JP5627223B2 - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、大容量の情報記録が可能な磁気記録媒体に係り、特に高密度磁気記録に好適な垂直磁気記録媒体に関するものである。
垂直磁気記録方式は、隣接する磁化が向き合わないために記録状態が安定であり、本質的に高密度記録に適した方式である。垂直磁気記録媒体は、一般的に軟磁性下地層とシード層、中間層、磁気記録層を積層した構造からなる。軟磁性下地層は磁気ヘッドから発生する磁界の広がりを抑え、効率的に磁気記録層を磁化する役割をもつ。シード層は中間層及び磁気記録層の結晶配向を整えるとともに、結晶粒径を制御する役割をもつ。中間層は、磁気記録層の配向を制御し、記録層の磁気的分離を促進する役割をもつ。磁気記録層には、一般的にCoCrPt合金にSiO2等の酸化物を添加したグラニュラ型の記録層が用いられており、従来のCoCrPt系媒体に比較して、媒体ノイズが低く熱減磁にも強いとされている。従来の垂直磁気記録装置については、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特開2003−178412号公報 特開2002−334424号公報 特開2005−93040号公報
記録再生の性能や記録密度をさらに向上させる為には、磁気記録層の結晶配向を維持しつつ、結晶粒径を微細化し、結晶粒の磁気的分離を促進することが必要である。シード層や中間層を薄くすることにより、結晶粒径は微細化することができる。しかしながら、この方法では、結晶配向が劣化し、また磁気記録層の磁気的分離も不十分となる。したがって、磁気記録層の結晶粒のサイズや構造を制御するためには、シード層や中間層の改良が必要となる。
特許文献1には、W、C、Mo、Cr,Ir,Pt,Re,Rh,Ta,Vからなる群から選択される材料を1種類以上添加したRuからなる非磁性下地層(上記中間層に相当)の下に、fcc構造をとるシード層と、シード層の配向性を向上するためにbcc構造もしくはアモルファス構造をとる非磁性配向制御層を形成する技術が開示されている。これにより、磁気記録層の結晶粒径を微細化でき、且つ初期層を低減することで単にシード層等を薄膜化して結晶粒径を微細化した場合に比べ、低ノイズ化が図れる。また、特許文献2には、RuにSi、Zr、Hf、Ti、Alなどの酸化物やB、Cを添加した配向制御層(上記中間層に相当)と、配向制御層の配向を制御するためのB2構造をとる配向下地層(上記シード層に対応)が開示されており、結晶粒径の微細化に一定の効果が得られる。しかしながら、これらの方法は、単にシード層等を薄膜化して結晶粒径を微細化した場合に比べれば配向性を向上することができるが、結晶粒径を微細化しない場合に比べると不十分である。これは、いずれも大量な金属及び酸化物を添加していることに起因していると考えられる。
また、文献3には中間層を2層構造とし、上部中間層はRuにSi、Alの酸化物、Ag、Cuを添加した合金で、下部中間層はRu或いはCo、Crから選ばれる少なくとも一種をRuに添加したRu合金で形成する方法が開示されている。上部中間層を下部中間層より低い成膜レートで形成するか、或いは高いガス圧の雰囲気中で形成することにより、結晶粒の磁気的分離を劣化させることなく、結晶粒径を微細化できる。しかしながら、膜厚が厚くなると分散が大きくなり、結晶配向性の維持や向上が困難である。これは、高ガス圧で酸化物を形成することに起因していると考えられる。記録再生の性能や記録密度をさらに向上させる為には、新たな技術開発が必要である。
本発明は上記問題に鑑み、磁気記録層の結晶粒径を微細化しても微細化する前の特性が劣化しない技術を開発すべくなされたものであり、本発明の目的は、磁気記録層の結晶配向性と結晶粒の磁気的分離を維持・向上しつつ、結晶粒径を微細化させることによって記録再生特性に優れた垂直磁気記録媒体を提供することにある。
上述の目的を達成するための一実施形態として、基板上に少なくとも軟磁性下地層、シード層、中間層、磁気記録層、保護層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、前記中間層は、少なくとも3層から構成され、第一および第三中間層は、Ru又はRu合金からなり、第二中間層は、酸素を含むRu合金からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体とする。
上記構成とすることにより、磁気記録層の平均結晶粒径が微細でありながら、優れた配向性と磁気的な孤立化(分離)が実現でき、結果として高記録密度が可能な垂直磁気記録媒体を提供することが出来る。
実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の基本構成を示す断面図である。 第一の実施例に係る垂直磁気記録媒体の構造を示す断面図である。 第三の実施例に係る垂直磁気記録媒体の構造を示す断面図である。
本実施の形態に係る垂直磁気記録媒体の基本構成を図1に示す。本垂直磁気記録媒体は、基板11上に密着層12、軟磁性下地層13、シード層14と、第一中間層151、第二中間層152、第三中間層153を有する中間層15と、垂直磁気記録層16、保護層17が順次形成されている。
以下に各層について詳細に説明する。
基板11は特に限定するものではないが、ガラス基板、NiPめっき膜をコーティングしたAl合金基板、セラミックス基板を用いることができる。
密着層12は、基板11との密着性、表面平坦性に優れていれば特に材料を限定するものではないが、Ni、Al、Ti、Ta、Cr、Zr、Co、Hf、Si、Bの少なくとも二種以上の金属を含む合金で構成することが好ましい。より具体的には、NiTa、AlTi、AlTa、CrTi、CoTi、NiTaZr、NiCrZr、CrTiAl、CrTiTa、CoTiNi、CoTiAl等を用いることができる。膜厚は、1nm〜40nmの範囲が好ましい。1nmより薄いと密着層としての効果が薄れ、40nmより厚いと基板温度が上昇するので好ましくない。
軟磁性層下地層13は、磁気ヘッドから発生する磁界の広がりを抑え、効率的に記録層16を磁化する役割を持つ。軟磁性下地層13は、飽和磁束密度(Bs)が少なくとも1テスラ以上で、ディスク基板の半径方向に一軸異方性が付与されており、ヘッド走行方向に測定した保磁力が2.4kA/m以下で、さらに表面平坦性に優れていれば特に材料を限定するものではない。具体的には、CoもしくはFeを主成分とし、これにTa、Hf、Nb、Zr、Si、B、C等を添加した非晶質合金を用いると上記特性が得られやすい。その膜厚は中間層15や磁気記録層16の材料や膜厚、評価に用いるヘッドとの組み合わせによって最適値が異なってくるが、概ね20nm〜100nmの範囲であることが好ましい。
軟磁性下地層13のシード層側の一部にfcc構造を有する合金を用いることもできる。これは軟磁性下地層13の上に形成されるシード層14の結晶性を制御することを目的として形成され、具体的にはCoFe或いはNiFeにTa、Nb、W、B、V等を添加した材料を用いることができる。膜厚は、中間層15や磁気記録層16の材料や膜厚、評価に用いるヘッドとの組み合わせによって最適値が異なってくるが、1nm〜10nmの範囲であることが好ましい。
軟磁性下地層13のノイズをより低減するために、軟磁性下地層13に非磁性層を挿入し、この非磁性層を介して上下の軟磁性層を反強磁性的或いは静磁気的に結合させる。非磁性層の上側の軟磁性層と下側の軟磁性層の磁気モーメントを等しくすると両層の間で磁束が還流し、両層の磁区状態がより安定化されるので好ましい。非磁性層に用いる材料としてはRu、Cr或いはCuを用いることが望ましい。上下軟磁性下地層の結合の大きさは磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が異なる。この場合、非磁性層の膜厚を変えて調整するか、或いは上記非磁性層にCo、Fe等の第3元素を添加して調整することが出きる。
シード層14は、中間層15の配向性と結晶性を制御することを目的として形成され、一般的にfcc構造を有する金属或いは合金が用いられている。具体的には、NiにCr,Ta,Ti,Nb,V,W,Mo,Cuから選ばれた1種以上の元素を含む合金を用いることができる。膜厚は、中間層15や磁気記録層16の材料や膜厚、評価に用いるヘッドとの組み合わせによって最適値が異なってくるが、1nm〜10nmの範囲であることが好ましい。1nmより薄いと中間層15としての効果が不十分となり、10nmより厚くなると結晶粒径が大きくなるので好ましくない。また、上記シード層14の結晶配向性を高めるために、シード層14の下にNiTa、Ta等の非晶質合金、Pd、Ti等のfcc構造やhcp構造の合金を形成することが出来る。膜厚は概ね1nm〜5nmが好ましい。
中間層15は、基板側から第一中間層151、第二中間層152及び第三中間層153の、少なくとも三層構造からなる。
第一中間層151はRu単体か、Ruを主成分とした合金を用いることができ、具体的には、Ru、或いはRuにTa、Cr、Ti、W、Nb、Co、Hfから選ばれた1種以上の元素を含む合金を用いることができる。第一中間層151は、hcp構造で(002)結晶配向していることが好ましい。また、第一中間層151は、上層の中間層或いは磁気記録層の結晶配向を制御する目的で形成されるため、ガス圧が低い状態で成膜することが好ましい。具体的には1Pa以下とすることが好ましい。低ガス圧で形成することにより、比較的表面粗さを抑えることができる。膜厚は1nm〜10nmの範囲が好ましく、2nm〜8nmの範囲がより好ましい。
第二中間層152は、酸化物を含むRu合金から形成される。具体的には、RuとTi、Ta、Cr、W、Nb、B、Si、Hf(追加しました)から選択される少なくとも1種類の元素との酸化物から形成される。第二中間層152は、六方最密結晶構造(hcp構造)で(002)結晶配向していることが好ましく、さらにグラニュラ構造を形成していることが好ましい。第二中間層152は磁気記録層の結晶配向と結晶粒径を制御(結晶配向性の向上、粒径増大の抑制)する目的で形成されるため、第一中間層151と同様にガス圧が低い状態で成膜することが好ましい。具体的には1Pa以下とすることが好ましい。低ガス圧で形成することによって、結晶配向を向上することができる。また、酸化物からなる粒界により、グラニュラ構造を形成しているため、第二中間層の結晶粒の粗大化を抑制することができる。膜厚は1nm〜12nmの範囲が好ましく、2nm〜8nmの範囲がより好ましい。
第三中間層153はRu単体か、Ruを主成分とした合金を用いることができ、具体的には、Ru、或いはRuにTa、Cr、Ti、W、Nb、Co、Hfから選ばれた1種以上の元素を含む合金を用いることができる。第三中間層153も、他の中間層と同様に、hcp構造で(002)結晶配向していることが好ましい。第三中間層153は磁気記録層16の磁気的分離を促進することを目的として形成されるため、ガス圧が高い状態で成膜することが好ましい。具体的には3Pa以上とすることが好ましい。高ガス圧で形成することにより、十分な表面粗さが得られ、磁気記録層16の磁気的な孤立化(分離)が促進される。膜厚は4nm〜15nmの範囲が好ましく、6nm〜12nmの範囲がより好ましい。
また、磁気記録層16の結晶粒の磁気的分離をより促進させるために、第三中間層153の上に、第四中間層として酸化物を含むRu合金を形成することも可能である。具体的には、RuとTi、Ta、Cr、W、Nb、B、Siから選択される少なくとも1種類の元素との酸化物から形成され、ガス圧が高い状態、具体的には3Pa以上で成膜することが好ましい。膜厚は0.5nm〜3nmの範囲が好ましい。0.5nmより薄いと効果が不十分となり、3nmより厚くなると粒径分散が大きくなり、結晶配向も劣化するので好ましくない。
垂直磁気記録層16としては、少なくともCoとPtを含む合金を用いることができる。具体的には、CoCrPtを主成分とし、X群(X:Ta、B,Si,Ti,Mo,W,Ru)から選択される少なくとも1種類の元素を含む合金を用いることができる。またCoCrPtを主成分とし、それに酸化物を添加したグラニュラ構造を有する合金を用いることもできる。具体的にはCoCrPt、或いはCoCrPt−X(Ta、B,Si,Ti,Mo,W,Ru)に、Y群(Y:Si、Ta、Ti,Cr,B、Nb)から選択される少なくとも1種類の酸化物を含む合金を用いることができる。さらに、 (Co/Pd)多層膜、(CoB/Pd)多層膜、(Co/Pt)多層膜、(CoB/Pt)多層膜等の人工格子膜を用いることができる。また、これらの膜を積層して用いることも可能である。
垂直磁気記録層16の保護層17としては、カーボンを主体とする厚さ2nm以上、5nm以下の膜を形成し、さらにパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を用いることが好ましい。これにより信頼性の高い垂直記録媒体が得られる。
磁気記録層16の磁気特性はKerr効果磁力計を用いて評価した。Ru及びRu合金中間層の結晶配向性については、X線回折装置を用いてRu(0002)回折のロッキングカーブを測定し、その半値幅Δθ50によって評価した。結晶粒の粒径は、透過電子顕微鏡による結晶粒像の観察、及びその画像解析によって評価した。
記録再生特性はスピンスタンド評価装置を用いて評価した。評価に用いたヘッドは、トレーリングシールド型記録素子と、スピンバルブ型再生素子を併せ持つ複合磁気ヘッドである。
以下、具体的な実施例について、図面を参照して説明する。
第1の実施例について図2を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態に記載され、本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
図2は本実施例に係る垂直磁気記録媒体の層構成を示す断面図である。基板11には厚さ0.8mm、直径65mm(2.5インチ型)のガラスディスク基板を用い、スパッタリング法により密着層12と、第一軟磁性層131、非磁性層132、第二軟磁性層133からなる軟磁性下地層13と、第一シード層141、第二シード層142からなるシード層14と、第一中間層151、第二中間層152、第三中間層153からなる中間層15と、第一記録層161、第二記録層162からなる磁気記録層16と保護層17を順次形成した。表1に本実施例で用いたターゲット組成とArガス圧および膜厚を示す。
Figure 0005627223
まず、基板11上に密着層12であるNiTaを20nm、その上に第一軟磁性層131であるFeCoTaZrを20nm、非磁性層132であるRuを0.4nm、第二軟磁性層133であるFeCoTaZrを20nm順に形成し、さらに第一シード層141であるNiTaを4nm、第二シード層142であるNiWを4nm形成した。次に、第一中間層151であるRuをArガス圧0.6Paで4nm形成し、第二中間層152であるRu−TaOをArガス圧0.6Paに対し酸素を10mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で8nm形成し、第三中間層153であるRuをArガス圧5Paで8nm形成した。第一記録層161であるCoCrPt−SiO2を、Ar圧力3.5Paに対し酸素を30mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で13nm、第二記録層162であるCoCrPtBを3nm形成した。保護層17は、カーボンを、Ar圧力0.6Paに対し、窒素を50mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で3nm形成した。最後に、パーフルオロアルキルポリエーテル系の材料をフルオルカーボン材で希釈した潤滑剤を塗布し、表面にバニッシュをかけて本実施例である垂直記録媒体1−1を作製した。
(比較例)
本実施例の比較として、表2に示すように、第二中間層152を形成しない媒体1−2、第二中間層152としてRuTaを形成した媒体1−3、第一中間層151にRu−TaOを形成した後、第二中間層152にRuを形成した媒体1−4、第二中間層152にArガス圧5PaでRuを形成した後、第三中間層153としてRu−TaOを形成した媒体1−5を用意した。ここで、特に断りがない限り第一中間層及び第二中間層は、Arガス圧0.6Paで成膜し、第三中間層はArガス圧5Paで成膜している。また、Ru−TaOは、Arガス圧0.6Paに対し、酸素を10mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で成膜している。上記以外の層構成は実施例1−1と同じである。それぞれの膜厚を表中の( )内に示した。
Figure 0005627223
これら実施例及び比較例の磁気記録媒体について、Ruの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価し、Δθ50、保磁力(Hc)、平均粒径、粒径分散及びSNRの結果を表3に示した。
Figure 0005627223
本実施例の媒体1−1はRuの結晶配向を維持したまま、磁気記録層の結晶粒径が微細化し、SNRが改善していることを確認した。これは粒径微細化により、ノイズが低減したためである。一方、Ru−TaOを用いていない従来の比較例媒体1−2とRu−TaOの代りにRuTaを用いた比較例媒体1−3は、結晶配向性及びSNRともに良好な値を示しているが、結晶粒径の微細化には至らなかった。また第一中間層及び第三中間層にRu−TaOを用いた比較例媒体1−4、1−5は保磁力が低下し、結晶配向、SNRともに劣化した。特に比較例媒体1−5は結晶粒がサブグレイン化し、粒径分散が大きくなることが確認された。
以上の結果から、高い結晶配向性、高いSNRを維持したまま、磁気記録層の結晶粒径を微細化するには、第二中間層にRu―TaOを用いることが有効であることが分かった。
次に、本実施例の媒体1−1と同じ層構成で、第二中間層152を成膜する際のスパッタガス圧を変えた媒体を作製し、前記手法にてRuの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0005627223
ガス圧をあげると、結晶粒径は微細化しているものの、粒径分散が大きくなり、結晶配向、SNRともに劣化する傾向があることが分かった。このことから、高い配向性とSNRを維持するためには、第二中間層を低いガス圧の状態で形成することが有効であることが分かった。
次に本実施例の媒体1−1と同じ層構成で、第二中間層のTa含有量の異なる媒体を作製し、前記手法にてRuの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価した。その結果を表5に示す。第二中間層を形成する際には、Arガス圧0.6Paに対し、酸素を10mPaの分圧で添加した。
Figure 0005627223
第二中間層のTa含有量を増やすと、結晶粒径は微細化するものの、分散は大きくなる傾向にあることが分かった。特に、Ta含有量が15at%の場合にSNRの劣化が大きいことから、Ta含有量は15at%より少ないことが好ましいことが分かった。
本実施例では、Ta含有量の上限は15at%であったが、添加元素によってその上限は異なる。また本実施例では、酸素分圧を10mPaと固定しているが、膜厚や組成によって、添加する酸素量の最適値は異なってくる。酸素の添加量を変えることで、結晶粒径を制御することができるが、酸素量が多すぎると、結晶粒のサブグレイン化や結晶配向の劣化につながる。したがって、いずれの組成に関しても酸素分圧は50mPaより低いことが好ましい。さらに、シード層や磁気記録層の材料や膜厚、評価に用いるヘッドとの組み合わせによっても、それらの最適値は異なる
また本実施例では、第二中間層をRu−Ta合金ターゲットを用いて、酸素を含有するプロセスガスの雰囲気中で形成したが、酸化物ターゲット(Ru−Ta2O3合金ターゲット)を用いても良い。
以上述べたように、本実施例によれば、第二中間層を酸素を含むRu合金層とすることにより、磁気記録層の結晶配向性と結晶粒の磁気的分離を維持・向上しつつ、結晶粒径を微細化させることによって記録再生特性に優れた垂直磁気記録媒体を提供することができた。
第2の実施例について以下説明する。なお、発明を実施するための形態又は実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
実施例1の媒体1−1と同じ層構成で第二中間層152の異なる媒体を作製し、実施例1と同じ手法でRuの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価した。その結果を表6に示す。表には本実施例で用いたターゲット組成を示す。第二中間層152は実施例1の媒体1−1と同様に、Ar圧力0.6Paに対し、酸素を10mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で成膜している。
いずれの媒体も結晶配向を維持したまま、結晶粒径が微細化していることを確認した。さらに、良好な記録再生特性が得られていることを確認した。
Figure 0005627223
本実施例では、いずれも添加元素量と酸素分圧を固定しているが、結晶構造がhcp構造で(002)配向していれば、これに限定するものではない。ただし、上述しているように、酸素量が多すぎると、結晶粒のサブグレイン化や結晶配向の劣化につながるので、いずれの組成に関しても、酸素分圧は50mPaより低いことが好ましい。
以上述べたように、本実施例によれば、第二中間層を酸素を含むRu合金層とすることにより、磁気記録層の結晶配向性と結晶粒の磁気的分離を維持・向上しつつ、結晶粒径を微細化させることによって記録再生特性に優れた垂直磁気記録媒体を提供することができた。
第3の実施例について図3を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態、実施例1、実施例2のいずれかに記載され、本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
図3は本実施例に係る垂直磁気記録媒体の層構成を示す断面図である。基板11には厚さ0.8mm、直径65mm(2.5インチ型)のガラスディスク基板を用い、スパッタリング法により密着層12と、第一軟磁性層131、非磁性層132、第二軟磁性層133、第三軟磁性層134からなる軟磁性下地層13と、シード層14と、第一中間層151、第二中間層152、第三中間層153、第四中間層154からなる中間層15と、第一記録層161、第二記録層162からなる磁気記録層16と保護層17を順次形成した。表7に本実施例で用いたターゲット組成とArガス圧および膜厚を示す。
Figure 0005627223
まず、基板11上に密着層12であるNiTaを20nm、その上に第一軟磁性層131であるFeCoTaZrを20nm、非磁性層132であるRuを0.4nm、第二軟磁性層133であるFeCoTaZrを13nm、さらに第三軟磁性層134であるCoFeTaを7nm、シード層14であるNiWを3nm形成した。第一中間層151であるRuをAr圧力0.6Paで4nm形成し、第二中間層152としてRuTiOをAr圧力0.6Paに対し酸素を12mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で4nm形成し、第三中間層153であるRuをAr圧力5Paで8nm形成した。さらに第四中間層154としてRu−8TiO2(mol%)をAr圧力5Paで2nm形成した。第一記録層161であるCoCrPt−SiO2を13nm、Ar圧力3.5Paに対し酸素を30mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で13nm、第二記録層162であるCoCrPtBを3nm形成した。保護層17は、カーボンを、Ar圧力0.6Paに対し、窒素を50mPaの分圧で添加したプロセスガス雰囲気中で3nm形成した。最後に、パーフルオロアルキルポリエーテル系の材料をフルオルカーボン材で希釈した潤滑剤を塗布し、表面にバニッシュをかけて本実施例である垂直記録媒体3−1を作製した。
実施例1と同じ手法でRuの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価した結果を表8に示す。
いずれの媒体も結晶配向を維持したまま、結晶粒径が微細化していることを確認した。さらに、良好なSNRが得られていることを確認した。
Figure 0005627223
次に、本実施例の媒体3−1と同じ層構成で、第四中間層154の膜厚を変化させた媒体を作製し、実施例1と同じ手法でRuの結晶配向、磁気記録層の磁気特性、結晶粒径及び記録再生特性を評価した。その結果を表9に示す。
Figure 0005627223
第四中間層154の膜厚が3nmまでは、いずれの媒体も結晶配向を維持したまま、結晶粒径が微細化し、良好なSNRが得られた。第四中間層が3nmより厚くなると、結晶配向が劣化し、粒径分散が増大して、結果としてSNRが劣化することが分かった。本実施例では、第四中間層の膜厚の上限は3nmであったが、組成や酸化物の含有量によって、最適な膜厚は異なってくる。しかし、第四中間層の膜厚が厚くなると、結晶粒がサブグレイン化し、結晶配向の劣化につながるので、いずれの組成に関しても4nmより薄いことが好ましい。
本実施例では、第四中間層をRu−Ti2O3合金ターゲットを用いて形成したが、Ru−Ti合金ターゲットを用いて、酸素を含有するプロセスガス(ArO)の雰囲気中で形成しても、同様な結果が得られる。
以上述べたように、本実施例によれば、第二中間層を酸素を含むRu合金層とすることにより、磁気記録層の結晶配向性と結晶粒の磁気的分離を維持・向上しつつ、結晶粒径を微細化させることによって記録再生特性に優れた垂直磁気記録媒体を提供することができた。また、第四中間層を設けることにより、結晶粒径の微細化が促進され、良好な記録再生特性(SNR)を得ることができる。
11…基板、12…密着層、13…軟磁性下地層、14…シード層、15…中間層、16…磁気記録層、17…保護層、131…第一軟磁性層、132…非磁性層、133…第二軟磁性層、134…第三軟磁性層、141…第一シード層、142…第二シード層、151…第一中間層、152…第二中間層、153…第三中間層、154…第四中間層、161…第一記録層、162…第二記録層。

Claims (5)

  1. 基板上に少なくとも軟磁性下地層、シード層、中間層、磁気記録層、保護層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、
    前記中間層は、少なくとも3層から構成され、
    第一および第三中間層は、Ru又はRu合金からなり、
    第二中間層は、酸素を含むRu合金からなり、
    前記第二中間層は、RuとTa、W、Nb、B、Hfから選択される少なくとも1種類の元素との酸化物であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第二中間層は、六方最密結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 基板上に少なくとも軟磁性下地層、シード層、中間層、磁気記録層、保護層が順次積層されてなる垂直磁気記録媒体であって、
    前記中間層は、4層から構成され、
    第一および第三中間層は、Ru又はRu合金からなり、
    第二および第四中間層は、酸素を含むRu合金からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  4. 前記第二中間層は、RuとTi、Ta、Cr、W、Nb、B、Si、Hfから選択される少なくとも1種類の元素との酸化物であることを特徴とする請求項3記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記第二中間層は、六方最密結晶構造を有することを特徴とする請求項記載の垂直磁気記録媒体。
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