JP5618945B2 - 内燃機関の冷却制御装置 - Google Patents
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- F01P7/14—Controlling of coolant flow the coolant being liquid
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Description
図1は、本発明の一実施形態による車両用の内燃機関1及びその冷却制御装置の概略構成を示している。この内燃機関1の冷却制御装置は、流量(吐出量)を変更可能なウォーターポンプ(W/P)2と、ウォーターポンプ2から吐出された冷却水が内燃機関1(のウォータージャケット)を通過しラジエータ3を経由してウォーターポンプ2へと戻る循環経路4と、冷却制御装置の各構成要素の作動を制御する制御部5と、を含む。
ここで、図1において破線で示すように、内燃機関1を通過した冷却水が、内燃機関1に連結された無段変速機(CVT)6を経由してウォーターポンプ2へと戻る第2循環経路及び内燃機関1を通過した冷却水が、車内空調に用いられる暖房用のヒータコア7を経由してウォーターポンプ2へと戻る第3循環経路をさらに含んでもよい。
制御バルブ44は、サーモスタットの感温部に発熱素子を備えた電制サーモスタットであり、バルブ開度が冷却水の温度だけに依存するのではなく、制御部5による上記発熱素子への通電制御によってバルブ開度を変化させることができる。但し、電制サーモスタットに限るものではなく、制御部5からの制御信号によってバルブ開度を変化させることができるものであればよい。
制御部5は、機関運転状態(ここでは、車速及び機関負荷)を入力し、入力された機関運転状態に基づいて冷却水の目標温度(以下「目標水温」という)を設定する。そして、この設定された目標水温に基づいてウォーターポンプ2及び制御バルブ44を制御する。
以下、まず制御バルブ44についての制御を説明し、その後、ウォーターポンプ2についての制御を説明する。
図3において、ステップS1では、目標水温の変化量が予め設定された閾値(例えば5℃)以上であるか否か、すなわち、内燃機関1の運転状態(車速、機関負荷)が変化したことによって目標水温と水温センサ61によって検知される冷却水の水温(以下「実際の水温」という)との偏差(絶対値)が上記閾値以上となったか否かを判定する。そして、目標水温の変化量が上記閾値以上であれば過渡時制御を実行すべくステップS2に進む。
ステップS2では、目標水温が高い側から低い側へと変化したか否かを判定する。そして、目標水温が高い側から低い側へと変化していればステップS3に進む。
例えば、目標水温が110℃から80℃に変化して制御バルブ44のバルブ開度を目標水温110℃に対応する「Vθa(○)」から目標水温80℃に対応する「Vθb(●)」まで大きくする必要がある場合を考えると、図4に示すように、通電デューティーを100%、すなわち、バルブ開度を大きくする方向の操作量を最大としたときに、制御バルブ44のバルブ開度を「Vθa(○)」から「Vθb(●)」まで変化させるのに必要な時間は「T1」である。そこで、目標水温が110℃から80℃へと変化した場合には、この「T1」を最大DUTY保持時間T100として設定する。このようにして目標水温の変化に応じた最大DUTY保持時間T100の設定を行う。これにより、必要以上に長く、通電デューティーを100%に保持することが防止され、消費電力の増加が抑制される。
なお、内燃機関1の運転状態が全負荷領域となる場合には、機関負荷に基づく上記補正に加えて、さらに最大DUTY保持時間T100を大きくするような補正(全負荷補正)を行うのが好ましい。
ステップS6では、制御バルブ44(発熱素子)に対する通電デューティーを最大(100%)とする。換言すれば、バルブ開度を大きくする方向に制御バルブ44を制御するための操作量を最大とする。
例えば、目標水温が80℃から110℃に変化して制御バルブ44のバルブ開度を目標水温80℃に対応する「Vθb(●)」から目標水温110℃に対応する「Vθa(○)」まで小さくする必要がある場合を考えると、図4に示すように、通電デューティーを0%、すなわち、バルブ開度を小さくする方向の操作量を最大としたときに、制御バルブ44のバルブ開度を「Vθb(●)」から「Vθa(○)」まで変化させるのに必要な時間は「T2」である。そこで、目標水温が80℃から110℃へと変化した場合には、この「T2」を最小DUTY保持時間T0として設定する。このようにして目標水温の変化に応じた最小DUTY保持時間T0の設定を行う。
ここで、最大DUTY保持時間T100と最小DUTY保持時間T0とを別々に設定するのは、図4に示すように、通電デューティーが100%のときの制御バルブ44のバルブ開弁速度と、通電デューティーが0%のときの制御バルブ44のバルブ閉弁速度とが異なるからであり、本実施形態においては、最小DUTY保持時間T0>最大DUTY保持時間T100となっている。
ステップS10では、制御バルブ44(発熱素子)に対する通電デューティーを最小(0%)とする。換言すれば、バルブ開度を小さくする方向に制御バルブ44を制御するための操作量を最大とする。
なお、ステップS1における閾値とステップS11における閾値とを異なる値に設定してもよい。この場合ステップS1における閾値>ステップS11における閾値とするのが好ましい。
(1)基本制御
制御部5は、目標水温ごとに制御バルブ44の操作量、すなわち、上記発熱素子に対する通電デューティーが割り付けられた制御マップを有している。そして、設定された目標水温に基づいて上記制御マップを参照することにより、制御バルブ44の基本操作量(基本デューティー)を求める。この基本操作量は、各運転条件において定常運転を行ったときに冷却水の温度を目標水温近傍に制御することのできる制御バルブ44のバルブ開度に相当する値として予め設定されたものである。上記基本操作量は、基本的には、目標水温が高く(低く)なるほど、制御バルブ44のバルブ開度を小さく(大きく)するように、すなわち、ラジエータ3を通過させる冷却水の流量(配分)を少なく(多く)するように設定される。
次に、制御部5は、上記基本操作量を外気温に応じて補正して制御バルブ44の操作量(すなわち、発熱素子に対する通電デューティー)を設定する。具体的には、制御部5は、外気温が高いほど(低いほど)上記基本操作量を大きく(小さく)するように、すなわち、ラジエータ3を通過する冷却水の流量(配分)を多く(少なく)するように補正して制御バルブ44の操作量を設定する。
定常時においては、このようにして設定された操作量が制御バルブ44に出力される。
制御部5は、上記のようにして設定された操作量を制御バルブ44に出力したにもかかわらず、実際の水温が目標水温とならない場合には、目標水温と実際の水温との偏差(絶対値)に応じて以下の処理を行う。
目標水温と実際の水温との偏差(絶対値)が上記閾値以上である場合には、制御バルブ44の特性変動(個体バラツキや経時劣化など)により、制御バルブ44の実際のバルブ開度が目標水温に相当する本来のバルブ開度になっていないと考えられる。このような場合には、制御部5は、制御バルブ44の実際のバルブ開度を目標水温に相当する本来のバルブ開度とするために必要な補正量ΔDUTYを算出し、算出された補正量ΔDUTYを上記基本操作量に加算する。
例えば、目標水温が80℃のときに実際の水温が85℃である場合には、実際のバルブ開度Vθrが目標水温に相当する本来のバルブ開度Vθtよりもその温度差ΔT(ここでは5℃)に相当するバルブ開度だけ小さくなっている、すなわち、図5に示すように、目標水温が80℃のときの基本操作量(ここでは、基本デューティーが75%とする)でのバルブ特性において、実際のバルブ開度「Vθr(○)」が水温75℃のときのバルブ開度になっていると考えられる。そこで、この場合には、上記バルブ特性に基づいて、実際のバルブ開度「Vθr(○)」が本来のバルブ開度「Vθt(●)」に対して不足しているバルブ開度ΔVθ(=Vθt−Vθr)を推定し、この不足分のバルブ開度ΔVθに相当する通電デューティーを上記補正量ΔDUTYとして算出し、上記基本操作量に加算するようにする。これにより、制御バルブ44の特性変動によるバルブ開度の変動分が相殺されて実際のバルブ開度を本来のバルブ開度とすることができるので、実際の水温がほぼ目標水温に制御される。
一方、目標水温と実際の水温との偏差(絶対値)が上記閾値未満である場合には、一般的なPID制御を行って実際の水温を上記目標水温に収束させる。
なお、この定常制御における閾値をステップS1における閾値やステップS11における閾値と異なる値に設定してもよい。
図6に示すように、目標水温が低い側から高い側に変化すると、制御部5は、制御バルブ44(発熱素子)に対する通電デューティーを最小(0%)とする(時刻t1)。これにより、制御バルブ44の閉弁速度を高めて、ラジエータ3を通過させる冷却水の流量(配分)を速やかに減少させることによって冷却水の温度を上昇させる。その後、最小DUTY保持時間T0が経過し又は目標水温と実際の水温との偏差が上記閾値未満となると過渡時制御を終了して定常制御(ここでは、通電デューティーが25%)へと移行する(時刻t2)。
(1)暖機制御
内燃機関1の始動から暖機完了までにおいて、制御部5は、ウォーターポンプ2を間欠的に作動させることにより内燃機関1の暖機を促進する。なお、この暖機制御においては制御バルブ44が閉弁状態となっている。
例えば、実際の水温が第1判定温度(例えば、目標水温−20℃)未満である場合、制御部5は、実際の水温が上記第1判定温度となるまでウォーターポンプ2を作動させない。その後、実際の水温が上記第1判定温度となると、制御部5は、ウォーターポンプ2を作動させ、所定時間が経過した後に実際の水温を確認し、この実際の水温が目標水温よりも低い場合にはウォーターポンプ2の作動を停止させる。さらにその後、実際の水温が第2判定温度(例えば、目標水温−10℃)となると、制御部5は、ウォーターポンプ2を作動させ、所定時間が経過した後に実際の水温を確認する。そして、この実際の水温が目標水温よりも低い場合には、ウォーターポンプ2の作動を再び停止させる。このように、制御部5は、ウォーターポンプ2の作動と停止とを繰り返し、ウォーターポンプ2を間欠的に作動させて暖機を促進し、実際の水温が暖機完了温度(例えば、目標温度−5℃)になると暖機制御を終了する(暖機完了とする)。
図7は、暖機完了後に制御部5によって実行されるウォーターポンプについての制御を示すフローチャートである。
図7において、ステップS21では、図3のステップS1と同様、目標水温の変化量が上記閾値以上であるか否かを判定する。目標水温の変化量が上記閾値以上であれば過渡時制御を実行すべくステップS22に進む。
ステップS22では、図3のステップS2と同様、目標水温が高い側から低い側へと変化したか否かを判定し、目標水温が高い側から低い側へと変化していればステップS23に進む。
ステップS24では、ウォーターポンプ2の吐出量を機関負荷に応じて補正する。具体的には、機関負荷又は機関負荷の変化量が大きいほどウォーターポンプ2の吐出量を増加させる。この補正による吐出量の増加分は予め実験等によって決定される。ここで、機関負荷が変化すれば目標水温も変化することになるから、機関負荷の変化量が大きくなれば、当然、目標水温と実際の水温との偏差も大きくなる。したがって、このステップS23では、目標水温と実際の水温との偏差が大きいほどウォーターポンプ2の吐出量を増量補正することになる。
なお、内燃機関1の運転状態が全負荷領域となる場合には、機関負荷に基づく上記補正に加えて、さらに吐出量を増加させる補正(全負荷補正)を追加するのが好ましい。
ステップS26では、ウォーターポンプ2の吐出量を機関負荷に応じて補正する。具体的には、機関負荷が小さいほど又は機関負荷の変化量が大きいほどウォーターポンプ2の吐出量を減少させる。なお、この補正による吐出量の減少分は予め実験等によって決定される。
制御部5は、目標水温ごとにウォーターポンプ2の操作量、すなわち、ウォーターポンプ2に対する通電デューティーが割り付けられた制御マップ(図示省略)を有しており、機関運転状態に基づいて設定された目標水温に基づき上記制御マップを参照することによってウォーターポンプ2の操作量を求め、この求めた操作量をウォーターポンプ2に出力する。
ステップS31では、ウォーターポンプ2に吐出量を最大とする。そして、ウォーターポンプ2の吐出量を最大とした後にステップS27に進む。
なお、目標水温と実際の水温との偏差が上記閾値以下となってもノッキングが発生し続ける場合には、ウォーターポンプ2の吐出量を最大に維持させるようにする。
図8(A)に示すように、目標水温が低い側から高い側に変化すると、制御部5は、(変化後の)目標水温に相当するウォーターポンプ2の操作量(通電デューティー)を所定量だけ減少させて吐出量を減少させる(時刻t1)。上述したように、このとき、制御部5は、制御バルブ44(発熱素子)に対する通電デューティーを最小(0%)、すなわち、バルブ開度を小さくする方向に制御バルブ44を制御するための操作量を最大としている。この結果、ラジエータ3を通過する冷却水の流量がさらに減少して冷却水の温度の上昇速度を高めることができる。そして、目標水温と実際の水温との偏差が上記閾値未満となると過渡時制御を終了して定常制御へと移行する(時刻t2)。
また、目標水温と実際の水温との偏差に応じて制御バルブ44の操作量及びウォーターポンプ2の操作量を増減するので、消費電力の大幅な増加を抑制しつつ、冷却水の温度制御の応答性をさらに向上させることができる。
Claims (3)
- 機関運転状態に応じて冷却水の温度を制御する内燃機関の冷却制御装置であって、
吐出量を変更可能なウォーターポンプと、
前記ウォーターポンプから吐出された冷却水を前記内燃機関とラジエータとの間で循環させる冷却水循環路と、
前記ラジエータをバイパスするバイパス流路と、
サーモスタットの感温部に発熱素子を備えてなり、開度が大きくなるほど前記ラジエータを通過させる冷却水を多くし、開度が小さくなるほど前記ラジエータをバイパスさせる冷却水を多くする電制サーモスタットと、
前記ウォーターポンプ及び前記電制サーモスタットの発熱素子への通電を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記冷却水の温度を上昇させる場合には、前記吐出量を減少させるように前記ウォーターポンプを制御すると共に前記発熱素子の通電操作量を前記電制サーモスタットの開度を所定開度だけ減少変化させる第1所定時間だけ最小値に保持し、
前記冷却水の温度を低下させる場合には、前記吐出量を増加させるように前記ウォーターポンプを制御すると共に前記発熱素子の通電操作量を前記電制サーモスタットの開度を所定開度だけ増大変化させる第2所定時間だけ最大値に保持する、内燃機関の冷却制御装置。 - 前記制御部は、前記冷却水の目標温度の変化に応じて前記第1所定時間及び前記第2所定時間を設定する、請求項1記載の内燃機関の冷却制御装置。
- 前記制御部は、前記発熱素子の通電操作量を前記最大値に保持しているときのノッキングレベルが高いほど前記第2所定時間をより長く変更する、請求項1又は2記載の内燃機関の冷却制御装置。
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