのうち、圧力室プレート16、第2連通プレート15及び第1連通プレート13は、例えば、シリコンカーバイドによって形成されている。
振動板17は、平面視矩形状の金属材料からなる板である。振動板の形成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金を用いることができる。この振動板17は、圧力室プレート16の上面に圧力室26を覆う位置に設けられている。また、振動板17には、インクを流路ユニット20に供給するインク供給口29が形成されている(図2参照)。また、振動板17は導電性を有しており、この振動板17と後述する個別電極18bとの間に挟まれた圧電層18aに電界を作用させる共通電極を兼ねている。
圧力室プレート16は、振動板17と第2連通プレート15との間に配置されている。この圧力室プレート16には、インクを収容する複数の圧力室26が形成されている。圧力室26は、リザーバー23からインクが供給されるインク流入口26aと、ノズル21向けてインクを供給するインク流出口26bとを有している。
第2連通プレート15は、圧力室プレート16とフレキシブルプレート14との間に配置されている。この第2連通プレート15には、平面視で圧力室26のインク流入口26aと重なる位置に連通孔25が形成されている。一方、第2連通プレート15の平面視で圧力室26のインク流出口26bと重なる位置に連通孔27が形成されている。つまり、連通孔25はインク流入口26aを介して圧力室26に連通し、連通孔27はインク流出口26bを介して圧力室26に連通している。また、第2連通プレート15のうち連通孔25及び連通孔27に挟まれた部分の中央部には凹部15aが形成されている。この凹部15aとフレキシブルプレート14との間において空間24が形成されている。
フレキシブルプレート14は、第2連通プレート15と第1連通プレート13との間に配置されている。このフレキシブルプレート14は、柔軟性を有するものであり、例えばポリイミド膜によって形成されている。また、フレキシブルプレート14のうち第2連通プレート15の凹部15aと重なる部分は、柔軟に変形可能な撓み部14aとなっている。
ここで、第2連通プレート15及びフレキシブルプレート14のうち連通孔25及び連通孔27に挟まれた部分を「圧力室26とリザーバー23との間にインクの流路を形成する流路基板」とする。すると、この流路基板は、インクの流れにより発生する力を吸収する撓み部14aを有するということができる。
これにより、撓み部14aによって圧力室26とリザーバー23との間を流れるインクの流動力を吸収することができる。このため、インクの流動力がノズルプレート11に付与され、これに起因してノズルプレート11が撓んでしまうことを抑制することができる。
第1連通プレート13は、フレキシブルプレート14とノズルプレート11との間に配置されている。この第1連通プレート13には、複数の圧力室26にインクを供給するリザーバー23が形成されている。リザーバー23には、振動板17に形成されたインク供給口29が接続されており、インクカートリッジ41(図1参照)からインク供給口29を介してインクが供給される。また、この第1連通プレート13には、第2連通プレート15の連通孔27とノズルプレート11のノズル21とを連通させる連通孔28が形成されている。
ノズルプレート11は、第1連通プレート13と支持基板12との間に配置されている。このノズルプレート11には、平面視で連通孔28と重なる位置に一対のノズル21が互いに近接して形成されている。また、ノズルプレート11は、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料によって形成された有機膜からなっている。なお、これ以外の有機膜の形成材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)及びポリエステル樹脂を用いることができる。ここで、ノズルプレート11に一対のノズル21を形成する方法としては、有機膜に例えばエキシマレーザー加工を施すことにより行われる。
支持基板12は、ノズルプレート11よりも外側(−Z方向側)に配置されている。この支持基板12には、一対のノズル21に対応する領域に開口部22が形成されている。この開口部22は、一対のノズル21が完全に収まる大きさに形成されている(図4参照)。また、支持基板12は、平面視においてノズル形成面のうち一対のノズル21に対応する領域を除いた領域全体に配置されている(図2参照)。つまり、支持基板12は一枚の基板からなり、一対のノズル21に対応する領域に開口部22が形成されている。
また、支持基板12は、例えばSUS鋼等の金属材料によって形成された金属プレートからなっている。このため、支持基板12は、有機膜からなるノズルプレート11よりも水分透過性が低くなっている。
このように、有機膜からなるノズルプレート11と該ノズルプレート11よりも水分透過性の低い支持基板12とが積層されているので、印刷動作中においてインク溶媒の蒸発によりインク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまうことが抑制される。また、ノズルプレート11が1枚からなる場合に比べて剛性が高くなっているので、静電気帯電により撓んでしまうことが抑制される。
圧電素子18は、振動板17の上面に形成されており、圧電層18aと、この圧電層18aの上面に複数の圧力室26に対応して形成された複数の個別電極18bとを備えている。圧電層18aは、例えば、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタンジルコン酸鉛(PZT)を主成分とするものからなる。また、個別電極18bは、例えば、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタン等の導電性材料からなる。この個別電極18bには、不図示のドライバICと電気的に接続された配線部が接続されている。これにより、ドライバICから配線部を介して個別電極18bに駆動電圧が供給されるようになっている。
このように、流路ユニット20内には、リザーバー23から連通孔25、圧力室26、連通孔27、連通孔28を経て、2つのノズル21に至る個別インク流路30が形成されている。つまり、流路ユニット20は、圧電素子18により各圧力室26内のインクに圧力が付与されたときに、この圧力室26に連通する2つのノズル21からそれぞれインク滴を噴射することができるように構成されている。
上記構成の液体噴射ヘッド10によれば、配線部を介して個別電極18bに駆動電圧が入力されると、圧電層18aが伸縮する。これにより、振動板17が圧力室26に接近する方向(−Z方向)及び圧力室26から離れる方向(+Z方向)に変形(移動)する。このため、圧力室26の容積が変化し、インクを収容した圧力室26の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル21からインクが噴射される。
このようにして、インクカートリッジ41内のインクは、液体噴射ヘッド10内に各ノズル21と対応するように備えられた圧電素子18の駆動により、液体噴射ヘッド10へと供給される。さらに、各ノズル21からプラテン50上に給送された記録用紙Pに向けてインクが噴射されることにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド10によれば、有機膜からなるノズルプレート11と該ノズルプレート11よりも水分透過性の低い支持基板12とが積層されているので、印刷動作中においてインク溶媒の蒸発によりインク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまうことが抑制される。また、ノズルプレート11が1枚からなる場合に比べて剛性が高くなっているので、静電気帯電により撓んでしまうことが抑制される。したがって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射ヘッド10を提供することができる。
また、この構成によれば、撓み部14aによって圧力室26とリザーバー23との間を流れるインクの流動力を吸収することができる。このため、前記インクの流動力がノズルプレート11に付与され、これに起因してノズルプレート11が撓んでしまうことを抑制することができる。したがって、ノズル開口が歪んでしまうことがなく高品質な印字を記録することができる。
本実施形態に係る液体噴射装置1によれば、上述した液体噴射ヘッド10を備えているので、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射装置1を提供することができる。
なお、本実施形態では、ノズルプレート11に2つのノズル21が形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ノズルプレート11に3つ、あるいは4つのノズルが形成されている等、複数のノズルが形成されていればよい。すなわち、ノズルプレート11に少なくとも一対のノズルが形成されていればよい。
また、本実施形態では、本実施形態では、支持基板12が平面視においてノズル形成面のうち一対のノズル21に対応する領域を除いた領域全体に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。以下、本実施形態とは異なる形状の支持基板を備える液体噴射ヘッドについて図5及び図6を用いて説明する。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における液体噴射ヘッド110のノズル形成面におけるノズル配列状態を示す図である。図6は、液体噴射ヘッド110の内部構成を示す部分断面図である。なお、図5は図2に対応する支持基板の配置状態を示す底面図である。また、図6は図3に対応する液体噴射ヘッド内部の部分断面図である。本実施形態における液体噴射ヘッド110は、支持基板112が平面視においてリザーバー23に重なる位置に配置されている点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。図5及び図6において、図2及び図3と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、液体噴射ヘッド110は、圧力室26を含む個別インク流路30が形成された流路ユニット120と、この流路ユニット20の上面に配置されて圧力室26内のインクに圧力を付与する圧電素子18とを備えている。
流路ユニット120は、振動板17と、圧力室プレート16と、第2連通プレート15と、フレキシブルプレート14と、第1連通プレート13と、ノズルプレート11と、支持基板112と、を備えている。そして、これら7枚のプレート11〜17が前記した順に積層状態で接合されている。
図5に示すように、支持基板112は、ノズルプレート11よりも外側(−Z方向側)に配置されている。この支持基板112は、第1支持基板112A、第2支持基板112B及び第3支持基板112Cから構成されている。各支持基板112A,112B,112Cは、平面視矩形となっている。
第1支持基板112Aは、平面視においてノズル列31Yに対応するリザーバー23に重なる位置に配置されている。また、第2支持基板112Bは、平面視においてノズル列31M,31Cに対応するリザーバー23に重なる位置に配置されている。また、第3支持基板112Cは、平面視においてノズル列31Kに対応するリザーバー23に重なる位置に配置されている。
各支持基板112A,112B,112Cは、平面視においてノズル形成面のうち一対のノズル21に対応する領域を除いた、少なくともリザーバー23に重なる位置に配置されている。つまり、支持基板112は三枚の基板からなり、各基板が所定の間隔だけ離間することで開口部122が形成されている。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド110によれば、一対のノズル21に対応する領域を除いて選択的に支持基板112を配置することができる。このため、支持基板112に局所的に孔を開けて開口部を形成するのではなく、孔の開いていない支持基板112を複数用いこれらを所定の間隔だけ離間することで開口部122とすることができる。したがって、ノズルプレート11と支持基板112とを積層する際に、組立て効率の向上を図ることが可能となる。
また、この構成によれば、支持基板112が平面視において少なくともリザーバー23に重なる位置に配置されているので、有機膜からなるノズルプレート11を経由してリザーバー23内のインク溶媒が蒸発し、インク粘度の上昇やインクの固化が進んでしまうことが抑制される。したがって、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができる。
また、上記実施形態では、支持基板がノズルプレート11よりも外側(−Z方向側)に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。以下、上記実施形態とは異なる形態の支持基板を備える液体噴射ヘッドについて図7〜図9を用いて説明する。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態における液体噴射ヘッド210のノズル形成面におけるノズル21の配列状態を示す図である。図8は、液体噴射ヘッド210の内部構成を示す部分断面図である。図9は、液体噴射ヘッド210の内部構成を示す要部断面図である。なお、図9において、図9(a)は一対のノズル及びその周辺部を示す平面図である。また、図9(b)は図9(a)に示すB−B線に沿った断面図である。
なお、図7は図2に対応する支持基板の配置状態を示す底面図である。また、図8は図3に対応する液体噴射ヘッド内部の部分断面図である。また、図9は図4に対応する液体噴射ヘッド内部の要部断面図である。本実施形態における液体噴射ヘッド210は、支持基板12がノズルプレート11よりも内側(+Z方向側)に配置されている点で第1実施形態における液体噴射ヘッド10と異なる。図7〜図9において、図2〜図4と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、液体噴射ヘッド210は、圧力室26を含む個別インク流路30が形成された流路ユニット220と、この流路ユニット220の上面に配置されて圧力室26内のインクに圧力を付与する圧電素子18とを備えている。
流路ユニット220は、振動板17と、圧力室プレート16と、第2連通プレート15と、フレキシブルプレート14と、第1連通プレート13と、支持基板12と、ノズルプレート11と、を備えている。そして、これら7枚のプレート11〜17が前記した順に積層状態で接合されている。
図9に示すように、ノズルプレート11は、流路ユニット220の最外側(−Z方向側)に配置されている。支持基板12は、第1連通プレート13とノズルプレート11との間に配置されている。支持基板12は一枚の基板からなり、一対のノズル21に対応する領域に開口部22が形成されている。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド210においても、有機膜からなるノズルプレート11と該ノズルプレート11よりも水分透過性の低い支持基板12とが積層されているので、印刷動作中においてインク増粘が発生したりノズル開口に目詰まりが発生したりすることなく高品質な印字を記録することができ、組立て時のハンドリングが容易な液体噴射ヘッド210を提供することができる。
なお、上記実施形態においては、液体噴射装置としてシリアル型のインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ライン型のインクジェット式プリンターについても適用可能である。
また、上記実施形態においては、液体噴射ヘッドとしてMLChipsタイプを例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、圧電素子が縦になって振動板に貼り付けられたMLP(Multi Layer Piezo)タイプについても適用可能である。
1…液体噴射装置、10,110,210…液体噴射ヘッド、11…ノズルプレート、12,112…支持基板、14a…撓み部、21…ノズル、22,122…開口部、23…リザーバー、26…圧力室

Claims (4)

  1. 液体を収容する圧力室と、
    前記圧力室に連通するとともに前記液体を供給するリザーバーと、
    前記圧力室に連通して前記液体を噴射する一対のノズルが形成された有機膜からなるノズルプレートと、
    前記ノズルプレートに積層され、前記ノズルプレートよりも水分透過性が低く、所定の間隔で離間されて開口部を形成する複数の支持基板と、を備え、
    前記支持基板は、平面視において少なくとも前記リザーバーに対応する領域全体に配置されているとともに、前記開口部に複数の前記一対のノズルが配置されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記支持基板は、前記ノズルプレートよりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記圧力室と前記リザーバーとの間に前記液体の流路を形成する流路基板が設けられており、
    前記流路基板は、前記液体の流れにより発生する力を吸収する撓み部を有することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備えていることを特徴とする液体噴射装置。
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