JP5643534B2 - 複層塗膜形成方法及び塗装物品 - Google Patents

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本発明は、基材、特にプラスチック材料との付着性に優れ、しかも耐候性、耐擦り傷性に非常に優れた複層塗膜を形成しうる複層塗膜形成方法、及び該複層塗膜を有する塗装物品に関する。
ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック材料は、耐衝撃性、透明性に優れ、軽量であり、加工が容易であることなどから、ガラスに代わる材料として、建物の採光材、車両の窓、ランプレンズ、計器カバー等に用いられている。しかしながら、プラスチック材料は、ガラスと比較して耐擦り傷性、耐薬品性、耐候性等の表面特性に劣ることから、プラスチック材料の表面特性を改良することが行われている。プラスチック材料の表面特性を改良する方法としてポリオルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬化性塗料組成物を塗装する方法や多官能アクリレート系の活性エネルギー線硬化型塗料組成物を塗装する方法が提案されている。
これら方法に関連して、特許文献1及び2には、モノ又はポリペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、1分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート、及びポリ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル](イソ)シアヌレートを特定の割合で配合して得られる塗料組成物に関する発明が開示されている。この塗料組成物は、耐擦り傷性、耐候性に優れる。
一方、一般的な塗料組成物の耐擦り傷性、耐候性を向上させる方法として、塗料組成物中に無機材料や無機−有機ハイブリッド材料を配合する方法がある。例えば、特許文献3及び4には、ケイ素を中心原子とする4面体シートと金属を中心原子とする8面体シートとの2:1型または1:1型の積層体からなるフィロ珪酸塩鉱物型の層状構造を有し、ケイ素の少なくとも一部と共有結合する有機基をもつ層状ケイ素ポリマーが開示されている。また、特許文献5には、特許文献3及び4に記載の層状ケイ素ポリマーをフィラーとして用いた塗料組成物が記載されている。
近年、合成樹脂の屋外での用途が広がるに従い、プラスチック材料の表面特性(耐擦り傷性、耐候性)のさらなる向上が要求されている。しかし、特許文献5に記載の塗料組成物では、上記要求を満足する優れた耐擦り傷性、耐候性及びプラスチック基材に対する付着性を有する硬化被膜を形成する塗料組成物は得られない。また、特許文献3及び4に記載の層状珪素ポリマーを特許文献1及び2に記載の塗料組成物に配合しても、上記要求を満足する優れた耐擦り傷性、耐候性、プラスチック基材に対する付着性を有する硬化被膜を形成する塗料組成物は得られない。
また上記のような塗料組成物による1コート塗膜の不具合を解消するために、特許文献6では特定の下塗り塗料を用いた複層塗膜形成方法が提案されている。しかしながら、特許文献6に記載の方法では、上塗り塗料の組成が有機成分主体であり、上述の特許文献3〜5の無機材料や無機−有機ハイブリッド材料を配合する組成と比べて耐候性や耐擦り傷性が不十分であるという問題があった。
特開平5−230397号公報 特開平6−128502号公報 特開平6−200034号公報 特開平7−126396号公報 特開平8−12899号公報 特開2006−263616号公報
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、基材、特にプラスチック材料との付着性に優れ、しかも耐候性、耐擦り傷性に非常に優れた複層塗膜を形成しうる複層塗膜形成方法、及び該複層塗膜を有する塗装物品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のシルセスキオキサン化合物、及び光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基材上に、光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)を用いて下塗り塗膜を形成した後、その上に、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つがウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であるシルセスキオキサン化合物(a)、及び光重合開始剤(b)を含有する活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)を用いて上塗り塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法、及び該方法により形成される複層塗膜を有する塗装物品、に関する。
本発明によれば、特定の活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を用いることにより、耐擦り傷性、耐候性及び基材に対する付着性に優れた複層塗膜を得ることができる。また該複層塗膜を有する塗装物品を得ることができる。
本発明で用いられる光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)は、活性エネルギー線照射及び加熱により硬化し得るものであれば特に制限なく、従来公知の光及び熱硬化性塗料組成物を用いることができ、特に基材がプラスチックの場合に耐候性確保の観点から、重合性不飽和化合物、水酸基含有樹脂、光重合開始剤、紫外線吸収剤、及び光安定剤を含有するものが好適に使用できる。
上記重合性不飽和化合物としては、その化学構造中に重合性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。
前記重合性不飽和化合物としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。また、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの等モル反応物、イミノオキサジアジンジオン基を有する−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの等モル反応物、等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、不飽和基含有アクリル樹脂等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えばポリイソシアネート化合物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート及びポリオール化合物を原料として用い、イソシアネート基に対してヒドロキシル基が等モル量もしくは過剰になるような量で反応させることで得ることができる。これら重合性不飽和化合物は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)における上記重合性不飽和化合物の含有量は、耐候性等の点から、該塗料組成物の不揮発分100質量部に対して10〜80質量部、好ましくは20〜70質量部の範囲が適当である。
上記重合性不飽和化合物はまた、その成分の少なくとも一部として、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物とを反応してなり、300〜3,800の範囲のイソシアネート当量を有するラジカル重合性不飽和基含有化合物(i)[以下、単に「化合物(i)」と略すことがある。]を含むことが好適である。かかる化合物(i)は活性エネルギー線の照射による硬化性に優れ、かつ低温(具体的には、常温〜100℃)での硬化性に優れる。このことにより、塗装工程における加熱温度の低温化及び加熱時間の短縮が可能になる。
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、具体的には、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−2D」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−2D」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(いずれもダイセル化学社製、商品名)等を挙げることができる。なかでも、活性エネルギー線硬化性の点から、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。なかでも、塗膜の耐候性の点から、脂肪族ポリイソシアネート類のイソシアヌレート環付加物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物が特に好ましい。
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物との反応は、ヒドロキシ基含有化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際の公知の方法によって行うことができる。
上記反応は、通常有機溶液中で行うことができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
反応温度は、常温〜100℃であるのが好ましく、反応時間は1〜10時間であるのが好ましい。
上記反応においては、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイト等の触媒を使用してもよい。触媒の添加量は、反応原料の総量100質量部に対して0.01〜1質量部であるのが好ましく、0.1〜0.5質量部であるのがより好ましい。また、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤の添加量は、反応原料の総量100質量部に対して0.01〜1質量部であるのが好ましい。
化合物(i)はイソシアネート基を有するため、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物との反応における両者の混合比は、通常、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのヒドロキシル基に対して当量比で過剰(イソシアネート基/ヒドロキシキル基>1.0)となる混合比である。そして、混合比を調節することで化合物(i)のイソシアネート当量を調節することができる。
化合物(i)は300〜3,800の範囲のイソシアネート当量を有する。化合物(i)がイソシアネート基を有することにより、本発明の塗料組成物は低温での硬化性に優れる。また、化合物(i)がイソシアネート基を有することにより、化合物(i)は後述の水酸基含有樹脂と反応して強靭な塗膜を形成することができる。化合物(i)のイソシアネート当量は、塗膜の耐擦り傷性の点から500〜2,500の範囲が好ましい。
ここで本明細書においてイソシアネート当量は、ジブチルアミンを用いた逆滴定により求められるイソシアネート当量である。逆滴定は、試料に過剰のジブチルアミンを加えて反応させ、滴定指示薬としてブロモフェノールブルーを用い残余のジブチルアミンを塩酸水溶液で滴定することにより行う。
化合物(i)は不飽和基当量が300〜2,000であることが好ましい。より好ましくは500〜1,000である。不飽和基当量がこれら範囲であると、より耐擦り傷性及び耐候性に優れる塗膜を得ることができる。
ここで本明細書において不飽和基当量は、ラジカル重合性不飽和基にドデシルメルカプタンを付加し、残余のドデシルメルカプタンをヨウ素溶液で逆滴定することにより求められる。
化合物(i)の分子量は特に限定されない。好ましくは重量平均分子量が500〜2,000であり、より好ましくは800〜1,500である。重量平均分子量がこれら範囲であることは、取扱い易い塗料粘度にできる点で意義がある。
ここで本明細書において重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した保持時間(保持容量)を、ポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
上記化合物(i)の使用量は、前記重合性不飽和化合物中に、その合計固形分100質量部に対して10〜80質量部、好ましくは20〜70質量部の範囲で含有することが適当である。
水酸基含有樹脂は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂である。水酸基含有樹脂としては、例えば、水酸基を有する、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の樹脂が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、水酸基含有樹脂は、得られる塗膜の耐候性の点から水酸基含有アクリル樹脂であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法などの方法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有樹脂は、低温での硬化性の点、及び得られる塗膜の耐水性の点から、一般に30〜300mgKOH/g、特に40〜250mgKOH/g、さらに特に50〜200mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
水酸基含有樹脂は、上記化合物(i)が配合される場合には該化合物(i)との反応性を高める点から、酸基を有していることが好ましい。水酸基含有樹脂は、1〜25mgKOH/g、特に1〜20mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
水酸基含有樹脂は、一般に3,000〜100,000、特に4,000〜50,000、さらに特に5,000〜30,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)における上記水酸基含有樹脂の含有量は、耐候性等の点から、該塗料組成物の不揮発分100質量部に対して10〜80質量部、好ましくは20〜70質量部の範囲が適当である。
上記光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)には、さらに必要に応じて化合物(i)以外のイソシアネート化合物を含有することができる。該イソシアネート化合物は、分子中にイソシアネート基を有する化合物であって、上記化合物(i)の説明において例示したポリイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、塗膜の耐候性の点から、脂肪族ポリイソシアネート類のイソシアヌレート環付加物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物が特に好ましい。
上記化合物(i)及びイソシアネート化合物が使用される場合には、水酸基含有樹脂と化合物(i)及びイソシアネート化合物の配合割合を、化合物(i)及びイソシアネート化合物の有するイソシアネート基の合計量と水酸基含有樹脂の有する水酸基とが当量比でNCO/OH=0.30〜2.00、好ましくは0.50〜1.80となるように選択することが望ましい。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線を吸収してラジカルを発生する開始剤であれば特に限定されることなく使用できる。
かかる光重合開始剤としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α´−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2´−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α´−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−184、イルガキュア−127、イルガキュア−261、イルガキュア−500、イルガキュア−651、イルガキュア−819、イルガキュア−907、イルガキュア−CGI−1700(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、ダロキュア(Darocur)−1173、ダロキュア−1116、ダロキュア−2959、ダロキュア−1664、ダロキュア−4043(メルクジャパン社製、商品名)、カヤキュア(KAYACURE)−MBP、カヤキュア−DETX−S、カヤキュア−DMBI、カヤキュア−EPA、カヤキュア−OA(日本化薬社製、商品名)、ビキュア(VICURE)−10、ビキュア−55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(TRIGONAL)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、カンタキュア−ITX、カンタキュア−EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕、ESACURE−KIP150、ESACURE−ONE(LAMBERTI社製、商品名)、ルシリン−TPO等が挙げられる。
前記光重合開始剤としては、光硬化性の点からチオキサントン類、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類の1種又は2種以上の混合物であることが好ましく、なかでもアセトフェノン類とアシルフォスフィンオキシド類との混合物であることが特に好適である。
前記光重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。通常、重合性不飽和化合物の不揮発分100質量部に対し1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部の範囲内が適当である。
紫外線吸収剤は、入射光を吸収し、光エネルギーを熱のような無害な形に変換することにより、被膜の劣化の開始に到達するのを抑制する作用がある。
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用できる。
ベンゾトリアゾール系吸収剤の具体例としては、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−4´−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2´−ヒドロキシ−3´−(3´´,4´´,5´´,6´´−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5´−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系吸収剤の具体例としては、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンン、2−[4((2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)−オキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンン、2−[4−((2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)−オキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
サリチル酸誘導体系吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系吸収剤の具体例としては、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2´−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジベンゾイルレゾルシノール、4,6−ジベンゾイルレゾルシノール、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、また、公知の重合性紫外線吸収剤、例えば2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2´−ジヒドロキシ−4(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなども使用することが可能である。
上記紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN348−2、TINUVIN479、TINUVIN405(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、RUVA93(大塚化学社製、商品名)等が挙げられる。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)における上記紫外線吸収剤の使用量は、耐候性等の点から、該塗料組成物の不揮発分100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部の範囲が適当である。
一方、光安定剤は、被膜の劣化過程で生成する活性なラジカル種を捕捉するラジカル連鎖禁止剤として用いられるもので、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
光安定剤のなかで優れた光安定化作用を示す光安定剤としてヒンダードピペリジン類が挙げられる。ヒンダードピペリジン類としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2´,6,6´−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのものなどが挙げられるが、これらに限ったものではない。光安定剤としては、また、公知の重合性光安定剤も使用することが可能である。
上記光安定剤の市販品としては、例えば、TINUVIN123、TINUVIN152、TINUVIN292(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、HOSTAVIN3058(クラリアント社製、商品名)、アデカスタブLA−82(株式会社ADEKA製、商品名)等が挙げられる。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)における上記光安定剤の使用量は、耐候性等の点から、該塗料組成物の不揮発分100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の範囲が適当である。
本発明で用いる光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)には、さらに必要に応じて各種添加剤を配合してもよく、所望により溶剤で希釈しても良い。添加剤としては、例えば、増感剤、重合禁止剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、可塑剤、顔料、充填剤等が挙げられる。
希釈に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらは、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)の不揮発分は特に限定されるものではない。例えば、好ましくは20〜100質量%であり、さらに好ましくは25〜70質量%である。これら範囲は、塗膜の平滑性及び乾燥時間の短縮化の点で意義がある。
本発明の活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)は、シルセスキオキサン化合物(a)及び光重合開始剤(b)を含有する。
(a)成分
(a)成分であるシルセスキオキサン化合物は、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つがウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であるシルセスキオキサン化合物である。
ここで、本明細書において「シルセスキオキサン化合物」は、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物のみを意味するのではなく、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造、ランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物をも含むことができる。
前記シルセスキオキサン化合物(a)は、Si−OH基の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物の割合が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%であることが液安定性及び耐候性の点から好ましい。
前記シルセスキオキサン化合物(a)として、例えば、前記ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基が、下記一般式(A)で表される有機基であるシスセスキオキサン化合物を挙げることができる:
Figure 0005643534
[式(A)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。Yは
Figure 0005643534
(式中、Rは、前記に同じ。nは0〜9の整数を示す。)、
Figure 0005643534
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。)又は
Figure 0005643534
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。)を示す。]。
ここで、シルセスキオキサン化合物(a)としては、上記一般式(A)で表される有機基のうち、一種類を有していても、複数種類の有機基を有していてもよい。
いいかえると、シルセスキオキサン化合物(a)としては、例えば、前記ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基が、下記一般式(I)〜(III)で表される有機基からなる群より選択される少なくとも一種であるシルセスキオキサン化合物を挙げることができる。
Figure 0005643534
[一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。nは0〜9の整数を示す。]
Figure 0005643534
[式(II)中、R〜Rは前記に同じ。Rは置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。]
Figure 0005643534
[式(III)中、R〜Rは前記に同じ。Rは置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。]。
前記Rとしては、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にエチレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及び極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記Rとしては、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にエチレン基、1,3−プロピレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及び極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記nとしては、0〜9の整数であれば特に限定されるものではない。nとしては、好ましくは0〜5の整数、さらに好ましくは0〜3の整数、特に好ましくは0又は1である。
前記Rとしては、置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基といった非環状脂肪族1価炭化水素基又は環状脂肪族1価炭化水素基;トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基等が挙げられる。特に、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点からメチル基が好ましい。
前記Rとしては、置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基といった非環状脂肪族1価炭化水素基又は環状脂肪族1価炭化水素基;トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基等が挙げられる。特に、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点からメチル基が好ましい。
前記一般式(I)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rが水素原子であり、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、かつnが0である有機基が好ましい。
前記一般式(II)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rがメチル基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、Rが水素原子であり、かつRがエチレン基である有機基が好ましい。
前記一般式(III)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rがメチル基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、Rが水素原子であり、かつRがエチレン基である有機基が好ましい。
前記シルセスキオキサン化合物(a)は、単一の組成の化合物であってもよく、又は組成の異なる化合物の混合物であってもよい。
前記シルセスキオキサン化合物(a)の重量平均分子量は、特に限定されるものではない。好ましくは重量平均分子量が1,000〜100,000、より好ましくは重量平均分子量が1,000〜10,000である。これら範囲は、シルセスキオキサン化合物(a)から得られた塗膜の耐熱性や、活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)の粘度及び塗装性の点で意義がある。
前記シルセスキオキサン化合物(a)は種々の方法により製造され得るが、その一例を示せば、例えば下記製造方法A又はBで示される方法により製造される。
製造方法A
製造方法Aとしては、ケイ素原子に直接に結合した有機基であり、かつウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を有する加水分解性シランを含有する出発物質を用いた製造方法が挙げられる。
具体的には例えば、出発物質に下記一般式(IV)で表される加水分解性シラン及び必要に応じて下記一般式(IV)で表される加水分解性シラン以外の加水分解性シランを用いて、触媒の存在下で加水分解縮合を行ってシルセスキオキサン化合物(a)を製造する方法が挙げられる。
SiX (IV)
前記一般式(IV)中のRは、ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基である。Xは、同一又は異なって、塩素又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を挙げることができる。より具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、1−エチルプロポキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、イソヘキシルオキシ、3−メチルペンチルオキシ基等が含まれる。
従って、Xとしては、具体的には、例えば、塩素、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記一般式(IV)以外の加水分解性シランとしては、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランとともに加水分解縮合することによりシルセスキオキサン化合物を製造できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
ここで、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランは、例えば、イソシアネート基を有するトリアルコキシシランと水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させることにより得ることができる。
また、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランとしては、具体的には例えば、下記一般式(V)で表される加水分解性シランが挙げられる。
Figure 0005643534
[一般式(V)中、R、R、R、n及びXは、前記に同じ。]
前記一般式(V)で表される加水分解性シランは、例えば、下記一般式(VI)で表される加水分解性シランと、下記一般式(VII)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
Figure 0005643534
[一般式(VI)中、R及びXは、前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(VII)中、R、R及びnは、前記に同じ。]
前記一般式(VI)で表される化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記一般式(VII)で表される化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記一般式(VI)で表される加水分解性シランと前記一般式(VII)で表される化合物との反応は、イソシアネート基と水酸基とを反応させる常法に従って行うことができる。
上記反応式における一般式(VI)で表される加水分解性シランと前記一般式(VII)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.90〜1.10モル程度、好ましくは0.95〜1.05モル程度とすればよい。
反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは、20〜120℃である。また、この反応は圧力によらず実施できるが、0.02〜0.2MPa、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。当該反応は、通常、2〜10時間程度で終了する。
前記反応では適宜触媒を使用しても良い。触媒としては、トリエチルアミン等の第三級アミン、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられる。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒としては、具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
また、前記一般式(IV)で表される加水分解性シランの他の具体的な例としては、下記一般式(VIII)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(IX)で表される加水分解性シランが挙げられる。
Figure 0005643534
[一般式(VIII)中、R、R、R、R及びXは前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(IX)中、R、R、R、R及びXは前記に同じ。]
前記一般式(VIII)で表される加水分解性シランは、例えば、下記一般式(X)で表される加水分解性シランと下記一般式(XI)で表される化合物とを反応させ生成物を得た後、さらに該生成物に下記一般式(XII)で表される化合物を反応させることにより得ることができる。
Figure 0005643534
[一般式(X)中、R及びXは前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(XI)中、Rは前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(XII)中、R及びRは前記に同じ。]
前記一般式(X)で表される加水分解性シランとしては、具体的には例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記一般式(XI)で表される化合物としては、具体的には例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、トリフルオロ酢酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸等が挙げられる。
前記一般式(XII)で表される化合物としては、具体的には例えば、イソシアネートメチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記一般式(IX)で表される加水分解性シランは、例えば、下記一般式(XIII)で表される加水分解性シランと下記一般式(XIV)で表される化合物とを反応させ生成物を得た後、さらに該生成物に下記一般式(XV)で表される化合物を反応させることにより得ることができる。
Figure 0005643534
[一般式(XIII)中、R及びXは前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(XIV)中、Rは前記に同じ。]
Figure 0005643534
[一般式(XV)中、R及びRは前記に同じ。]
前記一般式(XIII)で表される加水分解性シランとしては、具体的には例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記一般式(XIV)で表される化合物としては、具体的には例えば、前記一般式(XI)で表される化合物の説明において具体的に示した化合物と同じ化合物が挙げられる。
前記一般式(XV)で表される化合物としては、具体的には例えば、前記一般式(XII)で表される化合物の説明において具体的に示した化合物と同じ化合物が挙げられる。
前記一般式(X)で表される加水分解性シランと前記一般式(XI)で表される化合物との反応、及び、前記一般式(XIII)で表される加水分解性シランと前記一般式(XIV)で表される化合物との反応は、カルボキシル基とエポキシ基とを反応させる常法に従って行うことができる。
上記反応における前記一般式(X)で表される加水分解性シランと前記一般式(XI)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.80〜1.20モル程度、好ましくは0.90〜1.10モル程度とすればよい。
上記反応における前記一般式(XIII)で表される加水分解性シランと前記一般式(XIV)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.80〜1.20モル程度、好ましくは0.90〜1.10モル程度とすればよい。
反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは、20〜120℃である。当該反応は、通常、10〜24時間程度で終了する。
前記反応では適宜触媒を使用しても良い。触媒としては、具体的には例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;ジエチルアミン等の酢酸塩、ギ酸塩等の2級アミン塩;水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物;酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属塩;イミダゾ−ル類;ジアザビシクロウンデセン等の環状含窒素化合物、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィンなどのリン化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、反応原料に対して、0.01〜5質量%である。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒は特に限定されるものではない。具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
前記一般式(X)で表される加水分解性シランと前記一般式(XI)で表される化合物とを反応させて得た反応生成物(以下、単に反応生成物(X−XI)と示すこともある)と前記一般式(XII)で表される化合物との反応、及び、前記一般式(XIII)で表される加水分解性シランと前記一般式(XIV)で表される化合物とを反応させて得た反応生成物(以下、単に反応生成物(XIII−XIV)と示すこともある)と前記一般式(XV)で表される化合物との反応は、水酸基とイソシアネート基とを反応させる常法に従って行うことができる。
上記反応における前記反応生成物(X−XI)と前記一般式(XII)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.90〜1.10モル程度、好ましくは0.95〜1.05モル程度とすればよい。
上記反応における前記反応生成物(XIII−XIV)と前記一般式(XV)で表される化合物との使用割合は、通常前者1モルに対し後者を0.90〜1.10モル程度、好ましくは0.95〜1.05モル程度とすればよい。
反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは、20〜120℃である。また、この反応は圧力によらず実施できるが、0.02〜0.2MPa、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。当該反応は、通常、2〜10時間程度で終了する。
前記反応では適宜触媒を使用しても良い。触媒としては、トリエチルアミン等の第三級アミン、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられる。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒としては、具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
本製造方法において前記本発明のシルセスキオキサン化合物を得るためには、具体的には、
[1]前記一般式(IV)で表される加水分解性シランを出発物質に用いて触媒の存在下で加水分解縮合する、又は、
[2]前記一般式(IV)で表される加水分解性シラン及び前記一般式(IV)以外の加水分解性シランを出発物質に用いて触媒の存在下で加水分解縮合する、
ことが挙げられる。
前記触媒としては、塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒としては、具体的には例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムフルオリド等のフッ化アンモニウム塩などが挙げられる。
前記触媒の使用量は特に限定されるものではないが、多すぎるとコスト高、除去が困難等の問題があり、一方、少なすぎると反応が遅くなってしまう。そのため、触媒の使用量は、好ましくは加水分解性シラン1モルに対して0.0001〜1.0モル、より好ましくは0.0005〜0.1モルの範囲である。
加水分解縮合する場合(前記[1]又は[2]の場合)は水を使用する。加水分解性シランと水との量比は、特に限定されるものでない。水の使用量は、加水分解性シラン1モルに対し、好ましくは水0.1〜100モル、さらに好ましくは0.5〜3モルの割合である。水の量が少なすぎると、反応が遅くなり、目的とする本発明のシルセスキオキサン化合物の収率が低くなるおそれがあり、水の量が多すぎると高分子量化し、所望とする構造の生成物が減少するおそれがある。また、使用する水は塩基性触媒を水溶液として用いる場合はその水で代用してもよいし、別途水を加えてもよい。
前記加水分解縮合において、有機溶媒は使用してもよく、又は使用しなくてもよい。有機溶媒を用いることは、ゲル化を防止する点及び製造時の粘度を調節できる点から好ましい。有機溶媒としては、極性有機溶媒、非極性有機溶媒を単独又は混合物として用いることができる。
極性有機溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類が用いられるが、特にアセトン、テトラヒドロフランは沸点が低く系が均一になり反応性が向上することから好ましい。非極性有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン等の水よりも沸点が高い有機溶媒が好ましく、特にトルエン等の水と共沸する有機溶媒は系内から水を効率よく除去できるため好ましい。特に、極性有機溶媒と非極性有機溶媒とを混合することで、前述したそれぞれの利点が得られるため混合溶媒として用いることが好ましい。
加水分解縮合時の反応温度としては0〜200℃、好ましくは10〜200℃、更に好ましくは、10〜120℃である。また、この反応は圧力によらず実施できるが、0.02〜0.2MPa、特に0.08〜0.15MPaの圧力範囲が好ましい。当該反応は、通常、1〜12時間程度で終了する。
加水分解縮合反応では、加水分解と共に縮合反応が進行し、加水分解性シランの加水分解性基[具体的には例えば、前記一般式(IV)中のX]の大部分、好ましくは100%がヒドロキシル基(OH基)に加水分解され、更にそのOH基の大部分、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%を縮合させることが液安定性及び耐候性の点から好ましい。
加水分解縮合後の混合液からは、溶媒や反応で生成したアルコール、触媒を公知の手法で除去してもよい。なお、得られた生成物は、その目的に応じて、触媒を洗浄、カラム分離、固体吸着剤等の各種の精製法によって除去し、更に精製してもよい。好ましくは、効率の点から水洗により触媒を除去することである。
以上の製造方法によりシルセスキオキサン化合物(a)が製造される。
ここで、前記加水分解縮合において100%縮合しない場合には、上記の製造方法により得られる生成物には、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物以外に、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物が含まれる場合があるが、上記製造方法により得られるシルセスキオキサン化合物(a)は、それらラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体を含んでいてもよい。
製造方法B
製造方法Bとしては、エポキシ基を有する加水分解性シランを用いて、エポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物を製造する第B1工程、該第B1工程により得られたシルセスキオキサン化合物のエポキシ基に、カルボキシル基を有する化合物の該カルボキシル基を反応させ、2級水酸基を有するシルセスキオキサン化合物を製造する第B2工程、該第B2工程により得られたシルセスキオキサン化合物の2級水酸基に、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物の該イソシアネート基を反応させる第B3工程を含む製造方法が挙げられる。
第B1工程
前記第B1工程に用いるエポキシ基を有する加水分解性シランとしては、具体的には例えば、下記一般式(XVI)で表される加水分解性シラン、及び下記一般式(XVII)で表される加水分解性シランが挙げられる。
Figure 0005643534
[一般式(XVI)及び一般式(XVII)中、R及びXは前記に同じ。]
前記第B1工程においてエポキシ基を有するシルセスキオキサン化合物を得るためには、具体的には、
[3]前記一般式(XVI)で表される加水分解性シラン及び/又は前記一般式(XVII)で表される加水分解性シランを出発物質に用いて触媒の存在下で加水分解縮合する、又は、
[4]前記一般式(XVI)で表される加水分解性シラン及び/又は一般式(XVII)で表される加水分解性シラン、並びにエポキシ基を有する加水分解性シラン以外の加水分解性シランを出発物質に用いて触媒の存在下で加水分解縮合する、
ことが挙げられる。
前記エポキシ基を有する加水分解性シラン以外の加水分解性シランとしては、前記エポキシ基を有する加水分解性シランとともに加水分解縮合することによりシルセスキオキサン化合物を製造できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
前記触媒としては、塩基性触媒が好適に用いられる。塩基性触媒としては、具体的には例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の水酸化アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムフルオリド等のフッ化アンモニウム塩などが挙げられる。
前記触媒の使用量は特に限定されるものではないが、多すぎるとコスト高、除去が困難等の問題があり、一方、少なすぎると反応が遅くなってしまう。そのため、触媒の使用量は、好ましくは加水分解性シラン1モルに対して0.0001〜1.0モル、より好ましくは0.0005〜0.1モルの範囲である。
加水分解縮合する場合(前記[3]又は[4]の場合)は水を使用する。加水分解性シランと水との量比は、特に限定されるものでない。水の使用量は、加水分解性シラン1モルに対し、好ましくは水0.1〜100モル、さらに好ましくは0.5〜3モルの割合である。水の量が少なすぎると、反応が遅くなり、目的とするシルセスキオキサンの収率が低くなるおそれがあり、水の量が多すぎると高分子量化し、所望とする構造の生成物が減少するおそれがある。また、使用する水は塩基性触媒を水溶液として用いる場合はその水で代用してもよいし、別途水を加えてもよい。
前記加水分解縮合において、有機溶媒は使用してもよく、又は使用しなくてもよい。有機溶媒を用いることは、ゲル化を防止する点及び製造時の粘度を調節できる点から好ましい。有機溶媒としては、極性有機溶媒、非極性有機溶媒を単独又は混合物として用いることができる。
極性有機溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類が用いられるが、特にアセトン、テトラヒドロフランは沸点が低く系が均一になり反応性が向上することから好ましい。非極性有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン等の水よりも沸点が高い有機溶媒が好ましく、特にトルエン等の水と共沸する有機溶媒は系内から水を効率よく除去できるため好ましい。特に、極性有機溶媒と非極性有機溶媒とを混合することで、前述したそれぞれの利点が得られるため混合溶媒として用いることが好ましい。
加水分解縮合時の反応温度としては0〜200℃、好ましくは10〜200℃、更に好ましくは、10〜120℃である。当該反応は、通常、1〜12時間程度で終了する。
加水分解縮合反応では、加水分解と共に縮合反応が進行し、加水分解性シランの加水分解性基[具体的には例えば、前記一般式(XVI)又は前記一般式(XVII)中のX]のXの大部分、好ましくは100%がヒドロキシル基(OH基)に加水分解され、更にそのOH基の大部分、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%を縮合させることが液安定性の点から好ましい。
第B2工程
前記第B2工程では、具体的には例えば、前記第B1工程により得られるケイ素原子に直接に結合した有機基として下記一般式(XVIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物に、下記一般式(XIX)で表される化合物を反応させ、ケイ素原子に直接に結合した有機基として下記一般式(XX)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物を製造する。
Figure 0005643534
[一般式(XVIII)、一般式(XIX)及び一般式(XX)中、R及びRは前記に同じ。]
また他の具体例としては例えば、前記第B1工程により得られるケイ素原子に直接に結合した有機基として下記一般式(XXI)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物に、下記一般式(XXII)で表される化合物を反応させ、ケイ素原子に直接に結合した有機基として下記一般式(XXIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物を製造する。
Figure 0005643534
[一般式(XXI)、一般式(XXII)及び一般式(XXIII)中、R及びRは前記に同じ。]
前記ケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(XX)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物、及び前記ケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(XXIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物を製造する際の反応は、エポキシ基とカルボキシル基とを反応させる常法に従って行うことができる。
反応温度は、例えば、0〜200℃、好ましくは20〜200℃、更に好ましくは、20〜120℃である。当該反応は、通常、10〜24時間程度で終了する。
上記反応における前記一般式(XVIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物と前記一般式(XIX)で表される化合物との使用割合は、シルセスキオキサン化合物が有する一般式(XVIII)で表される有機基1モルに対し一般式(XIX)で表される化合物を、通常、0.80〜1.20モル程度、好ましくは0.90〜1.10モル程度とすればよい。
上記反応における前記一般式(XXI)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物と前記一般式(XXII)で表される化合物との使用割合は、シルセスキオキサン化合物が有する一般式(XXI)で表される有機基1モルに対し一般式(XXII)で表される化合物を、通常、0.80〜1.20モル程度、好ましくは0.80〜1.20モル程度とすればよい。
前記反応では適宜触媒を使用しても良い。触媒としては、具体的には例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;ジエチルアミン等の酢酸塩、ギ酸塩等の2級アミン塩;水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物;酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属塩;イミダゾ−ル類;ジアザビシクロウンデセン等の環状含窒素化合物、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィンなどのリン化合物等が挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、反応原料に対して、0.01〜5質量%である。
前記反応では適宜溶媒を使用しても良い。溶媒は特に限定されるものではない。具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
第B3工程
前記第B3工程では、具体的には例えば、前記第B2工程により得られるケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(XX)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物に、下記一般式(XXIV)で表される化合物を反応させる。
Figure 0005643534
[一般式(XXIV)中、R及びRは前記に同じ。]
この反応を行うことにより、ケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(II)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
また他の具体例としては例えば、前記第B2工程により得られるケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(XXIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物に、下記一般式(XXV)で表される化合物を反応させる。
Figure 0005643534
[一般式(XXV)中、R及びRは前記に同じ。]
この反応を行うことにより、ケイ素原子に直接に結合した有機基として前記一般式(III)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
前記反応の反応温度としては、水酸基とイソシアネート基を反応させる常法に従って行うことができ、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜200℃、更に好ましくは、10〜120℃である。当該反応は、通常、2〜10時間程度で終了する。
上記反応における前記一般式(XX)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物と前記一般式(XXIV)で表される化合物との使用割合は、シルセスキオキサン化合物が有する一般式(XX)で表される有機基1モルに対し一般式(XXIV)で表される化合物を、通常、0.90〜1.10モル程度、好ましくは0.95〜1.05モル程度とすればよい。
上記反応における前記一般式(XXIII)で表される有機基を有するシルセスキオキサン化合物と前記一般式(XXV)で表される化合物との使用割合は、シルセスキオキサン化合物が有する一般式(XXIII)で表される有機基1モルに対し一般式(XXV)で表される化合物を、通常、0.90〜1.10モル程度、好ましくは0.95〜1.05モル程度とすればよい。
前記反応では適宜触媒を使用しても良い。触媒としては、トリエチルアミン等の第三級アミン、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられる。
以上の製造方法によりシルセスキオキサン化合物(a)が製造される。
上記各反応により得られる目的とする化合物は、通常の分離手段により反応系内より分離され、さらに精製することができる。この分離及び精製手段としては、例えば、蒸留法、溶媒抽出法、希釈法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、等を用いることができる。
ここで、前記第B1工程の加水分解縮合において100%縮合しない場合には、製造方法Bにより得られる生成物には、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物以外に、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物が含まれる場合があるが、上記製造方法Bにより得られるシルセスキオキサン化合物(a)は、それらラダー構造、不完全籠型構造及び/又はランダム縮合体を含んでいてもよい。
(b)成分
光重合開始剤(b)としては、活性エネルギー線を吸収してラジカルを発生する開始剤であれば特に限定されることなく使用できる。
光重合開始剤(b)としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α´−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2′−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α´−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
光重合開始剤(b)の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−184、イルガキュア−127、イルガキュア−261、イルガキュア−500、イルガキュア−651、イルガキュア−819、イルガキュア−907、イルガキュア−CGI−1700(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、ダロキュア(Darocur)−1173、ダロキュア−1116、ダロキュア−2959、ダロキュア−1664、ダロキュア−4043(メルクジャパン社製、商品名)、カヤキュア(KAYACURE)−MBP、カヤキュア−DETX−S、カヤキュア−DMBI、カヤキュア−EPA、カヤキュア−OA(日本化薬社製、商品名)、ビキュア(VICURE)−10、ビキュア−55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(TRIGONAL)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、カンタキュア−ITX、カンタキュア−EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕、ESACURE−KIP150、ESACURE−ONE(LAMBERTI社製、商品名)、ルシリン−TPO等が挙げられる。
前記光重合開始剤(b)としては、光硬化性の点からチオキサントン類、アセトフェノン類及びアシルフォスフィンオキシド類の1種又は2種以上の混合物であることが好ましく、なかでもアセトフェノン類とアシルフォスフィンオキシド類との混合物であることが特に好適である。
前記シルセスキオキサン化合物(a)と光重合開始剤(b)との使用割合としては、特に限定されるものではない。通常、前者の不揮発分100質量部に対し後者を1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部とすればよい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)は、前記(a)、(b)成分を必須とするものであり、さらに必要に応じて、前記(a)成分以外の重合性不飽和化合物(c)を含有することができる。
重合性不飽和化合物(c)としては、本発明のシルセスキオキサン化合物以外の化合物であって、その化学構造中に重合性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。
前記重合性不飽和化合物(c)としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。また、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの等モル反応物、イミノオキサジアジンジオン基を有する−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの等モル反応物、等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えばポリイソシアネート化合物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート及びポリオール化合物を原料として用い、イソシアネート基に対してヒドロキシル基が等モル量もしくは過剰になるような量で反応させることで得ることができる。これら重合性不飽和化合物は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
前記重合性不飽和化合物(c)を含有する場合の使用量は特に限定されるものではないが、得られる塗膜の物性の点から、前記シルセスキオキサン化合物(a)の不揮発分100質量部に対して、0.1〜1000質量部が好ましく、1〜200質量部がさらに好ましい。
また本発明で用いる活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)には、耐擦傷性、耐磨耗性向上の観点から、必要に応じてコロイダルシリカを配合してもよい。コロイダルシリカは、通常、一次粒子径が1〜200mμの無水ケイ酸の超微粒子を水又はは有機溶媒に分散させたものである。かかるコロイダルシリカは加水分解性シラン化合物や重合性シラン化合物等による処理がなされているものであってもよい。
上記コロイダルシリカを含有する場合の使用量は特に限定されるものではないが、得られる塗膜の耐擦傷性や耐磨耗性向上、ワレ防止の点から、前記シルセスキオキサン化合物(a)の不揮発分100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、5〜30質量部がさらに好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)には、さらに必要に応じて各種添加剤、飽和樹脂等を配合してもよく、所望により溶剤で希釈しても良い。添加剤としては、例えば、増感剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。飽和樹脂としては、例えば、飽和アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、飽和ウレタン樹脂等が挙げられる。紫外線吸収剤や光安定剤としては、前述の下塗り塗料組成物(I)の説明で列記された中から適宜選択して使用することができる。
希釈に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらは、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)の不揮発分は特に限定されるものではない。例えば、好ましくは20〜100質量%であり、さらに好ましくは25〜70質量%である。これら範囲は、塗膜の平滑性及び乾燥時間の短縮化の点で意義がある。
本発明の複層塗膜形成方法は、基材上に、前述の光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)を用いて下塗り塗膜を形成した後、その上に、上述の活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)を用いて上塗り塗膜を形成するものである。
本発明方法が適用される基材は特に限定されない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等が挙げられ、なかでも、プラスチック材料が好適であり、特にポリカーボネート樹脂が好適である。
また、本発明方法によって得られる塗装物品の用途としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等が挙げられ、なかでも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
上記の基材に光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)を塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ローラー塗装、ロールコーター塗装、スピンコーター塗装、カーテンロールコーター塗装、スリットコーター塗装、スプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装、シルク印刷、スピン塗装等が挙げられる。塗膜の膜厚は目的に応じて適宜設定される。例えば膜厚は3〜50μmが好ましく、5〜40μmがさらに好ましい。膜厚がこれら範囲の下限値以上の場合には、塗膜の平滑性及び外観に優れる。またこれら範囲の上限値以下の場合には塗膜の硬化性、耐割れ性に優れる。
上記光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)から塗膜を形成する際、塗装直後の塗膜の揮発分を減少させる又は揮発分を除去するために、予備加熱(プレヒート)、エアブロー等を行うことができる。プレヒートは、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で、50〜140℃、好ましくは60〜100℃の温度で1〜30分間直接的又は間接的に加熱することにより行うことができる。また、エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は25℃〜80℃の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行なうことができる。
上記の通り必要に応じて乾燥させた後に、加熱及び活性エネルギー線照射を行い硬化塗膜を形成しても良く、また加熱のみで不飽和基が未反応のまま次工程の上塗り塗料組成物を塗布しても良い。
上記光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)による塗膜を硬化させる際には、通常、加熱及び活性エネルギー線照射を行う。加熱及び活性エネルギー線照射の順序は特に限定されず、加熱の後に活性エネルギー線照射を行ってもよく、活性エネルギー線照射の後に加熱を行ってもよく、加熱と活性エネルギー線照射とを同時に行ってもよい。加熱と活性エネルギー線照射とを同時に行う際には、活性エネルギー線の照射源からの熱(例えばランプが発する熱)を熱源としてもよい。さらに、加熱の後に活性エネルギー線照射を行う際には、被塗物が熱を帯びた状態(余熱を持った状態)で活性エネルギー線照射を行ってもよい。
加熱条件は特に限定されるものではない。例えば、50〜140℃の温度で1〜30分間加熱することができる。上記塗料組成物(I)は、低温での硬化性を有しており、高い温度(例えば100℃以上)で加熱せずとも耐候性などの所望の性能が得られることから、60〜100℃の温度で加熱することが好ましい。また塗料組成物(I)は、活性エネルギー線でも硬化するため、長い時間で加熱せずとも耐候性などの所望の性能が得られることから、1〜30分間加熱することが好ましく、1〜20分間加熱することがより好ましい。
活性エネルギー線照射の照射源及び照射量は特に限定されるものではない。例えば活性エネルギー線の照射源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等が挙げられる。その照射量は、通常、100〜5000mJ/cm、さらに好ましくは300〜3000mJ/cmの範囲が挙げられる。かかる照射量が5000mJ/cmを超えると上塗り塗膜との付着性が低下する恐れがあるので好ましくない。
活性エネルギー線照射は、大気雰囲気下で行なってもよく、また不活性ガス雰囲気下で行なっても良い。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。大気雰囲気下での活性エネルギー線照射が、上塗り塗膜との付着性の点から好ましい。
上記の通り形成された下塗り塗膜の上に、活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)を塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ローラー塗装、ロールコーター塗装、スピンコーター塗装、カーテンロールコーター塗装、スリットコーター塗装、スプレー塗装、静電塗装、浸漬塗装、シルク印刷、スピン塗装等が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)から塗膜を形成する際、必要に応じて乾燥を行うことができる。乾燥は、添加している溶剤を除去できる条件であれば特に限定されるものではない。例えば、20〜100℃の乾燥温度において3〜20分間の乾燥時間で行うことができる。
塗膜の膜厚は目的に応じて適宜設定される。例えば膜厚は1〜15μmが好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。膜厚がこれら範囲の下限値以上の場合には、得られる複層塗膜の耐候性(特にワレ)に優れる。またこれら範囲の上限値以下の場合には塗膜の硬化性に優れる。
上記の通り必要に応じて乾燥させた後に、活性エネルギー線照射を行い硬化塗膜を形成する。活性エネルギー線照射の照射源及び照射量は特に限定されるものではない。例えば活性エネルギー線の照射源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等が挙げられる。照射量は、例えば好ましくは100〜10000mJ/cm、さらに好ましくは500〜5000mJ/cmの範囲が挙げられる。
活性エネルギー線照射は、大気雰囲気下で行なってもよく、また不活性ガス雰囲気下で行なっても良い。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。不活性ガス雰囲気下での活性エネルギー線照射が、硬化性の点から好ましい。
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて塗膜を加熱してもよい。加熱をすることによって、活性エネルギー線照射による塗膜の硬化により発生した塗膜の歪みを緩和することができる。さらにこの加熱によって塗膜の硬度、又は付着性の向上を行なうことができる場合がある。加熱は、通常、150〜250℃の雰囲気温度で1〜30分間の条件で行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。なお、製造例における構造解析及び測定は、本明細書に記載の前記分析装置に加え、以下の分析装置及び測定方法により行った。
29Si−NMR、H−NMR分析)
装置:JEOL社製 FT−NMR EX−400
溶媒:CDCl
内部標準物質:テトラメチルシラン
(FT−IR分析)
装置:日本分光社製 FT/IR−610。
(SP値の測定方法)
本実施例におけるSP値とは溶解性パラメーターのことであり、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journalof Applied Polymer Science,12,2359,1968の記載参照)に従い算出される値である。
式 SP=(√Vml・δH+√Vmh・δD)/(√Vml+√Vmh)
濁点滴定では、試料0.5gをアセトン10mlに溶解した中に、n−ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(ml)を読み、同様にアセトン溶液中に脱イオン水を加えたときの濁点における滴定量D(ml)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、δDを算出する。なお、各溶剤の分子容(mol/ml)は、アセトン:74.4、n−ヘキサン:130.3、脱イオン水:18であり、各溶剤のSPは、アセトン:9.75、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
Vml=74.4×130.3/((1−VH)×130.3+VH×74.4)
Vmh=74.4×18/((1−VD)×18+VD×74.4)
VH=H/(10+H)
VD=D/(10+D)
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)。
シルセスキオキサン化合物(a)の製造
(製造例1)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン685部、2−ヒドロキシエチルアクリレート315部、p−メトキシフェノール1部を仕込み、乾燥空気を吹き込みながら100℃で12時間反応させ、生成物(P1)を得た。次に、還流冷却器、温度計、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)728部、テトラヒドロフラン2800部を入れて常温で攪拌した。テトララブチルアンモニウムフルオリド三水和物4部を脱イオン水54部に溶解してフラスコに投入し、20℃にて24時間反応させた。1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて、減圧蒸留にて揮発分を除去した後、更に1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて減圧蒸留し、溶媒を交換した。生成物を1000部に調整し、生成物(P2)の不揮発分50%溶液1000部を得た。
生成物(P2)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、T0,T1、T2構造に由来するピークは観測されなかった。
また、生成物(P2)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.01であった。
また、生成物(P2)についてFT−IR分析を行った結果、ウレタン結合に帰属する1540cm−1付近のピークが確認された。
また、生成物(P2)についてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析を行った結果、重量平均分子量は2,500であった。
生成物(P2)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(P2)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(XXVI)で表される有機基
Figure 0005643534
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物がSi−OH基のほとんど全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量2,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。得られたシルセスキオキサン化合物のSP値は10.7であった。
(製造例2)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン646部、4−ヒドロキシブチルアクリレート363部、p−メトキシフェノール1部を仕込み、乾燥空気を吹き込みながら100℃で12時間反応させ、生成物(P3)を得た。次に、還流冷却器、温度計、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P3)706部、テトラヒドロフラン2800部を入れて常温で攪拌した。テトララブチルアンモニウムフルオリド三水和物4部を脱イオン水48部に溶解してフラスコに投入し、20℃にて24時間反応させた。1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて、減圧蒸留にて揮発分を除去した後、更に1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて減圧蒸留し、溶媒を交換した。生成物を1000部に調整し、生成物(P4)の不揮発分50%溶液1000部を得た。
生成物(P4)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、T0,T1、T2構造に由来するピークは観測されなかった。
また、生成物(P4)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.02であった。
また、生成物(P4)についてFT−IR分析を行った結果、ウレタン結合に帰属する1540cm−1付近のピークが確認された。
また、生成物(P4)についてGPC分析を行った結果、重量平均分子量は3,000であった。
生成物(P4)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(P4)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(XXVII)で表される有機基
Figure 0005643534
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物がSi−OH基のほとんど全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量3,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。得られたシルセスキオキサン化合物のSP値は10.5であった。
(製造例3)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)246部、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン470部、テトラヒドロフラン2800部を入れて常温で攪拌した。テトララブチルアンモニウムフルオリド三水和物4部を脱イオン水70部に溶解してフラスコに投入し、乾燥空気を吹き込みながら20℃にて24時間反応させた。1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて、減圧蒸留にて揮発分を除去した後、更に1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて減圧蒸留し、溶媒を交換した。生成物を1000部に調整し、生成物(P5)の不揮発分50%溶液1000部を得た。
生成物(P5)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、T0,T1、T2構造に由来するピークは観測されなかった。
また、生成物(P5)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.01であった。
また、生成物(P5)についてFT−IR分析を行った結果、ウレタン結合に帰属する1540cm−1付近のピークが確認された。
また、生成物(P5)についてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析を行った結果、重量平均分子量は2,000であった。
生成物(P5)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(P5)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の25モル%が上記式(XXVI)で表される有機基で、残りの75モル%が下記式(XXIX)
Figure 0005643534
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物がSi−OH基のほとんど全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量2,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。得られたシルセスキオキサン化合物のSP値は10.4であった。
(製造例4)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、Glycidyl POSS cage mixture(商品名、Hybrid Plastics社製)100部及び酢酸ブチル140部を仕込み、60℃で攪拌しながら溶解させた。ここに酢酸40部、p−メトキシフェノール0.5部、及びテトラブチルアンモニウムブロミド10部を仕込み、乾燥空気を吹き込みながら120℃で12時間反応させた。80℃まで冷却し、2−イソシアネートエチルアクリレート85部を加えて80℃で10時間反応させた後、減圧蒸留にて揮発分を除去し、1−メトキシ−2−プロパノールを500gを加えてさらに減圧蒸留し、生成物(P6)の不揮発分50%溶液を得た。
原材料として用いたGlycidyl POSS cage mixtureは、3−グリシドキシプロピル基含有籠型ポリシルセスキオキサンであり、重量平均分子量は1,800、エポキシ当量は168g/eqであった。
生成物(P6)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキシシリル基の存在を示すT1やT2構造に由来するピークは確認されなかった。
また、生成物(P6)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.00であった。また、エポキシ基に帰属するピークは確認されなかった。滴定によって求めたエポキシ当量は10,000g/eq以上であった。
また、生成物(P6)についてFT−IR分析を行った結果、原材料であるGlycidyl POSS cage mixtureにおいて確認されなかったウレタン結合に帰属する1540cm−1付近の幅広いピークが確認された。
また、生成物(P6)についてGPC分析を行った結果、重量平均分子量は4,000であった。
生成物(P6)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(P6)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(XXVIII)で表される有機基
Figure 0005643534
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物の55%以上がSi−OH基の全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量4,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。得られたシルセスキオキサン化合物のSP値は11.2であった。
生成物(i)の製造
製造例5
攪拌機、温度計、還流冷却器、空気導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、酢酸ブチル32.1部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物(NCO含量21%)50.0部、ジブチルスズジラウレート0.02部、及びp−メトキシフェノール0.2部の混合物を仕込んだ。該混合物を攪拌しながら、50℃まで加熱した。続いて乾燥空気を吹き込みながら、混合物の温度が60℃を超えないように、プラクセルFA−2D(商品名、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート)78.4部を8時間かけて滴下し、混合物を60℃で更に1時間撹拌し、不揮発分80%の生成物(i−1)溶液を得た。得られた生成物(i−1)のイソシアネート当量は1,852、不飽和基当量は564、重量平均分子量は1,297であった。
製造例6〜10
製造例5において、配合を表1に記載の配合にした以外は、製造例5と同様にして、生成物(i−2)〜(i−6)溶液を得た。得られた生成物のイソシアネート当量、不飽和基当量、及び重量平均分子量を表1に示した。
(注1)プラクセルFA−1:商品名、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート
(注2)プラクセルFM−3:商品名、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート
Figure 0005643534
水酸基含有樹脂の製造
製造例11
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、1−メトキシ−2−プロパノール80部を仕込み、攪拌しながら100℃に昇温した。この中にスチレン10部、メチルメタクリレート40部、i−ブチルメタクリレート8部、n−ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20部、アクリル酸2部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。その後、さらに1−メトキシ−2−プロパノール10部及び2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、不揮発分55%の水酸基含有アクリル樹脂溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の酸価は15.6mgKOH/g、水酸基価は96.6mgKOH/g、重量平均分子量は20,000であった。
光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)の作成
作成例1
製造例1で得られた生成物(i−1)80%溶液65.5部(不揮発分52.4部)、製造例11で得られた水酸基含有アクリル樹脂の55%溶液86.6部(不揮発分47.6部)、ダロキュア1173(商品名、メルクジャパン社製、光重合開始剤)3.0部、TINUVIN384(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、紫外線吸収剤)6.0部、TINUVIN123(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、光安定剤)1部、及び表面調整剤としてBYK−315(商品名、ビックケミー社製)0.05部を混合し、1−メトキシ−2−プロパノールで不揮発分を調整して、不揮発分30%の下塗り塗料組成物(I−1)を得た。
作成例2〜14
作成例1において、各成分の種類及び配合量を表2に記載の各成分の種類及び配合量にする以外は作成例1と同様にして、下塗り塗料組成物(I−2)〜(I−14)を得た。尚、表2の配合量は、不揮発分の配合量を示す。また(注3)〜(注4)は下記の通りである。
(注3)CN9001:商品名、サートマー社製、ウレタンアクリレート
(注4)アロニックスM−315:商品名、東亞合成社製、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートとトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートとの混合物
Figure 0005643534
活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)の作成
作成例15
製造例1で得られた生成物(P2)溶液200(不揮発分100部)、イルガキュア−184(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)3部、イルガキュア−819(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)1部、RUVA93(商品名、大塚化学社製、紫外線吸収剤)2部、TINUVIN123(商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、光安定剤)1部、及び表面調整剤としてBYK−3500(商品名、ビックケミー社製)0.5部を混合し、1−メトキシ−2−プロパノールで不揮発分を調整して、不揮発分30%の活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II−1)を得た。
作成例16〜30
作成例13において、各成分の種類及び配合量を表3に記載の各成分の種類及び配合量にする以外は作成例13と同様にして、活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II−2)〜(II−16)を得た。
Figure 0005643534
尚、上記表3中の配合量は不揮発分の配合量である。また(注5)〜(注12)は下記の通りである。
(注5)Ebecryl1290k:商品名、ダイセル・サイテック社製、ウレタンアクリレート
(注6)アロニックス−M408:商品名、東亞合成社製、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
(注7)IRR214K:商品名、ダイセル・サイテック社製、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
(注8)MEK−ST:商品名、日産化学社製、コルイダルシリカ。
(注9)重合性シラン変性コロイダルシリカ:次の通り製造した。還流冷却器、温度計、空気導入管及び攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、コロイダルシリカ微粒子(分散媒;イソプロパノール、シリカ濃度;30質量%、平均一次粒子径;12nm、商品名;IPA−ST、日産化学工業社製)333部(シリカ微粒子は100部)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン10部、p−メトキシフェノール0.2部及びイソプロパノール233部を配合した後、乾燥空気を吹き込みながら攪拌し昇温した。揮発成分の還流が始まったところで、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出させ、反応系内の溶剤を置換した。続いて、95℃で2時間攪拌しながら脱水縮合反応を行った後、60℃に温度を下げてテトラブチルアンモニウムフルオリドを0.03部加えて更に1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、減圧状態で揮発成分を留出させ、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて共沸留出する操作を数回行うことで溶剤を置換し、重合性シラン変性コロイダルシリカ粒子の不揮発分40%分散液を得た。
(注10)TINUVIN928:商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、紫外線吸収剤
(注11)TINUVIN479:商品名、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、紫外線吸収剤
(注12)アデカスタブLA82:商品名、株式会社ADEKA製、光安定剤。
実施例1〜39及び比較例1〜14
ポリカーボネート樹脂板に、表4に示す光及び熱硬化性下塗り塗料組成物を乾燥膜厚が8μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、メタルハライドランプを用いて1,500mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射し、続いて90℃で10分間乾燥させた。次いで被塗物が50℃以下になった後、その上に、表4に示す活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を乾燥膜厚が5μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、超高圧水銀灯を用い4,000mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させ、各試験塗板を得た。得られた各試験塗板について、下記評価試験に供した。評価結果を表4に併せて示す。
Figure 0005643534
実施例40〜78及び比較例15〜28
ポリカーボネート樹脂板に、表5に示す光及び熱硬化性下塗り塗料組成物を乾燥膜厚が8μmとなるようエアスプレー塗装し、90℃で10分間加熱した。次いで被塗物が50℃以下になった後、その上に、表5に示す活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を乾燥膜厚が5μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、超高圧水銀灯を用い4,000mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させ、各試験塗板を得た。得られた各試験塗板について、下記評価試験に供した。評価結果を表5に併せて示す。
Figure 0005643534
実施例79〜96及び比較例29〜33
ポリカーボネート樹脂板に、表6に示す光及び熱硬化性下塗り塗料組成物を乾燥膜厚が30μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、メタルハライドランプを用いて1,000mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射し、続いて90℃で10分間乾燥させた。次いで被塗物が50℃以下になった後、その上に、表6に示す活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を乾燥膜厚が5μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、超高圧水銀灯を用い4,000mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させ、各試験塗板を得た。得られた各試験塗板について、下記評価試験に供した。評価結果を表6に併せて示す。
Figure 0005643534
実施例97〜114及び比較例34〜38
ポリカーボネート樹脂板に、表7に示す光及び熱硬化性下塗り塗料組成物を乾燥膜厚が30μmとなるようエアスプレー塗装し90℃で10分間加熱した。次いで被塗物が50℃以下になった後、その上に、表7に示す活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物を乾燥膜厚が5μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、60℃で5分間プレヒートした後、超高圧水銀灯を用い4,000mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させ、各試験塗板を得た。得られた各試験塗板について、下記評価試験に供した。評価結果を表7に併せて示す。
Figure 0005643534
(耐擦り傷性)
各試験板について、ASTM D1044に準じて、テーバー磨耗試験(磨耗輪CF−10F、荷重500g、500回転)を行った。試験前後の被膜についてヘイズ値を測定してその変化(ΔH)を求め、下記基準により評価した。
◎:ΔHが15未満
○:ΔHが15以上20未満
△:ΔHが20以上30未満
×:ΔHが30以上。
(初期付着性)
JIS K 5600−5−6(1990)に準じて素地に達するまで塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目被膜の数を評価した。
○:残存個数/全体個数=100個/100個
△:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
(耐候性)
各試験板について、スーパーUVテスター(大日本プラスチック社製、W−13型、促進耐候性試験機)を用いて、ブラックパネル温度60℃、24時間紫外線照射−24時間水噴霧のサイクル条件を1サイクルとして40サイクルまで試験を行った。外観及び付着性を下記基準にて評価した。外観は目視で評価し、付着性は上記初期付着性と同じ方法で評価した。
○:塗膜にワレが生じていない、付着性は残存個数/全体個数=100個/100個
△:塗膜にワレが生じていないが、付着性は残存個数/個数=99個以下/100個
×:塗膜にワレが生じている

Claims (5)

  1. 基材上に、光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)を用いて下塗り塗膜を形成した後、その上に、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であって、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つがウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であるシルセスキオキサン化合物(a)、及び光重合開始剤(b)を含有する活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)を用いて上塗り塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法であって、
    前記(a)成分における前記ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基が、下記一般式(A)で表される有機基である複層塗膜形成方法。
    Figure 0005643534
    [式(A)中、R は水素原子又はメチル基を示す。R は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。R は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。Yは
    Figure 0005643534
    (式中、R は、前記に同じ。nは0〜9の整数を示す。)、
    Figure 0005643534
    (式中、R は置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。)、又は
    Figure 0005643534
    (式中、R は置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。)を示す。]
  2. 活性エネルギー線硬化型上塗り塗料組成物(II)が、さらに重合性不飽和化合物(c)を含有する請求項記載の複層塗膜形成方法。
  3. 光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)が、重合性不飽和化合物、水酸基含有樹脂、光重合開始剤、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有するものである請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 光及び熱硬化性下塗り塗料組成物(I)が、さらにイソシアネート基含有化合物を含有するものである請求項1ないしのいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法により形成される複層塗膜を有する塗装物品。
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