JP5434919B2 - カルバメート化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩基性化合物存在下、炭酸エステルとアミド化合物を用いて、カルバメート化合物を得る、工業的に新規な製造方法に関する。
カルバメート化合物は、医農薬品、精密化成品、及びポリマー合成用の原料、又は中間体として有用な化合物である。特に、ポリウレタンの原料として広く用いられているイソシアネート化合物の中間体として有用な化合物である。
これまで、ポリウレタンの原料として広く用いられているイソシアネート化合物は、ホスゲンとアミンとの反応により、工業的には製造されてきた。しかし、ホスゲンは、毒性及び腐食性が強いため、例えば、取り扱いの不便さ、装置の腐食、及び副生する塩酸の処理等に問題があり、これに代わる工業的製法の開発が、長く望まれてきた。
近年、安全かつ経済的なイソシアネート化合物の製造方法として、カルバメート化合物の熱分解によりイソシアネート化合物とする製造方法が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
従来、カルバメート化合物を得る方法としては、一酸化炭素、二酸化炭素、又は炭酸エステルをホスゲンの代替になりうる炭素源として使用する3つの方法がよく知られている。
まず、一酸化炭素を使用する方法としては、例えば、パラジウムを用いた、アミンの酸化的カルボニル化により製造する方法(例えば、非特許文献1参照)、又はニトロ化合物の還元的カルボニル化により製造する方法がある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法では、高価な貴金属を触媒として使用したり、高圧条件下にて反応を行わなければならず、コスト面、及び特殊な製造設備が必要な点で、工業的に好適な方法とは言い難かった。また、特許文献2記載のニトロ化合物を用いる方法では、カルバメート化合物1分子を合成するのに3分子の一酸化炭素が必要となり、効率面からも良い方法とも言い難かった。
二酸化炭素を炭素源とする方法としては、例えば、アミンと二酸化炭素から生成するカルバミン酸塩を、アルコールと反応させてカルバメート化合物を製造する方法がある(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、この方法においても、高温高圧条件が必要とされ、かつ十分な収率でカルバメート化合物を得るには、高価な脱水剤を化学量論量以上使用しなければならない等、製造上の問題点が多くあった。
炭酸エステルを炭素源とする方法としては、例えば、炭酸ジメチルとアミンからカルバメート化合物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献3及び4参照)。
この方法で使用される炭酸ジメチルは、従来、ホスゲンとメタノールとの反応から製造されていたが、近年、ホスゲンを用いない方法による製造方法が開発され、その結果、作業安全性が大幅に改善され、かつハロゲン化物を副生しないことから、環境への負荷が低い製法として注目を集めている。
しかし、特許文献3記載の方法においては、炭酸ジメチル由来のN−メチル化されたアミン及びカルバメート化合物が副生することが問題として挙げられている。例えば、周期表第三族のイットリウム化合物及びイッテルビウム化合物の存在下、脂肪族ジアミンと炭酸ジメチルとを反応させる方法では、前記のN−メチル化された化合物の副生を抑制するべく、70℃付近という温度で反応が行われ、さらに反応終了までに8時間かけているにもかかわらず、当該N−メチル化副生成物の生成を完全に抑制できていないことが報告されている。
さらに、特許文献3記載の方法では、炭酸ジメチルとの反応により副生するメタノールが炭酸ジメチルと共沸するため、反応終了後、原料の炭酸ジメチルとメタノールの分離・回収が複雑になるという問題が新たに発生する。また、反応中に分解した炭酸ジメチルにより発生する二酸化炭素は、触媒自体と反応して触媒活性を示さない炭酸塩を生成させる。従って、このような反応では、反応を速やかに行うために多量の触媒を使用することが必須とされており、例えば、スズ又は亜鉛の酢酸塩存在下、芳香族ジアミンと炭酸ジメチルとを反応させて芳香族カルバメート化合物を得る方法では、前記記載の理由から、炭酸ジメチルの分解により触媒が失活するため、多量の触媒及び炭酸ジメチルを用いて反応が行われている(例えば、特許文献5参照)。
一方、近年、N−ホルミル化されたアルキレンジアミン化合物と炭酸ジメチルとの反応によりカルバメート化合物を得る方法として、無触媒で高温反応を特徴とする方法(例えば、特許文献6参照)、少量のアルコラート触媒を用いた低温反応を特徴とする方法(例えば、特許文献7参照)、及び副生するギ酸メチルを回収して、ホルムアミド化合物を合成原料として再利用することを特徴とする方法が報告されている(例えば、特許文献8参照。)。しかし、副生するギ酸メチルの沸点は、31.5℃、引火点は、−19℃であり、いずれも低温であり、人体に対する毒性も激しいため、ギ酸メチルの分離や回収操作には密閉系とする等の特別な配慮が必要となる。またギ酸メチルは、塩基性化合物存在下において、一酸化炭素とメタノールに分解することが知られており、反応速度を向上させるために高温の反応条件とした場合、塩基性化合物を使用することができないことが報告されている(例えば、特許文献9参照)。従って、炭酸ジメチルとホルムアミド化合物を用いる、特許文献8や特許文献9の方法においても、副生成物の分解及び分離・回収等の点で工業的に好適な製造方法とはいい難かった。
特開平6−172292号公報 特開昭55−147253号公報 特開2003−212836号公報 特開2003−252846号公報 特開2003−201275号公報 特開平3−200756号公報 特開平4−235954号公報 特開平10−7641号公報 特開2002−114509 Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 195、37−45、2003 Chem.Commun.2238−2239、2001
本発明は、従来よりも反応速度が改善され、分解性を有するギ酸メチルの生成が回避可能で、かつ副生するエステル化合物の分離・回収が容易な、カルバメート化合物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、塩基性化合物存在下、特定のアミド化合物と炭酸エステルとを反応させることにより、カルバメート化合物を得る製造方法によれば、従来法よりも反応が速やかに進行し、目的物であるカルバメート化合物を収率よく短時間で得ることが可能になり、しかも従来法で問題であった分解性を有するギ酸メチルの生成が回避され、さらにカルバメート化合物の分離操作及び副生するエステル化合物の回収操作も容易となることを見出し、本発明に完成させるに至った。
本発明は、塩基性化合物存在下、式(1);
Figure 0005434919
式中、
は、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は置換基を有していてもよい、へテロ原子を有する連結基を分子骨格中に含有する炭化水素基を示し、
は、同一又は異なっており、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、
nは、1〜4の整数を示す
で示されるアミド化合物と式(2);
Figure 0005434919
式中、
及びRは、同一又は異なっており、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20までの炭化水素基を示す
で示される炭酸エステルを反応させることを特徴とする、式(3);
Figure 0005434919
式中、R、R及びnは、前記と同義である。
で示されるカルバメート化合物の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、簡便な操作でカルバメート化合物を収率良く取得することが可能である。特に、本発明では、塩基性化合物を使用することで、従来法で問題であった反応速度を改善して、カルバメート化合物を収率良く短時間で得ることが可能になった。さらに、本発明では、従来法で問題であった分解性を有するギ酸メチルの生成が回避され、かつカルバメート化合物の分離操作及び副生するエステル化合物の回収操作が容易になった。このように、本発明のカルバメート化合物の製造方法は、従来法の問題点を解決し、更なる効果を有する工業的に優れた製造方法である。
本発明においては、塩基性化合物存在下、式(1)で示されるアミド化合物と式(2)で示される炭酸エステルとを反応させて、式(3)で示されるカルバメート化合物を得る(反応式〔1〕)。
Figure 0005434919
式中、R〜R及びnは、前記と同義である。
式(1)のアミド化合物として、式(1a)で示されるジアミド化合物を使用すると、反応式〔1a〕により、式(3a)で示されるジカーバメート化合物が得られる。
Figure 0005434919
式中、R〜Rは、前記と同義である。
本発明において、原料のアミド化合物は、反応式〔1〕中の式(1)で示される。式(1)において、Rは、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は置換基を有していてもよい、へテロ原子を有する連結基を分子骨格中に含有する炭化水素基を示し、Rは、同一又は異なっており、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜8までの炭化水素基を示し、nは、1〜4の整数を示す。
における炭化水素基は、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12であり、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基、芳香族基又はこれら4つの基からの2個以上が組み合わさった基であることできる。Rの価数はnに依存し、nが1〜4の整数について、それぞれRは1〜4価の炭化水素基である。
における炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状のアルカン(例えば、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ドデカン)、シクロアルカン(例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン)、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、ポリシクロアルカン(例えば、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、アダマンタン)、芳香族炭化水素化合物(例えば、ベンゼン、ナフタレン)等の残基が挙げられる。
直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基及び芳香族基からの2個以上が組み合わさった基としては、例えば、芳香脂肪族基が挙げられる。芳香脂肪族基は、脂肪族部分と芳香族部分とを有し、例えば、アルキル基で置換されたベンゼン(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)等の残基であり、1価の基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等、2価の基としては、例えば、キシリレン基が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
における炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、及び炭素原子数1〜6のアルコキシ基(各種異性体を含む)等が挙げられる。なお、これらの置換基は、炭化水素基に対して1個以上であることができ、置換基の種類は、1種以上であってもよい。
におけるへテロ原子を有する連結基を分子骨格中に含有する炭化水素基は、例えば、式(5)のように、2個の炭化水素基(Ra及びRb)を連結基XでつないだR’の構成で示される。
Figure 0005434919
式中、
Ra及びRbは、同一又は異なっており、前記Rで定義される炭化水素基と同義であり、置換基を有していてもよく、
Xは、ヘテロ原子を有する連結基を示す。
’の価数はnに依存し、nが1〜4の整数について、それぞれR’は1〜4価の炭化水素基である。R’が2価の場合、例えば、Ra及びRbのいずれもが2価の基であることができる。
連結基Xは、式(5)中の炭化水素基(Ra及びRb)をつなぐ、ヘテロ原子を含有する基であり、下記の式(6)〜(24);
Figure 0005434919
式中、Rcは、同一又は異なっており、前記Rで定義される炭化水素基と同義であり、置換基を有していてもよい
で示される基が挙げられる。
式(1)において、Rは、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、nが2〜4の整数の場合、同一であっても、異なっていてもよく、好ましくは同一である。
における炭化水素基は、炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6であり、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基、芳香族基又はこれら4つの基からの2個以上が組み合わさった基(例えば、芳香脂肪族基)であることできる。
における炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基が好ましく、さらに直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。また、ベンジル基及びフェネチル基も好ましい。
における炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、及び炭素原子数1〜6のアルコキシ基(各種異性体を含む)等が挙げられる。なお、これらの置換基は、炭化水素基に対して1個以上であることができ、置換基の種類は、1種以上であってもよい。
として、好ましくは、非置換、又はハロゲン原子、シアノ基若しくはニトロ基が置換した炭化水素基、より好ましくは、非置換又はフッ素原子若しくは塩素原子が置換した、直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基及びベンジル基、特に好ましくは、非置換又はフッ素原子が置換した炭素原子数1〜3の直鎖状脂肪族基が挙げられ、特により好ましくは、メチル基であり、この場合、アミド化合物は、式(25)で示される。
Figure 0005434919
式中、R及びnは、前記と同義である。
本発明で用いられる式(1)で示されるアミド化合物において、nは、アミド基(NHCOR)の個数を示し、アミド基(NHCOR)は、1〜3級のいずれの炭素原子に結合していてもよい。nとして好ましくは、1〜3であり、より好ましくは、nが1である式(26)、又はnが2である式(27)である。
Figure 0005434919
Figure 0005434919
式(26)及び式(27)中、R及びRは、前記と同義である。
本発明で用いられる式(1)で示されるアミド化合物として、1〜3個のアミド基(NHCOR)を有する、脂肪族アミド化合物、脂環族アミド化合物、芳香脂肪族アミド化合物及び芳香族アミド化合物が挙げられる。
本発明の式(1)で示されるアミド化合物として、nが1の場合(1個のアミド基を有する場合)、例えば、ブチルアセトアミド、ヘキシルアセトアミド、N−シクロヘキシルアセトアミド等が挙げられ;nが2の場合(2個のアミド基を有する場合)、1,2−エチレンビスアセトアミド、1,3−プロピレンビスアセトアミド、1,4−テトラメチレンビスアセトアミド、1,5−ペンタメチレンビスアセトアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアセトアミド、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンビスアセトアミド、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンビスアセトアミド、1,12−ドデカメチレンビスアセトアミド、1,2−シクロプロピレンビスアセトアミド、1,2−シクロブチレンビスアセトアミド、1,3−シクロブチレンビスアセトアミド、1,2−シクロペンタンビスアセトアミド、1,3−シクロペンタンビスアセトアミド、1,2−シクロヘキサンビスアセトアミド、1,4−シクロヘキサンビスアセトアミド、1,3−ビス(アセチルアミノメチル)シクロヘキサン及び同構造の1,4−異性体、2,5−ビス(アセチルアミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び同構造の2,6−構造異性体、2,5−ビス(アセチルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び同構造の2,6−構造異性体、1,3−ビス(アセチルアミノ)シクロヘキサン及び同構造の1,4−構造異性体、3−アセトアミドメチル−3,5,5−トリメチル−1−アセトアミド、ビス(4−アセチルアミノシクロヘキシル)メタン及び同構造の2−構造異性体、1,3−ジアセチルアミノメチルベンゼン及び同構造の1,4−構造異性体、ビス(4−アセチルアミノベンジル)メタン、1,3−ビス(アセチルアミノ)ベンゼン及び同構造の1,4−構造異性体、1,4−ビス(アセチルアミノ)−3−メチルベンゼン、1,3−ビス(1−アセチルアミノ−1−メチル−エチル)ベンゼン及び同構造の1,4−構造異性体、並びに1,5−ナフチレンジアセトアミド等が挙げられる。
本発明で用いられる式(2)で示される炭酸エステルにおいて、R及びRは、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の炭化水素基を示す。R及びRは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。
及びRにおける炭化水素基は、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12であり、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基、芳香族基又はこれら4つの基からの2個以上が組み合わさった基(例えば、芳香脂肪族基)であることができる。
及びRにおける炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族基又は芳香族基が好ましい。直鎖状若しくは分岐状の脂肪族基としては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が挙げられる。
及びRにおける炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基(各種異性体を含む)、アミノ基、炭素原子数1〜6のジアルキルアミノ基(各種異性体を含む)、シアノ基、ニトロ基、オキソ基等が挙げられる。なお、これらの置換基は、炭化水素基に対して1個以上であることができ、置換基の種類は、1種以上であってもよい。
好ましくは、R及びRが非置換、又はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基若しくはオキソ基によって置換された炭化水素基が挙げられる。これらの置換基は、炭化水素基に対して1個以上であることができ、置換基の種類は、1種以上であってもよい。
及びRは、少なくとも一方が、炭素原子数が1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基又は芳香脂肪族基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(2)で示される炭酸エステルとしては、R及びRのいずれもが、炭素原子数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)であるか、R及びRのいずれもが、アリール(例えば、フェニル基)であるか、R及びRが、炭素原子数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基)とアリール(例えば、フェニル基)との組み合わせが挙げられ、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル、炭酸エチルフェニル等の炭酸エステルが挙げられ、特に好ましくは、炭酸ジメチルが挙げられる。
本発明の反応式〔1〕において、式(2)で示される炭酸エステルの使用量は、式(1)で示される化合物中のアミド基のモル数(式(1)で示される化合物1モルの場合、nモル)以上使用することが望ましいが、好ましくは、アミド基のモル数(式(1)で示される化合物1モルの場合、nモル)に対して、1.0〜10倍モル、より好ましくは1.05〜5倍モル、特に好ましくは1.1〜3倍モルである。
本発明で得られる式(3)で示されるカルバメート化合物において、R、R及びnは、前記と同義である。
また、本発明では、反応後、式(3)で示されるカルバメート化合物のほかに、式(4)で示されるエステル化合物が生成する。式(4)で示されるエステル化合物において、R、Rは、前記と同義である。
本発明で使用する塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、アルコキシド)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンで交換されたイオン交換ゼオライト、アルカリ土類金属又は希土類金属の酸化物、並びにアルカリ土類金属及び/又は希土類金属の酸化物と他の酸化物とからなる複合酸化物等があげられる。また、前記塩基性化合物が、反応系中に存在する有機化合物のうち、例えば、アルコール、炭酸エステル等と系内で反応してできる塩基性化合物も、用いることができる。
本発明で使用されるアルカリ金属化合物として、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、及びナトリウム、カリウム、セシウム若しくはリチウムメトキシド又はエトキシド等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、及びマグネシウム又はカルシウムメトキシド又はエトキシド、マグネシウムメチルカーボネート等を挙げることができる。
イオン交換ゼオライトに使用されるゼオライトの種類(構造)としては、A型(LTA構造)、X、Y型(FAU構造)、T型(ERI,OFF構造)、モルデナイト型(MOR構造)、ZMS−5型(MFI構造)が挙げられる。なお、ゼオライトの構造とは、Atlas of Zeolite Structure types(W.M.Meier,D.H.Olson,Ch.Baerlocher,Zeolites,17(1/2),1996)に掲載されているゼオライト構造を示す。また、ゼオライトは陽イオンを交換させるサイトが存在するが、ここに交換されている陽イオンとしては、Li+、Na+、K+、Ca+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の陽イオン等が挙げられる。なお、これらの陽イオンは、1種以上混合して存在しても構わない。
アルカリ土類金属酸化物としては、マグネシウム、カルシウム及びバリウムの金属酸化物、希土類金属酸化物としてはスカンジウム、イットリウム、ランタニド及びアクチニドの金属酸化物等を挙げることができる。
複合酸化物としては、シリカ−酸化マグネシウム、シリカ−酸化カルシウム、アルミナ−酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。
なお、これらの塩基性化合物は、市販品をそのまま使用することができ、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。また、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、活性炭のような適当な担体を用いることもできる。担体はその表面に触媒活性点を分散させて高表面積の触媒としたり触媒の機械的強度を高めたりする目的で用いられる。担体は反応を阻害したり触媒活性を阻害したりしないものであれば特に制限はなく、反応に対して触媒活性が発現するものであれば、制限されない。
本発明で使用される塩基性化合物として、式(1)で示されるアミド化合物の転化率の点から、より好ましくは酸化マグネシウム、マグネシウムアルコシド、マグネシウムメチルカーボネート、酸化カルシウムである。
塩基性化合物の使用量は、通常は、アミド基のモル数(式(1)で示される化合物1モルの場合、nモル)に対して、0.0001〜10倍モルとすることができ、好ましくは0.0005〜5倍モル、より好ましくは、0.001〜2.5倍モル、特に好ましくは、0.002倍モル以上、1倍モル未満である。
本発明では、ルイス酸性化合物及び塩基性化合物の存在下で、式(1)で示されるアミド化合物と式(2)で示される炭酸エステルを反応させて、式(3)で示されるカルバメート化合物を得ることもできる。ルイス酸性化合物を存在させることで、炭酸エステルの副反応を抑制することができる。
ルイス酸性化合物としては、例えば、臭化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)、塩化ガリウム(III)、塩化鉄(III)、塩化アンチモン(V)、塩化スズ(IV)、塩化チタン(IV)、塩化亜鉛(II)、塩化銅(II)及び塩化マグネシウム(II)等のルイス酸性を有する金属ハロゲン化物、フッ化ホウ素(III)及び塩化ホウ素(III)等のルイス酸性を有するホウ素のハロゲン化物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、五酸化二リン、Mo(CO)等の金属カルボニル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)及びトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)等のルイス酸性を有する金属トリフラート類、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)及びトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)等のルイス酸性を有するランタノイド系金属トリフラート類等のトリフルオロメタンスルホン酸塩が挙げられる。これらのルイス酸性化合物は、例えば、有機溶媒を用いて調製された溶液、又は市販品をそのまま使用すること等ができ、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明のルイス酸性化合物として、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸塩、より好ましくは、ランタノイド系金属トリフラートであり、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランもまた、好ましい。
ルイス酸性化合物の使用量は、通常は、アミド基のモル数(式(1)で示される化合物1モルの場合、nモル)に対して、0.0001〜10倍モルとすることができ、好ましくは0.0003〜5倍モル、より好ましくは、0.001〜2.5倍モル、特に好ましくは、0.002倍モル以上、1倍モル未満である。
本発明の反応は、塩基性化合物、式(1)で示されるアミド化合物及び式(2)で示される炭酸エステルを混合して行うことができる。ルイス酸性化合物を使用する場合は、添加のタイミングは、特に制限されず、開始時に添加してもよく、反応の最終段階で添加してもよく、あるいは逐次添加でもよい。
本発明の反応は、有機溶媒中にて行うこともできる。有機溶媒としては、反応に関与しない溶媒であれば特に制限されない。また、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。有機溶媒としては、脱水された溶媒を用いることが望ましく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
また、炭酸エステルを過剰量用いることによって、炭酸エステルを溶媒のように用いることも可能である。
本発明における反応温度は、好ましくは、100〜250℃、より好ましくは、130〜230℃、特に好ましくは、150〜200℃である。原料である式(1)で示されるアミド化合物、式(2)で示される炭酸エステル、及び生成物である式(3)で示されるカルバメート化合物に対して、副生物の原料である式(4)で示されるエステル化合物が選択的に留去できるような、反応温度に調整することが好ましく、反応終了時にエステル化合物が完全に留去されるように、反応温度を調整することがより好ましい。
本発明における反応圧力は、特に制限されず、常圧下、又は加圧下のいずれの条件であってもよい。また、本反応は、減圧下でも反応を行うことができる。その場合、反応圧力(減圧度)は、好ましくは、0.13kPa以上、101.3kPa未満(1mmHg以上760mmHg未満)であり、例えば、原料である式(1)で示されるアミド化合物、式(2)で示される炭酸エステル、及び生成物である式(3)で示されるカルバメート化合物に対して、副生物の原料である式(4)で示されるエステル化合物が選択的に留去できるように、さらに反応温度を適宜調節するなどして実施される。
本発明の反応形式は、特に制限されず、バッチ反応又は連続流通反応いずれでも良く、また縣濁床、固定床又は流動床のいずれでも実施される。反応時間又は滞留時間は反応条件により異なるが、通常は24時間以内である。
なお、得られたカルバメート化合物は、蒸留、晶析、再結晶、分液、抽出及びカラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、さらに精製することもできる。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
アミド化合物の転化率及び得られたカルバメート化合物の収率は、以下のようにして求めた。モノカルバミン酸エステル化合物については、内部標準法(トリデカンを内部標準に使用)により、水素炎イオン化検出器(FID)を持つガスクロマトグラフィーを用いて、反応液を分析し、それぞれの値を算出した。また、ジカルバミン酸メチル化合物については絶対検量線法によりIR検出器を持つ液体クロマトグラフィーを用いて反応液を分析し、それぞれの値を算出した。
実施例1(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
蓋付きガラス製試験管(外径10ミリ、長さ100ミリ)内に、マグネシウムエトキシドを0.066mmol、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)を0.025mmol、N−ヘキシルアセトアミドを5.00mmol、炭酸ジメチルを10mmol、内部標準としてトリデカン90mgを充填し、155℃で2時間反応を行った。室温に冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は85モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率及び選択性は80.2モル%及び94.4モル%、酢酸メチルの収率及び選択性は70.1モル%及び82.5モル%であった。
比較例1(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
N−ヘキシルアセトアミドをN−ヘキシルホルムアミドに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は32.3モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率及び選択性は25.8モル%及び79.9モル%、ギ酸メチルの収率及び選択性は15.9モル%及び49.2モル%であった。
次に、実施例1と比較例1の結果を表1に示した。
式(1)で示されるアミド化合物の違いにおける反応速度を下記の式〔A〕から求め、その反応速度比を下記の式〔B〕から算出した。
その結果、実施例1(N−ヘキシルアセトアミド使用)と比較例1(N−ヘキシルホルムアミド使用)の反応速度比は、8.2であった。
[数1]
式〔A〕
反応速度(1/h)=〔(転化率(%))/100(%)×(目的物の収率(%)/100(%)〕/(反応時間(h)
[数2]
式〔B〕
反応速度比=〔実施例の反応速度(1/h)〕/〔比較例の反応速度(1/h)〕
Figure 0005434919
実施例2(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
触媒にマグネシウムエトキシド0.06mmol、反応温度を180度に変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は97.7モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は89.9モル%、N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの収率は0.1モル%であった。
実施例3(N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの合成)
触媒にマグネシウムメチルカーボネート0.01mmol、反応温度を180度に変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は76.6モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は68.6モル%、N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの収率は0.5モル%であった。
実施例4(N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの合成)
触媒をマグネシウムエトキシド0.06mmolに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は71.3モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は61.7モル%、N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの収率は1.2モル%であった。
実施例5(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
マグネシウムエトキシドを酸化マグネシウム2.8mmol、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)をトリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)0.035mmolに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は89.1モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は84.6モル%であった。
実施例6(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
マグネシウムエトキシドを酸化マグネシウム2.8mmol、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)をトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)0.030mmolに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は78.8モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は73.2モル%であった。
実施例7(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)をトリフルオロメタンスルホン酸ランタン(III)0.025mmolに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は97.7モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は91.5モル%であった。
実施例8(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)をトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.025mmolに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は92.0モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は86.0モル%であった。
実施例9(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
N−ヘキシルアセトアミドをN−ヘキシルプロピオンアミドに変更した以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は68.9モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は63.8モル%であった。
比較例2(N−ヘキシルカルバミン酸メチルの合成)
N−ヘキシルアセトアミドをN−ヘキシルホルムアミドに変更し、触媒を加えなかった以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は9.6モル%、N−ヘキシルカルバミン酸メチルの収率は8.9モル%であった。
比較例3(N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの合成)
触媒を加えなかった以外は実施例1と同様の操作で行った。その結果、N−ヘキシルアセトアミドの転化率は1.6モル%、N−ヘキシル−N−メチルアセトアミドの収率は0.9モル%であった。
次に、実施例2から実施例9、及び比較例2並びに比較例3の結果を表2に示した。
Figure 0005434919
実施例10(1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸メチルの合成)
蓋付きガラス製試験管(外径10ミリ、長さ100ミリ)に、酸化マグネシウム0.114g(2.83mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.0099g(0.0275mmol)、ヘキサメチレンビスアセトアミド0.499g(2.49mmol)、炭酸ジメチル0.951g(10.6mmol)を充填し、155℃で10時間反応を行った。室温に冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,6−ヘキサメチレンジアセトアミドの転化率は99.8%、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸メチルの収率は83.2モル%、及び1,6−ヘキサメチレンモノカルバミン酸メチルモノアセトアミドの収率は7.8%であった。
得られた化合物(1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸メチル)の物性は、以下の通りであった。
HPLC純度:91.7%(RI)
MSスペクトル(APCI−MS);217[M+H].
H−NMRスペクトル(300mHz,CDCl3)δ(ppm);4.69(2H,bs),3.66(6H,s),3.20〜3.13(4H,m),1.52〜1.47(8H,m),1.36〜1.31(8H,m).
実施例11(1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸メチルの合成)
蓋付きガラス製試験管(外径10ミリ、長さ100ミリ)に、酸化マグネシウム0.112g(2.78mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.010g(0.0275mmol)、ヘキサメチレンビスアセトアミド0.502g(2.50mmol)、炭酸ジメチル0.905g(10.0mmol)を充填し、180℃で2時間反応を行った。室温に冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,6−ヘキサメチレンジアセトアミドの転化率は99.8%、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸メチルの収率は83.9モル%、及び1,6−ヘキサメチレンモノカルバミン酸メチルモノアセトアミドの収率は8.1%であった。
実施例12(1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの合成1)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlのガラス製フラスコに、クロロホルム700ml、ピリジン58.4g(738.2mmol)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン50g(351.5mmol)ジアステレオマー比(7:3)の混合物を入れ、0℃でアセチルクロリド57.9g(738.2mmol)を1時間で滴下した。20℃で4時間反応させ、得られた縣濁液を減圧下濃縮し溶媒を留去した。得られた白色固体199.0gにアセトニトリル800mlを加えて、粉砕して、不溶物を濾過し、濾物をアセトニトリル300mlで洗浄した。その後、減圧下乾燥させて白色固体として純度99%以上(高速液体クロマトグラフィーによる分析値)の1,3−ビス(アセトアミドメチル)シクロヘキサン50.7gを得た(単離収率63.7%)。単離したものはほぼシス体の化合物であった。
蓋付きガラス製試験管(外径15ミリ、長さ160ミリ)に、酸化マグネシウム0.114g(2.83mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.0099g(0.0272mmol)、上記で得られた1,3−ビス(アセトアミドメチル)シクロヘキサン0.558g(2.49mmol)、炭酸ジメチル0.951g(10.6mmol)を充填し、180℃で4時間反応を行った。室温に冷却後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,3−ビス(アセトアミドメチル)シクロヘキサンの転化率は99.4%、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの収率は17.1モル%、及び1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの選択率は17.2%であった。
得られた化合物1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの物性は、以下の通りであった。
HPLC純度:100%(Cis-Trans混合物)(UV 210nm)
MSスペクトル(DI−MS);EI=258、CI=259(M+1),227[M+H].
実施例13(1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの合成2
蓋付きガラス製試験管(外径15ミリ、長さ160ミリ)に、酸化カルシウム0.158g(2.83mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.0099g(0.0272mmol)、実施例12で得られた1,3−ビス(アセトアミドメチル)シクロヘキサン0.558g(2.49mmol)、炭酸ジメチル0.951g(10.6mmol)を充填し、180℃で4時間反応を行った。室温に冷却後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,3−ビス(アセトアミドメチル)シクロヘキサンの転化率は95.2%、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの収率は20.1モル%、及び1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンの選択率は21.1%であった。
実施例14(1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸エチルの合成)
蓋付きガラス製試験管(外径15ミリ、長さ160ミリ)に、酸化マグネシウム0.114g(2.83mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.0099g(0.0272mmol)、ヘキサメチレンビスアセトアミド0.499g(2.49mmol)、炭酸ジエチル1.247g(10.6mmol)を充填し、155℃で2時間反応を行った。室温に冷却後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,6−ヘキサメチレンビスアセトアミドの転化率は92.7%、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸エチルの収率は3.6モル%であった。
実施例15(1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルの合成)
蓋付きガラス製試験管(外径15ミリ、長さ160ミリ)に、酸化マグネシウム0.114g(2.83mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)0.0099g(0.0272mmol)、ヘキサメチレンビスアセトアミド0.499g(2.49mmol)、炭酸ジフェニル2.261g(10.6mmol)を充填し、155℃で2時間反応を行った。室温に冷却後、反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。その結果、1,6−ヘキサメチレンビスアセトアミドの転化率は95.6%、1,6−ヘキサメチレンジカルバミン酸フェニルの収率は29.5モル%であった。
本発明は、塩基性化合物存在下、炭酸エステルとアミド化合物を用いて、カルバメート化合物を得る製造方法において、従来よりも反応速度が速く、副生するエステル化合物が回収できる、工業的に新規な製造方法に関する。
本発明の方法により製造されるカルバメート化合物は、医農薬品、精密化成品及びポリマー合成用の原料、又は中間体として有用な化合物である。特に、ポリウレタンの原料として広く用いられているイソシアネート化合物の中間体として有用な化合物である。

Claims (10)

  1. アルカリ土類金属化合物存在下、式(1);
    Figure 0005434919
    式中、
    は、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の炭化水素基又は置換基を有していてもよい、ヘテロ原子を有する連結基を分子骨格中に含有する炭化水素基を示し、
    は、同一又は異なっており、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜8の炭化水素基を示し、
    nは、1〜4の整数を示す
    で示されるアミド化合物と式(2);
    Figure 0005434919
    式中、
    及びRは、同一又は異なっており、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20までの炭化水素基を示す
    で示される炭酸エステルを反応させることを特徴とする、式(3);
    Figure 0005434919
    式中、R、R及びnは、前記と同義である。
    で示されるカルバメート化合物の製造方法。
  2. 及びRは、少なくとも一方が、炭素原子数が1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の脂肪族基又は芳香脂肪族基である、請求項1記載のカルバメート化合物の製造方法。
  3. 式(1)で示されるアミド化合物において、Rがメチル基である、請求項1又は2記載のカルバメート化合物の製造方法。
  4. 式(1)で示されるアミド化合物において、nが、1又は2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカルバメート化合物の製造方法。
  5. アルカリ土類金属化合物が、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコシド、マグネシウムメチルカーボネート及び酸化カルシウムからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルバメート化合物の製造方法。
  6. アルカリ土類金属化合物の使用量が、式(1)で示される化合物中のアミド基のモル数に対して、0.002倍モル以上、1倍モル未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカルバメート化合物の製造方法。
  7. ルイス酸性化合物を使用する、請求項1〜6のいずれか1項記載のカルバメート化合物の製造方法。
  8. ルイス酸性化合物が、トリフルオロメタンスルホン酸塩及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランからなる群より選ばれる一種以上である、請求項7のカルバメート化合物の製造方法。
  9. ルイス酸性化合物の使用量が、式(1)で示される化合物中のアミド基のモル数に対して、0.002倍モル以上、1倍モル未満であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のカルバメート化合物の製造方法。
  10. 反応により生じる式(4);
    Figure 0005434919
    式中、R及びRは、請求項1に記載のとおりである
    で示されるエステル化合物を留去しながら、反応を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載のカルバメート化合物の製造方法。
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