JP5637729B2 - 一塩化ヨウ素水溶液の製造方法 - Google Patents

一塩化ヨウ素水溶液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種ヨウ素化合物の合成原料、医薬、農薬中間体合成試薬およびヨウ素系殺菌剤として有用な物質である一塩化ヨウ素水溶液を製造する方法に関する。
従来、一塩化ヨウ素は、塩素とヨウ素との直接反応から得られるものである。このような反応による一塩化ヨウ素の製造方法としては、液体塩素中にヨウ素を添加するか、または、ヨウ素に液体塩素を添加する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、固体ヨウ素に乾燥した気体塩素を流して一塩化ヨウ素を製造する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
さらに、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、メタノールおよび酢酸などの有機溶媒にヨウ素を溶解または懸濁させて、気体の塩素を流す一塩化ヨウ素の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、塩素を用いない一塩化ヨウ素の製造方法として、ヨウ化カリウムと、例えばヨウ素酸ナトリウムやヨウ素酸カリウムなどのヨウ素酸塩と、塩酸とを用いる製造方法が知られている(例えば、非特許文献3参照。)。
西独国特許第1961289号明細書
HAROLD SIMMONS BOOTH,INORGANIC SYNTHESES(インオーガニック・シンセシス),vol.1,米国,McGRAW-HILL BOOK COMPANY,Inc,1939年,p.165−167 S.Young Tyree Jr,INORGANIC SYNTHESES(インオーガニック・シンセシス),vol.9,米国,McGRAW-HILL BOOK COMPANY,Inc,1967年,p.130−133 A.A.LARSEN他,JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY(ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ),1956年,Vol.78,p.3210−3216
しかしながら、非特許文献1、非特許文献2および特許文献1に記載された方法では、原料として塩素を用いるため、製造の際の安全管理への負担が大きくなってしまう問題が考えられる。
また、非特許文献3に記載された方法では、塩素を用いず安全性への問題が少ないものの、原料として用いるヨウ素酸塩は比較的に高価であり、原料コストが増加してしまうので、工業的な製造方法としては有用ではない問題が考えられる。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、安全かつ経済的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる一塩化ヨウ素水溶液の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載された一塩化ヨウ素水溶液の製造方法は、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と酸とを含み水素イオンがヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、ヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下である水溶液に、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方を加え、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方が加えられた水溶液に過酸化水素を加え、5℃以上60℃以下の温度にて反応を進行させるものである。
請求項2に記載された一塩化ヨウ素水溶液の製造方法は、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と塩酸とを含み水素イオンがヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、ヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下である水溶液に過酸化水素を加え、5℃以上60℃以下の温度にて反応を進行させるものである。
請求項に記載された一塩化ヨウ素水溶液の製造方法は、請求項1または2記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法において、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方または塩酸に含まれる塩素イオンは、水溶液中のヨウ素原子1モルに対して0.8モル以上20モル以下であるものである。
請求項に記載された一塩化ヨウ素水溶液の製造方法は、請求項1ないしのいずれかに記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法において、加えられる過酸化水素は、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下であるものである。
請求項5に記載された一塩化ヨウ素水溶液の製造方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法において、水溶液に過酸化水素を加えた後に一塩化ヨウ素水溶液から未反応のヨウ素を濾別し、この濾別した未反応のヨウ素を改めて原料として用いるものである。
請求項1に記載された発明によれば、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方を含む水溶液と、酸と、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方と、過酸化水素とを用いる製造方法であり、製造の際の安全性への負荷を大きくしてしまう原料や、原料コストが増大してしまう原料を用いる必要がないので、安全かつ経済的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
また、水溶液中の水素イオンが、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下であるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
請求項2に記載された発明によれば、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方を含む水溶液と、塩酸と、過酸化水素とを用いる製造方法であり、製造の際の安全性への負荷を大きくしてしまう原料や、原料コストが増大してしまう原料を用いる必要がないので、安全かつ経済的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
また、水溶液中の水素イオンが、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下であるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
請求項に記載された発明によれば、水溶液中の塩素イオンが、水溶液中のヨウ素原子1モルに対して0.8モル以上20モル以下であるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
請求項に記載された発明によれば、加える過酸化水素が、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下であるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
請求項5に記載された発明によれば、水溶液に過酸化水素を加えた後に未反応のヨウ素を濾別し、この濾別した未反応のヨウ素を改めて原料として用いるため、未反応のヨウ素を無駄なく使用して、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
以下、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
一塩化ヨウ素水溶液を製造する際には、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と酸とを含む水溶液に、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方を加えて塩素イオンを供給し、この水溶液に過酸化水素を加えてヨウ素またはヨウ素イオンを酸化させる。すなわち、例えば次の(1)式ないし(3)式などで示すように反応させて、一塩化ヨウ素水溶液が得られる。
(1)式:I+HOOH+2HCl→2ICl+2H
(2)式:HI+HOOH+HCl→ICl+2H
(3)式:NaI+HOOH+NaCl+HSO→ICl+NaSO+2H
このように得られた一塩化ヨウ素水溶液は、アルカリ金属の塩化物、アルカリ土類金属の塩化物および塩酸の少なくとも1種を含む水溶液で希釈することにより、任意の濃度に調整できる。
以下の説明における未反応のヨウ素とは、ヨウ素源にヨウ素を用いた場合においては反応せずに残存したヨウ素を示し、ヨウ素源にヨウ素イオンを用いた場合においては過剰の過酸化水素により生じたヨウ素のうち一塩化ヨウ素に使われなかったヨウ素を示す。
ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方を含む水溶液において、ヨウ素を単独で用いる場合、ヨウ素の形状が微細であるほど反応が速く進行するのでヨウ素は微細な形状が好ましいが、ヨウ素は微細な形状のものに限定されない。また、ヨウ素イオンとしては、例えばヨウ化水素酸、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどを適宜用いることができる。さらに、ヨウ化水素酸、ヨウ化ナトリウムおよびヨウ化カリウムの少なくともいずれかを含む水溶液にヨウ素を溶解させて用いることもできる。
水溶液中に含まれる酸は、水素イオン源として作用するものであり、例えばヨウ化水素酸、塩酸、硫酸およびリン酸などの無機酸などが適宜用いられる。特に、ヨウ化水素酸は、水素イオン源およびヨウ素イオン源として作用するので原料として好適である。
水溶液中の水素イオン、すなわち酸に含まれる水素イオンの量は、通常、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上で適宜選択される。ここで、水素イオンの量が、ヨウ素分子またはヨウ素イオン1モルに対して40モルを超える場合は、反応に使用されない酸が増大するため非効率である。したがって、酸に含まれる水素イオンの量は、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下とした。また、水素イオンの量がヨウ素分子またはヨウ素イオン1モルに対して2.0モル未満である場合は、反応完了後に固体のヨウ素が回収されてしまうことがあるので、酸に含まれる水素イオンの量は、ヨウ素分子またはヨウ素イオン1モルに対して2.0モル以上40モル以下であるとより好ましく、4.0モル以上20モル以下であるとさらに好ましい。なお、未反応の固体のヨウ素が発生しても、ヨウ素を濾別することにより、濾液を一塩化ヨウ素水溶液として用いることができる。また、濾過した未反応のヨウ素は改めて原料として用いることができる。
アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物は、塩素イオン源として作用するものである。アルカリ金属の塩化物としては、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなどが適宜用いられ、また、アルカリ土類金属の塩化物としては、例えば塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどが適宜用いられる。なお、アルカリ金属の塩化物である塩化リチウムは比較的高価でありコストが増加する可能性も考えられるので、塩素イオン源としては塩化リチウム以外のものが好ましい。
水溶液に加えられるアルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物に含まれる塩素イオン、すなわち水溶液に供給される塩素イオンの量は、通常、ヨウ素原子1モルに対して0.1モル以上、好ましくは0.8モル以上で適宜選択される。ここで、水溶液に供給される塩素イオンの量が、ヨウ素原子1モルに対して20モルを超えた場合は、反応に使用されない塩素イオンが増大するため非効率である。そのため、水溶液に供給される塩素イオンの量は、水溶液中のヨウ素原子1モルに対して0.8モル以上20モル以下であると好ましい。また、水溶液に供給される塩素イオンの量が、ヨウ素原子1モルに対して1モル未満である場合は、未反応のヨウ素が発生し、反応完了後にこの未反応のヨウ素が回収されてしまうことがあるので、水溶液に供給される塩素イオンの量は、ヨウ素原子1モルに対して1.0モル以上20モル以下であるとより好ましく、2.0モル以上10モル以下であるとさらに好ましい。なお、未反応のヨウ素が発生しても、ヨウ素を濾別することにより濾液を一塩化ヨウ素水溶液として用いることができる。また、濾過した未反応のヨウ素は改めて原料として用いることができる。
過酸化水素は、通常、過酸化水素水の形態で用いられるが、過酸化水素の形態は液体に限定されず形態を適宜選択して用いることができる。また、過酸化水素水を用いる場合、過酸化水素の濃度は適宜選択できるが、通常は、過酸化水素の濃度が2.0質量%以上70質量%以下の過酸化水素水が用いられ、高濃度の一塩化ヨウ素水溶液を製造する際には、過酸化水素の濃度が30質量%以上の過酸化水素水を用いることが好ましい。
水素イオンおよび塩素イオンが供給された水溶液に加えられる過酸化水素の量は、通常、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上、または、ヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上で適宜選択される。ここで、過酸化水素の量がヨウ素分子またはヨウ素イオン1モルに対して10モルを超える場合は、反応に使用されない過酸化水素が増大するため非効率であるだけでなく、過酸化水素が分解することにより酸素ガスが大量に発生するので、この酸素ガスを安全に排気する設備が必要となる。したがって、過酸化水素の量は、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上10モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上10モル以下であると好ましく、特にヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下であると好ましい。なお、未反応のヨウ素が発生しても、ヨウ素を濾別することにより、濾液を一塩化ヨウ素水溶液として用いることができる。また、濾過した未反応のヨウ素は改めて原料として用いることができる。
過酸化水素を加えて反応させる際の反応温度が、℃より低い場合は反応が進行するものの反応速度が遅くなってしまい、60℃より高い場合はヨウ素の逸散や過酸化水素の分解が促進されるため、反応成績が悪化してしまう。したがって、反応温度は、5℃以上60℃以下であると温度制御や反応速度調整に適している。
そして、上述の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法によれば、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方を含む水溶液と、酸と、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方と、過酸化水素とを原料として用いる製造方法であるので、これらの原料は例えば危険物や劇物などの取り扱いに準拠して使用でき、塩素のように製造の際に安全性への負担が大きくなってしまう原料や、ヨウ素酸塩などのように比較的に高価で原料コストが増大してしまう原料を用いる必要がない。したがって、安全かつ経済的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
酸に含まれる水素イオンの量を、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下にすることにより、過剰な水素イオンの使用あるいは未反応のヨウ素の発生を抑制できるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
水溶液に供給される塩素イオンの量を、水溶液中のヨウ素原子1モルに対して0.8モル以上20モル以下にすることにより、過剰な塩素イオンの使用あるいは未反応のヨウ素の発生を抑制できるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
水素イオンおよび塩素イオンが供給された水溶液に加える過酸化水素の量を、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下にすることにより、過剰な過酸化水素の使用あるいは未反応のヨウ素の発生を抑制できるので、効率的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
なお、上記第1の実施の形態では、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物に含まれる塩素イオンの量を、ヨウ素原子1モルに対して0.1モル以上とし、好ましくは0.8モル以上20モル以下としたが、このような構成には限定されず、水溶液に供給する塩素イオンの量は適宜選択できる。
さらに、過酸化水素の量を、ヨウ素分子1モルに対して0.1モル以上またはヨウ素イオン1モルに対して0.55モル以上とし、好ましくは、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、ヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下としたが、このような構成には限定されず、過酸化水素の量は適宜選択できる。
次に、第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成および作用については、その説明を省略する。
一塩化ヨウ素水溶液を製造する際には、ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と塩酸とを含む水溶液に過酸化水素を加えて酸化させる。
このような一塩化ヨウ素水溶液の製造方法によれば、塩素などのように製造の際に安全性への負担が大きくなってしまう原料や、ヨウ素酸塩などのように比較的に高価で原料コストが増大してしまう原料を用いる必要がないので、安全かつ経済的に一塩化ヨウ素水溶液を製造できる。
また、塩酸は、水素イオン源および塩素イオン源として作用するため、第1の実施の形態のように水素イオン源と塩素イオン源とを別個に加える必要がないので、製造工程をより簡単にできる。
このようにして得られた一塩化ヨウ素水溶液は、アルカリ金属の塩化物、アルカリ土類金属の塩化物および塩酸の少なくとも1種を含む水溶液で希釈することにより、任意の濃度に調整できる。
塩酸に含まれる水素イオンの量は、上記第1の実施の形態における酸に含まれる水素イオンの量と同様に、通常、ヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下、より好ましくは2.0モル以上40モル以下であり、さらに好ましくは4.0モル以上20モル以下である。
また、水溶液に供給される塩酸に含まれた塩素イオンの量は、上記第1の実施の形態におけるアルカリ金属の塩化物またはアルカリ土類金属の塩化物に含まれた塩素イオンの量と同様に、通常、ヨウ素原子1モルに対して0.1モル以上で適宜選択され、好ましくは0.8モル以上20モル以下であり、より好ましくは1.0モル以上20モル以下であり、さらに好ましくは2.0モル以上10モル以下である。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、%は質量基準であり、また、一塩化ヨウ素の濃度は、その水溶液中にヨウ化カリウムを添加した後、チオ硫酸ナトリウム滴定により求めた。
水12mlにヨウ素10.2g(0.04mol)を懸濁させ、36%塩酸20.3g(0.20mol)を加えた。この水溶液に35%過酸化水素水5.10g(0.052mol)を滴下し、液温20℃で4時間攪拌して、上記(1)式にしたがって反応させ、実施例1とした。この実施例1では、ヨウ素反応率は100%であり、反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は27.4%であった。
水10mlに、58%ヨウ化水素酸22.1g(0.10mol)および36%塩酸30.4g(0.30mol)を加えた。この水溶液に35%過酸化水素水14.6g(0.15mol)を滴下し、液温40℃で2時間攪拌して、上記(2)式にしたがって反応させ、実施例2とした。この実施例2では、ヨウ化水素酸反応率は100%であり、反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は21.4%であった。
水75mlに、95%硫酸26.0g(0.25mol)、塩化ナトリウム14.7g(0.25mol)およびヨウ化ナトリウム15.1g(0.10mol)を加えた。この水溶液に35%過酸化水素水14.6g(0.15mol)を滴下し、液温40℃で4時間攪拌して、上記(3)式にしたがって反応させ、実施例3とした。この実施例3のヨウ化ナトリウム反応率は100%であり、反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は11.3%であった。
実施例1の条件において加える塩酸の量を6.50g(0.064mol)に変更して反応を行い、実施例4とした。この実施例4では、液温20℃で48時間攪拌して反応させたが、反応後の反応液には未反応ヨウ素が残存した。また、ヨウ素反応率は30%であり、未反応ヨウ素を濾別した反応生成液の一塩化ヨウ素の濃度は14.8%であった。
実施例2の条件において加える過酸化水素の量を6.80g(0.07mol)に変更して反応を行い、実施例5とした。この実施例5では、液温40℃で24時間攪拌して反応させたが、反応後の反応液には未反応ヨウ素が残存した。また、ヨウ化水素酸反応率は48%であり、未反応ヨウ素を濾別した反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は12.4%であった。
実施例3の条件において加える硫酸の量を8.30g(0.08mol)に変更して反応を行い、実施例6とした。この実施例6では、液温40℃で24時間攪拌し反応させたが、反応後の反応液には未反応ヨウ素が残存した。また、ヨウ化ナトリウム反応率は55%であり、未反応ヨウ素を濾別した反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は7.4%であった。
実施例3の条件において加える塩化ナトリウムを4.10g(0.07mol)に変更して反応を行い、実施例7とした。この実施例7では、液温40℃で24時間攪拌し反応させたが、反応後の反応液には未反応ヨウ素が残存した。また、ヨウ化ナトリウム反応率は26%であり、未反応ヨウ素を濾別した反応生成液の一塩化ヨウ素濃度は3.4%であった。
本発明は、各種ヨウ素化合物の合成原料、医薬・農薬中間体合成試薬およびヨウ素系殺菌剤として有用な一塩化ヨウ素水溶液の工業的生産に利用できる。

Claims (5)

  1. ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と酸とを含み水素イオンがヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、ヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下である水溶液に、アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方を加え、
    アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方が加えられた水溶液に過酸化水素を加え
    5℃以上60℃以下の温度にて反応を進行させ
    ことを特徴とする一塩化ヨウ素水溶液の製造方法。
  2. ヨウ素およびヨウ素イオンの少なくとも一方と塩酸とを含み水素イオンがヨウ素分子1モルに対して1.6モル以上40モル以下、または、ヨウ素イオン1モルに対して1.6モル以上40モル以下である水溶液に過酸化水素を加え
    5℃以上60℃以下の温度にて反応を進行させ
    ことを特徴とする一塩化ヨウ素水溶液の製造方法。
  3. アルカリ金属の塩化物およびアルカリ土類金属の塩化物の少なくとも一方または塩酸に含まれる塩素イオンは、水溶液中のヨウ素原子1モルに対して0.8モル以上20モル以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法。
  4. 加えられる過酸化水素は、ヨウ素分子1モルに対して0.7モル以上5.0モル以下、または、水溶液中のヨウ素イオン1モルに対して0.7モル以上3.0モル以下である
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法。
  5. 水溶液に過酸化水素を加えた後に一塩化ヨウ素水溶液から未反応のヨウ素を濾別し、この濾別した未反応のヨウ素を改めて原料として用いる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の一塩化ヨウ素水溶液の製造方法。
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