JP5645644B2 - 摩擦ダンパー - Google Patents
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Description
大地震時等の最大層間変位時には、建物等の制振対象の構造体自身が大きく変形していることから、当該構造体には大きな内力が生じている。このような時に、更に大きな外力が変形方向と逆向きに付与されると、その分だけ、更に内力が拡大して構造体の破壊限界強度に至り易くなる。この点につき、上記摩擦ダンパーの減衰力も、変形方向と逆向きの外力として構造体に作用し、また、層間変位の大きさによらず常にほぼ一定の減衰力を発生する。つまり、上述の従来の摩擦ダンパーによれば、構造体は、最大層間変位時の厳しい内力下においても、大きな減衰力が加えられることになり、その場合には、構造体の破壊限界強度の大きさによっては、構造体は破損してしまう。
所定方向に相対移動する二部材間に介装されて、前記所定方向の相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力を減衰力として用いて前記相対移動に係る振動を抑制する摩擦ダンパーであって、前記所定方向の相対移動量が所定値を超えたときに、前記圧接板同士の間の圧接力が低下する摩擦ダンパーにおいて、
前記二部材のうちの一方の部材に一体に設けられた第1圧接板と、
前記二部材のうちの他方の部材に一体に設けられた第2圧接板と、
弾発力が前記圧接力となる弾性部材と、
前記相対移動量に応じて、前記板厚方向の高さ寸法を拡縮する高さ寸法変更部材と、
前記第1圧接板、前記第2圧接板、前記弾性部材、及び前記高さ寸法変更部材を前記板厚方向に重ねた状態で、これらの重なり高さが一定になるように規制すべく、これらを前記板厚方向に挟み込む重なり高さ規制部材と、を有し、
前記高さ寸法変更部材は、前記所定方向の相対移動動作を回転動作に変換する第1変換機構と、前記回転動作を前記高さ寸法の拡縮動作に変換する第2変換機構と、を有し、
前記第2変換機構は、前記回転動作に基づいて前記板厚方向に沿った軸芯周りに回転する回転円板と、前記回転円板の板面を転動面として前記回転円板の回転方向に沿って転動する転動体と、を有し、
前記転動面は、前記板厚方向に突出する突部を有し、
前記第1圧接板と前記第2圧接板との前記相対移動量が前記所定値以下のときには、前記転動体は、前記突部を転動し、
前記第1圧接板と前記第2圧接板との前記相対移動量が前記所定値を超えたときに、前記転動体は、前記突部よりも前記板厚方向にへこんだ凹部を転動することを特徴とする摩擦ダンパー。
また、上記構成によれば、高さ寸法変更部材は、前記所定方向の相対移動動作を回転動作に変換する第1変換機構と、前記回転動作を前記高さ寸法の拡縮動作に変換する第2変換機構とを有している。よって、相対移動に応じて高さ寸法を変化させることにより、弾性部材の弾発力の変化を通して、第1圧接板と第2圧接板との圧接力を変化させることができて、その結果、相対移動量が所定値を超えたときに、摩擦力を確実に低下させることができる。
また、相対移動量が所定値を超えたときに発生すべき減衰力たる摩擦力の大きさを、同相対移動量が所定値以下のときよりも確実に低下させることができる。詳しくは次の通りである。
先ず、第1圧接板と第2圧接板との相対移動量が所定値以下のときには、転動体は、回転円板の突部を転動しているので、高さ寸法変更部材の高さ寸法は大きい状態にある。そのため、重なり高さ規制部材の規制に基づいて、弾性部材は大きく圧縮された状態になっており、よって、当該弾性部材は、大きな圧接力でもって第1圧接板と第2圧接板とを圧接し、大きな摩擦力が発生される。
これに対して、第1圧接板と第2圧接板との相対移動量が所定値を超えたときには、転動体は、回転円板の凹部を転動するが、凹部は突部よりも板厚方向にへこんでいる。そのため、高さ寸法変更部材の高さ寸法は、上述の転動体が突部を転動する場合よりも小さくなる。そして、これに伴って、その分だけ、重なり高さ規制部材による弾性部材の圧縮変形も緩和されて圧接力が低下するので、小さな圧接力でもって第1圧接板と第2圧接板とを圧接することとなり、結果、小さな摩擦力が発生される。
前記相対移動量が前記所定値を超えると、前記高さ寸法変更部材の前記高さ寸法が縮小することにより、前記弾性部材の弾発力の低下を介して前記圧接力が低下することを特徴とする。
前記回転円板の前記凹部と前記突部との間には、前記凹部から前記突部に向かうに従って徐々に前記板厚方向の突出量が大きくなった傾斜部が設けられていることを特徴とする。
前記回転円板は、その両方の板面にそれぞれ前記突部を有し、
前記両方の板面のうちの一方の板面の突部と、他方の板面の突部とは、互いの前記回転方向の位置を揃えて配置されており、
前記両方の板面には、それぞれ、前記板厚方向を法線方向とする平面を有した平面部材が対向して配置され、
前記転動体は、前記回転円板の板面と前記平面部材の平面とに挟圧されながらこれらを転動することを特徴とする。
前記回転円板は、前記第1圧接板に対して前記所定方向に相対移動不能且つ前記軸芯周りに回転可能に設けられ、
前記第1変換機構は、前記回転円板のうちで前記軸芯から偏心した部分と、前記第2圧接板とを連結するリンク部材であり、
前記リンク部材は、前記第1圧接板と前記回転円板との前記板厚方向の相対移動を許容しながら、前記第2圧接板と前記回転円板とを連結することを特徴とする。
また、リンク部材は、回転円板と第2圧接板との間の前記板厚方向の相対移動を許容する。よって、前記所定方向の相対移動量が所定値を超えたときに、転動体の転動位置の変化を介して起こり得る回転円板の板厚方向の位置の変化を、リンク部材によって速やかに吸収可能であり、結果、圧接力の変更を円滑に行うことができる。
前記突部は、前記回転円板の回転方向に所定間隔をあけながら複数設けられ、
前記転動体は、前記突部毎に設けられ、
前記転動体同士の互いの相対位置関係を一定に保つためのリテーナーを有していることを特徴とする。
前記重なり高さ規制部材は、
前記弾性部材、前記第1圧接板、前記第2圧接板、及び前記回転円板の全てを前記板厚方向に沿って貫通して設けられるボルトと、
前記ボルトに螺合するナットと、を有し、
前記ボルトの頭部と前記ナットとの両者で、前記弾性部材、前記第1圧接板、前記第2圧接板、及び前記回転円板の全てを前記板厚方向に挟み込むことにより、前記ボルトに生じた軸力が、前記圧接力として作用し、
前記ボルトは、前記回転円板の前記軸芯の位置に設けられ、
前記突部は、前記回転円板の回転方向に所定間隔をあけながら複数設けられ、
前記転動体は、前記ボルトの周囲を囲いつつ、前記突部毎に設けられていることを特徴とする。
前記第2変換機構は、前記回転動作に基づいて前記板厚方向に沿った軸芯周りに回転する回転円板と、前記回転円板の板面を転動面として前記回転円板の回転方向に沿って転動する転動体と、を有し、
前記転動体は、該転動体の外周方向の位置に応じて回転半径が変化する断面非正円形状のローラーであることを特徴とする。
第1実施形態の摩擦ダンパー20は、例えば、鉄骨柱と鉄骨梁とを結合してなる柱梁架構3に係るブレース10に取り付けて使用される。以下、これを例に説明するが、取り付け対象は何等これに限らない。
図1は、第1実施形態の摩擦ダンパー20を柱梁架構3のブレース10に組み込んだ状態の概略正面図である。図2Aは、図1中のII−II矢視図であって、ブレース10の分断端部10a,10bに介装された摩擦ダンパー20の概略中心断面図であり、また、図2Bは、図2A中のB−B矢視図である。
すなわち、相対移動量が所定値α以内の場合には、上記高さ寸法H40を略一定に維持するが、他方、相対移動量が所定値αを超えたら、上記高さ寸法H40を縮小する。よって、所定値αを超えると、上記高さ寸法H40の縮小分だけ皿ばね積層体30の圧縮変形が緩和されて、弾発力が小さくなるので、中板16と外板12,14との間の圧接力の低下を介して同摩擦力が低下する。
故に、この摩擦ダンパー20によれば、図3のような減衰力特性を奏し得る。すなわち、同図3の減衰力−変位(相対移動量)関係のグラフに示すように、この摩擦ダンパー20によれば、柱梁架構3における架け渡し方向の相対移動量が所定値α以下では、大きな摩擦力Ff1たる大きな減衰力Fを発生するが、所定値αを超えたときには、同グラフ中に線分ABで示すように、摩擦力たる減衰力Fは低下し始め、そして更なる相対移動量の増加とともに減衰力Fは漸減するような特性を示す。このような減衰力特性の摩擦ダンパー20は、特に制振対象が古い既存建物等の低強度構造体の場合に有効であり、これについては後述する。
図2Bに示すように、第1変換機構41は、中板16を、後述する第2変換機構42の回転円板45に連結するリンク部材41Lを本体とする。詳しくは、このリンク部材41Lの一端部41aLは、中板16に(正確には中板16側の部材16aに)回転可能にピン接合されており、また、同リンク部材41Lの他端部41Lbは、回転円板45において、その回転中心たる軸芯C45から所定量だけ偏心した位置の孔部45pに回転可能にピン接合されている。よって、回転円板45を回転可能に支持する外板12,14に対して中板16が架け渡し方向に相対移動すると、その相対移動動作が、リンク部材41Lを介して、回転動作に変換されて回転円板45に伝達され、もって、図4Bに二点鎖線で示すように、当該相対移動に応じて回転円板45は軸芯C45周りの回転動作をする。
図5A及び図5Bに示すように、回転円板45における受圧板48,49との対向面45a,45bには、回転円板45の回転方向Dcに沿って所定ピッチP45で複数(図示例では四つ)の突部45c,45c…が互いに同形に形成されている。詳しくは、回転円板45の両面45a,45bには、それぞれ突部45c,45c…が設けられており、また同両面45a,45bにおいて互いに対応する突部45c,45c同士については、その回転方向Dcの位置が互いに同じ位置に揃っている。また、回転方向Dcに隣り合う突部45c,45c同士の間の部分は、突部45cよりも板厚方向にへこんだ凹部45dになっており、更に、凹部45dと突部45cとの間の部分は、凹部45dから突部45cへ向かうに従って徐々に板厚方向の突出量が大きくなった傾斜部45fになっている。なお、図5A及び図5Bの例では、凹部45dは平面を有さないノッチ状となっているが、平面を有していても良い。また、回転円板45と各受圧板48,49との間には、転動体50として複数の断面正円形状フラットローラー50,50…が、突部45cの前記回転方向Dcの形成ピッチP45と同じピッチP50で回転円板45の全周に亘って介装されており、これらフラットローラー50,50…は、回転円板45が回転動作をすると、回転円板45と受圧板48,49とに挟まれた状態で、当該回転動作に応じて、回転円板45の板面45a,45b及び受圧板48,49の平坦な板面48a,49aをそれぞれ転動面として回転方向Dcに沿って転動する。
このような減衰力特性を有する摩擦ダンパー20は、特に制振対象の構造体が古い既存建物等の低強度構造体の場合に有効に利用される旨を前述したが、以下、これについて説明する。図7A乃至図7Dは、その説明図である。なお、図7Aは、柱梁架構3において従来の摩擦ダンパーにより減衰力Fが付与される力点部位(外力が付与される部位のこと)の水平方向の変位と、力点部位に生じる内力との関係を示すグラフであり、図7Bは、従来の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性のグラフである。また、図7Cは、第1実施形態の摩擦ダンパー20の振動エネルギー吸収履歴特性のグラフであり、図7Dは、第1実施形態の摩擦ダンパー20により減衰力Fが付与される力点部位の水平方向の変位と、力点部位に生じる内力との関係を示すグラフである。なお、図7Cは、前述の図3と概ね同じグラフである。
そして、当該構成によっても、一対の外板12,14と中板16との架け渡し方向の相対移動に伴って、回転円板45上における転動体50の転動位置が、突部45cから傾斜部45fを経て凹部45dへと移ることになって、この移る際には、ジャッキ部材40の高さ寸法H40が変化するので、上述と同様のメカニズムに基づいて、相対移動量が大きいときの摩擦力を低下させることができる。
かかるリテーナー55の具体例としては、例えば、転動体50の直径よりも薄い板厚の円板部材55を本体として用い、この円板部材55における各転動体50に対応する位置に、転動体50の収容孔55hとして、転動体50よりも若干大きい略相似形状の貫通孔55hを形成したもの等が挙げられる。ちなみに、このリテーナー55に係る円板部材55の平面中心には、板厚方向にボルト60bを挿通するためのボルト挿通孔55bが形成されており、これにより、リテーナー55自体もジャッキ部材40から離脱不能に保持されている。
但し、この場合の各段差45jの高さは、転動体50の半径よりも小さいことが必要であり、この条件を満たしていれば、転動体50は問題無く段差を乗り越えることができる。ただ、段差45jを乗り越える際には衝撃が生じるので、望ましくは第1実施形態のように傾斜部45fを設ける方が円滑に移行できるので、その方が良い。なお、上述の第1実施形態では、傾斜部45fを平面で形成していたが、曲面で形成しても良い。
図11A乃至図11Dは、第2実施形態の摩擦ダンパーのジャッキ部材40の説明図であり、前述の図5Bと同様、回転円板45及び受圧板48,49の板厚方向の厚み変化がわかるように、これらの外周面をその全周に亘って平面上に展開して示した模式図である。
前述の第1実施形態との主な相違点は、転動体50を無くす代わりに受圧板48,49に突部48c,49cを形成している点にある。よって、主にこの相違点について説明し、これ以外の同一の構成については第1実施形態と同じ符号を付してその説明については省略する。
ちなみに、ここで言う「転動」とは、転動体たるフラットローラー50と回転円板45及び受圧板48,49の各面45a,45b,48a,49aとが、概ね相対滑りをすることなく、各面45a,45b,48a,49a上をフラットローラー50が回転円板45の回転方向Dcに沿って回転して移動することを意味し、つまり、フラットローラー50が、各面45a,45b,48a,49aに対して概ね転がり接触することを意味する。但し、フラットローラー50の転動経路が、回転円板45の軸芯C45周りの円弧軌道であることから、フラットローラー50の内輪差、つまりフラットローラー50の回転半径方向の内側と外側とで周回半径が異なることに基づいて、多少の相対滑りは生じることになる。そのため、この相対滑りが問題になる場合には、上記のフラットローラー50に代えて、円錐コロを用いても良い。なお、円錐コロを用いた場合には、円錐コロが転動すべき回転円板45及び受圧板48,49の各面45a,45b,48a,49aは、円錐コロの円錐面に対応したテーパー面状に形成されることになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。例として以下に示すような実施形態が挙げられる。
但し、上述の図5A及び図5Bの第1実施形態のように、回転円板45における少なくとも一方の面45a(45b)に突部45cを複数有していれば、図13のような減衰力特性を奏することができて、結果、制振対象の構造体が想定外の相対変位をした場合に、当該相対変位を有効に抑制することができる。
詳説すると、例えば、前述の突部45cの頂面45eと傾斜部45fと凹部45dとの
回転方向Dcの各代表長さ(頂面45e、傾斜部45f、及び凹部45dのそれぞれにおいて転動体50の回転軸方向の中央位置P50(図5B)が当接すべき位置での回転方向Dcの長さ)は、構造体が想定最大変位分だけ相対移動した際に、転動体50が突部45cの頂面45eの中央位置から凹部45dの位置まで転動するように設計される。そのため、基本的には、突部45cを転動する転動体50が、その隣の突部45cを転動することは、あり得ない。しかしながら、万一この想定最大変位を超えるような振動が入力された場合には、上述のようなことが起こり得て、その場合、つまり転動体50が上記隣の突部45cまで達してこれを転動する場合には、これにより、相対移動により一旦小さくなった前記高さ寸法H40が、反転して大きくなる。これに伴い、圧接力の反転漸増を来たし、摩擦力たる減衰力Fも反転漸増し、つまり、その減衰力特性は、図13中に線分AB及び線分BCで示すように、相対移動の増加とともに一旦漸減した減衰力Fが、反転漸増するカーブを描く。そして、この反転漸増した減衰力Fは、想定最大変位を超える変位を止める方向に有効に働くので、結果、構造体の想定外の相対変位を有効に抑制可能となる。
12 外板(第1圧接板)、12h ボルト挿通孔、
14 外板(第1圧接板)、14h ボルト挿通孔、
16 中板(第2圧接板)、16h ボルト挿通孔、
16a 部材、
20 摩擦ダンパー、 22 摩擦板、23 滑動板、
30 皿ばね積層体(弾性部材)、31 皿ばね、31h 貫通孔、
40 ジャッキ部材(高さ寸法変更部材)、
41 第1変換機構、
41L リンク部材、41aL 一端部、41Lb 他端部(連結部分)、
41m 薄厚部、
42 第2変換機構、45 回転円板、45a 面、45b 面、
45c 突部、45e 頂面、45d 凹部、45f 傾斜部、
45h 貫通孔、45j 段差、45p 孔部、
48 受圧板(平面部材)、48a 面、
48c 突部、48e 頂面、48d 凹部、48f 傾斜部、
48h 貫通孔、48p 円筒部、
48c’ 突部、48d’ 凹部、48f’ 傾斜部、
49 受圧板(平面部材)、49a 面、49c 突部、
50 フラットローラー(転動体)、
52 楕円ローラー(断面非正円形状のローラー、転動体)、
55 リテーナー、
55b 挿通孔、55h 収容孔、
60 挟み込み部材(重なり高さ規制部材)、
60b ボルト、 60bh 頭部、60n ナット、
G 隙間、N 軸力、R 略線形領域、S 非線形領域、
Dc 回転方向、C45 軸芯、
Claims (8)
- 所定方向に相対移動する二部材間に介装されて、前記所定方向の相対移動に伴って摺動する圧接板同士の摩擦力を減衰力として用いて前記相対移動に係る振動を抑制する摩擦ダンパーであって、前記所定方向の相対移動量が所定値を超えたときに、前記圧接板同士の間の圧接力が低下する摩擦ダンパーにおいて、
前記二部材のうちの一方の部材に一体に設けられた第1圧接板と、
前記二部材のうちの他方の部材に一体に設けられた第2圧接板と、
弾発力が前記圧接力となる弾性部材と、
前記相対移動量に応じて、前記板厚方向の高さ寸法を拡縮する高さ寸法変更部材と、
前記第1圧接板、前記第2圧接板、前記弾性部材、及び前記高さ寸法変更部材を前記板厚方向に重ねた状態で、これらの重なり高さが一定になるように規制すべく、これらを前記板厚方向に挟み込む重なり高さ規制部材と、を有し、
前記高さ寸法変更部材は、前記所定方向の相対移動動作を回転動作に変換する第1変換機構と、前記回転動作を前記高さ寸法の拡縮動作に変換する第2変換機構と、を有し、
前記第2変換機構は、前記回転動作に基づいて前記板厚方向に沿った軸芯周りに回転する回転円板と、前記回転円板の板面を転動面として前記回転円板の回転方向に沿って転動する転動体と、を有し、
前記転動面は、前記板厚方向に突出する突部を有し、
前記第1圧接板と前記第2圧接板との前記相対移動量が前記所定値以下のときには、前記転動体は、前記突部を転動し、
前記第1圧接板と前記第2圧接板との前記相対移動量が前記所定値を超えたときに、前記転動体は、前記突部よりも前記板厚方向にへこんだ凹部を転動することを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1に記載の摩擦ダンパーであって、
前記相対移動量が前記所定値を超えると、前記高さ寸法変更部材の前記高さ寸法が縮小することにより、前記弾性部材の弾発力の低下を介して前記圧接力が低下することを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1又は2に記載の摩擦ダンパーであって、
前記回転円板の前記凹部と前記突部との間には、前記凹部から前記突部に向かうに従って徐々に前記板厚方向の突出量が大きくなった傾斜部が設けられていることを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
前記回転円板は、その両方の板面にそれぞれ前記突部を有し、
前記両方の板面のうちの一方の板面の突部と、他方の板面の突部とは、互いの前記回転方向の位置を揃えて配置されており、
前記両方の板面には、それぞれ、前記板厚方向を法線方向とする平面を有した平面部材が対向して配置され、
前記転動体は、前記回転円板の板面と前記平面部材の平面とに挟圧されながらこれらを転動することを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
前記回転円板は、前記第1圧接板に対して前記所定方向に相対移動不能且つ前記軸芯周りに回転可能に設けられ、
前記第1変換機構は、前記回転円板のうちで前記軸芯から偏心した部分と、前記第2圧接板とを連結するリンク部材であり、
前記リンク部材は、前記第1圧接板と前記回転円板との前記板厚方向の相対移動を許容しながら、前記第2圧接板と前記回転円板とを連結することを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
前記突部は、前記回転円板の回転方向に所定間隔をあけながら複数設けられ、
前記転動体は、前記突部毎に設けられ、
前記転動体同士の互いの相対位置関係を一定に保つためのリテーナーを有していることを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
前記重なり高さ規制部材は、
前記弾性部材、前記第1圧接板、前記第2圧接板、及び前記回転円板の全てを前記板厚方向に沿って貫通して設けられるボルトと、
前記ボルトに螺合するナットと、を有し、
前記ボルトの頭部と前記ナットとの両者で、前記弾性部材、前記第1圧接板、前記第2圧接板、及び前記回転円板の全てを前記板厚方向に挟み込むことにより、前記ボルトに生じた軸力が、前記圧接力として作用し、
前記ボルトは、前記回転円板の前記軸芯の位置に設けられ、
前記突部は、前記回転円板の回転方向に所定間隔をあけながら複数設けられ、
前記転動体は、前記ボルトの周囲を囲いつつ、前記突部毎に設けられていることを特徴とする摩擦ダンパー。 - 請求項1乃至7の何れかに記載の摩擦ダンパーであって、
前記第2変換機構は、前記回転動作に基づいて前記板厚方向に沿った軸芯周りに回転する回転円板と、前記回転円板の板面を転動面として前記回転円板の回転方向に沿って転動する転動体と、を有し、
前記転動体は、該転動体の外周方向の位置に応じて回転半径が変化する断面非正円形状のローラーであることを特徴とする摩擦ダンパー。
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