以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの光学系の構成を示す図である。
図1において、光学ヘッド10は、半導体レーザ101、回折格子102、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105、対物レンズアクチュエータ106、シリンドリカルレンズ108、金属製ホルダ112、光検出器120、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)126及び金属製放熱板127を備える。
半導体レーザ101は、光束を出射する。光源としての半導体レーザ101から出た光束は、回折格子102により異なる複数の光束に分離される。回折格子102は、半導体レーザ101から出射した光束を分割する。回折格子102は、入射した光束を、メインビームと、第1及び第2のサブビームとに分割する。
回折格子102を透過した光束は、ビームスプリッタ103で反射された後、コリメータレンズ104で平行光束に変換され、対物レンズ105に入射する。対物レンズ105は、半導体レーザ101から出射した光束を光ディスク21に集光する。対物レンズ105に入射した光束は、いわゆる3ビームの収束光となり、光ディスク21に照射される。対物レンズ105は、対物レンズアクチュエータ106(詳細は図示せず)により光軸方向(フォーカス方向)及び光ディスク21のトラッキング方向(ラジアル方向)に駆動される。
光ディスク21の記録層で反射及び回折された光束は、再び対物レンズ105及びコリメータレンズ104を透過し、ビームスプリッタ103に入射する。ビームスプリッタ103を透過した光束は、シリンドリカルレンズ108に入射する。シリンドリカルレンズ108は、光ディスク21で反射された反射光束に非点収差を発生させる。シリンドリカルレンズ108を透過した光束は、光検出器120に入射する。光検出器120は、シリンドリカルレンズ108によって非点収差が発生した反射光束を検出する。
図2(A)〜(C)は、光検出器120及びFPC基板126の構成を示す図である。図2(A)は、本発明の実施の形態1における光検出器の底面を示す図であり、図2(B)は、本発明の実施の形態1における光検出器の側面を示す図であり、図2(C)は、本発明の実施の形態1における光検出器の正面を示す図である。
図2(A)〜(C)において、光検出器120は、シリコン半導体121、伝熱接着層124、パッケージ125及び信号出力部130を含む。シリコン半導体121には、受光部123、演算回路122及び信号出力部130が形成されている。受光部123は、光ディスク21で反射された反射光束を受光する。演算回路122は、受光部123で受光した光束を光電変換することにより得られた電気信号に所定の演算を施す。信号出力部130は、演算回路122と接続され、演算回路122からの出力信号となる電圧を出力する。シリコン半導体121の光入射側の面には、受光部123及び演算回路122が形成され、光入射側の面に対向する面には、信号出力部130が形成されている。パッケージ125は、受光部123及び演算回路122を被覆する。伝熱接着層124は、シリコン半導体121とパッケージ125とを貼り合わせる。
すなわち、光検出器120は、受光部123、パッケージ125及び伝熱接着層124を備える。伝熱接着層124は、パッケージ125と受光部123との間に配置され、パッケージ125と受光部123とを接着する。伝熱接着層124は、受光部123上であり、光ディスク21で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。また、パッケージ125は、光ディスク21で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。
ここで、パッケージ125は、透明な材質より構成される。以下、パッケージ125の一例としてガラスを用いた実施例を示す。このとき、シリコン半導体121の厚さは約0.3mmであり、ガラス製のパッケージ125の厚さは約0.7mmであり、伝熱接着層124の厚さを考慮しても光検出器120の厚さは約1mmであり、大幅な薄型化を実現している。
また、光検出器120のX方向及びY方向の長さは、それぞれ約2.5mmであり、光検出器120の投影面積においても大幅な小型化を実現している。光検出器120は樹脂製のパッケージを用いない構成により、厚さ及び投影面積ともに大幅な小型を実現しており、体積は従来比1/10以下となっている。
このガラス製のパッケージ125は、図1に示す金属製ホルダ112に接着固定される。これにより、光検出器120のシリコン半導体121で発生した熱は、伝熱接着層124及びガラス製のパッケージ125を介して金属製ホルダ112に伝達され、放熱される。ガラスの熱伝導率は樹脂に比べて5倍〜10倍高い(約1W/m・K)。そのため、ガラス製のパッケージ125は、樹脂製パッケージに対し伝熱特性(熱抵抗)が大幅に改善される。
従来の光検出器では、光検出器に光が入射する光路上に空気層が存在する構成が通常採用される。すなわち、従来の光検出器では、受光部の受光面上には接着剤を塗布せずに、受光部の受光面の周辺部分に接着剤を塗布し、受光部の受光面とパッケージ125との間に間隙を設けている。これに対して、本実施の形態1では、伝熱接着層124が受光部上に充填される。この構成とすることで、ガラス製のパッケージ125とシリコン半導体121との接着強度を増やすことができるだけで無く、受光部123とガラス製のパッケージ125との間に空気層が存在しないため、波長405nmの青色光による不純物の吸着(いわゆる光ピンセット)が発生しない。そのため、信頼性を確保できる。そして、この伝熱接着層124を介して、受光部123で発生する熱量を、金属製ホルダ112に効果的に放熱することが可能になる。ここで、接着層は、熱を伝えることが可能であるため、伝熱接着層と呼ぶ。
ここで、伝熱接着層124は、例えば、シリコン樹脂で構成されることが望ましく、伝熱接着層124の熱伝導率は、0.5W/m・K以上であることが望ましい。また、伝熱接着層124の熱伝導率は、1W/m・K以上であることがより望ましい。
なお、光路上に伝熱接着層124が存在することで、青色光などの高パワーの光により伝熱接着層124に用いた材料が劣化し、受光信号にノイズが発生するという更なる課題が発生する。そこで、伝熱接着層124が例えばシリコン樹脂である場合には、伝熱接着層124は、エポキシ系の配合物を含まない組成とする。発明者らが検討した結果、シリコン樹脂を形成する際にエポキシ系の配合物が含まれている場合には、青色光に対する伝熱接着層124の劣化が観測された。そこで、伝熱接着層124は、エポキシ系の配合物及び不純物を含まない組成とすることで、波長405nmの青色光による樹脂の劣化、いわゆる青色光劣化を低減することができる。
さらに、伝熱接着層124及びガラス製のパッケージ125の屈折率は、ともに1.5から1.6の範囲とすることが好ましい。また、ガラス製のパッケージ125は、入射光束面に反射防止膜(ARコート)を有する一方で、ガラス製のパッケージ125と伝熱接着層124との境界面にARコートを有さない構成とすることが好ましい。すなわち、パッケージ125における光ディスク21で反射した光束が入射する面には反射防止膜が形成されており、パッケージ125と伝熱接着層124との境界面には反射防止膜が形成されていない。
この構成により、透過率を維持しながら伝熱接着層124とガラス製のパッケージ125との接着強度を維持することが可能となる。このとき、ARコートの膜仕様は、405nmの波長の光に対して最大の透過率になるように設定することが望ましい。この構成により、405nmの波長の光に対して反射率の低い多層光ディスク31から情報を再生する場合においても、S/Nのよい再生信号を得ることができる。
また、光検出器120の放熱を上記の金属製ホルダ112で行うと同時に、光検出器120の裏面に配置された金属製放熱板127で行うことが可能である。光学ヘッド10は、FPC基板126及び金属製放熱板127をさらに備える。FPC基板126は、光検出器120の対物レンズ側から遠い側に配置され、信号出力部130に接続される。なお、FPC基板126は、プリント回路基板の一例である。金属製放熱板127は、FPC基板126における信号出力部130が接続される面に対向する面に接するように配置される。
FPC基板126上に信号出力部130が半田付けにより実装されることで、受光部123で検出された信号が光学ヘッド10から情報記録装置本体のメイン基板に伝達される。ガラス製のパッケージ125は入射光束側に配置される。図2(C)の斜線で示す部分は伝熱接着層124の領域を示す。伝熱接着層124を構成する材料は、ガラス製のパッケージ125及び伝熱接着層124の組み合わせによる透過率と、波長405nmの光に対する伝熱接着層124の品質劣化とのバランスにより選択される。本実施の形態1では、伝熱接着層124の材料として、波長405nmの光に対して安定であり、且つ波長400nm〜800nmの光の透過率が90%を超える透明なシリコン樹脂を用いている。なお、伝熱接着層124の透過率は、405nmの波長を有する光に対して99%以上であることが望ましい。
また、信号出力部130と演算回路122との接続は、光検出器120の側面から配線で接続するか、又は積層回路で構成された演算回路122に、ビアホール等を設けて底面の信号出力部130と接続する構成としている。伝熱接着層124は、少なくとも受光部123の受光面上に形成され、演算回路122及び受光部123の受光面の上に形成されてもよく、シリコン半導体121の全面に形成されてもよい。FPC基板126には、金属製放熱板127が接着剤等により取り付けられている。
図3(A)は、伝熱接着層124の厚さと接着強度との関係を示す図であり、図3(B)は、伝熱接着層124の厚さと積算光量との関係を示す図であり、図3(C)は、伝熱接着層124の厚さと熱抵抗との関係を示す図である。接着強度、青色光劣化及び熱伝導率(熱抵抗)の観点より、伝熱接着層124の厚さは5μmから25μmの範囲とすることが望ましい。
図3(A)は、伝熱接着層124の厚さと接着強度との関係を測定した結果の一例を示すグラフである。横軸は伝熱接着層124の厚さを示し、縦軸は接着強度(N)を示す。伝熱接着層124の厚さが5μm以上であれば、必要な接着強度である15(N)以上を満たす。
図3(B)は、伝熱接着層124の厚さと青色光劣化との関係を測定した結果の一例を示すグラフである。横軸は伝熱接着層124の厚さを示し、縦軸は積算光量(Wh/mm2)を示す。また、図3(B)におけるグラフ70は、エポキシ系の配合物を含まない組成とした伝熱接着層の厚さと青色光劣化との関係を示し、点71は、エポキシ系の配合物を含む組成とした伝熱接着層の厚さと青色光劣化との関係を示している。
伝熱接着層124の厚さが6μm未満であれば、層の厚さが薄いため膨張及び収縮により伝熱接着層124が割れ、伝熱接着層124の厚さが25μmを超えると、伝熱接着層124の内部に気泡が発生しやすくなる。そのため、伝熱接着層124の厚さが5μmから25μmの範囲であれば、検出に必要な積算光量である250Wh/mm2を満たす。
また、伝熱接着層124をエポキシ系の配合物を含む組成とした場合、伝熱接着層124の厚さが15μmであれば、積算光量は100Wh/mm2となり、検出に必要な積算光量である250Wh/mm2を満たさない。そのため、伝熱接着層124は、エポキシ系の配合物を含まない組成とする。
図3(C)は、伝熱接着層124の厚さと熱抵抗との関係を測定した結果の一例を示すグラフである。横軸は伝熱接着層124の厚さを示し、縦軸は熱抵抗(℃/W)を示す。なお、熱抵抗とは、熱の伝わり易さであり、値が小さいほど熱が伝わりやすい。熱抵抗は、伝熱接着層124の熱伝導率を上げることでも下げられるが、伝熱接着層124の厚さを薄くすることで大幅に低減することが可能となる。熱伝導率は、伝熱接着層124が薄いほど小さくなるが、伝熱接着層124の厚さが25μmを超えると急激に増大する。したがって、接着強度、積算光量に対する信頼性及び放熱特性の観点より、伝熱接着層124の厚さは、5μm以上25μm以下であることが必須の条件となり、10μm以上20μm以下であることが望ましい。
さらに、シリコン樹脂の性能保証温度は約100℃である。そのため、シリコン樹脂の性能保証温度の観点からも光検出器120の放熱は必須となる。
図4(A)〜(C)は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドのFPC基板126と金属製放熱板127との構成を示す図である。図4(A)は、本発明の実施の形態1におけるFPC基板と金属製放熱板との底面を示す図であり、図4(B)は、本発明の実施の形態1におけるFPC基板と金属製放熱板との断面を示す図であり、図4(C)は、本発明の実施の形態1におけるFPC基板と金属製放熱板との正面を示す図である。
FPC基板126は、銅箔で構成される複数の配線層126aと、耐熱性に優れたポリイミド等により構成される複数の樹脂層(カバー)126bとを含む。光検出器120が実装されるFPC基板126の面には、予備的に半田付けされたランド部126cが形成されている。ランド部126cは、信号出力部130と位置合わせして配置され、信号出力部130はランド部126cに実装される。各配線層126aとランド部126cとは、ビアホール126d等で配線されている。また、樹脂層126bと配線層126aとは、接着又は熱圧着等で精度よく貼り合わせされている。
FPC基板126は、銅箔からなる配線層126aと、ポリイミド等の樹脂からなる樹脂層126bと、配線層126a及び樹脂層126bの双方を接着する接着層(不図示)とからなる。なお、FPC基板126は、一つの配線層のみを有する単層構造のFPC基板と、2つ以上の配線層を有する多層構造のFPC基板とを含む。本実施の形態では、FPC基板126は、2つの配線層126aからなる構成としている。
さらに、FPC基板126のランド部126cが形成されている面とは反対の面には、金属製放熱板127が、0.1mm程度の厚みを有する接着層129により精度よく固定されている。一方、FPC基板126の厚みは、2つの配線層を有する場合、約0.3mmとなっている。
金属製放熱板127は、アルミ、亜鉛、銅又はSPCC(冷間圧延鋼板)等の金属により構成される。金属製放熱板127の厚みは、例えば0.1mm〜1mmとしている。
FPC基板126に光検出器120を実装した状態では、光検出器120で発生した熱は、光検出器120の信号出力部130からランド部126c、樹脂層126b、ビアホール126d(配線)、配線層126a及び接着層129を介して金属製放熱板127へ伝熱される。FPC基板126の厚みは、2つの配線層を有する場合、約0.3mmとなっている。光検出器120の消費電力は約0.25Wであり、光検出器120のX方向、Y方向及びZ方向のサイズは、小型化のためそれぞれ約2.5mm、2.5mm及び1mmとなっている。このように、本実施の形態における光検出器120は、従来の光検出器に比べ容積が1/10以下に小型化されているため、光検出器120自身の消費電力による発熱を効率的に金属製放熱板127に伝熱する構成が必須となる。
図5は、本発明の実施に形態1における光検出器120の受光部123の構成及び演算回路122の構成を示す図である。受光部123は、4分割受光領域140、第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bを含む。演算回路122は、第1〜第7の加算アンプ144a〜144g及び第1〜第4の差動アンプ145a〜145dを含む。
4分割受光領域140は、シリンドリカルレンズ108を透過した光束のうちメインビーム142を受光する。第1の差動アンプ145aによって、4分割受光領域140の対角の和信号の差が演算されることでいわゆるフォーカスエラー信号が検出され、第1の加算アンプ144aによって、4分割受光領域140の全ての信号の和が演算されることでRF信号が検出される。
すなわち、第2の加算アンプ144b及び第3の加算アンプ144cは、それぞれ4分割受光領域140の対角に位置する領域から出力される信号を加算する。第1の差動アンプ145aは、第2の加算アンプ144bから出力される和信号と、第3の加算アンプ144cから出力される和信号との差分を算出する。また、第1の加算アンプ144aは、第2の加算アンプ144bから出力される和信号と、第3の加算アンプ144cから出力される和信号とを加算する。
一方、光検出器120の第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bは、光ディスク21の記録層のトラックに集光されるとともに反射された、いわゆる3ビーム法における第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bを受光する。シリンドリカルレンズ108を透過した光束のうち第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bは、第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bにより受光される。第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bは、それぞれY方向(トラッキング方向に垂直な方向)に沿って2つの領域に分割されている。
4分割受光領域140で受光したメインビーム142に基づいて演算されたプッシュプル信号と、第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bで受光した光量に対応する信号とが、第6及び第7の加算アンプ144f,144g及び第2〜第4の差動アンプ145b〜145dで演算される。これにより、3ビーム法、いわゆるDPP(差動プッシュプル)法におけるトラッキングエラー信号が生成され、光ディスク21の記録層のトラックに対して対物レンズ105を追従させるトラッキングサーボが行われる。
すなわち、第4の加算アンプ144d及び第5の加算アンプ144eは、それぞれ4分割受光領域140のX方向(トラッキング方向)に隣接する領域から出力される信号を加算する。第3の差動アンプ145cは、第4の加算アンプ144dから出力される和信号と、第5の加算アンプ144eから出力される和信号との差分を算出する。また、第6の加算アンプ144fは、第1のサブビーム受光領域141aの上部の領域から出力される信号と、第2のサブビーム受光領域141bの上部の領域から出力される信号とを加算する。第7の加算アンプ144gは、第1のサブビーム受光領域141aの下部の領域から出力される信号と、第2のサブビーム受光領域141bの下部の領域から出力される信号とを加算する。第2の差動アンプ145bは、第6の加算アンプ144fから出力される和信号と、第7の加算アンプ144gから出力される和信号との差分を算出する。さらに、第4の差動アンプ145dは、第2の差動アンプ145bから出力される差分信号と、第3の差動アンプ145cから出力される差分信号との差分を算出する。
なお、本実施の形態において、半導体レーザ101が光源の一例に相当し、対物レンズ105が対物レンズの一例に相当し、光検出器120が光検出器の一例に相当し、受光部123が受光部の一例に相当し、伝熱接着層124が接着層の一例に相当し、パッケージ125がパッケージ部材の一例に相当し、演算回路122が演算部の一例に相当し、信号出力部130が信号出力部の一例に相当し、FPC基板126がプリント回路基板の一例に相当し、金属製放熱板127が放熱板の一例に相当し、光学ベース111が光学ベースの一例に相当し、金属製ホルダ112がホルダの一例に相当する。
図6は、本発明の実施の形態1におけるシリンドリカルレンズを含む検出光学系の構成を示す図である。図6に示すように、シリンドリカルレンズ108は、光束の入射面側にシリンドリカル形状のシリンドリカル面108aを有し、出射面側にレンズパワーを持った凹レンズ面108bを有している。シリンドリカル面108aは、光軸に対し直交する面内において90度の角度で焦点位置の異なる非点格差を発生する。また、シリンドリカル面108aの方向は、光検出器120の4分割受光領域140に対し略45度傾いた角度に配置される。
図7は、前焦線、後焦線及び焦点位置における4分割受光領域140上でのメインビームの形状を示す図である。焦点位置におけるメインビーム142aは、円形状であり、前焦線におけるメインビーム142b及び後焦線におけるメインビーム142cは、互いに直交する楕円形状である。
光ディスク21の面振れ等により、光ディスク21の記録層と対物レンズ105との相対距離が変化することによって、前焦線及び後焦線において図7のような光束が形成される。受光部123は、図6の焦点位置に配置されることとなる。検出光学系の横倍率(β)は、対物レンズ105の焦点距離と、コリメータレンズ104の焦点距離と、シリンドリカルレンズ108の凹レンズ面108bの光学パワーとにより決定される。
図8は、本発明の実施の形態1における光学ヘッド10のコリメータレンズ104から金属製放熱板127までの部分的な構成を示す断面図である。光学ベース111は、半導体レーザ101から出射された光束の光路上に配置される光学部材を固定する。光学ベース111は、半導体レーザ101(図示せず)、回折格子102(図示せず)、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105を駆動する対物レンズアクチュエータ106(図示せず)及びシリンドリカルレンズ108を保持する。一方、光検出器120は、金属製ホルダ112に固定される。金属製ホルダ112は、光学ベース111に対して、外部ジグ(図示せず)により、光学ベース111上でZ方向(光軸方向)及びX−Y平面(光軸と直交する面内)にて調整可能な構成となっている。
次に、光検出器120の光学ベース111及び光軸に対する調整について説明する。光検出器120のX−Y平面における位置は、光検出器120の4分割受光領域140に入射するメインビーム142が4分割受光領域140の略中心に入射するように調整される。一方、光検出器120のZ方向における位置は、対物レンズ105の焦点が光ディスク21の記録層に合っている状態で、非点隔差の焦点位置に受光部123が配置されるように微調整される。これにより、4分割受光領域140に入射するメインビーム142が円形になり、フォーカスエラー信号にオフセットがなくなる。このとき、対物レンズ105の焦点がと光ディスク21の記録層に合っている状態で、フォーカスエラー信号の出力は0となる。また、第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bの略中心に第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bが入射するように、光検出器120の光軸回りの回転調整(θZ)が行われる。X−Y平面の位置調整によりフォーカスエラー信号のバランス調整が行われ、光軸回りの回転調整(θZ)によりトラッキングエラー信号の詳細調整が行われ、Z方向の位置調整によりフォーカスエラー信号のフォーカスオフセットの調整が行われる。
フォーカスエラー信号の調整が行われることにより、第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bが、第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bに略入射するように光学設計される。また、トラッキングエラー信号の振幅が最大となるように、光軸中心周りに光検出器120全体が回転調整される。これにより、第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bと、第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bとの位置関係の微調整が行われることとなる。RF信号は、4分割受光領域140で受光した光束をすべて加算することで検出される。そして、光検出器120の位置調整が行われた後、接着層113により金属製ホルダ112と光学ベース111とが接着され固定される。
また、図8の矢印Y1は、光ディスク21の回転により発生する風の流れを示している。金属製放熱板127を光学ヘッド10の外部にむきだしとなるように配置し、さらに金属製放熱板127の周辺部に空間を設けることで、金属製放熱板127の表面を風が流れる構成とする。これにより、光検出器120から発生する熱を効率よく空気中に放熱することができ、光検出器120の温度上昇を保証温度内に維持することが可能となる。
なお、光ディスク21の回転方向は、紙面奥から手前側へ向かう方向(X方向)となる。
ここで、本発明の実施の形態1における光学ヘッド10の変形例について説明する。
図9は、本発明の実施の形態1の第1の変形例における光学ヘッドの構成を示す図である。図9に示すように、FPC基板126及び金属製放熱板127の光ディスク21側の面を光学ベース111の上面111aに対し光ディスク21側に突出させる構成としてもよい。光学ベース111の上面111aよりも、FPC基板126及び金属製放熱板127の光ディスク側の面が突出していることにより、金属製放熱板127の表面を通り抜ける風の量を増やすことができる。そのため、一層放熱効率を上げることができる。
図10(A)は、本発明の実施の形態1の第2の変形例における光学ヘッドの構成を示す図であり、図10(B)は、図10(A)に示す光学ヘッドを金属製放熱板127側から見た図である。
図10(A)及び図10(B)に示すように、光学ベース111の金属製ホルダ112が固定される部分には、略長方形の光束入射孔111bが形成されている。光束入射孔111bの光ディスク21側の面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面との間には隙間が存在し、光束入射孔111bの光ディスク21側の面に対向する面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面に対向する面との間には隙間が存在する構成としてもよい。
FPC基板126、金属製放熱板127及び金属製ホルダ112のY方向(トラッキング方向に垂直な方向)の長さは、光学ベース111の光束入射孔111bのY方向の長さよりも短くしてもよい。これにより、光束入射孔111bの光ディスク21側の辺と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の辺との間に隙間が形成され、光束入射孔111bの光ディスク21側の辺に対向する辺と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の辺に対向する辺との間に隙間が形成される。
この構成により、光ディスク21が回転することにより発生する風が金属製放熱板127に当たるとともに(矢印Y1)、光学ベース111の略長方形の光束入射孔111bの中を通り抜けるため(矢印Y2)、光検出器120から金属製ホルダ112及び光学ベース111へ伝達された熱を効率よく放熱することが可能となる。よって、より一層、光検出器120の放熱効率を向上させることが可能となる。この時、光学ベース111は、亜鉛、アルミ又はマグネシウムなどの金属で構成されることが望ましい。
また、金属製ホルダ112と光学ベース111との固定(接着)は、光学ベース111の光束入射孔111bのX方向の両側で行われる。すなわち、金属製ホルダ112のX方向の長さは、光束入射孔111bのX方向の長さよりも長く、金属製ホルダ112のX方向の両端部と、光学ベース111との間に、金属製ホルダ112と光学ベース111とを接着させる接着層113が形成される。
なお、実施の形態1の第2の変形例では、光束入射孔111bの光ディスク21側の面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面との間に隙間が存在し、光束入射孔111bの光ディスク21側の面に対向する面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面に対向する面との間に隙間が存在しているが、本発明は特にこれに限定されず、光束入射孔111bの光ディスク21側の面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面との間のみに隙間が存在してもよく、また、光束入射孔111bの光ディスク21側の面に対向する面と、金属製ホルダ112の光ディスク21側の面に対向する面との間のみに隙間が存在してもよい。
さらに、実施の形態1の第2の変形例では、金属製ホルダ112のY方向の長さは、光学ベース111の光束入射孔111bのY方向の長さよりも短くしているが、本発明は特にこれに限定されず、金属製ホルダ112のX方向の長さは、光学ベース111の光束入射孔111bのX方向の長さよりも短くしてもよい。この場合、光束入射孔111bのX方向の両側に隙間が形成される。
図11は、本発明の実施の形態1における光ディスクドライブの構成を示す図である。図11において、光ディスクドライブ20は、光学ヘッド10、モータ203、トラバース204、制御回路205、信号処理回路206及び入出力回路207を備える。
光ディスク21は、クランパー201とターンテーブル202とで挟んで固定され、モータ(回転系)203によって回転させられる。モータ203は、光ディスク21を回転駆動する。光学ヘッド10はトラバース(移送系)204上に乗っている。トラバース204は、光学ヘッド10を光ディスク21の半径方向に移動させる。これにより、照射する光が光ディスク21の内周から外周まで移動できるようにしている。
制御回路205は、光学ヘッド10及びモータ203を制御する。制御回路205は、光学ヘッド10から受けた信号に基づいて、フォーカス制御、トラッキング制御、トラバース制御及びモータ203の回転制御等を行う。また、信号処理回路206は、再生信号(RF信号)から情報を再生し、入出力回路207に出力したり、入出力回路207から入ってきた記録信号を、制御回路205を通じて光学ヘッド10へ送出したりする。
なお、本実施の形態において、光ディスクドライブ20が光情報装置の一例に相当し、光学ヘッド10が光学ヘッドの一例に相当し、モータ203が駆動部の一例に相当し、制御回路205が制御部の一例に相当する。
図12は、本発明の実施の形態1において、光検出器120と金属製ホルダ112との固定方法について説明するための図である。光検出器120のX−Y平面の位置調整、Z方向の位置調整及びZ軸(光軸)周りの回転調整が行われ、外部ジグ138により位置決めされた後、金属製ホルダ112と光検出器120とは、接着剤139により接着固定される。金属製ホルダ112は、例えば亜鉛、アルミ、銅又はSPCC等の金属により構成され、光検出器120からの熱を放熱する。
光学ベース111は、樹脂又は金属で構成される。光検出器120の放熱の観点からは、光学ベース111は金属で構成されることが望ましい。この時、図8(A)における金属製ホルダ112と光学ベース111と間の接着層113は、熱伝導性を有する接着剤であることが望ましく、又は、金属製ホルダ112と光学ベース111と間に別途伝熱剤を充填する構成が望ましい。
図13(A)は、2層の光ディスク21における他層からの表面反射について説明するための概略図であり、図13(B)は、多層の光ディスク31における他層からの表面反射について説明するための概略図である。他層からの反射光が第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bに入射すると、トラッキングエラー信号にオフセットを与え、トラッキングサーボの品質を劣化させる。図13(A)では、2つの記録層を有する光ディスク21の構成を示すとともに、ある記録層に収束光300が集光されている時の他層からの迷光の発生の様子を示す。図13(A)では、第1の記録層L0に焦点を結んでおり、この場合、第2の記録層L1で反射した光が他層迷光となる。
また、図13(B)では、4つの記録層を有する光ディスク31の構成を示すとともに、ある記録層に収束光300が集光されている時の他層からの迷光の発生の様子を示す。図13(B)では、第3の記録層L2に焦点を結んでおり、第1の記録層L0、第2の記録層L1及び第4の記録層L3で反射した光が他層迷光となる。
図13(A)の2層の光ディスク21において、第1の記録層L0と第2の記録層L1との層間隔d2は、規格上25±5μmと定義されており、最小でも20μm、最大でも30μmである。そのため、他層迷光の光検出器120上での大きさは、ある程度制限される。
一方、図13(B)の4層等の3層以上の記録層を有する光ディスク31において、最も間隔の小さい層間隔d4minは、2層の光ディスク21と比べて小さくなる可能性が高い。なお、図13(B)では、例として第3の記録層L2と第4の記録層L3との層間隔を層間隔d4minとしている。また、最も間隔の離れた層間隔d4maxは、2層の光ディスク21と比べて大きくなる。このとき、光検出器120での他層迷光の大きさは、2層の光ディスク21と比べて大幅に大きくなる。なお、図13(B)では、例として第1の記録層L0と第4の記録層L3との層間隔を層間隔d4maxとしている。
従って、多層の光ディスク31に情報を記録又は再生する際に、安定したトラッキングエラー信号を検出するためには、他層迷光が第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bに漏れこまないようにする必要がある。これには、検出光学系の倍率(横倍率β)を大きくして、メインビーム142を受光する4分割受光領域140と、第1のサブビーム143a及び第2のサブビーム143bを受光する第1のサブビーム受光領域141a及び第2のサブビーム受光領域141bとの距離を大きく離す必要がある。
図14(A)は、従来の光学ヘッドの光検出器上におけるメインビームとサブビームとの距離と、他層迷光との関係を示す図であり、図14(B)は、本発明の実施の形態1の光学ヘッドの光検出器上におけるメインビームとサブビームとの距離と、他層迷光との関係を示す図である。
光検出器120上におけるメインビーム142と第1のサブビーム143a(又は第2のサブビーム143b)との距離は、光ディスク21の記録層のトラックに集光されたメインビーム142と第1のサブビーム143a(又は第2のサブビーム143b)との間隔に対し検出光学系の横倍率を掛けた値となる。
たとえば、記録層のトラック上におけるメインビームとサブビームとの間隔が20μmであり、検出光学系の横倍率が6倍程度であるとすると、光検出器120上におけるメインビーム142と第1のサブビーム143a(又は第2のサブビーム143b)との距離は、約120μmとなる。しかしながら、多層の光ディスクに情報を記録又は再生する際に、他層迷光の大きさが約150μmであるとすると、安定したトラッキングエラー信号を検出するには、検出光学系の横倍率は略10倍必要となる。このときのメインビーム142と第1のサブビーム143a(又は第2のサブビーム143b)との距離は、約200μmとなる。
ここで、光ディスク21の記録層のトラック上におけるメインビーム142と第1のサブビーム143a(又は第2のサブビーム143b)との間隔は略20μmとしたが、この値は光ディスク21の内周から外周への移動時のトラッキングエラーのオフセットに影響するため、機器ごとにあらかじめ設定される値となり、一般的には10μm〜20μmの範囲の値が選定される。
一方、光学ヘッド10の小型化を実現するためには、検出光学系の寸法を小さくする必要があり、他層迷光の影響を考慮した上での検出光学系の小型化が必要となる。他層迷光の悪影響を考慮して検出光学系の倍率は大きくする必要がある。対物レンズ105の焦点距離を小さくすること、及び検出光学系の焦点距離を小さくすることにより、横倍率を維持したまま対物レンズ105及びコリメータレンズ104のみで検出光学系の小型化が行われる。この時、光検出器120を保持する金属製ホルダ112又は受光部123に入射する迷光を遮断するアパーチャを別部材として構成することは、スペースの観点より厳しくなる。
図14(B)に示すように、第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bに他層迷光が入射しないように4分割受光領域140と第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bとの距離を離すためには、対物レンズ105、コリメータレンズ104及びシリンドリカルレンズ108の凹レンズで構成される検出光学系の横倍率は、約14倍から16倍の範囲とすることが望ましい。
検出光学系の横倍率を上げるとともに、4分割受光領域140と第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bとの距離を離して、他層迷光が第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bに入らないようにすることで、迷光によるオフセット及び干渉のない安定したトラッキングエラー信号を得ることができる。
また、対象層からの反射光と他層迷光との干渉によるトラッキングエラー信号のDCレベルの変動がなくなるので、トラッキングサーボの性能を劣化させることがなく、安定した記録性能及び再生性能を実現できる。
光検出器120は、樹脂製ではなくガラス製のパッケージ125及び伝熱接着層124を備えることで、4分割受光領域140と第1のサブビーム受光領域141a及び第1のサブビーム受光領域141bとの距離が大きくなることにより、シリコン半導体121の面積が大きくなったとしても、光検出器120の大幅な小型化が可能となる。
光検出器120から発生した熱を、金属製ホルダ112及び金属製放熱板127に効率よく伝熱する構成及び光ディスク21の回転により発生する風を利用し金属製放熱板127から空気中に放熱する構成により、光検出器120の温度上昇を低減することができる。
また、上記の放熱構成により、光検出器120の容積を小さくしても、優れた放熱特性を実現でき、サーボ性能及び信頼性に優れた光学ヘッドを実現できる。
さらに、光検出器120を小さく且つ薄く構成することができ、光学ヘッド10の復路の検出光学系の倍率を大きくしつつ小型化が可能となる。その結果、光学ヘッド10の小型化が可能となり、小型化及び多層の光ディスクへの対応が可能な光ディスクドライブ20を実現できる。
また、FPC基板126の光検出器120を実装する面とは反対の面に平面精度の高い金属製放熱板127が配置されることで、光検出器120の実装時にFPC基板126と光検出器120との位置決めが精度良く行えるとともに、FPC基板126が反ったり変形したりすることがないため、高精度な実装が可能となる。この時、光検出器120のX方向、Y方向及びZ方向のサイズは、それぞれ約2.5mm、約2.5mm及び約1mmとなり、各信号出力部130のピッチは0.4mm〜0.5mmとなり非常に小さくすることができる。また、金属製放熱板127の平面度は20μm以下であることが望ましい。また、金属製放熱板127は、熱伝導率の観点よりアルミニウム又は銅の平板であることが望ましい。
なお、実施の形態1ではFPC基板126は2層構造としているが、単層でも3層以上でも問題ない。また、金属製放熱板127とFPC基板126とは接着層により固定しているが、部分的に熱伝導剤を充填する構成でも良いし、熱伝導性を有する接着剤を用いてもよい。
図15(A)〜図15(C)は、本発明の実施の形態1の第3の変形例における光学ヘッドのFPC基板126と金属製放熱板127との構成を示す図である。図15(A)は、本発明の実施の形態1の第3の変形例におけるFPC基板と金属製放熱板との構成を示す底面図であり、図15(B)は、本発明の実施の形態1の第3の変形例におけるFPC基板と金属製放熱板との構成を示す断面図であり、図15(C)は、本発明の実施の形態1の第3の変形例におけるFPC基板と金属製放熱板との構成を示す正面図である。
図4に示すFPC基板126のランド部126cから金属製放熱板127への伝熱において、樹脂層126b及び接着層129などの金属以外の材料で構成された部材により熱伝導率が低下する。
そこで、図15(A)〜図15(C)に示すように、光検出器120が実装されるFPC基板126の面にGND(グランド)端子126e及びダミー端子126fを形成し、GND(グランド)端子126e及びダミー端子126fと金属製放熱板127とをダミービアホール126gで配線し、ダミービアホール126gを半田メッキ等で金属製放熱板127に接触させる。GND端子126eは、接地するための端子であり、ダミー端子126fは、ランド部126cのように信号を伝達するのではなく、熱を伝達するために設けられた端子である。また、ダミービアホール126gは、受光部123及び演算回路122で発熱する熱を信号出力部130から金属製放熱板127へ伝熱する。
なお、本実施の形態において、ダミービアホール126gがビアホールの一例に相当する。
この構成により、光検出器120で発生した熱が、信号出力部130、GND端子126e、ダミー端子126f及びダミービアホール126gを介して、金属製放熱板127まで伝達される。そのため、光検出器120で発生した熱を、より一層効率的に金属製放熱板127に伝熱することが可能となる。
この時、図2(C)に示す演算回路122の発熱量は、受光部123の発熱量よりも多い。そのため、演算回路122に接触するダミー端子126fの密度を増やすことにより、一層放熱効率を向上させることができる。すなわち、演算回路122の表面積に対してダミービアホール126gが分布する割合は、受光部123の表面積に対してダミービアホール126gが分布する割合より高い。さらに、演算回路122に接続される伝熱用のダミーのビアホールがシリコン半導体121の内部に形成され、ダミー端子126fと演算回路122とが直接ダミービアホール126gで接続されることで一層伝熱効率を上げることが可能となる。
なお、実施の形態1では、金属製ホルダ112に光検出器120が固定されているが、本発明は特にこれに限定されず、金属製ホルダ112を省略してもよく、光学ベース111に直接光検出器120を接着固定する構成でもよい。この時、光学ベース111は、アルミニウム又は亜鉛などの金属で構成されることが望ましい。
なお、実施の形態1では、金属製ホルダ112及び光検出器120は可能な限り光ディスク21の回転により発生する風が直接当たる位置に配置され、金属製ホルダ112及び光検出器120からも空気中に放熱しているが、金属製ホルダ112及び光検出器120が光学ヘッド10の内部に隠れ、直接風が当たらない構成としても良い。
なお、本実施の形態1では、パッケージ125の材料をガラスとしているが、特定の材料に限られないことは言うまでもない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における光学ヘッドついて説明する。
図16は、本発明の実施の形態2における光学ヘッドの構成を示す図である。なお、図16では、実施の形態2における光学ヘッド11のコリメータレンズ104から金属製カバー128までの部分的な構成を示しており、その他の構成は、実施の形態1における光学ヘッド10の構成と同じである。
実施の形態2は実施の形態1と光検出器120の放熱構成が異なる。実施の形態1では光検出器120で発生した熱は、金属製放熱板127の表面から光ディスク21の回転によって生ずる風を利用して空気中に放熱したが、実施の形態2では、図16に示すように、光学ベース111にアルミニウム、銅、SPCC又はステンレス等で構成される金属製カバー128が固定され、金属製カバー128と金属製放熱板127との間に熱伝導剤131が充填される。これにより、光検出器120で発生した熱を金属製カバー128に伝熱している。なお、熱伝導剤131の熱伝導率は2W/m・K以上であることが望ましい。
図16に示す光学ヘッド11は、半導体レーザ101、回折格子102、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105、対物レンズアクチュエータ106、シリンドリカルレンズ108、金属製ホルダ112、光検出器120、FPC基板126、金属製放熱板127及び金属製カバー128を備える。
金属製カバー128は、光学ベース111に固定され、金属製放熱板127からの熱が伝達される。金属製カバー128は、L字形状であり、光学ベース111に固定される第1の面と、熱伝導剤131を介して金属製放熱板127に固定される、第1の面に対して所定の角度を有する第2の面とを含む。また、金属製カバー128は、光ディスク21が回転することにより発生する風が直接当たる位置に配置される。光ディスク21からの風は、金属製カバー128の表面上を通り抜ける。なお、光ディスク21の回転方向は、紙面奥から手前側に向かう方向(X方向)となる。
また、金属製カバー128は、光学ヘッド10の外側に空気中に露出するように配置される。そのため、光ディスク21の回転により発生する風が金属製カバー128の表面に当たり、風が光ディスク21側から下方に通り抜ける構成となり効率的に空気中に放熱することが可能となる。
なお、本実施の形態において、金属製カバー128がカバー部材の一例に相当する。
このような放熱構成により、一層効率的に光検出器120で発生した熱を金属製カバー128により空気中に放熱することができ、光検出器120の温度上昇を低減することが可能となる。また、光検出器自身からの発熱による温度上昇を10℃以下に抑えることができる。そのため、多層光ディスクの高倍速記録を実現することができ、小型の光ディスクドライブ(光情報装置)に対応した光検出器を実現することができる。また、小型、高性能及び高信頼性の光学ヘッド及び光ディスクドライブ(光情報装置)を実現することができる。
なお、実施の形態2において、金属製放熱板127と金属製カバー128との間に設けられた熱伝導剤131により伝熱しているが、金属製カバー128を金属製放熱板127に板バネ等により接触させてもよい。
さらに、金属製カバー128の一部は、図16の二点鎖線で示すように斜めに傾斜させてもよい。すなわち、金属製カバー128は、光検出器120に入射する光束の光軸に垂直な面に対して斜めに傾斜しており、金属製カバー128の光ディスク21側の端部は、金属製放熱板127より遠ざかる方向に広がっている。この構成により、一層、金属製カバー128の表面に風が通り抜ける構成となり、放熱効率を上げることが可能となる。
図17(A)は、本発明の実施の形態2の変形例における光学ヘッドの構成を示す図であり、図17(B)は、図17(A)に示す光学ヘッドを金属製カバー128側から見た図である。なお、図17(B)では、金属製カバー128及び熱伝導剤131は省略している。また、図17(A)では、実施の形態2の変形例における光学ヘッド12のコリメータレンズ104から金属製カバー128までの部分的な構成を示しており、その他の構成は、実施の形態1における光学ヘッド10の構成と同じである。
上記の実施の形態2では、金属製ホルダ112に光検出器120が固定されているが、金属製ホルダ112を省略し、光学ベース111に直接光検出器120を接着固定する構成でもよい。
図17(A)に示す光学ヘッド12は、半導体レーザ101、回折格子102、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105、対物レンズアクチュエータ106、シリンドリカルレンズ108、光検出器120、FPC基板126、金属製放熱板127及び金属製カバー128を備える。
光検出器120は、FPC基板126に固定されている。光検出器120は、光学ベース111に形成された光束入射孔111bよりも小さく、FPC基板126は、光束入射孔111bよりも大きい。FPC基板126と光学ベース111との間には、FPC基板126を光学ベース111に接着させる接着層113が設けられている。例えば、接着層113は、FPC基板126のX方向の両端部に設けられている。
このように、光検出器120が固定されたFPC基板126を光学ベース111に固定することにより、光検出器120を空気中に露出させ、放熱させることができる。また、光ディスク21の回転により発生する風を光検出器120に直接当てることができ、光検出器120の温度上昇を抑制することができる。
なお、本実施の形態2の変形例では、光学ヘッド12は金属製カバー128を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、光学ヘッド12は金属製カバー128を備えていなくてもよい。
図18は、本発明の実施の形態2における光ディスクドライブの構成を示す図である。図18において、光ディスクドライブ22は、光学ヘッド11、モータ203、トラバース204、制御回路205、信号処理回路206及び入出力回路207を備える。光ディスクドライブ20は、光情報装置の一例に相当する。
実施の形態2における光ディスクドライブ22は、実施の形態1における光ディスクドライブ20の光学ヘッド10を光学ヘッド11に変更しただけである。そのため、実施の形態2における光ディスクドライブ22の動作は、実施の形態1における光ディスクドライブ20と同じであるので説明を省略する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における光学ヘッドについて説明する。
実施の形態3における光学ヘッドは、実施の形態1及び実施の形態2とトラッキングエラー信号の検出方式が異なる。実施の形態1及び実施の形態2では回折格子102を用いたいわゆる3ビーム法でトラッキングエラー信号を検出しているが、実施の形態3ではホログラム素子を用いたいわゆる1ビーム法(APP(アドバンスドプッシュプル)法)でトラッキングエラー信号を検出している。また、トラッキングエラー信号の検出方式の変更に伴い、受光部123の各受光領域の配置が異なる。
図19は、本発明の実施の形態3における光学ヘッドの光学系の構成を示す図である。図19において、光学ヘッド13は、半導体レーザ101、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105、対物レンズアクチュエータ106、シリンドリカルレンズ108、ホログラム素子150、金属製ホルダ112、光検出器220、FPC基板126及び金属製放熱板127を備える。
半導体レーザ101は、発振波長約405nmの光束を出射する。ホログラム素子150は、ビームスプリッタ103とシリンドリカルレンズ108との間に配置され、いわゆる1ビーム法(APP法)によりトラッキングエラー信号を生成するための光束に分割する。ホログラム素子150は、対物レンズ105とシリンドリカルレンズ108との間に配置され、光ディスク21で反射された反射光束を分割する。
半導体レーザ101を出射した光束は、ビームスプリッタ103で反射された後、コリメータレンズ104で平行光束に変換され、対物レンズ105に入射する。対物レンズ105は、半導体レーザ101から出射した光束を光ディスク21に集光する。対物レンズ105は、対物レンズアクチュエータ106(詳細は図示せず)により光軸方向(フォーカス方向)及び光ディスク21のトラッキング方向(ラジアル方向)に駆動される。
光ディスク21の記録層で反射及び回折された光束は、再び対物レンズ105及びコリメータレンズ104を透過し、ビームスプリッタ103に入射する。ビームスプリッタ103を透過した光束は、ホログラム素子150によって複数に分割され、シリンドリカルレンズ108に入射する。シリンドリカルレンズ108は、光ディスク21で反射された反射光束に非点収差を発生させる。シリンドリカルレンズ108を透過した光束は、光検出器220に入射する。光検出器220は、シリンドリカルレンズ108によって非点収差が発生した反射光束を検出する。
図20は、図19に示すホログラム素子150の構成を示す図である。図20において、実線はホログラム素子150の分割パターンを示し、破線はホログラム素子150を通過する光束の形状を示す。ホログラム素子150は、メインビームが入射するメインビーム領域151と、光ディスク21(31)の記録層で回折された±1次光と0次光との干渉光が入射する第1及び第2のAPPメイン領域152及び153と、0次光のみが入射する第1及び第2のAPPサブ領域154及び155とを含む。
図21(A)は、本発明の実施の形態3における光検出器の構成を示す側面図であり、図21(B)は、本発明の実施の形態3における光検出器の構成を示す正面図である。図21(A)において、光検出器220は、シリコン半導体221、伝熱接着層124、パッケージ125及び信号出力部130を備える。シリコン半導体221は、受光部223及び演算回路122を備える。なお、図21(B)における斜線は、伝熱接着層124が形成される領域を示している。
シリコン半導体221には、受光部223、演算回路122及び信号出力部130が形成され、ガラスにより構成されたパッケージ125は、シリコン半導体221上に伝熱接着層124により貼り合わされる。シリコン半導体221の光入射側の面には、受光部223及び演算回路122が形成され、光入射側の面に対向する面には、信号出力部130が形成されている。伝熱接着層124は、受光部223上であり、光ディスク21で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。光検出器220の受光部223以外の構成は、実施の形態1の光検出器120の構成と同じである。
受光部223は、光ディスク21で反射された反射光束を受光する。演算回路122は、受光部223で受光した反射光束を光電変換することにより得られた電気信号に所定の演算を施す。パッケージ125は、受光部223及び演算回路122を被覆する。
受光部223は、4分割受光領域240、第1のAPPメインビーム受光領域156、第2のAPPメインビーム受光領域157、第1のAPPサブビーム受光領域158及び第2のAPPサブビーム受光領域159を含む。
ホログラム素子150の各分割領域を透過した光束がそれぞれの受光領域に入射する。メインビーム領域151を透過した光束(メインビーム142)は、4分割受光領域240に入射する。第1及び第2のAPPメイン領域152及び153を透過した光束(APPメインビーム165)は、第1のAPPメインビーム受光領域156及び第2のAPPメインビーム受光領域157に入射する。第1及び第2のAPPサブ領域154及び155を透過した光束(APPサブビーム166)は、第1のAPPサブビーム受光領域158及び第2のAPPサブビーム受光領域159に入射する。
4分割受光領域240の対角の和信号の差動が演算されることでフォーカスエラー信号が生成され、4分割受光領域240の全ての信号の和が演算されることでRF信号が生成される。
一方、トラッキングエラー信号は、第1及び第2のAPPメインビーム受光領域156,157の互いの信号の差動を求めることでいわゆるプッシュプル信号が生成され、生成したプッシュプル信号と第1及び第2のAPPサブビーム受光領域158,159の信号とが演算されることで、いわゆるAPP法におけるトラッキングエラー信号が生成される。
このとき、トラッキングエラー信号を生成するための受光領域である、第1及び第2のAPPメインビーム受光領域156,157及び第1及び第2のAPPサブビーム受光領域158,159に、他層迷光が入射しないように、4分割受光領域240、第1及び第2のAPPメインビーム受光領域156,157及び第1及び第2のAPPサブビーム受光領域158,159は、互いの距離を離して配置される。また、光学ヘッド13の薄型化のために、それぞれの受光領域は、L型に配置される。このとき、光軸中心は4分割受光領域240の中心となる。図22は、本発明の実施の形態3におけるトラッキングエラー信号の演算方法について説明するための図である。
実施の形態3において、トラッキングエラー信号は、下記の式(3)に基づいて算出される。
トラッキングエラー信号=(B1−B2)−k(B3−B4)・・・(3)
なお、上記の式(3)において、B1は、第1のAPPメインビーム受光領域156の出力を表し、B2は、第2のAPPメインビーム受光領域157の出力を表し、B3は、第1のAPPサブビーム受光領域158の出力を表し、B4は、第2のAPPサブビーム受光領域159の出力を表し、kはゲインを表す。なお、ゲインkは、通常、0.5〜5に設定される。
この構成により、APP法によりトラッキングエラー信号が検出される光学ヘッドにおいても、トラッキングエラー信号は他層迷光による干渉の影響のないサーボ信号となり、安定した記録性能及び再生性能を有した光学ヘッドを実現できる。
なお、実施の形態3における光学ヘッド13は、実施の形態2において説明した金属製カバー128を備えてもよい。また、実施の形態3では、金属製ホルダ112に光検出器220が固定されているが、本発明は特にこれに限定されず、金属製ホルダ112を省略してもよく、光学ベースに直接光検出器220を接着固定する構成でもよい。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における光学ヘッドについて説明する。実施の形態1〜3と異なる点は、405nmの波長を有する光を出射するBD(ブルーレイディスク)用の光源だけでなく、650nmの波長を有する光を出射するDVD用の光源及び780nmの波長を有する光を出射するCD用の光源を搭載し、多層BD、DVD及びCDに対応可能な構成とした点である。
図23は、本発明の実施の形態4における光学ヘッドの光学系の構成を示す図である。図23において、光学ヘッド12は、回折格子102、ビームスプリッタ103、コリメータレンズ104、対物レンズ105、対物レンズアクチュエータ106、シリンドリカルレンズ108、金属製ホルダ112、光検出器320、FPC基板126、金属製放熱板127、ホログラム素子150、平板ビームスプリッタ170、青色半導体レーザ191及び2波長半導体レーザ192を備える。
青色半導体レーザ191は、405nmの波長を有する青色光を出射する。2波長半導体レーザ192は、650nmの波長を有する赤色光を出射するとともに、780nmの波長を有する赤外光を出射する。
平板ビームスプリッタ170は、2波長半導体レーザ192から出射された赤色光又は赤外光を対物レンズ105へ向けて反射させるとともに、光ディスク21(31)によって反射された反射光(青色光、赤色光又は赤外光)を透過させる。光検出器320は、シリンドリカルレンズ108によって非点収差が発生した反射光束を検出する。
このような、3波長の光源を搭載した光学ヘッド14の光検出器320の構成について図24を用いて説明する。図24は、本発明の実施の形態4における光検出器の構成を示す正面図である。
光検出器320は、受光部323、演算回路122、信号出力部(不図示)、伝熱接着層(不図示)及びパッケージ(不図示)を含む。なお、図24における斜線は、伝熱接着層が形成される領域を示している。
シリコン半導体(不図示)には、受光部323、演算回路122及び信号出力部が形成され、ガラスにより構成されたパッケージは、シリコン半導体上に伝熱接着層により貼り合わされる。シリコン半導体の光入射側の面には、受光部323及び演算回路122が形成され、光入射側の面に対向する面には、信号出力部が形成されている。伝熱接着層は、受光部323上であり、光ディスク21で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。光検出器320の受光部323以外の構成は、実施の形態1の光検出器120の構成と同じである。
受光部323は、光ディスク21(31)で反射された反射光束を受光する。演算回路122は、受光部323で受光した反射光束を光電変換することにより得られた電気信号に所定の演算を施す。パッケージは、受光部323及び演算回路122を被覆する。
受光部323は、第1の4分割受光領域180、第2の4分割受光領域161、第1のAPPメインビーム受光領域156、第2のAPPメインビーム受光領域157、第1のAPPサブビーム受光領域158、第2のAPPサブビーム受光領域159、第1のサブビーム受光領域160a、第2のサブビーム受光領域160b、第3のサブビーム受光領域162a及び第4のサブビーム受光領域162bを含む。
第1の4分割受光領域180は、405nmの波長を有する青色光のメインビーム142を受光するとともに、650nmの波長を有する赤色光のメインビーム242を受光する。第1及び第2のAPPメインビーム受光領域156,157は、405nmの波長を有する青色光のAPPメインビーム165を受光する。第1及び第2のAPPサブビーム受光領域158,159は、405nmの波長を有する青色光のAPPサブビーム166を受光する。
第1のサブビーム受光領域160aは、650nmの波長を有する赤色光の第1のサブビーム243aを受光し、第2のサブビーム受光領域160bは、650nmの波長を有する赤色光の第2のサブビーム243bを受光する。メインビーム242に基づいてフォーカスエラー信号が検出されるとともに、メインビーム242のプッシュプル信号と第1のサブビーム243a及び第2のサブビーム243bの信号とに基づいていわゆる3ビーム法におけるトラッキングエラー信号が検出される。
さらに、第2の4分割受光領域161は、780nmの波長を有する赤外光のメインビーム342を受光する。第3のサブビーム受光領域162aは、780nmの波長を有する赤外光の第1のサブビーム343aを受光し、第4のサブビーム受光領域162bは、780nmの波長を有する赤外光の第2のサブビーム343bを受光する。メインビーム342に基づいてフォーカスエラー信号が検出されるとともに、メインビーム342のプッシュプル信号と第1のサブビーム343a及び第2のサブビーム343bの信号とに基づいていわゆる3ビーム法におけるトラッキングエラー信号が検出される。
実施の形態4の構成により、異なる3つの波長に対応した光ディスク(BD、DVD及びCD)に対する情報の記録又は再生が可能となるとともに、単層及び2層の光ディスクだけでなく、多層の光ディスク31への情報の記録又は再生も可能となり、記録特性及び再生特性にすぐれ且つ小型の光学ヘッド及び光ディスクドライブを実現できる。
なお、実施の形態4におけるBDのトラッキングエラー信号検出方式は、1ビーム法(APP法)としているが、3ビーム法であってもよい。また、伝熱接着層は、シリコン半導体の表面の全面に構成されている。
また、実施の形態4における光学ヘッド14は、実施の形態2において説明した金属製カバー128を備えてもよい。また、実施の形態4では、金属製ホルダ112に光検出器320が固定されているが、本発明は特にこれに限定されず、金属製ホルダ112を省略してもよく、光学ベースに直接光検出器320を接着固定する構成でもよい。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光学ヘッドは、記録層を有する情報記録媒体に情報を記録又は再生する光学ヘッドであって、光束を出射する光源と、前記光源から出射した光束を前記情報記録媒体に集光する対物レンズと、前記情報記録媒体で反射された光束を検出する光検出器とを備え、前記光検出器は、前記情報記録媒体で反射された光束を受光する受光部と、前記受光部を被覆するパッケージ部材と、前記パッケージ部材と前記受光部との間に配置された接着層とを有し、前記接着層は、前記受光部上であり、前記情報記録媒体で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。
この構成によれば、光源は、光束を出射する。対物レンズは、光源から出射した光束を情報記録媒体に集光する。光検出器は、情報記録媒体で反射された光束を検出する。受光部は、情報記録媒体で反射された光束を受光する。パッケージ部材は、受光部を被覆する。接着層は、パッケージ部材と受光部とを接着する。接着層は、受光部上であり、情報記録媒体で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。
したがって、光検出器から発生する熱が接着層へ伝達されるので、光検出器の温度上昇を抑制することができ、光学ヘッドの小型化及び検出信号の安定化を実現することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記パッケージ部材は、前記情報記録媒体で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、パッケージ部材は、情報記録媒体で反射した光束が通過する光路を含む領域に形成されている。したがって、光検出器から発生する熱が接着層を介してパッケージ部材へ伝達されるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記接着層は、シリコン樹脂より構成され、前記接着層の厚さは、5μmから25μmの間であることが好ましい。
この構成によれば、接着層は、シリコン樹脂より構成される。また、接着層の厚さは、5μmから25μmの間である。したがって、接着強度を維持しつつ熱抵抗を小さくすることができる。また、波長405nmの青色光による材質の劣化を抑えることができるとともに接着層の透過率を上げることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記接着層の熱伝導率は、0.5W/m・K以上であることが好ましい。
この構成によれば、接着層の熱伝導率は、0.5W/m・K以上であるので、受光部からパッケージ部材までの熱伝導率を向上させることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記接着層は、エポキシ系の配合物を含まないことが好ましい。
この構成によれば、接着層には、エポキシ系の配合物が含まれないので、青色光によるシリコン樹脂の劣化を大幅に低減することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記パッケージ部材における前記情報記録媒体で反射した光束が入射する面には反射防止膜が形成されており、前記パッケージ部材と前記接着層との境界面には反射防止膜が形成されていないことが好ましい。
この構成によれば、パッケージ部材と接着層との接着強度を上げることができる。また、パッケージ部材と接着層との境界面に反射防止膜が無くても透過率を落すことがなく、優れた信頼性とS/N比とを実現することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記接着層の透過率は、405nmの波長を有する光に対して99%以上であることが好ましい。
この構成によれば、接着層の透過率は、405nmの波長を有する光に対して99%以上であるので、405nmの波長を有する光を受光部へ導くことができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光検出器は、前記受光部で受光した光束を光電変換することにより得られた電気信号に所定の演算を施す演算部と、前記演算部に接続され、前記演算部からの出力信号を出力する信号出力部とをさらに有し、前記光学ヘッドは、前記光検出器の前記対物レンズ側から遠い側に配置され、前記信号出力部に接続されるプリント回路基板をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、演算部は、受光部で受光した光束を光電変換することにより得られた電気信号に所定の演算を施す。信号出力部は、演算部に接続され、演算部からの出力信号を出力する。また、プリント回路基板は、光検出器の対物レンズ側から遠い側に配置され、信号出力部に接続される。
したがって、光検出器で発生する熱が信号出力部を介してプリント回路基板へ伝達されるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記プリント回路基板における前記信号出力部が接続される面に対向する面に接し、前記プリント回路基板から伝達された熱を放熱する放熱板をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、放熱板は、プリント回路基板における信号出力部が接続される面に対向する面に接し、プリント回路基板から伝達された熱を放熱する。
したがって、光検出器で発生する熱が信号出力部及びプリント回路基板を介して放熱板へ伝達されるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記放熱板は、前記情報記録媒体が回転することにより発生する風が前記放熱板の表面に直接当たる位置に配置され、前記情報記録媒体からの風は、前記放熱板の表面上を通り抜けることが好ましい。
この構成によれば、放熱板は、情報記録媒体が回転することにより発生する風が放熱板の表面に直接当たる位置に配置される。そして、情報記録媒体からの風は、放熱板の表面上を通り抜ける。したがって、情報記録媒体が回転することにより発生する風によって放熱板を冷却することができ、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材を固定する光学ベースをさらに備え、前記プリント回路基板及び前記放熱板は、前記光学ベースの上面に対し前記情報記録媒体側に突出していることが好ましい。
この構成によれば、光学ベースは、光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材を固定する。プリント回路基板及び放熱板は、光学ベースの上面に対し情報記録媒体側に突出している。したがって、情報記録媒体が回転することにより発生する風がプリント回路基板及び放熱板に当たる面積が増えるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記プリント回路基板は、前記受光部及び前記演算部で発熱する熱を前記信号出力部から前記放熱板へ伝熱するビアホールを有し、前記演算部の表面積に対して前記ビアホールが分布する割合は、前記受光部の表面積に対して前記ビアホールが分布する割合より高いことが好ましい。
この構成によれば、ビアホールは、受光部及び演算部で発熱する熱を信号出力部から放熱板へ伝熱する。そして、演算部の表面積に対してビアホールが分布する割合は、受光部の表面積に対してビアホールが分布する割合より高い。したがって、発熱量が大きい演算部で発生する熱をより効果的に放熱することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光学ベースに固定され、前記放熱板からの熱が伝達されるカバー部材をさらに備え、前記カバー部材は、前記情報記録媒体が回転することにより発生する風が直接当たる位置に配置され、前記情報記録媒体からの風は、前記カバー部材の表面上を通り抜けることが好ましい。
この構成によれば、カバー部材は、光学ベースに固定され、放熱板からの熱が伝達される。そして、カバー部材は、情報記録媒体が回転することにより発生する風が直接当たる位置に配置され、情報記録媒体からの風は、カバー部材の表面上を通り抜ける。
したがって、光検出器で発生する熱が信号出力部、プリント回路基板及び放熱板を介して、カバー部材へ伝達されるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。また、情報記録媒体が回転することにより発生する風によってカバー部材を冷却することができ、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記カバー部材は、前記光検出器に入射する光束の光軸に垂直な面に対して斜めに傾斜しており、前記カバー部材の前記情報記録媒体側の端部は、前記金属製放熱板より遠ざかる方向に広がっていることが好ましい。
この構成によれば、カバー部材は、光検出器に入射する光束の光軸に垂直な面に対して斜めに傾斜しており、カバー部材の情報記録媒体側の端部は、金属製放熱板より遠ざかる方向に広がっているので、より一層、カバー部材の表面に風が通り抜ける構成となり、放熱効率を上げることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材及び前記光検出器を固定する光学ベースをさらに備え、前記光学ベースの前記光検出器が固定される部分には、前記光束を前記光検出器へ導くための光束入射孔が形成されており、前記光検出器は、前記光束入射孔よりも小さく、前記情報記録媒体からの風は、前記光束入射孔の中を通り抜けることが好ましい。
この構成によれば、光学ベースは、光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材及び光検出器を固定する。そして、光学ベースの光検出器が固定される部分には、光束を光検出器へ導くための光束入射孔が形成されている。光検出器は、光束入射孔よりも小さく、情報記録媒体からの風は、光束入射孔の中を通り抜ける。
したがって、光束入射孔の中を通り抜ける風によって、光検出器を放熱することができ、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材を固定する光学ベースと、前記光学ベースに固定され、前記光検出器を保持するホルダとをさらに備え、前記光学ベースの前記ホルダが固定される部分には、前記光束を前記光検出器へ導くための光束入射孔が形成されており、前記ホルダは、前記光束入射孔よりも小さく、前記情報記録媒体からの風は、前記光束入射孔の中を通り抜けることが好ましい。
この構成によれば、光学ベースは、光源から出射された光束の光路上に配置される光学部材を固定する。また、ホルダは、光学ベースに固定され、光検出器を保持する。光学ベースのホルダが固定される部分には、光束を光検出器へ導くための光束入射孔が形成されている。ホルダは、光束入射孔よりも小さく、情報記録媒体からの風は、光束入射孔の中を通り抜ける。
したがって、光検出器で発生する熱がホルダに伝達されるので、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。また、光束入射孔の中を通り抜ける風によって、ホルダを放熱することができ、光検出器の温度上昇をさらに抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光検出器は、前記情報記録媒体が回転することにより発生する風が直接当たる位置に配置されることが好ましい。
この構成によれば、光検出器は、情報記録媒体が回転することにより発生する風が直接当たる位置に配置されるので、光検出器の放熱効率を上げることができる。
本発明の他の局面に係る光情報装置は、上記のいずれかに記載の光学ヘッドと、情報記録媒体を回転駆動するための駆動部と、前記光学ヘッド及び前記駆動部を制御する制御部とを備える。この構成によれば、上記の光学ヘッドを光情報装置に適用することができる。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。