JP5639854B2 - 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法 - Google Patents

研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法に係り、特に、湿式凝固法により形成され一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法に関する。
従来半導体デバイス等の各種材料では、平坦性を確保するために研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスの製造では、通常、銅配線の層や絶縁層が順次形成され多層化されるが、各層を形成した後の表面(加工面)に研磨加工が行われている。近年では、半導体回路の集積度が増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進められており、加工面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。
一般に、半導体デバイスの製造では、化学的機械的研磨(以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、通常、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液または酸溶液に分散させたスラリ(研磨液)が供給される。すなわち、被研磨物(の加工面)は、スラリ中の砥粒による機械的研磨作用と、アルカリ溶液または酸溶液による化学的研磨作用とで平坦化される。
CMP法による半導体デバイスの研磨加工では、通常、乾式成型法により形成され、被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成された樹脂シートを備えた研磨パッドが用いられている。研磨加工時には、研磨面に形成された開孔に砥粒が保持されつつ加工面内に分散するように供給されることで加工面の平坦化が図られている。換言すれば、半導体デバイス用の研磨パッドでは、研磨面に開孔が形成されていることが不可欠となる。このような開孔は、乾式成型法により樹脂製の発泡体を形成し、得られた発泡体の表面を研削処理すること、または、発泡体をスライス処理することにより形成することができる。乾式成型法により発泡体を形成する技術として、例えば、成型時の樹脂溶液中に中空微粒子を添加しておく技術が開示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。また、樹脂溶液に水を添加しておくことで成型時に気体を発生させる技術(例えば、特許文献6参照)、樹脂溶液に不活性気体を分散させて成型する技術(例えば、特許文献7参照)、樹脂溶液に水溶性微粒子を添加しておく技術(例えば、特許文献8参照)等も開示されている。
特許3013105号公報 特許3425894号公報 特許3801998号公報 特開2006−186394号公報 特開2007−184638号公報 特開2005−68168号公報 特許3455208号公報 特開2000−34416号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献8の技術では、いずれも乾式成型法により形成されるため、得られる樹脂シートが硬質で独立発泡タイプのものが主体となる。このため、研磨面に形成された開孔が砥粒や研磨屑等により目詰まりし閉塞しやすくなる、という問題がある。開孔が閉塞すると、砥粒等が凝集しやすくなり、結果として、被研磨物の加工面に研磨キズ(スクラッチ)を生じるおそれがある。半導体デバイスの研磨加工では、スクラッチが生じると配線を切断するおそれがあり、致命的な欠点となる。研磨加工を中断し、研磨面側をドレッシングすれば、開孔が再生され研磨加工の継続が可能となるが、ドレッシングが必須となることで研磨効率を低下させることとなる。一方、乾式成型法による樹脂シートと比べて、湿式凝固法による樹脂シートでは、一般に多数の発泡が網目状に連通した連通構造が得られる。このため、砥粒等の凝集による開孔の閉塞は生じにくくなるが、その反面、本来軟質であるうえ、硬質の樹脂を用いても構造的に硬度を高めることが難しい。上述したように、半導体デバイスの加工面に要求される平坦性の高度化に伴い、CMP法による研磨精度や研磨効率等の研磨性能に対する要求も高まっており、これにつれ研磨パッドの開孔径も微細化、均一化が求められるようになってきている。さらには、歩留りを向上させ効率的な製造を目指すうえで、スクラッチ等の致命的な欠点を抑制することができる研磨パッドが切望されている。
本発明は上記事案に鑑み、研磨レートを向上させ被研磨物の平坦性向上を図ることができる研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、湿式凝固法により形成され一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、軟質樹脂と、前記軟質樹脂が可溶な溶媒に対する可溶性を有し該軟質樹脂より硬質な物性の樹脂とを含む少なくとも2種の樹脂により一体形成されてシート状に成膜されたものであり、多数の微細孔が連通するように形成されており、かつ、前記微細孔の平均径より大きい平均径を有する球状で緻密な凝集樹脂が均等に分散するように形成されていることを特徴とする。
第1の態様では、湿式凝固法で少なくとも2種の樹脂により一体形成されてシート状に成膜された樹脂シートに、球状で緻密な凝集樹脂が均等に分散するように形成されたため、凝集樹脂が該凝集樹脂の周囲と比べて硬くなるので、研磨加工時に供給される砥粒が研磨面により被研磨物側に確実に押圧されることから研磨レートを向上させることができるとともに、多数の微細孔が凝集樹脂のクッションとなり過剰な押圧力が吸収されるので、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。
第1の態様において、凝集樹脂が、軟質樹脂より硬質な物性の樹脂を主体として凝集し形成されていてもよい。凝集樹脂が、直径200μm未満で微細孔と比べて微孔状および無孔状に形成されていてもよい。軟質樹脂より硬質な物性の樹脂が軟質樹脂の引張弾性率より30MPa以上大きい引張弾性率を有するようにすることができる。また、少なくとも2種の樹脂を、溶解度係数を示すSP値の差が1〜3の範囲としてもよい。少なくとも2種の樹脂をポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との2種が混合されたものとすることができる。このとき、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との混合割合を質量比2:8〜8:2の範囲としてもよい。
本発明の第2の態様は、第1の態様の研磨パッドの製造方法であって、軟質樹脂と該軟質樹脂より硬質な物性の樹脂とを含む少なくとも2種の樹脂を準備する準備ステップと、前記準備ステップで準備した樹脂を極性溶媒に均一となるように混合し溶解させた樹脂溶液をシート状の基材に塗布する塗布ステップと、前記塗布ステップで基材に塗布された樹脂溶液を水系凝固液中で凝固させシート状に成膜された樹脂シートを形成させるシート形成ステップと、を含み、前記塗布ステップ後に一定時間の間隔をあけることで、前記シート形成ステップより前に前記樹脂溶液中で前記樹脂の凝集を開始させることを特徴とする。この場合において、塗布ステップ後の一定時間を2分間〜12時間の範囲とすることが好ましい。
本発明によれば、湿式凝固法で少なくとも2種の樹脂により一体形成されてシート状に成膜された樹脂シートに、球状で緻密な凝集樹脂が均等に分散するように形成されたため、凝集樹脂が該凝集樹脂の周囲と比べて硬くなるので、研磨加工時に供給される砥粒が研磨面により被研磨物側に確実に押圧されることから研磨レートを向上させることができるとともに、多数の微細孔が凝集樹脂のクッションとなり過剰な押圧力が吸収されるので、被研磨物の平坦性向上を図ることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。 実施形態の研磨パッドの製造工程の概略を示す工程図である。 実施例1の研磨パッドに用いた樹脂シートの厚み方向に沿う断面を示す電子顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
<構成>
本実施形態の研磨パッド10は、図1に示すように、湿式凝固法により形成された1枚の樹脂シート2を備えている。樹脂シート2は、湿式凝固法による成膜時に形成されたスキン層2aと、スキン層2aより内側(図1の下側)で多数の微細孔4が形成された発泡樹脂部2bと、発泡樹脂部2bに均等に分散するように形成された球状樹脂3(凝集樹脂)と、を有している。
スキン層2aは、研磨面Pの近傍で厚み数μmにわたり形成されている。スキン層2aの表面が被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを形成している。発泡樹脂部2bには、微細孔4が分散した状態で形成されている。樹脂シート2では、スキン層2aおよび微細孔4が網目状に連通しており、全体として連続状でほぼ一様なミクロポーラス構造を有している。樹脂シート2は、湿式凝固法による成膜時の条件にもよるが、厚みを0.3〜2.0mmの範囲で調整することができるが、本例では、厚み1000μmで形成されている。
発泡樹脂部2bに形成された球状樹脂3は、発泡樹脂部2b(の微細孔4)より緻密に形成されている。すなわち、球状樹脂3では、樹脂シート2の成膜時に樹脂の凝集が生じ形成されており、樹脂の凝集と脱溶媒との進行により形成されたことで、微細孔4と比べると、中心部が無孔状または微孔状に形成され、外周側が無孔状に形成されている(詳細後述)。換言すれば、樹脂シート2では、球状樹脂3と発泡樹脂部2bとが一体化するように形成されている。球状樹脂3は、発泡樹脂部2bより緻密に形成されたことで、発泡樹脂部2bより高密度化され、高硬度に形成されている。また、球状樹脂3は、平均径が微細孔4の平均径より大きく、200μm未満の大きさを有している。球状樹脂3の周囲には発泡樹脂部2bが形成されており、発泡樹脂部2bが球状樹脂3を包囲していることとなる。
樹脂シート2は、本例では、同じ極性溶媒に対して可溶性を有する2種の樹脂が混合された混合樹脂で形成されたものである。2種の樹脂としては、溶解度係数を示すSP値が1〜3の範囲で異なる樹脂が用いられている。つまり、2種の樹脂のSP値の差が1〜3の範囲となる。SP値の差が1より小さいと、2種の樹脂の相溶性が高くなることで発泡樹脂部2bに球状樹脂3が分散形成された樹脂シート2を得ることが難しくなる。反対に、SP値の差が3より大きくなると樹脂を混合しても相分離しやすくなるので、好ましくない。樹脂シート2の硬度を確保することを考慮すれば、2種の樹脂のうち一方の樹脂が軟質樹脂であり、他方の樹脂が軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂であることが好ましい。この場合、硬質物性を有する樹脂の引張弾性率(または曲げ弾性率)が軟質樹脂の引張弾性率より30MPa以上大きい樹脂であることがより好ましい。本例では、2種の樹脂として、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とが用いられている。
ここで、SP値について説明する。SP値は、J.H.Hildebrandら(J. H. Hildebrand
and R. L. Scott著、“The Solubility of Nonelectrolytes”、Reinhold Publishing Corp.出版、1950年発行)により提唱されたもので、SP値δ[単位:(cal・cm1/2]が下式(1)で表される。式(1)において、ΔEは分子凝集エネルギー(単位:cal/mol)、Vはモル容積(単位:ml/mol)を示しており、SP値は凝集エネルギー密度の平方根に相当する。2種の樹脂を混合する場合では、SP値が近い樹脂ほど凝集エネルギー密度が小さく、親和性が高くなることとなる。また、Hansenら(J.
Paint Technology、39巻505号、104〜117ページおよび511号、505〜514ページ、1967年発行)やHoy(J. Paint
Technology、42巻541号、76〜118ページ、1970年発行)によって、双極子間力や水素結合力も考慮し、分子引力定数法に基づくと、SP値を下式(2)で算出することができる。式(2)において、ΔFは分子引力定数の総和(単位:(Cal・cm1/2mol−1)である(各原子団の分子引力定数については、例えば、Hoy法 材料技術研究会編集委員会編「プラスチックの塗装・印刷便覧」41ページ(総合技術出版発行)、沖津ら 接着研究発表会講演要旨集27巻125〜126ページ(1989年6月発行)、日本接着学会年次大会講演要旨集28巻85〜86ページ(1990年6月発行)、に記載されている。)。また、複数の樹脂を混合した樹脂全体のSP値については、下式(3)により算出することができる。式(3)において、δmixは混合樹脂全体のSP値、Xnは成分nのモル分率、Vnは成分nのモル容積、δnは成分nのSP値である。以上のことから、研磨パッド10では、樹脂シート2を極性溶媒に溶解し、ゲル濾過等で各樹脂成分を分取し、それぞれの分子構造解析を行うことで各樹脂成分のSP値および混合樹脂全体のSP値を算出することができる。
また、研磨パッド10は、樹脂シート2の研磨面Pと反対の面(以下、裏面Qという。)側に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ7が貼り合わされている。両面テープ7は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムの基材を有しており、基材の両面にアクリル系粘着剤等の粘着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面テープ7は、基材の一面側の粘着剤層で樹脂シート2と貼り合わされており、他面側(樹脂シート2と反対側)の粘着剤層が剥離紙8で覆われている。なお、この両面テープ7の基材は、研磨パッド10の基材を兼ねている。
<製造>
図2に示すように、研磨パッド10は、湿式凝固法により1枚のシート状の樹脂シート2を形成し、樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせることで製造される。湿式凝固法では、樹脂を準備する準備工程、樹脂を溶解させた樹脂溶液を成膜基材に塗布する塗布工程、成膜基材に塗布した樹脂溶液を一定時間の間隔をあけることで樹脂の凝集を開始させる凝集開始工程、樹脂溶液を凝固液中で凝固させシート状の樹脂を形成するシート形成工程、シート状の樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程を経て樹脂シート2が作製される。以下、工程順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリサルホン樹脂と、水混和性の極性溶媒と、添加剤とを準備する。極性溶媒としては、SP値が9〜13の範囲のものを使用する。例えば、SP値が12.1のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、SP値が10.8のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、SP値が9.1のテトラヒドロフラン(THF)、SP値が12.0のジメチルスルホキシド(DMSO)、SP値が9.9のアセトン、SP値が11.9のアセトニトリル、SP値が11.3のN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。SP値が9より小さい、または、13より大きいと、凝固再生時の貧溶媒(水)との置換が不十分となりシート作製が難しくなるため好ましくない。本例では、極性溶媒としてDMFを用いる。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂を用いることができるが、本例では、SP値が10.5、引張弾性率が24MPaのポリエステル/ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)系のポリウレタン樹脂を用いる。ポリサルホン樹脂としては、エーテル系、フェニル系等の樹脂を用いることができるが、本例では、SP値が11.8、引張弾性率が2480MPaのポリエーテルサルホン樹脂を用いる。添加剤としては、微細孔4の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、微細孔4の形成を促進させる親水性界面活性剤、樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性界面活性剤等を用いることができる。
(塗布工程)
塗布工程では、まず、準備工程で準備した各材料で樹脂溶液を調製する。すなわち、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを質量比5:5で混合し、固形分濃度が30質量%(wt%)となるようにDMFに溶解させる。各材料が均一となるように十分に混合し得られた溶液を減圧下で脱泡して樹脂溶液を得る。得られた樹脂溶液を、均一な混合状態を保持したまま、常温下で成膜基材にシート状に均一な厚みとなるように塗布する。このとき、ナイフコータ等の塗布装置を用い、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。成膜基材としては、可撓性を有する樹脂フィルム、布帛や不織布等を用いることもできるが、本例では、表面平滑性を有するPET製フィルムを用いる。
(凝集開始工程)
樹脂溶液は、塗布工程で成膜基材に塗布されてから、次工程で凝固液中に浸漬させるまでの間に、成膜基材に塗布された状態で一定時間の間隔があけられる。この時間間隔により、樹脂溶液中で樹脂の凝集を開始させる。すなわち、凝集開始工程では、前工程の塗布工程と次工程のシート形成工程との間に一定時間があけられる。このとき、例えば、連続的に製造する場合は、搬送速度を遅くすることで搬送時間を長くするようにしてもよい。時間間隔は、2分間〜12時間の間で設定すればよく、本例では、30分間に設定する。この間に、均一な混合状態の樹脂溶液中では、2種の樹脂が局所的に偏在し凝集し始めることとなる。
(シート形成工程)
シート形成工程では、成膜基材に塗布された後30分間の間隔をあけた樹脂溶液を、水を主成分とする凝固液中に案内し浸漬させる。凝固液には、樹脂の凝固再生速度を調整するために、上述した極性溶媒が30wt%以上45wt%以下の割合で含有されている。本例では、水と、35wt%のDMFとが混合された凝固液を使用する。凝固液中で樹脂溶液が凝固し、連続状のミクロポーラス構造を有するシート状の樹脂が再生する。凝固液中では、まず、樹脂溶液と凝固液との界面に皮膜が形成され、被膜の直近の樹脂中にスキン層2aが形成される。その後、樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、樹脂への水の浸入の協調現象とにより樹脂の凝固再生が進行する。
ここで、樹脂シートの形成について説明する。SP値が1〜3の範囲の差で異なる2種の樹脂を混合した場合に、微細孔4が形成された発泡樹脂部2bに球状樹脂3が形成されるメカニズムについては、詳細に解明されていないが、次のように考えることができる。すなわち、準備工程、塗布工程では樹脂溶液中の樹脂が均一な混合状態を保持しているものの、凝集開始工程で一定時間の間隔をあけている間に樹脂が凝集し始め、更には、凝固液中でも樹脂溶液が凝固する前に樹脂の偏在が進行する。このため、樹脂の偏在、凝集した部分では、樹脂の密度が高まり凝集塊を形成しやすくなることから、DMFと凝固液とが置換される経路が形成されにくくなり、無孔状、微孔状で緻密な球状樹脂3が形成されるものと考えられる。換言すれば、球状樹脂3は、樹脂溶液中で溶解せずに形成された球状物ではなく、樹脂溶液中の樹脂が凝集しながら形成されたものであり、発泡樹脂部2bと一体化されている。
一方、樹脂溶液に混合したポリウレタン樹脂は、凝集力が大きいために皮膜直近で凝固が起こり、スキン層2aが形成される。ところが、凝固液には水に加えてDMFが含有されているため、凝固液に水のみを用いた場合と比べてスキン層2aの形成が遅くなる。このため、スキン層2aを通じて進行する、水の樹脂中への浸透と、樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、がほぼ一様に速くなる。この結果として、従来のような樹脂の厚み方向に縦長のセルが形成されることなく、微細孔4が分散形成され連続状のミクロポーラス構造が形成される。樹脂溶液には、ポリウレタン樹脂に加えてポリサルホン樹脂が混合されており、ポリウレタン樹脂のSP値が10.5であるのに対して、ポリサルホン樹脂のSP値が11.8である。このため、2種の樹脂では、同じ極性溶媒のDMFに対して可溶性を有するものの、その凝固速度や凝集力に差が生じることとなる。凝固速度や凝集力の差により、微細孔4の形成と球状樹脂3の形成とが平行して進行するものと考えられる。
また、スキン層2a側でポリウレタン樹脂が凝集すると、相対的にポリサルホン樹脂の偏在が助長される。結果として、引張弾性率の大きなポリサルホン樹脂がポリウレタン樹脂より凝集塊を形成しやすくなり、発泡樹脂部2bより硬度の高い球状樹脂3が形成されることとなる。つまり、樹脂シート2では、多数の微細孔4が分散し連通するように形成され、ポリサルホン樹脂を主体とした球状樹脂3が発泡樹脂部2bに均等に分散するように形成される。このような凝固再生により得られる樹脂シート2は、全体としてミクロポーラス構造を有するものである。
(洗浄・乾燥工程)
図2に示すように、洗浄・乾燥工程では、凝固再生したシート状の樹脂(以下、成膜樹脂という。)を水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留しているDMFを除去した後、乾燥させる。成膜樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機が用いられる。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。得られた樹脂シート2をロール状に巻き取る。
湿式凝固法により作製された樹脂シート2の裏面Qと、両面テープ7の一面側とが貼り合わされる。そして、円形や角形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
<作用等>
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
本実施形態では、樹脂シート2の発泡樹脂部2bに球状樹脂3が分散形成されている。球状樹脂3では、発泡樹脂部2bより緻密なため、発泡樹脂部2bと比べて高密度となり硬くなる。このため、研磨加工時に供給される砥粒が研磨面Pにより被研磨物側に確実に押圧されるので、研磨レートを向上させることができる。また、球状樹脂3を包囲するミクロポーラス構造の発泡樹脂部2bが球状樹脂3のクッションとなるため、過剰な押圧力が発泡樹脂部2bにより吸収され、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。さらには、球状樹脂3が研磨面Pの近傍にも形成されることがあるため、局所的に砥粒を押し付け被研磨物にスクラッチを生じることも考えられるが、周囲の発泡樹脂部2bに微細孔4が形成されたことでそのクッション性により突発的な押圧も回避することができる。
また、本実施形態では、樹脂シート2がSP値が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂を混合した混合樹脂により形成されている。樹脂溶液の調製時には、同じ極性溶媒に対して可溶性を有し一部が相溶性を有しており即座に相分離が生じにくいため、均一な混合状態を得やすくなる。得られた樹脂溶液を成膜基材に塗布した後、凝集開始工程で一定時間の間隔があけられる。このため、塗布された樹脂溶液中で樹脂が局所的に偏在し始めることとなる。これにより、凝固液中でのシート形成時には、凝固速度や凝集力の差により、高密度の球状樹脂3が形成される。結果として、発泡樹脂部2bに球状樹脂3が均等に分散するように形成された樹脂シート2を形成することができる。
更に、研磨パッド10では、樹脂シート2が湿式凝固法で形成されることから微細孔4が網目状に連通している。このため、研磨加工時に供給される研磨液や研磨加工で生じた研磨屑が樹脂シート2の内部で移動しやすくなる。これにより、研磨面Pおよび被研磨物間に略均等に研磨液が供給されると共に、研磨面Pから研磨屑が効率よく除去されるため、研磨効率を向上させ被研磨物の平坦性向上を図ることができる。また、2種の樹脂を溶解させた樹脂溶液を調製し、塗布工程後に一定時間の間隔をあけること、凝固液に一定量の極性溶媒を添加しておくことを除けば、従来の湿式凝固法を適用することができるため、繁雑な工程を経ることなく、樹脂シート2ひいては研磨パッド10を製造することができる。
なお、本実施形態では、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを混合した混合樹脂の湿式凝固法による樹脂シート2を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。混合樹脂としては、SP値の差が1〜3の範囲の樹脂が混合されていればよく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系、アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系、ポリアミド系、ポリスチレン系、等の中から選択することができる。また、混合樹脂に混合される樹脂は、2種に制限されるものではなく、3種以上を混合するようにしてもよい。得られる樹脂シート2が微細孔4の形成された発泡樹脂部2b、発泡樹脂部2bに形成された球状樹脂3を有するように形成することを考慮すれば、軟質の樹脂と、その軟質の樹脂より硬質な物性の樹脂とを混合した混合樹脂を用いることが好ましい。具体的には、軟質のポリウレタン樹脂(SP値:10〜12)と、引張弾性率(または曲げ弾性率)がポリウレタン樹脂の引張弾性率より30MPa以上大きい樹脂とを混合した混合樹脂を用いることが好ましい。さらに付言すれば、日本工業規格(JIS K 6900「プラスチック−用語」)の定義では、指定条件のもとでの引張試験における弾性率が70MPaより大きくないものを軟質プラスチック、70〜700MPaのものを半硬質プラスチック、700MPaを超えるものを硬質プラスチックとすることが定められている。ポリウレタン樹脂の引張弾性率が概ね20〜50MPaであることを考慮すれば、30MPa以上大きい引張弾性率が50〜80MPa以上となり、軟質樹脂でも半硬質に近い樹脂、さらには半硬質樹脂をポリウレタン樹脂と混合すればよいこととなる。半硬質樹脂ないし硬質樹脂としては、ポリサルホン樹脂(SP値:11〜13、引張弾性率:2300〜2600MPa)やアクリル樹脂(SP値:8〜11、引張弾性率:2900〜3400MPa)を用いることが好ましい。
また、本実施形態では、凝集開始工程における時間間隔を30分間とする例を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、2分間から12時間の範囲で調整すればよい。時間間隔が2分間に満たないと、得られる発泡樹脂部2bに形成される球状樹脂3が少なくなり、また、小さくなるため、上述した効果を十分に得ることが難しくなる。反対に、時間間隔が12時間を超えると、球状樹脂3の大きさが200μmを超えるため、研磨面Pにおける硬度の均一性を低下させるので好ましくない。本実施形態で示したように、球状樹脂3の大きさを直径200μm未満とするためには、樹脂溶液の配合割合にもよるが、時間間隔を上述した範囲で調整することが好ましく、10分間〜60分間の範囲とすることがより好ましい。さらに付言すれば、球状樹脂3が樹脂の凝集により形成されることから、断面円形のものに限らず楕円形のものも形成されるが、大きさとしては平均径が200μm未満のものである。また、球状樹脂3と発泡樹脂部2bとが一体化するように形成されているため、研磨加工に伴い研磨面P側で摩耗が生じても、球状樹脂3が球状物として脱落するものではなく、砥粒(研磨粒子)の機能を有するものではないことはいうまでもない。
更に、本実施形態では、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを質量比5:5で混合する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、質量比を2:8〜8:2の範囲で変えるようにしてもよい。質量比が1:9や9:1の場合は、得られる樹脂シートに反りが生じやすくなるうえ、上述したミクロポーラス構造や球状樹脂3を形成することが難しくなるため、好ましくない。
また更に、本実施形態では、シート形成工程で、水と、35wt%のDMFとが混合された水系凝固液を用いる例を示した。水にDMF等の極性溶媒を混合した凝固液を用いることにより、上述したようにミクロポーラス構造を形成することができるが、本発明はこれに制限されるものではない。このような凝固液を用いることに代えて、樹脂溶液に、樹脂の溶解に用いた極性溶媒より水に対する溶解度の小さい有機溶媒を混合しておくようにしてもよい。このような有機溶媒として、例えば、酢酸エチルやイソプロピルアルコール等を挙げることができる。すなわち、樹脂溶液には、少なくとも2種の樹脂、各種の添加剤、DMF等の極性溶媒および酢酸エチル等の有機溶媒が混合されていることとなる。この場合、水を用いた凝固液中では、酢酸エチル等の有機溶媒を混合した分で、スキン層の形成が遅くなり、水の樹脂中への浸透と、樹脂溶液中の極性溶媒および有機溶媒の凝固液中への拡散との進行が速くなるため、本実施形態と同様に、ミクロポーラス構造を有する樹脂シートを形成することができる。
更にまた、本実施形態では、特に言及していないが、洗浄・乾燥工程後に、得られた成膜樹脂の研磨面P側ないし裏面Q側をバフ処理またはスライス処理で研削する研削工程を経るようにしてもよい。バフ処理やスライス処理により樹脂シート2の厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の平坦性を向上させることができる。例えば、スキン層2aのミクロな平坦性を有効に活用して被研磨物の高精度な平坦性を得るには、裏面Q側の研削処理により厚さを均一化しマクロな平坦性を向上させた樹脂シート2としてもよい。また、研磨加工時に供給されるスラリの循環性を向上させ研磨レートの向上等を図るには、スキン層2a側の研削処理により微細孔4の開孔が形成されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、樹脂シート2の裏面Qに、基材を有する両面テープ7を貼り合わせ、両面テープの基材が研磨パッド10の基材を兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材を用いることなく粘着剤のみを樹脂シート2の裏面Qに配しておくことで、研磨機の定盤への装着を行うことができる。また、両面テープ7の基材に代えて別の基材を貼り合わせるようにしてもよい。樹脂シート2が柔軟性を有していることを考慮すれば、研磨パッド10の搬送時や定盤への装着時の取扱いを容易にするため、基材を有していることが好ましい。
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、樹脂シート2の作製に引張弾性率が24MPaでSP値が10.5のポリエステル/ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)系のポリウレタン樹脂と、引張弾性率が2480MPaでSP値が11.8のポリエーテルサルホン樹脂とを用いた。ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを質量比5:5で混合し、固形分濃度が30wt%となるようにDMFに溶解させた後、さらに固形分濃度が22wt%となるように酢酸エチルを添加して十分に混合し樹脂溶液を調製した。塗布工程における塗布装置のクリアランスを1.2mmに設定し、凝集開始工程での時間間隔を30分間とした。凝固液としては、水と、35wt%のDMFとの混合液を用いた。成膜後に表面側にバフ処理を施し、得られた厚さ0.8mmの樹脂シート2とPET製の基材を有する両面テープ7とを貼り合わせ、研磨パッド10を製造した。得られた樹脂シート2を走査型電子顕微鏡で倍率1000倍に拡大して観察した結果、図3に示すように、多数の微細孔が形成された発泡樹脂部2bに球状樹脂3が均等に分散するように形成されていることが確認された。
(実施例2〜実施例3)
実施例2〜実施例3では、凝集開始工程での時間間隔を変える以外は実施例1と同様にして研磨パッド10を製造した。すなわち、時間間隔を、実施例2では2分間、実施例3では12時間にそれぞれ調整した。得られた樹脂シート2を走査型電子顕微鏡で観察した結果、実施例2、実施例3のいずれについても、上述した実施例1の樹脂シート2と同様のミクロポーラス構造、球状樹脂3が確認された。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同じポリウレタン樹脂のみを用い、塗布工程で成膜基材に塗布された樹脂溶液を時間間隔をあけることなく直ちに凝固液中で凝固させた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。得られた樹脂シートを走査型電子顕微鏡で観察した結果、微細孔4が確認されたものの、拡大して観察しても球状樹脂3の形成は認められなかった。
(比較例2)
比較例2では、実施例1で用いたポリエーテルサルホン樹脂に代えて、引張弾性率が3000MPaでSP値が10.2の2−ヒドロキシエチルメタクリレート系アクリル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。得られた樹脂シートを走査型電子顕微鏡で観察した結果、微細孔4が確認されたものの、拡大して観察しても球状樹脂3の形成は認められなかった。
(比較例3)
比較例3では、実施例1で用いたポリウレタン樹脂のみを用い、塗布工程で成膜基材に塗布された樹脂溶液を時間間隔をあけることなく直ちに凝固液中で凝固させた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。すなわち、比較例3の研磨パッドは、従来のウレタン樹脂製のシート材を用いた研磨パッドである。
(評価)
各実施例および比較例の研磨パッドについて、以下の研磨条件で研磨加工を行い、研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの有無を測定した。被研磨物としては、ニッケル−リンメッキが施された磁気記録媒体用アルミニウムディスク基板を用いた。研磨レートは、1分間あたりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨加工前後の基板の重量減少から求めた研磨量、基板の研磨面積および比重から算出した。また、光学式非接触表面粗さ計(Zygo社製、New View 5022)で0〜80μmの短波長域、80〜450μmの中波長域でそれぞれ単位面積あたりの表面像のうねり量をオングストローム(Å)単位で求めた。また、研磨加工する前のうねり量についても同様に測定した。スクラッチの評価では、研磨加工後のアルミニウム基板について、高輝度ハロゲンランプによる光を照射して目視にて表面におけるスクラッチの有無を評価した。研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの有無の測定結果を下表1に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、DSM9B−5P−1V
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:1.5)
表1に示すように、従来のウレタン樹脂シートを有する比較例3の研磨パッドでは、研磨レートが0.087μm/minを示した。また、うねりWaでは、いずれの波長域についても、研磨前と比較して研磨後に改善されているものの、研磨後でも1.81Å、4.93Åであった。これに対して、実施例1、2、3の研磨パッド10では、研磨レートが若干改善しそれぞれ0.101μm/min、0.103μm/min、0.102μm/minを示し、うねりWaについても、短波長域における研磨後でそれぞれ1.23Å、1.34Å、1.33Åに改善され、中波長域における研磨後でそれぞれ4.23Å、4.12Å、4.42Åに改善された。このことから、実施例1、2、3の研磨パッド10では、いずれも、平坦性精度を向上させることのできることが明らかとなった。また、時間間隔を取らず直ちに凝固再生させた比較例1の研磨パッド、SP値の差が1未満である比較例2の研磨パッドでは、球状樹脂3の形成が確認されなかったことから、各実施例と比べて研磨後のうねりWaの改善程度が劣っていることが判った。更に、各実施例および比較例の研磨パッドで、研磨加工を10回繰り返し行った結果、比較例1、2、3の研磨パッドでは比較的早期に研磨性能が低下しスクラッチの発生が見られたのに対して、実施例1、2、3の研磨パッド10では平坦性の均一性が維持されたまま、長期にわたり安定した研磨性能を得られることが確認された。
本発明は研磨レートを向上させ被研磨物の平坦性向上を図ることができる研磨パッドおよび該研磨パッドの製造方法を提供するものであるため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
P 研磨面
2 樹脂シート
2a スキン層
2b 発泡樹脂部
3 球状樹脂(凝集樹脂)
4 微細孔
10 研磨パッド

Claims (9)

  1. 湿式凝固法により形成され一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、
    軟質樹脂と、前記軟質樹脂が可溶な溶媒に対する可溶性を有し該軟質樹脂より硬質な物性の樹脂とを含む少なくとも2種の樹脂により一体形成されてシート状に成膜されたものであり、
    多数の微細孔が連通するように形成されており、かつ、前記微細孔の平均径より大きい平均径を有する球状で緻密な凝集樹脂が均等に分散するように形成されていることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記凝集樹脂は、前記軟質樹脂より硬質な物性の樹脂を主体として凝集し形成されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記凝集樹脂は、直径が200μm未満で前記微細孔と比べて微孔状および無孔状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記軟質樹脂より硬質な物性の樹脂は、前記軟質樹脂の引張弾性率より30MPa以上大きい引張弾性率を有することを特徴とする請求項3に記載の研磨パッド。
  5. 前記少なくとも2種の樹脂は、溶解度係数を示すSP値の差が1〜3の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の研磨パッド。
  6. 前記少なくとも2種の樹脂は、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との2種が混合されたものであることを特徴とする請求項5に記載の研磨パッド。
  7. 前記ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との混合割合は、質量比が2:8〜8:2の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の研磨パッド。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法であって、
    軟質樹脂と該軟質樹脂より硬質な物性の樹脂とを含む少なくとも2種の樹脂を準備する準備ステップと、
    前記準備ステップで準備した樹脂を極性溶媒に均一となるように混合し溶解させた樹脂溶液をシート状の基材に塗布する塗布ステップと、
    前記塗布ステップで基材に塗布された樹脂溶液を水系凝固液中で凝固させシート状に成膜された樹脂シートを形成させるシート形成ステップと、
    を含み、
    前記塗布ステップ後に一定時間の間隔をあけることで、前記シート形成ステップより前に前記樹脂溶液中で前記樹脂の凝集を開始させることを特徴とする製造方法。
  9. 前記塗布ステップ後の一定時間を2分間〜12時間の範囲とすることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
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