JP5645537B2 - ヒドロキシエステル誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
ジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基および4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド(DMC)の存在下、シス−1,2−シクロペンタンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘプタンジオール、シス−1,2−シクロオクタンジオール、シス−2,3−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、及び、シス−3,4−ジヒドロキシテトラハイドロフランからなる群より選ばれる環状シスジオール化合物と、カルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物とを水溶媒中で反応させることを特徴とするヒドロキシエステル誘導体の製造方法である。
本発明で使用する環状シスジオール化合物は、下記式(1)
本発明で使用するカルボン酸ハライド化合物は、試薬あるいは工業原料として入手可能なものが何等制限なく使用できる。これらカルボン酸ハライド化合物を具体的に例示すると、ベンゾイルクロライド、o−トルオイルクロライド、m−トルオイルクロライド、p−トルオイルクロライド、o−メトキシベンゾイルクロライド、m−メトキシベンゾイルクロライド、p−メトキシベンゾイルクロライド、o−クロロベンゾイルクロライド、m−クロロベンゾイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、o−ニトロベンゾイルクロライド、m−ニトロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−t−ブチルベンゾイルクロライド、1−ナフトイルクロライド、2−ナフトイルクロライド、2−チオフェンカルボン酸クロライド、3−チオフェンカルボン酸クロライド、ベンゾイルブロマイド、o−トルオイルブロマイド、m−トルオイルブロマイド、p−トルオイルブロマイド、o−メトキシベンゾイルブロマイド、m−メトキシベンゾイルブロマイド、p−メトキシベンゾイルブロマイド、o−クロロベンゾイルブロマイド、m−クロロベンゾイルブロマイド、p−クロロベンゾイルブロマイド、o−ニトロベンゾイルブロマイド、m−ニトロベンゾイルブロマイド、p−ニトロベンゾイルブロマイド、p−t−ブチルベンゾイルブロマイド、2−チオフェンカルボン酸ブロマイド、3−チオフェンカルボン酸ブロマイド、等の芳香族カルボン酸ハライド化合物、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、クロロアセチルクロライド、アセチルブロマイド、プロピオニルブロマイド等の脂肪族カルボン酸ハライド化合物、フェニルアセチルクロライド、フェニルアセチルブロミド等のアラルキルカルボン酸ハライド化合物を挙げることができる。
本発明で使用するジアルキルジハロゲノ錫化合物は、特に制限されるものではなく、触媒として知られている公知の化合物を使用することができる。中でも、炭素数6以下のアルキル基とハロゲン原子が直接錫と結合している化合物を使用することが好ましい。その中でも、特に、ジメチルジクロロ錫、ジメチルジブロム錫、ジブチルジクロロ錫が高い反応収率を示すため、好適に使用される。
本発明で使用する塩基は、有機塩基および無機塩基を何等制限なく使用できる。これらを具体的に例示すると、無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物を挙げることができる。一方、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、メチルモルホリン等の脂肪族アミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミン等の芳香族アミン等を挙げることができる。
本発明で使用するDMCは、無水物、または含水物を使用することができる。
本発明においては、前記の化合物を用いたヒドロキシエステル誘導体の合成反応を水溶媒中で行うことを特徴とする。つまり、反応溶媒として水を使用することを特徴とする。
本発明においては、前記ジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基およびDMCの存在下、環状シスジオール化合物と、カルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物とを水溶媒中で反応させればよい。この反応(以下、エステル化反応とする場合もある)は、水溶媒中でジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基、DMC、環状シスジオール化合物、カルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物を混合してやればよい。そのため、これらの添加順序は、特に制限されるものではない。ただし、通常、錫錯体を形成させた後に、カルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物を添加するのが一般的である。例えば、反応器に環状シスジオール化合物、ジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基、DMCおよび水を仕込み、攪拌しながらカルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物を添加する方法を採用することができる。環状シスジオール化合物、ジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基、およびDMCは水で希釈したものを使用することもできるし、そのまま使用することもできる。
10mlの茄子型フラスコに、大気雰囲気下、純水6mlを加え、これにシス−1,2−シクロオクタンジオール144mg(1.0mmol)、ジメチルジクロロ錫21.9mg(0.10mmol)、炭酸カリウム138mg(1.0mmol)、15.6質量%含水DMC393mg(1.2mmol)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン12.2mg(0.10mmol)、およびベンゾイルクロライド139μl(1.2mmol)を室温(23℃)で順次添加し、24時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlを入れたビーカーに反応溶液を投入し、酢酸エチル30mlを用いて抽出を行った。抽出操作を3回行った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、酢酸エチルを留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製したところ、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを237.3mg(収率96%)取得した。
実施例1において、シス−1,2−シクロオクタンジオールの代わりに表1の環状シスジオール化合物を用い、さらに、ベンゾイルクロライドの使用量を環状シスジオール化合物に対して1.5モル当量とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ベンゾイルクロライドの代わりに、表2のカルボン酸ハライド化合物を用い、さらに、そのカルボン酸ハライド化合物の使用量をシス−1,2−シクロオクタンジオールに対して1.5モル当量とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、ジメチルジクロロ錫の代わりにジメチルジブロモ錫を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを235.8mg(収率95%)取得した。
実施例1において、炭酸カリウムの代わりに表3の塩基を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表3に示す。
10mlの茄子型フラスコに、大気雰囲気下、純水6mlを加え、これにシス−1,2−シクロオクタンジオール144mg(1.0mmol)、ジメチルジクロロ錫21.9mg(0.10mmol)、炭酸カリウム138mg(1.0mmol)、15.6質量%含水DMC393mg(1.2mmol)、およびベンゾイルクロライド139μl(1.2mmol)を室温(23℃)で順次添加し、24時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlを入れたビーカーに反応溶液を投入し、酢酸エチル30mlを用いて抽出を行った。抽出操作を3回行った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、酢酸エチルを留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで分離精製したところ、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを222.1mg(収率89%)取得した。実施例1において、4−N,N−ジメチルアミノピリジンを使用しなかった例である。
実施例20において、全ての成分を添加した後、ナスフラスコ内をアルゴン雰囲気下とした以外は、実施例20と同様の操作を実施した。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを246.9mg(収率99%)取得した。
実施例20において、全ての成分を添加した後、ナスフラスコ内を窒素雰囲気下とした以外は、実施例20と同様の操作を実施した。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを236.0mg(収率95%)取得した。
実施例1において、ベンゾイルクロライドの代わりに無水安息香酸を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを217.7mg(収率87%)取得した。
実施例20において、ベンゾイルクロライドの代わりにベンゾイルブロマイドを用いた以外は実施例20と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールを220.0mg(収率88%)取得した。
実施例1において、DMCを使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールの取得量は154.7mg(収率63%)に留まった。
実施例1において、ジメチルジクロロ錫を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールは全く取得できなかった。
実施例1において、ベンゾイルクロライドの代わりに安息香酸を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールの取得量は42.9mg(収率17%)に留まった。
実施例1において、ジメチルジクロロ錫の代わりにジフェニルロクロロ錫を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールの取得量は101.5mg(収率41%)に留まった。
実施例1において、ジメチルジクロロ錫の代わりに酸化ジブチル錫を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールの取得量は178.6mg(収率72%)に留まった。
実施例20において、ジメチルジクロロ錫を使用しなかった以外は、実施例20と同様の操作を行った。その結果、ラセミ体のシス−1−ベンゼンカルボニルオキシ−2−シクロオクタノールは全く取得できなかった。
実施例1において、シス−1,2−シクロオクタンジオールの代わりにトランス−1,2−ペンタンジオールを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、モノベンゾイル化された生成物(一方の水酸基のみが保護されたヒドロキシエステル誘導体)の収量は1mgにも満たなかった。
実施例1において、シス−1,2−シクロオクタンジオールの代わりに(2S)(3S)−2,3−ブタンジオールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、モノベンゾイル化された生成物(一方の水酸基のみが保護されたヒドロキシエステル誘導体)の収量は1mgにも満たなかった。
実施例1で用いた、シス−1,2−シクロオクタンジオールの代わりに、(2R)(3S)−2,3−ブタンジオールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、モノベンゾイル化された生成物(一方の水酸基のみが保護されたヒドロキシエステル誘導体)の収量は1mgにも満たなかった。
実施例1で用いた、シス−1,2−シクロオクタンジオールの代わりに、カテコールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、2−フェニルカルボニルオキシ−1−フェノールの生成量は64.2mg(収率30%)に留まった。
Claims (1)
- ジアルキルジハロゲノ錫化合物、塩基および4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライドの存在下、シス−1,2−シクロペンタンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘプタンジオール、シス−1,2−シクロオクタンジオール、シス−2,3−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、及び、シス−3,4−ジヒドロキシテトラハイドロフランからなる群より選ばれる環状シスジオール化合物と、カルボン酸ハライド化合物またはカルボン酸無水物とを水溶媒中で反応させることを特徴とするヒドロキシエステル誘導体の製造方法。
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