JP5651749B2 - ユニット式建物 - Google Patents
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Description
しかし、敷地いっぱいに建物ユニットを配置すると、北側斜線や道路斜線等の斜線制限に抵触してしまうため、敷地に配置する建物ユニットの数を減らさざるを得ず、敷地を有効に利用することができていなかった。
そこで、敷地を有効に利用するために、建物ユニットを離し置きし、それによって生じた隙間をパネルで閉塞したユニット式建物が提案された(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のユニット式建物であれば、離し置きした分、建物ユニットを斜線制限側に配置することができるため、特許文献1に記載のユニット式建物よりも敷地の有効利用が可能であった。
また、斜線制限側に配置される上階部の建物ユニットを台形ユニットとしたユニット式建物も提案されている。この台形ユニットを用いたユニット式建物であれば、台形ユニットを設置した分、特許文献1に記載のユニット式建物よりも敷地の有効利用が可能であった。
その設計方法とは、直方体状の骨組み14を有する標準建物ユニット3,5を上下左右に複数組み合わせるとともに上階部7の斜線制限側に台形状の骨組みを有する台形建物ユニット6を配置して複数階の建物が建てられ、かつ、上階部7を構成する前記標準建物ユニット5と前記台形建物ユニット6との上に傾斜屋根8を配置するユニット式建物1を設計する方法であって、前記台形建物ユニット6及びこの台形建物ユニットの下方に配置された前記標準建物ユニット3と、これらの台形建物ユニット6及び標準建物ユニット3にそれぞれ隣接配置される上下階の標準建物ユニット3,5とを離し置きし、この離し置きされた建物ユニット3,5をジョイントパネル32で閉塞し、上階部7を構成する前記台形建物ユニット6と前記標準建物ユニット5との間を連結梁15で連結し、前記連結梁15の上にジョイント用小屋裏パネル33を配置し、前記ジョイント用小屋裏パネル33に屋根受け金具35を取り付け、この屋根受け金具35を介して前記ジョイント用小屋裏パネル33と前記傾斜屋根8とを接合することを特徴とする設計方法である。
そして、このユニット式建物1のジョイント部分を小屋裏として有効利用することができる。
さらに、傾斜屋根8を屋根受け金具35によって強固に支持することができる。
また、ジョイント部分に束を立設して傾斜屋根8を支持する場合に比べて、傾斜屋根8の荷重がジョイント用小屋裏パネル33、連結梁15、上階部の建物ユニット5へと伝わり易いので、ユニット式建物1の耐力を大きくすることができる。
以下に、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係る二階建てのユニット式建物1が斜視図として示されている。図2には、本実施形態に係るユニット式建物1が全体縦断面図として示されている。
図1および図2に示すように、本実施形態のユニット式建物1は、基礎2の上に設けられた6個の下階標準建物ユニット3からなる下階部4と、下階部4の下階標準建物ユニット3の上に載置された4個の上階標準建物ユニット5および台形建物ユニット6からなる上階部7と、この上階部7の上方に設けられる傾斜屋根8とを備えて構成されている。
また、ユニット式建物1の左側の一点鎖線は隣地境界線9Aを表し、傾斜屋根8に沿った一点鎖線は斜線制限に係る斜線9Bを表す。
この下階標準建物ユニット3および上階標準建物ユニット5の平面形状は、長さの異なる短辺および長辺を備えた長方形となっている。下階標準建物ユニット3および上階標準建物ユニット5には、四隅の柱11の上下端間をそれぞれ天井梁12および床梁13で連結した直方体形状の骨組み14が設けられている。
この骨組み14には、図示しない外壁面材、内壁面材および天井面材ならびに床面材等の造作面材が取付可能となっている。ここでは、天井梁12としては、長さの異なる長辺天井梁12Aおよび短辺天井梁12Bが設けられている。これらの天井梁12は、断面コ字形の溝型鋼から形成されたものである。このうち、対向配置された長辺天井梁12Aの間には、図示しない複数の天井小梁が架け渡されている。これらの天井小梁には、天井面を形成するための、図示しない天井面材が取り付けられるようになっている。
床梁13としては、天井梁12と同様に、長さの異なる長辺床梁13Aおよび短辺床梁13Bが設けられている。これらの床梁13は、断面コ字形の溝型鋼から形成されたものである。このうち、対向配置された長辺床梁13Aの間には、図示しない複数の根太が架け渡されている。これらの根太には、床面を形成するための、図示しない床面材が取り付けられるようになっている。
この台形建物ユニット6の平面と直行する面は台形となっている。台形建物ユニット6の4隅には、2本の長柱21Aと2本の短柱21Bとが立設されている。
2本の長柱21Aの上端部および2本の短柱21Bの上端部には長辺天井梁22Aが架け渡され、長柱21Aの上端部と短柱21Bの上端部との間には、登り梁22Bが架け渡されている。ここで、登り梁22Bは、斜線制限の斜線9Bに沿った傾斜屋根8に対応させた勾配で架け渡されている。そのため、台形建物ユニット6の傾斜面は斜線制限の斜線に沿って配置されていることになる。これらの長辺天井梁22Aおよび登り梁22Bは、断面コ字形の溝型鋼から形成されたものである。このうち、対向配置された登り梁22Bの間には、図示しない複数の天井小梁が架け渡されている。これらの天井小梁には、天井面を形成するための、図示しない天井面材が取り付けられるようになっている。
2本の長柱21Aの下端部および2本の短柱21Bの下端部には長辺床梁23Aが架け渡され、長柱21Aの下端部と短柱21Bの下端部との間には短辺床梁23Bが架け渡されている。これらの床梁23は、断面コ字形の溝型鋼から形成されたものである。このうち、対向配置された長辺床梁23Aの間には、図示しない複数の根太が架け渡されている。これらの根太には、床面を形成するための、図示しない床面材が取り付けられるようになっている。
まず、下階部4については、中央に配置された2個の下階中央ユニット3A、この下階中央ユニット3Aの右側に配置された2個の下階右ユニット3B、および下階中央ユニット3Aの左側に配置された2個の下階左ユニット3Cがそれぞれ、その骨組み14の短辺同士を隣り合わせて配置される。そして、下階中央ユニット3Aと下階左ユニット3Cとが、骨組み14の長辺同士を対向させて所定間隔Lだけ離して配置されることによって、隙間31が形成される。
そして、上階部7については、下階中央ユニット3Aおよび下階右ユニット3Bの計4個の下階標準建物ユニット3の上に上階標準建物ユニット5が配置され、下階左ユニット3Cの上に台形建物ユニット6が配置される。これによって、上階標準建物ユニット5の骨組み14の長辺と台形建物ユニット6の骨組み14の長辺同士を対向させて所定間隔Lだけ離れて配置されることになり、隙間31が形成される。
このようにして形成された隙間31の外壁側は、図1に示すように、ジョイントパネルである壁パネル32によって閉塞されている。また、隙間31の床側および天井側は、図示しないジョイントパネルである天井パネルおよび床パネルによって閉塞されている。さらに、図1および図2に示すように、上階部7の天井パネルの上方にはジョイント用小屋裏パネル33が設置されている。
図2および図5に示すように隙間31を介して対向して配置される下階中央ユニット3Aと下階左ユニット3C、並びに上階標準建物ユニット5と台形建物ユニット6は、断面コ字形の溝型鋼から形成された連結梁15で連結されている。
具体的には、連結梁15が、隙間31を介して対向して配置される当該建物ユニット3,5,6の柱11,21Aの上端部、および下端部の間に配置されるとともに連結部材16を介してボルトによって固定されることによって、当該建物ユニット3,5,6が強固に連結されている。
ジョイント用小屋裏パネル33は、4本の断面コ字形の梁が矩形枠状に組み立てられたものであり、その平面形状は隙間31の平面形状と同じである。そして、梁の下側に図示しない板材が取り付けられた構造となっている。なお、梁の間には補助梁(図示せず)が架け渡されていてもよく、梁と補助梁の下側に板材が取り付けられた構造としてもよい。
ジョイント用小屋裏パネル33は、連結梁15と図示しないボルト等で連結固定されている。
なお、上階標準建物ユニット5の天井側にも小屋裏パネル34が配置され、天井梁12と図示しないボルト等で連結固定されている。この小屋裏パネル34も断面コ字形の梁が矩形枠状に組み立てられたものであり、その平面形状は、それが設置される上階標準建物ユニット5と平面形状がほぼ一致している。そして梁の上側に図示しない板材が取り付けられた構造となっている。
ジョイント用小屋裏パネル33および小屋裏パネル34を配置することで、図2や図5に示すように、傾斜屋根8の下方に小屋裏空間Kが形成されている。
また、屋根受け金具35は、傾斜屋根パネル81を斜線9Bに沿って支持するために傾斜した支持面35Bを備えている。この支持面35Bと傾斜屋根パネル81とが図示しないボルトで固定されている。
次に、本実施形態に係るユニット式建物1の設計方法について、本発明に係る部分に要点を絞って説明する。すなわち、敷地を有効利用すべく、隣地境界線9Aを超過しない範囲内で下階標準建物ユニット3を配置して下階部4を形成し、斜線9Bを超過しない範囲内で上階標準建物ユニット5および台形建物ユニット6を配置して上階部7を形成し、さらに傾斜屋根8を形成するための設計方法である。
まず、斜線制限側とは反対側の隣地境界線9Aを基準にし、基礎2の上に6個の下階標準建物ユニット3を隣接させて配置して下階部4を形成する。
そして、上階部7の上に、斜線9Bに沿った勾配の傾斜屋根8を設置する。
まず、傾斜屋根8を、斜線9Bに沿うとともに、斜線9Bを超過しない位置へ移動させる。
次に、斜線制限側の台形建物ユニット6および下階左ユニット3Cを、隣地境界線9A側へ移動させるとともに、当該移動後の傾斜屋根8を支持可能な位置に設定する。このとき、下階左ユニット3Cの移動に合わせて、基礎2を当該隣地境界線9A側へと広げる設定変更をおこなって形成させる。
そして、台形建物ユニット6および下階左ユニット3Cを移動させたことによって所定間隔Lの隙間31が形成される。この隙間31を介して対向して配置される下階中央ユニット3Aおよび下階左ユニット3C同士、並びに上階標準建物ユニット5および台形建物ユニット6同士を、連結梁15で連結する。
さらに、ジョイント用小屋裏パネル33および上階標準建物ユニット5の外壁側の天井梁12に屋根受け金具35を設置し、台形建物ユニット6の外壁側の長辺天井梁22Aに図示しない屋根受け金具を設置し、束36を小屋裏パネル34に立設し、傾斜屋根パネル81を支持する。なお、傾斜屋根8を斜線9Bに沿うように移動させたことに伴い、傾斜屋根パネル81のサイズを適宜設定変更する。
このようにして、隣地境界線9Aおよび斜線9Bに対して下階左ユニット3C、台形建物ユニット6および傾斜屋根8を寄せて配置し、敷地を有効利用するユニット式建物1を設計する。
以上のような実施の形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)下階部4において下階中央ユニット3Aと下階左ユニット3Cとを離し置きし、上階部7においては台形建物ユニット6と上階標準建物ユニット5とを離し置きし、これらの離し置きしたユニット間を連結梁15で連結するので、建物の強度を確保しつつ、斜線制限内で敷地を有効利用することができ、ユニット式建物1の設計の幅を広げることができる。
また、ジョイント部分に束を立設して傾斜屋根8を支持する場合に比べて、傾斜屋根の荷重をジョイント用小屋裏パネル33、連結梁15、台形建物ユニット6へと伝え易い構造とすることができるので、ユニット式建物1の耐力を大きくすることができる。
図6には、第二実施形態に係る二階建てのユニット式建物が斜視図として示されている。
第二実施形態は、図6に示すように柱11がそれぞれ1本ずつ省略された2個の下階中央ユニット3A’および2個の下階右ユニット3B’が下階部4において隣接配置されている点で、第一実施形態と相違する。
ここで、第二実施形態の説明において第一実施形態と同一の構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
補強梁40は、柱11を省略された部位の短辺天井梁12Bを補強するために設けられたものである。補強梁40は、所定厚さの板部材で形成されている。
さらに補強梁40の側面、すなわち板部材を起立させたときの側面には、水平方向に補強プレート41、42が設けられている。補強プレート41は補強梁40の長手方向両端部に、補強プレート42は補強梁40の長手方向の中央部に、それぞれ設けられている。
この隙間31の側面は、図6に示すように、ジョイントパネルである壁パネル32によって閉塞されている。また、隙間31の上部および下部は、図示しないジョイントパネルである天井パネルおよび床パネルによって閉塞されている。
次に、第二実施形態に係るユニット式建物の設計方法について、第一実施形態のユニット式建物1の設計方法と相違する部分について説明する。
すなわち、敷地を有効利用すべく、隣地境界線9A、を超過しない範囲内で下階標準建物ユニット3を配置して下階部4を形成する方法が相違する。
まず、下階部4を構成する、下階中央ユニット3A、下階右ユニット3Bおよび下階左ユニット3Cの6個のユニットの内、隣地境界線9A側に面していない2個の下階中央ユニット3Aと2個の下階右ユニット3Bの柱11をそれぞれ1本ずつ省略する。
そして、これらの柱11が省略された2個の下階中央ユニット3A’および2個の下階右ユニット3B’を柱11が省略された部位同士を突き合せて隣接配置する。
その他は、第一実施形態のユニット式建物1の設計方法と同様にして設計する。
第二実施形態によれば、第一実施形態で述べた(1)〜(4)の効果に加え、以下の効果がある。
(5)隙間31を下階中央ユニット3A’と下階左ユニット3Cとの間に形成し、柱11
がそれぞれ1本ずつ省略された2個の下階中央ユニット3A’および2個の下階右ユニット3B’を、その柱11が省略された部位同士を突き合せて隣接配置させ、補強梁40で補強するので、建物強度を確保しつつ、柱なしで形成される巨大な居室空間Rを下階部4に形成することができる。
例えば、前記実施形態では、斜線制限として隣地境界線9Aによる斜線制限の場合について説明したが、道路斜線制限や北側斜線制限の場合であっても同様に本発明を用いることができる。
3,5…標準建物ユニット
4…下階部
6…台形建物ユニット
7…上階部
8…傾斜屋根
11…柱
14…骨組み
15…連結梁
31…隙間
32…壁パネル(ジョイントパネル)
33…ジョイント用小屋裏パネル
35…屋根受け金具
40…補強梁
Claims (4)
- 直方体状の骨組みを有する標準建物ユニットを上下左右に複数組み合わせるとともに上階部の斜線制限側に平面と直行する面が台形状の骨組みを有する台形建物ユニットを配置して複数階の建物が建てられ、かつ、上階部を構成する前記標準建物ユニットと前記台形建物ユニットとの上に傾斜屋根を配置するユニット式建物であって、
前記台形建物ユニット及びこの台形建物ユニットの下方に配置された前記標準建物ユニットを、これらの台形建物ユニット及び標準建物ユニットにそれぞれ隣接配置される上下階の標準建物ユニットに対して、斜線制限に沿った勾配の前記傾斜屋根を支持可能な位置に向かって隣地境界線側へ離し置きし、
離し置きによって形成された隙間をジョイントパネルで閉塞し、
前記上下階の標準建物ユニットの前記台形建物ユニットが配置されない側方に、他の上下階の標準建物ユニットを隣接配置し、
上階部を構成する前記台形建物ユニットと前記標準建物ユニットとの間を連結梁で連結することを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、
前記連結梁の上にジョイント用小屋裏パネルを配置することを特徴とするユニット式建物。 - 請求項2に記載のユニット式建物において、
前記ジョイント用小屋裏パネルに屋根受け金具を取り付け、この屋根受け金具を介して前記ジョイント用小屋裏パネルと前記傾斜屋根とを接合することを特徴とするユニット式建物。 - 請求項3に記載のユニット式建物において、
前記隙間を挟んで前記台形建物ユニットに対向させて複数の前記標準建物ユニットを配置し、
これらの標準建物ユニットの下方にそれぞれ下階部を構成する複数の標準建物ユニットを配置し、
この下階部を構成するとともに互いに隣接配置された複数の標準建物ユニットの互いに近接する柱を欠損させ、かつ、これらの標準建物ユニットの梁に補強梁を接合することを特徴とするユニット式建物。
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