JP5587652B2 - 研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は研磨パッドに係り、特に、湿式凝固法により形成されたセル構造を持ち一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドに関する。
従来半導体デバイス等の各種材料では、平坦性を確保するために研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスの製造では、通常、銅(Cu)配線の層や絶縁層が順次形成され多層化されるが、各層を形成した後の表面(加工面)に研磨加工が行われている。近年では、半導体回路の集積度が急激に増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進められており、加工面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。
一般に、半導体デバイスの製造では、化学的機械的研磨(以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、通常、砥粒(研磨粒子)をアルカリ溶液または酸溶液に分散させたスラリ(研磨液)が供給される。すなわち、被研磨物(の加工面)は、スラリ中の砥粒による機械的研磨作用と、アルカリ溶液または酸溶液による化学的研磨作用とで平坦化される。
CMP法による半導体デバイスの研磨加工では、被研磨物に研磨圧を偏重しないように伝え、平坦性の均一性(ユニフォーミティ)を達成するため、クッション層を有したものが多用されている(例えば、特許文献1〜特許文献9参照)。ところが、特許文献1〜9の技術では、研磨層とクッション層とが接着されるため、剥離を生じやすく、接着ムラにより研磨欠点を発生させることがある。剥離の問題を回避するために、例えば、研磨層とクッション層とをそれぞれ化学的に相溶性を有する材質で形成することで研磨層とクッション層との境界部が存在しないように一体成形した研磨パッドの技術(特許文献10参照)、2種類の樹脂の共押し出し成形により1枚のシートとして成形した研磨パッドの技術(特許文献11参照)が開示されている。特許文献10、特許文献11の技術でも、樹脂成分が明確に異なる2層で形成されるため、境界部が存在しないように成形しても、実際には境界部に近いものが形成され、剥離の問題を回避するには不十分である。
また、2層構造に代えて単層でクッション性を有する研磨パッドの技術が開示されている。例えば、含浸発泡や押し出し発泡による1枚の発泡シートで形成され、ショアD硬度が研磨面側で30〜80度、研磨面と反対の面(裏面)側で10度以上を有し、裏面側のショアD硬度が研磨面側より5度以上小さい研磨パッドの技術が開示されている(特許文献12参照)。また、フォトリソグラフィー法によりショアD硬度が研磨面側より3度以上小さいクッション層を裏面側に形成する研磨パッドの技術(特許文献13参照)、裏面側に所要パターンの溝を形成し応力調整部を設けた研磨パッドの技術(特許文献14参照)、研磨層を形成する弾性体成型用の混合液を遠心成形し、厚み方向に発泡を傾斜分布させた研磨パッドの技術(特許文献15参照)もそれぞれ開示されている。
特許3560961号公報 特許3660933号公報 特許3460712号公報 特許3754436号公報 特許3788729号公報 特許3685066号公報 特許3890786号公報 特許3924952号公報 特許3099209号公報 特開2004−106177号公報 特開2002−17601号公報 特開2002−166354号公報 WO2002/043921号公報 特開2004−42189号公報 特開2003−340728号公報
しかしながら、特許文献12、特許文献13の技術では、同一成分による単層の研磨パッドとすることで剥離の問題は解消されるものの、研磨面側と裏面側との発泡分布の差が得られにくく、クッション性が十分とはいえない、という問題がある。また、特許文献14、特許文献15の技術では、溝加工や遠心成形等の煩雑な作業を要するため、作業上の観点から満足できるものとはいえない。従って、同一成分による単層で形成されながら、硬度を高めた研磨層とクッション性を発揮するクッション層とを有する研磨パッドを得ることができれば、研磨加工における平坦性の均一性向上を図ることが期待できる。
本発明は上記事案に鑑み、被研磨物の平坦性の均一性を向上させることができる研磨パッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式凝固法により形成されたセル構造を持ち一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、厚み方向中央部より前記研磨面側に配置され、前記厚み方向に長さを有する多数の第1のセルが形成された第1の領域と、前記厚み方向中央部より他面側に配置され、前記厚み方向と交差する方向に前記第1のセルより広がりを有し前記第1のセルの平均容積より大きい平均容積の複数の第2のセルが形成された第2の領域と、前記厚み方向中央部に前記第1および第2のセルが未形成で前記第1および第2の領域よりかさ密度の大きな第3の領域と、を有し、前記第1の領域、第3の領域および第2の領域が前記厚み方向に重畳するように、同じ溶媒に対して可溶性を有する少なくとも2種の樹脂が混合された混合樹脂で一体形成されたものであることを特徴とする。
本発明では、第1の領域、第3の領域および第2の領域が厚み方向に重畳するように一体形成されたため、領域間の剥離を生じることがなく、第1のセルの平均容積より大きい平均容積の第2のセルが形成された第2の領域がクッション性を発揮するとともに、第3の領域のかさ密度が第1および第2の領域より大きいため、研磨加工時の押圧力による第2の領域の変形量が第3の領域で均等化され研磨面側に略均等な押圧力がかけられ、かつ、厚み方向に長さを有する第1のセルが形成された第1の領域が第2の領域より硬度が高くなるため、研磨加工時にかけられる押圧力が第2の領域により均等化され研磨粒子が第1の領域により被研磨物に確実に押し付けられるので、被研磨物の平坦性の均一性を向上させることができる。
この場合において、第3の領域に、第1のセルの平均容積および第2のセルの平均容積より小さい平均容積を有する第3のセルが形成されていてもよい。第1の領域の第1のセルが網目状に連通し、第2の領域の第2のセルが網目状に連通していてもよい。また、第3の領域における第3のセルが網目状に連通しており、第3のセルが第1の領域に形成された第1のセルおよび第2の領域に形成された第2のセルの少なくとも1部網目状に連通していてもよい。少なくとも2種の樹脂では、溶解度係数を示すSP値の差を1〜3の範囲とすることができる。混合樹脂に軟質樹脂と該軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂とが混合されていてもよい。このとき、混合樹脂に、軟質樹脂としてポリウレタン樹脂が含まれ、軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂として引張弾性率が70MPa以上の樹脂が含まれていてもよい。混合樹脂をポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との2種が混合されたものとすることができる。このとき、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との配合割合を、重量比が2:8〜8:2の範囲としてもよい。
本発明によれば、第1の領域、第3の領域および第2の領域が厚み方向に重畳するように一体形成されたため、領域間の剥離を生じることがなく、第1のセルの平均容積より大きい平均容積の第2のセルが形成された第2の領域がクッション性を発揮するとともに、第3の領域のかさ密度が第1および第2の領域より大きいため、研磨加工時の押圧力による第2の領域の変形量が第3の領域で均等化され研磨面側に略均等な押圧力がかけられ、かつ、厚み方向に長さを有する第1のセルが形成された第1の領域が第2の領域より硬度が高くなるため、研磨加工時にかけられる押圧力が第2の領域により均等化され研磨粒子が第1の領域により被研磨物に確実に押し付けられるので、被研磨物の平坦性の均一性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。 実施形態の研磨パッドの製造工程の概略を示す工程図である。 実施例1の研磨パッドの断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
<構成>
図1に示すように、本実施形態の研磨パッド10は、湿式凝固法により一体形成された1枚の樹脂シート2を備えている。樹脂シート2は、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有しセル4(第1のセル)が形成された研磨部2a(第1の領域)と、セル5(第2のセル)が形成されたクッション部2b(第2の領域)と、セル4およびセル5が非形成でセル6(第3のセル)が形成された中間部2c(第3の領域)と、を有している。
研磨部2aは、樹脂シート2の厚み方向中央部、つまり中間部2cより研磨面P側に位置している。研磨部2aは、研磨面Pの近傍で厚さ数μmにわたり緻密な微多孔が形成されたスキン層21を有している。すなわち、スキン層21は微多孔構造を有している。研磨部2aのスキン層21より内側(内部)には、多数のセル4が略均等に分散した状態で形成されている。セル4は、樹脂シート2の厚み方向に長さを有しており、丸みを帯びた縦長円錐状(断面縦長三角状)に形成されている。セル4は、研磨面P側の孔径が研磨面Pと反対の面(以下、裏面Qという。)側より小さく形成されており、研磨面P側で縮径されている。セル4の縦長方向の長さは、研磨部2aの厚さの範囲でバラツキを有している。セル4同士の間の樹脂中には、セル4より小さい図示を省略した多数の微細孔が形成されている。研磨部2aでは、スキン層21の微多孔、セル4および図示を省略した微細孔が網目状に連通しており、連続セル構造を有している。
クッション部2bは、樹脂シート2の厚み方向中央部、つまり中間部2cより裏面Q側に位置している。クッション部2bには、複数のセル5が形成されている。セル5は、樹脂シート2の厚み方向と交差する方向にセル4より広がりを有しており、平均容積がセル4の平均容積より大きく形成されている。すなわち、セル5は、樹脂シート2の厚み方向と交差する方向の孔径がセル4より大きく形成されている。セル5同士の間の樹脂中には、セル5より小さい図示しない微細孔が形成されている。クッション部2bでは、セル5および図示しない微細孔が網目状に連通しており、連続セル構造を有している。
中間部2cは、研磨部2aとクッション部2bとの間、すなわち、樹脂シート2の厚み方向中央部に位置している。樹脂シート2が一体形成されたことから、研磨部2aとクッション部2bとが中間部2cを介してつながれている。中間部2cには、セル4およびセル5が形成されておらず、セル4の平均容積およびセル5の平均容積より小さい平均容積のセル6が略均等に分散した状態で形成されている。セル6同士の間の樹脂中には、セル6より小さい不図示の微細孔が形成されている。中間部2cでは、セル6および不図示の微細孔が網目状に連通しており、連続セル構造を有している。また、セル4およびセル5の一部は、中間部2cに形成されたセル6や不図示の微細孔と連通している。本例では、樹脂シート2の厚みが0.7〜2.5mmの範囲に調整されており、湿式成膜時の条件にもよるが、中間部2cの厚みが20〜200μmの範囲で形成されている。このため、研磨部2a、クッション部2bの厚みがいずれも概ね300〜1000μmの範囲となる。研磨部2a、クッション部2b、中間部2cがそれぞれ連続発泡構造を有しており、中間部2cでセル4およびセル5の一部がセル6や不図示の微細孔と連通している。このため、樹脂シート2では、研磨部2a、中間部2c、クッション部2bが厚み方向に重畳するように形成されており、全体として連続セル構造を有している。
クッション部2bに形成されたセル5の平均容積が研磨部2aに形成されたセル4の平均容積より大きいため、クッション部2bでセル5の占める空隙割合が研磨部2aでセル4の占める空隙割合より大きくなり、クッション部2bのかさ密度が研磨部2aのかさ密度より小さくなる。また、中間部2cに形成されたセル6の平均容積がセル4の平均容積およびセル5の平均容積より小さいため、中間部2cでは、研磨部2aおよびクッション部2bよりかさ密度が大きくなる。
樹脂シート2は、本例では、同じ極性溶媒に対して可溶性を有する2種の樹脂が混合された混合樹脂で形成されたものである。2種の樹脂としては、溶解度係数を示すSP値が1〜3の範囲で異なる樹脂が用いられている。SP値の差が1より小さいと、発泡構造の異なる研磨部2a、クッション部2b、中間部2cが重畳するように形成された1枚の樹脂シートを得ることが難しくなる。反対に、SP値の差が3より大きくなると樹脂を混合しても相分離しやすくなり、一体形成しても剥離しやすくなるので、好ましくない。樹脂シート2の硬度を確保することを考慮すれば、2種の樹脂のうち一方の樹脂が軟質樹脂であり、他方の樹脂が軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂、つまり、引張弾性率(または曲げ弾性率)70MPa以上の樹脂であることが好ましい。本例では、2種の樹脂として、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とが用いられている。
ここで、SP値について説明する。SP値は、J.H.Hildebrandら(J.H.Hildebrand
and R.L.Scott著、“The Solubility of Nonelectrolytes”、Reinhold Publishing Corp.出版、1950年発行)により提唱されたもので、SP値δ[単位:(cal・cm1/2]が下式(1)で表される。式(1)において、ΔEは分子凝集エネルギー(単位:cal/mol)、Vはモル容積(単位:ml/mol)を示しており、SP値は凝集エネルギー密度の平方根に相当する。2種の樹脂を混合する場合では、SP値が近い樹脂ほど凝集エネルギー密度が小さく、親和性が高くなることとなる。また、Hansenら(J.
Paint Technology、39巻505号、104〜117ページおよび511号、505〜514ページ、1967年発行)やHoy(J. Paint
Technology、42巻541号、76〜118ページ、1970年発行)によって、双極子間力や水素結合力も考慮し、分子引力定数法に基づくと、SP値を下式(2)で算出することができる。式(2)において、ΔFは分子引力定数の総和(単位:(Cal・cm1/2mol−1)である(各原子団の分子引力定数については、例えば、Hoy法 材料技術研究会編集委員会編「プラスチックの塗装・印刷便覧」41ページ(総合技術出版発行)、沖津ら 接着研究発表会講演要旨集27巻125〜126ページ(1989年6月発行)、日本接着学会年次大会講演要旨集28巻85〜86ページ(1990年6月発行)、に記載されている。)。また、複数の樹脂を混合した樹脂全体のSP値については、下式(3)により算出することができる。式(3)において、δmixは混合樹脂全体のSP値、Xnは成分nのモル分率、Vnは成分nのモル容積、δnは成分nのSP値である。以上のことから、研磨パッド10では、樹脂シート2を極性溶媒に溶解し、ゲル濾過等で各樹脂成分を分取し、それぞれの分子構造解析を行うことで各樹脂成分のSP値および混合樹脂全体のSP値を算出することができる。
また、研磨パッド10は、樹脂シート2の裏面Q側に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ7が貼り合わされている。両面テープ7は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムの基材を有しており、基材の両面にアクリル系粘着剤等の粘着剤層(不図示)がそれぞれ形成されている。両面テープ7は、基材の一面側の粘着剤層で樹脂シート2と貼り合わされており、他面側(樹脂シート2と反対側)の粘着剤層が剥離紙8で覆われている。なお、この両面テープ7の基材は、研磨パッド10の基材を兼ねている。
<製造>
図2に示すように、研磨パッド10は、湿式凝固法により1枚のシート状の樹脂シート2を一体形成し、樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせることで製造される。湿式凝固法では、樹脂溶液を準備する準備工程、成膜基材に樹脂溶液を塗布する塗布工程、成膜基材に塗布した樹脂溶液を凝固液中で凝固させシート状の樹脂を形成するシート形成工程、シート状の樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程を経て樹脂シート2が作製される。そして、ラミネート工程で樹脂シート2と両面テープ7とを貼り合わせる。以下、工程順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリサルホン樹脂を水混和性の極性溶媒に溶解させ、添加剤を混合して樹脂溶液を調製する。極性溶媒としては、SP値が9〜13の範囲のものを使用する。例えば、SP値が12.1のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、SP値が10.8のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、SP値が9.1のテトラヒドロフラン(THF)、SP値が12.0のジメチルスルホキシド(DMSO)、SP値が9.9のアセトン、SP値が11.9のアセトニトリル、SP値が11.3のN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。SP値が9より小さい、または、13より大きいと、凝固再生時の貧溶媒(水)との置換が不十分となりシート作製が難しくなるため好ましくない。本例では、DMFを用いる。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂を用いることができるが、本例では、SP値が10.5、引張弾性率が24MPaのポリエステル/ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)系のポリウレタン樹脂を用いる。ポリサルホン樹脂としては、エーテル系、フェニル系等の樹脂を用いることができるが、本例では、SP値が12.6、引張弾性率が2480MPaのポリエーテルサルホン樹脂を用いる。ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを重量比5:5で配合し、固形分濃度が30重量%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、セル4、セル5、セル6の大きさや量(個数)を制御するため、カーボンブラック等の顔料、セル形成を促進させる親水性界面活性剤、樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性界面活性剤等を用いることができる。各材料が均一となるように十分に混合し得られた溶液を減圧下で脱泡して樹脂溶液を得る。
(塗布工程)
塗布工程では、準備工程で得られた樹脂溶液を、均一な混合状態を保持したまま、常温下で成膜基材にシート状に均一な厚みとなるように塗布する。このとき、ナイフコータ等の塗布装置を用い、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。塗布厚みが小さすぎるとクッション部2bが形成されにくくなり、反対に、大きすぎると形成されるシートの厚みの均一性が低下するため、塗布厚みを1〜3mm程度に調整することが好ましい。成膜基材としては、布帛や不織布等を用いることもできるが、本例では、表面平滑性を有するPET製フィルムを用いる。
(シート形成工程)
シート形成工程では、成膜基材に塗布された樹脂溶液を、水を主成分とする凝固液中に案内し浸漬させる。凝固液には、樹脂の凝固再生速度を調整するために、DMFや上述した極性溶媒等を添加してもよい。本例では、凝固液として水を使用する。凝固液中で樹脂溶液が凝固し、連続発泡構造を有するシート状の樹脂が再生する。凝固液中では、まず、樹脂溶液と凝固液との界面に皮膜が形成され、被膜の直近の樹脂中にスキン層21の無数の微多孔が形成される。その後、樹脂溶液中のDMFの凝固液中への拡散と、樹脂への水の浸入の協調現象とにより樹脂の凝固再生が進行する。
ここで、樹脂シートのセル構造の形成について説明する。SP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂を混合した場合に、異なるセル構造の部分が重畳するように形成されるメカニズムについては、詳細に解明されていないが、次のように考えることができる。すなわち、樹脂溶液に配合したポリウレタン樹脂は、凝集力が大きいために皮膜表面で急速に凝固が起こり、形成されたスキン層21に脱溶媒が生じやすい部分と生じにくい部分とが形成される。このため、脱溶媒に伴う樹脂の再生速度に差が生じ、厚み方向に長さを有するセル4が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、樹脂溶液の表面側(スキン層21側)で脱溶媒が生じてセル4の成膜基材側が表面側より大きくなる。樹脂溶液には、ポリウレタン樹脂に加えてポリサルホン樹脂が配合されており、ポリウレタン樹脂のSP値が10.5であるのに対して、ポリサルホン樹脂のSP値が12.6である。このため、2種の樹脂では、同じ極性溶媒に対して可溶性を有するものの、その凝固速度や凝集力に差が生じることとなる。凝固速度や凝集力の差により、成膜基材側に、厚み方向と交差する方向に広がりを有する大きなセル5が形成されやすくなる。結果として、スキン層21側と成膜基材側とでセル構造の異なる樹脂シートが形成されるものと考えられる。また、脱溶媒が1方向(スキン層21へ向かう方向)にのみ生じることから、脱溶媒経路ないし凝固液である水の浸透経路により、中間部2cのセル6が形成されるものと考えられる。つまり、樹脂シート2では、厚み方向中央部の中間部2cよりスキン層21側に研磨部2aのセル4が形成され、中間部2cより成膜基材側にクッション部2bのセル5が形成される。このような凝固再生により得られる樹脂シート2は、全体として連続セル構造を有しており、研磨部2a、中間部2c、クッション部2bがシームレスにつながれ一体形成されたものである。
(洗浄・乾燥工程)
図2に示すように、洗浄・乾燥工程では、凝固再生したシート状の樹脂(以下、成膜樹脂という。)を水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留するDMFを除去した後、乾燥させる。成膜樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機が用いられる。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。得られた樹脂シート2をロール状に巻き取る。
(ラミネート工程)
ラミネート工程では、湿式凝固法により作製された樹脂シート2と、両面テープ7とが貼り合わされる。このとき、樹脂シート2の裏面Qと両面テープ7の一面側とが貼り合わされる。そして、円形や角形等の所望の形状に裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド10を完成させる。
<作用等>
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
本実施形態では、樹脂シート2がSP値の差が1〜3の範囲で異なる2種の樹脂を混合した混合樹脂により一体形成されている。樹脂溶液の調製時には、同じ極性溶媒に対して可溶性を有し一部が相溶性を有しており即座に相分離が生じにくいため、均一な混合状態を得やすくなる。また、凝固液中でのシート形成時には、凝固速度や凝集力の差により、成膜基材側にセル5が形成されやすくなり、スキン層21側にセル4が形成されやすくなる。これにより、研磨部2aとクッション部2bとで異なるセル構造を有する樹脂シート2を一体形成することができる。つまり、樹脂シート2を、厚み方向でシームレスにセル構造の異なるシート状に形成することができる。
また、本実施形態では、クッション部2bに形成されたセル5の平均容積が研磨部2aに形成されたセル4の平均容積より大きくなる。このため、研磨加工時にかけられる研磨圧でクッション部2bが研磨部2aより変形しやすくなる。これにより、得られた樹脂シート2を用いた研磨パッド10では、クッション部2bでクッション性が発揮されるので、研磨加工時にかけられる研磨圧を樹脂シート2の全体に均等化することができる。
更に、本実施形態では、研磨部2aとクッション部2bとの間に、セル6の形成された中間部2cを有している。セル6の平均容積がセル4およびセル5の平均容積より小さいため、中間部2cのかさ密度が研磨部2a、クッション部2bより大きくなる。このため、研磨圧がかけられたときにクッション部2bの変形量が中間部2cで均等化され、研磨面P側に略均等な押圧力がかけられることとなる。これにより、研磨加工による被研磨物の平坦性の均一性を向上させることができる。
また更に、本実施形態では、研磨部2aに縦長のセル4が形成されているため、研磨面P側が裏面Q側と比べて硬度が高められることとなる。このため、研磨加工時に供給される研磨液中の砥粒が確実に被研磨物に押し付けられることとなる。これにより、クッション部2bのクッション性が中間部2cにより均等化されて研磨面P側に伝えられ、硬度の高められた研磨部2aにより砥粒が確実に押し付けられるので、被研磨物の平坦性の均一化向上を図ることができる。
更にまた、研磨パッド10では、クッション部2bに形成されたセル5が研磨部2aに形成されたセル4の平均容積より大きい平均容積を有している。このため、クッション部2b中でセル5の占める空隙割合が研磨部2a中でセル4の占める空隙割合より大きくなり、研磨圧でクッション部2bが研磨部2aより変形しやすくなる。これにより、研磨パッド10の全体としてクッション性が確保され、被研磨物にかかる研磨圧が均等化されるため、被研磨物の平坦性を向上させることができる。換言すれば、研磨パッド10では、一体形成された樹脂シート2が厚さ方向で擬似的な3層構造を有するため、研磨加工時に剥離の心配がなく、クッション性を十分兼ね備えることとなる。
また、研磨パッド10では、中間部2cが樹脂シート2の厚み方向中央部に形成されている。このため、研磨部2aとクッション部2bとがほぼ同じ厚みに形成される。研磨部2aの厚みがクッション部2bの厚みより小さいと、クッション性を高めることができるものの、研磨加工に有効な研磨部2aの厚みが小さくなる分で研磨パッド10の寿命が短くなる。反対に、研磨部2aの厚みがクッション部2bの厚みより大きくなると、長寿命化にはなるもののクッション性が不十分となり、被研磨物の平坦性を損なうこととなる。従って、研磨部2aとクッション部2bとをほぼ同じ厚みとすることで、クッション性および寿命性能をバランスよく確保することができる。このような研磨パッド10では、CMP法による研磨加工で必須とされるクッション性を兼ね備えるうえ、剥離の問題が生じないことから、例えば、高精度な平坦性を要求される半導体デバイスの研磨加工に好適に使用することができる。
更に、本実施形態の研磨パッド10では、樹脂シート2の研磨部2a、中間部2c、クッション部2bが一体形成されているため、研磨安定性を高めることができ、製品寿命を向上させることができる。すなわち、研磨面と反対の面側から研磨面側に縮径しながら伸びる雫状のセルが形成された従来のスウェード調研磨パッドでは、セルが明確に分かれて形成されないため、研磨面での孔径が研磨パッドの摩耗に伴い(厚みが変わるにつれて)バラツキを生じ、研磨安定性を損なうこととなる。また、研磨面に研磨加工に有効な孔径の開孔を形成する研磨部の厚み領域が狭くなるため、安定した研磨加工が行える時間が短くなり、製品寿命が短くなる。これに対して、本実施形態の研磨パッド10では、研磨部2aとクッション部2bとが中間部2cにより明確に分けられているため、研磨部2aの研磨面Pに形成される孔のサイズのバラツキが小さくなり、安定した研磨加工を長時間行うことができる。
また更に、研磨パッド10では、樹脂シート2が湿式凝固法で形成されることからセル4、セル5およびセル6が網目状に連通している。このため、研磨層とクッション層とを貼り合わせて形成した従来の研磨パッドと比べて、研磨加工時に供給される研磨液が樹脂シート2の内部で移動しやすくなり、研磨加工で生じた研磨屑がセル4やセル6を通じてセル5に収容されやすくなる。これにより、研磨面Pおよび被研磨物間に略均等に研磨液が供給されると共に、研磨面Pから研磨屑が効率よく除去されるため、研磨効率を向上させ被研磨物の平坦性向上を図ることができる。また、2種の樹脂を溶解させた樹脂溶液を調製することを除けば、従来の湿式凝固法を適用することができるため、繁雑な工程を経ることなく、樹脂シート2ひいては研磨パッド10を製造することができる。更には、1枚の樹脂シート2が研磨部2a、中間部2cおよびクッション部2bを有するので、従来のように研磨層やクッション層を貼り合わせて構成される研磨パッドでは粘着剤や両面テープによる貼り合わせを要するのに比べて、製造工程を簡略化することができる。
従来湿式成膜法で形成された研磨層を有する研磨パッドには、例えば、クッション層を有していない研磨パッドや、クッション性が不十分な研磨パッドがある。これらのクッション性を有していない、または、クッション性が不十分な研磨パッドを研磨加工に使用した場合、研磨パッドの変形が不十分なため、研磨パッド表面(研磨面)、ひいては、被研磨物にかけられる研磨圧(押圧力)が均等化されず、被研磨物の加工面全体を略均一に平坦化することが難しくなる。一方、研磨層とクッション層とを貼り合わせて形成した研磨パッドでは、貼り合わせに使用する粘着剤等の層がクッション層の即応性を阻害するおそれがあり、研磨加工時に研磨層とクッション層とが剥離することがある。この剥離の問題を解消するためにクッション性を有する1枚のシートで形成した研磨パッドも知られているが、セル分布の差が不十分でクッション性を発揮させることが難しくなる。このため、被研磨物に対する研磨圧を均等化できず被研磨物の平坦性の均一性を向上させることが難しくなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨パッドである。
なお、本実施形態では、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを混合した混合樹脂の湿式凝固法による樹脂シート2を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。混合樹脂としては、SP値の差が1〜3の範囲の樹脂が配合されていればよく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系、アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系、ポリアミド系、ポリスチレン系、等の中から選択することができる。また、混合樹脂に配合される樹脂は、2種に制限されるものではなく、3種以上を配合するようにしてもよい。得られる樹脂シート2が研磨部2a、中間部2c、クッション部2bを有するように形成することを考慮すれば、軟質の樹脂と、その軟質の樹脂より硬質な物性の樹脂とを混合した混合樹脂を用いることが好ましい。具体的には、軟質のポリウレタン樹脂(SP値:10〜12)と、引張弾性率(または曲げ弾性率)が70MPa以上の半硬質ないし硬質の樹脂とを混合した混合樹脂を用いることが好ましい。さらに付言すれば、日本工業規格(JIS K 6900「プラスチック−用語」)の定義では、指定条件のもとでの引張試験における弾性率が70MPaより大きくないものを軟質プラスチック、70〜700MPaのものを半硬質プラスチック、700MPaを超えるものを硬質プラスチックと定められている。この定義によれば、軟質樹脂と、半硬質樹脂ないし硬質樹脂とを混合すればよいこととなる。半硬質樹脂ないし硬質樹脂としては、ポリサルホン樹脂(SP値:12〜13、引張弾性率:2300〜2600MPa)やアクリル樹脂(SP値:9〜10、引張弾性率:2900〜3400MPa)を用いることが好ましい。
また、本実施形態では、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを重量比5:5で配合する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、重量比を2:8〜8:2の範囲で変えるようにしてもよい。重量比が1:9や9:1の場合は、得られる樹脂シートに反りが生じやすくなるうえ、上述したセル構造を形成することが難しくなるため、好ましくない。
更に、本実施形態では、特に言及していないが、洗浄・乾燥工程後に、得られた成膜樹脂の研磨面P側ないし裏面Q側をバフ処理またはスライス処理で研削する研削工程を経るようにしてもよい。バフ処理やスライス処理により樹脂シート2の厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の平坦性を向上させることができる。例えば、スキン層21のミクロな平坦性を有効に活用して被研磨物の高精度な平坦性を得るには、裏面Q側の研削処理により厚さを均一化しマクロな平坦性を向上させた樹脂シート2としてもよい。また、研磨加工時に供給されるスラリの循環性を向上させ研磨レートの向上等を図るには、スキン層21側の研削処理によりセル4の開孔が形成されるようにしてもよい。
また更に、本実施形態では、中間部2cが樹脂シート2の厚み方向中央部に形成された例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。樹脂溶液に配合する樹脂の組み合わせや配合割合、凝固液の組成や温度等を調整することで、樹脂シート2の厚み方向で中間部2cの形成位置を調整することができる。これにより、被研磨物にあわせてクッション性を適正化した研磨パッド10を得ることができるが、クッション性および寿命のバランスを考慮すれば、中間部2cが厚み方向中央部に形成されることが好ましい。
更にまた、本実施形態では、中間部2cにセル6が形成される例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、樹脂溶液に配合する樹脂の組み合わせ、添加剤の配合割合等を調整することで、セル6が未形成の中間部2cを形成することも可能である。この場合は、中間部2cに微細孔(図1では不図示。)のみが形成されることとなるが、上述した研磨部2aとクッション部2bとの効果を得ることができる。また、セル6の形状としては、特に制限されるものではなく、球状や円錐状等に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、樹脂シート2の裏面Qに基材を有する両面テープ7を貼り合わせ、両面テープの基材が研磨パッド10の基材を兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材を用いることなく粘着剤のみを樹脂シート2の裏面Qに配しておくことで、研磨機の定盤への装着を行うことができる。また、両面テープ7の基材に代えて別の基材を貼り合わせるようにしてもよい。樹脂シート2が柔軟性を有していることを考慮すれば、研磨パッド10の搬送時や定盤への装着時の取扱いを容易にするため、基材を有していることが好ましい。
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、樹脂シート2の作製にSP値が10.5のポリエステル/ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)系のポリウレタン樹脂と、SP値が12.6のポリエーテルサルホン樹脂とを用いた。ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂とを重量比5:5で配合し、固形分濃度が30重量%となるようにDMFに溶解させ樹脂溶液を調製した。樹脂溶液を成膜基材に塗布する際に、塗布装置のクリアランスを2.0mmに設定した。成膜後に表面側にバフ処理を施し、得られた厚さ1.3mmの樹脂シート2とPET製の基材を有する両面テープ7とを貼り合わせ研磨パッド10を製造した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同じポリウレタン樹脂のみを用いた以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。すなわち、比較例1の研磨パッドは、従来のウレタン樹脂シートを有する研磨パッドである。
(評価1)
各実施例および比較例の研磨パッドについて、断面を走査型電子顕微鏡で観察した。この結果、実施例1の研磨パッド10では、図3に示すように、縦長のセル4が形成された研磨部2a、厚み方向と交差する方向に広がりを有するセル5が形成されたクッション部2b、球状のセル6が形成された中間部2cが確認された。これに対して、比較例1の研磨パッドでは、従来の湿式凝固法により得られたものと同様に厚み全体にわたる縦長のセルが形成され、研磨部やクッション部が形成されないことが確認された。
(評価2)
また、実施例1および比較例1の研磨パッドを用いて、以下の条件で研磨加工を行い、研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの有無を測定した。被研磨物としては、ニッケル−リンメッキが施された磁気記録媒体用アルミニウムディスク基板を用いた。研磨レートは、1分間あたりの研磨量を厚さで表したものであり、研磨加工前後の基板の重量減少から求めた研磨量、基板の研磨面積および比重から算出した。また、光学式非接触表面粗さ計(Zygo社製、New View 5022)で0〜80μmの短波長域、80〜450μmの中波長域でそれぞれ単位面積あたりの表面像のうねり量をオングストローム(Å)単位で求めた。また、研磨加工する前のうねり量についても同様に測定した。スクラッチの評価では、研磨加工後のアルミニウム基板について、高輝度ハロゲンランプによる光を照射して目視にて表面におけるスクラッチの有無を評価した。研磨レート、うねりWaおよびスクラッチの有無の測定結果を下表1に示す。
(研磨条件)
使用研磨機:スピードファム社製、DSM9B−5P−1V
研磨速度(回転数):30rpm
加工圧力:100g/cm
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:1.5)
表1に示すように、比較例1では、研磨レートが0.098μm/minを示した。また、うねりWaでは、いずれの波長域についても、研磨前と比較して研磨後のうねりが改善されているものの、研磨後でも2.21Å、5.27Åであった。これに対して、実施例1では、研磨レートが若干改善し0.123μm/min、うねりWaも、短波長域で研磨前の3.55Åが研磨後に1.79Åに改善され、中波長域でも研磨前の7.34Åが研磨後に4.69Åに改善された。このことから、実施例1の研磨パッド10では、平坦性精度を向上させることのできることが明らかとなった。また、実施例1および比較例1の研磨パッドで、研磨加工を10回繰り返し行った結果、比較例1の研磨パッドでは比較的早期に研磨性能が低下しスクラッチの発生が見られたのに対して、実施例1の研磨パッド10では平坦性の均一性が維持されたまま、長期にわたり安定した研磨性能を得られることが確認された。
本発明は被研磨物の平坦性の均一性を向上させることができる研磨パッドを提供するものであるため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
P 研磨面
2 樹脂シート
2a 研磨部(第1の領域)
2b クッション部(第2の領域)
2c 中間部
4 セル(第1のセル)
5 セル(第2のセル)
6 セル
10 研磨パッド

Claims (9)

  1. 湿式凝固法により形成されたセル構造を持ち一面側に研磨面を有する樹脂シートを備えた研磨パッドにおいて、前記樹脂シートは、
    厚み方向中央部より前記研磨面側に配置され、前記厚み方向に長さを有する多数の第1のセルが形成された第1の領域と、
    前記厚み方向中央部より他面側に配置され、前記厚み方向と交差する方向に前記第1のセルより広がりを有し前記第1のセルの平均容積より大きい平均容積の複数の第2のセルが形成された第2の領域と、
    前記厚み方向中央部に前記第1および第2のセルが未形成で前記第1および第2の領域よりかさ密度の大きな第3の領域と、
    を有し、
    前記第1の領域、第3の領域および第2の領域が前記厚み方向に重畳するように、同じ溶媒に対して可溶性を有する少なくとも2種の樹脂が混合された混合樹脂で一体形成されたものであることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記第3の領域は、前記第1のセルの平均容積および前記第2のセルの平均容積より小さい平均容積を有する第3のセルが形成されていることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  3. 前記第1の領域は前記第1のセルが網目状に連通しており、前記第2の領域は前記第2のセルが網目状に連通していることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  4. 前記第3の領域は前記第3のセルが網目状に連通しており、前記第3のセルは前記第1の領域に形成された前記第1のセルおよび前記第2の領域に形成された前記第2のセルの少なくとも1部網目状に連通していることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
  5. 前記少なくとも2種の樹脂は、溶解度係数を示すSP値の差が1〜3の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  6. 前記混合樹脂は、軟質樹脂と該軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂とが混合されていることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  7. 前記混合樹脂は、前記軟質樹脂としてポリウレタン樹脂を含み、前記軟質樹脂より硬質物性を有する樹脂として引張弾性率が70MPa以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  8. 前記混合樹脂は、ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との2種が混合されたものであることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
  9. 前記ポリウレタン樹脂とポリサルホン樹脂との配合割合は、重量比が2:8〜8:2の範囲であることを特徴とする請求項に記載の研磨パッド。
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