JP5617529B2 - 粉末冶金用鉄基混合粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、粉末冶金技術に用いて好適な鉄基混合粉末に関し、特に圧粉成形体の密度を高めると共に、圧粉成形後に圧粉体を金型から抜き出す際の抜出力を低減し、もって焼結体の密度および強度の有利な向上を図ろうとするものである。
粉末冶金プロセスでは、原料粉末を混合した後、混合粉を移送して金型に充填し、加圧成形した後、製造した成形体(圧粉体という)を金型から取り出し、必要に応じて焼結などの後処理を施す。
かかる粉末冶金プロセスにおいて、製品品質の向上と製造コストの低減を実現するためには、移送工程における粉末の高い流動性、加圧成形工程における高い圧縮性、さらには圧粉体を金型から抜き出す工程における低い抜出力、を同時に達成することが求められる。
鉄基混合粉末の流動性を改善する手段としては、フラーレン類を添加することによって鉄基混合粉末の流動性を改善できることが特許文献1に開示されている。
また、500nm未満の平均粒径を有する粒状無機酸化物を添加することによって、粉末の流動性を改良する手法が、特許文献2に開示されている。
しかしながら、これらの手段を用いたとしても、流動性を維持した上で、高い圧縮性や低い抜出力を実現するには不十分であった。
また、圧粉体の成形密度を高めたり抜出力を低減したりするためには、鉄基混合粉末を加圧成形する温度において軟質で延伸性を有する潤滑剤を使用することが有効である。その理由は、加圧成形によって潤滑剤が鉄基混合粉末から滲み出して金型表面に付着し、金型と圧粉体との摩擦力を低減するからである。
しかしながら、このような潤滑剤は、延伸性を有するが故に、鉄粉や合金用粉末の粒子にも付着し易く、そのため鉄基混合粉末の流動性や充填性はかえって阻害されるという問題がある。
さらに、上記したような炭素材料、微粒子および潤滑剤を配合することは、鉄基混合粉末の理論密度(空隙率がゼロと仮定した場合)を低下させ、成形密度を低下させる要因となるので、あまりに多量の添加は好ましくない。
このように、従来は、鉄基混合粉末の流動性と、高い成形密度と、低い抜出力とを鼎立させることは極めて難しかった。
ところで、特に自動車部品としてのギヤなどには、高強度と高疲労特性が要求される。かような部品を粉末冶金法で製造する場合、強度および疲労特性を向上させるために合金成分を添加することが一般的に行われている。
例えば、特許文献3では、純鉄粉にNi,Cu,Moなどの粉末を拡散付着させることによって、それらの合金化を図っている。しかしながら、この製法による鋼粉は、圧縮性には優れているものの、合金元素とりわけNiの拡散が遅いことから、合金元素を鉄基地中に十分に拡散させるためには、長時間の焼結が必要になるという問題があった。
また、特許文献4には、CとMoを含有し、MnとCrを実質的に含有しない低合金鋼粉に、Cu粉および/またはNi粉を添加し、さらに黒鉛粉を添加した鉄基粉末混合物が開示されている。
さらに、特許文献5には、Mo,Mn,Cを含有する合金鋼粉に、Cu粉を融着させた鉄基粉末混合物が開示されている。
しかしながら、MoやMnを含有する低合金鋼粉は、それらの固溶硬化のために成形時に密度が上がりにくく、所望の強度を得るためには高圧での成形を必要とすることから、金型寿命が短くなるという問題があった。
特開2007−31744号公報 特表2002−515542号公報 特公昭45−9649号公報 特開昭61−163239号公報 特開昭63−114903号公報
本発明は、上記した現状に鑑みて開発されたもので、MoやMnを含有する低合金鋼粉を用いた鉄基混合粉末の流動性を高めることによって、圧粉体の成形密度を向上させると同時に、圧粉成形後の抜出力を大幅に低減し、もって焼結体の密度および強度の向上を、製造コストの低減と共に達成することができる粉末冶金用鉄基混合粉末を提案することを目的とする。
さて、発明者等は、上記の目的を達成するために、鉄基混合粉末中への添加材について種々検討を重ねた。
その結果、鉄基混合粉末中に、適量の片状粉末を添加することによって、流動性が大幅に改善され、また成形密度および抜出力も併せて改善される結果、焼結体の密度および強度が有利に改善されるという知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.鉄基粉末を主成分とする粉末冶金用の鉄基混合粉末であって、該鉄基粉末が、該鉄基混合粉末全体に対する比率でMo:0.3〜1.0質量%およびMn:0.1〜0.25質量%を予合金として含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉であり、該鉄基混合粉末中に、該鉄基混合粉末全体に対する比率で、Cu粉を0.5〜4.0質量%と、黒鉛粉を0.3〜1.0質量%と、長径の平均粒子径が100μm以下、厚さが10μm以下で、かつアスペクト比(厚さに対する長径の比率)が5以上のシリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナおよび酸化鉄のうちから選んだ少なくとも一種からなる片状粉末を0.01〜5.0質量%の範囲で含有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉末。
.前記鉄基混合粉末が、さらに有機結合剤を含有することを特徴とする前記1に記載の粉末冶金用鉄基混合粉末。
.前記鉄基混合粉末が、さらに遊離潤滑剤を含有することを特徴とする前記1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉末。

本発明に従い、鉄基混合粉末中に適量の片状粉末を添加することにより、流動性に優れるのはいうまでもなく、高い成形密度と低い抜出力を併せて達成することができ、その結果、高生産性および低製造コストの下で、密度および強度に優れた焼結体を得ることができる。
片状粉末のアスペクト比を説明するための模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で用いる片状粉末とは、厚さ方向の径が拡がり方向の径に比べて非常に小さい平板状の粒子からなる粉末である。本発明では、図1に示すように、一次粒子の長径1の平均粒子径が100μm以下で、厚さ2が10μm以下で、かつアスペクト比(厚さに対する長径の比率)が5以上であることを特徴とする。
かかる片状粉末は、鉄基混合粉末の成形圧縮工程において、粉体の再配列や塑性変形にかかる粉体間の摩擦力、並びに粉体と金型間の摩擦力を低減し、成形密度の向上を実現できる。さらに、成形体の抜出し工程においては、圧粉体と金型間の摩擦力低下を通じて、抜出力を大きく低減することが可能となる。これらの効果は、片状粉末の扁平な形状に起因して、鉄基混合粉末間に片状粉末が効果的に配列し、金属粉末同士および金属粉末と金型間の直接接触を有効に防止し、摩擦力を低減することによって得られるものと考えられる。
片状粉末としては、酸化物が好ましく、その具体例としては、鱗片状シリカ(サンラブリー、AGCエスアイテック製)、花弁状ケイ酸カルシウム(フローライト、トクヤマ製)、板状アルミナ(セラフ、キンセイマテック製)、鱗片状酸化鉄(AM−200、チタン工業製)などが挙げられるが、特に成分や結晶構造を規定するものではない。
発明者らの研究によれば、物質を構成する原子間の結合様式が、主に共有結合またはイオン結合からなり、比較的電気伝導率が低い物質からなる片状粉末が好ましく、特に酸化物が好ましいことが判明した。中でも、上記したような鱗片状シリカや花弁状ケイ酸カルシウム、板状アルミナおよび鱗片状酸化鉄がとりわけ好適である。
ここに、上記した片状粉末のアスペクト比が5に満たないと、上記の効果が得られないので、本発明では、片状粉末のアスペクト比は5以上と規定した。より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上である。
アスペクト比は、以下の方法により測定する。
走査型電子顕微鏡で片状粉末を観察し、ランダムに選択した100個以上の粒子に対して粒子の長径1と厚み2を計測し、個々の粒子のアスペクト比を計算する。アスペクト比には分布があるので、その平均値をもってアスペクト比と定義する。
なお、本発明において、片状粉末の一形態として針状粉末を挙げることができる。この針状粉末とは、形状が細い針状または棒状の粒子からなる粉末であるが、片状粉末の方が添加による摩擦力低減効果は大きい。
また、片状粉末の長径の平均粒子径が100μmを超えると、粉末冶金に常用される鉄基混合粉末(平均粒子径:100μm前後)と均一な混合ができなくなり、上記の効果を発揮できなくなる。
したがって、片状粉末は長径の平均粒子径を100μm以下とする必要がある。より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。
なお、上記した平均粒子径は、JIS R 1629に準拠したレーザ回折・散乱法により粒子径分布を測定し、体積基準の積算分率における50%径を用いることができる。
また、片状粉末の厚さが10μmを超えると、上記の効果を発揮できなくなる。したがっ て、片状粉末の厚さは10μm以下とする必要がある。より効果的な片状粉末の厚さは1μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。なお、厚さの実用的な最小値は0.01μm である。
さらに、本発明において、片状粉末の鉄基混合粉末に対する配合量が0.01質量%を下回ると、片状粉末の添加効果が現れない。一方、5.0質量%を超えると、抜出力の著しい上昇を招くので好ましくない。従って、片状粉末の配合量は0.01〜5.0質量%とする。より好ましくは0.05〜2.0質量%の範囲である。なお、これらの添加比率は、鉄基混合粉末全体に占める比率を内数で示すものである。
本発明において、鉄基混合粉末の主成分である鉄基粉末としては、水アトマイズ合金鋼粉が好適であり、合金成分については、次のとおりである。なお、各合金成分は、予合金成分および添加合金成分とも、鉄基混合粉末全体に対する比率で示す。
まず、予合金成分について説明する。
Mo:0.3〜1.0質量%
Moは、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上により、焼結部品の強度を高める有用元素である。しかしながら、含有量が0.3質量%に満たないと、十分満足いくほどの焼結部品の強度向上が望めず、一方1.0質量%を超えると、焼結部品の強度向上が飽和するばかりでなく、むしろ圧縮性の低下を招き、結果的に成形密度が上がらず、高強度が得られない。従って、Moは0.3〜1.0質量%の範囲に限定する。
Mn:0.1〜0.25質量%
Mnも、Mo同様、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上により、焼結部品の強度を高める有用元素である。しかしながら、含有量が0.1質量%に満たないと、やはり十分満足いくほどの焼結部品の強度向上が望めず、一方0.25質量%を超えると、Mnの酸化が進行しやすくなり、合金鋼粉の圧縮性および焼結部品の強度が低下する。従って、Mnは0.1〜0.25質量%の範囲に限定する。
次に、添加合金成分について説明する。
Cu粉:0.5〜4.0質量%
Cuは、水アトマイズ合金鋼粉の固溶強化、焼入れ性向上により、焼結部品の強度を高める有用元素である。また、Cu粉は、焼結の際に溶融して液相となり、水アトマイズ合金鋼粉の粒子を互いに固着させる作用もある。しかしながら、添加量が0.5質量%に満たないとその添加効果に乏しく、一方4.0質量%を超えると、焼結部品の強度向上効果が飽和するばかりでなく、切削性の低下を招く。従って、Cu粉は0.5〜4.0質量%の範囲に限定する。
なお、Cu粉を添加するに際しては、添加量が上記の範囲を満足していれば、
(a) 水アトマイズ合金鋼粉にCu粉を添加して単に混合する、
(b) 水アトマイズ合金鋼粉の表面に有機結合剤を介してCu粉を付着させる、
(c) 水アトマイズ合金鋼粉とCu粉を混合し、さらに熱処理して水アトマイズ合金鋼粉の表面にCu粉を付着拡散させる
という方法のいずれを採用しても良い。
黒鉛粉:0.3〜1.0質量%
黒鉛粉の主成分であるCは、焼結時に鉄に固溶し、固溶強化および焼入れ性向上により、焼結部品の強度を高める有用元素である。なお、焼結後に浸炭熱処理等で、焼結体に外部から浸炭する場合には、添加する黒鉛量は少なくても良い。しかしながら、焼結時に浸炭熱処理を行わない場合、黒鉛粉の添加量が0.3質量%に満たないとその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると過共析になるため、セメンタイトが析出して強度の低下を招く。従って、黒鉛粉は0.3〜1.0質量%の範囲に限定する。
なお、黒鉛粉を添加するに際しては、添加量が上記の範囲を満足していれば、
(a) 水アトマイズ合金鋼粉に黒鉛粉を添加して単に混合する、
(b) 水アトマイズ合金鋼粉の表面に有機結合剤を介して黒鉛粉を付着させる
という方法のいずれを採用しても良い。
次に、本発明で使用することができる有機結合剤および遊離潤滑剤について説明する。なお、これらの有機結合剤や遊離潤滑剤の添加量は、粉末冶金用鉄基混合粉末:100質量部に対する割合で表わすものとする。
有機結合剤としては、脂肪酸アミドや金属石鹸などが有利に適合するが、その他にも、ポリオレフィン、ポリエステル、(メタ)アクリルポリマーおよび酢酸ビニルポリマーなどの公知の有機結合剤も用いることができる。これらの有機結合剤は、それぞれ単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。2種以上の有機結合剤を併用する場合、少なくともその一部を共溶融物として用いても良い。かような有機結合剤の添加量が、0.01質量部に満たないと、鉄粉の表面に合金用粉末を均一かつ十分に付着することができない。一方、1.0質量部を超えると、鉄粉同士が付着し凝集するので 、流動性が低下するおそれがある。従って、有機結合剤の添加量は0.01〜1.0質量部とするのが好ましい。
また、粉末冶金用鉄基混合粉末の流動性や成形性を向上させるために、遊離潤滑剤を添加することもできる。かかる遊離潤滑剤の添加量は1.0質量部以下とすることが好ましい。好ましくは0.01質量部以上である。かような遊離潤滑剤としては、金属石鹸(たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マンガン、ステアリン酸リチウム等)、ビスアミド(たとえばエチレンビスステアリン酸アミド等)、モノアミドを含む脂肪酸アミド(たとえばステアリン酸モノアミド、エルカ酸アミド等)、脂肪酸(たとえばオレイン酸、ステアリン酸等)および熱可塑性樹脂(たとえばポリアミド、ポリエチレン、ポリアセタール等)が、圧粉体の抜出力を低減する効果を有するので好ましい。その他、公知の遊離潤滑剤も用いることができるのはいうまでもない。
本発明においては、有機系潤滑剤の配合量を従来よりも低減し、これを片状粉末で代替することにより、優れた抜出力を確保しつつ、流動性や成形密度を改善することができる。すなわち、通常、上記有機系潤滑剤を低減すると抜出力が上昇するが、本発明では、片状粉末の添加によってこの悪影響を回避することができる。また、有機系潤滑剤に代えて片状粉末を含有させることによって、成形密度も改善される。さらに、片状粉末の存在により、流動性も改善される。
以上の利点を享受する観点からは、有機系潤滑剤の配合量は0.8質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは0.5質量部以下である。なお、有機系潤滑剤の下限値としては、有機結合剤と遊離潤滑剤の各下限値の合計である0.02質量部とすることが好ましい。
なお、有機系潤滑剤は、有機結合剤、有機遊離潤滑剤および有機非遊離潤滑剤(結合剤として鉄粉表面に付着させた有機系潤滑剤)の少なくともいずれかからなるが、有機非遊離潤滑剤は有機結合剤でその機能を代用することができることが多いので、通常は、有機結合剤と有機遊離潤滑剤の合計量が有機系潤滑剤の量となる。
次に、本発明の鉄基混合粉末の製造方法について説明する。
鉄基粉末に、本発明に従う片状粉末や結合剤、潤滑剤などの添加材、さらに合金用粉末を加えて、混合する。なお、上記した結合剤、潤滑剤などの添加材は、必ずしも全量を一度に添加する必要はなく、一部のみを添加して一次混合を行ったのち、残部を添加して二次混合することもできる。
また、混合手段としては、特に制限はなく、従来から公知の混合機いずれもが使用できる。例えば、従来から知られている撹拌翼型ミキサー(たとえばヘンシェルミキサー等)や容器回転型ミキサー(たとえばV型ミキサー、ダブルコーンミキサー等)が使用できる。加熱が必要な場合には、加熱が容易な、高速底部撹拌式混合機や傾斜回転バン型混合機、回転クワ型混合機および円錐遊星スクリュー型混合機等が、特に有利に適合する。
なお、本発明では、上記した添加材の他に、目的に応じて特性を改善するための添加材を添加できることはいうまでもない。例えば、焼結体の切削性を改善する目的で、MnSなどの切削性改善用粉末の添加が例示される。
鉄基粉末として、表1に示す水アトマイズ合金鋼粉を用いた。また、Cu粉および黒鉛粉の添加量は表1に示したとおりである。なお、有機結合剤としては、ステアリン酸モノアミドやエチレンビスステアリン酸アミドを使用した。
上記の鉄基粉末に、片状粉末と遊離潤滑剤を種々の割合で添加したのち、混合して、粉末冶金用鉄基混合粉末とした。なお、片状粉末としては、鱗片状シリカ(サンラブリー、AGCエスアイテック製)、花弁状ケイ酸カルシウム(フローライト、トクヤマ製)、板状アルミナ(セラフ、キンセイマテック製)および鱗片状酸化鉄(AM−200、チタン工業製)を用いた。また、遊離潤滑剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛およびエチレンビスステアリン酸アミドを使用した。
また、走査型電子顕微鏡で片状粉末を観察し、ランダムに選択した50個の粒子の各アスペクト比の平均値を、アスペクト比とした。
これらの鉄基混合粉末の配合割合を表1に示す。
次に、得られた各鉄基混合粉末を、金型に充填し、室温で圧力:690MPaで、粉末冶金工業会 JPMAM04-1992に準拠した引張試験片に加圧成形した。これらの成形体に対し、RXガス雰囲気中にて1130℃,20minの条件で焼結を施した。No.16〜19については、焼結後、焼入れ焼戻し処理(アルゴン中にて900℃,30min→60℃油焼入れ→焼戻し180℃,60min)を施した。
得られた焼結体について、密度および引張強さを測定した。なお、本発明で目標とする密度は7.20Mg/m3以上、引張強さは540MPa以上である。
測定結果を、表1に併記する。
Figure 0005617529
表1から明らかなように、本発明に従う鉄基混合粉末を用いて得られた焼結体はいずれも、密度:7.20Mg/m3以上、引張強さ:540MPa以上という、密度および強度が共に優れた焼結体を得る得ることができた。
これに対し、合金用粉末としてCu粉を含有しないNo.7、予合金成分としてのMn量が少ないNo.9、予合金成分としてのMo量が少ないNo.11、合金用粉末としての黒鉛粉量が少ないNo.16はいずれも、焼結体の密度は良好だったのであるが、強度の点で劣っていた。また、予合金成分としてのMo量が多すぎたNo.12、片状粉末の添加量が少なかったNo.18、片状粉末の添加量が多すぎたNo.19は、逆に強度は良好であったが、低密度の焼結体しか得られなった。さらに、合金用粉末としてCu粉が多すぎたNo.8、予合金成分としてのMn量が多すぎたNo.10、合金用粉末としての黒鉛粉量が多すぎたNo.17は、密度および強度とも低い焼結体しか得られなった。

Claims (3)

  1. 鉄基粉末を主成分とする粉末冶金用の鉄基混合粉末であって、該鉄基粉末が、該鉄基混合粉末全体に対する比率でMo:0.3〜1.0質量%およびMn:0.1〜0.25質量%を予合金として含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる水アトマイズ合金鋼粉であり、該鉄基混合粉末中に、該鉄基混合粉末全体に対する比率で、Cu粉を0.5〜4.0質量%と、黒鉛粉を0.3〜1.0質量%と、長径の平均粒子径が100μm以下、厚さが10μm以下で、かつアスペクト比(厚さに対する長径の比率)が5以上のシリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナおよび酸化鉄のうちから選んだ少なくとも一種からなる片状粉末を0.01〜5.0質量%の範囲で含有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉末。
  2. 前記鉄基混合粉末が、さらに有機結合剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用鉄基混合粉末。
  3. 前記鉄基混合粉末が、さらに遊離潤滑剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉末。
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