JP2006276423A - 光学レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な屈折率を備え、且つ特定波長の光をカットすることが可能な光学レンズを提供する。
【解決手段】
ポリカーボネート等から構成される樹脂に、近赤外領域に光吸収特性を備えるフタロシアニンを配位子とする銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン等の金属錯体を分散させ、光学レンズを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定波長の光をカットする機能を備える光学レンズに関する。
従来、撮像装置等に用いられる光学レンズにおいて、レンズの屈折率を高めるためレンズに金属酸化物微粒子を分散させる技術が知られている。
また、従来デジタルカメラ等の撮像装置で撮像素子として用いられるCCD(Charge Coupled Devices)等は赤外領域の光にも感度を有するため、赤外領域の光によるノイズをなくすために赤外領域の光をカットするフィルタがレンズと撮像素子との間に設けられている(例えば特許文献1)。
特開2004−88181号公報(第1図)
近年、デジタルカメラ等の撮像装置の小型化が進んでおり、小型化に対応するためには部品点数を減らすことが好ましい。そこで、特許文献1で開示されているように、撮像素子とレンズとの間に配置された赤外領域の光をカットするフィルタの機能をレンズに組み込み、部品点数を削減することが望まれている。
そこで、レンズの屈折率を高めるために金属が分散され、且つ特定波長の光をカットする機能を備えるレンズが望まれていた。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、良好な屈折率を備え、且つ特定波長の光をカットすることが可能な光学レンズを提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る光学レンズは、
特定波長の光をカットする光学レンズであって、
特定波長の光を吸収する配位子を備える金属錯体を分散させた樹脂から形成されることを特徴とする光学レンズ。
前記配位子は、フタロシアニン誘導体であってもよい。
前記配位子は、ポルフィリン誘導体であってもよい。
前記金属錯体の金属は、銅であってもよい。
本発明によれば、特定波長の光を吸収する配位子を備える金属錯体を樹脂中に分散させることで、良好な屈折率を得ることができ、且つ特定波長の光をカットすることが可能な光学レンズを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る光学レンズについて図を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係る光学レンズは、樹脂中に特定波長の光を吸収する特性を有する配位子を備える金属錯体を分散させ、注形成形、圧縮成形、射出成形等によって形成される。
光学レンズの特定波長の光をカットする特性は、金属錯体の分散濃度、錯体と配位子との比率、混合させる金属錯体の種類等で制御される。また、本発明の光学レンズは金属錯体が均一に分散されており、光学レンズの厚みの偏りが大きいと特定波長の光をカットする機能にばらつきが生ずるため、光学レンズの厚みの勾配によっても制御される。
光学レンズを形成する樹脂としては、例えばポリカーボネート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂等の樹脂、スチレンモノマーや、シリコン含有モノマー、フッ素含有モノマー、ジメチルアクリルアミド、などの各種モノマーを適宜組み合わせて重合した樹脂等を用いることができる。
金属錯体とは、金属イオンの周囲に他の原子、分子あるいはイオン等の配位子が配位結合した化合物である。金属錯体を構成する金属イオンは、例えば銅、コバルト、鉄、ニッケル、アンチモン等の遷移金属イオンである。なお、本発明では金属錯体として金属イオンを樹脂中に分散させることによって光学レンズの屈折率を向上させる。金属は原子量が大きいほど光学レンズの屈折率を良好に向上させるため好ましい。本発明では特に銅を例に挙げて説明する。
金属錯体の配位子としては、紫外領域、赤外領域等、特定の波長の光を吸収する特性を備えるものなら、いずれを用いることも可能である。特に配位子が疎水性である場合、配位子が分散剤として機能し金属錯体を容易に樹脂中に分散させることが可能となるので好ましい。なお、親水性の配位子を用いることも可能であり、この場合、機械的手法により金属錯体を樹脂中に分散させる。
本発明では、近赤外領域に光吸収特性を持つ、例えば化学式1に一般式を示すフタロシアニン系化合物を用いる。特に本実施の形態では、Mは銅であり、化学式2に示すR〜R16が水素原子から構成される銅フタロシアニンと、化学式3に示すR〜R16を塩素で置換したハロゲン化銅フタロシアニンとを用いる。なお、光学レンズに要求される光吸収特性を実現できるよう、銅フタロシアニンの濃度と、ハロゲン化銅フタロシアニンの濃度と、それぞれを混合する割合と、それぞれの金属錯体と配位子との比率とを調節する。

銅フタロシアニンをジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide)に溶解させ、測定した吸収スペクトルを図1に示す。銅フタロシアニンは、図1に示すように650nm近辺の近赤外領域に光吸収特性を備える。
また、ハロゲン化銅フタロシアニンをジメチルスルホキシドに溶解させ、測定した吸収スペクトルを図2に示す。ハロゲン化銅フタロシアニンは、図2に示すように650nm近辺の近赤外領域に光吸収特性を備える。
このような銅フタロシアニンと、ハロゲン化銅フタロシアニンを所定の割合で混合すると、650nm以上の近赤外領域にほぼ一定の光吸収特性が得られる。換言すれば、近赤外領域の波長の光を一定の割合でカットすることができる。
上述したように、本発明の実施の形態に係る光学レンズは銅フタロシアニン及びハロゲン化銅フタロシアニンを樹脂中に分散させることによって、銅イオンを樹脂中に均一に分散させることができるため、金属を分散させない樹脂で形成したレンズと比較して屈折率を向上させることが可能である。また、本発明では特に疎水性の配位子であるフタロシアニンを用いており、配位子が分散剤としての役割を果たすため、金属酸化物微粒子を樹脂中に混合させる場合と比べて樹脂中に銅イオンを容易に分散させることが可能である。
更に本発明は特に特定の波長域に光吸収特性を備える銅フタロシアニン及びハロゲン化銅フタロシアニンを利用することによって、650nm以上の波長の近赤外領域の光を一定の割合で吸収することができる。従って、本発明のレンズによれば、金属錯体を樹脂中に分散させることによって、屈折率が向上するのみならず、特定波長の光をカットする機能を備える光学レンズを提供することができる。
上述したように、本発明の実施の形態に係る光学レンズは、光学レンズそのものが特定波長の光をカットする機能を備えるため、光学レンズが搭載される撮像装置等の部品点数の削減に貢献することができ、撮像装置の小型化に対応することができる。
本発明は上述した実施の形態に限られず、様々な修正及び応用が可能である。
例えば、上述した実施の形態では金属錯体として銅フタロシアニンとハロゲン化銅フタロシアニンとを用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限られず銅フタロシアニンとハロゲン化銅フタロシアニン以外に近赤外領域に光吸収特性を備えるポルフィリン誘導体を配位子として備える金属錯体を混合することも可能である。また、銅フタロシアニンに代えてポルフィリン誘導体を配位子とする金属錯体を樹脂中に分散させることも可能である。
また、上述した実施の形態では化学式1に示すフタロシアニンのR〜R16を全て塩素(Cl)で置換した場合を例に挙げて説明したが、これらを他のハロゲン元素に置換することも可能であるし、近赤外領域等の特定波長光の吸収特性を備える官能基等に置換することも可能である。
光学レンズに要求される光吸収特性に応じて赤外領域の光吸収特性を備える物質のみならず、他の波長域に光吸収特性を備える配位子を備える金属錯体を混合することも可能である。これらは、レンズに要求される特性、配位子の特性等の諸条件に応じて適宜調節する。
また、樹脂中には、金属錯体だけではなく紫外線吸収剤、色素等を混入することも可能である。
銅フタロシアニンの吸収スペクトルを示す図である。 ハロゲン化銅フタロシアニンの吸収スペクトルを示す図である。

Claims (4)

  1. 特定波長の光をカットする光学レンズであって、
    特定波長の光を吸収する配位子を備える金属錯体を分散させた樹脂から形成されることを特徴とする光学レンズ。
  2. 前記配位子をフタロシアニン誘導体としたことを特徴とする請求項1に記載の光学レンズ。
  3. 前記配位子をポルフィリン誘導体としたことを特徴とする請求項1に記載の光学レンズ。
  4. 前記金属錯体の金属を銅としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学レンズ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011237730A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Yamamoto Chem Inc 眼鏡レンズ
WO2013179543A1 (ja) * 2012-05-29 2013-12-05 パナソニック株式会社 レンズ、ハイブリッドレンズ、交換レンズおよび撮像装置

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