JP5619472B2 - 眼鏡レンズ - Google Patents
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Description
ところで、太陽から発せられる自然光は、眼に有害な光線を含有し、かつ、眼に眩しさを感じさせるが、反射防止膜を形成しているレンズの場合、眩しさを感じさせる原因となる乱反射光、特に容易に乱反射する短波長光の透過率をも高めているので、認識される眩しさは、増大することとなる。
また、短波長光は、高エネルギーの光であるので、眼にストレスを与え易い。くわえて、太陽から発せられる自然光が無い状態であっても、室内に設置された照明器機によって短波長光が眼に入射する状況となっており、昼夜を問わず眼にストレスが与えられる。更に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び3Dディスプレイなどの画像表示装置は、高輝度化に進んでおり、この装置から発せられる光量の増加に伴い、眼が受けるストレスは増加の一途を辿っている。そのため、眼精疲労を訴える者の増加の問題が生じている。また、眼が受けるストレスは、特に、老化により眼が衰退した高齢者や、白内障、緑内障等の症状を有する眼病患者にとっての重大な問題である。
このように、可視光に対する眩しさと関連した不快感やコントラストの不鮮明感、更には視覚疲労などを軽減することが求められている。その対処法のひとつとしては、眼鏡レンズに適切な遮光性、いわゆる防眩性機能を付与させる方法がある。例えば、サングラスは可視光の透過率を抑えることで、眩しさを抑える目的で作られている。しかしながら、薄暮等の環境下では、視野が暗くなることによる不快感や、物体の視認の不鮮明感などを感じる場合がある。すなわち、眩しさを抑えようとした結果、全体の透過光線量が減り過ぎ、視認性を不必要なまでに低下させてしまう状態となってしまう。その為、できるだけ満足な視認性や明るさを維持しながらも同時に適切な遮光性を発揮する処方が必要とされている。
このように、防眩性付与やコントラスト増強の目的で希土類金属化合物、特にネオジム化合物を配合することは、これまでガラスレンズに希土類金属化合物を配合させる方法が行われていたが(特許文献1)、レンズ材料のプラスチック化の流れに伴い、最近では、プラスチックレンズ材料に特定の希土類金属化合物を配合させたレンズが開発されてきている。
その為、特定波長帯でできるだけ選択的に遮光する機能を付与させる目的で、色素を使用した各種試みが開示されており、例えば、成形後のレンズを染料水溶液に浸漬して染色させることで防眩性を付与させる方法(特許文献2)、あるいはコバルト化合物や特定の有機色素をモノマーに配合して硬化させるなどの方法が提案されている(特許文献3〜5)。しかしこれらに使用される色素は、吸収帯幅が極度に幅広く、有効な防眩性を確保するには他の可視領域の透過度も必要以上に遮光せざるを得ず、視認性が大幅に犠牲となった。また、575nm付近に最大吸光係数を有しかつピーク幅が比較的シャープな特定の有機色素からなる防眩性眼鏡レンズが開示されているが、色調を兼備させる際に一定の制約を伴う問題点をかかえている(特許文献6)。
故に、有機色素を使用する場合における従来までの不足点あるいは欠点として共通するのは吸収帯が極めて幅広い点であり、そのため特に希土類金属と置き換えるに値する防眩性と視認性、更には良好な色調設定性を兼備した有機色素が望まれていた。
ポルフィリン化合物は、古くから知られている化合物であり、各種機能材料への応用が提案されている。例えば、ポルフィリン化合物を、光記録材料へ応用することが提案されている(特許文献7)。また、ポルフィリン化合物を、プラズマディスプレイなどのディスプレイ用フィルタへの応用することが提案されている(特許文献8)。しかし、現在までに、ポルフィリン化合物を、眼鏡レンズへ応用することに関しては報告されていない。
(i)ポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズであり、
(ii)ポルフィリン化合物が、一般式(1)で表される化合物である(i)記載の眼鏡レンズであり、
(iv)一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、置換または未置換のエチニル基であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる(i)〜(iii)記載の眼鏡レンズであり、
(v)一般式(1)において、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が、ナフタレン環の1位と8位で縮環した置換または未置換のナフチレン環であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる(i)〜(iii)記載の眼鏡レンズであり、
[式中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表し、さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよいを表す。ただし、Y1〜Y8のすべてが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、好ましくは、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、
直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、3−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラメチルオクチル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基、
置換または無置換のエチニル基としては、エチニルの2位に、前記のような炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつものが挙げられ、
置換または未置換のアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、2−メチルフェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、キシリルオキシカルボニル基、クロロフェノキシカルボニル基、4−tert-ブチルフェノキシカルボニル基、2−メトキシフェノキシカルボニル基、4−イソプロピルフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基などの炭素数7〜11の置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、
置換または未置換のアリールチオ基としては、前記に挙げたアリール基と同様な置換基を有してもよいアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基、フェロセニルチオ基等の炭素数6〜10の置換または未置換アリールチオ基、
直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基としては、例えば、フルオロメチルオキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、6−フルオロヘキシルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシ基、1,1,3−トリヒドロ−パーフルオロ−n−プロピルオキシ基、2−ヒドロ−パーフルオロ−2−プロピルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ブチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、4−フルオロシクロヘキシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−テトラデシルオキシ基、1,1−ジヒドロ−パーフルオロ−n−ヘキサデシルオキシ基、パーフルオロエチルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、ジクロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、4−クロロシクロヘキシルオキシ基、2,2,2−トリクロロエチルオキシ基などの炭素数1〜24の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、
直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基としては、例えば、(2−メトキシエトキシ)メチル基、(2−エトキシエトキシ)メチル基、(2−n−ブチルオキシエトキシ)メチル基、(3−メトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−エトキシプロピルオキシ)メチル基、(3−n−ペンチルオキシプロピルオキシ)メチル基、(6−メトキシヘキシルオキシ)メチル基、(10−エトキシデシルオキシ)メチル基、2−(2’−エトキシエトキシ)エチル基、3−(2’−エトキシエトキシ)プロピル基、3−(2’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(3’−メトキシプロピルオキシ)プロピル基などの炭素数3〜24の直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、
一般式(1)において、さらに好ましくは、X1〜X8は、フッ素原子、臭素原子、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエテニル基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基を置換基としてもつエチニル基、炭素数6〜16の置換または未置換のアリール基、炭素数6〜16の置換または未置換のアリールオキシ基、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、あるいは炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基を表す。
一般式(1)で表されるポルフィリン化合物において、好ましくは、R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基であり、置換のアリール基としては、前記一般式(1)におけるX1〜X8で挙げたアリール基と同じ置換基を有してもよいアリール基が挙げられる。
一般式(1)において、より好ましくは、R1〜R4は、炭素数6〜24の置換または未置換のアリール基を表し、さらに好ましくは、炭素数6〜16の置換または未置換のアリール基を表す。
Mで表される1価の金属原子としては、例えば、Na、K、Liなどを挙げることができる。
Mで表される2価の金属原子としては、例えば、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Ba、Cd、Hg、Pb、Snなどを挙げることができる。
Mで表される3価の置換金属原子としては、例えば、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−Cl、In−F、In−Cl、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、Mn(OH)、Mn(OC6H5)
、Mn[OSi(CH3)3]、Fe−Cl、Ru−Clなどを挙げることができる。
Mで表される4価の置換金属原子としては、例えば、CrCl2、SiCl2、SiF2、SiI2、ZrCl2、ZrI2、GeBr2、GeF2、SnCl2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、Cr(Z1)2、Si(Z1)2、Sn(Z1)2〔式中、Z1は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕、Si(OZ2)2、Sn(OZ2)2、Ti(OZ2)2、Cr(OZ2)2〔式中、Z2は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基、あるいはその誘導体を表す〕、Sn(SZ3)2、Ge(SZ3)2〔式中、Z3は、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、あるいはその誘導体を表す〕などを挙げることができる。Mで表される酸化金属原子としては、例えば、VO、MnO、TiOなどを挙げることができる。
一般式(1)において、Mは、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、Mn(OH)、Mn(OH)2、VO、TiOであり、さらに好ましくは、Cu、Ni、Pd、VOである。
本発明に係るポルフィリン化合物のより好ましい具体例としては、例えば、一般式(3)及び一般式(4)で表される化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔式中、X1〜X8、及びR1〜R4は一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
又、例えば、メソ−テトラフェニルポルフィリン化合物のピロール部の3,4位をハロゲン化し、次いで置換することで所望の一般式(1)で表される化合物法を製造することができる。
なお、本明細書においては、一般式(1)で表されるポルフィリン化合物は、実際には、1種または2種以上の異性体から成る混合物を表している。このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(1)で表される一つの構造式を記載しているものである。
本発明に係るポルフィリン化合物は、吸収ピークの半値幅が10nm以上40nm未満、より好ましくは15nm以上35nm未満であるため、可視光波長領域での選択的光吸収特性を保持しながら複数の色素を組み合わせる場合、つまり、レンズ材料を様々な色調にする場合に、選択的光波長域以外の波長域での光吸収要因ができるだけ少ないので、色素の組み合わせ法がよりシンプルとなるだけでなく、目的の色調範囲をより広くとれ、かつよりくすみの少ない色調を得やすいことになる。
これは、加齢に伴なって水晶体の中に微小なたんぱく質の小片がいくつも発生することで混濁し、これに光が当たると乱反射を招き、見たものがぼんやりとしか見えなくなってしまうことで、以前よりも日中もしくは明るい光源下でものを見たときに眩しく感じるようになった場合も同じである。
この原因としては、400〜500nmの短波長光による網膜光傷害が加齢性白内障を誘発する一因との報告があり、網膜色素上皮(RPE)が加齢とともに、加齢色素”リポフスチン”を蓄積し、リポフスチンの主要成分AE2は、短波長光に高感受性を有し、短波長光が吸収されることによって生成されたフリーラジカルが、RPEの細胞死を引き起こすと言われている。
このように、本発明に係るポルフィリン化合物は、網膜光傷害を誘発しやすい波長領域である440〜510nmの間の波長領域に吸収極大を有することから、加齢に伴う白内障に有効であると言える。
本発明における眼鏡レンズは、必要により、本発明に係るポルフィリン化合物と、光吸収化合物を併用することができる。係る光吸収化合物としては、本発明の効果に対するさらなる防眩性付与やコントラスト増強を考慮し、可視光域に所望の吸収を有する化合物を挙げることができる。
例えば、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を挙げることができる。
一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物において、好ましくは、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基としては、前記一般式(1)におけるX1〜X8と同様の置換基が挙げられ、
一般式(2)において、Mは、前記一般式(1)におけるMと同様で、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくは、Cu、Pd、VOである。
本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物のより好ましい具体例としては、例えば、一般式(7)で表される化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。すなわち、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(8−1)〜一般式(8−4)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを、所望により塩基(例えば、モリブデン酸アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリアルキルアミン、アンモニア)の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2850505号、英国特許689387号、英国特許763085号、J.Gen.Chem.USSR,47、1954(1977)、J.Org.Chem.USSR,15、962(1979)、J.Org.Chem.USSR,28、1723(1992)、Chem.Heterocyclic Comp.,18、1269(1982)、Synthesis,687(1991)、特開平11−11015号公報、特開平11−43619号公報、特開平11−100520号公報、特開平11−116574号公報、特開平11−130971号公報、特開2002−129052号公報、特開2006−321925号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
なお、本明細書においては、一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、実際には、1種または2種以上の異性体から成る混合物を表している。このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(2)で表される一つの構造式を記載しているものである。
本発明の眼鏡レンズにおいては、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数を併用してもよい。さらに、1種または2種以上の異性体から成る混合物を使用することができる。また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を用いることができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を併用することができる。尚、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物とは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものである。
要求される本発明の眼鏡レンズの特性を考慮し、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物としては、好ましくは、一般式(2)で表される化合物の中で、より好ましくは、580〜605nmに吸収極大を有する化合物が、本発明の眼鏡レンズに使用することができる。
基材としては、ガラスレンズ又はプラスチックレンズの何れであってもよい。プラスチックは、ガラスと比較して軽量であり、また割れ難く安全性も高いことから、特にプラスチックレンズが繁用される。プラスチックレンズ基材としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、特に制限されないが、光線透過率が高く、成形可能なポリマー、例えば(メタ)アクリル樹脂をはじめとしてスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との重合反応で得られたポリウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを重合反応させたポリチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する重合性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を例示することができる。
好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂又はポリアミド樹脂を用いることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは10000〜400000である。
ポリチオウレタン樹脂は、代表的なものとして、メタキシリレンジイソシアネートと、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)から製造されたポリチオウレタン樹脂が挙げられる。
特に透明性の観点から非結晶性のポリアミド樹脂が好ましく、一般的には透明ナイロンと称され、例えばエムス社のグリルアミドTR−55、グリルアミドTR−90、グリルアミドTR−XE3805、あるいはヒュルス社のトロガミドCX−7323などを例示することができる。
これらは単体で用いてもよいし、混合したものを用いてもよい。例えば、ポリカーボネート樹脂100重量部にポリアミド樹脂を30〜0.5重量部、好ましくは20〜1重量部、更に好ましくは15〜2重量部混合した熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明の眼鏡レンズは、レンズの材質に応じて、慣用の方法で製造することができる。
例えば、ガラスレンズの場合は、所定の形状に成形されたレンズに、本発明に係る化合物を含有する被膜を形成させることにより製造することができる。被膜形成は、慣用のコーティング法により行うことができるが、例えば、レンズ表面にコーティングする方法としては、本発明に係る化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。
本発明に係る化合物の濃度は、吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1ppm〜30重量%である。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50重量%である。上記の方法で作製した塗料は、ガラスレンズの上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法で被膜を形成させることができる。なお、被膜は、赤外線吸収剤等を含む複数の層で形成されていても良い。
本発明におけるレンズ注型用鋳型は、ガスケットで保持された2個のモールドから構成されるものが一般的である。モールドには、得られたレンズの離型性を向上するために離型剤を塗付してもよい。また、レンズ材料にハードコート性能を付与するためのコート液をモールドに塗付してもよい。
熱硬化性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について、以下に具体的に説明する。重合硬化に供する熱硬化性樹脂組成物は大別すると、モノマー混合物、本発明に係る化合物、触媒、及びその他の添加剤から構成される。
本発明に係る化合物を混合するに当たっての混合対象成分が0℃以上で液状であればその選択には特に限定はなく、操作性、安全性、便宜性等を踏まえ、適宜選択される。例えばモノマー混合物を構成するモノマー群のいずれかに混合させた後にモノマー混合物とする方法、モノマー混合物及びその他の添加剤からなる混合物に混合させた後、触媒を加える方法、あるいはモノマー混合物、触媒、及びその他の添加剤からなる混合物に混合させる方法などが挙げられる。
また、プラスチックレンズに必要とされる本発明に係る化合物の濃度に相当する量が樹脂組成物に含有されるように前記の方法で混合させてもよく、またモノマー混合物や前記樹脂組成物などいずれかの成分に目的濃度より高濃度で本発明に係る化合物を含有させたマスターバッチを調製しておき、必要に応じて配合すべき他成分を加えて希釈させて目的の濃度の本発明に係る化合物を含有させる方法等も挙げることができる。
また本発明に係る化合物の溶解にあたって、樹脂組成物の劣化や可使時間などの点で実施上支障がない範囲で加温することもできる。本発明に係る化合物を混合させるにあたっては、例えば通常行われる撹拌、振とう、バブリングなどの方法が挙げられる。更に必要に応じて本発明に係る化合物の溶解後、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等での濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
その際、熱可塑性樹脂に予め本発明に係る化合物を配合させておく。配合の方法としては特に制限はないが、例えば、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以下で機械的に混合させて、本発明に係る化合物を該ペレット表面に保持させる方法、又別の方法としては、適切な混練機を用いて、本発明に係る化合物と熱可塑性樹脂ペレットを、ペレットの溶融温度以上で混練して本発明に係る化合物を該熱可塑性樹脂ペレットに含有させることができる。
前記成形機への熱可塑性樹脂の供給にあたっては、該熱可塑性樹脂中に含有されている水分量を低減させるため必要に応じて予め公知の条件で乾燥処理を施してもよい。
本発明に係る化合物は、熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面表面から500μm以下の範囲に局在させるとよい。
熱可塑性樹脂組成物に本発明に係る化合物を配合させる方法について以下に具体的に説明する。熱可塑性樹脂に対する本発明に係る化合物の濃度は0.0002〜0.05重量%、好ましくは0.0002〜0.01重量%、更に好ましくは0.0004〜0.01重量%であり、この濃度にするための前記熱可塑性樹脂組成物に対する本発明に係る化合物の配合量の設定は、前記プラスチックレンズに対する目的濃度と通常近似的同一であることを目安にして容易に決定することができる。
なお、本発明の熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズにおいては、必要に応じてプラスチックレンズの少なくとも片面にレンズ部材として施された単層又は多層積層を構成する成分層の少なくとも1層に本発明に係る化合物を含有させて、目的の波長選択的光吸収性を有するプラスチックレンズとすることができる。
前記熱硬化性又は熱可塑性のプラスチックレンズの少なくとも片面に単層又は多層積層を形成させるにあたっては、シート層を貼り付けて形成させることもできるが、通常は本発明に係る化合物を含有させた有機樹脂コート剤を塗布することで形成される。
前記プラスチックレンズへの塗布にあたっては前記樹脂を無溶剤下又は通常は溶剤に溶解して塗布液とする。溶剤としては、水、あるいはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール/エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族類、シクロヘキサンなどの脂環族類などが例示でき、それらから選択された2種以上の溶剤を混合させた溶剤も使用することができる。これら溶剤の選択は、樹脂成分の溶解性、樹脂成分との反応性の程度、沸点、環境調和性、価格、など目的に応じた観点から決定される。
前記塗布液の前記プラスチックレンズへの塗布にあたってはデイッピング法、スプレー法、スピンコート法、デイップスピンコート法、ロールコート法など一般に実施されている方法で行うことができる。必要に応じてレンズウエハーの塗布対象表面に予めプラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤や水酸化ナトリウムなどによる化学的処理などを施すこともできる。また前記塗布液中にはシリコーン系あるいはフッ素系などのレベリング剤などを必要に応じて併用することができる。
前記有機樹脂コート剤が熱可塑性樹脂系の場合は塗布後、溶剤を蒸発乾燥させることで本発明に係る化合物を含有させた熱可塑性樹脂系成分層を得ることができる。
前記形成された成分層の厚さは、0.05〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.5〜30μm、特に好ましくは0.5〜10μmが適当である。前記成分層中に含有される本発明に係る化合物の濃度は0.02〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%が適当である。
本発明に係る化合物は、プラスチックレンズのみに含有させてもよいし、このプラスチックレンズの片面又は両面に形成されるハードコート層やプライマー層その他の成分層のみに含有させてもよい。成分層が複数層ある場合は、このうちの少なくとも一層に本発明に係る化合物を含有させてもよい。また、プラスチックレンズと成分層の両方に本発明に係る化合物を含有させてもよい。
プライマー層としては、プラスチックレンズの耐衝撃性を向上できる上、耐水性、耐光性に優れ、しかも、後述するハードコート層との密着性に優れる水性化アクリル−ウレタン樹脂又はポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
前記本発明に係る化合物を含有させた成分層の形成に関して、以下に具体例を挙げて説明する。しばしば実施されている形態においては、前記熱硬化性又は熱可塑性プラスチックレンズの少なくとも片面にプライマー層を形成させ、その表面にハードコートが施されレンズ材料表面に耐擦傷性などの機械的特性が付与される。更に必要に応じてハードコート層の表面には所定の無機多層膜が施され反射防止性能が付与される。前記プライマー層はレンズ面とハードコート層間の密着性に寄与するだけでなく、主たる目的はハードコートや反射防止層が施されることによって生じるレンズ自体の耐衝撃性の劣化を応力の緩衝作用を通して改善できることである。
前記プライマー層の形成において、本発明に係る化合物を含有させないポリウレタン系プライマー層を形成させ、その上に本発明に係る化合物を含有させたハードコート層を形成させることができる。適用できるハードコート剤は公知のものが使用できる。
例えばコロイダル珪素酸化物、コロイダルアルミニウム酸化物、コロイダルアンチモン酸化物、コロイダルジルコニウム酸化物、コロイダルタングステン酸化物、コロイダルチタン酸化物、コロイダル亜鉛酸化物、コロイダルスズ酸化物、のような50〜200オングストロームの平均粒子直径を有する無機酸化物粒子、又は官能基を有しないアルコキシ金属化合物などの官能基を有しない金属化合物と、エポキシ基、メタクリル基のような官能基を有するシラン化合物を含む配合物を共加水分解させてなる成分を主体とする組成物が挙げられる。前記官能基を有するシラン化合物の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メチル−ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ハードコート剤は前記例示の成分に加えて、必要に応じて前記例示の成分と化学的に実質上不活性な溶媒で希釈してハードコート液として使用することもできる。
本発明に係る化合物含有のプラスチックレンズは必要に応じてマルチコート(反射防止層)、防曇処理、撥水処理、あるいは帯電防止処理など、従来の技術範囲で可能な機能処理が施されてもよい。また、眼鏡レンズに度をいれることにより、近視用レンズあるいは老眼レンズとすることもできる。本発明の眼鏡レンズを老眼レンズとすることにより、目の弱い老人用保護メガネとして好適に利用できる。
なお、全実施例、合成例及び比較例において吸収スペクトルの測定は、濃度0.01g/Lのトルエン溶液及びクロロホルム溶液を、測定機器として(株)日立製作所製、U-3500型自記分光光度計を使用し、光路長10mmで行った。
国際公開WO2006/046497号公報の実施例1記載の方法に従って下記式(1−1)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
合成例1において、p-デシルオキシベンズアルデヒドの代わりに、p-ペントキシベンズアルデヒド、酢酸ニッケルの代わりに、酢酸銅を用いた以外は合成例1と同様の操作を行って下記式(1−2)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
合成例1において、p-デシルオキシベンズアルデヒドの代わりに、p−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、酢酸ニッケルの代わりに、酢酸銅を用いた以外は合成例1と同様の操作を行って下記式(1−3)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
特開2008−239592号公報の実施例1記載の方法に従って下記式(1−4)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
特開2008−239592号公報の実施例2記載の方法に従って下記式(1−5)で表される化合物を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、溶解度を表1に示す。
(注)溶解度 ○:完溶する ×:溶け残る
特開2006−321925号公報の実施例2記載の方法に従ってテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリンバナジル錯体(2−1)を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
特開2006−321925号公報の実施例3記載の方法に従ってテトラ(tert−ブチル)テトラアザポルフィリン銅錯体(2−2)を合成した。この化合物の吸収スペクトルにおける吸収極大波長(λmax)、グラム吸光係数(εg)、半値幅を表2に示す。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1014のポリオキシテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製:PTG−1000N)200部をとり、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後4,4´−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)(住友バイエルウレタン製:デスモジュールW)170部を添加し、120〜130℃で2時間反応してプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明液体であり、NCO含量9.9%、粘度8600mPa・s/30℃,750mPa・ s/60℃であった。
得られたプレポリマー100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)31.4重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入し、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.6mmの眼鏡用レンズを製造した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.10重量部添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例3で製造した、表1記載の化合物(1−3)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例1で製造した、表1記載の化合物(1−1)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
実施例1において、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)の代わりに、合成例5で製造した、表1記載の化合物(1−5)を0.05重量部と、合成例2で製造した、表1記載の化合物(1−2)を0.05重量部を添加させた以外は実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
下記式表3に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例1と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1014のポリオキシテトラメチレングリコール(保土谷化学工業製:PTG−1000N)200部をとり、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後イソホロンジイソシアネート(バイエル社製デスモジュールI)131部を添加し120〜130℃で2時間反応してプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明の液体であり、NCO含量9.7%,粘度6900mPa・s/30℃,900mPa・s/60℃であった。
得られたプレポリマーの100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)36.5重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入し、数分のポットライフに応じて速やかに成型を完了させ、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.0mmの眼鏡用レンズを製造した。
次いで、メタノール626部と水性エマルジョンポリウレタン(日華化学製:ネオステッカー700、固形分濃度37%)221.8部を混合した後、メタノール分散二酸化チタン一五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業製:固形分濃度20wt%)309.6部、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー株式会社製:L−7604)0.25部を混合してよく撹拌してプライマー組成物を製造した。
このプライマー組成物を該眼鏡用レンズ上に浸漬法(引き上げ速度15cm/min)にて塗布した。塗布した眼鏡用レンズは100℃で20分間加熱硬化処理して基材上に膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成させた。
このハードコート組成物を、該プライマー層の形成で得られたプライマー層上に浸漬法(引き上げ速度25cm/min)にて塗布した。塗布した該眼鏡用レンズは80℃で30分間加熱硬化処理後、120℃で180分間の加熱硬化処理を行った。このようにしてプライマー層上に膜厚2.2μm、屈折率1.67のハードコート層を形成させた。
なお、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
下記式表4に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例11と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例11と同様にしてプライマー層及びハードコート層を有する眼鏡用レンズを得た。なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
温度計、撹拌機、窒素シール管を備えた500mLセパラブルフラスコに、平均分子量1007の1,6−ヘキサンジオールアジペート(日本ポリウレタン社製:ニッポラン164)200部をセパラブルフラスコに取り、窒素気流中で撹拌しながら加熱し、100〜110℃/3〜5mmHgの減圧下で1時間脱水した。脱水後4,4´−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)170部を添加し120〜130℃で2時間反応させてプレポリマーを製造した。得られたプレポリマーは無色透明の液体であり、NCO含量9.0%,粘度19000mPa・ s/30℃,2000mPa・s/60℃であった。
得られたプレポリマーの100重量部を70℃に加熱してから、合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.10重量部添加し混合した後、120℃で溶融した4,4´メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)44.6重量部と脱泡混合した。この混合物を100℃で予備加熱したモールドに注入する際、ポリカーボネート製偏光膜(筒中プラスチック工業製:PGC−1301)をサンドイッチして迅速に注型成形し、100℃で24時間加熱硬化し、レンズ厚さ約2.2mmの偏光眼鏡用レンズを製造した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
下記式表5に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例21と同様にしてレンズ注型に供されるモノマー混合物を調整、更には注型を行い、配合された色素が異なる以外は実施例21と同様にして偏光眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの偏光眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
ポリカーボネート樹脂ペレット(帝人化成製:パンライトL−1250VX)100重量部に対し合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.05重量部混合し押出機にて押し出した後、120℃で12時間乾燥処理を施し、これを260〜300℃に温度調節された射出成型機で外形80φ、中心厚み2mmの眼鏡用レンズを成形した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
下記式表6に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例31と同様にして眼鏡用レンズを得た。
なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
ポリアミド樹脂ペレット(エムスケミー・ジャパン製:Grilamid TR90)100重量部に対し合成例4で製造した、表1記載の化合物(1−4)を0.05重量部混合し押出機にて押し出した後、80℃で12時間乾燥処理を施し、これを250〜290℃に温度調節された射出成型機で外形73φ、中心厚み2mmの眼鏡用レンズを成形した。
得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
下記式表7に示した色素とその重量部を用いた以外は、実施例31と同様にして眼鏡用レンズを得た。なお、何れの眼鏡用レンズにおいても、得られたレンズを通しての観察では、例えば、晴天下の樹木の小枝の線や赤色、黄色、緑色のコントラストがきわめて明瞭化して見えた。
Claims (5)
- 一般式(1)で表されるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる眼鏡レンズ。
[式中、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアリールオキシカルボニル基、置換または未置換のアルキルチオ基、置換または未置換のアリールチオ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアシル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基から選ばれる置換基であり、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の芳香族環を形成していてもよいを表す。ただし、X1〜X8のすべてが水素原子であることはない。R1〜R4はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]
- 一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のエテニル基、置換または未置換のエチニル基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、さらに、X1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換のベンゼン環、又はナフタレン環で縮環していて、R1〜R4が、置換または未置換のアリール基であり、Mが2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子から選ばれるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1記載の眼鏡レンズ。
- 一般式(1)においてX1〜X8がそれぞれ独立に、置換または未置換のエチニル基であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1又は2記載の眼鏡レンズ。
- 一般式(1)においてX1〜X8から選ばれる互いに隣接する基が、ナフタレン環の1位と8位で縮環した置換または未置換のナフチレン環であり、R1〜R4が、置換または未置換のフェニル基であり、Mが2価の金属原子または酸化金属原子であるポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなる請求項1又は2記載の眼鏡レンズ。
- 更に、下記の一般式(2)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の眼鏡レンズ用。
[式中、Y1〜Y8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアリールオキシ基、置換または未置換のアラルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシ基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルキル基、直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシ基、置換または未置換のアミノ基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシアルコキシアルキル基、置換または未置換のアリールオキシアルキル基、置換または未置換のアラルキルオキシアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のハロゲノアルコキシアルキル基を表し、さらに、Y1〜Y8から選ばれる互いに隣接する基は互いに結合して、置換している炭素原子と共に、置換または未置換の炭素環式脂肪族環を形成していてもよいを表す。ただし、Y1〜Y8のすべてが水素原子であることはない。Mは2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、3価の置換金属原子、4価の置換金属原子、または酸化金属原子を表す]
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