一例として示す剥離装置10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる剥離装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、第1接続部材14の一例を示すそれらの斜視図であり、図3は、第2接続部材15およびカッター18の一例を示すその斜視図である。図4,5は、第1進退機構33の一例を示す図であり、図6,7は、第2進退機構53の一例を示す図である。
図1では、案内部材11およびスライドレール44の図示を一部省略している。図4では、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態を示し、図5では、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入した状態を示す。図6では、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態を示し、図7では、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57に進入した状態を示す。図1,図4,図6では、一方向を矢印A(図1のみ)で示し、一方向と交差する幅方向を矢印Bで示すとともに、一方向と交差する縦方向を矢印Cで示す。
剥離装置10は、構造物のコンクリート躯体の外面に施工されたモルタル(セメント硬化物)の剥離に使用される。なお、剥離装置10は、モルタルの剥離のみならず、コンクリートやグラウトの剥離にも使用することができる。構造物には、オフィスビルやインテリジェントビル、集合住宅、病院、学校、原子力発電所、屋内駐車場、地下駐車場等のあらゆる建築物が含まれ、また、ダムや橋、道路、外壁等のあらゆる構築物が含まれる。剥離装置10は、案内部材11、案内部材11を構造物に固定する固定手段12(図参照)、油圧ジャッキ13、第1接続部材14および第2接続部材15、第1移動機構16および第2移動機構17、カッター18、第1光センサ19および第2光センサ20、コントローラ(図示せず)を備えている。
案内部材11は、一方向へ延びる中空の金属管(鉄管やアルミ管、ステンレス管等)であり、その断面形状が四角形に成形されている。案内部材11は、縦方向へ対向して一方向へ延びる頂壁21および底壁22と、幅方向へ対向して一方向へ延びる両側壁23,24とを有する。なお、案内部材11は、その断面形状が四角形のみならず、円形に成型されていてもよい。案内部材11は、モルタルの外面から所定寸法離間するとともにモルタルの外面と並行するように建築物の剥離箇所に設置される。案内部材11は、剥離するモルタルのその剥離長さ以上の長さ寸法を有していればよく、その長さ寸法に特に限定はない。
案内部材11の両側壁23,24には、それら側壁23,24を幅方向へ貫通して一方向へ等間隔離間して並ぶ複数の第1貫通孔25が穿孔されている。それら第1貫通孔25は、その断面形状が円形であり、幅方向へ互いに平行して延びている。それら第1貫通孔25は、後記する第1連結シャフト29が進入可能な直径を有する。なお、第1貫通孔25の個数について特に限定はない。また、隣接する第1貫通孔25の離間寸法について特に限定はない。
油圧ジャッキ13は、円筒状の油圧シリンダ26と円柱状のピストンロッド27とを有する。油圧シリンダ26の前端部と中間部とにおける周壁には、油圧チューブ28が取り付けられている。油圧チューブ28は、電動油圧ポンプ(図示せず)に接続されている。電動油圧ポンプは、ケーブルを介して電源に接続されている。油圧ジャッキ13では、電動油圧ポンプから送出される油圧オイル(油圧作動油)によってピストンロッド27が油圧シリンダ26から次第に露出し、ピストンロッド27が一方向へ伸長(前進)するとともに、ピストンロッド27が油圧シリンダ26の内部に次第に進入し、一方向へ後退する。なお、ジャッキとして油圧ジャッキ13の他に、水圧ジャッキを使用することもできる。
第1接続部材14は、図2に示すように、第1連結シャフト29、第1取付座30、第1案内板31および第2案内板32、第1進退機構33から形成されている。第1連結シャフト29は、断面形状が略円形の幅方向へ延びる金属棒(鉄棒やアルミ棒、ステンレス棒等)であり、第1貫通孔25と後記する第2貫通孔38とに進入可能な長さ寸法および直径を有する。第1取付座30は、断面形状がコ字状に成形された金属部材(鉄部材やアルミ部材、ステンレス部材等)であり、案内部材11の直下に位置している。第1取付座30は、幅方向へ延びる頂壁34と、縦方向へ延びる両側壁35と、縦方向へ延びる前壁36とを有する。
第1取付座30は、その前壁36が油圧シリンダ26の後端部から延びる連接治具37に所定の固定手段を介して強固に固定されている。第1取付座30の前壁36と油圧シリンダ26の連接治具37とを固定する固定手段としては、たとえば、シリンダ26の連接治具37を第1取付座30の前壁36に溶接する場合、または、シリンダ26の連接治具37に雄螺子を形成するとともに、第1取付座30の前壁36に雌螺子を形成し、前壁36に連接治具37を螺着するとともに連結治具37の雄螺子にナットを螺着する場合がある。油圧シリンダ26の連接治具37に第1取付座30の前壁36を固定することで、第1接続部材14がシリンダ26(油圧ジャッキ13)に連結される。
第1案内板31は、第1取付座30の一方の側壁35に連接され、案内部材11の側壁23の幅方向外側に位置して縦方向へ直状に延びている。第2案内板32は、第1取付座30の他方の側壁35に連接され、案内部材11の側壁24の幅方向外側に位置して縦方向へ直状に延びている。第1案合板31と第2案内板32とには、それら板31,32を幅方向へ貫通する第2貫通孔38が穿孔されている。それら第2貫通孔38は、その断面形状が円形であり、第1連結シャフト29が進入可能な直径を有する。それら第2貫通孔38が第1貫通孔25に対向しつつそれら孔25,38の軸方向中心が一致した状態やそれら第2貫通孔38が案内部材11の両側壁23,24に対向した状態では、第1および第2案内板31,32が案内部材11を挟みつつ案内部材11の両側に位置している。
第1進退機構33は、第1筐体39、第1モーター40、第1歯車41、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)から形成されている。第1筐体39は、その一側壁が固定手段を介して第1取付座30に強固に固定されている。第1筐体39を第1取付座30に固定する固定手段としては、筐体39の一側壁を第1案内板31や取付座30の側壁35に溶接する場合、または、筐体39の一側壁や第1案内板31、取付座30の側壁35に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着するとともにボルトにナットを螺着する場合がある。第1筐体39の下方には、コントローラを介して電源に接続されたケーブル43(電線およびインターフェイス)が延出している。
第1モーター40は、第1筐体39の外側に配置されて筐体39に固定手段(図示せず)を介して固定されている。第1モーター40は、その回転軸が第1筐体39の内部に露出している。第1モーター40には、ケーブル43から電気が供給され、その電気の導通によって回転軸が時計回り方向または反時計回り方向へ回転する。第1歯車41は、第1筐体39の内部に収容され、第1モーター40の回転軸に回転可能に取り付けられている。第1歯車41は、第1モーター40の駆動(回転軸の回転)によって時計回り方向または反時計回り方向へ回転する。第1ピニオン42(第1連結シャフト29)は、第1筐体39の側に進んだ状態でその大部分が筐体39の内部に収容される。第1ピニオン42の周面には、雄螺子(ピニオンギア)が形成され、その雄螺子(ピニオンギア)が第1歯車41(ラックギア)に係合している。第1ピニオン42は、第1歯車41の回転によって幅方向へ進退可能である。
第1ピニオン42(第1連結シャフト29)は、図4に示すように、第1筐体39の内部に位置した状態から、第1歯車41が矢印L1で示す方向へ回転すると、矢印L2で示すように第1および第2貫通孔25,38に向かって幅方向へ移動する。第1ピニオン42は、第1歯車41の矢印L1で示す方向への回転にともなって、第2貫通孔38に進入し、第2貫通孔38を通った後、第1貫通孔25に進入し、第1貫通孔25を通った後、第2貫通孔38に進入する(図5参照)。第1ピニオン42が第1および第2貫通孔25,38に進入した時点で、第1歯車41の矢印L1で示す方向への回転が停止するとともに、第1連結シャフト29を介して第1接続部材14の一方向への移動が不可となる。
第1ピニオン42(第1連結シャフト29)は、その略半分が第1筐体39から露出して第1および第2貫通孔25,38に進入した図5の状態から、第1歯車41が矢印L3で示す方向へ回転すると、矢印L4で示すように筐体39に向かって幅方向へ移動する。第1ピニオン42は、第1歯車41の矢印L3で示す方向への回転にともなって、第2貫通孔38から退出し、第1貫通孔25から退出するとともに、第2貫通孔38から退出し、第1筐体39の内部に収容される。第1ピニオン42が第1および第2貫通孔25,38から退出し、第1筐体39の内部に進入した時点で、第1歯車41の矢印L3で示す方向への回転が停止するとともに、第1接続部材14の一方向への移動が可能となる。
第1移動機構16は、スライドレール44と第1スライダー45とから形成されている。スライドレール44は、一方向へ延びる金属棒(鉄棒やアルミ棒、ステンレス棒等)であり、その断面形状が四角形に成形されている。スライドレール44は、縦方向へ対向して一方向へ延びる頂面および底面と、幅方向へ対向して一方向へ延びる両側面とを有する。なお、スライドレール44は、その断面形状が四角形のみならず、円形に成型されていてもよい。スライドレール44は、その長さ寸法が案内部材11のそれと略同一である。スライドレール44は、その頂面が案内部材11の底壁22に固定手段を介してく強固に固定されている。
スライドレール44の頂面を案内部材11の底壁22に固定する固定手段としては、スライドレール44の頂面全域を案内部材11の底壁22全域に溶接する場合、または、スライドレール44の頂面から底面に向かって雌螺子を形成するとともに、案内部材11の底壁22に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着して案内部材11の底壁22にスライドレール44を固定する場合がある。スライドレール44の両側面には、それら側面から幅方向外方へ突出する凸部46が形成されている。
第1スライダー45は、第1取付座30の頂壁34の上部に位置する底壁と、幅方向へ対向して底壁に連接された両側壁とを有する。第1スライダー45には、底壁と両側壁とに囲繞された嵌合部47が画成されている。第1スライダー45は、その底壁が第1取付座30の頂壁34に固定手段を介して強固に固定されている。第1スライダー45の底壁を第1取付座30の頂壁34に固定する固定手段としては、第1スライダー45の底壁全域を第1取付座30の頂壁34に溶接する場合、または、第1スライダー45の底壁に雌螺子を形成するとともに、第1取付座30の頂壁34に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着して取付座30の頂壁34にスライダー45を固定する場合がある。
第1スライダー45の両側壁の嵌合部47の側には、幅方向外方へ凹む凹部48が形成されている。嵌合部47は、スライドレール44に嵌合している。嵌合部47にスライドレール44が嵌合した状態では、スライドレール44の凸部46が第1スライダー45の凹部48に嵌入し、スライドレール44の底面とスライダー45の底壁とが摺動可能に当接するとともに、スライドレール44の両側面とスライダー45の両側壁とが摺動可能に当接する。スライドレール44の凸部46が第1スライダー45の凹部48に嵌入することによって、案内部材11からの第1接続部材14の脱落が防止され、さらに、スライダー45がスライドレール44に一方向へ摺動可能に嵌合することによって、第1接続部材14が案内部材11に沿って一方向へ移動(スライド)することができる。
第2接続部材15は、図3に示すように、第2連結シャフト49、第2取付座50、第3案内板51および第4案内板52、第2進退機構53から形成されている。第2連結シャフト49は、断面形状が略円形の幅方向へ延びる金属棒(鉄棒やアルミ棒、ステンレス棒等)であり、第1貫通孔25と後記する第3貫通孔57とに進入可能な長さ寸法および直径を有する。第2取付座50は、断面形状がコ字状に成形された金属部材(鉄部材やアルミ部材、ステンレス部材等)であり、案内部材11に直下に位置している。第2取付座50は、幅方向へ延びる頂壁54と、縦方向へ延びる両側壁55と、縦方向へ延びる後壁56とを有する。
第2取付座50は、その後壁56がピストンロッド27の先端部に所定の固定手段を介して強固に固定されている。第2取付座50の後壁56とピストンロッド27の先端部とを固定する固定手段としては、たとえば、ピストンロッド27の先端部を第2取付座50の後壁56に溶接する場合、または、ピストンロッド27の先端部に雄螺子を形成するとともに、第2取付座50の後壁56に雌螺子を形成し、後壁56にピストンロッド27の先端部を螺着するとともに先端部にナットを螺着する場合がある。ピストンロッド27の先端部に第2取付座50の後壁56を固定することで、第2接続部材15がピストンロッド27(油圧ジャッキ13)に連結される。
第3案内板51は、第2取付座50の一方の側壁55に連接され、案内部材11の側壁23の幅方向外側に位置して縦方向へ直状に延びている。第4案内板52は、第2取付座50の他方の側壁55に連接され、案内部材11の側壁24の幅方向外側に位置して縦方向へ直状に延びている。第3案合板51と第4案内板52とには、それら板51,52を幅方向へ貫通する第3貫通孔57が穿孔されている。それら第3貫通孔57は、その断面形状が円形であり、第2連結シャフト49が進入可能な直径を有する。それら第3貫通孔57が第1貫通孔25に対向しつつそれら孔25,57の軸方向中心が一致した状態やそれら第3貫通孔57が案内部材11の両側壁23,24に対向した状態では、第3および第4案内板51,52が案内部材11を挟みつつ案内部材11の両側に位置している。
第2進退機構52は、第2筐体58、第2モーター59、第2歯車60、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)から形成されている。第2筐体58は、その一側壁が固定手段を介して第2取付座50に強固に固定されている。第2筐体58を第2取付座50に固定する固定手段としては、筐体58の一側壁を第3案内板51や取付座50の側壁55に溶接する場合、または、筐体58の一側壁や第3案内板51、取付座50の側壁55に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着するとともにボルトにナットを螺着する場合がある。第2筐体58の下方には、コントローラを介して電源に接続されたケーブル62(電線およびインターフェイス)が延出している。
第2モーター59は、第2筐体58の外側に配置されて筐体58に固定手段(図示せず)を介して固定されている。第2モーター59は、その回転軸が第2筐体58の内部に露出している。第2モーター59には、ケーブル62から電気が供給され、その電気の導通によって回転軸が時計回り方向または反時計回り方向へ回転する。第2歯車60は、第2筐体58の内部に収容され、第2モーター59の回転軸に回転可能に取り付けられている。第2歯車60は、第2モーター59の駆動(回転軸の回転)によって時計回り方向または反時計回り方向へ回転する。第2ピニオン61(第2連結シャフト49)は、第2筐体58の側に進んだ状態でその大部分が筐体58の内部に収容される。第2ピニオン58の周面には、雄螺子(ピニオンギア)が形成され、その雄螺子(ピニオンギア)が第2歯車60(ラックギア)に係合している。第2ピニオン58は、第2歯車60の回転によって幅方向へ進退可能である。
第2ピニオン61(第2連結シャフト49)は、図6に示すように、第2筐体58の内部に位置した状態から、第2歯車60が矢印L5で示す方向へ回転すると、矢印L6で示すように第1および第3貫通孔25,57に向かって幅方向へ移動する。第2ピニオン61は、第2歯車60の矢印L5で示す方向への回転にともなって、第3貫通孔57に進入し、第3貫通孔57を通った後、第1貫通孔25に進入し、第1貫通孔25を通った後、第3貫通孔57に進入する(図7参照)。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した時点で、第2歯車60の矢印L5で示す方向への回転が停止するとともに、第2連結シャフト49を介して第2接続部材15の一方向への移動が不可となる。
第2ピニオン61(第2連結シャフト49)は、その略半分が第2筐体58から露出して第1および第3貫通孔25,57に進入した図7の状態から、第2歯車60が矢印L7で示す方向へ回転すると、矢印L8で示すように筐体58に向かって幅方向へ移動する。第2ピニオン61は、第2歯車60の矢印L7で示す方向への回転にともなって、第3貫通孔57から退出し、第1貫通孔25から退出するとともに、第3貫通孔57から退出し、第2筐体58の内部に収容される。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57から退出し、第2筐体58の内部に進入した時点で、第2歯車60の矢印L7で示す方向への回転が停止するとともに、第2接続部材15の一方向への移動が可能となる。
第2移動機構17は、既述のスライドレール44と第2スライダー63とから形成されている。第2スライダー63は、第2取付座50の頂壁54の上部に位置する底壁と、幅方向へ対向して底壁に連接された両側壁とを有する。第2スライダー63には、底壁と両側壁とに囲繞された嵌合部64が画成されている。第2スライダー63は、その底壁が第2取付座50の頂壁54に固定手段を介して強固に固定されている。第2スライダー63の底壁を第2取付座50の頂壁54に固定する固定手段としては、第2スライダー63の底壁全域を第2取付座50の頂壁54に溶接する場合、または、第2スライダー63の底壁に雌螺子を形成するとともに、第2取付座50の頂壁54に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着して取付座50の頂壁54に第2スライダー63を固定する場合がある。
第2スライダー63の両側壁の嵌合部64の側には、幅方向外方へ凹む凹部65が形成されている。嵌合部64は、スライドレール44に嵌合している。嵌合部64にスライドレール44が嵌合した状態では、スライドレール44の凸部46が第2スライダー63の凹部65に嵌入し、スライドレール44の底面とスライダー63の底壁とが摺動可能に当接するとともに、スライドレール44の両側面とスライダー63の両側壁とが摺動可能に当接する。スライドレール44の凸部46が第2スライダー63の凹部65に嵌入することによって、案内部材11からの第2接続部材15の脱落が防止され、さらに、スライダー63がスライドレール44に一方向へ摺動可能に嵌合することによって、第2接続部材15が案内部材11に沿って一方向へ移動(スライド)することができる。
カッター18は、鋼から作られ、案内部材11の直下に位置している。カッター18は、第2取付座50の一方向前方に位置して幅方向へ延びる刃口66と、刃口66につながる台座67とから形成されている。刃口66は、台座67に固定手段を介して強固に固定されている。刃口66を台座67に固定する固定手段としては、刃口66を台座67に溶接する場合、または、刃口66および台座67に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着して台座67に刃口66を固定する場合がある。台座67は、第2取付座59に固定手段を介して強固に固定されている。台座67を第2取付座59に固定する固定手段としては、台座67を取付座59に溶接する場合、または、台座67および取付座59に雌螺子を形成し、それら雌螺子にボルトを螺着して取付座59に台座67を固定する場合がある。
図8は、第1光センサ19のレーザー光の導通状態を示す図であり、図9は、第2光センサ20のレーザー光の導通状態を示す図である。第1光センサ19は、第1接続部材14の第1および第2案内板31,32に取り付けられている。第1および第2案内板31,32における第1光センサ19の取り付け位置は、図1および図8に示すように、それら案内板31,32の上部かつ先端側であって第1貫通孔25に対向する箇所である。第1光センサ19は、第1案内板31に設置された第1発光部68と、第2案内板32に設置された第1受光部69とから形成されている。第1光センサ19では、第1発光部68から第2案内板32(第1受光部69)に向かって第1レーザー光(第1の光)が幅方向へ照射され、第1受光部69が第1発光部68から照射されたレーザー光を受光する。
第1光センサ19では、第1発光部68と第1受光部69とが案内部材11を挟んで対向した場合、第1発光部68から照射された第1レーザー光が案内部材11の側壁23,24に遮られ、第1受光部69にレーザー光が届かず、非導通状態(OFF状態)となる。第1接続部材14が一方向へ移動(スライド)し、第1発光部68と第1受光部69とが第1貫通孔25を挟んで対向すると、図8に示すように、発光部68から照射された第1レーザー光が第1貫通孔25を通って受光部69に入射し、導通状態(ON状態)となる。なお、第1発光部68から照射された第1レーザー光が第1貫通孔25を通過して第1受光部69に入射したときに、第1連結シャフト29が第1貫通孔25に挿脱可能に対向する。
第2光センサ20は、第2接続部材15の第3および第4案内板51,52に取り付けられている。第3および第4案内板51,52における第2光センサ20の取り付け位置は、図1および図9に示すように、それら案内板51,52の上部かつ先端側であって第1貫通孔25に対向する箇所である。第2光センサ20は、第3案内板51に設置された第2発光部70と、第4案内板52に設置された第2受光部71とから形成されている。第2光センサ20では、第2発光部70から第4案内板52(第2受光部71)に向かって第2レーザー光(第2の光)が幅方向へ照射され、第2受光部71が第2発光部70から照射されたレーザー光を受光する。
第2光センサ20では、第2発光部70と第2受光部71とが案内部材11を挟んで対向した場合、第2発光部70から照射された第2レーザー光が案内部材11の側壁23,24に遮られ、第2受光部71にレーザー光が届かず、非導通状態(OFF状態)となる。第2接続部材15が一方向へ移動(スライド)し、第2発光部70と第2受光部71とが第1貫通孔25を挟んで対向すると、図9に示すように、発光部70から照射された第2レーザー光が第1貫通孔25を通って受光部71に入射し、導通状態(ON状態)となる。なお、第2発光部70から照射された第2レーザー光が第1貫通孔25を通過して第2受光部71に入射したときに、第2連結シャフト49が第1貫通孔25に挿脱可能に対向する。
コントローラは、中央処理装置とメモリとを備え、大容量ハードディスクを内蔵したコンピュータである。コントローラには、テンキーユニットまたはディスプレイ(マルチタッチパネル)が実装されている。コントローラには、第1および第2光センサ19,20と第1および第2モーター40,59とがインターフェイス(ケーブル43,62)を介して接続され、油圧ジャッキ13の電動油圧ポンプがインターフェイスを介して接続されている。コントローラは、電線を介して電源に接続されている。コントローラは、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って各種工程(各種コマンド)を実施する。
コントローラのハードディスクには、油圧ジャッキ13のピストンロッド27の伸縮速度、第2発光部70から照射された第2レーザー光の第2受光部71に入射する第1入射回数(たとえば、1〜10回の範囲)、第1発光部68から照射された第1レーザー光の第1受光部69に入射する第2入射回数(たとえば、1〜10回の範囲)、第2発光部70から照射された第2レーザー光の第2受光部71に入射する第3入射回数(たとえば、1〜10回の範囲)、第1発光部68から照射された第1レーザー光の第1受光部69に入射する第4入射回数(たとえば、1〜10回の範囲)が格納されている。さらに、第1発光部68から照射された第1レーザー光が第1受光部69に入射してから第1連結シャフト29が第1貫通孔25に進入可能となる第1時間(0.1〜1.0秒の範囲)、第2発光部70から照射された第2レーザー光が第2受光部71に入射してから第2連結シャフト49が第1貫通孔25に進入可能となる第2時間(0.1〜1.0秒の範囲)が格納されている。
油圧ジャッキ13のピストンロッド27の伸縮速度は、コントローラのディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、ピストンロッド27の伸縮速度が変更された場合、ハードディスクに格納した伸縮速度を変更後のそれに更新する。第2発光部70から照射された第2レーザー光の第2受光部71に入射する第1入射回数は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第1入射回数が変更された場合、ハードディスクに格納した第1入射回数を変更後のそれに更新する。第1入射回数を設定(調節)することによって、第2接続部材15の一方向前方への移動寸法(ピストンロッド27の一方向前方への伸長寸法)を調節することができる。
第1発光部68から照射された第1レーザー光の第1受光部69に入射する第2入射回数は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第2入射回数が変更された場合、ハードディスクに格納した第2入射回数を変更後のそれに更新する。第2入射回数を設定(調節)することによって、第1接続部材14の一方向前方への移動寸法(シリンダ26の一方向前方への伸長寸法)を調節することができる。
第2発光部70から照射された第2レーザー光の第2受光部71に入射する第3入射回数は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第3入射回数が変更された場合、ハードディスクに格納した第3入射回数を変更後のそれに更新する。第3入射回数を設定(調節)することによって、第2接続部材15の一方向後方への移動寸法(ピストンロッド27の一方向後方への伸長寸法)を調節することができる。
第1発光部68から照射された第1レーザー光の第1受光部69に入射する第4入射回数は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第4入射回数が変更された場合、ハードディスクに格納した第4入射回数を変更後のそれに更新する。第4入射回数を設定(調節)することによって、第1接続部材15の一方向後方への移動寸法(シリンダ26の一方向後方への伸長寸法)を調節することができる。
第1発光部68から照射された第1レーザー光が第1受光部69に入射してから第1連結シャフト29が第1貫通孔25に進入可能となる第1時間は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第1時間が変更された場合、ハードディスクに格納した第1時間を変更後のそれに更新する。第1時間の経過によって第1接続部材14の一方向への移動が停止しつつ第1連結シャフト29が第1貫通孔25に進入可能となる。第2発光部70から照射された第2レーザー光が第2受光部71に入射してから第2連結シャフト49が第1貫通孔25に進入可能となる第2時間は、ディスプレイに表示されるとともに、テンキーユニットやディスプレイを介して自由に変更することができる。コントローラは、第2時間が変更された場合、ハードディスクに格納した第2時間を変更後のそれに更新する。第2時間の経過によって第2接続部材15の一方向への移動が停止しつつ第2連結シャフト49が第1貫通孔25に進入可能となる。
剥離するモルタルの剥離開始位置から剥離終了位置までの全剥離寸法に対応する第5入射回数(たとえば、30〜100回の範囲)を設定した場合、その第5入射回数がコントローラのハードディスクに格納される。第5入射回数は第2発光部70から照射されて第1貫通孔25を通過した第2レーザー光の第2受光部71に入射する入射回数であり、第5入射回数を設定することで、モルタルの剥離開始位置から剥離終了位置までの全剥離寸法に対応する第2接続部材15の一方向前方への移動寸法を設定することができる。
剥離するモルタルの剥離開始位置から剥離終了位置までの全剥離寸法に対応する第6入射回数(たとえば、30〜100回の範囲)を設定した場合、その第6入射回数がコントローラのハードディスクに格納される。第6入射回数は第1発光部68から照射されて第1貫通孔25を通過した第1レーザー光の第1受光部69に入射する入射回数であり、第6入射回数を設定することで、モルタルの剥離開始位置から剥離終了位置までの全剥離寸法に対応する第1接続部材14の一方向前方への移動寸法を設定することができる。
モルタルの剥離終了位置から剥離開始位置までの全剥離寸法に対応する第7入射回数(たとえば、30〜100回の範囲)を設定した場合、その第7入射回数がコントローラのハードディスクに格納される。第7入射回数は第2発光部70から照射されて第1貫通孔25を通過した第2レーザー光の第2受光部71に入射する入射回数であり、第7入射回数を設定することで、モルタルの剥離終了位置から剥離開始位置までの全剥離寸法に対応する第2接続部材15の一方向後方への移動寸法を設定することができる。
モルタルの剥離終了位置から剥離開始位置までの全剥離寸法に対応する第8入射回数(たとえば、30〜100回の範囲)を設定した場合、その第8入射回数がコントローラのハードディスクに格納される。第8入射回数は第1発光部68から照射されて第1貫通孔25を通過した第1レーザー光の第1受光部69に入射する入射回数であり、第8入射回数を設定することで、モルタルの剥離終了位置から剥離開始位置までの全剥離寸法に対応する第1接続部材14の一方向後方への移動寸法を設定することができる。なお、第1〜第4入射回数を設定した場合、第5〜第8入射回数は設定しない。逆に、第5〜第8入射回数を設定した場合、第1〜第4入射回数は設定しない。
コントローラの中央処理装置は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、油圧ジャッキ13のピストンロッド27を一方向前方へ次第に伸長させる(シリンダ26の内部からピストンロッド27を次第に進出させる)とともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って一方向前方へ次第に移動させ、それによってカッター18を一方向前方へ向かって次第に前進させる剥離工程(第1動作)を実施し、ピストンロッド27を一方向前方へ伸長させた後、第2連結シャフト49を第1および第3貫通孔25,57に進入させるとともに、第1連結シャフト29を第1および第2貫通孔25,38から退出させるシャフト第1進退工程(第2動作)を実施する。
コントローラの中央処理装置は、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、油圧ジャッキ13のシリンダ26を一方向前方へ次第に移動させる(シリンダ26の内部にピストンロッド27を次第に進入させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って一方向前方へ次第に移動させる第1移動工程(第3動作)を実施し、シリンダ26と第1接続部材14とを一方向前方へ移動させた後、第1連結シャフト29を第1および第2貫通孔25,38に進入させるとともに、第2連結シャフト49を第1および第3貫通孔35,57から退出させるシャフト第2進退工程(第4動作)を実施する。剥離工程〜シャフト第2進退工程(第1動作〜第4動作)を実施することで1回毎の剥離工程が完了する。剥離工程〜シャフト第2進退工程(第1動作〜第4動作)を複数回実施することで、構造物に施工されたモルタルの剥離開始位置から剥離終了位置までの全てのそれの剥離が完了する。
コントローラの中央処理装置は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、一方向へ伸長したピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って一方向後方へ次第に移動させる第2移動工程(第5動作)を実施し、第2接続部材15を一方向後方へ移動させた後、第2連結シャフト49を第1および第3貫通孔25,57に進入させるとともに、第1連結シャフト29を第1および第2貫通孔25,38から退出させるシャフト第3進退工程(第6動作)を実施する。
コントローラの中央処理装置は、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、シリンダ26の内部に進入したピストンロッド27をシリンダ26内部から次第に露出させる(シリンダ26を一方向後方へ次第に移動させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って一方向後方へ次第に移動させる第3移動工程(第7動作)を実施し、第1接続部材14を一方向後方へ移動させた後、第1連結シャフト29を第1および第2貫通孔25,38に進入させるとともに、第2連結シャフト49を第1および第3貫通孔25,57から退出させるシャフト第4進退工程(第8動作)を実施する。第2移動工程〜シャフト第4進退工程(第5動作〜第8動作)を複数回実施することで、油圧ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15とがセメン硬化物の剥離開始位置に戻る。
図10は、モルタル72に案内溝73を形成した内壁80の正面図であり、図11は、剥離装置10を使用したモルタル72の剥離方法(剥離手順)の一例を示す装置10の側面図である。図12は、図11の状態にある剥離装置10の正面図であり、図13は、図11から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図である。図14は、図13の状態にある剥離装置10の正面図である。図10〜図14では、上下方向(一方向)を矢印Aで示し、上下方向上方(一方向前方)を矢印A1で示す。
剥離装置10を使用したモルタル72の剥離方法では、案内溝作成工程、カッター設置穴作成工程、装置固定工程、剥離工程(第1動作)、シャフト第1進退工程(第2動作)、第1移動工程(第3動作)、シャフト第2進退工程(第4動作)、第2移動工程(第5動作)、シャフト第3進退工程(第6動作)、第3移動工程(第7動作)、シャフト第4進退工程(第8動作)、装置固定解除工程の各工程を実施する。
以下、剥離装置10が鉄筋コンクリート建築物(構造物)の内壁80に設置され、内壁80のモルタル72を剥離する場合を例として装置10における剥離方法(剥離手順)を説明する。なお、剥離装置10は、建築物の内壁80のみならず、建築物の床スラブや片持ちスラブ、天井スラブ、柱、梁に設置し、それらに施工されたモルタル72の剥離に使用することもできる。それら図では剥離装置10が建築物(構造物)の内壁80において上下方向へ設置されているが、建築物の内壁80における装置10の設置方向(案内部材11の延びる方向)について特に限定はなく、装置10を設置するスペースを確保することができれば、装置10をあらゆる方向に設置することができる。
最初にそれら工程を実施する事前準備として、モルタル72を剥離する内壁80の剥離箇所を決定し、モルタル72の剥離幅寸法(剥離するモルタル72の幅方向の寸法)を決定するとともに、モルタル72の剥離長さ寸法(剥離するモルタル72の一方向の寸法)を決定し、モルタル72の剥離深さ寸法(剥離するモルタル72のコンクリート躯体に向かった深さ寸法)を決定する。なお、モルタル72の剥離幅寸法によって、カッター18の刃口66の幅寸法が決定される。具体的には、モルタル72の剥離幅寸法が大きい場合、刃口66の幅寸法の大きなカッター18が使用され、モルタル72の剥離幅寸法が小さい場合、刃口66の幅寸法の小さなカッター18が使用される。剥離装置10では、カッター18の刃口66の幅方向の寸法(一方向と交差する方向の寸法)を調節することで、剥離するモルタル72の剥離幅寸法を自由に調節することができる。
それら寸法を決定した後、図10に示すように、モルタル72の剥離幅の外縁に沿って上下方向(一方向)へ直状に延びる2条の案内溝73を入れる(案内溝作成工程)。具体的には、コンクリートカッターを利用し、剥離幅の外縁に沿ってモルタル72を切削して案内溝73を作る。それら案内溝73の溝深さは、モルタル72の剥離深さと同一である。
案内溝73は、それら溝73の内側(それら溝73の間)に施工されているモルタル72のみを剥離し、案内溝73の外側に施工されているモルタル72の剥離を防ぐために作られる。なお、内壁80の全域においてモルタル72を剥離する場合、案内溝73の作成を省くことができる。案内溝73を作った後、案内溝73の間の箇所のモルタル72をはつり、その箇所にカッター18の刃口66が入るカッター設置穴74を穿つ(カッター設置穴作成工程)。具体的には、コアドリルを利用してカッター18の刃口66の長さ寸法および幅寸法と略同一の長さおよび幅のカッター設置穴74を作る。
案内溝73を作り、カッター設置穴74を作った後、剥離装置10を設置、固定する(装置固定工程)。剥離方法では、剥離装置10の案内部材11を固定手段を介して内壁80に固定する。固定手段の一例としては、案内溝の上方の建築物の天井81(コンクリート躯体)にアンカーホールを穿孔するとともに、案内溝の下方の建築物の床82(コンクリート躯体)にアンカーホールを穿孔した後、断面形状がコ字状の固定金具75を天井81および床82に設置し、固定金具75に形成されたボルト孔およびアンカーホールに固定ボルト76を螺着して固定金具75を天井81および床82に固定する。次に、天井81の固定金具75の内側に案内部材11の上端部77を係入させ、床82の固定金具75の内側に案内部材11の下端部78を係入させた後、案内部材11の上下端部77,78(スライドレール44を含む)および固定金具75に形成されたボルト孔に固定ボルト79を螺着して案内部材11を固定金具75に固定する。
案内部材11を固定金具75に固定すると、剥離装置10が内壁80に強固に固定され、案内部材11(剥離装置10)のモルタル72の外面から離間する方向への移動が阻止される。なお、固定手段12を図示のそれに限定するものではなく、剥離装置10を内壁80に強固に固定することができれば、他のあらゆる固定手段を採用することができる。案内部材11は、図11に示すように、モルタル72の外面から所定寸法離間するとともにモルタル72の外面と略平行して上下方向(一方向)へ延びる。さらに、図12に示すように、案内部材11が案合溝73に略平行するとともにそれら案内溝73の間に位置し、油圧ジャッキ13(シリンダ26およびピストンロッド27)がモルタル72の外面から離間しつつ案内部材11とモルタル72との間に位置する。
剥離装置10では、カッター18の刃口66を上下方向上方(一方向前方)へ移動させる剥離作業中に、案内部材11をモルタル72の外面から離間する方向へ移動させる力がカッター18から案内部材11に作用するが、固定手段によって案内部材11(剥離装置10)のモルタル72の外面から離間する方向への移動が阻止されるから、カッター18の刃口66をモルタル72に確実に食い込ませることができる。
案内部材11(剥離装置10)を内壁80に設置、固定した後、コントローラのテンキーユニットのスイッチまたはディスプレイ(マルチタッチパネル)に表示されたスイッチをONにする。コントローラのスイッチをONにすると、コントローラのハードディスクに格納された各種条件がディスプレイに表示され、それら条件の変更の有無を確認する。なお、各種条件として、第1入射回数が6回、第2入射回数が6回、第3入射回数が6回、第4入射回数が6回、第1時間が0.5秒、第2時間が0.5秒に設定されているものとする(第5〜第8入射回数はブランクである)。コントローラのスイッチをONにすると、油圧ポンプがONになるとともに、第1および第2光センサ19,20がONになる。第1および第2光センサ19,20がONになると、第1発光部68から第1レーザー光が照射され、第2発光部から第2レーザー光が照射される。
案内部材11(剥離装置10)を内壁80に設置するとともに、コントローラのスイッチをONにした状態では、図11,12に示すように、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出している。さらに、第1光センサ19の第1発光部68と第1受光部69とが第1貫通孔25を挟んで対向し、第1発光部68から照射された第1レーザー光が第1受光部69に入射して第1光センサ19が導通状態にあるとともに、第2光センサ20の第2発光部70と第2受光部71とが第1貫通孔25を挟んで対向し、第2発光部70から照射された第2レーザー光が第2受光部71に入射して第2光センサ20が導通状態にある。
コントローラの中央処理部は、コントローラのスイッチをONにしたときに、第1および第2光センサ19,20が導通状態にあるが、第1光センサ19の導通状態を第1入射回数にカウントしないとともに、第2光センサ20の導通状態を第2入射回数にカウントしない。各種条件に変更がない場合、テンキーユニットの剥離開始(前進開始)ボタンやディスプレイに表示された剥離開始(前進開始)ボタンを押す。剥離開始(前進開始)ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27を上下方向上方(一方向前方)へ次第に伸長させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる。第2接続部材15の移動によってカッター18の刃口66が上下方向上方(一方向前方)へ向かって次第に前進し、モルタル72に食い込むカッター18の刃口66が鉄筋コンクリート建築物の内壁80から所定厚さのモルタル72を剥離する(剥離工程(第1動作))。
剥離装置10では、カッター18の刃口66が上下方向上方(一方向前方)へ直進し、刃口66がモルタル72を剥がし取るように作用するから、モルタル72の切削面と刃口66とが擦れ合うことはなく、大きな切削音が発生しない。モルタル72の剥離時に発生する音圧レベルは、40〜80dBの範囲にある。音圧レベルは、騒音計を使用し、その騒音計を剥離装置10から1.2m離して測定した値である。
なお、カッター18(ピストンロッド27)を上下方向上方へ移動させる過程において、第1接続部材14やシリンダ26を上下方向下方(一方向後方)へ移動させる力がカッター18から第1接続部材14やシリンダ26に作用するが、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入しているから、第1連結シャフト29によって第1接続部材14やシリンダ26上下方向下方への移動が阻止される。
また、カッター18(ピストンロッド27)を上下方向上方へ移動させる過程において、案内部材11をモルタル72の外面から離間させる方向へ移動させる力がカッター18から案内部材11に作用するが、固定手段を介して案内部材11の上端部77が天井81(コンクリート躯体)に強固に固定され、固定手段を介して案内部材11の下端部78が床82(コンクリート躯体)に強固に固定されているから、案内部材11の固定状態を維持することができ、案内部材11がモルタル72の外面から離間する方向へ移動することはない。剥離装置10では、モルタル72の剥離動作中に、案内部材11がモルタル72の外面から離間する方向へ移動することはなく、案内部材11の固定状態が維持されるから、カッター18の刃口66をモルタル72に確実に食い込ませることができ、内壁80からモルタル72をスムースに剥がし取ることができる。
ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向上方へ次第に移動する過程において、第2光センサ20の第2発光部70と第2受光部71とが上下方向上方へ次第に移動しつつ、第2発光部70および第2受光部71が順に第1貫通孔25を通過する。第2発光部70および第2受光部71が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第2光センサ20が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向上方へ次第に移動する過程で第2光センサ20の導通状態(第1入射回数)をカウントし、第1入射回数が6回に達したときに(第2光センサ20が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、ピストンロッド27の伸長を停止させる(図13,14参照)。
なお、コントローラの中央処理部は、第2発光部70および第2受光部71がモルタル72の剥離開始位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第1入射回数が6回に達した場合、第1入射回数が6回に達した貫通孔25において第2光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第2時間を計測し、計測した第2時間が0.5秒を経過したときに、ピストンロッド27の伸長を停止させる。ピストンロッド27の伸長が停止すると、第2接続部材15の移動とカッター18の前進とが停止し、モルタル72の剥離が一旦停止する。
剥離装置10では、第2光センサ20の第1入射回数を設定することで、ピストンロッド27の伸長寸法(第2接続部材15の移動寸法)を調節することができる。たとえば、第1入射回数を3回に設定すると、第1入射回数が3回に達したときに(第2光センサ20が2個の第1貫通孔25を通過し、3個目の貫通孔25に達したときに)、ピストンロッド27の伸長が停止し、第1入射回数を10回に設定すると、第1入射回数が10回に達したときに(第2光センサ20が9個の第1貫通孔25を通過し、10個目の貫通孔25に達したときに)、ピストンロッド27の伸長が停止する。
図15は、図13から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図16は、図15の状態にある剥離装置10の正面図である。図17は、図15から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図18は、図17の状態にある剥離装置10の正面図である。図15〜図18では、上下方向(一方向)を矢印Aで示し、上下方向上方(一方向前方)を矢印A1で示す。
コントローラの中央処理部は、第2時間が経過した後(ピストンロッド27が上下方向上方(一方向前方)へ伸長した後)、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第1進退工程(第2動作))(図15,16参照)。
剥離装置10では、第2時間が経過した後、ピストンロッド27の伸長を停止させることで、第1貫通孔25の軸方向中心と第2ピニオン61(第2連結シャフト49)の軸方向の中心とが一致する。剥離装置10では、第2時間の経過後、第1貫通孔25の軸方向中心と第2ピニオン61の軸方向の中心とが一致するように、ピストンロッド27の伸長速度が設定されている。第2時間が経過する以前に第2ピニオン61を幅方向へ移動させると、第1貫通孔25の軸方向中心とピニオン61の軸方向の中心とが一致せず、ピニオン61が貫通孔25に進入することができないが、剥離装置10では、第2時間の経過後に、ピニオン61を幅方向へ移動させるから、ピニオン61を貫通孔25に確実に進入させることができる。
第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入することで、第2接続部材15の移動が不可となり、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出することで、第1接続部材14の移動が可能となる。コントローラの中央処理部は、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、シリンダ26を上下方向上方(一方向前方)へ次第に移動させる(ピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる(第1移動工程(第3動作))。
シリンダ26および第1接続部材14が上下方向上方へ次第に移動する過程において、第1光センサ19の第1発光部68と第1受光部69とが上下方向上方へ次第に移動しつつ、第1発光部68および第1受光部69が順に第1貫通孔25を通過する。第1発光部68および第1受光部69が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第1光センサ19が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、シリンダ26および第1接続部材14が上下方向上方へ次第に移動する過程で第1光センサ19の導通状態(第2入射回数)をカウントし、第2入射回数が6回に達したときに(第1光センサ19が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、シリンダ26の移動(ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入)を停止させる(図17,18参照)。
なお、コントローラの中央処理部は、第1発光部68および第1受光部69がモルタル72の剥離開始位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第2入射回数が6回に達した場合、第2入射回数が6回に達した貫通孔25において第1光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第1時間を計測し、計測した第1時間が0.5秒を経過したときに、シリンダ26の移動を停止させる。シリンダ26の移動が停止すると、第1接続部材14の移動が停止する。
剥離装置10では、第1光センサ19の第2入射回数を設定することで、シリンダ26の移動寸法(第1接続部材14の移動寸法)を調節することができる。たとえば、第2入射回数を3回に設定すると、第2入射回数が3回に達したときに(第1光センサ19が2個の第1貫通孔25を通過し、3個目の貫通孔25に達したときに)、シリンダ26の移動が停止し、第2入射回数を10回に設定すると、第2入射回数が10回に達したときに(第1光センサ19が9個の第1貫通孔25を通過し、10個目の貫通孔25に達したときに)、シリンダ26の移動が停止する。
図19は、図17から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図20は、図19の状態にある剥離装置10の正面図である。図19,20では、上下方向(一方向)を矢印Aで示し、上下方向上方(一方向前方)を矢印A1で示す。コントローラの中央処理部は、第1時間が経過した後(シリンダ26が上下方向上方(一方向前方)へ移動した後)、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第1ピニオン42が第1および第2貫通孔25,38に進入した後、コントローラの中央処理部は、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57から退出させる(シャフト第2進退工程(第4動作))(図19,20参照)。
剥離装置10では、第1時間が経過した後、シリンダ26の移動を停止させることで、第1貫通孔25の軸方向中心と第1ピニオン42(第1連結シャフト29)の軸方向の中心とが一致する。剥離装置10では、第1時間の経過後、第1貫通孔25の軸方向中心と第1ピニオン42の軸方向の中心とが一致するように、シリンダ26の移動速度(ピストンロッド27のシリンダ26への進入速度)が設定されている。第1時間が経過する以前に第1ピニオン42を幅方向へ移動させると、第1貫通孔25の軸方向中心とピニオン42の軸方向の中心とが一致せず、ピニオン42が貫通孔25に進入することができないが、剥離装置10では、第1時間の経過後に、ピニオン42を幅方向へ移動させるから、ピニオン42を貫通孔25に確実に進入させることができる。
第2ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38に進入することで、第1接続部材14の移動が不可となり、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57から退出することで、第2接続部材15の移動が可能となる。剥離装置10では、剥離工程〜シャフト第2進退工程(第1動作〜第4動作)によって1回の剥離工程が完了した後、次の剥離工程を実施する。
図21は、図19から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図22は、図21の状態にある剥離装置10の正面図である。図23は、図21から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図24は、図23の状態にある剥離装置10の正面図である。図25は、モルタル72の剥離作業が終了した状態の剥離装置10の側面図である。図21〜図25では、上下方向(一方向)を矢印Aで示し、上下方向上方(一方向前方)を矢印A1で示す。
テンキーユニットの剥離(前進)ボタンやディスプレイに表示された剥離(前進)ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27を上下方向上方(一方向前方)へ次第に伸長させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる。第2接続部材15の移動によってカッター18の刃口66が上下方向上方(一方向前方)へ向かって次第に前進し、モルタル72に食い込むカッター18の刃口66が鉄筋コンクリート建築物の内壁80から所定厚さのモルタル72を剥離する(剥離工程(第1動作))。
ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向上方へ次第に移動する過程において、第2光センサ20の第2発光部70と第2受光部71とが上下方向上方へ次第に移動しつつ、第2発光部70および第2受光部71が順に第1貫通孔25を通過する。第2発光部70および第2受光部71が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第2光センサ20が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向上方へ次第に移動する過程で第2光センサ20の導通状態(第1入射回数)をカウントし、第1入射回数が6回に達したときに(第2光センサ20が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、ピストンロッド27の伸長を停止させる(図21,22参照)。
コントローラの中央処理部は、第2発光部70および第2受光部71がモルタル72の第1回の剥離完了位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第1入射回数が6回に達した場合、第1入射回数が6回に達した貫通孔25において第2光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第2時間を計測し、計測した第2時間が0.5秒を経過したときに、ピストンロッド27の伸長を停止させる。ピストンロッド27の伸長が停止すると、第2接続部材15の移動とカッター18の前進とが停止し、モルタル72の剥離が一旦停止する。
コントローラの中央処理部は、第2時間が経過した後(ピストンロッド27が上下方向上方(一方向前方)へ伸長した後)、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第1進退工程(第2動作))。
第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入することで、第2接続部材15の移動が不可となり、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出することで、第1接続部材14の移動が可能となる。コントローラの中央処理部は、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、シリンダ26を上下方向上方(一方向前方)へ次第に移動させる(ピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる(第1移動工程(第3動作))。
シリンダ26および第1接続部材14が上下方向上方へ次第に移動する過程において、第1光センサ19の第1発光部68と第1受光部69とが上下方向上方へ次第に移動しつつ、第1発光部68および第1受光部69が順に第1貫通孔25を通過する。第1発光部68および第1受光部69が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第1光センサ19が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、シリンダ26および第1接続部材14が上下方向上方へ次第に移動する過程で第1光センサ19の導通状態(第2入射回数)をカウントし、第2入射回数が6回に達したときに(第1光センサ19が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、シリンダ26の移動(ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入)を停止させる。
コントローラの中央処理部は、第1発光部68および第1受光部69がモルタル72の初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第2入射回数が6回に達した場合、第2入射回数が6回に達した貫通孔25において第1光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第1時間を計測し、計測した第1時間が0.5秒を経過したときに、シリンダ26の移動を停止させる。
コントローラの中央処理部は、第1時間が経過した後(シリンダ26が上下方向上方(一方向前方)へ移動した後)、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第1ピニオン42が第1および第2貫通孔25,38に進入した後、コントローラの中央処理部は、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57から退出させる(シャフト第2進退工程(第4動作))(図23,24参照)。
テンキーユニットの剥離(前進)ボタンやディスプレイに表示された剥離(前進)ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27を上下方向上方(一方向前方)へ次第に伸長させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる。第2接続部材15の移動によってカッター18の刃口66が上下方向上方(一方向前方)へ向かって次第に前進し、カッター18の刃口66が鉄筋コンクリート建築物の内壁80から所定厚さのモルタル72を剥離する(剥離工程(第1動作))。図25に示すように、剥離開始位置から剥離終了位置までの全てのモルタル72を剥離して剥離作業が終了する。
剥離装置10は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、ピストンロッド27が上下方向上方(一方向前方)へ次第に伸長するとともに、第2接続部材15が案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動し、それによってカッター18が上下方向上方へ向かって次第に前進しつつカッター18の刃口66が内壁80から所定厚さのモルタル72を剥がし取る(剥離する)から、モルタル72の切削面とカッター18の刃口66とが擦れ合うことによる大きな切削音の発生がなく、剥離作業時に発生する音を許容可能な静かな音にすることができる。
剥離装置10は、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、シリンダ26が上下方向上方(一方向前方)へ次第に移動するとともに、第1接続部材14が案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動するから、油圧ジャッキ13を剥離動作の初動時点の状態に戻すことができ、その状態から再び剥離動作を開始することができる。
剥離装置10は、油圧ジャッキ13のピストンロッド26からカッター18の刃口66に直線的に力(トルク)が伝達され、カッター18の直進力をモルタル72の剥離箇所に集中させることができ、それによってモルタル72に大きな剥離力が作用するから、強固に施工されたモルタル72であってもそのモルタル72を円滑かつ確実に剥離することができる。剥離装置10は、油圧ジャッキ13を利用することで、建築物(構造物)の内壁80からモルタル72をスムースに剥離することができるから、短い工期で効率よくモルタル72の剥離作業を完了することができるのみならず、内壁80から一度に広い範囲にわたってモルタル72の剥離を行うことができ、剥離作業を低いコストで行うことができる。剥離装置10は、モルタル72の剥離時に建築物に不要な振動が伝わることがないから、建築物にダメージを与えることなく、建築物の状態を維持したままモルタル72を剥離することができる。また、建築物からモルタル72を高い精度で短期間に満遍なく剥離することができ、剥離作業において粉塵や塵埃の発生が少なく、良好な環境で剥離作業を行うことができる。
図26は、図25から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図27は、図26から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図である。図28は、図27から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図であり、図29は、図28から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図である。図30は、図29から続く剥離方法を示す剥離装置10の側面図である。図26〜図30では、上下方向(一方向)を矢印Aで示し、上下方向下方(一方向後方)を矢印A2で示す。
図25に示すように、剥離開始位置から剥離終了位置までの全てのモルタル72を剥離して剥離作業が終了した後、テンキーユニットの後退開始ボタンやディスプレイに表示された後退開始ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向下方(一方向後方)へ次第に移動させ、カッター18の刃口66を上下方向下方へ向かって次第に移動させる(第2移動工程(第5動作))。
ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向下へ次第に移動する過程において、第2光センサ20の第2発光部70と第2受光部71とが上下方向下方へ次第に移動しつつ、第2発光部70および第2受光部71が順に第1貫通孔25を通過する。第2発光部70および第2受光部71が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第2光センサ20が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、ピストンロッド27および第2接続部材15が上下方向下方へ次第に移動する過程で第2光センサ20の導通状態(第3入射回数)をカウントし、第3入射回数が6回に達したときに(第2光センサ20が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入を停止させる(図26参照)。
コントローラの中央処理部は、第2発光部70および第2受光部71が図25に示すモルタル72の剥離終了位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第3入射回数が6回に達した場合、第3入射回数が6回に達した貫通孔25において第2光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第2時間を計測し、計測した第2時間が0.5秒を経過したときに、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入を停止させる。ピストンロッド27が停止すると、第2接続部材15およびカッター18の上下方向下方への移動が停止する。
剥離装置10では、第2光センサ20の第3入射回数を設定することで、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入寸法(第2接続部材15の上下方向下方(一方向後方)への移動寸法)を調節することができる。たとえば、第3入射回数を3回に設定すると、第3入射回数が3回に達したときに(第2光センサ20が2個の第1貫通孔25を通過し、3個目の貫通孔25に達したときに)、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入が停止し、第3入射回数を10回に設定すると、第3入射回数が10回に達したときに(第2光センサ20が9個の第1貫通孔25を通過し、10個目の貫通孔25に達したときに)、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入が停止する。
コントローラの中央処理部は、第2時間が経過した後(ピストンロッド27が上下方向下方(一方向後方)へ伸長した後)、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第3進退工程(第6動作))(図27参照)。
剥離装置10では、第2時間が経過した後、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入を停止させることで、第1貫通孔25の軸方向中心と第2ピニオン61(第2連結シャフト49)の軸方向の中心とが一致する。剥離装置10では、第2時間の経過後、第1貫通孔25の軸方向中心と第2ピニオン61の軸方向の中心とが一致するように、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入速度が設定されている。第2時間が経過する以前に第2ピニオン61を幅方向へ移動させると、第1貫通孔25の軸方向中心とピニオン61の軸方向の中心とが一致せず、ピニオン61が貫通孔25に進入することができないが、剥離装置10では、第2時間の経過後に、ピニオン61を幅方向へ移動させるから、ピニオン61を貫通孔25に確実に進入させることができる。
第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入することで、第2接続部材15の移動が不可となり、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出することで、第1接続部材14の移動が可能となる。テンキーユニットの後退開始ボタンやディスプレイに表示された後退開始ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、シリンダ26を上下方向下方(一方向後方)へ次第に移動させる(ピストンロッド27をシリンダ26の内部から次第に進出させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って上下方向下方へ次第に移動させる(第3移動工程(第7動作))。
シリンダ26および第1接続部材14が上下方向下方へ次第に移動する過程において、第1光センサ19の第1発光部68と第1受光部69とが上下方向下方へ次第に移動しつつ、第1発光部68および第1受光部69が順に第1貫通孔25を通過する。第1発光部68および第1受光部69が第1貫通孔25を挟んで対向すると、その都度第1光センサ19が導通状態(ON状態)となる。コントローラの中央処理部は、シリンダ26および第1接続部材14が上下方向下方へ次第に移動する過程で第1光センサ19の導通状態(第4入射回数)をカウントし、第4入射回数が6回に達したときに(第1光センサ19が5個の第1貫通孔25を通過し、6個目の貫通孔25に達したときに)、電動油圧ポンプの稼働を停止させ、シリンダ26の移動(ピストンロッド27のシリンダ26内部からの進出)を停止させる(図28参照)。
なお、コントローラの中央処理部は、第1発光部68および第1受光部69がモルタル72の初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて7個目の貫通孔25において対向し、第4入射回数が6回に達した場合、第4入射回数が6回に達した貫通孔25において第1光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第1時間を計測し、計測した第1時間が0.5秒を経過したときに、シリンダ26の移動を停止させる。シリンダ26の移動が停止すると、第1接続部材14の移動が停止する。
剥離装置10では、第1光センサ19の第4入射回数を設定することで、シリンダ26の移動寸法(第1接続部材14の移動寸法)を調節することができる。たとえば、第4入射回数を3回に設定すると、第4入射回数が3回に達したときに(第1光センサ19が2個の第1貫通孔25を通過し、3個目の貫通孔25に達したときに)、シリンダ26の移動が停止し、第4入射回数を10回に設定すると、第4入射回数が10回に達したときに(第1光センサ19が9個の第1貫通孔25を通過し、10個目の貫通孔25に達したときに)、シリンダ26の移動が停止する。
コントローラの中央処理部は、第1時間が経過した後(シリンダ26が上下方向下方(一方向後方)へ移動した後)、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第4進退工程(第8動作))(図29参照)。
剥離装置10では、第2移動工程〜シャフト第4進退工程(第5動作〜第8動作)を複数回実施することで、油圧ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15とがモルタル72の剥離開始位置に戻る。油圧ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15とがモルタル72の剥離開始位置に戻った後、案内部材11の上下端部77,78(スライドレール44を含む)に形成されたボルト孔および固定金具75に形成されたボルト孔から固定ボルト79を抜き取り、剥離装置10を固定金具75から取り外す(装置固定解除工程)。
剥離装置10を固定金具75から取り外した後、装置10を内壁80のモルタル72の他の剥離箇所に固定手段12を介して設置、固定し、図10〜図30に示す案内溝作成工程、カッター設置穴作成工程、装置固定工程、剥離工程(第1動作)、シャフト第1進退工程(第2動作)、第1移動工程(第3動作)、シャフト第2進退工程(第4動作)、第2移動工程(第5動作)、シャフト第3進退工程(第6動作)、第3移動工程(第7動作)、シャフト第4進退工程(第8動作)、装置固定解除工程の各工程を実施することで、その剥離箇所のモルタル72を内壁80から剥離する。
剥離装置10は、案内部材11に沿って一方向前方へ移動した油圧ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15を第2移動工程〜シャフト第4進退工程(第5動作〜第8動作)によって上下方向下方(一方向後方)へ戻すことができるから、油圧ジャッキ13や第1および第2接続部材14,15を剥離開始位置に戻すことができ、ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15とを剥離開始位置に戻した状態で、案内部材11の固定を解除して剥離装置10を取り外し、取り外した剥離装置10を建築物の内壁80の他の剥離箇所に設置して再び剥離工程〜シャフト第2進退工程(第1動作〜第4動作)を実施することで、その箇所のモルタル72の剥離を行うことができる。
次に、各種条件として、第5入射回数が60回、第6入射回数が60回、第7入射回数が60回、第8入射回数が60回、第1時間が0.5秒、第2時間が0.5秒に設定された場合(第1〜第4入射回数はブランクである)を説明すると、以下のとおりである。なお、ピストンロッド27の最大伸長寸法に相当する入射回数を10回とする。モルタル72の剥離幅の外縁に沿って上下方向(一方向)へ直状に延びる2条の案内溝73を入れ(案内溝作成工程)(図10援用)、カッター18の刃口66が入るカッター設置穴74を穿つとともに(カッター設置穴作成工程)、剥離装置10を設置、固定する(装置固定工程)。
剥離開始(前進開始)ボタンを押すと、コントローラの中央処理部は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27を上下方向上方へ次第に伸長させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる。第2接続部材15の移動によってカッター18の刃口66が上下方向上方へ向かって次第に前進し、刃口66が内壁80から所定厚さのモルタル72を剥離する(剥離工程(第1動作))。モルタル72の剥離時に発生する音圧レベルは、40〜80dBの範囲にある。
コントローラの中央処理部は、第2発光部70および第2受光部71がモルタル72の剥離開始位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25において対向し、第5入射回数が10回に達した場合、第5入射回数が10回に達した貫通孔25において第2光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第2時間を計測し、計測した第2時間が0.5秒を経過したときに、ピストンロッド27の伸長を停止させる。
コントローラの中央処理部は、第2時間が経過した後、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第1進退工程(第2動作))(図15,16援用)。
コントローラの中央処理部は、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、シリンダ26を上下方向上方(一方向前方)へ次第に移動させる(ピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って上下方向上方へ次第に移動させる(第1移動工程(第3動作))。
コントローラの中央処理部は、第1発光部68および第1受光部69がモルタル72の剥離開始位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25において対向し、第6入射回数が10回に達した場合、第6入射回数が10回に達した貫通孔25において第1光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第1時間を計測し、計測した第1時間が0.5秒を経過したときに、シリンダ26の移動を停止させる(図17,18援用)。
コントローラの中央処理部は、第1時間が経過した後、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25)に進入させる。第1ピニオン42が第1および第2貫通孔25,38に進入した後、コントローラの中央処理部は、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57から退出させる(シャフト第2進退工程(第4動作))(図19,20援用)。
コントローラの中央処理部は、第1回の剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)が完了した後、再び剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)を実施する。第1回〜第6回の剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)を行うことで、第5入射回数および第6入射回数が60回に達する。コントローラの中央処理部は、第5入射回数および第6入射回数が60回に達した場合、剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)を終了する。
第5および第6入射回数を設定した剥離装置10は、第1〜第4入射回数を設定した装置10が有する効果に加え、以下の効果を有する。剥離装置10は、第5および第6入射回数を設定することで、モルタル72の剥離開始位置から剥離終了位置までの一方向の全剥離寸法に相当する第1および第2接続部材14,15の一方向前方への移動寸法を設定することができる。剥離装置10では、剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)が連続して繰り返し実施され、モルタル72の剥離が連続して行われることで、剥離開始位置から剥離終了位置までの一方向の全てのモルタル72を一度に剥離することができる。
コントローラの中央処理部は、第5入射回数および第6入射回数が設定回数に達した場合、剥離工程(第1動作)〜シャフト第2進退工程(第4動作)を停止し、直ちに第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)を実施する。コントローラの中央処理部は、第1連結シャフト29が第1および第2貫通孔25,38に進入するとともに、第2連結シャフト49が第1および第3貫通孔25,57から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、ピストンロッド27をシリンダ26の内部に次第に進入させるとともに、第2接続部材15を案内部材11に沿って上下方向下方(一方向後方)へ次第に移動させ、カッター18の刃口66を上下方向下方へ向かって次第に移動させる(第2移動工程(第5動作))(図25援用)。
コントローラの中央処理部は、第2発光部70および第2受光部71がモルタル72の剥離終了位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25において対向し、第7入射回数が10回に達した場合、第7入射回数が10回に達した貫通孔25において第2光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第2時間を計測し、計測した第2時間が0.5秒を経過したときに、ピストンロッド27のシリンダ26内部への進入を停止させる。
コントローラの中央処理部は、第2時間が経過した後、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第3進退工程(第6動作))(図27援用)。
コントローラの中央処理部は、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)が第1および第3貫通孔25,57に進入するとともに、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)が第1および第2貫通孔25,38から退出した状態で、電動油圧ポンプを稼働させ、シリンダ26を上下方向下方(一方向後方)へ次第に移動させる(ピストンロッド27をシリンダ26の内部から次第に進出させる)とともに、第1接続部材14を案内部材11に沿って上下方向下方へ次第に移動させる(第3移動工程(第7動作))。
コントローラの中央処理部は、第1発光部68および第1受光部69がモルタル72の初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて11個目の貫通孔25において対向し、第8入射回数が10回に達した場合、第8入射回数が10回に達した貫通孔25において第1光センサ20が導通状態(ON状態)になってからの第1時間を計測し、計測した第1時間が0.5秒を経過したときに、シリンダ26の移動を停止させる。
コントローラの中央処理部は、第1時間が経過した後、第2進退機構53の第2モーター59を稼働させて第2歯車60を回転させ、第2ピニオン61(第2連結シャフト49)を幅方向へ移動させ、ピニオン61(連結シャフト49)を第1および第3貫通孔25,57(初期剥離位置の第1貫通孔25から数えて6個目の貫通孔25)に進入させる。第2ピニオン61が第1および第3貫通孔25,57に進入した後、コントローラの中央処理部は、第1進退機構33の第1モーター40を稼働させて第1歯車41を回転させ、第1ピニオン42(第1連結シャフト29)を幅方向へ移動させ、ピニオン42(連結シャフト29)を第1および第2貫通孔25,38から退出させる(シャフト第4進退工程(第8動作))(図29援用)。
コントローラの中央処理部は、第1回の第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)が完了した後、再び第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)を実施する。第1回〜第6回の第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)を行うことで、第7入射回数および第8入射回数が60回に達する。コントローラの中央処理部は、第7入射回数および第8入射回数が60回に達した場合、第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)を終了する。第2移動工程(第5動作)〜シャフト第4進退工程(第8動作)が終了した時点で、油圧ジャッキ13や第1および第2接続部材14,15がモルタル72の剥離開始位置に戻る。
油圧ジャッキ13と第1および第2接続部材14,15とがモルタル72の剥離開始位置に戻った後、案内部材11の上下端部77,78(スライドレール44を含む)に形成されたボルト孔および固定金具75に形成されたボルト孔から固定ボルト79を抜き取り、剥離装置10を固定金具75から取り外す(装置固定解除工程)。剥離装置10を固定金具75から取り外した後、装置10を内壁80のモルタル72の他の剥離箇所に固定手段12を介して設置、固定し、案内溝作成工程、カッター設置穴作成工程、装置固定工程、剥離工程(第1動作)、シャフト第1進退工程(第2動作)、第1移動工程(第3動作)、シャフト第2進退工程(第4動作)、第2移動工程(第5動作)、シャフト第3進退工程(第6動作)、第3移動工程(第7動作)、シャフト第4進退工程(第8動作)、装置固定解除工程の各工程を実施することで、その剥離箇所のモルタル72を内壁80から剥離する。
第7および第8入射回数を設定した剥離装置10は、第1〜第4入射回数を設定した装置10が有する効果に加え、以下の効果を有する。剥離装置10は、第7および第8入射回数を設定することで、モルタル72の剥離終了位置から剥離開始位置までの一方向の全剥離寸法に相当する第1および第2接続部材14,15の一方向後方への移動寸法を設定することができるから、装置10において第5動作〜第8動作が連続して繰り返し実施され、剥離終了位置に達した第1および第2接続部材14,15を剥離終了位置から剥離開始位置に一度に戻すことができる。