JP2022525044A - より広範なnirカット及びより良好な美的価値のためのnir染料の混合物 - Google Patents

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Abstract

2種以上の近赤外線吸収剤を含有する光学素子及びその製造方法が開示される。異なる近赤外線波長吸収範囲及び残留色を有する2種の近赤外線吸収剤を、光学基材の前駆体と混合する。得られた混合物をその後処理し、広範な近赤外線波長吸収範囲及び中間残留色を有する光学素子が製造される。

Description

本発明は、光学素子及びその製造方法に関する。より特に本発明は、光学基材中に複数の近赤外染料を含有する光学素子、及びその光学素子の製造方法に関する。
赤外線(IR)放射線は、可視光より長い波長を有する電磁放射線である。赤外線放射線は、一般に、以下:780~3000nmの波長を有する近赤外線(NIR)範囲;3μm~50μmの波長を有する中赤外線(MIR)範囲;及び50~1000μmの波長を有する遠赤外線(FIR)範囲を含む、3つの小区域に分割することができる780nm~1mmの範囲の波長を有する。
眼に対するNIR放射線の影響を評価するために、広範囲の研究が実施されてきた。研究の結果によると、NIRが網膜色素上皮に吸収されることが示された。NIRのフルエンス率、全線量及びスペクトル特性次第で、フォトメカニカル(光音響)プロセス、フォトサーマル(加熱)プロセス及びフォトケミカルプロセスの少なくとも1つによって、構造的な網膜損傷が生じる可能性がある。さらにまた、多くの研究結果によって、常習的なNIR曝露と眼の白内障発生との間の強い相関性が示された。したがって、NIR放射線に対する眼の曝露を制限することが望ましい。
網膜へのNIR光の到達を減少させるため、又は防ぐために、一般に光学物品(例えば眼用レンズ材料)中に光学フィルタリング手段が組み込まれる。さらに特に、NIR放射線に対する眼の保護を提供するために、光学レンズ上でNIR吸収フィルター及び干渉フィルター(例えば反射フィルター)を含む、2種類のNIRフィルターを使用することができる。しかしながら、高いNIR吸収が光学フィルターの反射防止性能に悪影響を及ぼすことが証明されているように、反射防止機能を含む他の機能と一緒に、最適化されたNIR吸収性能を有する多機能性フィルターを設計することは困難である。光学物品上に堆積される光学コーティング中にNIR吸収剤を組み込むことができる。しかしながら、光学コーティング中でのNIR吸収剤の直接的な組み込みは、レンズの製造費用を有意に増加させる可能性があり、同時に光学コーティングの機械特性を低下させる可能性がある。
NIR保護を改善するための別の選択肢としては、NIR吸収剤による基材の含浸又はNIR吸収剤との基材前駆体の混合によって、光学物品のバルク基材中にNIR吸収剤を組み込むことが挙げられる。しかしながら、市販のNIR吸収剤は、一般に比較的狭いNIR吸収範囲を有し、その結果、不十分なNIR保護を有するレンズ又は他の光学物品がもたらされる。加えて、これらの吸収剤は、一般に380~780nmの波長範囲の可視光も吸収し、それによって、レンズ又は他の光学物品に色が付与され、着用者の色認識に影響を及ぼし、吸収剤を使用するレンズの美的態様が変化する。
全体として、NIR保護を有する光学レンズ又は他の光学物品及びその製造方法は既存であるが、これらの光学レンズ又は光学物品に関する少なくとも前記の欠点を考慮して、この分野の改善に関する要求は持続している。
近赤外線(NIR)保護を有する光学素子と関連する上記課題に対する解決案が発見された。この解決案は、ポリマーマトリックスと2種以上の近赤外線吸収剤とを含む光学素子による。近赤外線吸収剤は、ポリマー基材中で実質的に均質に混合されることが可能である。したがって、NIR保護のために追加的なフィルター又はコーティングは使用されない。その結果、NIR吸収のためのフィルター又は光学コーティングを使用する光学物品と比較して、光学物品の製造費用の減少がもたらされる。さらにまた、光学物品が従来のNIR保護光学物品と比較して、より広範の波長範囲で近赤外線放射線を吸収することができるように、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は異なる近赤外線範囲を有し得る。さらに、相乗効果的な残留色強度が最小化されて、NIR保護吸収剤を有する光学物品の美的態様を改善するように、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は異なる残留色を有し得る。したがって、本発明の光学素子は、現在利用可能なNIR保護光学物品と関連する少なくともいくつかの課題以上の技術的な功績を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、光学素子に関する。光学素子は、光学基材と、光学基材中で混合される2種以上の近赤外線吸収剤とを含み得る。2種以上の近赤外線吸収剤は、異なる近赤外線カット範囲及び異なる残留色を有し得る。
本発明のいくつかの実施形態は、光学素子の調製方法に関する。本方法は、光学基材用の前駆体材料、並びに異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を提供することを含み得る。本方法は、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度が2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の色強度よりも低い、光学基材中での2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することを含み得る。本方法は、実質的に均質な混合物を製造するために決定された濃度で、前駆体材料を2種以上の赤外線吸収剤と混合することを含み得る。本方法は、光学基材と2種以上の赤外線吸収剤との混合物を使用して、光学素子を製造することを含み得る。
本発明のいくつかの実施形態は、光学素子の調製方法に関する。本方法は、光学基材用の前駆体材料、並びに異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を提供することを含み得る。本方法は、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度が2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の色強度よりも低い、基材中での2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することを含み得る。本方法は、前駆体材料の第1の量に2種以上の赤外線吸収剤を溶解して、近赤外線染料マスターバッチを製造することを含み得る。本方法は、23~27℃の温度で、減圧下、前駆体材料の第2の量を、紫外線染料、モノマー、触媒及び放出剤の1種又はそれ以上と混合して、実質的に均質である第1の混合物を製造することを含み得る。本方法は、0~4℃の温度まで第1の混合物を冷却することを含み得る。本方法は、冷却された第1の混合物上に不活性ガスを流すことを含み得る。本方法は、0~4℃並びにその間の全ての範囲及び値の温度で、減圧下、近赤外線染料マスターバッチを第1の混合物中に混合して、第2の混合物を製造することを含み得る。第2の混合物は、その決定された濃度において2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれを有する実質的に均質の混合物であることが可能である。本方法は、キャスティングによって、第2の混合物を使用して光学素子を製造することを含み得る。
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって理解される通り、近いこととして定義される。1つの非限定的な実施形態において、この用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、そして最も好ましくは0.5%以内であるために定義される。
「重量%」、「体積%」又は「モル%」という用語は、それぞれ、その構成要素を含む材料の全重量、全体積又は全モルに基づく、構成要素の重量、体積又はモルパーセントを意味する。
「実質的に」という用語及びその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むために定義される。
「抑制」、又は「減少」、又は「防ぐ」、又は「避ける」という用語又はその変形は、請求項及び/又は明細書中に使用される場合、所望の結果を達成するためのいずれの測定可能な減少又は完全な抑制を含む。
「有効」という用語は、明細書及び/又は請求項中に使用される場合、所望された、期待された、又は意図された結果を達成するために適切であることを意味する。
「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語の使用は、請求項又は明細書中で「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「有する(having)」という用語とともに使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ又はそれ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は2つ以上」の意味にも一致する。
「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの含む(comprising)のいずれかの形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの有する(having)のいずれかの形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含む(including)のいずれかの形態)、又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの含有する(containing)のいずれかの形態)という用語は、包括的であるか、又は無制限であり、且つ追加的な列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
本発明のプロセスは、本明細書を通して開示される特定の成分、構成要素、組成などを「含む」ことが可能であるか、それ「から本質的になる」ことが可能であるか、又はそれ「からなる」ことが可能である。
本発明の他の対象、特徴及び利点は、以下の図面、詳細説明及び実施例から明らかになる。しかしながら、図面、詳細説明及び実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、実例としてのみ記載されており、限定するように意図されないことは理解されるべきである。追加的に、本発明の精神及び範囲内での変更及び修正は、この詳細説明から当業者に明らかになると考えられる。さらなる実施形態において、特定の実施形態からの特徴が、他の実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。例えば、1つの実施形態からの特徴が、他のいずれかの実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。さらなる実施形態において、追加的な特徴が、本明細書に記載される特定の実施形態に追加されてもよい。
より完全な理解のために、ここで、以下の説明は添付の図面とともに参照される。
開示された実施形態による、2種以上の近赤外線吸収剤を含有する光学素子を製造する方法の図式的なフローチャートを示す。 2種以上の近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズと、1種の近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズとの残留色比較を示す。図2Aは、S2007及び920A近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズと、S2007及び920A近赤外線吸収剤の1種を含有する眼用レンズとの間の残留色比較を示し;図2Bは、920A及びIR765近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズと、920A及びIR765近赤外線吸収剤の1種を含有する眼用レンズとの間の残留色比較を示し;図2Cは、Epolight 4831及びIR765近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズと、Epolight 4831及びIR765近赤外線吸収剤の1種を含有する眼用レンズとの間の残留色比較を示す。 単一近赤外線吸収剤を含有するレンズ、及び2種の近赤外線吸収剤を含有するレンズのスペクトル透過率プロットを示す。図3Aは、Epolight 4831及びEpolight 3169近赤外線吸収剤の両方を含有する眼用レンズ、Epolight 4831近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズ、並びにEpolight 3169近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズのスペクトル透過率を示し;図3Bは、Epolight 4831及びEpolight 3157近赤外線吸収剤の両方を含有する眼用レンズ、Epolight 4831近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズ、並びにEpolight 3157近赤外線吸収剤を含有する眼用レンズのスペクトル透過率を示す。
NIR保護機能を有する現在利用可能な光学物品には、複雑な製造プロセス、高い製造費用、不十分なNIR波長範囲に対する保護、使用者色認識に及ぼす影響及び光学物品の色変化を含む不備がある。本発明は、これらの課題の少なくとも一部に関する解決案を提供する。この解決案は、ポリマー基材中で混合される2種以上のNIR吸収剤を含む光学素子を前提とする。光学素子が、それぞれの近赤外線吸収剤よりも広範なNIR吸収範囲を有するように、2種以上の近赤外線吸収剤は異なるNIR吸収範囲を有し得る。追加的に、近赤外線吸収剤が相乗効果的に中間残留色を有するように、2種以上の近赤外線吸収剤は異なる残留色を有することが可能である。
本発明のこれら及び他の非限定的な態様は、以下の項目でより詳細に議論される。
A.近赤外線保護を有する光学素子
近赤外線は、眼の損傷を引き起こすことが証明されている。眼用レンズなどの光学素子は、使用者の眼を保護するために、近赤外線保護機能を組み込むことができる。しかしながら、従来は、近赤外線吸収剤は、一般に、光学素子上でさらなるプロセスが適用されることを要求する光学フィルター中に、又は近赤外線吸収剤によって機械強度が悪影響を受ける可能性がある光学コーティングの中に組み込まれる。さらにまた、近赤外線吸収剤は使用者の色認識に影響を及ぼす可能性があり、また光学素子の美的な見栄えを変更する可能性がある。
本明細書中に開示される光学素子は、光学素子の近赤外線波長カット範囲を拡張することが可能であり、そして異なる吸収範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を光学素子の基材中に組み込むことによって光学素子の残留色を最小化することが可能である。いくつかの実施形態は、光学素子を含む。いくつかの例において、光学素子は眼用レンズであることが可能である。光学素子は、前面及び背面を含み得る。光学素子の前面は、眼用レンズの凸面を含み得る。光学素子の背面は、眼用レンズの凹面を含み得る。
本発明の実施形態において、光学素子は、光学基材と、光学基材中で混合される2種以上の近赤外線吸収剤とを含むことができる。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有し得る。光学基材の非限定的な例としては、アリルジグリコールカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、ポリエピスルフィド、トライベックス(trivex)、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸(polycarboxilic acid)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテン又はそのいずれかの組合せが挙げられる。近赤外線吸収剤の非限定的な例としては、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム(pyrilium)、チオピリリウム(thiopyrilium)、シアニン又はそのいずれかの組合せを挙げることができる。
いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤の全濃度は1~500ppmの範囲、並びに1~25ppm、25~50ppm、50~75ppm、75~100ppm、100~125ppm、125~150ppm、150~175ppm、175~200ppm、200~225ppm、225~250ppm、250~275ppm、275~300ppm、300~325ppm、325~350ppm、350~375ppm、375~400ppm、400~425ppm、425~450ppm、450~475ppm及び475~500ppmの範囲を含むその間の全ての範囲及び値であり得る。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材中に実質的に均質に混合されることが可能である。或いは、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材中で不均質に混合され得る。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材の水平、垂直、及び深さの方向を含む光学基材における任意の方向に沿って、濃度勾配(増加又は減少)を有し得る。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材の中央部分よりも光学基材の前面部分及び/又は背面部分において高い濃度で混合され得る。前面部分は、光学基材の前面に最も近い光学基材の厚さの約3分の1を含み得る。背面部分は、光学基材の背面に最も近い光学基材の厚さの約3分の1を含み得る。
いくつかの態様において、光学基材中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の近赤外線吸収レベルよりも高い相乗効果的な赤外線吸収レベルを発生するように適応されることが可能である。光学素子は、780~2000nmの波長範囲、並びに780~820nm、820~860nm、860~900nm、900~940nm、940~980nm、980~1020nm、1020~1060nm、1060~1100nm、1100~1140nm、1140~1180nm、1180~1200nm、1200~1240nm、1240~1280nm、1280~1320nm、1320~1360nm、1360~1400nm、1400~1440nm、1440~1480nm、1480~1520nm、1520~1560nm、1560~1600nm、1600~1640nm、1640~1680nm、1680~1720nm、1720~1760nm、1760~1800nm、1800~1840nm、1840~1880nm、1880~1920nm、1920~1960nm、1960~2000nmの範囲を含むその間の全ての範囲及び値の近赤外線放射を吸収することが可能であり得る。いくつかの態様において、光学基材中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の近赤外線吸収レベルよりも高い相乗効果的な赤外線吸収レベルを発生するように適応される。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、(TsIR780-2000(%)として決定される)近赤外線放射の強度を15~95%、並びに15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%及び90~95%の範囲を含むその間の全ての範囲及び値で相乗効果的に減少するように適応されることが可能である。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、(Tv%(D65)として決定される)光学基材に関する380~780nmの波長範囲における平均光学透過率における10%未満の減少を相乗効果的に引き起こすように適応される。
いくつかの態様において、光学基材中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれ個々の色強度よりも低い、相乗効果的な色強度を生じるように適応されることが可能である。いくつかの例において、光学基材中の2種以上の赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度は、0~5の範囲、並びに0~0.5、0.5~1、1~1.5、1.5~2、2~2.5、2.5~3、3~3.5、3.5~4、4~4.5及び4.5~5の範囲を含むその間の全ての範囲及び値であることが可能である。いくつかの態様において、光学基材中の2種以上の近赤外線吸収剤は、相乗効果的に中間色であるか、又は好ましくは無色である。いくつかの例において、光学素子の光学基材は無色(又は収色性(achromatic))であることが可能であり、且つ光学基材及び2種以上の近赤外線吸収剤を含む光学素子は中間色、又は好ましくは収色性であることが可能である。
或いは、いくつかの例において、光学素子として眼用サングラスを挙げることができ、そして2種以上の近赤外線吸収剤は高い相乗効果的な彩度を有する。2種以上の近赤外線吸収剤は、(Tv%(D65)として決定される)光学素子に関する380~780nmの波長範囲における平均光学透過率における10~95%、並びに10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%及び90~95%の範囲を含むその間の全ての範囲及び値の減少を引き起こすように適応されることが可能である。
いくつかの態様において、光学素子は、光学素子の前面及び/又は背面と被覆関係にある1つ又はそれ以上の追加的なコーティングをさらに含んでもよい。1つ又はそれ以上の追加的なコーティングの非限定的な例としては、偏光コーティング、ミラーコーティング、反射防止コーティング、耐摩耗性コーティング、フォトクロミックコーティング、汚れ防止コーティング、曇り防止コーティング、染色可能コーティング、自己回復コーティング、雨防止コーティング、静電防止コーティング、紫外線防止コーティング、ブルーライト防止コーティング又はそのいずれの組合せも挙げられてよい。
B.NIR吸収剤を有する光学素子の製造方法
従来から、近赤外線光吸収光学素子(例えば眼用レンズ)は、近赤外線吸収を統合し、そして光学素子の表面に対して反射防止作用を及ぼす多機能性光学フィルターを組み込むことによって、又は従来の光学コーティング(例えば反射防止コーティング)中に近赤外線吸収剤を組み込む光学コーティングを堆積させることによって製造可能である。しかしながら、光学フィルターについては、高いNIR吸収レベルは、光学フィルターの反射防止性能に有害となる可能性がある。近赤外線吸収剤を含む光学コーティングに関しては、製造費用が高くなる可能性があり、そして同時に光学コーティングの機械特性が低下する可能性がある。
本明細書に開示される方法は、光学基材中で近赤外線吸収剤を直接混合することによって、近赤外線吸収目的のための光学フィルター及び光学コーティングの使用を避ける。さらにまた、本明細書に開示される方法は、製造される光学素子に関して、より広範な近赤外線吸収範囲及び中間色が得られる、異なる吸収範囲(NIRカット範囲)及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を選択する。図1に示すように、実施形態は、近赤外線放射を吸収することが可能である光学素子を調製する方法100を含む。いくつかの態様において、光学素子は眼用レンズを含み得る。
いくつかの実施形態において、ブロック101に示すように、方法100は、光学基材用の前駆体材料、並びに異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を提供することを含み得る。光学基材用の前駆体材料の非限定的な例としては、アリルジグリコールカーボネート及びチオウレタンポリマー前駆体を含むアリルモノマー(例えばイソシアネートとチオールとのブレンド)、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、ポリエピスルフィド、トライベックス(trivex)、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸(polycarboxilic acid)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテン又はそのいずれかの組合せを挙げることができる。近赤外線吸収剤の非限定的な例としては、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム(pyrilium)、チオピリリウム(thiopyrilium)、シアニン又はそのいずれかの組合せを挙げることができる。いくつかの態様において、イソシアネートの非限定的な例としては、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-キシリレンジイソシアネート、5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサン-1,6-ジイソシアネート、trans-1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、トルエンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、2,5-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビス(メチルイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチルエチル)ベンゼン、並びにチオールに関して:4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、2,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン-1-チオール、又は4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール、ビス(2,2-スルフヒドリル)エチルテトラスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトアセテート)、チオジグリコールメルカプタン、又は3-チアペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、1,5-ジメルカプト-3-チアペンタン、プロパントリチオール、ビス(b-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(b-エピチオプロピル)ジスルフィド、4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオラン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを挙げることができる。近赤外線吸収剤の非限定的な例としては、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム(pyrilium)、チオピリリウム(thiopyrilium)、シアニン又はそのいずれかの組合せを挙げることができる。いくつかの態様において、ブロック101における提供することは、標的近赤外線波長吸収範囲及び/又は標的残留色を考慮して2種以上の近赤外線吸収剤を選択することを含み得る。
いくつかの実施形態において、ブロック102に示されるように、方法100は、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度が2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の色強度よりも低い、光学基材中での2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することを含み得る。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線吸収範囲よりも広い、相乗効果的な赤外線吸収範囲を生じるように適応されることが可能である。いくつかの態様において、決定することは、標的の相乗効果的な近赤外線吸収範囲、標的の相乗効果的な近赤外線吸収レベル、及び/又は標的の相乗効果的な残留色を達成することができる、各近赤外線吸収剤の濃度を得るための試行錯誤方法を含み得る。
いくつかの実施形態において、ブロック103に示されるように、方法100は、ブロック102において決定された濃度で前駆体材料を2種以上の赤外線吸収剤と混合して、混合物を製造することを含み得る。いくつかの態様において、混合物は実質的に均質であることが可能である。いくつかの態様において、ブロック103における混合は、前駆体材料の第1の量に2種以上の赤外線吸収剤を溶解して、近赤外線染料マスターバッチを製造することを含み得る。赤外線染料マスターバッチは、約10~45ppmの範囲、並びに10~15ppm、15~20ppm、20~25ppm、25~30ppm、30~35ppm、35~40ppm及び40~45ppmの範囲を含むその間の全ての範囲及び値の2種以上の近赤外線吸収剤を含み得る。いくつかの態様において、ブロック103における混合は、前駆体材料の第2の量を、紫外線染料、モノマー、触媒及び放出剤の1種又はそれ以上又はそのいずれかの組合せと任意選択的に混合して、第1の混合物を製造することを含み得る。第1の混合物は、23~27℃並びにその間の全ての範囲及び値の温度で製造され得る。第1の混合物は、減圧下で製造され得る。いくつかの例において、第1の混合物は、実質的に均質であることが可能である。いくつかの態様において、ブロック103における混合は、0~4℃、並びに0~0.5℃、0.5~1.0℃、1.0~1.5℃、1.5~2.0℃、2.0~2.5℃、2.5~3.0℃、3.0~3.5℃、3.5~4.0℃の範囲を含むその間の全ての範囲及び値の温度まで第1の混合物を冷却することを含み得る。第1の混合物は、室温から約℃まで水浴によって冷却されてもよい。
いくつかの態様において、ブロック103における混合は、冷却された第1の混合物上に不活性ガスを流すことを含み得る。いくつかの例において、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン又はそのいずれかの組合せを含み得る。不活性ガスは、空気中の水分が、冷却された第1の混合物を汚染することを防ぐために適応されてよい。いくつかの態様において、ブロック103における混合は、冷却された第1の混合物中に近赤外線染料マスターバッチを混合して、ブロック202において決定されたその濃度での2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれとの第2の混合物を製造することを含み得る。第2の混合物は、0~4℃の範囲、並びに0~0.5℃、0.5~1.0℃、1.0~1.5℃、1.5~2.0℃、2.0~2.5℃、2.5~3.0℃、3.0~3.5℃、3.5~4.0℃の範囲を含むその間の全ての範囲及び値の温度で製造され得る。第2の混合物は、減圧下で製造され得る。いくつかの例において、第2の混合物は実質的に均質である。
いくつかの実施形態において、ブロック104に示されるように、方法100は、第2の混合物を使用して光学素子を製造することを含み得る。いくつかの態様において、光学素子は、キャスティング、射出成形、フィルム押出成形、押出圧縮成形、圧縮成形、トランスファー成形、3D印刷又はそのいずれかの組合せによって製造され得る。いくつかの例において、ブロック104におけるキャスティングプロセスは、20~25℃、並びに21℃、22℃、23℃及び24℃を含むその間の全ての範囲及び値のキャスティング温度で実行され得る。いくつかの例において、ブロック104における射出成形プロセスは、200~400℃の範囲、並びに200~210℃、210~220℃、220~230℃、230~240℃、240~250℃、250~260℃、260~270℃、270~280℃、280~290℃、290~300℃、300~310℃、310~320℃、320~330℃、330~340℃、340~350℃、350~360℃、360~370℃、370~380℃、380~390℃及び390~400℃を含むその間の全ての範囲及び値の成形温度で実行され得る。いくつかの実施形態において、方法100は、ブロック104における製造ステップの前に、1種又はそれ以上の紫外線光吸収染料、色調整染料、色強調染料、ブルーライト吸収染料、及び他の可視光吸収染料を前駆体材料と混合することを含み得る。
本発明の実施形態が図1のブロックに関して説明されたが、本発明の操作が、図1中に示される特定のブロック及び/又は特定のブロックの順序に限定されないことは認識されるべきである。したがって、いくつかの実施形態は、図1のものとは異なる順序で、種々のブロックを使用して、本明細書に記載される機能性を提供し得る。
本発明の開示の一部として、特定の実施例が以下に含まれる。本実施例は、例証目的のためだけであり、本発明を制限するように意図されない。当業者は、本質的に同一の結果を得るために、変更可能又は修正可能であるパラメーターを容易に認識するであろう。
実施例1
(MR8(商標)前駆体による近赤外線吸収レンズの調製)
種々の近赤外線吸収剤及び光学基材用の前駆体材料を使用して、赤外線吸収能力を有する眼用レンズを製造した。赤外線吸収波長範囲及びレンズ残留色に対する2種の近赤外線吸収剤を有する眼用レンズの影響を試験した。眼用レンズを製造するために使用される特定の近赤外線吸収剤、前駆体材料、UV吸収剤及び触媒を表1に列挙する(λmaxはNIR染料スペクトルの最高ピークを意味する)。
Figure 2022525044000002
表2は、S2007及び/又は920Aの近赤外線吸収剤を使用するそれぞれの試料の組成を示す。対照試料はいずれの近赤外線吸収剤も含まなかった。表3は、いずれの近赤外線吸収剤も含まない対照試料と一緒に、920A及び/又はIR765の近赤外線吸収剤を使用するそれぞれの試料の組成を示す。表4は、いずれの近赤外線吸収剤も含まない対照試料と一緒に、Epolight 4831及び/又はIR785の近赤外線吸収剤を使用するそれぞれの試料の組成を示す。
Figure 2022525044000003
Figure 2022525044000004
Figure 2022525044000005
テーピングプロセスを使用して組み立てられた双平面型を使用して全ての試料を調製した。型の中心厚さを2mmに調整した。近赤外線マスターバッチは、選択された近赤外線吸収剤をMR8(商標)-A又はMR8(商標)-B2モノマー前駆体中に溶解することによって調製した。次いで、均質混合物が形成されるまで、減圧下の室温においてduran瓶中、紫外線吸収剤(Stan DMC(商標)及びZelec UN(商標))をMR8-A前駆体と混合させた。次いで、均質混合物を2℃まで冷却し、その後、減圧を解放し、そして窒素ガスを混合物上に流した。最終混合物が均質になるまで、近赤外線染料マスターバッチ、追加的なMR8(商標)-B1及びMR8(商標)-B2、並びに冷却された均質混合物を減圧下2℃で混合した。その後、清潔なシリンジによって最終混合物を双平面型に充填した。次いで、表5に示すように重合温度プロファイルに従ってレンズ試料を形成した。それぞれの組成物に関して、未コーティング(UNC)レンズ及びハードマルチコーティング(HMC)レンズの両方を製造した。製造したレンズをクリーニングした。Lamda(商標)950 UVスペクトロスコピー(PerkinElmer,USA)を使用して、それぞれのレンズ試料に対する300~2000nmの波長の範囲の透過率を測定した。追加的に、それぞれのレンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットを試験した。TsIRは780~2000nmの透過率%であり、TvD65は380~780nmの透過率%である。YIは黄色度指数であり、Cは彩度であり、そしてhは色合いである。
Figure 2022525044000006
レンズ試料の外観を図2A~2Cに示す。図2A~2Cに示すように、2種の近赤外線吸収剤(図2Aに関してS2007及び920A、並びに図2Bに関して920A及びIR765、並びに図2Cに関してEpolight 4831及びIR765)を含有するレンズは、1種のみの近赤外線吸収剤を含有するレンズ試料と比較して、残留色の減少を示した。
表6は、NIR S2007及び920A近赤外線吸収剤を含有する未コーティング(UNC)レンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。表7は、NIR S2007及び920A近赤外線吸収剤を含有するハードマルチコーティングレンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。これらの結果は、5ppmのS2007及び5ppmの920Aを含有するハードマルチコーティング及び未コーティングレンズが最良の赤外線吸収特性及び最も少ない残留色を示したことを示す。これらの2つの試料は、透明レンズに最も近い最良の中間色を有する。
Figure 2022525044000007
Figure 2022525044000008
表8は、930A及びIR765近赤外線吸収剤を含有する未コーティング(UNC)レンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。表9は、930A及びIR765近赤外線吸収剤を含有する未コーティング(UNC)レンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。これらの結果は、10ppmの920A及び4ppmのIR765を含有するハードマルチコーティングレンズが最良の赤外線吸収特性及び最も少ない残留色を示したことを示す。これらの2つの試料は、透明レンズに最も近い最良の中間色を有する。
Figure 2022525044000009
Figure 2022525044000010
表10は、Epolight 4831及び/又はIR785近赤外線吸収剤を含有する未コーティング(UNC)レンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。表11は、Fpolight 4831及び/又はIR785近赤外線吸収剤を含有するハードマルチコーティング(HMC)レンズ試料のTsIR、TvD65、YI、C、h及びUVカットの試験結果を示す。この結果は、これらの2種の試料が透明レンズに最も近い最良の中間色を有するため、Epolight 4831及び/又はIR785近赤外線吸収剤を含有するレンズに関して、45ppmのEpolight 4831及び6ppmのIR765を含有するハードマルチコーティングレンズが最良の結果を示すことを示した。全体的に、表6~11の結果は、2種の近赤外線吸収剤によるMR8モノマーベースのレンズが吸収レベル及び吸収波長範囲を改善し、そして1種のみの近赤外線吸収剤を含有するレンズと比較してレンズの残留色を減少することを示す。
Figure 2022525044000011
Figure 2022525044000012
実施例2
(ポリカーボネート前駆体による近赤外線吸収レンズの調製)
異なる赤外線吸収剤によるポリカーボネートベースのレンズを製造し、レンズの赤外線吸収特性及び残留色に及ぼす2種の赤外線吸収剤の相乗効果を試験した。使用された近赤外線吸収剤を表12に示した。
Figure 2022525044000013
それぞれのポリカーボネートレンズ試料中、これらの近赤外線吸収剤の2種をポリカーボネートペレットと混合した。次いで、混合物を眼用レンズへと射出成形した。Lamda(商標)900(Perkin Elmer,USA)を使用して、それぞれのレンズ試料の光透過率及び色特性を測定した。
2種の近赤外線吸収剤を含有するポリカーボネートレンズ試料の組成及び相当する比較例の組成を表13に列挙する。ポリカーボネートレンズの第1セットは、Epolight 4831及びEpolight 3169近赤外線吸収剤を含有した。ポリカーボネートレンズの第2セットは、Epolight 4831及びEpolight 3157近赤外線吸収剤を含有した。
Figure 2022525044000014
Epolight 4831及びEpolight 3169近赤外線吸収剤を含有する第1セットのポリカーボネートレンズの試験結果を表14に列挙する。それぞれの試料の光透過率の結果を図3A中にプロットする。図3Aは、Epolight 4831及びEpolight 3169近赤外線吸収剤の両方を含有するポリカーボネートレンズが、これらの近赤外線吸収剤の1種のみを含有するレンズより広範な近赤外線波長カット範囲を有することを示す。追加的に、表14に示すように、Epolight 4831及びEpolight 3169近赤外線吸収剤の両方を含有するポリカーボネートレンズの残留色強度は、これらの近赤外線吸収剤の1種のみを含有するレンズ(青色又は茶色)のものより低い(灰色)。
Figure 2022525044000015
Epolight 4831及びEpolight 3157近赤外線吸収剤を含有する第2セットのポリカーボネートレンズの試験結果を表15に列挙する。それぞれの試料の光透過率の結果を図3B中にプロットする。図3Bは、Epolight 4831及びEpolight 3157近赤外線吸収剤の両方を含有するポリカーボネートレンズが、これらの近赤外線吸収剤の1種のみを含有するレンズより広範な近赤外線波長カット範囲を有することを示す。追加的に、表15に示すように、Epolight 4831及びEpolight 3157近赤外線吸収剤の両方を含有するポリカーボネートレンズの残留色強度は、これらの近赤外線吸収剤の1種のみを含有するレンズ(青色又は黄緑色)のものより低い(灰色)。
Figure 2022525044000016
本出願の実施形態及びそれらの利点が詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において、種々の変化、置換及び変更が実行可能であることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、処理、機械、製造、組成物、手段、方法及び/又はステップの特定の実施形態に限定されるように意図されない。当業者が上記の開示から容易に認識するように、本明細書に記載される相当する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する既存の、又は今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップも利用されてよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、それらの範囲中にそのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップを含むように意図される。

Claims (15)

  1. 光学基材と、前記光学基材中で混合される2種以上の近赤外線吸収剤とを含む光学素子であって、前記2種以上の近赤外線吸収剤が、異なる近赤外線カット範囲及び異なる残留色を有する、光学素子。
  2. 前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記光学基材中に実質的に均質に混合される、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記光学基材中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の近赤外線吸収レベルよりも高い相乗効果的な赤外線吸収レベルを発生するように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  4. 前記光学基材中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線吸収範囲よりも広い、相乗効果的な赤外線吸収範囲を生じるように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  5. 前記光学基材中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれ個々の色強度よりも低い、相乗効果的な色強度を生じるように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  6. 前記光学基材中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、相乗効果的に中間色であるか、又は好ましくは無色である、請求項5に記載の光学素子。
  7. 前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記光学基材に関する380~780nmの波長範囲における平均光学透過率における10%未満の減少を相乗効果的に引き起こすように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  8. 前記光学素子が眼用レンズを含む、請求項1に記載の光学素子。
  9. 前記光学基材が、アリルジグリコールカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、ポリエピスルフィド、トライベックス、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテン又はそのいずれかの組合せを含む、請求項1に記載の光学素子。
  10. 前記2種以上の近赤外線吸収剤が、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム、チオピリリウム、シアニン又はそのいずれかの組合せを含む、請求項1に記載の光学素子。
  11. 前記光学素子が1~500ppmの前記2種以上の近赤外線吸収剤を含む、請求項1に記載の光学基材。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の光学素子の調製方法であって、
    前記光学基材用の前駆体材料、並びに異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する前記2種以上の近赤外線吸収剤を提供することと;
    前記2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度が前記2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の色強度よりも低い、前記光学基材中での前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することと;
    実質的に均質な混合物を製造するために決定された濃度で、前記前駆体材料を前記2種以上の赤外線吸収剤と混合することと;
    前記光学基材と前記2種以上の近赤外線吸収剤との混合物を使用して、前記光学素子を製造することと
    を含む方法。
  13. 前記製造ステップが、キャスティング、射出成形、押出圧縮成形、圧縮成形、トランスファー成形、3D印刷又はそのいずれかの組合せを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記製造ステップの前に、1種又はそれ以上の紫外線光吸収染料、色調整染料、色強調染料、ブルーライト吸収染料、及び他の可視光吸収染料を前記前駆体材料と混合することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  15. 請求項1~11のいずれか一項に記載の光学素子の調製方法であって、
    前記光学基材用の前駆体材料、並びに異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を提供することと;
    2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度が前記2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の色強度よりも低い、前記基材中での前記2種以上の赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することと;
    前記前駆体材料の第1の量に前記2種以上の赤外線吸収剤を溶解して、近赤外線染料マスターバッチを製造することと;
    23~27℃の温度で、減圧下、前記前駆体材料の第2の量を、紫外線染料、モノマー、触媒及び放出剤の1種又はそれ以上と混合して、実質的に均質である第1の混合物を製造することと;
    0~4℃の温度まで前記第1の混合物を冷却することと;
    前記冷却された第1の混合物上に不活性ガスを流すことと;
    0~4℃の温度で、減圧下、前記近赤外線染料マスターバッチを前記第1の混合物中に混合して、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれがその決定された濃度にある実質的に均質な混合物である第2の混合物を製造することと;
    キャスティングによって、前記第2の混合物を使用して前記光学素子を製造することと
    を含む方法。
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