JP5624957B2 - パーキングブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ベース部材に操作レバーを起倒可能に枢支し、該操作レバーを引き起こすことにより、ケーブルを引いて制動部に力を伝達し、制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置に関する。
従来、レバー型のパーキングブレーキ装置は、操作レバーを取り付けるベース部材等に固定され、あるいはベース部材に一体に形成されたラチェットプレートと、操作レバー側に取り付けられたポールとが噛み合って制動力を保持する構造になっている。一般的には、ポールをラチェットプレートの歯に噛み合わせるために、ブレーキの制動状態を解除するためのリリースロッド(解除用ロッド)とポールとが連結され、リリースロッドに設けられたスプリングによってポールを噛み合い方向に付勢する構造となっている。
この種のパーキングブレーキ装置の操作性を向上することを目的として提案されたものに、特許文献1に開示されたものがある。このパーキングブレーキ装置では、リリースロッドの先端に操作ノブが設けられ、それを押すことでポールを揺動させ、ラチェットの歯とポールの刃の噛み合いを外して制動力を解除する構造となっている。
特開2010−58750号公報
しかしながら、リリースロッドとポールの当接部は、部品のバラツキ、繰り返し作動によるラチェットの歯やポールの磨耗等を吸収するために所定の隙間を設けなくてはならない。ところが、この隙間は、操作ノブの押し操作中に操作ガタが発生する原因となっており、操作フィーリングを損なっている。
また、リリースロッドとポールとが接する前後では、操作ノブの押し荷重が急激に変化するので、操作フィーリングをさらに悪くしている。すなわち、リリースロッドがポールに接すると、操作ノブの押し荷重が急激に増えるので、これが操作フィーリングを悪くしている。
本発明は、操作ノブを押し込む押圧操作の際に、操作ノブの押し荷重が急激に増加することなく連続的に増加するようにして、操作フィーリングの向上したパーキングブレーキ装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]ベース部材(11)に操作レバー(21)を起倒可能に枢支し、該操作レバー(21)を引き起こすことにより、ケーブル(1)を引いて制動部に力を伝達し、制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置(10)において、
前記操作レバー(21)を引き起こした際に当該位置に拘束するロック機構と、該ロック機構を前記操作レバー(21)の拘束状態に保持する付勢手段(61)と、該付勢手段(61)の付勢力に抗して前記ロック機構を前記操作レバー(21)の拘束解除状態に変位させるリリース機構とを備え、
前記ロック機構は、前記ベース部材(11)に連設されたラチェット歯(14)と、前記操作レバー(21)に揺動可能に枢支され、前記ラチェット歯(14)に係脱可能なポール(41)とを有して成り、
前記リリース機構は、前記操作レバー(21)に配設され、押圧操作により前記ポール(41)を前記ラチェット歯(14)から離脱させるための操作ノブ(50)と、該操作ノブ(50)の押圧操作を前記ポール(41)に伝達するリリースロッド(53)とを有して成り、
前記付勢手段(61)は、前記ポール(41)を前記ラチェット歯(14)に係合する第1方向へ付勢すると共に、前記リリースロッド(53)を、前記操作レバー(21)が拘束解除状態となる前記操作ノブ(50)の押圧操作位置から、前記操作レバー(21)が拘束状態となる前記操作ノブ(50)の非操作位置に向かう第2方向へ付勢するものであり、
前記リリースロッド(53)は、穿設された複数の案内長孔(56,57)を有し、
前記操作レバー(21)には、前記案内長孔(56,57)のそれぞれに相対的に移動可能に嵌合して前記リリースロッド(53)の移動を案内ないし制限するためのガイドピン(27,28)が突設され、
前記複数の案内長孔(56,57)のうち前記リリースロッド(53)の先端寄りの案内長孔(56)は、前記操作ノブ(50)の押圧操作方向に一直線状に延び、前記リリースロッド(53)の先端から遠い位置の案内長孔(57)は、前記操作ノブ(50)の押圧操作方向に直線状に延びる直線部(57a)と、該直線部(57a)に続いて前記リリースロッド(53)の先端から離れる方向に下方に傾斜して直線状に延びる傾斜部(57b)と、を有し、
前記操作ノブ(50)の前記押圧操作に必要な該操作ノブ(50)に加える力が連続的に増加するようにしたことを特徴とするパーキングブレーキ装置(10)。
[2] 前記リリースロッド(53)は、先端から直線状に延びる基幹部(54)と、該基幹部(54)から屈曲する中継部(55)とから成り、
前記リリースロッド(53)の先端寄りに穿設された前記案内長孔(56)よりも前記リリースロッド(53)の先端から遠い位置の案内長孔(57)は、前記中継部(55)に穿設されていることを特徴とする[1]に記載のパーキングブレーキ装置(10)。
次に前述した解決手段に基づく作用を説明する。
本発明に係る前記のパーキングブレーキ装置(10)によれば、ベース部材(11)に枢支されている操作レバー(21)を引き起こすことにより、ケーブル(1)が引かれて制動部に力が伝達され、該制動部において制動力が発生する。このときロック機構によって、操作レバー(21)を引き起こした位置に拘束することができる。
ロック機構では、操作レバー(21)を引き起こす操作に伴って、該操作レバー(21)に枢支されているポール(41)が、ベース部材(11)に連設されたラチェット歯(14)に対して順次係脱を繰り返す。ポール(41)は付勢手段(61)によって、ラチェット歯(14)に弾発的に係合する第1方向へ付勢されており、操作レバー(21)を引き起こす操作を止めた時点で、ポール(41)はラチェット歯(14)に係合し、操作レバー(21)は当該位置に保持される。
制動力を解除するには、リリース機構によって、前記ロック機構を付勢手段(61)の付勢力に抗して操作レバー(21)を拘束解除状態に変位させる。すなわち、操作ノブ(50)を押圧操作して、この操作力をリリースロッド(53)を介してポール(41)に伝達する。リリースロッド(53)は、同じく前記付勢手段(61)によって、操作レバー(21)の拘束解除状態から拘束状態に向かう第2方向へ付勢されており、この第2方向への付勢力および前記ポール(41)に対する第1方向への付勢力に抗して、ポール(41)をラチェット歯(14)から離脱させる。これにより、操作レバー(21)を引き起こした状態から倒伏することができる。
ロック機構を拘束解除状態に変位させる等の操作ノブ(50)の押圧操作を伴う操作過程において、操作ノブ(50)の押圧操作を開始した当初は、ガイドピン(28)は、案内長孔(57)の傾斜部(57b)にある。操作レバー(21)のガイドピン(28)が傾斜部(57b)に対して相対移動する間は、付勢手段(61)の他端(64)から受ける前記第2方向の付勢力に抗して操作ノブ(50)を押圧操作する点では従来のパーキングブレーキ装置と同じである。
しかし、リリースロッド(53)の案内長孔(57)の下方に傾斜して直線状に延びる傾斜部(57b)をガイドピン(28)が擦り上がるように相対移動するので、ガイドピン(28)と傾斜部(57b)との間に摩擦力が生じる。このため、操作ノブ(50)には、操作ノブ(50)の押圧操作方向に対して前記摩擦力の分力も反力として加わる。したがって、従来のパーキングブレーキ装置に比べると操作ノブ(50)の押圧操作に必要な力は大きくなる。この間の押圧操作に必要な力は連続的に増加することになる。
押圧操作が進んでガイドピン(28)が直線部(57a)に至ると、直線部(57a)との間に生じる摩擦力は、傾斜部(57b)との間に生じる摩擦力よりも小さくなる。この後、直線部(57a)に対してガイドピン(28)が相対移動する間は、前記第2方向の付勢力に加えて新たに付勢手段(61)のもう一方の一端(63)から受ける第1方向の付勢力にも抗して操作ノブ(50)を押圧操作することになる。このガイドピン(28)が直線部(57a)に対して相対移動する間の押圧操作に必要な力は従来のパーキングブレーキ装置の場合と同じである。
したがって、ガイドピン(28)が傾斜部(57b)に対して相対移動する間に操作ノブ(50)の押圧操作に必要な力は、前記第2方向の付勢力を受けている間では従来のパーキングブレーキ装置よりも大きく、且つ、連続的に大きくなり、ガイドピン(28)と傾斜部(57b)との摩擦力が大きく減じると同時に第1方向の付勢力が加わる時点からは、従来のパーキングブレーキ装置と同じ大きさになる。
これにより、押圧操作の全過程で操作ノブ(50)の押圧操作に必要な力が略連続的に増加することになり、従来のパーキングブレーキ装置では操作ノブ(50)の押し荷重が急激に増加することに起因した操作フィーリングの悪さを完全に解消することができる。
本発明に係るパーキングブレーキ装置によれば、操作レバーに配設された操作ノブの押圧操作を伴う操作過程において、操作ノブを操作レバーに押し込むのに必要な力が急激に変化することなく漸次に大きくなるようにしたので、ブレーキレバーの操作フィーリングを大きく改善することができる。
本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置の非制動状態を示す側面図である。 本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置を示す分解斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置のベース部材および操作レバーを組み合わせた状態を示す斜視図である。 図1における操作ノブを押圧操作していない状態での、ロック機構とリリース機構の要部を示す説明図である。 図4の状態から操作ノブの押圧操作を開始した後の、ロック機構とリリース機構の要部を示す説明図である。 図5の状態から操作ノブの押圧操作をさらに進めたときの、ロック機構とリリース機構の要部を示す説明図である。 図5におけるガイドピンに働く力を示す説明図である。 図1のパーキングブレーキ装置と従来のパーキングブレーキ装置それぞれにおける操作ノブの押圧操作に必要な力の変化を示す説明図である。
以下、図面に基づき、本発明を代表する一実施の形態を説明する。
図1〜図7は、本発明の一実施の形態を示している。
図1は、本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置の側面図である。図2は、同パーキングブレーキ装置の分解斜視図、図3は、同パーキングブレーキ装置のベース部材および操作レバーを組み合わせた状態を示す斜視図である。図4〜図6は、同パーキングブレーキ装置の動作を説明するための説明図である。
図1および図2に示すように、パーキングブレーキ装置10は、車両の運転席近傍にある据付部位に固設するベース部材11に、枢軸20を介して操作レバー21を起倒可能に枢支し、該操作レバー21を引き起こすことにより、ケーブル1を引いて制動部(図示せず)に力を伝達し、制動力を発生させるように基本構造が構成されている。
ベース部材11は、据付部位にボルト止めするための取付脚部12,13を備えている。また、ベース部材11の上部前方で円弧形に延びる外周縁に沿って、ラチェット歯14が複数並ぶ状態に連設されている。各ラチェット歯14は、前記枢軸20を中心とした円周方向に並んでいる。あるいは、ベース部材11の一部に直接ラチェット歯14を刻設することなく、別体としてラチェット歯が予め刻設されたラチェットプレートを、ベース部材11に後付けしても良い。なお、ベース部材11は、運転席近傍の据付部位に装着されるセンターコンソール(図示せず)の内側下方に配設されることになる。
操作レバー21は、一端側が枢軸20を介して起倒可能にベース部材11に枢支されると共に前記ケーブル1が連結される基部22と、この基部22の他端側から上方かつ後方に延びる弧状の中間部23と、この中間部23の上端側より前方に延びて起倒操作を行うために把持するグリップ部24とを備えて成る。基部22は、センターコンソールの内側に配設される。中間部23は、センターコンソールに形成された挿通孔を通って外側に出ており、基部22の揺動と共にセンターコンソールの挿通孔から出没するように配置される。
図2に示すように、基部22は1枚の金属板を加工して成り、枢軸20を介してベース部材11に揺動可能に枢支される。中間部23は、基部22に連続した1枚の金属板を加工したものであり、湾曲した両側縁に沿って内部空間を形成するためのフランジを設けて成る。この中間部23の内部空間には、ベース部材11のラチェット歯14を含む後述するロック機構が収納されるようになっており、中間部23の湾曲内側に位置するフランジ部分には、操作レバー21の起倒時にベース部材11の外周縁側が相対的に移動可能に挿通するスリット25が設けられている。
ここでスリット25は、挿通するベース部材11の外周縁側の厚さに対応した幅を囲む連続面により形成されている。スリット25の幅寸法は、操作レバー21が挿通している際に両側方向へのがたつきを極力抑える寸法であることは言うまでもない。このようなスリット25は、従来技術のように2枚の金属板の合わせ目に形成された間隙ではなく、操作レバー21全体と共に、例えばキャスティングにより一体成形される部位である。なお、スリット25の最奥部は、ベース部材11のラチェット歯14を含む外周縁側の上端部が係合することにより、操作レバー21を引き起こした制動状態に位置決めするストッパの役目を付加しても良い。
また、中間部23の外表面を成す部位、すなわち湾曲内側に位置するフランジ部分、および湾曲外側に位置するフランジ部分のそれぞれの外表面は、次述するグリップ部24の一部と共にセンターコンソールの外側から視認できる所定の範囲に亘り、素材である金属の質感を現わす表面加工が施されている。
操作レバー21の材質としては、アルミニウムあるいはマグネシウムが適している。もちろん、他の金属を用いてもかまわないが、強度および軽量化の観点より少なくともアルミニウムまたはマグネシウムを含む金属(合金)であることが好ましい。このような素材である金属の質感を現わす表面加工とは、具体的には例えば、表面をつや消し仕様に磨いたり、多少のザラつきや凹凸が有る梨地に仕上げても良い。また必要に応じてメッキしても良い。
中間部23の上端側に連なるグリップ部24は、操作レバー21の他の部位と共に金属により一体成形されたグリップベース24aと、このグリップベース24aを被覆する別体として合成樹脂により一体成形されたグリップカバー30とから成る。グリップベース24aは、前記中間部23の上端側よりに前方に細幅状に延びているが、中間部23と同様に、その両側縁に沿って内側に空間を形成するためのフランジが設けられている。このグリップベース24aの内部空間に、後述するリリース機構が収納される。
グリップカバー30の末端に連なるグリップベース24aの基端側は、かかる部位が連なる前記中間部23と同様に、その素材である金属の質感を現わす表面加工が施されている。ここでの表面加工は、前述した中間部23に対するものと同様であり、これによりグリップカバー30で被覆されないグリップベース24aの基端側から中間部23にかけて、流れるように続くデザインとすることができる。
グリップカバー30は、合成樹脂の一体成形によって全体的には筒状に形成され、前記グリップベース24aに嵌合装着される。グリップカバー30の内径は、グリップベース24aの外形にちょうど合致する程度の大きさに設定されている。特に、グリップカバー30の末端(開口端)に連なる上側部分は、外部から視認しやすい部位であり、前記グリップベース24aないし中間部23の表面加工と調和する色調ないし形状にデザインすると良い。
また、図2に示すように、操作レバー21は、その両側部をそれぞれ覆うようにネジ止めして装着する一対のカバープレート32,32を有している。各カバープレート32は、金属により一体成型した装飾用の部材である。前記グリップカバー30の両側部に、それぞれ末端より凹む状態に延びる挿入溝31が形成されており、この挿入溝31は、カバープレート32の先端部33がちょうど合致して嵌入する形状に設けられている。
パーキングブレーキ装置10は、操作レバー21を引き起こした際に当該位置で制動状態に拘束するロック機構と、該ロック機構を操作レバー21の拘束状態に保持する付勢手段61と、この付勢手段61の付勢力に抗してロック機構を操作レバー21の拘束解除状態に変位させるリリース機構とを備えている。なお、操作レバー21における基部22と中間部23との間付近には、ベース部材11の一部に係脱して、操作レバー21を倒伏させた非制動状態に位置決めするストッパ26が設けられている。
前記ロック機構は、ベース部材11に連設されている前記ラチェット歯14と、操作レバー21に揺動可能に枢支され、前記ラチェット歯14に係脱可能なポール41とを有して成る。ここでポール41は、操作レバー21の中間部23の内部空間に配設されており、該内部空間の下側で、ラチェット歯14を臨むようにピン40を介して揺動可能に枢支されている。
ポール41は、ピン40で枢支された揺動中心を間にして、下向きの一端側には、前記ラチェット歯14に係脱する爪先42が形成されており、上向きの他端側には、次述するリリースロッド53に形成された解除カム58の動作によって、爪先42をラチェット歯14から離脱させる方向の力を受ける被当接部43が形成されている。ポール41は、後述する付勢手段61によって、爪先42がラチェット歯14に係合する第1方向に付勢されている。
前記リリース機構は、操作レバー21に配設され、押圧操作によりポール41をラチェット歯14から離脱させる操作ノブ50と、該操作ノブ50の押圧操作をポール41に伝達するリリースロッド53とを有して成る。ここでリリースロッド53は、前記グリップベース24aの筒状に形成された内部空間を直線状に延びる基幹部54と、該基幹部54の基端より前記グリップ部24と前記中間部23との間付近から前記中間部23の中程にかけて屈曲する中継部55とから成る。
リリースロッド53は、その基幹部54がグリップベース24aの内部空間で筒軸方向に移動可能に嵌装されている。リリースロッド53の基幹部54には、前後2箇所に案内長孔56,57が形成され、グリップベース24aには、リリースロッド53の移動を案内ないし制限するためのガイドピン27,28が突設されている。各ガイドピン27,28は、リリースロッド53の案内長孔56,57にそれぞれ相対的に移動可能に嵌合している。
また、リリースロッド53の中継部55の下向きの先端側には、操作ノブ50の押圧操作時にポール41に当接して、該ポール41をラチェット歯14との係合が解除される第3方向へ回動させるための解除カム58が設けられている。解除カム58は、ポール41の被当接部43に係脱するように配置されている。
リリースロッド53の案内長孔56,57のうちリリースロッド53の先端に近い位置に穿設された案内長孔56は、操作ノブ50の押圧操作方向に一直線状に延びている。一方、案内長孔57は、案内長孔56よりもリリースロッド53の先端から遠い位置に穿設されている。具体的には、中継部55に穿設されている。
この案内長孔57は、操作ノブ50の押圧操作方向に直線状に延びる直線部57aと、この直線部57aに続いて下方に傾斜して直線状に延びる傾斜部57bとから成っている。直線部57aは、傾斜部57bよりもリリースロッド53の先端寄りとなっている。
傾斜部57bの下端にガイドピン28が位置するときは、リリースロッド53の解除カム58がポール41から離れた状態にある。操作ノブ50を押圧操作するにしたがって解除カム58がポール41に向かう方向に変位し、傾斜部57bが直線部57aと繋がる部分にガイドピン28が至ると解除カム58がポール41に当接するようになっている。さらに押圧操作を続けると、ガイドピン28は直線部57aを移動し、これとともに解除カム58は、ポール41をラチェット歯14から離脱させるように変位するようになっている。
グリップ部24の先端部には、操作ノブ50がグリップ部24内から出没可能な状態で組み付けられている。操作ノブ50は、押圧操作によってリリースロッド53を動作させて、ポール41をラチェット歯14から離脱させるものである。図2に示すように、操作ノブ50は、リリースロッド53における基幹部54の先端に接続するキャップ51にノブ52を装着して成る。
リリースロッド53は、次述する付勢手段61によって、解除カム58がポール41の被当接部43から離脱する方向、すなわち、操作ノブ50がグリップ部24から突き出る方向に付勢されている。このように、リリースロッド53は、付勢手段61によって、操作レバー21を非制動状態にする拘束解除状態から、制動状態に維持する拘束状態に向かう第2方向へ付勢されている。
図3に示すように、付勢手段61は、操作レバー21に突設した軸部60に巻着する巻きばねであり、前記軸部60に巻着するコイル部62を中心に該付勢手段61の一端63と他端64とが、前記ポール41から前記リリースロッド53にかけて付勢力に抗して鈍角に広がる状態に延設されている。ここで操作レバー21が拘束状態にある際、ポール41とリリースロッド53とは直接接触しておらず、付勢手段61のみによって連結される状態となる。
付勢手段61の一端63は、ポール41においてラチェット歯14に係脱する爪先42とはその揺動中心を間にした反対側の基端に係止されており、ポール41の爪先42がラチェット歯14に弾発的に係合する第1方向へ付勢している。ここでポール41の基端である被当接部43の一側縁には、付勢手段61の一端63が嵌入する係止溝が凹設されている。
一方、付勢手段61の他端64は、リリースロッド53において操作ノブ50に連なる先端とは反対側の基端に係止されており、該リリースロッド53を、操作レバー21の拘束解除状態から拘束状態に向かう第2方向へ付勢している。ここでリリースロッド53の基端である基幹部54から中継部55にかけての屈曲外側には、付勢手段61の他端64が嵌入する係止溝が凹設されている。
次に、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置10の作用を説明する。
図1に示すように、操作レバー21が倒伏している非制動状態にあるとき、ポール41の爪先42は、ラチェット歯14の下端よりも下方に位置し、爪先42はラチェット歯14に係合していない。操作レバー21を倒伏した非制動状態から引き起こすことにより、ケーブル1を介して制動部に力が伝達されて制動力が発生する。このときロック機構によって、操作レバー21を引き起こした状態に拘束することができる。
グリップ部24を握って操作レバー21を引き起こすと、センターコンソール内に没していた中間部23が外側に引き出されると共に、センターコンソールの内側では、中間部23に連なる基部22が上方に向かって揺動する。この基部22の揺動に伴って、この基部22に連結されたケーブル1が引かれて制動が始まる。
基部22の揺動に伴いポール41の爪先42がラチェット歯14に至ると、付勢手段61によって第1方向に付勢されているポール41は、爪先42が各々のラチェット歯14の間に係合するが、そのまま操作レバー21を引き起こすと、付勢手段61の付勢に抗して爪先42が各々のラチェット歯14を乗り越えて順次係合する。この係脱は操作レバー21の引き起こし動作を止めるまで繰り返される。
ポール41がラチェット歯14に対して係脱を繰り返す間、ポール41の被当接部43とリリースロッド53の解除カム58とは互いに離隔しており、また、ポール41とリリースロッド53との間に介在する付勢手段61は、軸部60により操作レバー21に固定されている。
これにより、ポール41の揺動による振動がリリースロッド53に伝達されることはなく、操作レバー21を引き起こしている際に、リリースロッド53が反復運動したり、操作ノブ50がグリップ部24から出没することはなく、作動不具合や異音の発生を防止することができる。
操作レバー21の引き起こしを所望の位置で止めると、付勢手段61により第1方向へ付勢されているポール41は、その爪先42がラチェット歯14に係合して、操作レバー21が当該位置に拘束される。操作レバー21は、ケーブル1の張力によって戻る方向に引かれるので、爪先42はラチェット歯14に強く係合する。これにより、ケーブル1が引かれたままの状態になるので、パーキングブレーキ装置10を制動させた状態に維持することができる。
また、操作レバー21が引き上げられた制動状態にあるとき、リリースロッド53は、付勢手段61によって、操作レバー21を非制動状態にするための拘束解除状態から制動状態に維持するための拘束状態に向かう第2方向に付勢されており、リリースロッド53の先端に連なる操作ノブ50は、グリップ部24から所定量だけ突出した押圧操作が可能な状態に維持される。
パーキングブレーキ装置10の制動を解除するときは、グリップ部24を引き起こし気味にしておき、グリップ部24から出ている操作ノブ50をグリップ部24内に押し込む。グリップ部24を引き起こし気味にすることによって、ケーブル1が操作レバー21を引っ張り、ポール41の被当接部43をラチェット歯14に係合させる方向の力を相殺することができる。
かかる状態で操作ノブ50をグリップ部24内に押し込むと、リリースロッド53の中継部55の下端にある解除カム58が、ポール41の被当接部43を押して該ポール41を前記付勢手段61の第1方向への付勢力に抗して揺動させる。これにより、ポール41の被当接部43はラチェット歯14から離脱し、引き出されていたケーブル1が引き戻されるので、引かれるままに操作レバー21を倒伏させれば、元の非制動状態に戻すことができる。
以上が一般的な操作方法であるが、例えばEU圏においては、ポール41の爪先42が各ラチェット歯14に順次係合する際の音が出ないように配慮する上で、操作ノブ50を押して操作レバー21を引き起こした後、操作ノブ50の押し力を除去しながら、操作レバー21を戻すよう所望の位置で止めるように操作を行う場合も多い。かかる場合における操作ノブ50の押圧操作の動作について説明する。
図4から図6までは、非制動状態にあるときに操作ノブ50の押圧動作をするときの、ロック機構とリリース機構の要部の動作を示している。
ポール41の爪先42は、ラチェット歯14の下端よりも下方に位置し、爪先42はラチェット歯14に係合していない。
この状態において、図4に示したように、操作ノブ50の押圧操作を開始した当初は、案内長孔57に嵌合しているガイドピン28は、案内長孔57の傾斜部57bに位置している。このガイドピン28が傾斜部57bに対して相対移動する間は、付勢手段61の他端64からリリースロッド53が受ける第2方向の付勢力に抗して操作ノブ50を押圧操作することになる。
さらに操作ノブ50を押し込む力は、傾斜部57bをガイドピン28に押し付ける力となるので、ガイドピン28は、傾斜部57bを擦り上がるように相対移動する。このため、ガイドピン28と傾斜部57bとの間に摩擦力が生じる。したがって、操作ノブ50には、この摩擦力の押圧操作方向の分力も反力として加わる。
図5では、リリースロッド53の解除カム58がポール41の被当接部43に当接しているところが示されている。この時点では、操作ノブ50の押圧操作に必要な力は、図4に示した場合の力と同じである。
図6では、リリースロッド53の解除カム58がポール41の被当接部43を押し込み、該ポール41を前記付勢手段61の第1方向への付勢力に抗して揺動させている。したがって、リリースロッド53が付勢手段61から受ける力は、前記の第2方向の付勢力とこの第1方向への付勢力である。
図7を参照しながら、この作用を説明する。
案内長孔57の直線部57aと傾斜部57bとのなす角を案内角θとする。操作ノブ50の押圧操作の初期からリリースロッド53の解除カム58がポール41に当たるまでの行程(以下、行程Aと記す。)においては、ガイドピン28を介した付勢手段61による反力Wの案内角θによる分力が発生する。したがって、案内長孔が直線状に延びた従来のパーキングブレーキ装置に比べると操作ノブ50の押圧操作に必要な押し力が大きくなる。
すなわち、付勢手段61による反力をWとし、リリースロッド53のガイドピン28と案内長孔57の傾斜部57bとの間の摩擦係数をμとすると、それらの間に摩擦抵抗(W×cosθ)が発生する。操作ノブ50を押圧操作するための押し力をPとすると、P=W×(sinθ+μ×cosθ)/sinθとなる。したがって、従来のパーキングブレーキ装置に比べると、操作ノブ50の押圧操作には、W×μ×tanθだけ大きい力が必要になる。
押圧操作を進めてガイドピン28が直線部57aを変位する行程(以下、行程Bと記す。)に至ると、ガイドピン28と直線部57aとの間に生じる摩擦力は傾斜部57bとの間に生じる摩擦力よりも大きく減じる。行程Bでは、付勢手段61による第2方向の付勢力に加えて新たに付勢手段61のもう一方の一端63から受ける第1方向の付勢力がポール41を介してリリースロッド53に加わる。この行程Bの間の押圧操作に必要な力は、従来のパーキングブレーキ装置の場合と同じである。
したがって、ガイドピン28が傾斜部57bに対して相対移動する間において、すなわちリリースロッド53の解除カム58がポール41に当接するまでの行程Aの間において、操作ノブ50の押圧操作に必要な力は、従来のパーキングブレーキ装置における押圧操作に必要な力よりも大きく、且つ、連続的に大きくなる。続いてガイドピン28と傾斜部57bとの摩擦力が大きく減じると同時に第1方向の付勢力が加わる時点からガイドピン28が直線部57aに対して相対移動する間において、すなわちリリースロッド53の解除カム58がポール41を押してポール41の爪先42をラチェット歯14から離脱させる行程Bの間において、操作ノブ50の押圧操作に必要な力は、従来のパーキングブレーキ装置と同じ大きさになる。
図8には、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置10において操作ノブ50を押圧操作するときと、従来のパーキングブレーキ装置において操作ノブを押圧操作するときとの操作ノブの押し力の変化が比較されている。図8において、横軸は操作ノブ50のストロークSであり、縦軸は操作ノブ50の押し力Pである。また、実線Yは、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置による押し力の変化を示し、破線Zは、従来のパーキングブレーキ装置10による押し力の変化を示している。
図8から分かるように、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置によれば、押圧操作の全行程(行程Aおよび行程B)で操作ノブ50の押圧操作に押し力Pが略連続的に増加する。一方、従来のパーキングブレーキ装置では、行程Aと行程Bとの境目で操作ノブの押し荷重が急激に増加することに起因して押し力Pが急激に変化している。
この比較から、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置10においては、操作ノブ50の押し荷重が急激に増加することがないので、従来のパーキングブレーキ装置が課題としていた操作フィーリングの悪さを完全に解消できることが分かる。また、従来のパーキングブレーキ装置においては、行程Aにおいてガタつきが発生していたが、本実施の形態に係るパーキングブレーキ装置10においては、行程Aのストロークが短くこの間の操作ノブ50の押し荷重も適度に大きいのでガタを少なくすることができる。
なお、以上の説明は、非制動状態にあるときに操作ノブ50の押圧操作をするときの場合を例示して説明したが、制動状態にあるときも同様に説明できる。
なお、リリースロッド53は、2つの案内長孔56,57が形成されているものを示したが、2つに限定されることなく、3つ以上の案内長孔を形成したものとしてもよい。
また、操作レバー21の起倒操作を行う際に把持するグリップ部24は、操作レバー21の他の部位と共に金属により一体成形されたグリップベース24aに、これとは別体として合成樹脂により一体成形されたグリップカバー30を被覆して形成する。操作レバー21は、基部22、中間部23、およびグリップベース24aも含めて容易に金属により一体成形することができる。なお、操作レバー21の材質は、強度面でも軽量化の面でも優れているアルミニウムやマグネシウム、あるいはこれらを含む合金を用いると良い。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では、リリースロッド53の案内長孔57を直線部57aと該直線部57aに続く直線状の下向きの傾斜部57bとから成るものとして説明したが、傾斜部57bは、直線状に限られず曲線状であってもよい。
本発明に係るパーキングブレーキ装置の思想は、同様のロック機構とリリース機構を有するものに広く適用することができる。
1…ケーブル
10…パーキングブレーキ装置
11…ベース部材
12…取付脚部
13…取付脚部
14…ラチェット歯
20…枢軸
21…操作レバー
22…基部
23…中間部
24…グリップ部
24a…グリップベース
25…スリット
26…ストッパ
27…ガイドピン
28…ガイドピン
30…グリップカバー
31…挿入溝
32…カバープレート
33…先端部
40…ピン
41…ポール
42…爪先
43…被当接部
50…操作ノブ
51…キャップ
52…ノブ
53…リリースロッド
54…基幹部
55…中継部
56…案内長孔
57…案内長孔
58…解除カム
60…軸部
61…付勢手段
62…コイル部
63…一端
64…他端

Claims (2)

  1. ベース部材に操作レバーを起倒可能に枢支し、該操作レバーを引き起こすことにより、ケーブルを引いて制動部に力を伝達し、制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置において、
    前記操作レバーを引き起こした際に当該位置に拘束するロック機構と、該ロック機構を前記操作レバーの拘束状態に保持する付勢手段と、該付勢手段の付勢力に抗して前記ロック機構を前記操作レバーの拘束解除状態に変位させるリリース機構とを備え、
    前記ロック機構は、前記ベース部材に連設されたラチェット歯と、前記操作レバーに揺動可能に枢支され、前記ラチェット歯に係脱可能なポールとを有して成り、
    前記リリース機構は、前記操作レバーに配設され、押圧操作により前記ポールを前記ラチェット歯から離脱させるための操作ノブと、該操作ノブの押圧操作を前記ポールに伝達するリリースロッドとを有して成り、
    前記付勢手段は、前記ポールを前記ラチェット歯に係合する第1方向へ付勢すると共に、前記リリースロッドを、前記操作レバーが拘束解除状態となる前記操作ノブの押圧操作位置から、前記操作レバーが拘束状態となる前記操作ノブの非操作位置に向かう第2方向へ付勢するものであり、
    前記リリースロッドは、穿設された複数の案内長孔を有し、
    前記操作レバーには、前記案内長孔のそれぞれに相対的に移動可能に嵌合して前記リリースロッドの移動を案内ないし制限するためのガイドピンが突設され、
    前記複数の案内長孔のうち前記リリースロッドの先端寄りの案内長孔は、前記操作ノブの押圧操作方向に一直線状に延び、前記リリースロッドの先端から遠い位置の案内長孔は、前記操作ノブの押圧操作方向に直線状に延びる直線部と、該直線部に続いて前記リリースロッドの先端から離れる方向に下方に傾斜して直線状に延びる傾斜部と、を有し、
    前記操作ノブの前記押圧操作に必要な該操作ノブに加える力が連続的に増加するようにしたことを特徴とするパーキングブレーキ装置。
  2. 前記リリースロッドは、先端から直線状に延びる基幹部と、該基幹から屈曲する中継部とから成り、
    前記リリースロッドの先端寄りに穿設された前記案内長孔よりも前記リリースロッドの先端から遠い位置の案内長孔は、前記中継部に穿設されていることを特徴とする請求項1に記載のパーキングブレーキ装置。
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