JP5640810B2 - 車両用空調制御装置 - Google Patents
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Description
なお、出力値Neopと出力要求値Nerq(共に後述する。)とに差がある場合(図4の判断(B03)参照。)は、外部及びシステムによる出力値制限中と判断している。
しかし、前記車両用空調制御装置が積分制御を停止することにより、その後制限が解除された場合に目標値へ追従する時間がかかり過ぎるという不都合がある。
また、本来は積分制御を作動させても影響が無い場合、例えば、上限制限中での出力値下降側への積分制御や下降制限中での出力値上限側への積分制御などにおいて、目標エバポレータ温度とエバポレータ温度との差を縮めることができない、つまり、制御として不安定状態のままとなる等の制御上の問題が生じるという不都合がある。
従って、積分値の発散を防止するとともに、積分制御を作動させても影響がない場合(コンプレッサ出力値が下限制限されている時にコンプレッサ出力値を増加させる場合、あるいは、コンプレッサ出力値が上限制限されている時にコンプレッサ出力値を減少させる場合)には、エバポレータ温度を目標エバポレータ温度に追従させることができる。
図1及び図2において、1は車両用空調制御装置である。
この車両用空調制御装置1は、図2に示す如く、空調通路2の上流側に外気導入口3と内気循環口4とを有し、これらの外気導入口3と内気循環口4とを内外気切替ドア(「吸込み口アクチュエータ」ともいう。)5によって切り替えている。
そして、この内外気切替ドア5の下流側に送風ファン(「ブロワファン」または「空調用FAN」ともいう。)6を配設し、この送風ファン6によって前記空調通路2の下流側に送風している。
また、この送風ファン6よりも下流側の空調通路2には、エバポレータ(「エバポレータコア」ともいう。)7を配設し、このエバポレータ7よりも下流側に冷暖房空調用のHVACユニット8を配設する。
このHVACユニット8は、前記空調通路2を冷房用と暖房用とに切り替えるエアミックスドア(「A/Mアクチュエータ」ともいう。)9を備えるとともに、暖房用として使用する部分にヒータコア10を配設している。
更に、前記HVACユニット8よりも下流側の空調通路2には、デフロスタ吹出口11を形成するデフロスタダクト12と、ベント吹出口13を形成するベントダクト14と、フット吹出口15を形成するフットダクト16とを備える。
そして、前記デフロスタダクト12のデフロスタ吹出口11と前記ベントダクト14のベント吹出口13とを切り替える第1吹出口切替ドア17を設ける一方、前記フットダクト16のフット吹出口15の開閉を行う第2吹出口切替ドア18を設ける。
なお、前記第1吹出口切替ドア17や第2吹出口切替ドア18は、「MODE(モード)アクチュエータ」と換言される場合もある。
このとき、前記メインコントローラ19は、「EV」の場合には「EVコントローラ」と称され、「HEV(ハイブリッド車両)」の場合には「HEVコントローラ」と称され、「エンジン」の場合には「エンジンコントローラ」と称される一方、エンジン車両の場合には回転数制御をも行う。
そして、前記A/Cコントローラ20は、組み込み可能なA/Cパネル21と、前記エバポレータ7よりも下流側に配置されるエバポレータ温度センサ22と、A/C制御で必要となるセンサ検出装置23とを接続している。
更に、前記A/Cコントローラ20は、前記エアミックスドア9や前記第1、第2吹出口切替ドア17、18、電動コンプレッサ(または「外部可変容量コンプレッサ」)24に制御信号を出力するために接続されている。
前記目標エバポレータ温度算出手段25は、前記A/Cシステム31からの各センサ及びパネル設定値を入力して目標エバポレータ温度を算出する。
前記エバポレータ温度偏差算出手段26は、前記A/Cシステム31からのエバポレータ温度と前記目標エバポレータ温度算出手段25からの目標エバポレータ温度との差をエバポレータ温度偏差として算出する。
前記比例制御手段27は、前記エバポレータ温度偏差算出手段26により算出されたエバポレータ温度偏差に基づいて比例値を算出する。
前記積分制御手段28は、前記エバポレータ温度偏差算出手段26により算出されたエバポレータ温度偏差に基づいて積分値を算出する。
前記出力値算出手段30は、前記比例制御手段27により算出された比例値と前記積分制御手段28により算出された積分値とに基づいてコンプレッサ出力要求値を算出し、コンプレッサ出力要求値を制限してコンプレッサ出力値を算出する。
そして、前記車両用空調制御装置1は、前記積分制御手段28によって、コンプレッサ出力要求値が制限される時には積分制御を停止している。
詳述すれば、前記車両用空調制御装置1による制御は、図2に示すHVACを操作する前記A/Cコントローラ20と乗員が操作を行う前記A/Cパネル21、冷房、暖房を行う前記HVACユニット8、及び、A/Cコントローラ20で稼働率を制御できる前記電動コンプレッサ24にて構成されるシステムにおいてA/Cコントローラ20から電動コンプレッサ24に出力する稼働率信号(出力)計算で用いられる積分制御を、出カ制限中においても作動させる条件を追加することにより、目標エバポレータ温度への追従性を向上させるものである。
本来、出力制限中は発散防止として強制的に積分制御を停止させていた。
しかし、以下の表1に示すように、前記積分制御手段28によって、コンプレッサ出力要求値が下限制限される時にエバポレータ温度偏差が0以上の場合には積分制御を停止せず、「作動」状態とするとともに、コンプレッサ出力要求値が上限制限される時にエバポレータ温度偏差が0未満の場合には積分制御を停止せず、「作動」状態とする。
また、表1において、第2の状態であるコンプレッサ出力要求値が下限制限される時にエバポレータ温度偏差が0未満の場合には、積分制御を停止する。つまり、目標エバポレータ温度よりエバポレータ温度が低いため、積分計算を停止させることにより、出力値の変化を抑える。
更に、表1において、第3の状態であるコンプレッサ出力要求値が上限制限される時に、エバポレータ温度偏差が0以上の場合には、積分制御を停止する。つまり、目標エバポレータ温度よりエバポレータ温度が高いが、上限制限中のため、積分計算で出力値を停止させ、積分値計算の上昇を抑える。
更にまた、表1において、第4の状態であるコンプレッサ出力要求値が上限制限される時に、エバポレータ温度偏差が0未満の場合には、積分制御を停止せず、「作動」状態とする。つまり、目標エバポレータ温度よりエバポレータ温度が低いため、上限制限中でも積分計算で出力値を下げることにより、エバポレータ温度を目標に近づける。制限中でも積分制御動作が可能な状況である。
また、表1において、第5の状態である 制限無しの場合には、何ら影響を受けないため、積分制御を停止せず、「作動」状態とする。つまり、制限無しのため、積分制御への影響がない。
さすれば、出力下限値制限中での出力値を増加させる
「目標エバポレータ温度 ≦ エバポレータ温度」
の場合、及び、出力上限値制限中で出力値を減少させる
「目標エバポレータ温度 > エバポレータ温度」
の場合においても、積分制御により目標値への追従が可能となる。
本内容により、適合で確認しきれない状況で意図せず出力上限/下限値制限が行われてしまう場合も、積分追従を可能とし、制御応答の幅を広げるものである。
従って、積分値の発散を防止するとともに、積分制御を作動させても影響がない場合(コンプレッサ出力値が下限制限されている時にコンプレッサ出力値を増加させる場合、あるいは、コンプレッサ出力値が上限制限されている時にコンプレッサ出力値を減少させる場合)には、エバポレータ温度を目標エバポレータ温度に追従させることができる。
なお、この出力値演算説明は一例であり、種々の応用改変が可能である。
そして、この処理(A02)の後には、前記A/Cコントローラ20の前記目標エバポレータ温度算出手段25によって、エアコンシステムの冷却能力の目標となる目標エバポレータ温度を算出する処理(A03)に移行する。
なお、目標エバポレータ温度算出は一般的に行われている公知技術であるため、説明は省略する。
また、目標エバポレータ温度を算出する処理(A03)の後には、前記A/Cコントローラ20の前記エバポレータ温度偏差算出手段26によって、目標エバポレータ温度とエバポレータ温度からエバポレータ温度偏差を求める処理(A04)に移行する。
このとき、「目標エバポレータ温度>エバポレータ温度」の場合は、エアコンシステムは過冷却もしくは低外気温度を意味し、逆に「目標エバポレータ温度<エバポレータ温度」の場合は、性能不足状態を意味する。
そして、目標エバポレータ温度とエバポレータ温度からエバポレータ温度偏差を求める処理(A04)の後には、前記A/Cコントローラ20の前記比例制御手段27によって、フィードバック比例制御演算を行う処理(A05)に移行する。
この処理(A05)におけるフィードバック比例制御演算の際には、
比例制御算出P=f(エバポレータ温度偏差)
とする。
なお、上述した比例制御演算も一般的に行われる制御であるため、説明は省略する。
更に、フィードバック比例制御演算を行う処理(A05)の後には、前記A/Cコントローラ20の前記積分制御手段28によって、フィードバック積分制御演算を行う処理(A06)に移行する。
この処理(A06)におけるフィードバック積分制御演算の際には、
積分制御算出I=f(エバポレータ温度偏差)
とする。
そして、フィードバック積分制御演算を行う処理(A06)の後には、出力要求値Nerqを演算する処理(A07)に移行する。
この処理(A07)においては、比例値と積分値とを合わせ、以下の式、
出力要求値Nerq=P+I
によって出力要求値Nerqを演算している。
上述の出力要求値Nerqを演算する処理(A07)の後には、出力値Neopの演算を行う処理(A08)に移行する。
この処理(A08)においては、以下の式、
出力値Neop=min(max(Nerq、下限制限値)、上限制限値)
により演算する。
つまり、処理(A08)においては、外部から出力制限がある場合、下限制限(コンプレッサの作動定格等)の場合は、下限値以上でコンプレッサの出力(Neop)を行うとともに、上限制限(コンプレッサの作動音対策の上限規定、コンプレッサ作動定格、駆動側要望の消費電力制限、エンジン回転数制限等を含む。)の場合には、上限値以下でコンプレッサの出力(Neop)を行う。
そして、出力値Neopの演算を行う処理(A08)の後には、上述の各センサ、エバポレータ温度、A/Cパネル操作状態を取得する処理(A02)に戻る。
この図4に開示したフィードバック積分制御の変更前のフローチャートは、従来技術の説明として用いられるものであるが、後述する図5のフィードバック積分制御の変更後のフローチャートと連続して説明することにより、相違点が明確となるため、この位置で説明する。
この判断(B02)がNOの場合には、判断(B02)がYESとなるまで判断(B02)を繰り返し行う。
判断(B02)がYESの場合には、出力値Neopが出力要求値Nerqと等しいか否か、つまり、
出力値Neop=出力要求値Nerq
であるか否かの判断(B03)に移行する。
この判断(B03)がNOの場合には、上述の積分制御タイマtが経過したか否かの判断(B02)に移行する。
判断(B03)がYESの場合には、積分制御算出値Iを、以下の式、
積分制御算出値I=I(n−1)+f(エバポレータ温度偏差)
から算出する処理(B04)に移行し、その後に上述の積分制御タイマtが経過したか否かの判断(B02)に移行する。
この判断(C02)がNOの場合には、判断(C02)がYESとなるまで判断(C02)を繰り返し行う。
判断(C02)がYESの場合には、出力値Neopが出力要求値Nerqと等しいか否か、つまり、
出力値Neop=出力要求値Nerq
であるか否かの判断(C03)に移行する。
判断(C03)がYESの場合には、制限が行われておらず、積分制御算出を実施するために、積分制御算出値Iを、以下の式、
積分制御算出値I=I(n−1)+f(エバポレータ温度偏差)
から算出する処理(C04)に移行し、その後に上述の積分制御タイマtが経過したか否かの判断(C02)に移行する。
また、上述の出力値Neopが出力要求値Nerqと等しいか否か、つまり、
出力値Neop=出力要求値Nerq
であるか否かの判断(C03)がNOの場合には、出力制限が行われており、出力値Neopが出力要求値Nerqよりも大きいか否か、つまり、
出力値Neop>出力要求値Nerq
であるか否かの判断(C05)に移行する。
そして、この判断(C05)がYESの場合には、下限制限の実施が成立するため、エバポレータ温度偏差が0以上であるか否か、つまり
エバポレータ温度偏差≧0
であるか否かの判断(C06)に移行する。
また、判断(C05)がNOの場合には、上限制限の実施が成立するため、エバポレータ温度偏差が0未満であるか否か、つまり
エバポレータ温度偏差<0
であるか否かの判断(C07)に移行する。
上述のエバポレータ温度偏差が0以上であるか否か、つまり
エバポレータ温度偏差≧0
であるか否かの判断(C06)において、この判断(C06)がYESの場合には、下限制限の実施中に、
エバポレータ温度偏差≧0
の場合は下限制限でも目標温度に達していない状態にあり、積分計算により出力値を増加させ、目標値への追従を行うために、上述の積分制御算出値Iを、以下の式、
積分制御算出値I=I(n−1)+f(エバポレータ温度偏差)
から算出する処理(C04)に移行する。
判断(C06)がNOの場合には、そのまま上述の積分制御タイマtが経過したか否かの判断(C02)に戻る。
また、上述のエバポレータ温度偏差が0未満であるか否か、つまり
エバポレータ温度偏差<0
であるか否かの判断(C07)において、この判断(C07)がYESの場合には、上限制限実施中に、
エバポレータ温度偏差<0
の場合は出力値が大きすぎる状態にあり、積分計算を行うことにより出力値を減少させ、目標値へ追従を行うために、上述の積分制御算出値Iを、以下の式、
積分制御算出値I=I(n−1)+f(エバポレータ温度偏差)
から算出する処理(C04)に移行する。
判断(C07)がNOの場合には、積分補正値が出力に反映されず、積分値が発散してしまうため積分計算を実施せず、そのまま上述の積分制御タイマtが経過したか否かの判断(C02)に戻る。
また、出力値Neopと出力要求値Nerqとでの制限比較ではなく、直接制限内容を読み込み、そのデータで制限の有/無を判定する特別構成とすることも可能である。
更に、図3の空調制限判定内の出力値計算は、PI(比例、積分)制御だけでなく、目標エバポレータ温度、及び、周囲条件(外気温度、風量等)から決まるフィードフォワード値(基本出力値)を加算させること特別構成とすることも可能である。
2 空調通路
3 外気導入口
4 内気循環口
6 送風ファン(「ブロワファン」または「空調用FAN」ともいう。)
7 エバポレータ(「エバポレータコア」ともいう。)
8 HVACユニット
10 ヒータコア
11 デフロスタ吹出口
13 ベント吹出口
15 フット吹出口
19 メインコントローラ
20 A/Cコントローラ(「制御部」ともいう。)
21 A/Cパネル
22 エバポレータ温度センサ
23 センサ検出装置
24 電動コンプレッサ(または「外部可変容量コンプレッサ」)
25 目標エバポレータ温度算出手段
26 エバポレータ温度偏差算出手段
27 比例制御手段
28 積分制御手段
29 上下限値制限手段
30 出力値算出手段
Claims (1)
- エバポレータ温度と目標エバポレータ温度との差をエバポレータ温度偏差として算出するエバポレータ温度偏差算出手段と、このエバポレータ温度偏差算出手段により算出されたエバポレータ温度偏差に基づいて積分値を算出する積分制御手段と、この積分制御手段により算出された積分値に基づいてコンプレッサ出力要求値を算出し、コンプレッサ出力要求値を制限してコンプレッサ出力値を算出する出力値算出手段を備え、前記積分制御手段は、コンプレッサ出力要求値が制限される時には積分制御を停止する車両用空調制御装置において、前記積分制御手段は、コンプレッサ出力要求値が下限制限される時にエバポレータ温度偏差が0以上の場合には積分制御を停止せず、コンプレッサ出力要求値が上限制限される時にエバポレータ温度偏差が0未満の場合には積分制御を停止しないことを特徴とする車両用空調制御装置。
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