JP5647041B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と、手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸込具として第2の吸込具6および第1の吸込具7とを備えて構成されている。このうち、本実施形態では、延長管5が外管10と内管20とから構成され、外管10をなす外管本体11(図2(b)参照)と、内管20をなす内管本体21(図2(b)参照)とが、炭素繊維を含有する(含む)熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂)で成形されている。
なお、以下の説明で各部の方向をいうときには、第1の吸込具7から掃除機本体2への図示しない通風路に沿って、掃除機本体2に近い側を一端(一端側)とし、これとは反対となる側を他端(他端側)として説明する。
延長管5は、図2(a)(b)に示すように、伸縮自在であり、外管10と内管20との間は、弾性および導電性を有するシール部材15d,15e(図3,図4(a)参照)で気密状態にシールされている。なお、延長管5についての詳細は、後記する。
本実施形態では、この第1の吸込具7の電動機に給電する電力を、掃除機本体2からホース部3、操作管4、延長管5、第2の吸込具6を通じて供給するように構成している。延長管5に設けられた給電手段等の構成の詳細については後記する。
また、延長管5は、第1の吸込具7に給電を行うための給電手段(後記する外管10のフラットケーブルC等(図9(b)参照))を内部に有している。
なお、延長管5と第1の吸込具7との間に第2の吸込具6が介在されている場合には、掃除機本体2から供給される電力は、延長管5から第2の吸込具6に備わる図示しない導電部材を通じて第1の吸込具7に供給される。延長管5と第1の吸込具7とが直接的に電気的に接続可能な場合は、第2の吸込具6の導電部材は不要である。
外管本体11は、後記する射出成形またはブロー成形によって一体的に形成されており、内側には内管20(図5参照)を摺動可能に収容しつつ内管20に連通する通風路T1が形成されている。
外管本体11は、胴部11aと、この胴部11aよりも小径とされた一端部11bと、胴部11aよりも大径とされた他端部11cとを有している。
なお、薄肉部は、胴部11aの側部11a1に形成することに限られず、例えば、胴部11aの他の部分を薄肉として形成してもよく、また、一端部11bや他端部11cを部分的に薄肉として形成してもよい。
一端部11bの上部外周面には、図3に示すように、凹部11b1が形成されている。この凹部11b1には、操作管4に設けられた図示しない接続用フックが係合するようになっている。
また、一端部11bの上方には、図2(a)(b)に示すように、通電端子17,17(図では一方のみ図示)が配置されている。この通電端子17,17には、操作管4の開口部に設けられた図示しない端子が接続される。これにより、操作管4から延長管5の外管10に電力が供給される。
環状の枠部15aは、図4(a)に示すように、装着部151と、保持部152とを備えている。装着部151は、外管本体11の他端部11cの開口11c2の内面に対応する外形状を有しており、開口11c2の内面に固定されるようになっている。
装着部151の内面には、内管20の摺動を円滑に行うための案内リブ151aが形成されている。
また、装着部151の上端部には、内管20の後記するスライド部25およびスライドカバー28(図5,図7(a)(b)参照)が挿通される挿通部151bが形成されている。
係合突部153aの内側には、図7(b)に示すように、ばね支持部153cが形成されており、このばね支持部153cに、図示しない渦巻きばねが外管10(外管本体)の内面との間に縮設されるようになっている。
ここで、シール支持部15cおよびシール部材15d,15eは、いずれも導電性を有しているので、これらのシール支持部15cおよびシール部材15d,15eを介して外管10の外管本体11と内管20の内管本体21とが電気的に導通する状態に接続されている。
また、掃除機本体2側に通じる図示しない導電性を有する信号線等を設け、この信号線等に静電気を放電させるようにして除電するように構成してもよい。
下カバー12の凹部内における長手方向略中央部には、給電手段を構成するフラットケーブルCの他端部C1が取り付けられている。
フラットケーブルCは、可撓性を有しており、その一端部C2は、凹部に沿って一端側へ延ばされた後、他端側へU字状に折り返されるようにして配置されている。
すなわち、通電端子17は、絶縁性の下カバー12を介して外管本体11に支持され、外管本体11と電気的に導通することのない状態に配置されている。
本実施形態では、超音波溶着による固着手法によって上カバー13が外管本体11に固着されている。なお、上カバー13の固着は、その他の溶着や接着材等を用いて行ってもよいし、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
なお、外管本体11に対する下カバー12の固定は、外管本体11に上カバー13を固着することによる上カバー13の押え付けによって行ってもよいし、下カバー12を外管本体11に直接固定するようにしてもよい。下カバー12の固定は、超音波溶着によって行ってもよいし、また、その他の溶着や接着材等を用いて、あるいは、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
内管本体21は、射出成形またはブロー成形によって一体的に形成されており、内側には外管10の通風路T1(図3参照)に連通する通風路T2が形成されている。
内管本体21は、胴部21aと、この胴部21aよりも大径とされた他端部21cとを有している。
胴部21aの上面には、ベース部材22に設けられたスライド部25を支持するための支柱21a1が設けられている。胴部21aの一端部21a2には、円筒状の摺動部材26が装着される。この摺動部材26は、胴部21aの一端部21a2に装着されることで、外管10と内管20との間の円滑な摺動に寄与する。
他端部21cには、第2の吸込具6や第1の吸込具7が取り付け可能であり、他端部21cの上部21c1には、ベース部材22が載置されて取り付けられるようになっている。
ベース部材22の上面には、揺動支持部22aおよび通電端子支持部22bが形成されている。
また、ベース部材22の一端部には、内管本体21の胴部21aに沿うようにして一端部へ向けて延設された細長板状のスライド部25が一体的に設けられている。
このような操作ボタン24は、図示しないばね部材によりフック部24aが他端部21cの内空に突出する状態に付勢されている。これにより、他端部21cの内空から第2の吸込具6や第1の吸込具7の取付部を挿入すると、フック部24aが第2の吸込具6や第1の吸込具7の図示しない係止部に係止され、延長管5の内管20に第2の吸込具6や第1の吸込具7が固定されるようになっている。なお、取り外す際には、操作ボタン24のボタン部24bを押圧操作してフック部24aの係止を解除する。
本実施形態では、超音波溶着による固着手法によってカバー部材23が内管本体21の他端部21cに固着されている。なお、カバー部材23の固着は、その他の溶着や接着材等を用いて行ってもよいし、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
また、内管本体21に対するベース部材22の固定は、内管本体21にカバー部材23を固定することによるカバー部材23の押え付けによって行ってもよいし、ベース部材22を内管本体21に直接固定するようにしてもよい。ベース部材22の固定は、超音波溶着によって行ってもよいし、また、その他の溶着や接着材等を用いて、あるいは、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
また、カバー部材23の上面には、操作ボタン24のボタン部24bが挿通配置される開口部23aが形成されている。
このようなスライド部25およびスライドカバー28は、一体となって、図8(a)に示すように、外管10の他端部11cに固定された支持部材15の挿通部151bを通じて、外管本体11とは絶縁された下カバー12と上カバー13との間に挿入される。
そして、前記したように、スライド部25上に配置された図示しない導電線を介して、フラットケーブルCの一端部C2(図9(b)参照)と通電端子27(図5参照)との間が電気的に接続される。これにより、外管10の一端部に設けられた通電端子17,17(図3参照)と通電端子27(図5参照)との間が外管本体11および内管本体21から絶縁された状態で電気的に接続されることとなる。
(1)延長管5の外管本体11および内管本体21が炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で構成されているので、延長管5全体として軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。操作管4の全部または一部(例えば、グリップを除いた円筒状の部分)を炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で成形して、操作管4の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。さらに、掃除機本体2の一部(例えば、下ケース)を炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で成形して、掃除機本体2の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。
(2)延長管5に配置された導電部材である通電端子17,17および通電端子27,27は、絶縁性の樹脂である下カバー12上やベース部材22上において延長管5の外管本体11および内管本体21と絶縁して配置されているので、延長管5と通電端子17,17とが電気的に導通することがなく、また、延長管5と通電端子27とが電気的に導通することもない。
したがって、延長管5の外管本体11および内管本体21が導電性を有する材料で形成されている構造を有しながら、導電部材との好適な絶縁性を確保することができる。
(3)通電端子17,17を外管本体11から絶縁する下カバー12、および通電端子27を内管本体21から絶縁するベース部材22は、設置される部分である外管本体11、内管本体21の外周面の全周に満たない範囲に被着されているので、これらが外周面の全周に被着され構成のものに比べて、被着面積を小さくすることができ、その分、軽量、小型化を図ることができる。
(4)通電端子17,17に接続される給電手段としての導電線W1、および導電線W1に接続されるフラットケーブルCは、絶縁性の樹脂である下カバー12上にそれぞれ配設されているので、導電性の部材である外管本体11との好適な絶縁性を確保することができ、第1の吸込具7に対する好適な給電を実現することができる。
(5)フラットケーブルCは、下カバー12と上カバー13との間において、外管本体11から絶縁された空間内に配設されているので、良好な絶縁性を維持することができる。したがって、長期間の使用により、仮に、フラットケーブルCの被覆が剥がれるような事態が生じたとしても、フラットケーブルCが人の手に触れたり外管本体11に直接接触したりすることが確実に阻止される。
(6)超音波溶着による固着手法により、上カバー13が外管本体11に固着され、また、カバー部材23が内管本体21に固着されているので、上カバー13やカバー部材23の固定が簡単であり、高強度の固着を実現することができる。また、溶着箇所の仕上がりが良好となり、製品価値も高まる。
(7)外管本体11と内管本体21との間が、弾性および導電性を有するシール部材15d,15eでシールされているので、外管本体11と内管本体21とを導電性を有する一つの部材として、これらに帯電する静電気を例えば外管本体11に設けた一つの除電手段によって好適に除電することができる。これにより、生産性の向上やコストの低減を図ることができる。
なお、外管本体11と内管本体21とをアルミニウム合金等の金属材料で形成した場合にも、これらの間をシール部材15d,15eでシールすることにより、これらに帯電する静電気を例えば外管本体11に設けた一つの除電手段によって好適に除電することができる。
(8)掃除機本体2側に通じる図示しない信号線等を設けて、この信号線等に延長管5の静電気を放電させるように構成したものにおいては、既存の信号線等を利用して静電気を好適に除電することができ、コストの低減を図ることができる。
また、第1の吸込具7や第2の吸込具6を導電性を有する材料、例えば、炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で成形して、清掃面に接触する部分から延長管5に接触する部分に至る部分が導電性を有するように構成してもよい。この場合には、第1の吸込具7や第2の吸込具6を通じて清掃面となる電気を好適に放電することができる。
なお、操作管4の全部または一部(例えば、グリップを除いた円筒状の部分)を炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂で成形して、延長管5の外管10から操作管4、さらには清掃時にこの操作管4を握る人を介して、延長管5に帯電した静電気を床面等に放電するようにしてもよい。
(9)延長管5の外管本体11および内管本体21を射出成形により成形した場合には、延長管5を金属製の部材で形成した場合に比べて、形成が簡単であり、複雑な形状等も一体的に形成することができて、生産性に優れる。
また、射出成形によって、外管本体11および内管本体21の内面を平滑化することができるので、塵埃の衝突により発生する静電気を抑制することができる。
次に、電気掃除機1に備えられる延長管5を構成する、外管本体11および内管本体21を成形する材料について説明する。前記のように、延長管5を構成する外管本体11と内管本体21とが、炭素繊維を所定の割合で含有する熱可塑性樹脂(以下、適宜「炭素繊維含有樹脂」という。)からなる。以下、この炭素繊維含有樹脂について説明する。
炭素繊維含有樹脂に含まれる炭素繊維は、繊維状の例えばポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ピッチ等を高温で炭化することにより得られるものであり(短繊維)、通常はその90%以上が炭素によって構成される。このような炭素繊維の具体的な種類は特に限定されず、後記する炭素繊維の物性に応じて任意の条件で製造してもよく、また、市販品を用いてもよい。炭素繊維を製造する場合、その製造条件、原料等は特に制限されず、公知の任意の製造条件および原料を適用して製造すればよい。また、炭素繊維は必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
延長管5は、前記の炭素繊維を含む熱可塑性樹脂により構成される。前記の炭素繊維の説明においては、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを具体例に挙げたが、延長管5に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンに何ら限定されるものではない。すなわち、延長管5を成形する熱可塑性樹脂としては、公知の任意の熱可塑性樹脂(例えば前記のようにABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂等)を用いることができ、その物性も、延長管としての機能を備えることができる限り任意である。ただし、延長管5を成形する熱可塑性樹脂としては、軽量および安価であり、製造および取扱いが容易であるという観点から、前記具体例で挙げたように、ポリプロピレンを用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂は必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
炭素繊維含有樹脂を用いて射出成形を行う場合、その具体的な方法に特に制限は無い。以下、射出成形の方法を具体的に説明するが、射出成形の方法は以下の内容に限定されない。例えば、図11に示すように、筒形状の外形(つまり円柱形状の外観)を成形可能な金型(上型100および下型101)と、円筒形状の内径を成形可能な中子102と、を組み合わせて一体のものとする。そして、これらを組み合わせた際に生じる隙間に、中子102と一体となって形成されているフランジ102aを貫通する貫通孔102bを通じて、加熱された溶融した炭素繊維含有樹脂を射出する(つまり押し出す)。その後冷却、ならびに金型100,101および中子102を取り外して必要に応じてバリを切断することで、内管本体21を成形することができる。
炭素繊維含有樹脂を用いてブロー成形を行う場合、その具体的な方法に特に制限は無い。以下、図12を参照しながら、ブロー成形の方法を具体的に説明するが、ブロー成形の方法は以下の内容に限定されない。
2 掃除機本体
2b 電動送風機
5 延長管
6 第2の吸込具(吸込具)
7 第1の吸込具(吸込具)
10 外管
11 外管本体
12 下カバー(絶縁性の樹脂部材)
17 通電端子(導電部材)
13 上カバー(カバー部材)
15 支持部材
15d,15e シール部材
17,27 通電端子
20 内管
21 内管本体
22 ベース部材(絶縁性の樹脂部材)
23 カバー部材
C フラットケーブル(給電手段)
T1 通風路
T2 通風路
W1 導電線(給電手段)
Claims (2)
- 吸込具と、掃除機本体に内蔵される電動送風機と、前記吸込具および前記電動送風機の間に形成されている通風路とを備え、前記通風路の少なくとも一部が筒状の延長管により形成されている電気掃除機において、
炭素繊維および熱可塑性樹脂を含む炭素繊維含有樹脂を射出成形またはブロー成形にて外径と内径との差が0.9mm以上2mmより小さくなるように成形された前記延長管を構成する延長管本体を備え、
前記炭素繊維含有樹脂に含まれる炭素繊維の量を、前記炭素繊維含有樹脂中、5質量%以上15質量%以下としたことを特徴とする、電気掃除機。 - 前記延長管本体は、外管本体と、該外管本体に伸縮自在かつ摺動可能に収容された内管本体と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気掃除機。
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