特許文献1は、充電台の上に載せるパック電池の位置がずれると、パック電池を充電できなくなる欠点がある。それは、携帯電子機器と充電台との相対位置がずれると、送電コイルと受電コイルが電磁結合されない状態となって、送電コイルから受電コイルに交流電力を搬送できなくなるからである。この欠点は、特許文献2に記載されるように、充電台に位置決め凸部を設け、この位置決め凸部を嵌入する位置決め凹部を携帯電子機器に設けて解消できる。この構造は、位置決め凹部に位置決め凸部を案内して、携帯電子機器と充電台との相対的な位置ずれを防止できる。
ただ、特許文献2に示す構造は、位置決め凸部を位置決め凹部に案内するように電池内蔵機器を充電台にセットするので、電池内蔵機器のセットに手間がかかる欠点がある。また、この構造は、全てのユーザーが常に正常な状態で電池内蔵機器を充電台にセットすることが難しい欠点もある。さらに、この構造は、ケースの底面に位置決め凹部を設けて、この位置決め凹部の上に受電コイルを配置することから、電池内蔵機器を薄くできない欠点がある。携帯電話等の電池内蔵機器は、できるかぎり薄くすることが要求されることから、位置決め凹部によって厚くなると携帯に不便になる欠点がある。
この弊害は、充電台の上面全体の広い面積に受電コイルに電力搬送する磁界を発生して解消できる。ただ、この構造によると、電池内蔵機器を載せない部分にも磁界を発生することから、送電コイルから受電コイルに搬送する電力効率が低下する欠点がある。また、充電台の上に、鉄などの金属を載せると、これに磁気誘導作用で電流が流れて発熱する弊害がある。
さらに、充電台の上面全体の広い面積に電力搬送する磁界を発生する充電台は、複数の電池内蔵機器を載せて複数の受電コイルに電力搬送して一緒に充電できる。しかしながら、この充電台は、多数の電池内蔵機器を載せて充電できるように充電台の載せ面を大きくするほど、送電コイルを大きくする必要がある。大きな送電コイルの充電台は、つねに効率よく電池内蔵機器の受電コイルに電力搬送するのが難しい。それは、大きな送電コイルの上に小さい受電コイルがセットされることから、載せられる電池内蔵機器の数が少ない状態では、送電コイルの狭い領域にのみ受電コイルが電磁結合されるからである。大きな送電コイルで小さい受電コイルに電磁結合する状態は、送電コイルの受電コイルに電磁結合されない領域から交流磁界が漏れる弊害もある。さらに、この充電台は、各々の電池内蔵機器に供給する電力を独立して制御できない。このため、電池内蔵機器側で内蔵電池の充電電力をコントロールする必要がある。送電コイルから受電コイルに所定の電力が伝送される状態で、内蔵電池が満充電されて充電電力を制限すると、電池内蔵機器で発熱が大きくなる欠点がある。受電コイルに伝送される電力と、内蔵電池の充電電力の差が発熱となるからである。電池内蔵機器や内蔵電池は発熱を放熱する機構が難しく、発熱によって内蔵電池や電池内蔵機器自体に極めて悪影響を与える欠点がある。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、複数の電池内蔵機器をケース上面のどこに載せても各々の内蔵電池を好ましい充電条件にコントロールしながら効率よく充電して、電池内蔵機器や内蔵電池の発熱を少なくできる充電台を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、複数の電池内蔵機器を載せて一緒に充電できる構造としながら、交流磁界の外部への漏れを極めて少なくできる充電台を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、ケース上面に電池内蔵機器と一緒に他の金属を載せても発熱しない構造にして、安全を向上できる充電台を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の一態様に係る充電台は、電磁結合される受電コイル51を内蔵して、この受電コイル51に誘導される電力で充電される電池52を内蔵する電池内蔵機器50の充電台である。充電台は、交流電源12に接続されて受電コイル51に起電力を誘導する複数の送電コイル11と、複数の送電コイル11を内蔵すると共に、上面には複数の電池内蔵機器50を載せることのできる面積の上面プレート21を有するケース20と、このケース20に内蔵されて、各々の送電コイル11を上面プレート21の内面に沿って独立して移動させる移動機構13と、上面プレート21に載せられる各々の電池内蔵機器50の位置を検出して移動機構13を制御して各々の送電コイル11を各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させる位置検出制御器14、84とを備えている。充電台は、ケース20の上面プレート21に複数の電池内蔵機器50が載せられると、各々の電池内蔵機器50の位置が位置検出制御器14、84に検出され、位置検出制御器14、84が移動機構13を制御して、移動機構13でもって各々の送電コイル11を上面プレート21に沿って移動させて各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させる。
以上の充電台は、複数の電池内蔵機器をケース上面のどこに載せても、各々の内蔵電池を好ましい充電条件にコントロールしながら効率よく充電して、電池内蔵機器や内蔵電池の発熱を少なくできる特徴がある。それは、以上の充電台が、各々の受電コイルに電磁結合して電力搬送できる複数の送電コイルを備えると共に、各々の送電コイルを各々の電池内蔵機器の受電コイルに接近させる移動機構を備えているからである。この充電台は、ケースに載せられる各々の電池内蔵機器の受電コイルに、別々に送電コイルを接近して充電する。このため、各々の電池内蔵機器には、別々の送電コイルから各々の受電コイルに電力搬送できる。したがって、各々の送電コイルから受電コイルに電力搬送される電力をコントロールすることができ、各々の内蔵電池を好ましい充電状態で満充電できる。また、別々の送電コイルから各々の受電コイルに伝送する電力をコントロールできる。したがって、充電電力が制限され、あるいは充電を停止する内蔵電池の電池内蔵機器には、送電コイルから伝送する電力を小さく、あるいは停止できるので、電池内蔵機器や内蔵電池の発熱を少なくできる。さらに、別々の送電コイルを各々の受電コイルに電磁結合して、電力搬送することから、各々の電池内蔵機器に効率よく電力搬送して、内蔵電池を高効率に充電できる。
また、本発明の一態様に係る充電台は、ケースの上面の面積を大きくして、複数の電池内蔵機器をセットして、各々の電池内蔵機器の内蔵電池を一緒に充電できる構造を実現しながら、交流磁界の外部への漏れを極めて少なくできる特徴も実現する。それは、各々の送電コイルを受電コイルに電磁結合して電力搬送できるからである。
さらにまた、本発明の一態様に係る充電台は、電池内蔵機器の位置を検出して、送電コイルを電池内蔵機器の受電コイルに接近させるので、ケース上面に電池内蔵機器と一緒に他の金属を載せても発熱しない構造にでき、安全を向上することができる。
さらに、以上の充電台は、従来のように、電池内蔵機器を充電台の所定の位置に、たとえば、位置決め凸部を位置決め凹部に案内しながらセットすることなく、すなわち、位置決めすることなく極めて簡単に電池内蔵機器を充電台に載せて、内蔵電池を効率よく充電できる。このように、位置決め凸部や位置決め凹部等を必要としない充電台は、電池内蔵機器を薄く設計して便利に携帯できる特徴もある。
本発明の一態様に係る充電台は、移動機構13が、各々の送電コイル11を上面プレート21の内面に沿って独立して移動できる複数組の駆動機構40を備えて、各々の駆動機構40は、送電コイル11を互いに交差する方向に移動させるY軸駆動機構40BおよびX軸駆動機構40Aを備えることができる。Y軸駆動機構40Bは、送電コイル11を先端部に連結してなる板バネ41と、この板バネ41を巻き取る巻き取り軸42と、この巻き取り軸42を正転して板バネ41を巻き取り軸42に巻き取り、また逆転して板バネ41を巻き取り軸42から繰り出して送電コイル11を板バネ41の長手方向であるY軸方向に移動させるY軸アクチュエータ43とを備えることができる。X軸駆動機構40Aは、巻き取り軸42をX軸方向に移動させるX軸ガイド44と、このX軸ガイド44に沿って巻き取り軸42を移動させるX軸アクチュエータ45とを備えることができる。充電台は、位置検出制御器14、84が各々の電池内蔵機器50の位置を検出して、各々の駆動機構40に設けているY軸アクチュエータ43及びX軸アクチュエータ45を制御して、各々の送電コイル11を各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させることができる。
以上の充電台は、移動機構に複数の送電コイルを独立して別々に移動させる複数組の駆動機構を設けながら、各々の送電コイルの移動領域を大きくして、各々の送電コイルを最適な位置に移動しながら、複数の電池内蔵機器の内蔵電池を充電できる特徴がある。複数の電池内蔵機器をケースに載せて、各々の内蔵電池を一緒に充電する充電台は、各々の電池内蔵機器の受電コイルに送電コイルを接近する必要がある。また、この充電台は、ユーザーが電池内蔵機器をセットする領域を制限しない構造として便利に使用できる。ところが、複数の送電コイルをX軸方向とY軸方向に移動させる複数組の駆動機構を備える充電台は、送電コイルをX軸方向とY軸方向に移動させる各々の駆動機構が、他の駆動機構の動きを制限して送電コイルを自由な位置に移動するのが難しい。それは、送電コイルをX軸方向とY軸方向に移動させるためにX軸ガイドとY軸ガイドとを交差するように設けているからである。とくに、充電台は、ケースの上にセットされる電池内蔵機器の受電コイルに接近するように送電コイルを同一水平面内で移動させることから、複数組の駆動機構は互いに干渉して送電コイルの移動領域を制限する。ところが、以上の充電台が備える各々の駆動機構は、巻き取り軸を正転し、又は逆転して、先端部に送電コイルを設けてる板バネを巻き取り、あるいは繰り出して長手方向に往復運動して送電コイルをY軸方向に移動させる。このため、送電コイルをY軸方向にガイドするY軸ガイドを必要とせず、各々の送電コイルを移動できる領域を広くできる。したがって、以上の充電台は、ユーザーが自由にケースの上に電池内蔵機器を載せる構造としながら、複数の送電コイルを各々の電池内蔵機器の受電コイルに接近して、内蔵電池を効率よく充電できる優れた特徴を実現する。
本発明の一態様に係る充電台は、ケース20に、送電コイル11の上下方向の移動を制限しながら水平方向に移動させる水平ガイド22を設けることができる。
この充電台は、送電コイルの上下の位置ずれを防止しながら、上面プレートに沿って水平方向に移動でき、複数の送電コイルを各々の受電コイルに接近して効率よく内蔵電池を充電できる。
本発明の一態様に係る充電台は、ケース20が、上面プレート21と対向する位置にガイドプレート23を設けて、このガイドプレート23と上面プレート21との間に、送電コイル11を上下方向の移動を制限して水平方向に移動させる移動スペース24を設けて水平ガイド22として、水平ガイド22が移動スペース24で送電コイル11を水平方向に移動させることができる。
この充電台は、簡単な構造で送電コイルを安定して上面プレートに沿って水平方向に移動できる特徴がある。
本発明の一態様に係る充電台は、板バネ41を、巻き取り軸42から繰り出された押し出し状態で長手方向に交差する横断面形状をアーチ状に湾曲させるリボン状薄板とすることができる。
この充電台は、繰り出される板バネを安定して直線状に保持できる。このため、薄い板バネを使用しながら、安定して送電コイルをY軸方向に移動できる。板バネを薄くできることから、巻き取り軸を軽いトルクでスムーズに回転して、送電コイルをY軸方向に移動できる特徴も実現できる。
本発明の一態様に係る充電台は、Y軸アクチュエータ43とX軸アクチュエータ45をステッピングモータとすることができる。
この充電台は、簡単な機構で送電コイルを正確な位置に移動して、受電コイルに接近できる特徴がある。それは、ステッピングモータが回転位置を正確にコントロールできるからである。
本発明の一態様に係る充電台は、X軸駆動機構40Aが、巻き取り軸42に固定してなるラック46と、このラック46に噛み合ってラック46をX軸ガイド44に沿って移動させるピニオン47とを備えて、X軸アクチュエータ45がピニオン47を回転して巻き取り軸42をX軸方向に移動させることができる。
以上の充電台は、簡単な機構で、安定して巻き取り軸をX軸方向に移動できる特徴がある。
本発明の一態様に係る充電台は、X軸ガイド44に沿って移動できるように、X軸ガイド44に連結してなるキャリッジ26を備えて、このキャリッジ26にはラック46を連結すると共に、巻き取り軸42を回転自在に連結して、ラック46を介して巻き取り軸42を連結しているキャリッジ26をX軸ガイド44に沿って移動させることができる。
以上の充電台は、簡単な機構で巻き取り軸を安定してX軸方向に移動できる特徴がある。
本発明の一態様に係る充電台は、X軸ガイド44を回転自在にケース20に連結すると共に、このX軸ガイド44に、回転しないが軸方向に移動できるように巻き取り軸42を連結し、さらに、Y軸アクチュエータ43をX軸ガイド44に連結して、このY軸アクチュエータ43でX軸ガイド44を回転して、巻き取り軸42を回転させることができる。
以上の充電台は、巻き取り軸を回転させるY軸アクチュエータをケースに固定して、送電コイルをY軸方向に移動できる。Y軸アクチュエータがX軸ガイドを回転して、送電コイルをY軸方向に移動できるからである。いいかえると、この充電台は、Y軸アクチュエータを、たとえばキャリッジに固定して、可撓性のリード線を介して電力などを伝送する必要がなく、可撓性のリード線に起因する故障を皆無にして、長期間にわたって安定して送電コイルをY軸方向に移動できる特徴がある。
本発明の一態様に係る充電台は、複数のピニオン47をラック46の移動方向に所定の間隔に並べて配列して、各々のピニオン47をX軸アクチュエータ45で回転してラック46をX軸方向に移動させることができる。
この充電台は、短いラックで巻き取り軸をX軸方向に往復運動できるストロークを大きくできる特徴がある。
本発明の一態様に係る充電台は、位置検出制御器14、84が各々の電池内蔵機器50の受電コイル51の位置を検出して送電コイル11を受電コイル51に接近させることができる。
この充電台は、各々の電池内蔵機器に内蔵される受電コイルの位置を位置検出制御器で検出して送電コイルを受電コイルに接近させるので、送電コイルを正確に受電コイルに接近させて効率よく充電できる。とくに、この充電台は、電池内蔵機器の構造や機種に関係なく、言い換えると、電池内蔵機器に内蔵される受電コイルの位置に関係なく、種々の電池内蔵機器を充電台の上面プレートに載せる状態で、電池内蔵機器に内蔵される受電コイルの位置を位置検出制御器で検出して、内蔵電池を効率よく充電できる。
さらに、本発明の一態様に係る充電台は、位置検出制御器84が、上面プレート21に固定している複数の位置検出コイル30と、この位置検出コイル30にパルス信号を供給するパルス電源31と、このパルス電源31から位置検出コイル30に供給されるパルス信号に励起されて受電コイル51から位置検出コイル30に出力されるエコー信号を受信する受信回路32と、この受信回路32が受信するエコー信号から受電コイル51の位置を判別する識別回路93とを備えることができる。位置検出コイル30は、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する複数のX軸検出コイル30Aと、Y軸方向の位置を検出する複数のY軸検出コイル30Bとを備えることができる。位置検出制御器84は、パルス電源31がいずれかの位置検出コイル30にパルス信号を供給する状態で、このパルス信号に励起されて受電コイル51から出力されるエコー信号を、X軸検出コイル30AとY軸検出コイル30Bの両方で受信して受電コイル51の位置を判別することができる。
以上の充電台は、位置検出制御器が、パルス電源から位置検出コイルにパルス信号を送る状態で、このパルス信号に励起される受電コイルから出力されるエコー信号を、X軸検出コイルとY軸検出コイルの両方で受信して受電コイルの位置を判別するので、上面プレートに複数の電池内蔵機器が載せられた状態においても受電コイルの位置を正確に検出できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための充電台を例示するものであって、本発明は充電台を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1ないし図6は、充電台の概略構成図及び原理図を示している。充電台10は、図1と図6に示すように、充電台10の上に複数の電池内蔵機器50を載せて、各々の電池内蔵機器50の内蔵電池52を磁気誘導作用で充電する。電池内蔵機器50は、送電コイル11に電磁結合される受電コイル51を内蔵している。この受電コイル51に誘導される電力で充電される電池52を内蔵している。ここで、電池内蔵機器50は、パック電池であっても良い。
図6は電池内蔵機器50の回路図を示す。この電池内蔵機器50は、受電コイル51と並列にコンデンサー53を接続している。コンデンサー53と受電コイル51は並列共振回路54を構成する。コンデンサー53と受電コイル51の共振周波数は、送電コイル11から電力搬送される周波数に近似する周波数として、送電コイル11から効率よく受電コイル51に電力搬送できる。図6の電池内蔵機器50は、受電コイル51から出力される交流を整流するダイオード55と、整流された脈流を平滑化する平滑コンデンサー56とからなる整流回路57と、この整流回路57から出力される直流で電池52を充電する充電制御回路58とを備える。充電制御回路58は、電池52の満充電を検出して充電を停止する。
充電台10は、図1ないし図6に示すように、交流電源12に接続されて受電コイル51に起電力を誘導する複数の送電コイル11と、各々の送電コイル11を内蔵すると共に、上面には複数の電池内蔵機器50を載せる面積の上面プレート21を有するケース20と、このケース20に内蔵されて、各々の送電コイル11を別々に独立して上面プレート21の内面に沿って移動させる移動機構13と、上面プレート21に載せられる各々の電池内蔵機器50の位置を検出して、移動機構13を制御して各々の送電コイル11を電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させる位置検出制御器14とを備える。充電台10は、複数の送電コイル11と、各々の送電コイル11に交流電力を供給する交流電源12と、移動機構13と、位置検出制御器14とをケース20に内蔵している。
この充電台10は、以下の動作で複数の電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する。
(1)ケース20の上面プレート21に複数の電池内蔵機器50が載せられると、各々の電池内蔵機器50の位置が位置検出制御器14で検出される。
(2)各々の電池内蔵機器50の位置を検出した位置検出制御器14は、移動機構13を制御して、移動機構13でもって各々の送電コイル11を上面プレート21に沿って移動させて各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させる。
(3)各々の受電コイル51に別々に接近する複数の送電コイル11は、各々の受電コイル51に電磁結合されて受電コイル51に交流電力を搬送する。
(4)各々の電池内蔵機器50は、受電コイル51の交流電力を整流して直流に変換し、この直流で内蔵電池52を充電する。
以上の動作で複数の電池内蔵機器50の電池52を充電する充電台10は、図2と図5に示すように、交流電源12に接続している複数の送電コイル11をケース20に内蔵している。各々の送電コイル11は、ケース20の上面プレート21の下に配設されて、上面プレート21に沿って水平方向に移動するように配設される。送電コイル11から受電コイル51への電力搬送の効率は、送電コイル11と受電コイル51の間隔を狭くして向上できる。好ましくは、送電コイル11を受電コイル51に接近する状態で、送電コイル11と受電コイル51の間隔は7mm以下とする。したがって、送電コイル11は、上面プレート21の下にあって、できるかぎり上面プレート21に接近して配設される。送電コイル11は、上面プレート21の上に載せられる電池内蔵機器50の受電コイル51に接近するように移動するので、上面プレート21の下面に沿って移動できるように配設される。
送電コイル11を内蔵するケース20は、電池内蔵機器50を載せる平面状の上面プレート21を上面に設けている。図1ないし図4の充電台10は、上面プレート21全体を平面状として水平に配設している。上面プレート21は、大きさや外形が異なる種々の電池内蔵機器50を複数個載せることができる大きさ、たとえば、一辺を10cmないし50cmとする四角形、又は直径を10cmないし50cmとする円形としている。本発明の充電台は、上面プレートを大きくして、より多くの電池内蔵機器を同時に載せることができる大きさとして、複数の電池内蔵機器を一緒に載せて同時に内蔵電池を充電する。また、上面プレートは、その周囲に周壁などを設け、周壁の内側に電池内蔵機器をセットして、内蔵する電池を充電することもできる。
各々の送電コイル11は、上面プレート21と平行な面で渦巻き状に巻かれて、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。この送電コイル11は、上面プレート21に直交する交流磁束を上面プレート21の上方に放射する。送電コイル11は、交流電源12から交流電力が供給されて、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。送電コイル11は、磁性材からなるコア15に線材を巻いてインダクタンスを大きくできる。コア15は、透磁率が大きいフェライト等の磁性材料で、上方を開放する壺形としている。壺形のコア15は、渦巻き状に巻かれた送電コイル11の中心に配置する円柱部15Aと、外側に配置される円筒部15Bを底部で連結する形状としている。コア15のある送電コイル11は、磁束を特定部分に集束して、効率よく電力を受電コイル51に伝送できる。ただ、送電コイルは、必ずしもコアを設ける必要はなく、空芯コイルとすることもできる。空芯コイルは軽いので、これを上面プレートの内面で移動する移動機構を簡単にできる。送電コイル11は、受電コイル51の外径にほぼ等しくして、受電コイル51に効率よく電力搬送する。
図2と図5の充電台10は、2個の電池内蔵機器50の内蔵電池52を同時に充電できるように2組の送電コイル11を設けている。充電台は、3個以上の送電コイルを設け、各々の送電コイルを別々に独立して移動させて、3個以上の電池内蔵機器の内蔵電池を同時に充電することもできる。
送電コイル11を上面プレート21に沿って水平面内で移動させるために、ケース20は、送電コイル11の上下方向の移動を制限しながら水平方向に移動させる水平ガイド22を設けている。図3と図4のケース20は、上面プレート21と対向する位置にガイドプレート23を設けて、このガイドプレート23と上面プレート21との間に、送電コイル11の上下方向の移動を制限しながら水平方向に移動させる移動スペース24を設けて水平ガイド22としている。このケース20の水平ガイド22は、移動スペース24に送電コイル11を配置して、送電コイル11を水平面内に移動させるようにしている。ガイドプレート23は、ケース20の底板とすることができる。図3と図4の送電コイル11は、上面と下面とに、摩擦抵抗の小さいスライド凸部25を設けている。この送電コイル11は、スライド凸部25を上面プレート21とガイドプレート23とに接触しながら、少ない摩擦抵抗でスムーズに移動できる。
交流電源12は、たとえば、20kHz〜1MHzの高周波電力を、各々の送電コイル11に別々に、供給電力をコントロールしながら供給する。交流電源12は、可撓性のリード線16を介して送電コイル11に接続される。送電コイル11が上面プレート21に載せられる電池内蔵機器50の受電コイル51に接近するように移動されるからである。交流電源12は、図示しないが、自励式の発振回路と、この発振回路から出力される交流を電力増幅するパワーアンプとを備える。自励式の発振回路は、送電コイル11を発振コイルに併用している。したがって、この発振回路は、送電コイル11のインダクタンスで発振周波数が変化する。送電コイル11のインダクタンスは、送電コイル11と受電コイル51との相対位置で変化する。送電コイル11と受電コイル51との相互インダクタンスが、送電コイル11と受電コイル51との相対位置で変化するからである。したがって、送電コイル11を発振コイルに使用する自励式の発振回路は、交流電源12が受電コイル51に接近するにしたがって変化する。このため、自励式の発振回路は、発振周波数の変化で送電コイル11と受電コイル51との相対位置を検出することができ、位置検出制御器14に併用できる。
各々の送電コイル11は、移動機構13で受電コイル51に接近するように移動される。図2ないし図4の移動機構13は、各々の送電コイル11を上面プレート21の内面に沿って独立して移動できる複数組の駆動機構40を備えている。各々の駆動機構40は、送電コイル11を互いに交差する方向に移動させるY軸駆動機構40BおよびX軸駆動機構40Aを備えている。
Y軸駆動機構40Bは、送電コイル11を先端部に連結してなる板バネ41と、この板バネ41を巻き取る巻き取り軸42と、この巻き取り軸42を正転して板バネ41を巻き取り軸42に巻き取り、また逆転して板バネ41を巻き取り軸42から繰り出して送電コイル11を板バネ41の長手方向であるY軸方向に移動させるY軸アクチュエータ43とを備えている。
X軸駆動機構40Aは、巻き取り軸42をX軸方向に移動させるX軸ガイド44と、このX軸ガイド44に沿って巻き取り軸42を移動させるX軸アクチュエータ45とを備えている。Y軸アクチュエータ43とX軸アクチュエータ45は、ステッピングモータである。ステッピングモータのアクチュエータは、位置検出制御器14で回転角が制御されて、送電コイル11をX軸方向とY軸方向とに移動させる。ただし、アクチュエータは、ステッピングモータに特定せず、サーボモータとすることもできる。さらに、Y軸アクチュエータは、巻き取り軸を制御しながら回転できる全ての機構、また、X軸アクチュエータは、巻き取り軸をX軸方向に制御しながら移動できる全てのもの、たとえば位置の制御ができるシリンダ等も使用できる。
この移動機構13は、位置検出制御器14が各々の電池内蔵機器50の位置を検出して、各々の駆動機構40に設けているY軸アクチュエータ43とX軸アクチュエータ45を制御して、各々の送電コイル11を各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近し、送電コイル11から受電コイル51に電力搬送して電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する。位置検出制御器14は、各々の電池内蔵機器50の位置を検出して、検出する位置情報から、いずれの送電コイル11を受電コイル51に接近できるかを判定し、各組の駆動機構40のY軸アクチュエータ43とX軸アクチュエータ45とを制御して、各々の送電コイル11を受電コイル51に接近させる。位置検出制御器14は、先に検出する電池内蔵機器50の受電コイル51に、あらかじめ特定している第1の送電コイル11を接近し、次に検出される電池内蔵機器50の受電コイル51に第2の送電コイル11を接近させるように駆動機構40を制御する。また、この順番で送電コイル11を受電コイル51に接近できない状態になると、先に検出される電池内蔵機器50の受電コイル51に第2の送電コイル11を接近し、あとで検出される電池内蔵機器50の受電コイル51に第1の送電コイル11を接近させる。また、位置検出制御器14は、あらかじめ第1の送電コイル11が移動できる領域と、第2の送電コイル11を移動できる領域とを記憶しておき、記憶する情報で第1の送電コイル11と第2の送電コイル11を接近させる電池内蔵機器50の受電コイル51を特定することもできる。
板バネ41は、所定の横幅を有する細長い帯状で、巻き取り軸42に巻き取りできるように弾性変形できる金属板や硬質のプラスチック板で製作される。板バネ41は、送電コイル11の横方向の移動、すなわちX軸方向の移動を阻止しながら、送電コイル11を長手方向のY軸方向に移動させる。板バネ41は、横幅を広くして横方向の移動をより確実に阻止できる。ただ、横幅が広すぎると巻き取り軸42の巻き取りトルクが大きくなる。したがって、板バネ41の横幅は、送電コイル11の横方向を阻止して長手方向にスムーズに移動できるように、1cm〜3cmとする。さらに、板バネ41は、図7の拡大端面図に示すように、巻き取り軸42から直線状に繰り出された押し出し部分が、長手方向に交差する横断面形状をアーチ状に湾曲させるリボン状薄板としている。リボン状薄板の板バネ41は、薄くして巻き取り軸42に小さいトルクで巻き取りできるようにしながら、直線状に押し出された押し出し部分の上下方向の波形変形を阻止して、送電コイル11をより確実に押し出しできる特徴がある。板バネ41は、先端部に送電コイル11を固定して、後端部を巻き取り軸42に固定している。この板バネ41は、正転する巻き取り軸42に巻き取られ、逆転する巻き取り軸42から繰り出されて、送電コイル11をY軸方向に移動させる。
図2のX軸駆動機構40Aは、巻き取り軸42に固定してなるラック46と、このラック46に噛み合ってラック46をX軸ガイド44に沿って移動させるピニオン47とを備える。この図のX軸駆動機構40Aは、複数のピニオン47をラック46の移動方向に所定の間隔に並べて配列している。図2のX軸駆動機構40Aは、2個のピニオン47を離して配置している。各々のピニオン47を回転するために、X軸アクチュエータ45に回転されるウォーム48をピニオン47に噛み合う位置に配置している。このX軸駆動機構40Aは、X軸アクチュエータ45のステッピングモータでウォーム48を回転し、ウォーム48で両方のピニオン47を回転して、ラック46をX軸方向に移動させる。
さらに、図2の駆動機構40は、送電コイル11をX軸ガイド44に沿って移動できるように、X軸ガイド44に連結しているキャリッジ26を備え、このキャリッジ26にラック46を設けて、巻き取り軸42を回転自在に連結している。キャリッジ26はプラスチック製で、ラック46を一体的に成形して設けている。さらに、キャリッジ26は、その両端部に、X軸ガイド44を回転でき、かつ軸方向にも移動できるように挿通してなるガイド孔27Aを設けてなるガイドリング27を一体的に成形して設けている。キャリッジ26は、両端部に設けているガイドリング27のガイド孔27AにX軸ガイド44を挿通して、X軸ガイド44に沿って移動できる構造としている。
このX軸駆動機構40Aは、ウォーム48をX軸アクチュエータ45のステッピングモータで回転させてピニオン47を回転し、回転するピニオン47に噛み合うラック46を往復運動させて、このラック46を介して、巻き取り軸42を連結しているキャリッジ26をX軸ガイド44に沿って往復運動させる。このX軸駆動機構40Aは、X軸アクチュエータ45のステッピングモータの正転と逆転を切り換えて、キャリッジ26を往復運動して、巻き取り軸42をX軸ガイド44に沿って移動できる。
さらに、図2の駆動機構40は、X軸ガイド44を回転して、巻き取り軸42を正転又は逆転させる。このことを実現するために、X軸ガイド44を回転できるようにケース20の側壁20Aに連結しており、このX軸ガイド44に、回転しないが軸方向に移動できるように巻き取り軸42を連結している。さらに、X軸ガイド44は、その端部に、Y軸アクチュエータ43のステッピングモータを、歯車49を介して連結して、ステッピングモータで正転と逆転とに回転されるようにしている。駆動機構40は、Y軸アクチュエータ43のステッピングモータがX軸ガイド44を回転して、巻き取り軸42を正転と逆転に回転できる。このY軸駆動機構40Bは、Y軸アクチュエータ43をケース20に固定して、送電コイル11をY軸方向に移動できる。
図2ないし図4の充電台は、2個の送電コイル11と2組の駆動機構40を備える。2組の駆動機構40は、四角形の上面プレート21の対向する2辺にX軸ガイド44を配置している。この充電台10は、2個の電池内蔵機器50をケース20に載せて一緒に充電できる。本発明の充電台は、送電コイルを2個に特定しない。充電台は、図8に示すように、3個の送電コイル11と3組の駆動機構40を設けて、3個の電池内蔵機器の内蔵電池を充電できることができる。この充電台70は、四角形の3辺にX軸ガイド44を設けている。また、充電台は、図9に示すように、各々の駆動機構40のX軸ガイド44を四角形の4辺に位置するように、4組の駆動機構40を設けることができる。この充電台80は、各々の駆動機構40で4個の送電コイル11を移動する構造として、4個の電池内蔵機器の内蔵電池を一緒に充電することができる。さらに、図示しないが、上面プレートを5角形以上の多角形として、各々の外周辺と平行にX軸ガイドを設けることで、5個以上の送電コイルを5組以上の駆動機構で移動する構造として、5個以上の電池内蔵機器の内蔵電池を一緒に充電することができる。
位置検出制御器14は、上面プレート21に載せられた電池内蔵機器50の位置を検出する。図5と図6の位置検出制御器14は、電池内蔵機器50に内蔵される受電コイル51の位置を検出して、送電コイル11を受電コイル51に接近させる。さらに、位置検出制御器14は、受電コイル51の位置を粗検出する第1の位置検出制御器14Aと、受電コイル51の位置を精密検出する第2の位置検出制御器14Bとを備える。この位置検出制御器14は、第1の位置検出制御器14Aで受電コイル51の位置を粗検出すると共に、移動機構13を制御して送電コイル11の位置を受電コイル51に接近させた後、さらに、第2の位置検出制御器14Bで受電コイル51の位置を精密検出しながら移動機構13を制御して、送電コイル11の位置を正確に受電コイル51に接近させる。この充電台10は、速やかに、しかも、より正確に送電コイル11を受電コイル51に接近できる。
第1の位置検出制御器14Aは、図6に示すように、上面プレート21の内面に固定している複数の位置検出コイル30と、この位置検出コイル30にパルス信号を供給するパルス電源31と、このパルス電源31から位置検出コイル30に供給されるパルスに励起されて受電コイル51から位置検出コイル30に出力されるエコー信号を受信する受信回路32と、この受信回路32が受信するエコー信号から送電コイル11の位置を判別する識別回路33とを備える。
位置検出コイル30は複数列のコイルからなり、複数の位置検出コイル30を上面プレート21の内面に所定の間隔で固定している。位置検出コイル30は、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する複数のX軸検出コイル30Aと、Y軸方向の位置を検出する複数のY軸検出コイル30Bとを備える。各々のX軸検出コイル30Aは、Y軸方向に細長いループ状であって、複数のX軸検出コイル30Aは、所定の間隔で上面プレート21の内面に固定されている。隣接するX軸検出コイル30Aの間隔(d)は、受電コイル51の外径(D)よりも小さく、好ましくはX軸検出コイル30Aの間隔(d)を受電コイル51の外径(D)の1倍ないし1/4倍としている。X軸検出コイル30Aは、間隔(d)を狭くして、受電コイル51のX軸方向の位置を正確に検出できる。各々のY軸検出コイル30Bは、X軸方向に細長いループ状であって、複数のY軸検出コイル30Bは、所定の間隔で上面プレート21の内面に固定されている。隣接するY軸検出コイル30Bの間隔(d)も、X軸検出コイル30Aと同じように、受電コイル51の外径(D)よりも小さく、好ましくはY軸検出コイル30Bの間隔(d)を受電コイル51の外径(D)の1倍ないし1/4倍としている。Y軸検出コイル30Bも、その間隔(d)を狭くして、受電コイル51のY軸方向の位置を正確に検出できる。
パルス電源31は、所定のタイミングでパルス信号を位置検出コイル30に出力する。パルス信号が入力される位置検出コイル30は、パルス信号で接近する受電コイル51を励起する。励起された受電コイル51は、流れる電流のエネルギーでエコー信号を位置検出コイル30に出力する。したがって、受電コイル51の近くにある位置検出コイル30は、図10に示すように、パルス信号が入力された後、所定の時間遅れて、受電コイル51からのエコー信号が誘導される。位置検出コイル30に誘導されるエコー信号は、受信回路32で識別回路33に出力される。したがって、識別回路33は、受信回路32から入力されるエコー信号でもって、位置検出コイル30に受電コイル51が接近しているかどうかを判定する。複数の位置検出コイル30にエコー信号が誘導されるとき、識別回路33は、エコー信号レベルの大きい位置検出コイル30にもっとも接近していると判定する。
図6に示す第1の位置検出制御器14Aは、各々の位置検出コイル30を切換回路34を介して受信回路32に接続する。この第1の位置検出制御器14Aは、入力を順番に切り換えて複数の位置検出コイル30に接続するので、ひとつの受信回路32で複数の位置検出コイル30のエコー信号を検出できる。ただし、各々の位置検出コイルに受信回路を接続してエコー信号を検出することもできる。
図6の第1の位置検出制御器14Aは、識別回路33で制御される切換回路34で複数の位置検出コイル30を順番に切り換えて受信回路32に接続する。パルス電源31は切換回路34の出力側に接続されて、位置検出コイル30にパルス信号を出力する。パルス電源31から位置検出コイル30に出力されるパルス信号のレベルは、受電コイル51からのエコー信号に比較して極めて大きい。受信回路32は、入力側にダイオードからなるリミッター回路35を接続している。リミッター回路35は、パルス電源31から受信回路32に入力されるパルス信号の信号レベルを制限して受信回路32に入力する。信号レベルの小さいエコー信号は、制限されることなく受信回路32に入力される。受信回路32は、パルス信号とエコー信号の両方を増幅して出力する。受信回路32から出力されるエコー信号は、パルス信号から所定のタイミング、たとえば数μsec〜数百μsec遅れた信号となる。エコー信号がパルス信号から遅れる遅延時間は、一定の時間であるから、パルス信号から所定の遅延時間後の信号をエコー信号とし、このエコー信号のレベルから位置検出コイル30に受電コイル51が接近しているかどうかを判定する。
受信回路32は、位置検出コイル30から入力されるエコー信号を増幅して出力するアンプである。受信回路32は、パルス信号とエコー信号を出力する。識別回路33は、受信回路32から入力されるパルス信号とエコー信号から位置検出コイル30に受電コイル51が接近してセットされるかどうかを判定する。識別回路33は、受信回路32から入力される信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ36を備えている。このA/Dコンバータ36から出力されるデジタル信号を演算してエコー信号を検出する。識別回路33は、パルス信号から特定の遅延時間の後に入力される信号をエコー信号として検出し、さらにエコー信号のレベルから受電コイル51が位置検出コイル30に接近しているかどうかを判定する。
識別回路33は、複数のX軸検出コイル30Aを順番に受信回路32に接続するように切換回路34を制御して、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する。識別回路33は、各々のX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続する毎に、受信回路32に接続しているX軸検出コイル30Aにパルス信号を出力し、パルス信号から特定の遅延時間の後に、エコー信号が検出されるかどうかで、このX軸検出コイル30Aに受電コイル51が接近しているかどうかを判定する。識別回路33は、全てのX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続して、各々のX軸検出コイル30Aに受電コイル51が接近しているかどうかを判定する。受電コイル51がいずれかのX軸検出コイル30Aに接近していると、このX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続する状態でエコー信号が検出される。したがって、識別回路33は、エコー信号を検出できるX軸検出コイル30Aから受電コイル51のX軸方向の位置を検出できる。受電コイル51が複数のX軸検出コイル30Aに跨って接近する状態では、複数のX軸検出コイル30Aからエコー信号が検出される。この状態において、識別回路33はもっとも強いエコー信号、すなわちレベルの大きいエコー信号が検出されるX軸検出コイル30Aにもっとも接近していると判定する。識別回路33は、Y軸検出コイル30Bも同じように制御して、受電コイル51のY軸方向の位置を検出する。
さらに、第1の位置検出制御器14Aは、図6の鎖線で示すように、識別回路33に、受電コイル51の位置に対する各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベル、すなわち図10に示すように、各々の位置検出コイル30をパルス信号で励起して所定の時間経過後に誘導されるエコー信号のレベルを記憶する記憶回路37を備えることができる。この第1の位置検出制御器14Aは、各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベルを検出し、検出したエコー信号のレベルを記憶回路37に記憶しているエコー信号のレベルに比較して、受電コイル51の位置を検出することができる。
記憶回路37を備える第1の位置検出制御器14Aは、以下のようにして、各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベルから、受電コイル51の位置を求めることができる。図11は、受電コイル51をX軸方向に移動させる状態における、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを示しており、横軸が受電コイル51のX軸方向の位置を示し、縦軸が各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを示している。この第1の位置検出制御器14Aは、各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを検出することによって、受電コイル51のX軸方向の位置を求めることができる。この図に示すように、受電コイル51をX軸方向に移動すると、各々のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルは変化する。たとえば、受電コイル51の中心が第1のX軸位置検出コイル30Aの中心にあるとき、図11の点Aで示すように、第1のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルが最も強くなる。また、受電コイル51が第1のX軸位置検出コイル30Aと第2のX軸位置検出コイル30Aの中間にあるとき、図11の点Bで示すように、第1のX軸位置検出コイル30Aと第2のX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルは同じとなる。すなわち、各々のX軸位置検出コイル30Aは、受電コイル51が最も近くにあるときに誘導されるエコー信号のレベルが最も強くなり、受電コイル51が離れるにしたがってエコー信号のレベルは小さくなる。したがって、どのX軸位置検出コイル30Aのエコー信号のレベルが最も強いかで、受電コイル51がどのX軸位置検出コイル30Aに最も接近しているかを判定できる。また、ふたつのX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導されるとき、強いエコー信号を検出するX軸位置検出コイル30Aからどの方向にあるX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導されるかで、最もエコー信号の強いX軸位置検出コイル30Aからどの方向にずれて受電コイル51があるかを判定でき、また、エコー信号のレベル比でふたつのX軸位置検出コイル30Aとの相対位置を判定できる。たとえば、ふたつのX軸位置検出コイル30Aのエコー信号のレベル比が1であると、受電コイル51はふたつのX軸位置検出コイル30Aの中央に位置すると判定できる。
この記憶回路37は、受電コイル51のY軸方向の位置に対する、各々のY軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを記憶している。受電コイル51が置かれると、いずれかのX軸位置検出コイル30Aにエコー信号が誘導される。したがって、識別回路33は、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号で受電コイル51が載せられたこと、すなわち電池内蔵機器50が充電台10に載せられたことを検出する。さらに、いずれかのX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベルを、記憶回路37に記憶しているレベルに比較して、受電コイル51のX軸方向の位置を判別することができる。識別回路は、隣接するX軸位置検出コイルに誘導されるエコー信号のレベル比から受電コイルのX軸方向の位置を特定する関数を記憶回路に記憶して、この関数から受電コイルの位置を判別することもできる。この関数は、ふたつのX軸位置検出コイルの間に受電コイルを移動させて、各々のX軸位置検出コイルに誘導されるエコー信号のレベル比を検出して求められる。識別回路33は、ふたつのX軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号のレベル比を検出し、検出されるレベル比から、この関数に基づいてふたつのX軸位置検出コイル30Aの間における受電コイル51のX軸方向の位置を演算して検出することができる。
以上は、識別回路33が、X軸位置検出コイル30Aに誘導されるエコー信号から、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する方法を示すが、受電コイル51のY軸方向の位置もX軸方向と同じようにして、Y軸位置検出コイル30Bに誘導されるエコー信号から検出できる。
なお、上記のような波形のエコー信号が検出されたとき、充電台の識別回路33は、電池内蔵機器50の受電コイル51が搭載されたと認識、識別することができる。エコー信号の波形とは異なる波形が検出、識別されるときは、電池内蔵機器50の受電コイル51以外(例えば、金属異物)のものが搭載されたとして、電力供給を停止することができる。また、エコー信号の波形が検出、識別されないときは、電池内蔵機器50の受電コイル51が搭載されていないとして、電力供給をしない。
第1の位置検出制御器14Aは、識別回路33が受電コイル51のX軸方向とY軸方向の位置を検出すると、この識別回路33からの位置信号でもって、送電コイル11を受電コイル51の位置に移動させる。識別回路33は、検出するX軸方向とY軸方向の位置から移動機構13を制御して、送電コイル11を受電コイル51に接近する位置に移動させる。識別回路33は、移動機構13のX軸駆動機構40Aを制御して、送電コイル11を受電コイル51のX軸方向の位置に移動させる。また、識別回路33は、移動機構13のY軸駆動機構40Bを制御して、送電コイル11を受電コイル51のY軸方向の位置に移動させる。
充電台10は、上面プレート21に1個の電池内蔵機器50を載せる状態では、第1の位置検出制御器14Aで受電コイル51の位置を特定して、移動機構13を制御して、送電コイル11を受電コイル51に接近する位置に移動させる。ただ、第1の位置検出制御器14Aは、上面プレート21に複数の電池内蔵機器50を載せる状態においては、受電コイル51の位置を特定することなく、受電コイル51の位置を複数の候補点として検出する。たとえば、図12に示すように、上面プレート21上に2個の電池内蔵機器50を載せる状態では、第1の位置検出制御器14Aは、受電コイル51の位置として、4個の候補点を検出する。図12は、上面プレート21上のA点に第1の電池内蔵機器50Aを載せて、B点に第2の電池内蔵機器50Bを載せた状態を示している。このとき、第1の位置検出制御器14Aは、第1のX軸位置検出コイル30Aと第3のX軸位置検出コイル30Aで、受電コイル51からのエコー信号を検出し、第1のY軸位置検出コイル30Bと第4のY軸位置検出コイル30Bで、受電コイル51からのエコー信号を検出する。すなわち、第1の位置検出制御器14Aは、受電コイルのX軸方向の位置として、A点を含むラインm1を第1のX軸位置検出コイル30Aで検出し、B点を含むラインm2を第3のX軸位置検出コイル30Aで検出する。また、第1の位置検出制御器14Aは、受電コイル51のY軸方向の位置として、A点を含むラインn1を第1のY軸位置検出コイル30Bで検出し、B点を含むラインn2を第4のY軸位置検出コイル30Bで検出する。したがって、第1の位置検出制御器14Aは、ラインm1及びラインm2と、ラインn1及びラインn2との交点であるA点〜D点の4点を受電コイル51の位置を示す候補点として検出する。同様にして、第1の位置検出制御器は、上面プレート上に3個の電池内蔵機器を載せる状態では、図示しないが、受電コイルの位置として9個の候補点を検出する。ただ、複数の電池内蔵機器の受電コイルの位置が、第1の位置検出制御器で検出される同一ライン上にある場合には、検出される候補点の個数は少なくなる。例えば、2個の電池内蔵機器を載せる状態で、2個の受電コイルがX軸方向またはY軸方向を示すいずれかのラインにおいて同一ライン上にある場合、第1の位置検出制御器で検出される受電コイルの候補点は2個となり、これにより2個の受電コイルの位置が特定される。また、3個の電池内蔵機器を載せる状態で、2個の受電コイルがX軸方向またはY軸方向を示すいずれかのラインにおいて同一ライン上にある場合、第1の位置検出制御器で検出される受電コイ.ルの候補点は4個または6個となり、さらにまた、3個の受電コイル全てが同一ライン上にある場合は、受電コイルの候補点は3個となる。したがって、複数の電池内蔵機器を載せる状態で、第1の位置検出制御器が検出する受電コイルの位置としての候補点の個数は、上面プレートの載せられる電池内蔵機器の個数や位置によって変化する。
充電台10は、第1の位置検出制御器14Aで粗検出された受電コイル51の検出位置から受電コイル51の正確な位置を検出し、また、第1の位置検出制御器14Aで検出された受電コイル51の候補点から受電コイル51の位置を検出する第2の位置検出制御器14Bを備える。この充電台10は、第1の位置検出制御器14Aで粗検出された受電コイル51の検出位置に移動機構13で送電コイル11を接近させた後、第2の位置検出制御器14Bで受電コイル51の正確な位置を検出し、または、第1の位置検出制御器14Aで検出された複数の受電コイルの候補点に移動機構13で送電コイル11を接近させた後、第2の位置検出制御器14Bで受電コイル51の正確な位置を検出する。
第2の位置検出制御器14Bは、交流電源12を自励式の発振回路として、自励式の発振回路の発振周波数から送電コイル11の位置を正確に検出して移動機構13を制御する。第2の位置検出制御器14Bは、移動機構13のX軸駆動機構40AとY軸駆動機構40Bを制御して、送電コイル11をX軸方向とY軸方向に移動させて、交流電源12の発振周波数を検出する。自励式の発振回路の発振周波数が変化する特性を図13に示している。この図は、送電コイル11と受電コイル51の相対的な位置ずれに対する発振周波数の変化を示している。この図に示すように、自励式の発振回路の発振周波数は、送電コイル11が受電コイル51に最も接近する位置でもっとも高くなり、相対位置がずれるにしたがって発振周波数が低くなる。したがって、第2の位置検出制御器14Bは、移動機構13のX軸駆動機構40Aを制御して送電コイル11をY軸方向に移動し、発振周波数が最も高くなる位置で停止する。また、Y軸駆動機構40Bも同じように制御して送電コイル11をX軸方向に移動して、発振周波数が最も高くなる位置で停止する。第2の位置検出制御器14Bは、以上のようにして、送電コイル11を受電コイル51に最も接近する位置に移動させて、受電コイル51の正確な位置を精密検出できる。また、第2の位置検出制御器14Bは、複数の候補点から受電コイル51の正確な位置を検出する場合には、図12のC点やD点のように、受電コイルが存在しない架空の候補点においても、発振回路の発振周波数から受電コイルが存在しないことを検出できる。
以上の充電台は、第1の位置検出制御器14Aで受電コイル51の位置を粗検出し、また複数の候補点を検出した後、さらに第2の位置検出制御器14Bで受電コイル51の正確な位置を精密検出して、送電コイル11を受電コイル51に接近させる。
図5に示す第2の位置検出制御器14Bは、自励式の発振回路の発振周波数の変化から送電コイル11と受電コイル51の相対位置を判定するが、送電コイルと受電コイルとの相対位置を微調整する第2の位置検出制御器は、送電コイルの電圧、送電コイルに電力を供給する交流電源の消費電力、あるいは受電コイルに誘導される電流から送電コイルの受電コイルに対する相対位置を検出することができる。この第2の位置検出制御器は、発振周波数を変化させる必要がないので、他励式の発振回路とすることができる。
図14において、送電コイル11の電圧から受電コイル51に対する送電コイル11の相対位置を検出する第2の位置検出制御器14Cは、送電コイル11の電圧を検出する電圧検出回路63を内蔵している。この第2の位置検出制御器14Cは、送電コイル11を移動させて、送電コイル11の電圧を電圧検出回路63で検出する。送電コイル11と受電コイル51の相対位置に対して送電コイル11の電圧が変化する特性を図15に示している。この図は、送電コイル11と受電コイル51の相対的な位置ずれに対する送電コイル11の電圧の変化を示している。この図に示すように、送電コイル11の電圧は、送電コイル11が受電コイル51に最も接近する位置でもっとも低くなり、相対位置がずれるにしたがって電圧が高くなる。したがって、第2の位置検出制御器14Cは、移動機構13のX軸駆動機構40Aを制御して送電コイル11をX軸方向に移動し、送電コイル11の電圧が最も低くなる位置で停止する。また、Y軸駆動機構40Bも同じように制御して送電コイル11をY軸方向に移動して、送電コイル11の電圧が最も低くなる位置で停止する。第2の位置検出制御器14Cは、以上のようにして、送電コイル11を受電コイル51に最も接近する位置に移動させて、受電コイル51の正確な位置を検出できる。
また、図14において、送電コイル11に電力を供給する交流電源12の消費電力から受電コイル51に対する送電コイル11の相対位置を検出する第2の位置検出制御器14Cは、交流電源12の消費電力を検出する消費電力検出回路64を内蔵している。この第2の位置検出制御器14Cは、送電コイル11を移動させて、交流電源12の消費電力を消費電力検出回路64で検出する。送電コイル11と受電コイル51の相対位置に対して交流電源12の消費電力が変化する特性を図16に示している。この図は、送電コイル11と受電コイル51の相対的な位置ずれに対する交流電源12の消費電力の変化を示している。この図に示すように、交流電源12の消費電力は、送電コイル11が受電コイル51に最も接近する位置でもっとも小さくなり、相対位置がずれるにしたがって消費電力が大きくなる。したがって、第2の位置検出制御器14Cは、移動機構13のX軸駆動機構40Aを制御して送電コイル11をX軸方向に移動し、交流電源12の消費電力が最も小さくなる位置で停止する。また、Y軸駆動機構40Bも同じように制御して送電コイル11をY軸方向に移動して、交流電源12の消費電力が最も低くなる位置で停止する。第2の位置検出制御器14Cは、以上のようにして、送電コイル11を受電コイル51に最も接近する位置に移動させて、受電コイル51の正確な位置を検出する。
さらに、図14において、受電コイル51の電流から受電コイル51に対する送電コイル11の相対位置を検出する第2の位置検出制御器14Cは、受電コイル51の電流を検出する検出回路65を内蔵している。電池内蔵機器50は、受電コイル51にコンデンサーを接続して受電コイル51のインピーダンスを変更し、あるいは交流電源12と異なる周波数の交流信号を受電コイル51に出力し、充電台10は、送電コイル51を介して受電コイル51のインピーダンスを検出し、あるいは交流信号を送電コイル11で受信して、検出回路17でもって受電コイル51の電流を検出する。また、電池内蔵機器50が特定周波数の搬送波を受電コイル51の電流信号で変調する信号を受電コイル51に出力し、充電台10が特定周波数の搬送波を受信し、この信号を復調して受電コイルの電流を検出することもできる。さらに、電池内蔵機器から充電台に、受電コイルの電流信号を無線伝送して、電流情報を伝送することもできる。この第2の位置検出制御器14Cは、送電コイル11を移動させて、受電コイル51の電流を検出する。送電コイル11と受電コイル51の相対位置に対して受電コイル51の電流が変化する特性を図17に示している。この図は、送電コイル11と受電コイル51の相対的な位置ずれに対する受電コイル51の変化を示している。この図に示すように、受電コイル51の電流は、送電コイル11が受電コイル51に最も接近する位置でもっとも大きくなり、相対位置がずれるにしたがって電流が小さくなる。したがって、第2の位置検出制御器14Cは、移動機構13のX軸駆動機構40Aを制御して送電コイル11をX軸方向に移動し、受電コイル51の電流が最も大きくなる位置で停止する。また、Y軸駆動機構40Bも同じように制御して送電コイル11をY軸方向に移動して、受電コイル51の電流が最も大きくなる位置で停止する。第2の位置検出制御器14Cは、以上のようにして、送電コイル11を受電コイル51に最も接近する位置に移動させて、受電コイル51の正確な位置を検出する。
以上の移動機構13は、送電コイル11をX軸方向とY軸方向とに移動して、送電コイル11を受電コイル51の位置に移動させるが、本発明は、移動機構がX軸方向とY軸方向とに送電コイルを移動して、送電コイルの位置を受電コイルに接近させる構造には特定せず、送電コイルは種々の方向に移動させて、受電コイルに接近することもできる。
以上の充電台10は、上面プレート21に複数の電池内蔵機器50を載せた状態では、第1の位置検出制御器14Aで受電コイル51の複数の候補点を検出した後、第2の位置検出制御器14B、14Cで受電コイル51の正確な位置を精密検出して、送電コイル11を受電コイル51に接近させている。ただ、位置検出制御器は、以下に示す構成とすることにより、上面プレートに複数の電池内蔵機器を載せた状態において、複数の候補点を検出することなく受電コイルの位置を特定することができる。
図18に示す位置検出制御器84は、上面プレートの内面に固定している複数の位置検出コイル30と、この位置検出コイル30にパルス信号を供給するパルス電源31と、このパルス電源31から位置検出コイル30に供給されるパルスに励起されて受電コイル51から位置検出コイル30に出力されるエコー信号を受信する受信回路32と、受信回路32が受信するエコー信号から送電コイル11の位置を判別する識別回路93とを備えている。複数の位置検出コイル30は、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する複数のX軸検出コイル30Aと、Y軸方向の位置を検出する複数のY軸検出コイル30Bとからなる。この位置検出制御器84は、パルス電源31がいずれかの位置検出コイル30にパルス信号を供給する状態で、このパルス信号に励起されて受電コイル51から出力されるエコー信号を、X軸検出コイル30AとY軸検出コイル30Bの両方で受信して、受電コイル51の位置を判別している。さらに、位置検出制御器84は、識別回路93に、受電コイル51の位置に対する各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベル、すなわち図10に示すように、各々の位置検出コイル30をパルス信号で励起して所定の時間経過後に誘導されるエコー信号のレベルを記憶する記憶回路97を備えている。識別回路93は、各々の位置検出コイル30に誘導されるエコー信号のレベルを検出し、検出したエコー信号のレベルを記憶回路97に記憶しているエコー信号のレベルに比較して、受電コイル51の位置を検出している。
位置検出制御器84は、パルス電源31から特定の位置検出コイル30にパルス信号を供給すると共に、受電コイル51から出力されるエコー信号を、X軸検出コイル30AとY軸検出コイル30Bの両方で受信するために、複数のX軸検出コイル30Aと複数のY軸検出コイル30Bとを別々に切り換えてパルス電源31及び受信回路32に接続する切換回路94を備えている。さらに、図に示す位置検出制御器84は、切換回路94とパルス電源31との接続状態を制御する入力切換回路95と、切換回路94と受信回路32との接続状態を制御する受信切換回路96とを備えている。
切換回路94は、複数のX軸検出コイル30Aを順番に切り換えるX軸切換回路94Aと、複数のY軸検出コイル30Bを順番に切り換えるY軸切換回路94Bとからなる。X軸切換回路94AとY軸切換回路94Bは、それぞれ入力切換回路95を介してパルス電源31に接続している。入力切換回路95は、識別回路93に制御されて、パルス電源31から出力されるパルスを、X軸切換回路94AとY軸切換回路94Bとに切り換えて入力する。この回路構成によると、ひとつのパルス電源31の出力を切り換えて、X軸検出コイル30AとY軸検出コイル30Bにパルス信号を供給できる。ただ、位置検出制御器は、入力切換回路を設けることなく、X軸検出コイルとY軸検出コイルに別々にパルス信号を供給するパルス電源を備えることもできる。さらに、X軸切換回路94AとY軸切換回路94Bは、それぞれ受信切換回路96を介して受信回路32に接続している。受信切換回路96は、識別回路93に制御されて、X軸切換回路94A及びY軸切換回路94Bと受信回路32との接続状態を切り換えて、X軸検出コイル30Aで受信するエコー信号とY軸検出コイル30Bで受信するエコー信号とを別々に受信回路32に入力している。この位置検出制御器84は、受信切換回路96で入力を切り換えることにより、ひとつの受信回路32でX軸検出コイル30AとY軸検出コイル30Bからのエコー信号を検出できる。ただし、X軸切換回路とY軸切換回路に別々に受信回路を接続して、各々のエコー信号を検出することもできる。この回路構成によると、いずれかの位置検出コイルにパルス信号を供給する状態で、受電コイルから出力されるエコー信号を、X軸切換回路に接続された受信回路とY軸切換回路に接続された受信回路の両方で同時に受信して、受電コイルの位置を速やかに検出できる。
この位置検出制御器84は、たとえば、複数の受電コイル51のX軸方向の位置を検出する場合には、前述の第1の位置検出制御器14Aと同様に、複数のX軸検出コイル30Aを順番に切り換えてX軸検出コイル30Aにパルス信号を入力し、このパルス信号で励起されて受電コイル51から出力されるエコー信号をX軸検出コイル30Aで受信して、受電コイル51のX軸方向の位置を検出する。ただ、Y軸方向の位置を検出する場合においては、Y軸検出コイル30Bにパルス信号を入力することなく、X軸方向の位置を検出する工程でエコー信号が検出されたX軸検出コイル30Aにパルス信号を入力し、このパルス信号に励起されて受電コイル51から出力されるエコー信号を、複数のY軸検出コイル30Bを順番に切り換えて受信することによって受電コイル51のY軸方向の位置を検出する。これにより、受電コイル51のX軸方向の位置とY軸方向の位置を検出して受電コイル51の位置を特定する。
図18に示す位置検出制御器84は、以下のようにして複数の受電コイル51の位置を検出する。
(1)複数の受電コイル51のX軸方向の位置の検出
識別回路93は、入力切換回路95を制御して、パルス電源31とX軸切換回路94Aとを接続状態とし、パルス電源31とY軸切換回路94Bとを非接続状態とする。さらに、識別回路93は、受信切換回路96を制御して、X軸切換回路94Aと受信回路32とを接続状態とし、Y軸切換回路94Bと受信回路32とを非接続状態とする。この状態で、識別回路93は、複数のX軸検出コイル30Aを順番に受信回路32に接続するようにX軸切換回路94Aを制御して、各々のX軸検出コイル30Aを受信回路32に接続する毎に、パルス電源31からパルス信号を出力し、受電コイル51から出力されるエコー信号をX軸検出コイル30Aで検出する。識別回路93は、全てのX軸検出コイル30Aを順番に受信回路32に接続して、各々のX軸検出コイル30Aに入力されるエコー信号から、複数の受電コイル51のX軸方向の位置を検出する。たとえば、図19に示すように、上面プレートの上に2個の電池内蔵機器50を載せる状態では、識別回路93は、受電コイル51のX軸方向の位置として、A点を含むラインm1を第1のX軸位置検出コイル30Aで検出し、B点を含むラインm2を第3のX軸位置検出コイル30Aで検出する。
(2)複数の受電コイル51のY軸方向の位置の検出
識別回路93は、受信切換回路96を制御して、X軸切換回路94Aと受信回路32とを非接続状態とし、Y軸切換回路94Bと受信回路32とを接続状態とする。このとき、入力切換回路95は、パルス電源31とX軸切換回路94Aとを接続状態とし、パルス電源31とY軸切換回路94Bとを非接続状態の状態に保持する。この状態で、識別回路93は、(1)の工程(X軸方向の位置を検出する工程)においてエコー信号が検出されたX軸検出コイル30Aにパルス電源31を接続するようにX軸切換回路94Aを制御すると共に、複数のY軸検出コイル30Bを順番に受信回路32に接続するようにY軸切換回路94Bを制御して、受電コイル51のY軸方向の位置を検出する。識別回路93は、各々のY軸検出コイル30Bを受信回路32に接続する毎に、X軸検出コイル30Aにパルス電源31からパルス信号を入力し、このパルス信号に励起されて受電コイルから出力されるエコー信号をY軸検出コイル30Bで検出する。すなわち、図19において、識別回路93は、パルス電源31を第1のX軸位置検出コイル30Aに接続してパルス信号を出力する毎に、複数のY軸位置検出コイル30Bを順番に切り換えてエコー信号を検出し、受電コイル51のY軸方向の位置として、A点を含むラインn1を第1のY軸検出コイルで検出する。さらに、識別回路93は、パルス電源31を第3のX軸位置検出コイル30Aに接続してパルス信号を出力する毎に、Y軸位置検出コイル30Bを順番に切り換えてエコー信号を検出し、受電コイル51のY軸方向の位置として、B点を含むラインn2を第4のY軸検出コイル30Bで検出する。
(3)複数の受電コイル51の位置の特定
識別回路93は、第1のX軸検出コイル30Aで検出されるラインm1と、第1のY軸検出コイル30Bで検出されるラインn1との交点から、第1の電池内蔵機器50Aの受電コイル51の位置をA点に特定する。さらに、識別回路93は、第3のX軸検出コイル30Aで検出されるラインm2と、第4のY軸検出コイル30Bで検出されるラインn2との交点から、第2の電池内蔵機器50Bの受電コイル51の位置をB点に特定する。
さらに、位置検出制御器84は、上記の方法で複数の受電コイル51の位置を特定した後、複数のY軸検出コイル30Bを順番に切り換えてY軸検出コイル30Bにパルス信号を入力し、このパルス信号で励起されて受電コイル51から出力されるエコー信号をY軸検出コイル30Bで受信して、このエコー信号に基づいて受電コイル51のY軸方向の位置をより正確に検出することもできる。
識別回路93が、受電コイル51のX軸方向とY軸方向の位置を検出すると、この識別回路93からの位置信号でもって、位置検出制御器84は送電コイル11を受電コイル51の位置に移動させる。
充電台10は、位置検出制御器14、84で移動機構13を制御して各々の送電コイル11を各々の電池内蔵機器50の受電コイル51に接近させた状態で、交流電源12で送電コイル11に交流電力を供給する。各々の送電コイル11の交流電力は各々の受電コイル51に電力搬送されて、電池52の充電に使用される。電池52が満充電されたことを検出する電池内蔵機器50は、充電を停止し、あるいは充電を停止することなく、満充電信号を充電台10に伝送する。電池内蔵機器50は、受電コイル51に満充電信号を出力し、この満充電信号を受電コイル51から送電コイル11に伝送して、充電台10に満充電の情報を伝送することができる。この電池内蔵機器50は、受電コイル51にコンデンサーを接続して受電コイル51のインピーダンスを変更し、あるいは交流電源12と異なる周波数の交流信号を受電コイル51に出力し、充電台10は、送電コイル51を介して受電コイル51のインピーダンスを検出し、あるいは交流信号を送電コイル11で受信して満充電を検出することができる。また、電池内蔵機器50が特定周波数の搬送波を満充電信号で変調する信号を受電コイル51に出力し、充電台10が特定周波数の搬送波を受信し、この信号を復調して満充電信号を検出することもできる。さらに、電池内蔵機器は、満充電信号を充電台に無線伝送して、満充電の情報を伝送することもできる。この電池内蔵機器は、満充電信号を送信する送信器を内蔵しており、充電台は満充電信号を受信する受信器を内蔵する。図5に示す位置検出制御器14は、満充電された内蔵電池52を検出する満充電検出回路17を内蔵している。この満充電検出回路17は、電池内蔵機器50から出力される満充電信号を検出して、満充電された電池52を内蔵する電池内蔵機器50の受電コイル51に接近している送電コイル11への電力供給を停止して、この電池52の充電を停止する。
送電コイル11の個数よりも多数の電池内蔵機器50を載せることができる上面プレート21の充電台10は、充電する電池内蔵機器50の電池52を順番に切り換えて、すなわち、充電している内蔵電池52の満充電を検出すると、充電していない電池内蔵機器50の受電コイル51に送電コイル11を移動して、次の電池内蔵機器50の内蔵電池52を満充電する。この充電台10は、最初に各々の電池内蔵機器50の受電コイル51の位置を検出する。たとえば、2個の送電コイル11と2組の駆動機構40を有する充電台10に、第1ないし第3の電池内蔵機器50がセットされると、2個の送電コイル11を第1の電池内蔵機器50Aと第2の電池内蔵機器50Bの受電コイル51に接近して内蔵電池52を充電する。いずれかの内蔵電池52が満充電されると、仮に第1の電池内蔵機器50Aの内蔵電池52が満充電されると、第1の電池内蔵機器50Aの受電コイル51に接近している送電コイル11への電力供給を停止した後、この送電コイル11を第3の電池内蔵機器50Cの受電コイル51に接近し、送電コイル11に交流電力を供給して、第3の電池内蔵機器50Cの内蔵電池52を充電する。第3の電池内蔵機器50Cの内蔵電池52が満充電されると、この受電コイル51に接近している送電コイル11への交流電力の供給を停止し、また第2の電池内蔵機器50Bの内蔵電池52が満充電されると、この電池内蔵機器50の受電コイル51に接近している送電コイル11への交流電力の供給を停止して、充電を終了する。さらに、上面プレート21に2個の電池内蔵機器50がセットされて、2個の送電コイル11で各々の電池内蔵機器50を充電している状態で、3個目の電池内蔵機器50がセットされると、充電台10は以下のようにして全ての電池内蔵機器50の内蔵電池52を満充電する。位置検出制御器14、84は、いずれかの電池内蔵機器50の内蔵電池52が満充電されると、各々の電池内蔵機器50の位置を再検出する。この状態で、充電してしない位置に電池内蔵機器50がセットされたことを検出すると、満充電した電池内蔵機器50を充電していた送電コイル11を、後にセットされた電池内蔵機器50の受電コイル51に位置に移動して、この電池内蔵機器50の内蔵電池52を充電する。上面プレート21に送電コイル11の個数よりも多数の電池内蔵機器50がセットされた状態で、位置検出制御器14、84は、最初に2個の電池内蔵機器50の位置を検出して、各々の電池内蔵機器50の受電コイル51の位置に送電コイル11を接近して内蔵電池52を満充電し、その後に、再び電池内蔵機器50の位置を検出して、充電していない電池内蔵機器50を検出すると、充電を終了した送電コイル11を未充電の電池内蔵機器50の位置に移動して内蔵電池52を充電することもできる。
以上のように、送電コイル11の個数よりも多数の電池内蔵機器50が上面プレート21にセットされると、次々と電池内蔵機器50を切り換えて内蔵電池52を満充電する。この充電台10は、満充電された電池内蔵機器50の位置を記憶して、満充電された電池内蔵機器50の電池52を充電しない。