JP5629159B2 - ランフラットタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

ランフラットタイヤ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5629159B2
JP5629159B2 JP2010180923A JP2010180923A JP5629159B2 JP 5629159 B2 JP5629159 B2 JP 5629159B2 JP 2010180923 A JP2010180923 A JP 2010180923A JP 2010180923 A JP2010180923 A JP 2010180923A JP 5629159 B2 JP5629159 B2 JP 5629159B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
run
coating film
flat tire
rubber layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010180923A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012040890A (ja
Inventor
洋二 井本
洋二 井本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2010180923A priority Critical patent/JP5629159B2/ja
Publication of JP2012040890A publication Critical patent/JP2012040890A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5629159B2 publication Critical patent/JP5629159B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)

Description

本発明は、タイヤ質量の増加を抑制しつつ、ランフラット耐久性を大幅に向上しうるランフラットタイヤ及びその製造方法に関する。
近年、サイドウォール部の内側に断面略三日月状のサイド補強ゴム層を具えたサイド補強型のランフラットタイヤが知られている。このようなランフラットタイヤは、パンク時において、サイド補強ゴム層が空気圧に代わってタイヤ荷重を支え、例えば60〜80km/hの速度で、一定の距離を継続して走行できる(以下、このような走行を「ランフラット走行」と呼ぶことがある)。
ところで、ランフラットタイヤといえども、サイド補強ゴム層は、ランフラット走行時の走行距離に比例して発熱し、ある限界を越えると熱劣化により最終的には破壊する。このようなサイド補強ゴム層の破壊を遅らせて、ランフラット走行距離を伸ばすため、ビード部のタイヤ内腔側に、タイヤ部材の熱を放熱する熱伝導性ゴムを設けたランフラットタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このような熱伝導性ゴムは、リムに接触するように配置され、タイヤの熱がリムを介して放熱される。
特開2007−182095号公報
しかしながら、上述の熱伝導性ゴムは、そのタイヤ半径方向外端が、リムフランジのタイヤ半径方向外端よりも内側で終端する。このため、ランフラット走行時に最も発熱し易いサイド補強ゴム層自体の熱を吸収する効果が小さく、ランフラット耐久性を向上させるには、さらなる改善の余地があった。また、このような熱伝導性ゴムは、タイヤ質量の増加を招き、燃費性能及び転がり抵抗性を低下させるという問題もあった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤ内腔面に、熱伝導率が0.3W/(m・K)以上である良熱伝導性の塗膜を形成するとともに、塗膜の少なくとも一部を、サイド補強ゴム層をタイヤ内腔面に投影したサイド補強ゴム層投影領域に設けることを基本として、タイヤ質量の増加を抑制しつつ、ランフラット耐久性を大幅に向上しうるランフラットタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、前記サイドウォール部のカーカスの内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、タイヤ内腔面に、熱伝導率が0.3W/(m・K)以上である良熱伝導性の塗膜が形成されるとともに、前記塗膜の少なくとも一部は、前記サイド補強ゴム層をタイヤ内腔面に投影したサイド補強ゴム層投影領域に設けられ、前記塗膜は、前記タイヤ内腔面の前記サイド補強ゴム層投影領域から少なくとも前記ビード部のビード底面まで連続して露出して形成されていることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記塗膜は、前記タイヤ内腔面の前記サイド補強ゴム層投影領域から前記ビード部のビード外面まで連続して露出して形成されている請求項1に記載のランフラットタイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記塗膜は、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料の硬化物からなる請求項1又は2に記載のランフラットタイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記塗料は、前記熱伝導性物質の含有量が30wt%以上である請求項3に記載のランフラットタイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記熱伝導性物質の粒子径が20〜100μmである請求項3又は4に記載のランフラットタイヤである。
また、請求項6記載の発明は、前記塗膜は、厚さが30〜60μmである請求項1乃至5の何れかに記載のランフラットタイヤである。
また、請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載されたランフラットタイヤの製造方法であって、加硫成形前の生タイヤのタイヤ内腔面に、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料を塗布する工程と、前記塗料が塗布された生タイヤを加硫成形する工程とを含むことを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載されたランフラットタイヤの製造方法であって、加硫成形されたランフラットタイヤのタイヤ内腔面に、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料を塗布する工程と、前記塗料を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。
なお、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
さらに「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
本明細書において、塗膜の熱伝導率は、ASTME 1461のレーザーフラッシュ法に準拠し、NETZSCH社製の測定機「LFA−447」にて以下の条件で測定される値とする。
測定温度:25℃(室温)
測定雰囲気:大気中
測定時間:60秒
試験片:塗膜と同じ組成物からなる試験片
試験片形状:直径1cm、厚み1mm
試験片の表面性状:平滑
本発明のランフラットタイヤは、タイヤ内腔面に熱伝導率が0.3W/(m・K)以上である良熱伝導性の塗膜が形成されるとともに、該塗膜の少なくとも一部が、サイド補強ゴム層をタイヤ内腔面に投影したサイド補強ゴム層投影領域に設けられる。このような大きな熱伝導率を有する塗膜は、ランフラット走行時に発熱するサイド補強ゴム層の熱を吸収し、タイヤ内腔に逃がすことができる。従って、ランフラット耐久性を大幅に向上しうる。しかも、塗膜は、熱伝導性ゴムと比べて、その厚さを薄く形成できるので、タイヤ質量を増加させることもない。さらに、塗膜は、タイヤ内腔面に塗布することにより、容易に設けることができるので、生産性を向上しうる。
本発明のランフラットタイヤの一形態を例示する断面図である。 図1のサイドウォール部等を拡大して示すとともに塗膜を誇張して示す断面図である。 塗膜の厚さと熱伝導率との関係を示すグラフである。 (a)は塗膜及び熱伝導性ゴムを有さないランフラットタイヤ、(b)熱伝導性ゴムのみを有するランフラットタイヤを示す断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態のランフラットタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたベルト層7と、各サイドウォール部3のカーカス6の内側に配されたサイド補強ゴム層9とを具えた乗用車用のものが示される。また、ランフラットタイヤ1は、カーカス6ないしサイド補強ゴム層9の内側に、インナーライナーゴム10が配されている。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば80〜90度の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。カーカスコードとしては、例えばポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードや必要によりスチールコードが採用される。
またカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりかつビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを有する。カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックスゴム8が配され、ビード部4が適宜補強される。
本実施形態では、前記カーカス6の折返し部6bが、前記ビードエーペックスゴム8を半径方向外側に超えて巻き上がり、その外端部6beが、本体部6aとベルト層7との間に挟まれて終端する所謂超ハイターンアップの折り返し構造を具える。これにより、1枚のカーカスプライ6Aを用いて、サイドウォール部3が効果的に補強されうる。また折返し部6bの外端部6beが、ランフラット走行時に大きく撓むサイドウォール部3から離れるため、該外端部6beを起点とした損傷を好適に抑制しうる。
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜35度の小角度で傾けて配列した少なくとも2枚、本例ではタイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bをコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。ベルトコードは、本例ではスチールコードが採用されているが、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維コードも必要に応じて用いうる。
前記サイド補強ゴム層9は、カーカス6のタイヤ軸方向内側かつインナーライナーゴム10のタイヤ軸方向外側で、タイヤ周方向に連続して配される。また、サイド補強ゴム層9は、カーカスプライ6Aの本体部6aに対して法線方向に測定される厚さrが、中央部からタイヤ半径方向の内端9i及び外端9oに向かって漸減する断面略三日月状に形成される。
また、前記サイド補強ゴム層9の内端9iは、例えば、ビードエーペックスゴム8の外端8tよりもタイヤ半径方向内側、かつビードコア5よりもタイヤ半径方向外側に設けられる。これにより、サイドウォール部3からビード部4にかけての曲げ剛性がバランス良く向上する。また、サイド補強ゴム層9の外端9oは、例えば、ベルト層7の外端7eよりもタイヤ軸方向内側の位置に設けられる。これにより、バットレス部B等の剛性が効果的に高められる。
サイド補強ゴム層9の内端9i及び外端9o間のタイヤ半径方向の長さH1は、例えば、ビードベースラインBLからのタイヤ断面高さH2の35〜70%程度に形成されるのが望ましい。また、サイド補強ゴム層9の最大厚さrtは、例えば、乗用車用タイヤの場合、5〜20mm程度に形成されるのが望ましい。また、サイド補強ゴム層9のゴム硬度は、例えば、60〜95度程度に設定されるのが望ましい。これらの構成により、乗り心地とサイドウォール補強効果とを高い次元で両立させることができる。
なお、本明細書において、前記「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さとする。
前記インナーライナーゴム10は、タイヤ内腔iの空気を保持するために、ほぼビード部4、4間を跨るようにトロイド状に配され、タイヤ1のタイヤ内腔面12の主要部を形成している。また、インナーライナーゴム10には、例えば、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム及び/又は臭素化ブチルゴムなどのようなガスバリア性を有するゴム組成物が用いられる。
そして、本実施形態のランフラットタイヤ1では、タイヤ内腔面12に、熱伝導率が0.3W/(m・K)以上である良熱伝導性の塗膜11が形成される。この塗膜11の少なくとも一部は、図2に示されるように、サイド補強ゴム層9をタイヤ内腔面12に投影したサイド補強ゴム層投影領域Tに設けられる。
前記「サイド補強ゴム層投影領域T」とは、サイド補強ゴム層9の外端9o、内端9iからタイヤ内腔面12にのびる法線L1、L2間で挟まれるタイヤ内腔面12の領域とする。なお、図2には、これらの法線L1、L2とタイヤ内腔面12との交点Ti、Toが示される。
このような塗膜11は、上記のように大きな熱伝導率を有するため、ランフラット走行時に発熱するサイド補強ゴム層9の熱を、インナーライナーゴム10を介して吸収し、タイヤ内腔iへ逃がすことができる。これにより、本実施形態のランフラットタイヤ1は、熱劣化によるサイド補強ゴム層9の破壊が抑制され、ランフラット耐久性を大幅に向上しうる。
また、塗膜11は、従来の熱伝導性ゴムと比べて、塗装によって形成されるため、その厚さを薄くでき、タイヤ質量の大幅な増加を招くことがなく、燃費性能及び転がり抵抗性を低下させることもない。
上記作用をより効果的に発揮させるために、前記サイド補強ゴム層投影領域Tにおける塗膜11のタイヤ半径方向の長さH4は、該サイド補強ゴム層投影領域Tの長さH3の好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは100%が望ましい。
さらに、前記塗膜11は、タイヤ内腔面12の全域に設けられるのが好ましい。このような塗膜11は、サイド補強ゴム層9のみならず、トレッド部2やバットレス部Bの熱をも逃がすことができ、ランフラット耐久性をさらに向上しうる。
また、塗膜11は、図1に示されるように、サイド補強ゴム層投影領域T内から少なくともビード部4のビード底面4aまで、より好ましくはビード部4のビード外面4bまで連続して形成されるのが好ましい。このような塗膜11は、リムRのリムシート面RsやリムフランジRfに当接し、サイド補強ゴム層9の熱を該リムRへと逃がすことができる。従って、より効果的にサイド補強ゴム層9の熱を放出することができる。
さらに、塗膜11の少なくとも一部は、リムフランジRfとビード部4との離反点J(図1に示す)を越えてのばすこともできる。このような塗膜11は、外気(大気)に曝されて、サイド補強ゴム層9の熱を外気に直接放出でき、さらに効果的に熱を放出することができる。この場合、ビード外面4bにおける塗膜11のビードベースラインBLからの高さH5は、リムRのリムフランジRfのビードベースラインBLからの高さH6の、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上が望ましく、また、好ましくは120%以下、さらに好ましくは110%以下が望ましい。
このような塗膜11は、例えば、熱伝導性物質を含有した液状ゴムからなる塗料を、タイヤ内腔面12に塗布して硬化させる事により容易に形成できる。具体的には、加硫成形後のランフラットタイヤ1又は加硫前の生タイヤのタイヤ内腔面12に、例えば、刷毛やスプレーガン等により塗料を塗布して、乾燥、硬化させることにより形成できる。このような方法では、塗膜11を容易に形成でき、製造工程を複雑化することなく、生産性を向上しうる。
前記液状ゴムは、基材ゴムと、基材ゴムを溶解する揮発性の有機溶剤とを含んで構成される。
前記基材ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、イソブチレン−イソプレン共重合体(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリクロロプレン(CR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン−イソプレン共重合体及びイソプレン−ブタジエン共重合体が例示される。これらは1種又は2種以上が併用されてもよい。
また、塗料100wt%中の基材ゴムの含有量としては、適宜設定できるが、少なすぎると、タイヤ内腔面12への定着性が悪化するおそれがあり、逆に、多すぎても、有機溶剤に十分に溶解できないおそれがあるとともに、粘性が大きくなりすぎて、ゴム表面に塗布又はスプレーができなくなるおそれがある。このような観点より、塗料100wt%中の基材ゴムの含有量は、好ましくは20wt%以上が好ましく、さらに好ましくは30wt%以上が望ましく、また、好ましくは90wt%以下、さらに好ましくは85wt%以下が望ましい。
前記熱伝導性物質としては、例えば、カーボン(黒鉛)及び/又は金属が好ましい。本実施形態のカーボン及び金属は、液状ゴム中に分散させるために、粉末状のものが採用される。カーボンとしては、例えば、FEF(N550)(粒子径40〜47nm)、SRF(N700)(61〜100nm)、FT(N800)(粒子径101〜200nm)等が例示されるが、熱伝導率と液状ゴム分散の観点から、SRF(N700)が好ましい。また、金属としては、例えば、銀(420W/(m・K))、アルミニウム(236W/(m・K))、鉄(84W/(m・K))、銅(398W/(m・K))等が例示されるが、熱の伝導性及び金属安定性の観点からアルミニウムが好ましい。
熱伝導性物質の粒子径は、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上が望ましく、また、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下が望ましい。前記粒子径が小さくなると、塗膜11の熱伝導率を十分に大きくできないおそれがあり、逆に、粒子径が大きくなると、熱伝導性物質が液状ゴムに十分に分散できないおそれがある。
また、塗料100wt%中の熱伝導性物質の含有量についても、適宜設定できるが、少なすぎると、熱伝導率が十分に向上できずにサイド補強ゴム層9の熱を十分に吸収できないおそれがあり、逆に、多すぎても、液状ゴムに十分に分散できないおそれがある。このような観点より、塗料100wt%中の熱伝導性物質の含有量は、好ましくは10wt%以上、さらに好ましくは20wt%以上が望ましく、また、好ましくは70wt%以下、さらに好ましくは60wt%以下が望ましい。
図3には、塗膜11の厚さW1と熱伝導率との関係を示すグラフが示される。この塗膜11は、例えば、天然ゴムからなる基材ゴム40wt%、粒子径61〜100μmのSRF(N700)からなる熱伝導性物質20wt%、及びシンナーからなる有機溶媒40wt%含む。発明者らの種々の実験の結果、上述の塗膜11は、その厚さW1が30μm以上のときに、熱伝導率が飛躍的に向上することが確認できた。一方、厚さW1が70μmを越えても、熱伝導率の向上が見込めないことも確認できた。従って、塗膜11の厚さW1は、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上が望ましく、また、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下が望ましい。
塗膜11の熱伝導率は、サイド補強ゴム層9の熱を効果的に吸収するために、より好ましくは0.45W/(m・K)以上、さらに好ましくは0.70W/(m・K)以上が特に望ましい。一方、熱伝導率を高めるためには、熱伝導性物質を多量に配合する必要があるが、その結果、液状ゴムに十分に分散できないという不具合が生じるおそれがある。このような観点より、塗膜11の熱伝導率は、好ましくは5W/(m・K)以下、さらに好ましくは4.5W/(m・K)以下が特に好ましい。
また、前述のように、生タイヤのタイヤ内腔面12に、塗料を塗布して硬化させる場合には、液状ゴムに硫黄が含まれるのが好ましい。これにより、生タイヤの加硫形成時に、基材ゴムのゴム分子同士が架橋され、塗膜11がタイヤ内腔面12に強固に定着しうる。なお、硫黄とともに又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよく、硫黄と共に加硫促進剤が含まれても良い。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す塗膜を除いた基本構造をなし、かつ表1に示す塗膜を有するランフラットタイヤを試作するとともに、それらの性能を比較した。加硫前に塗料を塗布する場合は、生タイヤのタイヤ内腔面に該塗料をスプレーガンで塗布した後、室温下で1時間放置後、170℃、20分間加硫を行なった。また、加硫後に塗料を塗布する場合は、加硫後のランフラットタイヤのタイヤ内腔面に該塗料をスプレーで塗布した後、室温下で24時間放置した。
また、比較のために、図4(a)に示される塗膜及び熱伝導性ゴムが配されないランフラットタイヤ(比較例1)、黒鉛50PHR配合された熱伝導率0.36W/(m・K)のインナーライナーを有するランフラットタイヤ(比較例2)、及び図4(b)に示されるように、熱伝導率0.68W/(m・K)の熱伝導性ゴムが配されたランフラットタイヤ(比較例3)についても、同様の試験が行なわれた。
なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:245/40R18
リムサイズ:18×8.5J
サイド補強ゴム層投影領域の長さH3:52(mm)
リムのリムフランジの高さH6:17.5(mm)
各塗膜の配合については、表2に示した。詳細は次の通りである。
天然ゴム(NR):RSS#3
有機溶剤:和光純薬工業(株)製トルエン
カーボン:昭和キャボット(株)製N762
金属:昭和電工(株)製球状アルミナ
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進補助剤:タッキロールV200(田岡化学工業(株)製)
SRF:東海カーボン(株)製のシーストS
FEF:東海カーボン(株)製のシーストSO
FT:東海カーボン(株)製のシーストFT
なお、塗膜は、1〜2mm角に粉砕した天然ゴム(NR)、トルエンの中に3回ずつに分けて添加して3日間攪拌し、上記添加物を加えて2日攪拌して製造した。
テストの方法は次の通りである。
<ランフラット耐久性>
各供試タイヤがバルブコアを取り去った上記リムにリム組みされ、内圧零の状態でドラム試験機上を速度80km/h、縦荷重4.14kNの条件にて走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離が測定された。結果は、比較例1を100とする指数である。数値が大きいほど良好である。
<タイヤ質量>
タイヤ1本当たりの質量を測定し、その逆数を比較例1を100とする指数で表示している。指数は小さい方が良好である。
テスト結果などを表1及び表2に示す。
Figure 0005629159
Figure 0005629159
Figure 0005629159
テストの結果、実施例のランフラットタイヤは、タイヤ質量の増加を抑制しつつ、ランフラット耐久性を大幅に向上しうることが確認できた。
1 ランフラットタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
9 サイド補強ゴム層
11 熱伝導性ゴム
12 タイヤ内腔面

Claims (8)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、前記サイドウォール部のカーカスの内側に配された断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具えるランフラットタイヤであって、
    タイヤ内腔面に、熱伝導率が0.3W/(m・K)以上である良熱伝導性の塗膜が形成されるとともに、
    前記塗膜の少なくとも一部は、前記サイド補強ゴム層をタイヤ内腔面に投影したサイド補強ゴム層投影領域に設けられ、
    前記塗膜は、前記タイヤ内腔面の前記サイド補強ゴム層投影領域から少なくとも前記ビード部のビード底面まで連続して露出して形成されていることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記塗膜は、前記タイヤ内腔面の前記サイド補強ゴム層投影領域から前記ビード部のビード外面まで連続して露出して形成されている請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  3. 前記塗膜は、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料の硬化物からなる請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記塗料は、前記熱伝導性物質の含有量が30wt%以上である請求項3に記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記熱伝導性物質の粒子径が20〜100μmである請求項3又は4に記載のランフラットタイヤ。
  6. 前記塗膜は、厚さが30〜60μmである請求項1乃至5の何れかに記載のランフラットタイヤ。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載されたランフラットタイヤの製造方法であって、
    加硫成形前の生タイヤのタイヤ内腔面に、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料を塗布する工程と、
    前記塗料が塗布された生タイヤを加硫成形する工程とを含むことを特徴とするランフラットタイヤの製造方法。
  8. 請求項1〜6の何れかに記載されたランフラットタイヤの製造方法であって、
    加硫成形されたランフラットタイヤのタイヤ内腔面に、液状ゴムにカーボン及び/又は金属からなる熱伝導性物質を含有した塗料を塗布する工程と、
    前記塗料を硬化させる工程とを含むことを特徴とするランフラットタイヤの製造方法。
JP2010180923A 2010-08-12 2010-08-12 ランフラットタイヤ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5629159B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010180923A JP5629159B2 (ja) 2010-08-12 2010-08-12 ランフラットタイヤ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010180923A JP5629159B2 (ja) 2010-08-12 2010-08-12 ランフラットタイヤ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012040890A JP2012040890A (ja) 2012-03-01
JP5629159B2 true JP5629159B2 (ja) 2014-11-19

Family

ID=45897694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010180923A Expired - Fee Related JP5629159B2 (ja) 2010-08-12 2010-08-12 ランフラットタイヤ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5629159B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6423584B2 (ja) * 2013-06-13 2018-11-14 住友ゴム工業株式会社 非空気式タイヤ
JP6153261B2 (ja) * 2013-12-11 2017-06-28 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ、ランフラットタイヤ及びその製造方法
JP6597738B2 (ja) * 2017-08-29 2019-10-30 住友ゴム工業株式会社 非空気式タイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012040890A (ja) 2012-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5222250B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP5986513B2 (ja) 重荷重用タイヤ
RU2562657C2 (ru) Большегрузная пневматическая шина
JP5395739B2 (ja) 車両
JP2005112042A (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP5550039B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5134249B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP6013908B2 (ja) 重荷重用タイヤ
JP2007069775A (ja) ランフラットタイヤ
JP5629159B2 (ja) ランフラットタイヤ及びその製造方法
JP3894563B2 (ja) 乗用車用空気入りタイヤ
JP6322041B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP2004359096A (ja) 空気入りタイヤ
JP2005199949A (ja) 空気入りタイヤ
JP2011005894A (ja) 空気入りタイヤ
JP2011178318A (ja) ランフラットタイヤ
JP2007182095A (ja) 空気入りタイヤ
JP2007276620A (ja) ランフラットタイヤ
JP4566788B2 (ja) 乗用車用空気入りタイヤ
JP2008207731A (ja) 空気入りランフラットタイヤ及びその製造方法
JP7190896B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7187882B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP7287187B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP7287193B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2006257239A (ja) 二輪車用フロント空気入りラジアルタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140304

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5629159

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees