JP5630342B2 - 導電性基板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性基板及びその製造方法に関し、特に、導電性及び耐熱性を有する導電性薄膜を備える導電性基板、及び該導電性基板の製造方法に関する。
周期表(長周期型)第6族遷移金属としてクロム、モリブデン、タングステンが挙げられる。ここでいう長周期型の周期表とは、18個の元素からなる周期を基準にしたもので、縦の行に化学的性質の類似した元素の集まりである1〜18の各族を、横の列に1、2、3、4、5、6、7の各周期を区分し、その中に各元素を原子番号の順に配置し、原子番号57〜71に相当するものはランタノイドとして、89〜103に相当するものはアクチノイドとして別記したものである。
これら遷移金属は、高い導電性及び耐熱性を有することから電極としての特性を備えており、モリブデン及びタングステンは、現在カルコパイライト(CIS)系太陽電池の裏面電極に利用されている。
一般に、上記電極は、基材上にスパッタ法でモリブデンやタングステンの電極層を形成することにより作製される(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、スパッタ法では真空プロセスが必要であるため高コスト化する傾向がある。
一方、周期表(長周期型)第6族遷移金属であるモリブデンやタングステン、及びこれら遷移金属の炭化物を溶融させて基材上に上記電極層を形成する方法も考えられる。しかしながら、モリブデンやタングステン及びこれらの炭化物は2000℃以上の高い融点を有するため、本方法を用いて電極層を形成する場合には、耐熱性の観点から基材の種類が大幅に制限される。
特開2011−009287号公報
本発明は、導電性かつ耐熱性を有する導電性薄膜を備える導電性基板を低コストで提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、基材上に、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成し、不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で該薄膜を焼成することで、導電性かつ耐熱性を有する薄膜を備える導電性基板を低コストで作製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に導電性薄膜を備える導電性基板であって、該導電性薄膜が、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物及び/又は周期表(長周期型)第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子が融着した構造を有する、導電性基板、
(2)前記第6族遷移金属炭化物及び前記第6族遷移金属二酸化物における第6族遷移金属が、モリブデン及びタングステンより選択される少なくとも1種である、上記(1)に記載の導電性基板、
(3)融着前の前記第6族遷移金属炭化物及び/又は前記第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子の平均一次粒径が、1〜15nmである、上記(1)又は(2)に記載の導電性基板、
(4)下記工程(I)及び工程(II)を有する、導電性基板の製造方法、
工程(I):基材上に、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成する工程
工程(II):不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で該薄膜を焼成する工程
(5)前記工程(I)が、基材上に、前記第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する塗布液をパターン状に印刷して、前記第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有するパターン状の薄膜を形成する工程である、上記(4)に記載の導電性基板の製造方法、
(6)前記第6族遷移金属炭化物における第6族遷移金属が、モリブデン及びタングステンより選択される少なくとも1種である、上記(4)又は(5)に記載の導電性基板の製造方法、
(7)前記第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子の平均一次粒径が、1〜15nmである、上記(4)〜(6)のいずれかに記載の導電性基板の製造方法
(8)前記第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子が、前記第6族遷移金属炭化物に、有機基を有する保護剤が連結基により連結してなるナノ粒子を含む、上記(4)〜(7)のいずれかに記載の導電性基板の製造方法、
(9)前記連結基が、下記一般式(1−a)〜(1−o)で表される官能基より選択される少なくとも1種である、上記(8)に記載の導電性基板の製造方法、及び、
(式中、Z1、Z2及びZ3は、各々独立にハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
(10)前記工程(II)の前に、前記工程(I)で形成した薄膜を、大気下で200〜400℃で乾燥する工程を有する、上記(4)〜(9)のいずれかに記載の導電性基板の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、真空プロセスを用いることなく、第6族遷移金属及びその炭化物の融点よりも大幅に低い温度で焼成することにより、導電性薄膜を備える導電性基板を低コストで製造することができる。このような導電性基板は、CIS系太陽電池の裏面電極等に好適に用いられる。
本願実施例の合成例1において製造したモリブデン炭化物ナノ粒子の平均一次粒径を、動的光散乱法により測定した結果(ヒストグラム)を示す図である。 本願実施例の合成例1において製造したモリブデン炭化物ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡により観察した画像である。 本願実施例3において製造した導電性基板における導電性薄膜の断面を、走査型電子顕微鏡により観察した画像である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[導電性基板]
本発明の導電性基板は、基材上に導電性薄膜を備えるものであり、該導電性薄膜が、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物(以下、単に「第6族遷移金属炭化物」と称する)及び/又は周期表(長周期型)第6族遷移金属二酸化物(以下、単に「第6族遷移金属二酸化物」と称する)を含むナノ粒子が融着した構造を有することを特徴とする。
(基材)
本発明に用いられる基材は、特に限定されないが、基材上に薄膜を形成する観点から、表面が平滑なものであることが好ましい。
基材の材質は、有機材料でも無機材料でもよく、特に限定されないが、導電性基板の耐熱性の観点から、無機材料もしくは高耐熱性の有機材料であることが好ましい。無機材料としては、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、石英、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、アルミナなどのセラミックス、銅、アルミニウム等が挙げられる。有機材料としては、ポリイミド等が挙げられる。
基板の厚さは、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、基材が無機材料である場合には、例えば、0.005〜10mmの範囲である。
(導電性薄膜)
導電性薄膜は、上記基材上に形成されてなる導電性の薄膜であり、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子が融着した構造を有することを特徴とする。
ここで、ナノ粒子とは、直径がnm(ナノメートル)オーダー、すなわち1μm未満の粒子をいい、ナノ粒子の融着とは、上記ナノ粒子の少なくとも一部が融解することにより、薄膜中における複数のナノ粒子が相互に付着し、融着前のナノ粒子サイズよりも大きいサイズの構造を形成することをいう。前記構造としては、例えば塊構造や層構造が挙げられる。
上記導電性薄膜においては、その少なくとも一部において、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子が融着した構造を有していればよい。導電性薄膜が上記融着構造を有しているかどうかは、例えば、走査型電子顕微鏡による導電性薄膜断面の観察により確認することができる。
上記導電性薄膜において、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子が融着した構造を形成する方法については後述するが、例えば、基材上に、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成し、これを不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で焼成する方法が挙げられる。焼成を行う前の上記薄膜は導電性が低いものであるが、焼成を行うことでナノ粒子同士が融着し、導電性を発現する。
上記第6族遷移金属炭化物を含む粒子がナノ粒子であると、焼成雰囲気に曝される粒子の表面積が大きいため、遷移金属や遷移金属炭化物の融点より大幅に低い温度、例えば300〜500℃という温度で焼成しても、上記粒子同士を融着させることができるものと考えられる。
上記第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子の平均一次粒径は、特に限定されるものではなく、例えば0.5〜999nmの範囲内であるが、0.5〜50nmの範囲内、中でも0.5〜20nmの範囲内であることが好ましい。上記平均一次粒径は、さらに、0.5〜17nmであることが好ましく、1〜15nmの範囲内であることが特に好ましい。
平均一次粒径が0.5nm以上であると、導電性薄膜を形成した際の導電性が良好となる。一方、平均一次粒子径が999nm以下であると、単位質量当たりの表面積(比表面積)が大きいため、融点が低く維持され、低温焼成が可能であり、高い導電性が得られるとともに、薄膜の表面粗さも小さくなるからである。
上記平均一次粒径は、導電性基板の製造において用いるナノ粒子の平均一次粒径によって決まる。
ここでいう導電性とは、表面抵抗値が1×106Ω/□以下であることをいう。
本発明における導電性薄膜の膜厚は、用途等に応じて適宜選択されるが、最低限の導電性発現、及び塗布膜乾燥時に生じるクラック抑制の観点から、50〜2000nmであることが好ましく、100〜1500nmであることがより好ましい。
[導電性基板の製造方法]
本発明の導電性基板の製造方法は、特に制限はないが、以下の工程(I)及び工程(II)を有することが好ましい。以下、各工程について説明する。
工程(I):基材上に、周期表(長周期型)第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成する工程
工程(II):不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で該薄膜を焼成する工程
ここで、工程(I)で上記第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む薄膜を形成し、これを工程(II)で焼成すると、焼成後に得られる導電性薄膜中の主成分は、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物であることを本発明者らは確認した。これについては後述する。
(工程(I))
工程(I)では、前記した基材上に、第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成する。
上記薄膜の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、基材上に、第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子を含有する塗布液を塗布してもよく、該塗布液をパターン状に印刷してもよい。工程(I)において、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む塗布液を用いて薄膜を形成すると、表面粗さの少ない均一な薄膜を形成することができ、また、例えばインクジェット印刷法により薄膜を形成する場合にも、ノズルの目詰まり等が発生しにくいため好ましい。
(第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子)
次に、本発明に用いられる、第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子(以下、「第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子」と称する)について説明する。
第6族遷移金属炭化物としては、クロム、モリブデン、及びタングステンの炭化物が挙げられ、導電性の観点から、モリブデン炭化物及びタングステン炭化物より選択される少なくとも1種であることが好ましく、モリブデン炭化物であることがより好ましい。上記第6族遷移金属炭化物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子は、少なくとも第6族遷移金属炭化物を含んでいればよい。ナノ粒子の表面保護及び分散安定性の点から、好ましくは、前記第6族遷移金属炭化物に、有機基を有する保護剤が連結基により連結してなるナノ粒子を含むものである。第6族遷移金属炭化物粒子表面に、保護剤として有機基が連結したナノ粒子は、単に第6族遷移金属炭化物が粉砕されて形成された粒子と異なり、ナノ粒子の分散媒である溶剤への分散安定性が非常に高いものとなり、これを用いることで、均一性の高い薄膜を形成することができる。さらに、該薄膜は、基材との密着性に優れるようになる。
ナノ粒子の分散媒である溶剤については、ナノ粒子の製造方法の項において後述する。
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子は、単一構造であっても複合構造であっても良く、コア・シェル構造、合金、島構造等であっても良い。
なお、上記ナノ粒子内には、処理条件によって様々な価数の第6族遷移金属原子や、第6族遷移金属炭化物以外の第6族遷移金属化合物を含有していてもよい。第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子に含まれる第6族遷移金属化合物としては、酸化物、硫化物、珪化物、ホウ化物、セレン化物、ハロゲン化物、錯体等が挙げられる。
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子に含まれる、第6族遷移金属炭化物は、第6族遷移金属及び第6族遷移金属化合物の全量において90モル%以上含まれることが好ましく、さらに、95モル%以上含まれることが、導電性を向上させる点から好ましい。
〔保護剤〕
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子において、好ましく用いられる保護剤は、連結基と、有機基とを有する。保護剤が連結基により第6族遷移金属炭化物に連結し、有機基により保護されることで、ナノ粒子の分散媒である溶剤に対する分散安定性を高めることができる。
保護剤は、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよいが、耐熱性の低い基材を用いる場合等、低い焼成温度にて焼成膜の導電性を高める必要がある場合には、低分子化合物が好適に用いられる。
上記保護剤が有する連結基としては、第6族遷移金属炭化物と連結する作用を有するものであれば、特に限定されない。連結には、吸着や配位も含まれるが、イオン結合、共有結合等の化学結合であることが好ましい。保護剤中の連結基の数は、分子内に1つ以上あればよい。連結基の数が1分子内に1つの場合は、保護剤は第6族遷移金属炭化物と結合するか、2分子反応で二量体を形成して反応が停止する。当該二量体については、第6族遷移金属炭化物との密着性が弱いため、洗い流す工程を付与すると膜中から容易に取り除くことができる。
上記保護剤が有する連結基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、チオール基、アルデヒド基、スルホン酸基、アミド基、スルホンアミド基、リン酸基、ホスフィン酸基、P=O基などの親水性基が挙げられる。連結基としては、以下の一般式(1−a)〜(1−o)で示される官能基より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式中、Z1、Z2及びZ3は、各々独立にハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。
上記保護剤が有する有機基としては、炭素数が4以上、好ましくは炭素数が6〜30、より好ましくは8〜20の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルキル基や、芳香族炭化水素及び/又は複素環等が挙げられる。
芳香族炭化水素及び/又は複素環としては、具体的には例えば、ベンゼン、トリフェニルアミン、フルオレン、ビフェニル、ピレン、アントラセン、カルバゾール、フェニルピリジン、トリチオフェン、フェニルオキサジアゾール、フェニルトリアゾール、ベンゾイミダゾール、フェニルトリアジン、ベンゾジアチアジン、フェニルキノキサリン、フェニレンビニレン、フェニルシロール、及びこれらの構造の組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない限り、芳香族炭化水素及び/又は複素環を含む構造に置換基を有していても良い。置換基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基の中では、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が好ましい。
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子において、第6族遷移金属炭化物と、保護剤との含有比率は、適宜選択され、特に限定されないが、第6族遷移金属炭化物100質量部に対して、保護剤が5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子の平均一次粒径は、特に限定されるものではなく、例えば0.5〜999nmの範囲内であるが、0.5〜50nmの範囲内、中でも0.5〜20nmの範囲内であることが好ましい。本発明で用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子の平均一次粒径は、さらに、0.5〜17nmであることが好ましく、1〜15nmの範囲内であることが特に好ましい。
平均一次粒径が0.5nm以上であると、ナノ粒子の分散媒である有機溶剤への分散安定性が良好であり、導電性薄膜を形成した際の導電性が良好となる。一方、平均一次粒子径が999nm以下であると、単位質量当たりの表面積(比表面積)が大きいため、融点が低く維持され、低温焼成が可能であり、高い導電性が得られるとともに、薄膜の表面粗さも小さくなるからである。
ここで、平均一次粒径は、動的光散乱法により測定される個数平均粒径の値、又は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得られた画像から、第6族遷移金属含有ナノ粒子が20個以上存在していることが確認される領域を選択し、この領域中の全ての第6族遷移金属含有ナノ粒子について粒径を測定し、平均値を求めることにより得られる値とする。
(第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子の製造方法)
本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子の製造方法は、上述した第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではない。
第6族遷移金属炭化物に、有機基を有する保護剤が連結基により連結してなるナノ粒子は、(A)第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を炭化して第6族遷移金属炭化物とする工程、及び(B)有機基を有する保護剤により保護する工程、とを含む第一の製造方法や、(a)第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を、有機基を有する保護剤により保護する工程、及び(b)該第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を炭化する工程、とを含む第二の製造方法等により製造することができる。なお、(A)と(B)、及び(a)と(b)は同時に行ってもよい。
上記第一のナノ粒子の製造方法における(A)工程において、第6族遷移金属を炭化する場合、第6族遷移金属のヘキサカルボニル又はアセチルアセトナート等の炭素原子を含む配位子を加えて、加熱等を行うことにより第6族遷移金属炭化物が得られる。
第6族遷移金属錯体は、配位子に炭素原子を含む第6族遷移金属錯体であればよく、溶媒中でできるだけ低温で分解される第6族遷移金属錯体が好ましい。例えば、モリブデンヘキサカルボニル、タングステンカルボニル等が挙げられる。
第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を炭化する方法としては、加熱等の方法を用いることができ、例えば、加熱する場合は200〜400℃で加熱することにより、該第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を炭化することができ、250〜350℃で加熱することが好ましい。
また、第6族遷移金属炭化物とする工程は、反応溶液中での分散安定性を維持する点から、アルゴンガス雰囲気下で行うことが好ましい。
上記第一のナノ粒子の製造方法における(B)工程において、有機基を有する保護剤により保護するには、例えば、溶剤の存在下で行えばよい。具体的には、保護剤を分散させた溶剤中にて加熱、攪拌して行う。このとき、沸点が200℃以上の溶剤の存在下で行うことが、保護剤による保護を高温環境下で均一に、かつ、安定して行うことができる点から好ましい。
前記溶剤としては、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子と、必要に応じて用いる前記保護剤やその他成分が良好に溶解ないし分散すれば特に限定されない。
このような溶剤としては、例えば、ジオクチルエーテル、ジフェニルエーテル、1−オクタデセン、エチレングリコール、プロピレングリコール、水、イソプロピルアルコール、キシレン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、テトラリン、メシチレン、アニソール、安息香酸エチル及び安息香酸ブチル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記第二のナノ粒子の製造方法においても、炭化する方法及び保護剤により保護する方法は、上記第一のナノ粒子の製造方法の各法を用いることができる。
さらに、上記ナノ粒子の製造方法においては、上記各工程を同時に行ってもよい。例えば、第一のナノ粒子の製造方法において、第6族遷移金属及び/又は第6族遷移金属錯体を炭化して第6族遷移金属炭化物とする工程(A)と、有機基を有する保護剤により保護する工程(B)とを同時に行ってもよい。
<第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む塗布液>
第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む塗布液としては、前記の第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を溶剤等に分散させた分散液を用いることができる。溶剤としては、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子と、必要に応じて用いる前記保護剤やその他成分が良好に溶解ないし分散すれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、水、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、テトラリン、メシチレン、アニソール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン、クロロホルム、安息香酸エチル及び安息香酸ブチル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記塗布液には、さらに、造膜性を高めること、印刷適性を付与すること、及び分散性を高めることを目的として、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂等を樹脂バインダーとして分散液に添加してもよい。また、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
上記塗布液は、固形分濃度が5〜60質量%の範囲が好ましい。固形分濃度が5質量%以上であると十分な導電性が得られる厚さの導電性薄膜を形成することができ、60質量%以下であると、粘度が十分に低く、基材への印刷が容易である。以上の観点から、微粒子分散液中の固形分濃度は10〜50質量%の範囲がより好ましい。
<薄膜形成方法>
基材上に、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む塗布液を塗布する方法は、特に制限はなく、スピンコート、スプレーコート、ダイコート、フローコート、グラビアコート、ディップコート、バーコート等の公知の塗布方法を用いることができる。これらのうち、膜厚1500nm以下の薄膜を形成できるという観点から、スピンコート、ダイコート及びグラビアコートが好ましい。
また、基材上に、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む塗布液を用いてパターン状に印刷する場合の印刷法は、特に制限はなく、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷等の公知の印刷法を用いることができる。これらのうち、微細なパターニングを行うことができるという観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷が好ましい。
上記のような方法で基材上に形成された薄膜は、通常の方法で乾燥を行ってもよい。乾燥方法には、特に制限はなく、例えばホットプレート、オーブン、電気炉等を用いる方法が挙げられる。
また、工程(II)を行う前に、前記工程(I)で形成した薄膜を、大気下で200〜400℃で乾燥する工程を有することが好ましい。工程(I)において、有機基を有する保護剤が連結してなる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む薄膜を形成した場合には、上記乾燥工程を行うことにより、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子中の保護剤を除去することができ、より高い導電性を付与することができる。
上記乾燥時間は、形成した薄膜の膜厚等に応じて適宜選択することができるが、第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子中の上記保護剤を効率よく除去できるという観点から、上記乾燥工程は、150〜350℃で2〜180分行うことがより好ましい。
(工程(II))
工程(II)では、前記薄膜を、不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で焼成する。工程(I)で形成した上記薄膜は導電性が低いものであるが、焼成を行うことにより薄膜中のナノ粒子が融着した構造を形成し、該薄膜の導電性が発現する。
なお、前記工程(I)及び工程(II)を繰り返し行うことにより、基板上に導電性薄膜を積層して形成してもよい。
<焼成方法>
工程(II)における焼成は、上記薄膜中に含有される第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子が、第6族遷移金属三酸化物まで酸化されることを抑制し、高い導電性を得る観点から、不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、又は周期表(長周期型)第18族に属するヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びラドン等が挙げられる。還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、アンモニア等のガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。
上記焼成は、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気下で行われることがより好ましく、還元性ガスとして水素ガスを用いることがさらに好ましい。還元性ガス雰囲気下で焼成工程を行うことにより、工程(I)で形成された薄膜に含有される第6族遷移金属炭化物の一部が還元されて、第6族遷移金属か、もしくは炭素原子の組成比が低下した第6族遷移金属炭化物となり、より高い導電性を付与することができる。また、水素ガスは、副生成物が少ない点でも好ましい。
上記焼成方法は、不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で行うこと以外は特に制限はなく、公知の焼成方法を用いることができる。例えば、不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気において、電気炉を用いて焼成を行ってもよく、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称する。)により焼成を行ってもよい。マイクロ波表面波プラズマについては後述する。
上記焼成における焼成温度及び焼成時間は、焼成する薄膜の膜厚や、使用する焼成方法に応じて適宜選択することができる。例えば、電気炉中で焼成を行う場合には、昇温速度5〜50℃/分で300〜600℃まで昇温し、0.5〜5時間保持して焼成することが好ましい。
また、マイクロ波表面波プラズマにより焼成を行う場合には、短時間に行われるのが好ましく、昇温速度は100℃/分以上、好ましくは200℃/分以上で行うのがよい。焼成時間は、5分以内、さらには2分以内とすることが好ましい。
〔マイクロ波表面波プラズマ焼成〕
マイクロ波表面波プラズマによる焼成は、大面積の処理が可能で、短時間の焼成処理が可能であるため、生産性が極めて高い。本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガスの雰囲気下で発生させることが好ましく、とりわけ水素ガス雰囲気下で発生させることが好ましい。これにより、ナノ粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、導電性能の良好な導電パターンが形成される。
さらに、焼成において、基材の表面温度(最終到達温度)は、基材の融点以下の温度であることが好ましい。
また、第6族遷移金属炭化物を含むナノ粒子が卑金属又は金属酸化物を含む場合は、還元性を持つ活性種を発生させる方法が好ましい。さらに、基材の熱ダメージを防ぐために、工程(I)で得られた薄膜の表層から加熱する方法を用いるのが好ましい。
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いることができる。
前記プラズマ発生手段としては、例えば焼成処理室の照射窓から周波数2450MHzのマイクロ波エネルギーを供給し、該処理室内に、電子温度が約1eV以下、電子密度が約1×1011〜1×1013cm-3のマイクロ波表面波プラズマを発生させることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記工程(I)で形成された薄膜を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な導電性薄膜を形成することができる。マイクロ波表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式と比べて、面内で部分的にナノ粒子の融着が進行するなど、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。
さらに、マイクロ波表面波プラズマは、電子温度が低いため、基材をエッチングする能力が小さく、基材に対するダメージを小さくすることができると推察される。
マイクロ波表面波プラズマは、上述のように、基材に対する導電性薄膜の密着性を高めるのに好適である。この理由としては、マイクロ波表面波プラズマは、導電性薄膜との界面で水酸基などの極性官能基を発生させやすいためと推測される。
したがって、従来のように、基材表面をあらかじめプラズマ処理等により洗浄して、導電性薄膜との密着性を向上させる方法と比較しても、基材と導電性薄膜との密着性が高い点で優れている。
<導電性薄膜の結晶構造>
以上のようにして製造された導電性基板における導電性薄膜の結晶構造は、X線結晶回折により同定することができ、これにより該導電性薄膜中の主成分を特定することができる。
その結果、工程(I)で形成した第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む薄膜を、工程(II)において焼成して得られる導電性薄膜の主成分は、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物であることを本発明者らは確認した。特に、工程(I)で形成した第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を含む薄膜を、大気下で200〜400℃で加熱した後、不活性ガスのみの雰囲気下で焼成を行った場合には、得られた導電性薄膜の主成分は、第6族遷移金属二酸化物となる。
上記工程を行うことにより、導電性薄膜の主成分が第6族遷移金属二酸化物となる機構は次のように考えられる。すなわち、大気下での加熱により、薄膜の表面部分のみ酸化され、その後の不活性ガス雰囲気下で焼成を行った際に薄膜表面の酸素原子が薄膜全体へ拡散し、薄膜全体が二酸化物を主体とする構造に変化したものと予想される。
以上のようにして製造された本発明の導電性基板は、導電性及び耐熱性に優れ、CIS系太陽電池の裏面電極等に好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中、部は特に特定しない限り質量部を表す。また、層又は膜の厚さは平均膜厚で表されている。
[ナノ粒子の評価手法]
(結晶構造の測定)
X線回折法にて合成例1及び合成例2のナノ粒子粉末の結晶構造を同定した。測定装置には(株)リガク製のSmart Labを用い、測定用試料は測定対象のナノ粒子粉末をガラス上にのせて作製した。X線源としてはCuKα線を用い、管電圧45kV、管電流200mAの条件で実施した。2θ/θスキャン法でスキャン速度が毎分2°、ステップ角が0.05°の条件で測定した。
(粒径の測定)
合成例1及び合成例2で得られたナノ粒子粉末の平均一次粒径を動的光散乱法にて測定した。測定には動的光散乱測定装置(日機装(株)製、ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−UT151)を用いた。測定試料として、測定対象の粉末をクロロホルムに分散させた溶液(濃度:固形分1質量%)を用いた。
また、合成例1及び合成例2で得られたナノ粒子粉末の平均一次粒径を、(株)日立ハイテクノロジーズ製の透過型電子顕微鏡(TEM) H−7650を用いて測定した。測定用試料は、ナノ粒子粉末の分散溶液を市販のカーボン支持膜付きグリッド上に数滴滴下し、溶剤を乾燥させることによって作製した。観察された明視野像にて、暗い粒子の20個の平均値を平均一次粒径とした。
[導電性基板の評価手法]
(膜厚の測定)
実施例1〜12、比較例1〜4において、基板上に形成された薄膜の膜厚を測定した。測定装置は(株)日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(SEM) S−4800を用い、加速電圧1kV、エミッション電流10mAで観察した。測定用試料は、基板上に形成された薄膜の破断面を作製し、断面SEM像より該薄膜の膜厚を測定した。
(薄膜の結晶構造[薄膜中の主成分]の測定)
実施例1〜12、比較例1〜4で製造された基板における薄膜の結晶構造を、X線回折法にて同定した。測定装置には(株)リガク製のSmart Labを用い、導電性基板表面の薄膜の構造を測定した。X線源としてはCuKα線を用い、管電圧45kV、管電流200mAの条件で実施した。薄膜法でスキャン速度が毎分2°、ステップ角が0.05°の条件で測定した。
(表面抵抗の測定)
実施例1〜12、比較例1〜4の導電性基板の表面抵抗を測定した。測定装置には(株)ダイアインスツルメンツ製のロレスタGPを用い、PSPプローブを用いて導電性基板に4つの針が接触するようにして、4探針法にて表面抵抗を測定した。
[第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子の製造;合成例1〜2]
以下の合成例1〜2に示す方法で、本発明に用いられる第6族遷移金属炭化物含有ナノ粒子を調製した。
[合成例1]
次の手順で、n−ヘキサデシルアミンで保護されたモリブデン炭化物ナノ粒子を合成した。50ml三ッ口フラスコ中に、n−ヘキサデシルアミン 0.8g(Aldrich製)、n−オクチルエーテル 12.8g(東京化成工業(株)製)を量り取り、攪拌しながら減圧し、低揮発成分除去のために室温(24℃)にて1時間放置した。真空下から大気雰囲気へ変更し、モリブデンヘキサカルボニル 0.8g(関東化学(株)製)を添加した。この混合液をアルゴンガス雰囲気とし、攪拌しながら280℃まで加熱し、その温度を1時間維持した。その後、この混合液を室温(24℃)まで冷却し、アルゴンガス雰囲気から大気雰囲気へ変更した後、エタノール 20gを滴下した。次いで、遠心分離によって沈殿物を反応液から分離した後、下記に示す手順で再沈殿による精製を行った。
すなわち、沈殿物をクロロホルム 3gと混合して分散液とし、この分散液にエタノール 6gを滴下することにより精製された沈殿物を得た。
このようにして得られた再沈殿液を遠心分離し沈殿物を反応液から分離した後、乾燥することにより、精製された黒色のナノ粒子粉末を得た。
X線回折法による測定の結果、得られた黒色粉末はモリブデン炭化物であった。
モリブデン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を動的光散乱法にて測定した結果、個数平均一次粒径は5.6nmであった。また、モリブデン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を透過型電子顕微鏡像より測定した結果、5nm程度であった。
上記モリブデン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を動的光散乱法にて測定した結果(粒径分布のヒストグラム)を図1に示す。また、該モリブデン炭化物ナノ粒子粉末の透過型電子顕微鏡像を図2に示す。
[合成例2]
次の手順で、n−ヘキサデシルアミンで保護されたタングステン炭化物含有ナノ粒子を合成した。50ml三ッ口フラスコ中に、n−ヘキサデシルアミン 0.4g(関東化学(株)製)、1−オクタデセン 11.8g(Aldrich製)を量り取り、攪拌しながら減圧し、低揮発成分除去のために室温(24℃)にて1時間放置した。真空下から大気雰囲気へ変更し、タングステンヘキサカルボニル 1.1g(Aldrich製)を添加した。この混合液をアルゴンガス雰囲気とし、攪拌しながら280℃まで加熱し、その温度を1時間維持した。その後、この混合液を室温(24℃)まで冷却し、アルゴンガス雰囲気から大気雰囲気へ変更した後、イソプロピルアルコール/エタノール混合溶液(混合重量比 2:1) 30gを滴下した。次いで、遠心分離によって沈殿物を反応液から分離した後、下記に示す手順で再沈殿による精製を行った。
すなわち、沈殿物をクロロホルム 10gと混合して分散液とし、この分散液にエタノール 15gを滴下することにより精製された沈殿物を得た。
このようにして得られた再沈殿液を遠心分離し沈殿物を反応液から分離した後、乾燥することにより、精製された茶色のナノ粒子粉末を得た。
X線回折法による測定の結果、得られた茶色粉末はタングステン炭化物であった。
タングステン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を動的光散乱法にて測定した結果、個数平均一次粒径は7.9nmであった。またタングステン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を透過型電子顕微鏡像より測定した結果、5nm程度であった。
[導電性基板の製造:実施例1〜12及び比較例1〜4]
以下に示す方法を用いて、実施例1〜12及び比較例1〜4の導電性基板を製造した。
[実施例1]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡 S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、2.5×102Ω/□であった。
[実施例2]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分20質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約200nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、1.1×102Ω/□であった。
[実施例3]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、300℃にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約100nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、1.7×102Ω/□であった。
図3に、得られた導電性基板における導電性薄膜の断面の走査型電子顕微鏡像を示す。
[実施例4]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分20質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、300℃にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、7.1×101Ω/□であった。
[実施例5]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、アルゴン100%の不活性ガス雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、2.8×104Ω/□であった。
[実施例6]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、300℃にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、アルゴン100%の不活性ガス雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約100nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン二酸化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、2.7×102Ω/□であった。
[実施例7]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で300℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、3.3×103Ω/□であった。
[実施例8]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で400℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、1.3×103Ω/□であった。
[実施例9]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により焼成処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量10sccm、マイクロ波出力1500Wで120秒間処理を実施した。
焼成後、目視にて基材の損傷などは確認されなかった。
焼成後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約100nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、3.2×102Ω/□であった。
[実施例10]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分20質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により焼成処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力10Pa、水素流量10sccm、マイクロ波出力1500Wで120秒間処理を実施した。
焼成後、目視にて基材の損傷などは確認されなかった。
基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約250nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、4.0×102Ω/□であった。
[実施例11]
合成例2で作製したタングステン炭化物含有ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、タングステン炭化物含有ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したタングステン炭化物含有ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約100nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がタングステン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、2.4×104Ω/□であった。
[実施例12]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分20質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、インクジェット記録装置 DMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)により、線幅が約2mmのラインからなる電極パターンを印刷により形成した後、300℃にて1時間大気乾燥させ、印刷層を形成した。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で500℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の印刷層部分の薄膜が、ナノ粒子が融着してなる融着層となっていることを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られた。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の印刷層部分の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の印刷層部分の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、1.1×102Ω/□であった。
[比較例1]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
乾燥後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、形成した薄膜中のナノ粒子が融着していないことを確認し、その膜厚は約200nmであった。
形成した薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて形成した薄膜を測定した結果、該薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
形成した薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、導電性はみられなかった。
[比較例2]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、300℃にて1時間大気乾燥させた。
乾燥後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、形成した薄膜中のナノ粒子が融着していないことを確認し、その膜厚は約150nmであった。
形成した薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて形成した薄膜を測定した結果、該薄膜の主成分がモリブデン酸化物であることを確認した。
形成した薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、導電性はみられなかった。
[比較例3]
合成例1で作製したモリブデン炭化物ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、モリブデン炭化物ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したモリブデン炭化物ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
その後、電気炉(ネムス(株)製)にて、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気にて10℃/分で200℃まで昇温後60分保持して焼成した後、自然冷却した。
焼成処理後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、焼成後の薄膜中のナノ粒子が融着していないことを確認し、その膜厚は約150nmであった。
焼成後の薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて焼成後の薄膜を測定した結果、焼成後の薄膜の主成分がモリブデン炭化物であることを確認した。
焼成後の薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、導電性はみられなかった。
[比較例4]
合成例2で作製したタングステン炭化物含有ナノ粒子を固形分10質量%の濃度でシクロヘキサノン(純正化学(株)製)溶媒中に分散させ、タングステン炭化物含有ナノ粒子分散液を作製した。
次に、ガラス基板(日本電気硝子(株)製、OA−10G、厚み0.7mm)上に、スピンコート法を用いて、調製したタングステン炭化物含有ナノ粒子分散液を塗布して薄膜を形成した後、室温(24℃)にて1時間大気乾燥させた。
乾燥後の基板断面を走査型電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ製)にて観察したところ、形成した薄膜中のナノ粒子が融着していないことを確認し、その膜厚は約150nmであった。
形成した薄膜には金属光沢が見られなかった。
X線回折装置((株)リガク製、Smart Lab)にて形成した薄膜を測定した結果、該薄膜の主成分がタングステン炭化物であることを確認した。
形成した薄膜の表面抵抗を表面抵抗計 ロレスタGP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用い、PSPプローブを用いた4探針法にて測定した結果、導電性はみられなかった。
表1の結果に示すように、実施例1〜12において製造された基板は、第6族遷移金属炭化物及び/又は第6族遷移金属二酸化物を含むナノ粒子が融着した構造を有する薄膜を備えているため、いずれも導電性を示すことがわかる。
また、本発明の導電性基板の製造方法において、実施例1及び2と、実施例3及び4との対比から、基板上に塗布した薄膜を焼成する前に、大気下で200〜400℃で加熱する工程を行うと、得られた導電性基板の導電性が向上することがわかる。
実施例1及び3と、実施例5及び6との対比から、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気下で焼成を行った方が、不活性ガスのみの雰囲気下で焼成を行った場合よりも、得られた導電性基板の導電性が向上することがわかる。
さらに、実施例6に示したように、基板上に形成したモリブデン炭化物を含む薄膜を、大気下で200〜400℃で加熱した後、不活性ガスのみの雰囲気下で焼成を行った場合には、得られた導電性薄膜の主成分はモリブデン二酸化物であることがわかる。
実施例1〜12において製造された導電性基板は、300℃以上の温度で焼成処理を行っていることからも明らかであるように、耐熱性にも優れる。
また、図1には、合成例1で得られたモリブデン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径を動的光散乱法にて測定した結果(粒径分布のヒストグラム)を示し、図2には、該モリブデン炭化物ナノ粒子粉末の透過型電子顕微鏡像を示した。図3には、実施例3で得られた導電性基板における導電性薄膜の断面の走査型電子顕微鏡像を示した。
図3に示すように、実施例3で得られた導電性薄膜においては、該薄膜中に数100nm〜数μmサイズの塊構造が形成されていることがわかる。一方、該薄膜の形成に用いたモリブデン炭化物ナノ粒子粉末の平均一次粒径は、図1及び図2に示す測定結果から、それぞれ5.6nm及び5nmであった。したがって、得られた導電性薄膜中には、用いたモリブデン炭化物ナノ粒子よりも大きいサイズの構造が形成されており、このことから、実施例3で得られた上記導電性薄膜はナノ粒子が融着してなる構造を有していることがわかる。他の実施例においても同様の観察結果が得られた。
なお、比較例1〜4で得られた薄膜においては、該薄膜の形成に用いたナノ粒子よりも大きいサイズの構造が形成されていることは確認できなかった。
本発明によれば、真空プロセスを用いることなく、第6族遷移金属及びその炭化物の融点よりも大幅に低い温度で焼成することにより、導電性の薄膜を備える導電性基板を低コストで形成することができる。
このような導電性基板は、CIS系太陽電池の裏面電極等に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. 下記工程(I)及び工程(II)を有する、導電性基板の製造方法。
    工程(I):基材上に、モリブデン炭化物を含むナノ粒子を含有する薄膜を形成する工程
    工程(II):不活性ガス及び/又は還元性ガス雰囲気下で該薄膜を焼成する工程
  2. 前記工程(I)が、基材上に、前記モリブデン炭化物を含むナノ粒子を含有する塗布液をパターン状に印刷して、前記モリブデン炭化物を含むナノ粒子を含有するパターン状の薄膜を形成する工程である、請求項に記載の導電性基板の製造方法。
  3. 前記モリブデン炭化物を含むナノ粒子の平均一次粒径が、1〜15nmである、請求項1又は2に記載の導電性基板の製造方法。
  4. 前記モリブデン炭化物を含むナノ粒子が、前記モリブデン炭化物に、有機基を有する保護剤が連結基により連結してなるナノ粒子を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
  5. 前記連結基が、下記一般式(1−a)〜(1−o)で表される官能基より選択される少なくとも1種である、請求項に記載の導電性基板の製造方法。
    (式中、Z1、Z2及びZ3は、各々独立にハロゲン原子、水素原子又はアルコキシ基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
  6. 前記工程(II)の前に、前記工程(I)で形成した薄膜を、大気下で200〜400℃で乾燥する工程を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
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