JP5641979B2 - ダブルデッキエレベータの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施の形態は、ダブルデッキエレベータの制御装置に関する。
超高層建物などでは、上下方向に複数のかご室を連結構成することで大量輸送が可能なダブルデッキエレベータが用いられている。
ダブルデッキエレベータは、昇降路内をメインガイドレールに沿って上下摺動するかご枠と、このかご枠の内部にサブガイドレールに沿って上下摺動する上かご室及び下かご室とを備え、かご枠は巻上機の駆動シーブに掛け渡されたロープに吊り下げられ、巻上機により駆動される駆動シーブの回転力とロープ他端部側のつり合いおもりの重量とによって上下に走行する構成となっている。
ところで、ダブルデッキエレベータには、隣接する上下階の階間距離に不揃いな建物等にも設置されることから、かご枠には上下かご室間の階間距離を調整するかご間距離調整機構が設けられている。
かご間距離調整機構は、かご枠上部の両端縁部に設置される2台の駆動モータと、これら駆動モータの回転軸に連結され中間部分から互いに異なるねじ山が形成されたボールねじ駆動体と、各上下かご室の両側面壁に取り付けられ、各ボールねじ駆動体が螺挿されるねじ付き筒体とで構成され、駆動モータの回転によって上かご室と下かご室とが互いに離れていく方向、もしくは近づく方向に移動させつつ、2つのかご室が上下階の着床に一致させるように停止させる。なお、ダブルデッキエレベータのかご間距離調整機構としては、従来幾つかの構成のものが開発されている。
ところで、以上のようなダブルデッキエレベータは、上下2つのかご室を搭載するかご枠を走行制御する走行制御部と、隣接する上下停止階間の距離が一定でない場合でも、かご間距離調整機構を駆動制御し、2つのかご室が隣接する上下停止階に同時に着床できるように調整制御する階間調整制御部とを備えた制御装置が設けられている。
階間調整制御部は、かご間距離調整機構の一部を構成する駆動モータを回転駆動することにより、かご枠内の上かご室と下かご室とを互いに相反する方向に移動させ、2つのかご室間の相対距離を可変制御する機能を有する。
ところで、一般に、階間調整制御部では、エレベータの減速開始に伴って停止階が決定した後、その停止階の階間距離に合うように調整制御を実施している。その理由は、次に停止する停止階が決まっても、その後の走行途中にかご呼びが入り、より近い階床を停止階とすることから、実際上は減速期間に入らないとエレベータの停止階が確定せず、2つのかご室間の相対距離をどのくらい調整すればよいのかも不明となる為である。
特開2001−19287号公報 特開2004−175476号公報
しかしながら、以上のように減速開始によって停止階が決定した後、階間調整制御部が階間距離を調整する場合、次のような問題点が指摘されている。
例えば出発階の階間距離が例えば3200mmとし、決定された停止階の階間距離が例えば3050mmであれば、調整距離=(3050−3200)=−150mmとなり、減速開始から停止階に停止までの間に階間距離の調整を完了させることができる。
しかし、例えば決定された停止階の階間距離が例えば4500mmであれば、調整距離=(4500−3200)=+1300mmとなり、減速開始から停止階に停止までの間に階間距離の調整処理が完了できない。
すなわち、エレベータの減速開始によって停止階が決定した後、階間調整制御部がかご間距離調整機構を調整制御しても、出発階と停止階との階間距離に大きな違いがあると、かご枠が減速開始して停止するまでの間に階間距離の調整制御が終了できない場合が生じてくる問題がある。
そこで、本ダブルデッキエレベータの制御装置は、かご枠が停止階に停止するまでの間に階間距離の調整制御を終了させるか、もしくは階間距離の調整制御の遅れを最小にとどめるようにすることにある。
上記課題を解決するために、発明の実施形態によれば、かご枠内部に搭載された上下2つのかご室間の相対距離を調整するかご間距離調整機構を備えたダブルデッキエレベータにおいて、前記かご枠の走行制御を実行する走行制御手段と、全ての着床階における前記かご室間の階間距離が記憶された階間距離テーブルと、前記走行制御手段によるかご枠の走行開始時、前記階間距離テーブルから前記かご枠の出発階より走行方向に所定階数の着床階の階間距離の中から最大値と最小値を検索し、その最大値と最小値の平均値を用いて事前移動階間調整距離を決定する事前移動階間距離決定手段と、前記かご枠の減速開始時に前記階間距離テーブルからかご枠の停止階の階間距離を取り出し、前記事前移動階間調整距離を考慮して当該停止階への最終移動階間調整距離を決定する最終移動階間距離決定手段と、前記かご枠の走行開始時に決定された前記事前移動階間調整距離に従って前記かご間距離調整機構を介して前記かご室間の相対距離を調整制御し、かつ、前記かご枠の減速開始以降に決定された前記最終移動階間調整距離に従って前記かご間距離調整機構を介して最終的な前記かご室間の相対距離を調整制御する多段階階間調整制御手段と、予め前記かご枠の走行速度に応じて定まる減速開始から停止するまでに移動する最大移動階間距離を記憶する記憶手段と、この記憶手段から読み出した最大移動階間距離と、前記かご枠出発階の階間距離から前記事前移動階間距離決定手段で決定された最大値、最小値をそれぞれ引いた各差とを比較し、前記多段階階間調整制御手段による事前移動階間調整距離による調整制御が必要無しと判断したとき、前記事前移動階間調整距離に基づく前記かご室間の相対距離の調整制御を行わない事前必要有無判断手段とを備えたダブルデッキエレベータの制御装置である。
各実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置の全体構成を示す概念図。 図1に示す階間距離テーブルのデータ配列例を示す図。 第1の実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置による階間調整制御の一連の処理手順を説明するフロー図。 図3に示す処理手順の中の処理ステップ(A)のより具体的な処理手順を説明する図。 図4の処理手順を説明するための階間距離テーブルのデータ配列例を示す図。 第1の実施形態に関する階間調整制御を簡略的に理解するために用いた階間距離テーブルのデータ配列例を示す図。 走行開始時と減速開始時に分けて階間調整制御を実施した場合の上下2つのかご室間距離の関係を説明する摸式図。 図7と関連付けて説明するかご室間距離の推移を説明する図。 第2の実施形態に関する事前移動階間距離決定手段の処理手順を説明するフロー図。 第2の実施形態を説明するための階間距離テーブルのデータ配列例を示す図。 第3の実施形態に関する事前移動階間距離決定手段の処理手順を説明するフロー図。 第3の実施形態を説明するための階間距離テーブルのデータ配列例を示す図。 第4の実施形態を説明する処理フロー図。 第5の実施形態を説明する速度−距離テーブルのデータ配列例を示す図。
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1はダブルデッキエレベータの制御装置における各実施形態の全体構成を示す図である。
ダブルデッキエレベータの制御装置は、ダブルデッキエレベータ10及び制御装置20を備えている。
ダブルデッキエレベータ10は、巻上機11に掛け渡されたメインロープ12の一端部に吊下げられたかご枠13と、このかご枠13内の上下方向に配置された上かご室14a及び下かご室14bと、上下2つのかご室14a,14b間の相対距離を調整するかご間距離調整機構15とを含む構成である。16はメインロープ12の他端部に吊下げられたつり合いおもりである。
かご間距離調整機構15としては種々の構成のものが存在するが、ここでは、一具体例について説明する。かご間距離調整機構15は、かご枠13上部の両端縁部に設置された複数の駆動モータ15a,15aと、各駆動モータ15a,15aの回転軸に連結され、それぞれ中央部分から互いに逆ねじ方向としたねじ駆動体15b,15bと、例えば各かご室14a,14bの両側面壁に取り付けられ、各ねじ駆動体15b,15bが螺挿されるねじ付き筒体15c,15cとを備え、駆動モータ15a,15aの回転方向に伴って上下2つのかご室14a,14bが互いに離反し、あるいは近づくように移動する構成となっている。
一方、ダブルデッキエレベータ10の制御装置20としては、出発階から次に着床する停止階まで走行するときの走行速度基準パターン(目標速度)と巻上機11の回転速度検出センサ21の検出速度との速度偏差に応じた速度制御指令を出力し、巻上機11を介してかご枠13を上下方向に走行制御する走行制御部22と、記憶装置23と、階間調整制御部24とを含む構成である。
記憶装置23には、出発階から次停止階に走行するための加速・定速及び減速からなる走行速度基準パターンの他、階間距離テーブル23aが設けられている。
図2は階間距離テーブル23aのデータ配列例を示す図であって、かご枠13の各着床階1F,2F,…ごとに階間距離L1,L2,…が規定されている。
階間調整制御部24は、機能的には、事前移動階間距離決定手段241、停止階取得手段242、最終移動階間距離決定手段243及び複数段階階間調整制御手段244を含む構成である。
なお、階間調整制御部24は、制御装置筐体内の走行制御部22から切り離してかご枠3上部に設置してもよい。
事前移動階間距離決定手段241は、かご枠13の走行開始時に出発階から走行方向の所定数(例えば全て)の着床階における階間距離テーブル23aの階間距離に基づき、とりあえず妥当な事前移動階間調整距離を決定する機能を有する。
停止階取得手段242は、かご枠13の減速開始時に走行制御部22で既に把握されているかご枠走行位置から停止階を取得する。
最終移動階間距離決定手段243は、出発階の階間距離、前記事前移動階間調整距離及び減速開始後に取得された停止階による階間距離テーブル23aの階間距離を用いて、最終移動階間調整距離を決定する機能を有する。
複数段階階間調整制御手段244は、かご枠13の走行開始時に事前移動階間距離決定手段241で決定された事前移動階間調整距離に従って、かご間距離調整機構15の駆動モータ15a,15aを回転駆動し、とりあえず減速開始前にかご室14a,14b間の相対距離を調整制御し、さらに、減速開始後に最終移動階間距離決定手段243で決定される最終移動階間調整距離に従ってかご間距離調整機構15の駆動モータ15a,15aを回転駆動し、最終的にかご室14a,14b間の相対距離を調整制御する機能を有する。
次に、以上のようなダブルデッキエレベータの制御装置の階間調整制御の処理手順について、図3及び図4を参照して説明する。図3は制御装置の全体の処理手順を説明するフロー図、図4は、請求項1に対応する処理手順の一例を説明する図である。
階間調整制御部24は、走行制御部22から出力される走行制御指令からかご枠13の走行開始か否かを判断する(S1)。かご枠13の走行開始と判断すると、事前移動階間距離決定手段241は、既に事前移動階間調整距離が決定済みか否かを判断し(S2)、未だ決定されていない場合には事前移動階間調整距離を決定する(S3)。
すなわち、事前移動階間距離決定手段241は、具体的には図4に示すように、事前移動階間調整距離が決定されていないと判断したとき、かご枠13が何れの方向に走行しているか判断する(S21)。かご枠13が出発階から上側方向に走行していると判断したとき、図5に示す階間距離テーブル23aから出発階より上側走行方向全ての各着床階の階間距離Ln+1,…を抽出する(S22)。
そして、抽出された各着床階の階間距離Ln+1,…の中から最大値及び最小値を検索した後(S23)、これら最大値と最小値とを用い、{(最大値)+(最小値)/2}なる演算によって最大値と最小値との平均値を計算する。そして、出発階の階間距離と平均値との差に相当する値を事前移動階間調整距離として決定し(S24)、複数段階階間調整制御手段244に送出する。
また、ステップS21において、かご枠13が出発階から下側方向に走行していると判断したとき、同様に階間距離テーブル23aから出発階より下側走行方向全ての各着床階の階間距離Ln-1,…を抽出し(S25)、これら階間距離Ln-1,…の中から同様に最大値と最小値とから平均値を計算する。ここでも、出発階の階間距離と平均値との差に相当する値を事前移動階間調整距離として決定し(S24)、複数段階階間調整制御手段244に送出する。
この複数段階階間調整制御手段244は、走行開始後に事前移動階間距離決定手段241から事前移動階間調整距離を受け取ると、かご間距離調整機構15を構成する駆動モータ15a,15aを回転駆動し、事前移動階間調整距離分だけ調整制御を実施する(S4)。
この事前移動階間調整距離の調整制御を理解するために、図6ないし図8にて概略的に説明する。
先ず、図6に示すように全階間距離を規定する階間テーブル23aを用意し、走行開始時に階間距離テーブル23aの走行方向の全階間距離から最大値と最小値との平均距離Lpを算出し、出発階の階間距離Ls(図7(a))から走行開始後とりあえず平均距離Lpだけ事前階間距離の調整制御を行う(図7(b))。その後、かご枠13の減速開始に伴って停止階が決定すると、停止階の階間距離(Lc1,Lc2)を考慮し、残りの距離だけ広げたり、縮めたりすることにより(図7(c1)、(c2)参照)、短時間に調整制御を終了させるようにする。
具体的には8図(a),(b)を用いて説明すると、出発階の階間距離が例えば3200mmとし、出発階から走行方向の階間距離テーブル23aの階間距離の最大値が例えばLc1=4500mm及び最小値が例えばLc2=3050mmとすれば、その平均距離(事前移動階間距離)は3775mmとなる。そこで、走行開始時に事前移動階間調整距離=3775−3200=575mmを求めて調整制御を実施し、その後減速開始に伴って停止階が決定されると、階間距離テーブルから停止階の階間距離(Lc1=4500mm,Lc2=3050mm)を抽出し、計算した残りの距離+725mm,−725mmについて調整制御すれば、何れもかご枠13が目的階に停止前に調整制御を終了させることが可能となる。
そこで、事前階間調整制御の実施後、停止階取得手段242は、走行制御部22の走行制御指令からかご枠13の減速開始を検出すると(S5)、走行制御部22で取得されているかご枠13の現在位置及び走行速度等から次に停止すべく停止階を取得し、最終移動階間距離決定手段243に送出する。
この最終移動階間距離決定手段243は、受け取った停止階に基づいて階間距離テーブル23aから停止階の階間距離を取り出し、最終移動階間調整距離を決定する(S6)。この最終移動階間調整距離は、停止階の階間距離±(出発階の階間距離±事前移動階間調整距離)から得られる。
最終移動階間距離決定手段243は、最終移動階間調整距離を決定すると、複数段階階間調整制御手段244に送出する。
複数段階階間調整制御手段244は、最終移動階間調整距離を受け取ると、かご間距離調整機構15を構成する駆動モータ15a,15aを回転駆動し、最終移動階間調整距離分だけ調整制御を実施する(S7)。
しかる後、目的停止階到着および最終距離調整の完了を確認した後(S8,S9)、事前移動階間調整距離データをリセットし(S10)、終了する。
従って、この実施形態によれば、かご枠13の走行開始時に事前に走行方向の各着床階の階間距離から事前移動階間調整距離を取得して事前に上下かご14a,14b間の相対距離を調整制御しているので、減速開始後に停止階の階間距離が判っても、その停止階に停止するまでに間に階間距離の調整制御を終了させるか、もしくは階間距離の調整制御の遅れを最小にとどめることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置は、図1と同様な構成であるので、重複を避けるためにその構成の説明は省略する。
第2の実施形態において特に異なるところは、図1に示す事前移動階間距離決定手段241の他の例であって、具体的には図4の点線枠部分(A)について、図9に示す(A2)のように階間距離の抽出処理を行うものである。
事前移動階間距離決定手段241は、かご枠13の走行方向の判断に先立ち、記憶装置23に既に登録されているかご枠出発階及び呼び登録された各停止階のうち出発階から最も近い停止階を取得した後(S31)、かご枠13の走行方向を判断する(S32)。
ここで、かご枠13が出発階から上側方向に走行していると判断したとき、図10に示す階間距離テーブル23aから出発階より上側走行方向の最も近い停止階m1Fまでの各着床階(n+1)〜m1までの階間距離を抽出した後(S33)、図4のステップS23に移行する。
一方、ステップS32において、かご枠13が出発階から下側方向に走行していると判断したとき、図10に示す階間距離テーブル23aから出発階より下側走行方向の最も近い停止階m1Fまでの各着床階m1〜(n−1)までの階間距離を抽出した後(S34)、図4のステップS23に移行する。
これにより、この実施形態では、最も近い停止階を裏づけとし、比較的狭い着床階の範囲を利用して最大値及び最小値を抽出し、かご枠13が出発後に最も近い停止階の間にさらに近い新たなかご呼び登録による停止階が決定されても、柔軟、かつ正確に最終移動階間距離を調整制御することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置は、図1と同様な構成であるので、重複を避けるためにその構成の説明は省略する。
第3の実施形態において特に異なるところは、同じく事前移動階間距離決定手段241の更に他の例であって、具体的には図9の点線枠部分(B)に図11に示す1つの処理ステップS35を追加したものである。この追加処理ステップS35は、図9のみならず、図4のステップS23の手前に追加してもよい。
処理ステップS35は、各着床階の中から予め定める不停止階の階間距離を除いてステップ23に渡す処理を行うものである。
これにより、より正確に最大値及び最小値を抽出でき、ひいてはより正確に事前移動階間調整距離を求めることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置においても、図1と同様な構成であるので、重複を避けるためにその構成の説明は省略する。
第4の実施形態において特に異なるところは、複数段階階間調整制御手段244による事前移動階間距離の調整制御の処理であって、図3に示す処理ステップS4を図13に示す処理フローに従って、事前移動階間距離の調整制御を行うことにある。
すなわち、予め複数段階階間調整制御手段244または記憶装置23に走行速度によって決まる減速開始から目的停止階までの間に移動する最大移動階間距離Lが記憶されている。
そこで、複数段階階間調整制御手段244としては、事前移動階間距離決定手段241から最大値Lmax,最小値Lminを受け取ると、出発階の階間距離Lsと最大移動階間距離Lを読み出し(S41)、|Ls−Lmax|≦Lと|Ls−Lmin|≦Lとの関係に有るか否かを判断する(S42)。これは、|Ls−Lmax|及び|Ls−Lmin|が最大移動階間距離Lよりも大きいときには事前階間調整制御を行うが(S43)、当該|Ls−Lmax|及び|Ls−Lmin|が最大移動階間距離Lと等しいか、小さいとき、事前階間調整制御を行わなくとも減速開始後の最終階間調整制御S7にて、停止するまでに調整制御を終了できると判断し、ステップS43の処理を行うことなく、図3のステップS5に移行する。
従って、この実施形態によれば、事前階間調整制御が不要かどうかを判断し、不要な場合には事前階間調整制御を省略して減速開始後の調整制御を行うので、無駄な調整制御を省略することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るダブルデッキエレベータの制御装置においても、図1と同様な構成であるので、重複を避けるためにその構成の説明は省略する。
第5の実施形態において特に異なるところは、第4の実施形態で説明した図13の最大移動階間距離Lを走行速度に応じて適宜選択できるように、例えば記憶装置23に速度-距離テーブル23bを設ける。
例えば速度-距離テーブル23には、通常のかご枠走行速度に対する最大移動階間距離L0、例えば火災等の発生時の管制運転1速度に対する最大移動階間距離L1、地震等の発生時の管制運転2速度に対する最大移動階間距離L2を規定しておき、複数段階階間調整制御手段244が図13のステップS42の判断処理を行う際、かご枠の走行速度に応じて速度-距離テーブル23から最大移動階間距離Lを選択し、判断する構成である。
従って、この実施形態によれば、かご枠の走行速度に応じた最大移動階間距離Lを選択するので、事前階間調整制御が必要か、あるいは不要かを的確に判断することができる。
(その他の実施形態)
(1) 上記実施形態では、図1に示すようなかご間距離調整機構15を設けたが、例えば上下かご14a,14bとの間をクランク機構で連結し、さらにかご枠上部に設置される駆動モータ15a,15aの回転軸に連結するようにねじ駆動体15bを取り付け、例えば上かご14aの両側部から突出するねじ付き筒体15cに螺挿するような構成のかご間距離調整機構であってもよい。
(2) 上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…ダブルデッキエレベータ、11…巻上機、13…かご枠、14a…上かご室、14b…下かご室、15…かご間距離調整機構、20…制御装置、22…走行制御部、23…記憶装置、23a…階間距離テーブル、23b…速度−距離テーブル、24…階間調整制御部、241…事前移動階間距離決定手段、242…目的停止階取得手段、243…最終移動階間距離決定手段、244…複数段階階間調整制御手段。

Claims (4)

  1. かご枠内部に搭載された上下2つのかご室間の相対距離を調整するかご間距離調整機構を備えたダブルデッキエレベータにおいて、前記かご枠の走行制御を実行する走行制御手段と、全ての着床階における前記かご室間の階間距離が記憶された階間距離テーブルと、前記走行制御手段によるかご枠の走行開始時、前記階間距離テーブルから前記かご枠の出発階より走行方向に所定階数の着床階の階間距離の中から最大値と最小値を検索し、その最大値と最小値の平均値を用いて事前移動階間調整距離を決定する事前移動階間距離決定手段と、前記かご枠の減速開始時に前記階間距離テーブルからかご枠の停止階の階間距離を取り出し、前記事前移動階間調整距離を考慮して当該停止階への最終移動階間調整距離を決定する最終移動階間距離決定手段と、前記かご枠の走行開始時に決定された前記事前移動階間調整距離に従って前記かご間距離調整機構を介して前記かご室間の相対距離を調整制御し、かつ、前記かご枠の減速開始以降に決定された前記最終移動階間調整距離に従って前記かご間距離調整機構を介して最終的な前記かご室間の相対距離を調整制御する多段階階間調整制御手段と、予め前記かご枠の走行速度に応じて定まる減速開始から停止するまでに移動する最大移動階間距離を記憶する記憶手段と、この記憶手段から読み出した最大移動階間距離と、前記かご枠出発階の階間距離から前記事前移動階間距離決定手段で決定された最大値、最小値をそれぞれ引いた各差とを比較し、前記多段階階間調整制御手段による事前移動階間調整距離による調整制御が必要無しと判断したとき、前記事前移動階間調整距離に基づく前記かご室間の相対距離の調整制御を行わない事前必要有無判断手段とを備えたことを特徴とするダブルデッキエレベータの制御装置。
  2. 前記事前移動階間距離決定手段における事前移動階間調整距離を決めるための階間距離テーブルの最大値と最小値の抽出範囲は、前記かご枠の出発階から、かご枠走行開始時に最も近い目的停止階までの間の該目的停止階を含む各着床階の前記階間距離テーブルに規定される階間距離であることを特徴とする請求項1に記載のダブルデッキエレベータの制御装置。
  3. 前記事前移動階間距離決定手段における前記事前移動階間調整距離を決めるための階間距離テーブルの最大値と最小値の抽出範囲は、前記階間距離テーブルの中からかご枠走行方向の不停止階を除いた各着床階の階間距離であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダブルデッキエレベータの制御装置。
  4. 前記記憶手段に前記かご枠の走行速度に応じた複数の最大移動階間距離を記憶し、前記かご枠の走行速度に対応した最大移動階間距離を選択し、前記事前必要有無判断手段にて前記多段階階間調整制御手段による事前移動階間調整距離の調整制御の必要性を判断することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のダブルデッキエレベータの制御装置。
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