以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を適宜図面を参照しながら説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
[1.電気掃除機の全体構造]
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と、手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸込具として第2の吸込具6および第1の吸込具7とを備えて構成されている。このうち、本実施形態では、延長管5が外管10と内管20とから構成され、外管10をなす外管本体11(図2(b)参照)と、内管20をなす内管本体21(図2(b)参照)とが、ナノセルロースファイバーを含有する(含む)熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂)で成形されている。
また、第1の吸込具7は、図12に示すように、パワーブラシを構成する回転清掃体30を備えており、回転清掃体330の構成部品であるコア331(図16参照)が、ナノセルロースファイバーを含有する(含む)熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂、ナイロン)で形成されている。
掃除機本体2の外殻は、上ケースと下ケースとによって覆われている。上ケースは上下方向の略中央より上側に位置し、下ケースは上下方向の略中央より下側に位置する。掃除機本体2の内部には、吸引力を発生させる電動送風機2bや、この電動送風機2bの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部等が内蔵されており、操作管4の手元操作スイッチSWを操作すること等によって電動送風機2bの運転の強弱切り替えや、第1の吸込具7に設けられた図示しないパワーブラシの入り切り等が行えるようになっている。集塵部は、掃除機本体2の前側(接続口2aが形成される側)に位置する。上ケースの前側に、開閉可能な蓋が形成される。よって、蓋は集塵部の上部を開閉可能に塞ぐ。操作管4は、延長管5に接続される一端からホース部3に接続される他端にかけては円筒状に形成され、さらに、円筒状の部分に対して延長管5に接続される一端側から分岐して延びたグリップが形成される。手元操作スイッチSWは、グリップに形成される。また、グリップ内には、手元操作スイッチSWのための電装部品が配置される。
なお、以下の説明で各部の方向をいうときには、第1の吸込具7から掃除機本体2への図示しない通風路に沿って、掃除機本体2に近い側を一端(一端側)とし、これとは反対となる側を他端(他端側)として説明する。
ホース部3の一端は、掃除機本体2の集塵部と連通するように掃除機本体2の接続口2aに接続されている。また、ホース部3の他端は、操作管4の一端に接続されている。操作管4には、前記した手元操作スイッチSWのほか、延長管5が接続される図示しない開口部には、掃除機本体2から給電される図示しない給電端子が設けられている。この給電端子には、延長管5の外管10の一端に設けられた導電部材としての通電端子17(図2(a)参照)が接続される。
延長管5は、前記したように、外管10と内管20とを備え、図2(b)に示すように、外管10の他端部11cに内管20の一端部が挿入されて外管10と内管20との通風路T1,T2が連通するように連結されている。
延長管5は、図2(a)(b)に示すように、伸縮自在であり、外管10と内管20との間は、弾性および導電性を有するシール部材15d,15e(図3,図4(a)参照)で気密状態にシールされている。なお、延長管5についての詳細は、後記する。
第2の吸込具6は、図1に示すように、延長管5の内管20の他端20aに着脱可能に接続された吸込具であり、その他端6aには第1の吸込具7が着脱可能に接続される。第2の吸込具6は、その他端6aから第1の吸込具7を取り外すことにより、単独で塵埃を吸い込む吸込具として機能させることができる。第2の吸込具6は、延長管5の外管10と操作管4の他端4aとの間に着脱可能に接続されてもよい。ただし、第2の吸込具6は、必須の構成ではない。
第1の吸込具7は、第2の吸込具6の他端6aに接続された吸込具であり、下面(清掃面に対峙する面)に図示しない吸込口が開口されている。なお、第1の吸込具7は、延長管5の内管20の他端20aや、操作管4の他端4aに対して接続して使用することも可能である。
第1の吸込具7は、第2の吸込具6の他端6aに接続された吸込具であり、下面(清掃面に対峙する面)には、図12に示すように、開口部を有する吸込室340が形成されている。吸込室340には、パワーブラシを構成する回転清掃体330が組み込まれる。パワーブラシは、回転清掃体330と、この回転清掃体330を駆動する図示しない電動機とを含んで構成され、清掃面となる床面等の塵埃を回転清掃体330で掻き込むように作用する。
このような第1の吸込具7は、図1に示すように、延長管5の内管20の他端20aや、操作管4の他端4aに対して接続して使用することも可能である。
第1の吸込具7には、図示しないパワーブラシが設けられている。パワーブラシは、清掃面となる床面等の塵埃を掻き込む回転清掃体と、この回転清掃体を駆動する電動機を含んで構成されている。
本実施形態では、この第1の吸込具7の電動機に給電する電力を、掃除機本体2からホース部3、操作管4、延長管5、第2の吸込具6を通じて供給するように構成している。第1の吸込具7の構成の詳細や延長管5に設けられた給電手段等の構成の詳細については後記する。
延長管5は、前記したように、外管10をなす外管本体11(図2(b)参照)と、内管20をなす内管本体21(図2(b)参照)とが、ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形されている。つまり、延長管5の主たる構成部材である外管本体11と内管本体21とが、軽量で高強度のナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で形成されている。
また、延長管5は、第1の吸込具7に給電を行うための給電手段(後記する外管10のフラットケーブルC等(図9(b)参照))を内部に有している。
なお、延長管5と第1の吸込具7との間に第2の吸込具6が介在されている場合には、掃除機本体2から供給される電力は、延長管5から第2の吸込具6に備わる図示しない導電部材を通じて第1の吸込具7に供給される。延長管5と第1の吸込具7とが直接的に電気的に接続可能な場合は、第2の吸込具6の導電部材は不要である。
外管10は、図3に示すように、主として、円筒状の外管本体11と、外管本体11の胴部11aの上部11a2に装着される絶縁性の樹脂部材としての下カバー12と、下カバー12を覆うようにして胴部11aに装着されるカバー部材としての上カバー13と、を備えて構成されている。
外管本体11は、後記する射出成形またはブロー成形によって一体的に形成されており、内側には内管20(図5参照)を摺動可能に収容しつつ内管20に連通する通風路T1が形成されている。
外管本体11は、胴部11aと、この胴部11aよりも小径とされた一端部11bと、胴部11aよりも大径とされた他端部11cとを有している。
胴部11aは、一端部11bおよび他端部11cに比べて薄肉とされた薄肉部を有している。本実施形態では、胴部11aの側部11a1(長手方向中間部)が薄肉部とされており、外管本体11の軽量化が図られている。本実施形態においては、薄肉部における厚み(外径と内径との差)を1.2mm±0.2mmとしてあり、ポリプロピレン100%で成形された従来の延長管の厚み(約2mm)よりも薄くなっている。
なお、薄肉部は、胴部11aの側部11a1に形成することに限られず、例えば、胴部11aの他の部分を薄肉として形成してもよく、また、一端部11bや他端部11cを部分的に薄肉として形成してもよい。
胴部11aの上部11a2には、下カバー12が載置される平らな面S1が形成されている。上部11a2には、この平らな面S1を両側から挟むようにして、リブ11dが突設されている。リブ11dには、上カバー13の下縁13dが係合可能であり、上カバー13を装着する際には、リブ11dの延設方向に所定の間隔を置いて突設された係止部11eを、上カバー13の切り込み部13eに係止して、上部11a2に上カバー13を位置決めする。
外管本体11の一端部11bは、図6(a)に示すように、略円筒状に形成されており、操作管4(図1参照、以下同じ)の他端に設けられた図示しない開口部に挿入されて操作管4と接続可能である。
一端部11bの上部外周面には、図3に示すように、凹部11b1が形成されている。この凹部11b1には、操作管4に設けられた図示しない接続用フックが係合するようになっている。
また、一端部11bの上方には、図2(a)(b)に示すように、通電端子17,17(図では一方のみ図示)が配置されている。この通電端子17,17には、操作管4の開口部に設けられた図示しない端子が接続される。これにより、操作管4から延長管5の外管10に電力が供給される。
外管本体11の他端部11cには、内管20を摺動自在に支持する支持部材15が配設されている。支持部材15は、環状の枠部15aと、この枠部15aに保持される環状の係合部材15bと、枠部15aの一端側に配置されるシール支持部15cと、シール部材15d,15eと、を備えて構成されている。
環状の枠部15aは、図4(a)に示すように、装着部151と、保持部152とを備えている。装着部151は、外管本体11の他端部11cの開口11c2の内面に対応する外形状を有しており、開口11c2の内面に固定されるようになっている。
装着部151の内面には、内管20の摺動を円滑に行うための案内リブ151aが形成されている。
また、装着部151の上端部には、内管20の後記するスライド部25およびスライドカバー28(図5,図7(a)(b)参照)が挿通される挿通部151bが形成されている。
保持部152は、円環枠状を呈しており、装着部151の一端に一体的に形成されている。この保持部152には、係合部材15bが上下方向に移動可能に外嵌されて保持される。保持部152の下部には、係合部材15bに形成された係合突部153aが挿通される挿通孔152aが開口形成されている。保持部152の上端部には、内管20の後記するスライド部25(図5、図9(a)参照)が挿通される枠状部152bが形成されている。
係合部材15bは、縦長円環状を呈しており、環状の枠部15aの保持部152の上下端との間に図示しない間隙を有して保持部152に外嵌されるようになっている。これにより、係合部材15bは、この間隙を利用して上下方向に移動可能となっている。係合部材15bの下部には、保持部152の挿通孔152aに挿通される係合突部153aが設けられている。この係合突部153aは、係合部材15bが保持部152に対して上方向へ付勢された状態で、前記挿通孔152aを通じて保持部152の内側に突出する大きさを有しており、このように突出することによって係合突部153aは保持部152の内側に位置する図示しない内管20の凹溝21d(図2(c)参照、以下同じ)に係合可能となっている。
係合突部153aの内側には、図7(b)に示すように、ばね支持部153cが形成されており、このばね支持部153cに、図示しない渦巻きばねが外管10(外管本体)の内面との間に縮設されるようになっている。
また、係合部材15bの上端には、図4(a)に示すように、係合部材15bを上方向に付勢する板状のバネ部153bが形成されている。したがって、係合部材15bは、通常、これらの渦巻きばねおよびバネ部153bによって、上方向に付勢されており、係合突部153aが前記挿通孔152aを通じて保持部152の内側に突出する状態に保持されるようになっている。
このような係合部材15bの上方には、図3、図7(b)に示すように、上カバー13の他端部13cとの間にスライド部材14が配設されるようになっている。スライド部材14は、上カバー13の開口13fを通じて人の操作により外管10の軸方向に沿って移動可能であり、スライド部材14が他端側に向けてスライド操作されることによって、係合部材15bの上方に端部14cが進入し、前記渦巻きばねおよびバネ部153bによる付勢力に抗して係合部材15bを下方向に押し下げるようになっている。つまり、スライド部材14を他端側にスライド操作することによって、内管20の凹溝21dに係合していた係合突部153aが凹溝21dから脱し、凹溝21dに対する係合突部153aの係合を解除することができる。これにより、外管10に対する内管20の固定が解除され、外管10に対して内管20がスライド移動可能となる。
シール支持部15cは、円環状の部材であり、後記する静電気の効果的な除電を行うために、導電性を有する材料、例えば、金属を含有する熱可塑性樹脂で成形されて、外管本体11の他端部11cにおいて内面に接触して固定されている。シール支持部15cの一端には、シール部材15dが装着される凹部154が形成され、他端には、シール部材15eが装着される凹部155が形成されている。
シール部材15d,15eは、弾性、および後記する静電気の効果的な除電を行うために導電性を有する材料、例えば、弾性を有する材料に金属繊維や導電性粒子等を含ませた材料からなる。シール部材15d,15eの内側には、内管20の胴部21a(図5参照)が挿通される。これにより、外管10と内管20との通風路T1,T2間がシール部材15d,15eによってシールされるようになっている。
ここで、シール支持部15cおよびシール部材15d,15eは、いずれも導電性を有しているので、これらのシール支持部15cおよびシール部材15d,15eを介して外管10の外管本体11と内管20の内管本体21とが電気的に導通する状態に接続されている。
本実施形態では、外管本体11と内管本体21との一方または両方に、静電気を除電させる機能を有する図示しない除電手段としての除電部材が設けられている。除電部材としては、例えば、コロナ放電をさせながら空気中に除電することができる除電フェルトや金属繊維等を用いることができ、また、シール部材15d,15e自体を除電の効果を有するゴム類やEVA(エチレン・酢酸ビニルコポリマー)等を用い界面活性剤を混合した材料で形成して、シール部材15d,15eで除電するようにしてもよい。
また、掃除機本体2側に通じる図示しない導電性を有する信号線等を設け、この信号線等に静電気を放電させるようにして除電するように構成してもよい。
図3に示すように、下カバー12は、絶縁性を有する材料、例えば、ポリプロピレン等の樹脂により形成された細長の上面凹状の部材であり、胴部11aの上部11a2のリブ11dの内側に嵌り込むようにして平らな面S1に載置されて胴部11aに被着される。つまり、下カバー12は、延長管5の他端部における外周面の全周に満たない範囲である胴部11aの上部11a2に被着されている。
下カバー12の凹部内における長手方向略中央部には、給電手段を構成するフラットケーブルCの他端部C1が取り付けられている。
フラットケーブルCは、可撓性を有しており、その一端部C2は、凹部に沿って一端側へ延ばされた後、他端側へU字状に折り返されるようにして配置されている。
このような下カバー12と上カバー13との間には(下カバー12の上には)、図8(b)、図9(a)〜(c)に示すように、下カバー12の長手方向に沿って、内管20に設けられたスライド部25が移動可能に配置される。スライド部25の一端部には、図9(b)(c)に示すように、フラットケーブルCの折り返された一端部C2が電気的に接続されている。これにより、延長管5の伸縮時には、図9(c)(d)に示すように、外管10に対する内管20の摺動移動にフラットケーブルCが変形追従するようになっている。
下カバー12の一端12bには、端子台16が設けられており、この端子台16には、金属製の通電端子17が取り付けられるようになっている。通電端子17は、図3中一点鎖線で模式的に示すように、導電線W1を介してフラットケーブルCの他端部C1に電気的に接続されている。
すなわち、通電端子17は、絶縁性の下カバー12を介して外管本体11に支持され、外管本体11と電気的に導通することのない状態に配置されている。
上カバー13は、絶縁性を有する材料、例えば、ポリプロピレン等により形成されている。上カバー13は、外管本体11の上部11a2に設けられたリブ11dに、下縁13dを嵌合させることで、外管本体11の上部11a2に一体的に装着され、下カバー12との間に絶縁された空間を形成している。この絶縁された空間には、給電手段を構成しているフラットケーブルCと、下カバー12上に移動可能に配置されたスライド部25とが収容されるようになっている。
本実施形態では、超音波溶着による固着手法によって上カバー13が外管本体11に固着されている。なお、上カバー13の固着は、その他の溶着や接着材等を用いて行ってもよいし、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
なお、外管本体11に対する下カバー12の固定は、外管本体11に上カバー13を固着することによる上カバー13の押え付けによって行ってもよいし、下カバー12を外管本体11に直接固定するようにしてもよい。下カバー12の固定は、超音波溶着によって行ってもよいし、また、その他の溶着や接着材等を用いて、あるいは、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
内管20は、図5に示すように、主として、円筒状の内管本体21と、絶縁性の樹脂部材としてのベース部材22と、カバー部材23と、を備えて構成されている。
内管本体21は、射出成形またはブロー成形によって一体的に形成されており、内側には外管10の通風路T1(図3参照)に連通する通風路T2が形成されている。
内管本体21は、胴部21aと、この胴部21aよりも大径とされた他端部21cとを有している。
胴部21aの上面には、ベース部材22に設けられたスライド部25を支持するための支柱21a1が設けられている。胴部21aの一端部21a2には、円筒状の摺動部材26が装着される。この摺動部材26は、胴部21aの一端部21a2に装着されることで、外管10と内管20との間の円滑な摺動に寄与する。
他端部21cには、第2の吸込具6や第1の吸込具7が取り付け可能であり、他端部21cの上部21c1には、ベース部材22が載置されて取り付けられるようになっている。
ベース部材22は、絶縁性を有する材料、例えば、ポリプロピレン等により形成されており、内管本体21の他端部21cの上部21c1に被着される。つまり、ベース部材22は、内管本体21の他端部21cにおいて、外周面の全周に満たない範囲である他端部21cの上部21c1に被着されている。
ベース部材22の上面には、揺動支持部22aおよび通電端子支持部22bが形成されている。
また、ベース部材22の一端部には、内管本体21の胴部21aに沿うようにして一端部へ向けて延設された細長板状のスライド部25が一体的に設けられている。
揺動支持部22aには、操作ボタン24が揺動可能に支持される。操作ボタン24は、第2の吸込具6や第1の吸込具7との取り付け取り外しを行うためのボタンであり、他端下部に係止用のフック部24aを有している。このフック部24aは、ベース部材22に設けられた図示しない孔部から他端部21cの上部21c1に形成された開口21c2を通じて他端部21cの内空に出没可能である。
このような操作ボタン24は、図示しないばね部材によりフック部24aが他端部21cの内空に突出する状態に付勢されている。これにより、他端部21cの内空から第2の吸込具6や第1の吸込具7の取付部を挿入すると、フック部24aが第2の吸込具6や第1の吸込具7の図示しない係止部に係止され、延長管5の内管20に第2の吸込具6や第1の吸込具7が固定されるようになっている。なお、取り外す際には、操作ボタン24のボタン部24bを押圧操作してフック部24aの係止を解除する。
ベース部材22の通電端子支持部22bには、金属製の通電端子27が取り付けられる。また、スライド部25の一端部には、図9(b)(c)に示すように、フラットケーブルCの一端部C2が接続されており(図9(b)(c)参照)、このフラットケーブルCの一端部C2と通電端子27との間が、図示しない導電線で電気的に接続されている。
カバー部材23は、絶縁性を有する材料、例えば、ポリプロピレン等により形成されている。カバー部材23は、図5に示すように、内管本体21の他端部21cの上部21c1に設けられた溝部21c3,21c3に、下縁23c,23cを係合させることで、他端部21cに一体的に装着され、ベース部材22との間に絶縁された空間を形成している。
本実施形態では、超音波溶着による固着手法によってカバー部材23が内管本体21の他端部21cに固着されている。なお、カバー部材23の固着は、その他の溶着や接着材等を用いて行ってもよいし、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
また、内管本体21に対するベース部材22の固定は、内管本体21にカバー部材23を固定することによるカバー部材23の押え付けによって行ってもよいし、ベース部材22を内管本体21に直接固定するようにしてもよい。ベース部材22の固定は、超音波溶着によって行ってもよいし、また、その他の溶着や接着材等を用いて、あるいは、ねじ等の締結部材を用いて行ってもよい。
カバー部材23の他端には、ベース部材22のスライド部25に装着されるスライドカバー28が一体的に形成されている。スライドカバー28は、スライド部25との間に図示しない導電線を収容する空間を形成している。
また、カバー部材23の上面には、操作ボタン24のボタン部24bが挿通配置される開口部23aが形成されている。
このようなスライド部25およびスライドカバー28は、一体となって、図8(a)に示すように、外管10の他端部11cに固定された支持部材15の挿通部151bを通じて、外管本体11とは絶縁された下カバー12と上カバー13との間に挿入される。
そして、前記したように、スライド部25上に配置された図示しない導電線を介して、フラットケーブルCの一端部C2(図9(b)参照)と通電端子27(図5参照)との間が電気的に接続される。これにより、外管10の一端部に設けられた通電端子17,17(図3参照)と通電端子27(図5参照)との間が外管本体11および内管本体21から絶縁された状態で電気的に接続されることとなる。
以下では、前記構成によって得られる効果を説明する。(1)延長管5の外管本体11および内管本体21がナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で構成されているので、延長管5全体として軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。操作管4の全部または一部(例えば、グリップを除いた円筒状の部分)をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、操作管4の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。さらに、掃除機本体2の一部(例えば、下ケース)をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、掃除機本体2の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。(2)延長管5に配置された導電部材である通電端子17,17および通電端子27,27は、絶縁性の樹脂である下カバー12上やベース部材22上において延長管5の外管本体11および内管本体21と絶縁して配置されているので、延長管5と通電端子17,17とが電気的に導通することがなく、また、延長管5と通電端子27とが電気的に導通することもない。
したがって、延長管5の外管本体11および内管本体21が導電性を有する材料で形成されている構造を有しながら、導電部材との好適な絶縁性を確保することができる。(3)通電端子17,17に接続される給電手段としての導電線W1、および導電線W1に接続されるフラットケーブルCは、絶縁性の樹脂である下カバー12上にそれぞれ配設されているので、導電性の部材である外管本体11との好適な絶縁性を確保することができ、第1の吸込具7に対する好適な給電を実現することができる。(4)フラットケーブルCは、下カバー12と上カバー13との間において、外管本体11から絶縁された空間内に配設されているので、良好な絶縁性を維持することができる。したがって、長期間の使用により、仮に、フラットケーブルCの被覆が剥がれるような事態が生じたとしても、フラットケーブルCが人の手に触れたり外管本体11に直接接触したりすることが確実に阻止される。(5)超音波溶着による固着手法により、上カバー13が外管本体11に固着され、また、カバー部材23が内管本体21に固着されているので、上カバー13やカバー部材23の固定が簡単であり、高強度の固着を実現することができる。また、溶着箇所の仕上がりが良好となり、製品価値も高まる。(6)外管本体11と内管本体21との間が、弾性および導電性を有するシール部材15d,15eでシールされているので、外管本体11と内管本体21とを導電性を有する一つの部材として、これらに帯電する静電気を例えば外管本体11に設けた一つの除電手段によって好適に除電することができる。これにより、生産性の向上やコストの低減を図ることができる。
なお、外管本体11と内管本体21とをアルミニウム合金等の金属材料で形成した場合にも、これらの間をシール部材15d,15eでシールすることにより、これらに帯電する静電気を例えば外管本体11に設けた一つの除電手段によって好適に除電することができる。(7)掃除機本体2側に通じる図示しない信号線等を設けて、この信号線等に延長管5の静電気を放電させるように構成したものにおいては、既存の信号線等を利用して静電気を好適に除電することができ、コストの低減を図ることができる。
また、第1の吸込具7や第2の吸込具6を導電性を有する材料、例えば、ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、清掃面に接触する部分から延長管5に接触する部分に至る部分が導電性を有するように構成してもよい。この場合には、第1の吸込具7や第2の吸込具6を通じて清掃面となる電気を好適に放電することができる。
なお、操作管4の全部または一部(例えば、グリップを除いた円筒状の部分)をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、延長管5の外管10から操作管4、さらには清掃時にこの操作管4を握る人を介して、延長管5に帯電した静電気を床面等に放電するようにしてもよい。(8)延長管5の外管本体11および内管本体21を射出成形により成形した場合には、延長管5を金属製の部材で形成した場合に比べて、形成が簡単であり、複雑な形状等も一体的に形成することができて、生産性に優れる。
また、射出成形によって、外管本体11および内管本体21の内面を平滑化することができるので、塵埃の衝突により発生する静電気を抑制することができる。
なお、各部の形状等は任意に設定することができ、下カバー12、上カバー13の周方向における大きさや、ベース部材22、カバー部材23の周方向の大きさ等は、外周面の全周に満たない範囲に被着されるものであれば任意に設定することができる。
また、前記実施形態において延長管5は、外管10と内管20とを連結したものを例示したが、これに限られることはなく、一つの管体で構成されたものであってもよい。
第1の吸込具7は、図12に示すように、回転清掃体330を覆うように下部分を形成する下カバー351、および下カバー351の上部に被着された上カバー352を備える吸口本体350と、吸口本体350の後方に取り付けられ、内部に空気の通路R1が形成された吸口継手355とを備える。これらの下カバー351、上カバー352および吸口継手355の主たる部品は、軽量で硬質の材料、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂材料で形成されている。
第1の吸込具7(以下単に吸込具7と称する)は、左右(幅)方向の中央部の位置に吸口継手355が設けられている。この吸口継手355は、下カバー351と上カバー352との間に図示しない一端が挟み込まれて吸口本体350に回動可能に接続されている。吸口継手355は、掃除面に対して略水平な状態から略垂直な状態まで(上下方向に)回動可能な第1の接続管355aと、一端が第1の接続管355aの他端に回動可能に接続され、吸口本体350に対し左右方向に回動可能な第2の接続管355bとを有する。第2の接続管355bの他端には、延長管5や第2の吸込具6が接続される。この吸口継手355は、例えば延長管5を掃除面に対して略垂直とした状態において、その延長管5を吸口本体350の左右方向に向かって倒すことができる機能を有している。これにより、操作管4を左右方向のいずれかにねじることで、吸口本体350を左右方向の何れかに略90度回転させ、吸口本体350の左右方向を移動方向にした掃除が可能である。したがって、壁際に沿って吸込具7を移動させて掃除したり、狭い隙間に吸込具7を挿入したりして掃除することが可能である。
また、吸口本体350には、前部から左右側方にかけて、下カバー351と上カバー352との間にバンパー353が介設されている。バンパー353は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、使用時に吸口本体350内の気密を保持するとともに、電気掃除機1(図1参照、以下同じ)の使用時に吸口本体350が家具等に衝突した際に、当該家具等への傷付きと吸口本体350への衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たす。
下カバー351の下面に開口する吸込室340は、断面が略湾曲凹状(図14(b)参照)を呈している。吸込室340の後方には、吸込通路341が開口形成されている。この吸込通路341は、吸口継手355の前記した通路R1に連通している。
吸込室340の内面には、リブ343が形成されている。リブ343は、左右にそれぞれ4個ずつ、両側で計8個形成されている。各リブ343は、回転清掃体330の回転方向(図12中矢印X1参照)の下流側となる部位343aが回転方向上流側となる部位343bよりも吸込通路341側に向かって傾斜する状態に突出形成されている。
リブ343には、図13に示すように、吸込室340に回転清掃体330が固定されると、回転清掃体330の刷毛333の先端部が接触するようになっている。
吸込室340の両端部には、回転清掃体330の両端の軸を支持する軸受344、345が形成されており、この軸受344、345に軸受カバー344a、345aが装着されて、回転清掃体330の両端が支えられるようになっている。
本実施形態では、上カバー352が2色成形により形成されている。上カバー352は、図14(b)に示すように、上カバー352の後側部位である1次成形部352aが一般のABS樹脂、上カバー352の前側部位である2次成形部352bがナノセルロースファイバーを含有する(含む)熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂)で、一体成形されている。よって、1次成形部352aと2次成形部352bとは、同じ樹脂製であるが、2次成形部122はナノセルロースファイバーを含んでいるため、2次成形部352bは、1次成形部352aに対して強度を有するとともに、導電性を備えている。
本実施形態では、1次成形部352aと2次成形部352bの切替え部352cの近傍部分を、吸込具7の上下方向に、1次成形部352aと2次成形部352bとが重なるように構成し、これよりも前方側を2次成形部352bのみで構成している。つまり、切替え部352cでは、強度を有する2次成形部352bと1次成形部352aとが一体に形成されている。
成形時には、例えば、型に1次成形品用の材料を流し込んで1次成形部352aを形成し、その後、2次成形用の型に、1次成形部352aをセットして、切替え部352cにおいて1次成形部352aに重なるように2次成形品用の材料を流し込む。これにより、2次成形部352bが1次成形部352aと一体に成形される。
なお、2次成形部352bには、図14(a)(b)に示すように、吸込室340の負圧の大きさによって開口する吸気口352eが設けられている。
なお、1次成形部352aと2次成形部352bとを重ねて設ける範囲は、軽量化を図るために極力小さくすることが望ましいが、これらの密着性を考慮して、吸込具7の前後方向に、2次成形部352bの長さの3〜5割程度の重なり代を設けている。
ここで、図14(b)に示すように、吸込具7の前後方向において、切替え部352cの前端は、回転清掃体330の軸心と回転清掃体330の後端との間にあり、切替え部352cの後端は、湾曲凹状の吸込室340の後端と上カバー352の後端との間にある。
このような構成により、前方側を2次成形部352bのみで構成しているため、肉厚を薄くすることができ、吸込具7の軽量化が図られる。これにより、吸込具7の操作性が向上する。また、吸込具7に帯電する静電気を2次成形部352bを通じて(または、2次成形部352bに設けた除電手段等を通じて)好適に除電することができる。
回転清掃体330は、図15(c)に示すように、略円筒状のコア331と、このコア331の外周部に形成された溝部332と、この溝部332に取り付けられた刷毛333と、刷毛333と刷毛333との間に配置された軟質材からなるブレード334とを含んで構成されている。
コア331は、ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形されている。つまり、回転清掃体330の軸部材が、軽量で高強度のナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で形成されている。コア331は、後記するインジェクション成形により一体的に形成されている。
コア331の外周部には、図16(a)〜(c)に示すように、複数の支持部331aが設けられている。支持部331aは、コア331の軸方向に沿って螺旋状にそれぞれ設けられており、図15(c)に示すように、立上部331bと、この立上部331bに連続して設けられた押え部331cと備えて構成されている。本実施形態では、コア331の外周部に支持部331aが計8個形成されており、支持部331aと支持部331aとの間に、計7個の溝部332が形成されている。なお、支持部331aの断面形状や溝部332の断面形状は、適宜設定することができる。また、支持部331aの数や溝部332の数も、適宜設定することができる。
コア331の両端部には、図16(a)(b)に示すように、小径部335a,335bが一体的に形成されている。
小径部335aには、図15(a)(b)に示すように、回転体接合部336aが取り付けられている。回転体接合部336aの端部には、下カバー351の軸受345(図12参照)に支持される支軸部337aが設けられている。
小径部335bには、図15(a)(b)に示すように、回転体接合部336bが取り付けられている。回転体接合部336bの端部には、下カバー351の軸受344(図12参照)に設けられた図示しない駆動部に連結される連結部337bが設けられている。
このような回転清掃体330は、電気掃除機1を運転させると、図12において矢印X1で示す方向に回転する。ここで、矢印X1で示す方向の回転は、掃除面に対して吸込具7を前方向へ移動させる力として吸込具7に付与される。したがって、回転清掃体330を回転させると、吸込具7の前方向への移動がスムーズに行われることとなる。
一方、矢印X1で示す方向に回転清掃体330が回転すると、刷毛333の先端部がリブ343に接触しているので(図13参照)、下カバー351の下面開口から吸い込まれた塵埃や糸屑等は、回転清掃体330の回転方向に沿って、矢印X1方向に搬送される。この状態において、吸い込まれた塵埃や糸屑等は、回転清掃体330に巻き付く前にリブ343の側面に当たり、リブ343の傾斜に対応して吸込通路341に向けて搬送される。そして、吸込通路341から吸口継手355の通路R1を通じて掃除機本体2側へ搬送され、掃除機本体2の図示しない集塵部へと搬送される。
以下では、前記構成によって得られる効果を説明する。(1)回転清掃体330のコア331がナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で構成されているので、回転清掃体330全体として軽量化を図りつつ剛性を確保することができる。これにより、熱変形しにくい回転清掃体330を備えた吸込具7が得られる。なお、吸込具7の全部または一部をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、吸込具7の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。さらに、掃除機本体2の一部(例えば、下ケース)をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、掃除機本体2の軽量化を図りつつ剛性を確保してもよい。(2)回転清掃体330の剛性を確保することができるので、回転清掃体330の有する固有振動数を上げることができ、回転清掃体330の固有振動数を回転清掃体330の駆動機構等が有する固有振動数から離れたものとすることができる。これにより吸込具7の振動を抑制することができる。(3)ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂でコア331が形成されているので、ABS樹脂やナイロン等の熱可塑性樹脂にガラス繊維を混ぜてコアを成形した場合に比べて、熱変形しにくい。したがって、回転時の騒音を好適に低減することができる。また、熱可塑性樹脂にガラス繊維を混ぜてコアを成形した場合に比べて、曲げ強度が高く剛性が高められて、好適に振動を低減することができる。(4)ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂でコア331が形成されているので、コア331に静電気が帯電した場合には、コア331の中を電気が流れるので、コア331の全体を利用して帯電した静電気を好適に放電することができる。この場合、刷毛333をナノセルロースファイバー等の導電性を有する部材で形成することによって、刷毛333の先端から帯電した静電気を好適に放電することができる。また、吸込室340の内面に、刷毛333に接触する除電部材を設けることによって、静電気をより好適に放電することもできる。
また、リブ343(接触部)を導電性を有する部材で形成するとともに、このリブ343を上カバー352の2次成形部352bに電気的に接続する構成として、刷毛333からリブ343を通じて2次成形部352bへ静電気を放電するようにしてもよい。また、リブ(接触部)343を上カバー352に一体的に設けて、これを吸込室340に露出させてもよい。(5)コア331がインジェクション成形により形成されているので、真円度に優れ、回転清掃体330のスムーズな回転を実現することができる。このことは騒音の低減に寄与する。(6)コア331がインジェクション成形により形成されているので、所望の強度を確保しつつコア331の支持部331aを薄肉で形成することができる。これにより、コア331の小径化を図りながら溝部332の数を増やすことができる。したがって、所望の数の刷毛333を取り付けることができる。(7)コア331がインジェクション成形により形成されているので、押出成形等によりコア331を形成した場合に比べて、形成が簡単であり、複雑な形状等も一体的に形成することができて、生産性に優れる。
また、射出成形によって、コア331の外面を平滑化することができるので、刷毛333やブレード334の取付時等にこれらを傷める心配がない。このことは、刷毛333やブレード334の耐久性の向上に寄与する。(8)上カバー352は、前側部位である2次成形部352bがナノセルロースファイバーを含む熱可塑性樹脂で形成されているので、吸込具7の軽量化を図ることができるとともに、吸込具7の耐久性が向上する。(9)また、上カバー352は、2次成形部352bがナノセルロースファイバーを含む熱可塑性樹脂で形成されているので、2次成形部352bが導電性を有しており、吸込具7に帯電した静電気を吸込具7の前側部分から好適に放電することができる。したがって、吸込具7に清掃面等から掻き上げた塵埃が付着しにくくなる。これにより、吸込具7を衛生的に保持することができる。
また、吸込具7に塵埃が付着し難くなるので、2次成形部352bに設けられた吸気口352eから宙に舞った塵埃を好適に吸引することができる。(10)掃除機本体2側に通じる図示しない信号線等を設けて、この信号線等に延長管5の静電気や吸込具7の静電気を放電させるように構成したものにおいては、既存の信号線等を利用して静電気を好適に除電することができ、コストの低減を図ることができる。
また、吸込具7や第2の吸込具6を導電性を有する材料、例えば、ナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、清掃面に接触する部分から延長管5に接触する部分に至る部分が導電性を有するように構成してもよい。この場合には、吸込具7や第2の吸込具6を通じて清掃面に電気を好適に放電することもできる。
なお、操作管4の全部または一部(例えば、グリップを除いた円筒状の部分)をナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂で成形して、延長管5の外管10から操作管4、さらには清掃時にこの操作管4を握る人を介して、延長管5や吸込具7等に帯電した静電気を床面等に放電するようにしてもよい。
なお、外管本体11と内管本体21とをアルミニウム合金等の金属材料で形成した場合にも、これらの間をシール部材15d,15eでシールすることにより、これらに帯電する静電気や吸込具7に帯電する静電気を例えば外管本体11に設けた一つの除電手段によって好適に除電することができる。
また、前記実施形態において延長管5は、外管10と内管20とを連結したものを例示したが、これに限られることはなく、一つの管体で構成されたものであってもよい。
[2.回転清掃体のコア]
次に、電気掃除機1に備えられる吸込具7の回転清掃体330のコア331を成形する材料について説明する。前記のように、回転清掃体330のコア331が、ナノセルロースファイバーを所定の割合で含有する熱可塑性樹脂(以下、適宜「ナノセルロースファイバー含有樹脂」と言う。)からなる。以下、このナノセルロースファイバー含有樹脂について説明する。
(ナノセルロースファイバー)
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバーは、植物資源などから製造されるものである。このようなナノセルロースファイバーの具体的な種類は特に限定されず、後記するナノセルロースファイバーの物性に応じて任意の条件で製造してもよく、また、市販品を用いてもよい。ナノセルロースファイバーを製造する場合、その製造条件、原料等は特に制限されず、公知の任意の製造条件および原料を適用して製造すればよい。また、ナノセルロースファイバーは必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバーの長さは特に制限されないが、好ましくは1mm以下である。このような長さのナノセルロースファイバーを用いることで、コア331に含有させるナノセルロースファイバーをより容易に準備することができるため、コア331の製造コストを削減することができる。また、このような長さのナノセルロースファイバーをコア331に含有させることにより、コア331を構成するナノセルロースファイバー含有樹脂中でナノセルロースファイバー同士が適度に絡み合い、その結果、良好な剛性を奏することができる。
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバーの量は、ナノセルロースファイバー含有樹脂中、3質量%以上、20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。ナノセルロースファイバーの含有量がこの範囲に含まれることにより、コア331の製造コストを抑制しつつも、コア331の軽量化および高剛性化をバランスよく向上させることができる。
(熱可塑性樹脂)
コア331は、前記のナノセルロースファイバーを含む熱可塑性樹脂により構成される。熱可塑性樹脂としてはABS樹脂、ナイロンを用いることができる。なお、コア331に含まれる熱可塑性樹脂は、ABS樹脂、ナイロンに何ら限定されるものではない。すなわち、コア331を成形する熱可塑性樹脂としては、公知の任意の熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)を用いることができ、その物性も、コア331としての機能を備えることができる限り任意である。ただし、コア331を成形する熱可塑性樹脂としては、軽量および安価であり、製造および取扱いが容易であるという観点から、前記ABS樹脂、ナイロンを用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂は必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
また、コア331には、前記のナノセルロースファイバーおよび熱可塑性樹脂以外の任意の成分が含まれていてもよい。
次に、コア331の製造方法について説明する。本実施形態においては、コア331は、ナノセルロースファイバー含有樹脂をインジェクション成形して形成される。以下では図示の簡略化のために、図10におけるコア331の形状を単純な筒形状のものとしている。
ナノセルロースファイバー含有樹脂を用いてインジェクション成形を行う場合、その具体的な方法に特に制限は無く以下の内容に限定されない。例えば、図10に示すように、筒形状の外形(つまり円柱形状の外観)を成形可能な金型(上型100および下型101)と、円筒形状の内径を成形可能な中子102と、を組み合わせて一体のものとする。そして、これらを組み合わせた際に生じる隙間に、中子102と一体となって形成されているフランジ102aを貫通する貫通孔102bを通じて、加熱された溶融したナノセルロースファイバー含有樹脂を射出する(つまり押し出す)。その後冷却、ならびに金型100,101および中子102を取り外して必要に応じてバリを切断することで、コア331を成形することができる。
溶融したナノセルロースファイバー含有樹脂を射出する際の金型100,101および中子102の温度は任意であるが、ナノセルロースファイバー含有樹脂の融点以下の温度の場合にはナノセルロースファイバー含有樹脂が固化するため、当該融点温度よりも高い温度に設定する。また、射出する際の射出荷重は、ナノセルロースファイバー含有樹脂の温度や組成によっても異なるため一概には言えないが、例えば200MPa程度とすることができる。なお、インジェクション成形を行う際の具体的な装置としては、例えば、特開2010−131966号公報や特開2006−110905号公報などに記載された射出形成機を用いることができる。
コア331をインジェクション成形によって成形することにより、コア331の外形状を精度良く形成することができる。また、コア331の両端部の形状を、例えば小径部335a,335bとすることができる。つまり、コア331の外形状を変えることができる。
したがって、コア331の小径部335a,335bに回転体接合部336a,336b等の別ピースを取り付ける場合も、両端の小径部335a,335bを利用して、例えば小径部335a,335bに被せるようにして取り付けることができるので、回転体接合部336a,336bの外径が大きくならず、小型化を図ることが容易である。
インジェクション成形により、コア331を一度の工程で一体的に成形することができるため、製造工程の簡素化を図ることができる。これにより、製造が安価であり、しかも軽量かつ高剛性のコア331が容易に得られる。つまり、吸込具7における回転清掃体330の性能の向上を図ることができ、ひいては吸込具7、電気掃除機全体としての性能が高められた電気掃除機1を提供することができる。
なお、電気掃除機1においてはナノセルロースファイバー含有樹脂をコア331のみならず、外管本体11、内管本体21、および吸込具7の上カバー352に適用しているが、このようなナノセルロースファイバー含有樹脂は、これらの他にも、例えば車輪等の電気掃除機1を構成する各部材に適用可能である。さらには、前記したように、ナノセルロースファイバー含有樹脂を、操作管4を構成する少なくとも一部(すなわち、全部または一部)の部材や、掃除機本体2を構成する少なくとも一部(すなわち、全部または一部)の部材に適用してもよい。
[3.延長管]
次に、電気掃除機1に備えられる延長管5を構成する、外管本体11および内管本体21を成形する材料について説明する。前記のように、延長管5を構成する外管本体11と内管本体21とが、ナノセルロースファイバーを所定の割合で含有する熱可塑性樹脂(以下、適宜「食物繊維含有樹脂」という。)からなる。以下、このナノセルロースファイバー含有樹脂について説明する。
(ナノセルロースファイバー)
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバーは、全ての植物細胞の骨格成分で植物をナノサイズまで細かくほぐすことで得られる。
このようなナノセルロースファイバーの具体的な種類は特に限定されず、原料は、植物資源であるため、木材やワラ、茎、キビ、葦、竹、綿、ジュート、コットンリンタ等多岐に渡り存在する。後記するナノセルロースファイバーの物性に応じて任意の条件で製造してもよく、また、市販品を用いてもよい。ナノセルロースファイバーを製造する場合、その製造条件、原料等は特に制限されず、公知の任意の製造条件および原料を適用して製造すればよい。また、ナノセルロースファイバーは必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバー(CNF)の長さは特に制限されないが、多くは、幅4〜100nm、長さ5μm以上の高アスペクト比で、機械的解繊等で製造されることが多い。また、セルロースナノクリスタル(針状結晶)の場合には、幅10〜50nm、長さ100〜500nmで酸加水分解により製造される。このような長さのナノセルロースファイバーを用いることで、外管本体11および内管本体21に含有させるナノセルロースファイバーをより容易に準備することができるため、延長管5の製造コストを削減することができる。また、このような長さのナノセルロースファイバーを外管本体11および内管本体21に含有させることにより、外管本体11および内管本体21を構成するナノセルロースファイバー含有樹脂中でナノセルロースファイバー同士が適度に絡み合い、その結果、良好な剛性を奏することができる。
ナノセルロースファイバー含有樹脂に含まれるナノセルロースファイバーの量は、ナノセルロースファイバー含有樹脂中、3質量%以上、15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。ナノセルロースファイバーの含有量がこの範囲に含まれることにより、延長管5の製造コストを抑制しつつも、延長管5の軽量化および高剛性化をバランス良く向上させることができる。また、前記した上カバー13(図3参照)およびカバー部材23(図5参照)を、それぞれ外管本体11および内管本体21に超音波溶着させ易くなるという利点もある。 ナノセルロースファイバーの含有割合を3質量%以上15質量%以下とすれば、従来の延長管を構成する樹脂と同程度の強度としつつも厚みを従来(約2mm)よりも薄くすることができ、ひいては延長管を従来よりも軽量なものとすることができる。特に、延長管は筒状であるため、電気掃除機を構成する他の部材と比べて破損し易いことがあり、軽量(つまり厚みが薄い)でありつつも高剛性を有するということはとりわけ優れた効果である。このようなナノセルロースファイバー含有量を有するナノセルロースファイバー含有樹脂を延長管に適用することにより、外管本体11および内管本体21の長手方向中間部においてそれぞれ、外径と内径との差を1mm以上1.4mm以下、また、長手方向全域においては当該差が2mm以下という、従来よりも薄くて軽量、しかも高剛性な延長管を製造することができる。
また、ナノセルロースファイバーを3質量%以上15質量%以下の割合で含有するナノセルロースファイバー含有樹脂からなる延長管5に拠れば、前記した上カバー13およびカバー部材23を超音波溶着によって、より確実に固定することができる。より具体的には、ナノセルロースファイバーの含有量が増加すればするほど、通常は超音波溶着することが困難になる傾向がある。しかしながら、ナノセルロースファイバーを前記割合で含む延長管5に拠れば、前記の安価、軽量、高剛性を維持しつつも上カバー13およびカバー部材23の固定をより確実に行うことができるという効果も奏する。さらに、ナノセルロースファイバーを前記の割合で熱可塑性樹脂に含有させることにより、後記する射出成形またはブロー成形によって延長管を特に成形し易いという利点もある。
(熱可塑性樹脂)
延長管5は、前記のナノセルロースファイバーを含む熱可塑性樹脂により構成される。前記のナノセルロースファイバーの説明においては、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを具体例に挙げたが、延長管5に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンに何ら限定されるものではない。すなわち、延長管5を成形する熱可塑性樹脂としては、公知の任意の熱可塑性樹脂(例えば前記のようにABS(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene)樹脂等)を用いることができ、その物性も、延長管としての機能を備えることができる限り任意である。ただし、延長管5を成形する熱可塑性樹脂としては、軽量および安価であり、製造および取扱いが容易であるという観点から、前記具体例で挙げたように、ポリプロピレンを用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂は必ずしも1種を単独で用いる必要は無く、2種以上を任意の比率および組み合わせで用いてもよい。
また、延長管5には、前記のナノセルロースファイバーおよび熱可塑性樹脂以外の任意の成分が含まれていてもよい。
次に、延長管5を構成する特に制限は無い。以下、射出成形の方法を具体的に説明するが、射出成形の方法は以下の内容に限定されない。例えば、図10に示すように、筒形状の外形(つまり円柱形状の外観)を成形可能な金型(上型100および下型101)と、円筒形状の内径を成形可能な中子102と、を組み合わせて一体のものとする。そして、これらを組み合わせた際に生じる隙間に、中子102と一体となって形成されているフランジ102aを貫、ナノセルロースファイバー含有樹脂からなる外管本体11および内管本体21の製造方法について説明する。本実施形態においては、外管本体11および内管本体21はそれぞれ、ナノセルロースファイバー含有樹脂を射出成形もしくはブロー成形して成形される。以下、射出成形を行う場合と、ブロー成形を行う場合と、の2つに分けて、外管本体11および内管本体12の製造方法を説明する。ただし、外管本体11と内管本体21とは形状が若干異なるものの基本的には同様に製造することができるため、以下においては内管本体21の製造方法を例に説明する。また、図示の簡略化のために、図10および図11における内管本体21の形状を単純な筒形状のものとしている。
(射出成形を行う場合)
ナノセルロースファイバー含有樹脂を用いて射出成形を行う場合、その具体的な方法に通する貫通孔102bを通じて、加熱された溶融したナノセルロースファイバー含有樹脂を射出する(つまり押し出す)。その後冷却、ならびに金型100,101および中子102を取り外して必要に応じてバリを切断することで、内管本体21を成形することができる。
溶融したナノセルロースファイバー含有樹脂を射出する際の金型100,101および中子102の温度は任意であるが、ナノセルロースファイバー含有樹脂の融点以下の温度の場合にはナノセルロースファイバー含有樹脂が固化するため、当該融点温度よりも高い温度に設定する。また、射出する際の射出荷重は、ナノセルロースファイバー含有樹脂の温度や組成によっても異なるため一概にはいえないが、例えば200MPa程度とすることができる。なお、射出成形を行う際の具体的な装置としては、例えば、特開2010−131966号公報や特開2006−110905号公報などに記載された射出成型機を用いることができる。
内管本体21を射出成形によって成形することにより、内管本体21の外形状に加えて内形状も精度良く構成することができ、内管本体21の内壁を平滑なものとすることができる。したがって、電気掃除機使用時の内管本体21内部に空気が流通する際に、空気の内部抵抗を減らすことができ、電気掃除機に備えられている電動送風機の運転効率をより向上させることができる。また、内壁の凹凸による空気の乱流を抑制することができ、乱流に伴う騒音をより抑制することができる。さらには、延長管の全体を一度の工程で一体的に成形することができるため、製造工程の簡素化を図ることができる。
(ブロー成形を行う場合)
ナノセルロースファイバー含有樹脂を用いてブロー成形を行う場合、その具体的な方法に特に制限は無い。以下、図11を参照しながら、ブロー成形の方法を具体的に説明するが、ブロー成形の方法は以下の内容に限定されない。
例えば、図11に示す筒形状の外形を成形可能な金型200,201を組み合わせ、これらの金型200,201の内部にナノセルロースファイバー含有樹脂からなるパリソン202を押し出す。その後、パリソン202内部に高圧空気を噴き入れ、金型200,201内表面にパリソン202を押し付ける。そして、金型200,201を冷却することによりパリソン202を固化させ、金型200,201を取り外した後必要に応じてバリを切断することで、内管本体21を成形することできる。
パリソン201を構成するナノセルロースファイバー含有樹脂の温度、金型200,201内表面にパリソン201を押し出す際の荷重、高圧空気の具体的な圧力等は特に制限されず、公知の任意のブロー成形法を適用すればよい。なお、ブロー成形を行う際の具体的な装置としては、例えば特開平11−277617号公報などに記載されたブロー成型機を用いることができる。
内管本体21をブロー成形によって成形することにより、中子を用いずに内管本体21を成形することができるため、中子の引き抜き等の製造工程の簡素化を図ることができる。また、内管本体21の全体を一度の工程で一体的に成形することができるため、この観点からも製造工程の簡素化を図ることができる。
前記のように、外管本体11および内管本体21は安価に製造でき、しかも軽量かつ高剛性である。また、不要に絶縁部材及び絶縁を要する構造を追加する必要がなく、部品構成も容易となる。つまり、電気掃除機に通常は付属品として付随する延長管5についても性能の向上を図ることができ、ひいては電気掃除機全体としての性能が高められた電気掃除機を提供することができる。
また、前記のように、ナノセルロースファイバー含有樹脂を用いても、射出成形もしくはブロー成形を容易に行うことができる。したがって、延長管5(より具体的には、外管本体11および内管本体21)の成形が容易であるという利点を有する。また、上カバー13およびカバー部材23を超音波溶着によって、ナノセルロースファイバーを含む熱可塑性樹脂に対しても容易かつ強固に固定することができる。
なお、電気掃除機1においてはナノセルロースファイバー含有樹脂を外管本体11および内管本体21に適用しているが、このようなナノセルロースファイバー含有樹脂は、外管本体11および内管本体21の他にも、例えば車輪等の電気掃除機1を構成する各部材に適用可能である。さらには、前記したように、ナノセルロースファイバー含有樹脂を、操作管4を構成する少なくとも一部(即ち、全部または一部)の部材や、掃除機本体2を構成する少なくとも一部(即ち、全部または一部)の部材に適用してもよい。ナノセルロースファイバー含有樹脂を、電気掃除機1を構成する各部材に適用することで軽量化など本発明の実施例で述べた効果を奏することができる。
また、ナノセルロースファイバー含有樹脂を用いる部品の必要強度に応じてナノセルロースファイバーの含有割合を3質量%以上で任意に設定することによって製品強度が保たれ、耐久性に優れた電気掃除機を提供することができる。
なお、電気掃除機1を説明するにあたり、便宜上、図17に示すホース接続部411がある側を前、その反対側を後、ハンドル426がある側を上、2つある後輪451側を左右として説明する。
[4.電気掃除機の構成]
図17に示すように、電気掃除機1は、ゴミや塵埃等(以下、単に「塵埃」という。)を、掃除機本体2内に設けた電動送風機43(図21参照)による送風を利用した吸引力で不図示の吸込具から延長管及び吸引ホース412を介して掃除機本体2内の集塵部4に収集する装置である。この電気掃除機1は、後記する掃除機本体2と、吸引力を発生させる電動送風機43(図21参照)と、吸引ホース412と、手元操作スイッチ等が設けられた不図示の操作管と、延長管(図示省略)と、吸込具(図示省略)と、を備えて構成されている。
[5.掃除機本体の構成]
図17に示すように、掃除機本体2は、掃除機本体2の下方部位に配置された下ケース421と、下ケース421の上側に設けられた上ケース422と、上ケース422の背面側に設けられる排気カバー423と、上ケース422の上面側に配置された上ケースカバー424と、集塵部4の上部を覆う集塵蓋425と、掃除機本体2の上部に設置されたハンドル426と、ハンドル連設部427と、上ケース422に着脱自在に設けられた集塵部4と、下ケース421に軸支された左右一対の車輪45と、電源コード(図示省略)と、を有している。
図18及び図19に示すうように、掃除機本体2を構成するケース体は、ナノセルロースファイバー樹脂によって形成されたナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aと、ナノセルロースファイバー樹脂よりも弾性率が低く、かつ、引張破壊伸びが大きい樹脂によって形成され、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aが取り付けられる非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bと、から主に構成されている。掃除機本体2の外殻は、下ケース421と、上ケース422と、排気カバー423と、上ケースカバー424と、集塵蓋425と、ハンドル426と、ハンドル連設部427とによって主に覆われている。
<ナノセルロースファイバー樹脂製部品の構成>
図19に示すように、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aは、ナノセルロースファイバーを含有するナノセルロースファイバー樹脂により形成された部品であり、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bと比較して軽量で剛性を有している。このナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aは、例えば、短繊維からなるナノセルロースファイバーを含有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂)で成形されている。ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aは、電気掃除機1において、例えば、車輪45、排気カバー423、上ケースカバー424、集塵蓋425、ハンドル426のハンドル下側半体426A、ハンドル連設部427のハンドル連設部内材427b、及び、集塵部4の塵埃分離部442等である。
この場合、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aにおいて、この部品中に含まれるナノセルロースファイバーの含有率は、部品が使用される場所に合わせて適宜に変更してもよく、特に限定されない。また、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42A中に含まれるナノセルロースファイバーの長さ、ナノセルロースファイバーの材質、ナノセルロースファイバーを含有させる樹脂等は、特に限定されない。
<非ナノセルロースファイバー樹脂製部品の構成>
非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bは、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aと比較して弾性率が低く、かつ、引張破壊伸びが大きい一般的な樹脂によって形成された部品である。非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bは、ナノセルロースファイバーを含有しない一般的な樹脂材料からなる部品であり、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等から形成されている。非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bは、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aが取り付けられる部材、あるいは、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aが隣接する位置に設置される部材であり、例えば、下ケース421、上ケース422、ハンドル426のハンドル上側半体426B等である。
<下ケースの構成>
図20に示すように、下ケース421は、掃除機本体2の下面部位、下部前後面部位、下部左右側面部位、及び、その内部を絶縁性を有する非ナノセルロースファイバー樹脂(例えば、ポリプロピレン)で形成した非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bである。下ケース421には、前端部に形成され、ホース接続部411(図17参照)が着脱されるホース着脱部421aと、前側寄りの中央部に形成され、前輪452(車輪45)を軸支するための前輪軸支部421b(図24参照)と、後側寄りの左右側壁に形成され、後輪451(車輪45)が軸支される後輪軸支部421cと、電動送風機43(図21参照)が内設される送風機設置部421dと、送風機設置部421dの前後に形成された後側側壁421e及び仕切壁421fと、略底付円筒形状の多数の雌ねじ部等が一体形成されている。
ホース着脱部421aは、下ケース421の前側側壁に形成された略円筒形状の貫通孔からなり、その内面にホース接続部411(図17参照)の係止部(図示省略)が係止する凹凸形状部位が形成されている。
図17に示すように、前輪軸支部421bは、1つの車輪45からなる前輪452を、前輪452の左右から弾性係止軸片452Aを軸支する軸孔付きの左右一対の軸支片からなる。
図20及び図21に示すように、後輪軸支部421cは、左右一対の後輪451(車輪45)が、それぞれ回転自在に軸支される部位であり、側面視して円筒状に配置され複数の弾性係止軸片451aが、内嵌されるように円筒形状に形成されている。後輪軸支部421cの周囲の車輪対向部位は、後輪451の上部の形状に合わせて略半円形に形成されている。
図20に示すように、送風機設置部421dは、前記左右の後輪軸支部421c間に形成された送風機設置用空間であり、後端部に後側側壁421e、前側に仕切壁421fが形成されている。
後側側壁421eは、下ケース421の後側側面を形成している側壁部位である。
仕切壁421fは、送風機設置部421dと、集塵ユニット441が配置される部位とを仕切るための隔壁であり、下ケース421の中央部に垂直に立設した状態に形成されている。
<車輪の構成>
前記した車輪45は、回転することによって、掃除機本体2が床面上を移動させるための略円盤状(図22及び図23参照)の回転部材である。この車輪45は、下ケース421の左右側面の後部側にそれぞれ配置された左右一対の後輪451と、下ケース421の下面の前側寄り中央に配置された前輪452と、からなる。車輪45は、ナノセルロースファイバー樹脂によって形成されることで、全体の肉厚を従来のポリプロピレンあるいはABS樹脂製のものと比較して、薄肉で剛性のあるものに形成されている。この車輪45は、耐衝撃性を増すために、例えば、ナノセルロースファイバー樹脂よりも軟質で衝撃吸収性に優れているポリプロピレン製の下ケース421に軸支されている。また、車輪45は、ナノセルロースファイバーを含有するナノセルロースファイバー樹脂で成形されていることにより、車輪45に帯電した静電気を床面等に放電する機能を果たす。
図23に示すように、後輪451は、前記した弾性係止軸片451aを有する内輪部451bと、内輪部451bの外周部に外嵌された外輪部451cと、を一体に組み付けて車輪45を形成している。内輪部451bの外周縁と、この外周縁に設けられる外輪部451cの内縁部には、互いに係合するための係合部451dが形成されている。
前記した前輪452は、後輪451よりも小さい1つの部材からなる。
<上ケースの構成>
前記図20に示すように、上ケース422は、下ケース421の上側に合致した状態で、前端部、中央部及び後端部をそれぞれのねじN1で締結されるケース体であり、例えば、ABS樹脂等の一般的な樹脂によって形成されている。図19に示すように、上ケース422は、それぞれ後記する下側周縁部42Aと、車輪カバー部42Bと、集塵ユニット収納部422cと、排気カバー設置部422dと、上ケースカバー設置部422eと、集塵蓋配置部422fと、ハンドル設置部422gと、排気口422iと、凸部422j(図25参照)と、雌ねじ部422k(図25参照)と、表示部422mと、ねじ挿入孔422n(図26参照)と、貫通孔422oと、コード引出部422pと、基板設置部422s(図25参照)と、爪422t(図25参照)と、を有している。
図20に示すように、下側周縁部42Aは、前記下ケース421の上側周縁部421gに合致する部位であり、上ケース422の下側の略全周に亘って形成されている。
車輪カバー部42Bは、左右の後輪451の上側半分を左右幅方向に略半分覆うように形成された部位であり、後輪451を回転自在に覆って保護する保護部である。車輪カバー部42Bは、上ケース422の左右の下側後部に円弧状に切欠形成されている。
図19に示すように、集塵ユニット収納部422cは、集塵ユニット441が配置される部位であり、略円柱形状の集塵ユニット441の後側半分を斜めに収納して保持するように形成されている。
排気カバー設置部422dは、排気カバー423が複数のねじN2によって固定される部位であり、排気カバー423が合致するように上ケース422の後面に形成されている。
上ケースカバー設置部422eは、上ケースカバー424が取り付けられる部位であり、上ケース422の上部後側の集塵ユニット441の背面に形成されている。
集塵蓋配置部422fは、集塵蓋425が回動自在に配置される部位であり、上ケース422の上面前側に形成されている。集塵蓋配置部422fの後部には、集塵蓋425の軸支部425aが回動自在に軸合する左右一対の軸合部422hが形成されている。
図19に示すように、ハンドル設置部422gは、ハンドル426の左右の下端部が取り付けられる部位であり、上ケース422の中央部の左右上部に形成されている。
排気口422iは、電動送風機43(図21参照)によって吸引され、集塵部4で塵埃と分離されて浄化された風が排気される排気口422iであり、上ケース422の後面に形成された複数の開口からなる。
凸部422jは、排気カバー423の内面に形成された係止部423b(図25参照)が係止する部位であり、上ケース422の後面下部に左右方向に向けて延設されている。
左右一対の雌ねじ部422kは、排気カバー423のねじ挿入孔423dに挿入したねじN2が螺合されるねじ穴であり、排気カバー設置部422dの左右に形成されている。
図25は、図24のB−B拡大断面図である。図26は、図18のC−C拡大断面図である。
表示部422mは、例えば、不図示のフィルタの目詰まり状況を段階的に照明表示するインジケータ、または、じゅうたんモード、床・畳みモード、強モードの三つの運転状態を照明表示するインジケータ等であり、三つの表示素子461(図25参照)を基板設置部422s内の回路基板46に並設してなる。
図26に示すように、ねじ挿入孔422nは、上ケースカバー424を上ケース422に固定するためのねじN3が挿入される孔である。
貫通孔422oは、上ケースカバー424の下面に突設した係止片424bが挿入して係止される孔であり、上ケースカバー設置部422eの後端部側の左右に形成されている。
図19に示すように、コード引出部422pは、不図示の電源プラグを有するコードが引き出し自在に配置される部位であり、この外側に、排気カバー423のコード引出口423eが合致するように配置されている。
<排気カバーの構成>
図19及び図24に示す排気カバー423は、前記排気口422iを覆うようにして配置される略網状の部材であり、多数の排気孔423aが形成されたナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aである。図25に示すように、排気カバー423には、前記排気孔423a(図24参照)と、上ケース422の凸部422jに係止する係止部423bと、上ケース422の爪422tに係止する係止片423cと、ねじN2が挿入されるねじ挿入孔423dと、コード引出口423e(図19参照)と、が形成されている。排気カバー423は、係止部423bを凸部422jに係止して、係止片423cを爪422tに係止し、ねじN2をねじ挿入孔423dを介して雌ねじ部422kに螺合することで、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bである上ケース422に固定されている。
<上ケースカバーの構成>
図25に示すように、上ケースカバー424は、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aであり、この上ケースカバー424の下側の上ケース422の基板設置部422sに設置された回路基板46の上部を覆うように設置されている。このため、上ケースカバー424は、回路基板46に帯電した静電気をナノセルロースファイバー(有機導電性繊維)によって大気中に放電することができるので、回路基板46に静電気が帯電するのを抑制することができる。
図26に示すように、上ケースカバー424は、上ケース422のねじ挿入孔422nに挿入したねじN3が螺合する雌ねじ部424aと、上ケース422に形成された貫通孔422oに挿入して係止される係止片424bと、によって上ケース422の上面に固定されている。
<回路基板の構成>
図25に示すように、前記回路基板46は、上ケース422の表示部422mを照明表示する複数のLED等の表示素子461が実装される基板であり、上ケースカバー424の下面に設置された上ケース422に、縦断面視して凹部状に形成された基板設置部422sの内底に設置されている。回路基板46は、不図示のねじ部材によって上ケース422基板設置部422sの内底に固定されている。
<集塵部の構成>
図19に示すように、集塵部4は、電動送風機43(図21参照)の吸引風によって吸い込んだ塵埃を収集する部位であり、上ケース422の前部に配置されている。空気は、集塵部4の背面に配置された捕塵フィルタ(図示省略)、電動送風機43を経て排気カバー423の排気孔423aから外部に排気される。集塵部4は、塵埃分離部442と塵埃収納部443とを有する集塵ユニット441を備えている。
集塵ユニット441は、集塵ユニット収納部422cに着脱自在に収納されるサイクロン集塵装置であり、下側(流入口側)にナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aからなる塵埃分離部442が配置され、上側に非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bからなる塵埃収納部443が配置されている。このため、集塵ユニット441は、塵埃分離部442内の塵埃が回転するなどして発生した静電気を、ナノセルロースファイバー樹脂製の塵埃分離部442から上方に配置されたナノセルロースファイバー樹脂製の集塵蓋425を介在して大気中に放電させることが可能となる。
塵埃分離部442は、空気と塵埃とを旋回させて分離する容器形状の部材であり、ゴミ等が旋回することによって静電気が発生する。この塵埃分離部442は、導電性のナノセルロースファイバー樹脂製であるので、静電気を隣接する塵埃収納部443を介して集塵蓋425側へ放電することができる。その結果、従来使用していた帯電防止部材を不要にすることができると共に、塵埃収納部443の透明性を悪化させていた帯電防止部材に代えて塵埃収納部443を透光性の樹脂で形成することを可能にする。
塵埃収納部443は、この電動送風機43の吸引力で集塵した塵埃を収容する円筒形状のケース体からなり、内設された捕塵容器(図示省略)と、開口部に設けられた開口蓋(図示省略)と、捕塵フィルタ(図示省略)等を備えている。
<集塵蓋の構成>
図19に示すように、前記集塵蓋425は、集塵ユニット441の上部に係合するように配置される開閉蓋体であり、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aからなる。集塵蓋425は、後端部の左右に略円筒形状の軸合部422hに回動自在に軸支される軸支部425aと、集塵ユニット441の上部前側に設けられた係合部441aに係合・離脱する係止部425bと、を有している。
図27は、ハンドルの拡大分解斜視図である。図28は、ハンドルと上ケースとのねじ止め部位を示す一部断面を有する要部分解斜視図である。図29は、図28のD−D拡大断面図である。
<ハンドルの構成>
図27及び図28に示すように、ハンドル426は、利用者が電気掃除機1を手で持って移動させる際に掴む部位であり、背面視してトンネル状に湾曲して形成されている。ハンドル426は、上側に配置される非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bからなるハンドル上側半体426Bと、ハンドル上側半体426Bの下側に合致されるナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aからなるハンドル下側半体426Aと、を複数のねじN4でねじ止めてなる。ハンドル426は、ナノセルロースファイバー樹脂よりも軟質で変形して応力を吸収し易いABS樹脂あるいはポリプロピレン等からなるハンドル上側半体426Bと、非ナノセルロースファイバー樹脂よりも軽量で剛性を有し薄肉にすることが可能なハンドル下側半体426Aと、を組み合わせたことにより、ハンドル426全体が軽量で剛性のあるものに形成されている。
ハンドル上側半体426Bは、中央部及び左右端部にそれぞれ形成され、ハンドル下側半体426Aのねじ挿入孔426Aaに挿入されたねじN4がねじ止められる雌ねじ部426Baと、左右端部に形成された切欠部426Bbと、を有している。このため、ハンドル上側半体426Bは、3本のねじN4によりハンドル下側半体426Aに固定される。また、ハンドル上側半体426Bは、切欠部426Bbを有することで、切欠部426Bbがある分だけに肉抜きすることができるため、その分だけ軽量化されている。
図27〜図29に示すように、ハンドル下側半体426Aの左右には、切欠部426Bbに合わせて形成された切欠孔426Abと、上ケース422のハンドル固定孔422qに挿入されてねじN5が螺合される複数の雌ねじ部426Acが形成されている。
<ハンドル連設部の構成>
図19に示すように、ハンドル連設部427は、上側にハンドル426の基端部が連設されると共に、集塵部4の外周枠の一部を形成する部材であり、上ケース422にねじ止めされている。ハンドル連設部427は、このハンドル連設部427の外側に設けられ、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bからなるハンドル連設部外枠427aと、このハンドル連設部外枠427aの内側に設けられ、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aからなるハンドル連設部内材427bと、を備えて構成されている。ハンドル連設部427は、ハンドル426の二股状の切欠孔426Abに合わせて連設するように配置された非ナノセルロースファイバー樹脂製のハンドル連設部外枠427aと、ナノセルロースファイバー樹脂製のハンドル連設部内材427bと、を組み合わせてなる。
ハンドル連設部外枠427aは、側面視して斜め後上方向に向けて略V字形状に形成された部材であり、例えば、ABS樹脂によって形成されている。ハンドル連設部外枠427aは、ナノセルロースファイバー樹脂よりも軟質なABS樹脂等の非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bであるため、ハンドル連設部内材427bにかかった応力を緩和させて、ハンドル連設部内材427bに亀裂ができるのを解消する機能を果たす。
ハンドル連設部内材427bは、略V字形状のハンドル連設部外枠427aの内側に設けられたナノセルロースファイバー樹脂製の部材であり、ハンドル連設部427全体の強度を向上させて薄肉化及び軽量化を図ることができるという機能を果たす。
[6.電気掃除機の作用]
次に、図18及び図19を主に各図を参照しながら本発明の実施形態に係る電気掃除機1の作用を説明する。
例えば、図18及び図19に示すように、電気掃除機1を移動させる場合、利用者は、ハンドル426及び不図示の操作管を手で持って移動させる。この移動の最中にハンドル426には、掃除機本体2全体の荷重や、他の異物と接触するなどして衝撃力等がかかる。その荷重等は、ハンドル426のハンドル上側半体426B及びハンドル下側半体426Aにかかる。
ハンドル上側半体426Bは、ナノセルロースファイバー樹脂よりも軟質な非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bからなるので、荷重によって僅かに変形することにより、衝撃を吸収することができる。このため、ハンドル上側半体426Bは、衝撃に対して比較的弱いハンドル下側半体426Aに亀裂が発生するのを抑制することができる。
ハンドル下側半体426Aは、ナノセルロースファイバー樹脂から形成されていることにより、ハンドル426に帯電する静電気を大気中に放電することができるため、利用者がハンドル426を掴んだ際に、ハンドル426から利用者に静電気が流れるのを防止することができる。
また、電気掃除機1を移動させている最中は、車輪45が床面を転動しながら移動する。この場合も、車輪45の回転で静電気が発生したとしても、前記同様に車輪45がナノセルロースファイバー樹脂から形成されていることにより、静電気を床面に放電させることができる。
また、車輪45の回転移動中に、この車輪45に衝撃等がかかった場合も、前記同様に、車輪45が軸支されている下ケース421がポリプロピレン樹脂等の非ナノセルロースファイバー樹脂製であるので、衝撃力を吸収することができるため、車輪45に亀裂が発生するのを抑制することができる。
また、電気掃除機1は、清掃作業を行うと、吸引した塵埃が塵埃分離部442で旋回するので、塵埃分離部442に静電気が発生する。この場合も前記同様に、塵埃分離部442及び集塵蓋425がナノセルロースファイバー樹脂から形成されていることにより、上部の集塵蓋425から静電気を大気中に放電させることができる。このため、集塵部4は、帯電シートが不要になる。
また、電気掃除機1で子供が遊ぶなどして掃除機本体2に馬乗りし、電気掃除機1の上部にあるハンドル426、ハンドル連設部427、集塵蓋425、上ケースカバー424及び排気カバー423に荷重がかかった場合、それらのナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aは、いずれもナノセルロースファイバー樹脂製で強度があると共に、隣接する部材及び取り付けられている部材が、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bであるため、前記同様に、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bによって荷重を吸収してナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aに亀裂ができるのを抑制することができる。
つまり、集塵蓋425、上ケースカバー424及び排気カバー423は、いずれもABS樹脂等の非ナノセルロースファイバー樹脂製の上ケース422にねじ止め、あるいは、係止されているので、上ケース422によって荷重を緩和することができる。
また、ハンドル426は、前記したように、ナノセルロースファイバー樹脂製のハンドル下側半体426Aと、非ナノセルロースファイバー樹脂製のハンドル上側半体426Bとを組み合わせてなるので、一方の部材で荷重を緩和し、他方の部材で全体の強度を向上させることができる。前記したようにハンドル連設部427も、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aであるハンドル連設部外枠427aと、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bであるハンドル連設部内材427bとからなるため、前記ハンドル426と同様な作用効果を奏する。
図25に示すように、回路基板46は、静電気が帯電したとしても、この回路基板46の上面に位置する上ケースカバー424がナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aであるので、静電気を上ケースカバー424から大気中に放電することができるため、回路基板46上に実装された表示素子461やその他の電子部品が静電気で破壊されるのを防止することができる。
このように、図18及び図19に示す電気掃除機1において、前記したハンドル426、ハンドル連設部427、塵埃分離部442、集塵蓋425、上ケースカバー424、排気カバー423及び車輪45は、いずれも強度があるナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aであって、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bである上ケース422、下ケース421等に取り付けられているので、非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bで応力を緩和することができるため、薄肉化して薄肉にした分だけ軽量化することができる。
その結果、掃除機本体2全体を軽量して、高剛性を有する電気掃除機1にすることができる。
[7.変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
例えば、前記実施形態では、図23に示す車輪45を同一のナノセルロースファイバー樹脂からなる内輪部451bと外輪部451cと組み合わせた場合を説明したが、内輪部451bと外輪部451cのどちらか一方をナノセルロースファイバー樹脂製にして、他方をABS樹脂やポリプロピレン等の非ナノセルロースファイバー樹脂で形成してもよい。
このようにすれば、非ナノセルロースファイバー樹脂が車輪45の衝撃を吸収するので、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aに亀裂が発生するのを抑制することができる。
前記実施形態では、ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Aと非ナノセルロースファイバー樹脂製部品42Bとをねじ部材で固定した場合を説明したが、ねじ部材以外の締結部材、超音波溶着、接着剤等によるその他の固着手法によって互いに固定してもよい。