JP5634173B2 - 撮影システム - Google Patents

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Description

本発明は、撮影システムに関し、特に2台のレンズ装置を用いて撮影を行う撮影システムに関するものである。
従来2台の撮影装置を並列に配置して、右目用と左目用の視差画像を撮影することにより立体映像を取得する撮影システムが開発されている。右目用と左目用の撮影装置の光軸の間隔は約65mm(人間の左右の目の間隔と同等)を基本として撮影されるが、撮影装置の形状や大きさの影響により光軸の間隔が所望の間隔となるように撮影装置を配置することができない場合があった。そこで、ハーフミラーの上部と後部に撮影装置を配置し撮影する撮影システムが開発されている。
図8に該撮影システムの外観図を示す。図8は側面図であり、同一仕様のレンズ装置1Aと1B、同一仕様のカメラ2Aと2B、ハーフミラー3、これらを支持する雲台4により構成される。レンズ装置1Aとカメラ2Aは水平状態で配置され、被写体からの光束はハーフミラー3を透過してレンズ装置1Aを介し、カメラ2Aに入射する。レンズ装置1Aと1Bの光軸位置は、紙面と垂直方向に約65mm(人間の左右の目の間隔に相当)離れた平面内に位置するように設置されている。また、レンズ装置1Bとカメラ2Bは垂直状態で配置され、被写体からの光束はハーフミラー3を反射してレンズ装置1Bを介し、カメラ2Bに入射する。例えば、レンズ装置1A、カメラ2Aは右目映像の撮影用として、レンズ装置1B、カメラ2Bは左目映像の撮影用として使用される。このように垂直に配置することにより、撮影装置自体の形状や大きさの影響をうけることなく、ハーフミラー面上に2台の撮影装置の間隔を柔軟に調整することを可能としている。
また、このような立体映像の撮影システムに使用される2台のレンズ装置において、変倍機構や焦点調整機構、防振機構などの可動光学部材は、常に光学条件が一致するように同期制御される。
特許文献1では、振動検出部を2台のレンズ装置において共通とし、各レンズ装置の防振部は、該振動検出部の振動に基づいて像ぶれ補正を行うことにより、防振特性の差を抑えることを可能とした立体カメラ用レンズシステムが開示されている。
特開2007−33624号公報
上述の特許文献に開示された従来技術では、2台のレンズ装置の振動を検出する振動検出部を共通としているため、それぞれのレンズ装置には振動検出部を含まない。よって、レンズ装置単体では像ぶれ補正が行えない。しかし、2次元映像撮影用に、単体で使用可能な防振機能を有するレンズ装置を流用し使用することも考えられるため、レンズ装置自身に振動検出部を有し、レンズ装置単体で像ぶれ補正が可能であるほうが望ましい。言い換えれば、防振機能を有した既存の2次元映像撮影用のレンズ装置を2台使用し、立体映像用撮影システムを構成すれば、専用のレンズ装置を準備する必要がないため、低廉で汎用性のある立体映像用撮影システムとなる。しかし、上述したように、ハーフミラーを用いてレンズ装置を垂直に配置する撮影形態をとった場合、垂直状態にある(ハーフミラーで反射された被写体光束が入射する)レンズ装置の振動検出部は、振動の検出軸が変化してしまうため、そのレンズ装置に含まれる振動検出部で検出された振動に基づく像ぶれ補正では、正常に像ぶれ補正を行うことができない。
そこで、本発明の目的は、防振機能を搭載したレンズ装置を2台用いた立体映像用の撮影システムにおいて、双方の防振機能を有効とすることを可能とした撮影システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の撮影システムは、被写体からの光束を透過光と反射光に分割するハーフミラーと、前記透過光が入射する第1のレンズ装置と、前記反射光が入射する第2のレンズ装置と、を有し、前記第1及び第2のレンズ装置のそれぞれは、像ぶれ補正機能を有するレンズ装置として単独で使用可能なレンズ装置であって、被写体像を光軸と垂直な方向に移動させ像ぶれを低減する可動レンズ群と振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段により検出された振動に基づいて、指令信号を生成する指令信号生成手段と、指令信号に基づいて、該可動レンズ群を駆動する駆動手段と、他方の該レンズ装置と通信する通信手段と、を有し、前記第1のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、該第1のレンズ装置の前記振動検出手段により検出された振動に基づいて、前記指令信号としての第1の指令信号を生成し、前記第1のレンズ装置の前記駆動手段は、該第1の指令信号に基づいて、該第1のレンズ装置の前記可動レンズ群を駆動し、前記第2のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、前記通信手段を介して前記第1のレンズ装置から入力された、前記第1レンズ装置の前記振動検出手段により検出された振動に応じた防振情報に基づいて、前記指令情報としての第2の指令信号を生成し、該第2の指令信号に基づいて、該第2のレンズ装置の前記可動レンズ群を駆動する、ことを特徴とする。
本発明によれば、防振機能を搭載したレンズ装置を2台用いた立体映像用の撮影システムにおいて、双方の防振機能を有効とすることを可能とした撮影システムを提供することができる。
本発明の実施例1である撮影システムの構成を示すブロック図である。 実施例1における姿勢判別処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1における防振処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施例2である撮影システムの構成を示すブロック図である。 実施例2における姿勢判別処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2における防振処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3における防振処理の流れを示すフローチャートである。 従来技術における立体映像用撮影システムの外観図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の撮影システムの構成図である。
以下、図1乃至3を参照して、本発明の第1の実施例による、撮影システムについて説明する。
本発明の撮影システムに搭載されるレンズ装置は、第1のレンズ装置および第2のレンズ装置を有する。被写体からの光束は、ハーフミラーを透過する透過光と反射される反射光に分割され、ハーフミラーを透過した透過光は第1のレンズ装置に入射し、ハーフミラーで反射された反射光は第2のレンズ装置に入射する。
図1は、第1のレンズ装置、および第2のレンズ装置の各々に搭載された防振部の構成を示すブロック図である。
本実施例の撮影システムは、第1のレンズ装置の防振部10Aと第2のレンズ装置の防振部10Bを有する。本実施例における第1及び第2のレンズ装置は、共に同一の仕様のレンズ装置を用いるため、防振部10A、10Bの構成要素も共に同一となる。同一の構成要素には同一番号を付する。以下の記載において、第1のレンズ装置と第2のレンズ装置を区別して構成要素を特定する必要がある場合には、防振部10Aの構成要素には末尾にAを、防振部10Bの構成要素には末尾にBを付して説明する。以下、防振部10Aを例に説明する。
防振部10Aにおいて、振動検出手段である振動検出部110Aはレンズ装置(不図示)の振動を検出する。該振動検出部110Aは、例えば、2つの角速度センサなどにより構成され、それぞれ光軸に対して垂直な面である結像面内の第1の方向である横方向(以下、H方向)および第2の方向である縦方向(以下、V方向)の振動を検出する。防振部10AにはCPU120Aが構成され、該CPU120Aには、設置方向判別手段である姿勢判別部121A、指令信号生成手段である防振制御部122A、通信手段である通信部123Aが含まれる。姿勢判別部121Aでは、防振部10Aを含むレンズ装置Aの光軸が、被写体からの光束と平行であるか、若しくは垂直であるかを判別する。この平行および垂直の状態を判別する処理については後述する。防振制御部122Aでは、姿勢判別部121Aの判別結果に基づき防振処理を切り替え、像ぶれ補正の指令信号を生成する。指令信号の生成処理については後述する。また、防振制御部122Aは、通信部123Aを介して防振部10Bと接続され、防振情報の送受信を行う。像ぶれ補正レンズ130Aは、光軸と垂直な方向に移動することにより、結像面上の被写体像を光軸と垂直な方向に移動させ、像ぶれを低減する可動レンズ群である。位置検出部140Aは、像ぶれ補正レンズ130Aの位置を検出する。駆動手段である駆動部150Aは、防振制御部122Aからの指令信号、および位置検出部140Aからの位置信号を元に駆動信号を生成し、モータ160Aを介して、像ぶれ補正レンズ130Aを駆動させる。
以上の構成により、防振部10Aの防振が行われる。
ここで、ハーフミラーを透過した被写体からの光束が入射する第1のレンズ装置は、光軸が略水平方向となるように設置され、ハーフミラーによって反射された被写体からの光束が入射する第2のレンズ装置は、光軸が略鉛直方向となるように設置されている。
防振部10Bにおいて、構成要素は防振部10Aと同様なので説明を省略するが、振動検出部110Bについてのみ状況が異なるため、説明する。
防振部10Aは、搭載されている第1のレンズ装置の光軸が略水平方向であるため、振動検出軸の方向としては、例えば、H方向は図1のZ軸方向(第1の方向)、V方向はY軸方向(第2の方向)に相当する。この場合、防振部10Bにおいては、搭載されている第2のレンズ装置の光軸は略鉛直方向であるため、H方向は図1のZ軸方向(第1の方向)、V方向はX軸方向(第3の方向)となる。防振部10Bにおいて、被写体からの光束はハーフミラーで反射して、90度偏向してレンズ装置に入射する。よって、防振部10BでのV方向の防振において、像ぶれ補正レンズ130BをX軸方向に駆動して像ぶれを補正することは可能であるが、この像ぶれの原因であるレンズ装置の振動の方向は実際にはY軸方向であるため、防振部10BでのV方向に対応する方向(Y軸方向)の振動を振動検出部110Bで検出することは不可能である。ゆえに、防振部10B単体では、V方向の像ぶれ補正を行うことができない。そこで、通信部123Bを介して防振部10AよりY軸方向の防振情報を取得し、像ぶれ補正を可能とする。該像ぶれ補正処理の詳細は後述する。
図2は、姿勢判別部121A、121Bにおけるレンズ装置が設置されている姿勢が水平状態であるか鉛直状態であるかを判別する処理を示したフローチャートである。
本実施例では、レンズ装置に内蔵された可動光学部材であるズームレンズを駆動することにより、水平状態、もしくは鉛直状態の姿勢にあることを自動で判別する方法について説明する。
レンズ装置に電源が投入されると、ステップS210に進み、該レンズ装置のズームレンズを往復駆動させ、該往復駆動時の作動電流値を測定する。次に、ステップS220に進み、ステップS210で測定された電流値の駆動方向による差分値(以下、往復差)が、所定の閾値よりも大きいかどうかを比較する。該閾値は、水平状態においてズームレンズを往復駆動した際に取りえる作動電流値の最大往復差とする。閾値よりも小さい場合はステップS230に進み、大きい場合はステップS240に進む。ステップS230では、該レンズ装置は水平状態(ハーフミラーを透過する光束が入射するレンズ装置)であると判別し、ステップS240では、該レンズ装置は鉛直状態(ハーフミラーで反射された被写体光束が入射するレンズ装置)であると判別する。
ズームレンズなど光軸方向に駆動する可動光学部材は、レンズ装置の光軸方向が略鉛直方向である場合、重力の影響で駆動方向による負荷が往復で大きく異なる。例えば、望遠側から広角側への駆動方向が重力方向と同一である場合、望遠側から広角側への駆動は負荷が小さく、作動電流値も小さい。逆に、広角側から望遠側への駆動は負荷が大きく、作動電流値も大きい。よって、駆動方向による作動電流値の往復差は、水平状態よりも鉛直状態の方が大きくなる。したがって、水平状態において、とりえる作動電流値の最大往復差を閾値として設定することにより、レンズ装置が水平状態にあるか、または鉛直状態にあるかを判別することができる。
本実施例においては、ズームレンズの駆動により設置方向の判別を行ったが、これに限られることではなく、光軸方向に移動するレンズ群であれば上記したズームレンズに代えて姿勢判別に使用することができる。例えば、フォーカスレンズを駆動させ同様に姿勢の判別を行っても良い。
また、本実施例では、作動電流値の往復差により判別を行ったが、これに限られることではなく、作動電流値の絶対値により判別しても良い。上述したように、水平状態と鉛直状態では作動電流値が異なるため、水平状態でとりえる作動電流値の範囲内かどうかを判断することにより、水平、鉛直状態の判別が可能である。さらに、駆動速度により判別しても良い。水平状態と鉛直状態では、駆動負荷が異なるため駆動速度が変化する。よって、駆動速度が水平状態の速度であるかどうかを判断することにより、水平、鉛直状態を判別することが可能である。
また、本実施例では、レンズ装置に内蔵された可動光学部材を駆動させ、設置方向を判別する例について述べたが、これに限られることではなく、レンズ装置に加速度センサを設け、該加速度センサの出力により重力方向を検出し、設置方向を判別する構成としても良い。
或いは、設置方向を設定する設置方向設定手段をレンズ装置に設け、ユーザにより水平状態、または鉛直状態であることを手動で設定・入力する構成としても良い。この場合、図2に示した姿勢判別処理のフローに代え、設置方向判別手段(姿勢判別部121)は、設置方向設定手段で設定されている(スイッチ等の)状態により、水平方向(第1のレンズ装置)或いは鉛直方向(第2のレンズ装置)であると判断することができる。
図3は、防振制御部122A、122Bにおける防振処理を示したフローチャート図である。
本実施例では、防振部10Aと防振部10B間で送受信する防振情報が、振動検出部110Aにより検出される振動信号である例について説明する。
防振部10A、および防振部10BのCPU120A、120Bは共に、これらの処理を、不図示のメモリに格納されたコンピュータプログラミングに従って制御する。
以下、防振部10Aを例に説明する。
防振処理が開始されると、CPU120Aの処理はステップS310に進み、ステップS310では、図2で説明したように、設置方向判別手段である姿勢判別部121Aにより判別されたレンズ装置の設置方向が水平状態か否かを判断する。図2で説明した姿勢判別処理は、電源投入時に1度だけ実行する処理としても良いし、定期的に設置方向判別処理を実行し、設置方向を更新する処理としても良い。さらには、ユーザによる指示を元に設置方向判別処理を実行する処理としても良い。例えば、ユーザ操作により、ズームレンズが駆動されるタイミングで作動電流値を測定し、設置方向判別処理を行っても良い。ステップS310において、水平状態であれば、ステップS320に進み、鉛直状態であれば、ステップS331に進む。以上により、水平状態と鉛直状態で、CPU120Aの指令信号生成処理は切り替えられる。
まず、水平状態の指令信号生成処理について説明する。ステップS320では、振動検出部110Aから振動信号を取得する。次に、ステップS321では、通信部123Aを介して、ステップS320で取得した振動信号を他方の防振部10B、本実施例においては通信部123B、に送信する。次に、ステップS322では、ステップS320で取得した自身の防振部(内部)の振動信号を元に、該振動による像ぶれを打ち消す位置に、像ぶれ補正レンズ130Aを駆動するための指令信号(第1の指令信号)を生成する。
次に、鉛直状態での指令信号生成処理について説明する。ステップS331では、通信部123Aを介して、他方の防振部から振動信号を受信する。次に、ステップS332では、ステップS331で受信した他方の防振部(外部)の振動信号を元に、ステップS322同様に指令信号(第2の指令信号)を生成する。
指令信号が生成されるとステップS340に進み、ステップS340では、生成された指令信号を駆動部150Aに出力する。駆動部150Aは、防振制御部122Aから出力された指令信号と、位置検出部140Aから出力された位置信号との差分により、駆動信号を生成しモータ160Aに出力することで、像ぶれ補正レンズ130Aを駆動させる。以上により、防振処理が実行される。
ステップS310からステップS340までの処理は、周期的に繰り返し処理される。
本実施例では、防振部10Aは水平状態であるため、ステップS320からステップS322までの処理により指令信号が生成され、防振部10Bは鉛直状態であるため、ステップS331からステップS332までの処理により指令信号が生成される。図1にて説明したように、防振部10Bは鉛直状態であるため、防振部10B単体では像ぶれ補正を行うことができない。よって、上述したように、水平状態である防振部10Aで検出された振動信号を取得し、該振動信号を元に防振制御を行うことにより、防振部10Bの像ぶれ補正を可能としている。
本実施例においては、防振部10Aと防振部10B間で送受信を行う防振情報として、振動検出部110Aで検出される振動信号を用いる例について述べたがこれに限られることではない。例えば、防振制御部122Aが出力する指令信号であっても良いし、位置検出部140Aの位置信号であっても良い。
また、本実施例において、垂直状態の防振部10Bは、防振部10Aの振動検出部110Aの振動信号を用いて、像ぶれ補正を行ったが、これに限られることではない。図1において説明したように、防振部10Bの振動検出部110Bは、V方向は検出できないが、H方向に関しては振動を検出できる。よって、V方向に関しては、通信部123Bにより受信した防振部10Aの振動信号を用い、H方向に関しては、自身の振動検出部110Bにより検出された振動信号を用いて、像ぶれ補正を行う処理としても良い。
また、本実施例においては、垂直状態のレンズ装置は、鉛直下向きに設置されている例について説明したが、これに限られることではなく、鉛直上向きに設置されていても同様である。
上記の説明では、ハーフミラーを透過した被写体光束が入射する第1のレンズ装置は、光軸が略水平方向となるように設置され、ハーフミラーで反射された被写体光束が入射する第2のレンズ装置は、光軸が略鉛直方向となるように設置されていることを前提とした。しかし、本発明はこれに限定されることはない。例えば、それぞれのレンズ装置の光軸が水平方向と鉛直方向に向くように2つのレンズ装置が設定された撮影システムをチルト操作しているときであっても、レンズ装置内のレンズ要素の光軸方向の往復駆動における重力の影響の違いに基づいて、レンズ装置のそれぞれが、ハーフミラーを透過した被写体光束を受光しているレンズ装置であるか、ハーフミラーで反射された被写体光束を受光しているレンズ装置であるかを、自ら判定することができる。具体的には、図2に示した設置方向判別処理のステップS220において、被写体方向の仰角(水平方向からの角度)の絶対値が45度未満か45度超であるかを場合分けし、レンズ装置の防振部10は、ステップS210で測定された電流値の駆動方向による差分値(往復差)が、所定の閾値よりも大きいかどうかを比較することによって、レンズ装置の設置方向を判別することができる。該閾値は、仰角45度においてズームレンズを往復駆動した際に取り得る作動電流値の最大往復差とする。仰角が45度未満で往復差が閾値よりも小さい場合及び仰角が45度超で往復差が閾値よりも大きい場合は、該レンズ装置にはハーフミラーを透過した被写体光束が入射する(S230に相当)と判断でき、仰角が45度未満で往復差が閾値よりも大きい場合及び仰角が45度超で往復差が閾値よりも小さい場合は、該レンズ装置にはハーフミラーで反射した被写体光束が入射する(S240に相当)と判断することができる。これにより、レンズ装置自身が、撮影システムの中で、第1のレンズ装置として使用されているのか、第2のレンズ装置として使用されているのかを判定することができる。
第1及び第2のレンズ装置の光軸の仰角が共に45度である場合は、それぞれのレンズ装置内の素子にかかる重力の影響が等しいために、レンズ装置自身が、撮影システムの中で、第1のレンズ装置として使用されているのか、第2のレンズ装置として使用されているのかを判定することはできない。この場合には、通信部によって第1のレンズ装置と第2のレンズ装置の間で防振情報を送受信し、防振情報(振動信号、指令信号、位置信号)の絶対値が小さい側の防振情報に従うという制御ロジックを有することにより、第1及び第2のレンズ装置で適正に防振処理をすることができる。
また、上記では、レンズ装置の光軸の仰角が45度未満、45度、45度超、を判断する基準としたが、例えば、45度とした条件の領域を、第1及び第2のレンズ装置にかかる重力影響の差が小さい領域にまで広げることにより、より安定した判断をさせることができる。例えば、仰角の範囲を、40度未満、40度以上50度未満、50度以上のようは3つの領域に分割してもよい。
以下、図4乃至6を参照して、本発明の第2の実施例による、撮影システムについて説明する。
本実施例においては、第1の実施例で説明した設置方向判別とは別の方法として、レンズが重力方向に落ちることを利用した設置方向判別方法について説明する。また、本実施例の防振処理については、第1の実施例とは異なり、H方向、およびV方向ともに、水平状態、および鉛直状態の両方の振動検出部110A、110Bにより検出される振動信号を用いる例について説明する。
図4は、水平状態のレンズ装置、および鉛直状態のレンズ装置の各々に搭載された防振部の構成を示すブロック図である。第1の実施例で説明した図1と同一符号で示された構成要素は同様なので、説明を省略する。
図4の防振システムは、水平状態の防振部20Aと鉛直状態の防振部20Bにより構成されている。本実施例におけるレンズ装置は、水平、および鉛直共に同じ仕様のレンズ装置を用いるため、防振部20A、20Bの構成要素も共に同一となる。以下、防振部20Aを例に説明する。
駆動制御停止手段であるアナログスイッチ400Aは、防振制御部122Aにより制御され、駆動部150Aとモータ160Aの接続をON/OFFする。防振処理を実行している際は、アナログスイッチ400Aを常にONとし、モータを介して像ぶれ補正レンズ130Aを駆動させる。また、設置方向判別処理の際は、アナログスイッチ400AをOFFし、モータ160Aへの電力供給を切断し、モータの作動力をゼロ(以下、モータフリー)の状態とする。詳細については後述する。
図5は、姿勢判別部121A、121Bにおけるレンズ装置の水平状態、および鉛直状態の判別処理を示したフローチャート図である。
第1の実施例で説明した図2と同一符号で示されたステップは同様なので、説明を省略する。
以下、防振部20Aを例に説明するが、防振部20Bにおいても同様である。
レンズ装置に電源が投入されると、ステップS510に進み、アナログスイッチ400AをOFFし、駆動部150Aとモータ160Aとの接続を切断し、モータフリーの状態にする。次に、ステップS520では、モータが接続状態からモータフリーの状態になったことにより、像ぶれ補正レンズ130Aが変位するか否かを判断する。像ぶれ補正レンズ130Aが変位すれば、ステップS23に進み水平状態と判別し、像ぶれ補正レンズ130Aが変位しなければ、ステップS24に進み鉛直状態と判別する。
モータが接続状態であれば、像ぶれ補正レンズ130Aは光軸中心付近に位置する。よって、モータフリーの状態になれば、モータの作動力はなくなり、水平状態であれば、重力方向と可動方向が同じとなるため像ぶれ補正レンズ130Aは変位する。また、鉛直状態であれば、重力方向は光軸方向となり、像ぶれ補正レンズ130Aの可動方向は光軸に垂直な面であるため、像ぶれ補正レンズ130Aは移動しない。よって、モータフリーの状態にした際に像ぶれ補正レンズ130Aが変位するか否かで、設置方向を判別することが可能となる。
また、本実施例では、像ぶれ補正レンズ130Aが重力により変位するか否かで設置方向を判別する例について説明したが、これに限られることではなく、例えば、ズームレンズやフォーカスレンズなどであっても良い。ズームレンズやフォーカスレンズは可動方向が光軸方向であるため、モータフリーの状態にし、重力によりレンズが変位した場合は鉛直状態、レンズが変位しなかった場合は水平状態と判別することが可能である。
図6は、防振制御部122A、122Bにおける防振処理を示したフローチャート図である。第1の実施例で説明した図3と同一符号で示されたステップは同様なので、説明を省略する。
本実施例では、V方向、およびH方向ともに、水平状態と鉛直状態の双方の振動検出部110A、110Bの振動信号を用いる例について説明する。
防振部20A、および防振部20BのCPU120A、120Bは共に、これらの処理を、不図示のメモリに格納されたコンピュータプログラムに従って制御する。
以下、防振部20Aを例に説明する。
防振処理が開始されると、CPU120Aの処理はステップS610に進み、ステップS610では、振動検出部110Aから振動信号を取得する。次に、ステップS620では、通信部123Aを介して、ステップS610で取得した振動信号を他方の防振部に送信し、さらに、他方の防振部からも振動信号を受信する。次に、ステップS310で水平状態と鉛直状態で、CPU120Aの指令信号生成処理は切り替えられる。
まず、水平状態の指令信号生成処理について説明する。ステップS630では、V方向、H方向のそれぞれに対して指令信号(第1の指令信号)が生成される。V方向に関しては、ステップS610で取得した自身の防振部(内部)の振動信号を元に指令信号(第1の指令信号)を生成する。H方向に関しては、ステップS610で取得した自身の防振部(内部)の振動信号と、ステップS620で受信した他方の防振部(外部)の振動信号の双方を元に指令信号(第1の指令信号)を生成する。例えば、双方の振動信号を平均化し指令信号を生成する処理や、双方の振動信号の絶対値の小さい方の振動信号を選択し指令信号を生成する処理などを行うことができる。このように2つの防振部の振動信号を用いることにより、1つの防振部の振動信号のみを用いる場合よりも、振動検出部110A、110Bのノイズに起因した映像揺れ量を低減した像ぶれ補正を実現することができる。
次に、鉛直状態の指令信号生成処理について説明する。ステップS640では、V方向、H方向のそれぞれに対して指令信号(第2の指令信号)が生成される。V方向、およびH方向に関して、ステップS610で取得した自身の防振部(内部)の振動信号と、ステップS620で受信した他方の防振部(外部)の振動信号の双方を元に指令信号(第2の指令信号)を生成する。例えば、V方向に関しては、双方の振動信号を加算し、指令信号を生成する処理とする。V方向の振動の方向は図4のY軸方向の振動に相当するが、レンズ装置を配置する雲台(支持体)の剛性が弱ければ、鉛直状態のレンズ装置はX軸方向にも振動することが考えられる。よって、Y軸方向だけでなく、X軸方向の振動成分も含めた振動信号を用いることで、より高い像ぶれ補正効果が望める。さらには、V方向は、水平状態であるとV方向下向きに重力がかかるが、鉛直状態ではV方向に重力はかからない。よって、水平状態の制御ゲイン(増幅率)よりも低い制御ゲインで指令信号を生成するなどの処理を追加しても良い。また、H方向に関しては、ステップS630と同様に、平均化や、絶対値の小さい方を選択する処理とする。
以上のように、防振部20Aと防振部20Bの双方の振動信号を用いることで、像ぶれ補正を有効とするだけでなく、より性能の良い像ぶれ補正を実現することが可能となる。
以下、図7を参照して、本発明の第3の実施例による、防振システムについて説明する。
本実施例では、2つのレンズ装置が同じ設置方向(光軸方向が同じ)であった場合について説明する。
本実施例の防振システムの構成、および設置方向判別処理については、第1の実施例の図1、図2と同様なので説明を省略する。ただし、防振部10A、および防振部10Bの設置方向は同一とする。
図7は、防振制御部122A、122Bにおける防振処理を示したフローチャート図である。第1の実施例で説明した図3と同一符号で示されたステップは同様なので、説明を省略する。
以下、防振部10Aを例に説明する。
ステップS710では、図2説明した設置方向判別処理により判別した設置方向を、通信部123Aを介し、他方の防振部に送信し、さらに、他方の防振部からも設置方向を受信する。次に、ステップS720では、姿勢判別部121Aで判別した設置方向と、ステップS710で受信した他方の防振部の設置方向が、同一であるか否かを判断する。設置方向が異なる場合はステップS730に進み、設置方向が同一の場合はステップS320に進む。ステップS730は、図3で説明した一連の処理を実行し、設置方向により振動信号の送受信を行い、像ぶれ補正を行う。また、設置方向が同一の場合は、ステップS320からステップS340までの処理を実行し、振動信号の送受信は行わず、自身の防振部(内部)の振動検出部110Aで検出した振動信号を元に像ぶれ補正を行う。
双方のレンズ装置の設置方向が同一である場合は、レンズ装置を並列に配置した撮影システムであり、その場合、2つのレンズ装置に入射する被写体の光束はハーフミラーにより曲げられてはいないため、それぞれのレンズ装置において各々の振動検出部110A、110Bで検出された振動信号を元に像ぶれ補正を行うことが可能である。
以上のように、本実施例では、双方の設置方向が同一か否かを判断し、処理を切り替えることにより、レンズ装置が並列に配置される場合と、垂直に配置される場合の両方の撮影システムにおいて対応が可能となる。
また、本実施例では、各々の振動検出部110A、110Bで検出した振動信号を元に像ぶれ補正を行う例について説明したが、これに限られることはない。例えば、第2の実施例で説明したように、双方の振動信号を用いることにより、ノイズの影響を低減できる。よって、設置方向が同一の場合は、H方向、V方向の振動検出軸は、双方の防振部において同一であるため、H方向、V方向共に、双方の振動信号を用いて、像ぶれ補正を行うとしても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
10A、10B 防振部
110A、110B 振動検出部
122A、122B 防振制御部
123A、123B 通信部
130A、130B 像ぶれ補正レンズ
150A、150B 駆動部

Claims (8)

  1. 被写体からの光束を透過光と反射光に分割するハーフミラーと、
    前記透過光が入射する第1のレンズ装置と、
    前記反射光が入射する第2のレンズ装置と、
    を含む撮影システムであって、
    前記第1及び第2のレンズ装置のそれぞれは、像ぶれ補正機能を有するレンズ装置として単独で使用可能なレンズ装置であって、
    被写体像を光軸と垂直な方向に移動させ、像ぶれを低減する可動レンズ群と、
    動を検出する振動検出手段と、
    前記振動検出手段により検出された振動に基づいて、指令信号を生成する指令信号生成手段と、
    該指令信号に基づいて、該可動レンズ群を駆動する駆動手段と、
    方の該レンズ装置と通信する通信手段と、を有し、
    前記第1のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、該第1のレンズ装置の前記振動検出手段により検出された振動に基づいて、前記指令信号としての第1の指令信号を生成し、
    前記第1のレンズ装置の前記駆動手段は、該第1の指令信号に基づいて、該第1のレンズ装置の前記可動レンズ群を駆動し、
    前記第2のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、前記通信手段を介して前記第1のレンズ装置から入力された、前記第1レンズ装置の前記振動検出手段により検出された振動に応じた防振情報に基づいて、前記指令情報としての第2の指令信号を生成し、該第2の指令信号に基づいて、該第2のレンズ装置の前記可動レンズ群を駆動する、
    ことを特徴とする撮影システム。
  2. 前記第1及び第2のレンズ装置それぞれの前記振動検出手段は、光軸に垂直で互いに垂直な二つの方向の振動を検出し、該二つの方向の内の一つの方向は、該第1のレンズ装置の光軸と前記第2のレンズ装置の光軸とに対して垂直な方向である第1の方向であり、前記第1のレンズ装置の前記振動検出手段は、該第1の方向の振動及び、該第1の方向と該第1のレンズ装置の光軸とに垂直な第2の方向の振動を検出し、前記第2のレンズ装置の前記振動検出手段は、該第1の方向の振動及び、該第1の方向と該第2のレンズ装置の光軸とに垂直な第3の方向の振動を検出し、
    該第1のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、該第1の方向の振動に対しては、該振動検出手段から得た振動信号と前記通信手段によって取得した該第2のレンズ装置からの防振情報とに基づいて指令信号を生成し、前記第2の方向の振動に対しては、該第1のレンズ装置の該振動検出手段によって得た振動信号に基づいて指令信号を生成し、
    前記第2のレンズ装置の前記指令信号生成手段は、該第1の方向の振動及び前記第3の方向の振動に関して、該第2のレンズ装置の該振動検出手段から得た振動信号と前記通信手段によって得た該第1のレンズ装置からの防振情報とに基づいて指令信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮影システム。
  3. 前記撮影システムは、前記第1のレンズ装置は光軸の仰角の絶対値が45度未満であり、前記第2のレンズ装置は光軸の仰角の絶対値が45度より大きく、
    前記第1及び第2のレンズ装置のそれぞれは、
    光軸方向に可動な可動光学部材を有し、
    該可動光学部材を駆動する際の作動電流値の絶対値、往復駆動する際の作動電流値の絶対値の往復差、または、駆動速度のいずれかに基づいて、第1のレンズ装置として設置されているか第2のレンズ装置として設置されているかを判別する設置方向判別手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影システム。
  4. 前記撮影システムは、前記第1のレンズ装置は光軸の仰角の絶対値が45度未満であり、前記第2のレンズ装置は光軸の仰角の絶対値が45度より大きく、
    前記第1及び第2のレンズ装置のそれぞれは、
    加速度センサを有し、
    該加速度センサの出力に基づいて、第1のレンズ装置として設置されているか第2のレンズ装置として設置されているかを判別する、設置方向判別手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影システム。
  5. 前記撮影システムは、前記第1のレンズ装置は光軸が水平方向であり、前記第2のレンズ装置は光軸が鉛直方向となるように設置され、
    前記可動レンズ群は、前記光軸と垂直な方向に移動可能な光学素子を含んでおり、
    前記第1及び第2のレンズ装置のそれぞれは、
    前記光軸方向に可動な可動光学部材を有し、
    前記光学素子、もしくは前記可動光学部材を駆動させる前記駆動手段の制御を停止する駆動制御停止手段を有し、
    該駆動制御停止手段が制御を停止した際の、前記光学素子、もしくは該可動光学部材の変位に基づいて、第1のレンズ装置として設置されているか第2のレンズ装置として設置されているかを判別する、設置方向判別手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影システム。
  6. 前記第1及び第2のレンズ装置は同一の仕様を有するレンズ装置であって、それぞれは、設置方向を設定する設置方向設定手段を有し、該設置方向設定手段での設定に基づいて該レンズ装置が第1のレンズ装置として設置されているか第2のレンズ装置として設置されているかを判別する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影システム。
  7. 前記防振情報は、前記振動信号、前記指令信号、または、前記可動レンズ群の位置信号である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮影システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮影システムの第1のレンズ装置または第2のレンズ装置として使用されるレンズ装置。
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