JP2014025109A - 粉末冶金用混合粉 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結炉の炉内環境に悪影響を及ぼすことなく、成形体の焼結ができ、さらに、優れた被削性の焼結体を得ることが可能な、粉末冶金用混合粉を提供する。
【解決手段】粉末冶金用混合粉中の切削性改善用粉末が、酸化マグネシウム(MgO)粉末と、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末とからなり、かつ該切削性改善用粉末の配合比率を、鉄基粉末、合金用粉末および該切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲とする。
【選択図】なし
【解決手段】粉末冶金用混合粉中の切削性改善用粉末が、酸化マグネシウム(MgO)粉末と、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末とからなり、かつ該切削性改善用粉末の配合比率を、鉄基粉末、合金用粉末および該切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車焼結部品などに用いて好適な、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末と潤滑剤とを混合した粉末冶金用混合粉および該混合物を成形、焼結して得られる鉄基粉末製焼結体に関し、とくに、鉄基粉末製焼結体の切削性改善を図るものである。
粉末冶金技術の進歩によって、高寸法精度でかつ複雑な形状をした部品を、ニアネット形状に製造することができるようになり、粉末冶金技術を利用した製品が各種分野で利用されている。ここに、粉末冶金技術は、粉末を所望形状の金型に充填した後、焼結を行うので、その形状の自由度が高いことを特徴にしている。そのため、形状が複雑な歯車等の機械部品に適用する事例が多い。
例えば、鉄系粉末冶金の分野では、鉄基粉末(金属粉末)に、銅粉、黒鉛粉などの合金用粉末と、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の潤滑剤とを混合した鉄基混合粉を、所定形状の金型に充填したのち加圧成形して成形体とし、ついで、焼結処理を施すことで焼結部品を得ている。このようにして得られた焼結部品は、一般的に寸法精度が良いとされるが、さらに厳しい寸法精度が要求される焼結部品を製造する場合には、焼結した後に、切削加工を施す必要がある。
しかしながら、上記した焼結部品は、空孔の含有比率が高く、溶解法により得られる金属材料にくらべて、切削抵抗が高い。そのため、従来から、焼結部品の切削性を向上させる目的で、鉄基混合粉に、Pb、SeおよびTe等を、粉末で添加したり、鉄粉や鉄基粉末に合金化して添加したりしてきた。
ところが、Pbは、融点が330℃と低いために、焼結過程で溶融してしまうので、鉄中に固溶せず、鉄基中に均一分散させることが難しいという問題があった。また、SeやTeは、焼結体を脆化させるために、焼結体の機械的特性の劣化が激しいという問題があった。そこで、これらの粉末以外にも、切削性改善のために種々の粉末を添加することが提案されている。
加えて、前記した空孔は、熱伝導性が悪いために、加工時の摩擦発熱が蓄積されて、工具の表面温度が上がりやすく、切削工具が著しく損耗するため、切削加工費が増大し、焼結部品の製造コストが上昇するという問題がある。
これらの問題に対し、例えば、特許文献1には、鉄粉に、10μm以下の微細な硫化マンガン粉末を、重量%で0.05〜5%混合した焼結物体製造用鉄粉混合物が記載されている。この特許文献1に記載された焼結物体製造用鉄粉混合物によれば、大きな寸法変化及び強度劣化を伴うことなく、焼結材の被削性(切削性)を改善できるとしている。
また、特許文献2には、鉄粉を主体とし、アノールサイト相および/またはゲーレナイト相を有する、平均粒径:50μm以下のCaO−Al2O3−SiO2系複合酸化物の粉末(セラミックス粉末)を、0.02〜0.3重量%含有する粉末冶金用鉄系混合粉末が記載されている。この特許文献2に記載された粉末冶金用鉄系混合粉末を用いると、加工面に露出したセラミックス粉末が、切削時に工具表面に付着して、工具保護膜(いわゆるベラーク層)を形成し、工具の材質劣化を防止して、焼結材の切削性を改善することができるとされている。
さらに、特許文献3には、鉄基粉末と、合金用粉末とに加え、切削性改善用粉末として、硫化マンガン粉とリン酸カルシウム粉および/またはヒドロキシアパタイト粉とを加え、さらに潤滑剤を混合してなる鉄基混合粉が記載されている。ここで、硫化マンガンは、切屑の微細化に対して有効に作用し、一方、リン酸カルシウム粉およびヒドロキシアパタイト粉は、切削時に、工具の表面に付着して工具保護膜を形成し、工具表面の変質を防止し又は抑制するとしている。また、特許文献3に記載された技術によれば、焼結体の機械的特性の劣化を伴うこともなく、切削性を向上できるとされている。
しかしながら、特許文献1および3に記載された技術では、硫化マンガン(MnS)粉を含むため、Sが焼結中に揮発して、焼結炉内の汚染や、焼結体外観の悪化の原因となるとともに、焼結体中に残留したSあるいはMnSは、発錆を促進し、焼結部品の耐食性を低下させるという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術では、粉体特性、焼結体特性の低下を防止するために、セラミックス粉末を不純物が少なく、かつ粒度を調整した粉末とする必要があり、材料コストが高騰するという問題があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、焼結炉の炉内環境に悪影響を及ぼすことなく、成形体の焼結ができ、さらに、優れた被削性の焼結体を得ることが可能な、粉末冶金用混合粉を提供することを目的とする。
発明者らは、上記した目的を達成するために、焼結体の切削性に及ぼす各種要因のうち、とくに、添加材の与える影響について鋭意考究した。その結果、混合粉中に、鉄基粉末、合金用粉末および潤滑剤と共に加える切削性改善用粉末(添加材)として、MgO粉末にさらに、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末を同時に混合することにより、アルカリガラスまたはアルカリ炭酸塩がフラックスとして作用して、焼結体中の物質拡散が促進されるだけでなく、焼結処理後の焼結体中に、低融点の複合酸化物を形成することで、焼結体の切削時の工具磨耗を抑制して、工具寿命が改善されることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)鉄基粉末と、合金用粉末と、さらに切削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用混合粉であって、
上記切削性改善用粉末が、酸化マグネシウム(MgO)粉末と、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末とからなり、かつ該切削性改善用粉末の配合比率を、上記鉄基粉末、上記合金用粉末および該切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲とすることを特徴とする粉末冶金用混合粉。
(1)鉄基粉末と、合金用粉末と、さらに切削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用混合粉であって、
上記切削性改善用粉末が、酸化マグネシウム(MgO)粉末と、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末とからなり、かつ該切削性改善用粉末の配合比率を、上記鉄基粉末、上記合金用粉末および該切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲とすることを特徴とする粉末冶金用混合粉。
(2)(1)において、前記アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末の配合比率を、前記切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、10〜80%の範囲とすることを特徴とする粉末冶金用混合粉。
(3)(1)または(2)において、前記アルカリガラス粉末が、ソーダガラス粉末、カリウムガラス粉末およびリチウムガラス粉末のうちから選んだ1種または2種以上であることを特徴とする粉末冶金用混合粉。
(4)(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記アルカリ炭酸塩粉末が、炭酸ナトリウム粉末、炭酸カリウム粉末および炭酸リチウム粉末のうちから選んだ1種または2種以上であることを特徴とする粉末冶金用混合粉。
本発明によれば、切削性に優れた焼結体を安価に製造できるだけでなく、金属焼結部品の製造コストを顕著に低減できるので、産業上、極めて有効な効果を得ることができる。
また、本発明によれば、圧粉密度の低下や、圧粉体の抜出力の増大を招くことなく成形することができ、さらに、焼結炉の炉内環境に悪影響を及ぼすこともなく焼結することができるという効果もある。
また、本発明によれば、圧粉密度の低下や、圧粉体の抜出力の増大を招くことなく成形することができ、さらに、焼結炉の炉内環境に悪影響を及ぼすこともなく焼結することができるという効果もある。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明の粉末冶金用混合粉について説明する。
本発明の粉末冶金用混合粉は、鉄基粉末と合金用粉末に、さらに切削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる混合粉である。
まず、本発明の粉末冶金用混合粉について説明する。
本発明の粉末冶金用混合粉は、鉄基粉末と合金用粉末に、さらに切削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる混合粉である。
本発明では、鉄基粉末として、アトマイズ鉄粉および還元鉄粉などの純鉄粉、合金元素を予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、あるいは鉄粉に合金元素が部分拡散し合金化された部分拡散合金化鋼粉、あるいは予合金化鋼粉(完全合金化鋼粉)にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉などの鉄基粉末が、いずれも適用できる。
また、合金用粉末としては、黒鉛粉末や、Cu(銅粉末)粉、Mo粉およびNi粉などの非鉄金属粉末、亜酸化銅粉末などが例示され、所望の焼結体特性に応じて選択して混合する。これらの合金用粉末を、鉄基粉末に混合させることによって焼結体の強度を上昇させることができ、もって、所望の焼結部品強度を確保することができる。なお、合金用粉末の配合量は、所望の焼結体強度に応じて、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.1〜10%程度とすることが好ましい。合金用粉末の配合量が、0.1質量%未満では、所望の焼結体強度を確保できなくなるおそれがある。一方、合金用粉末の配合量が、10質量%を超えると、所期した焼結体の寸法精度が得られないおそれがあるからである。
本発明は、切削性改善用粉末として、MgO粉末に加えてさらに、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末を用いることに特徴がある。ここに、アルカリガラスやアルカリ炭酸塩は、焼結時に、単独であるいは鉄基粉末表面の酸化鉄と反応して、低融点のフラックスを形成すると共に、そのフラックス中に、混合粉中に含まれるMgOが溶融することで、低融点の複合酸化物が形成される。その結果、焼結体の切削時の工具磨耗が抑制され、工具寿命が改善されるのである。
なお、アルカリガラス粉末としては、ソーダガラス粉末、カリウムガラス粉末、リチウムガラス粉末等が例示できる。そして、それら粉末のうちから選んだ1種または、2種以上を配合することができ、粉末それぞれを別々に配合しても混合したものを配合しても問題はない。
また、アルカリ炭酸塩粉末としては、炭酸ナトリウム粉末、炭酸カリウム粉末、炭酸リチウム粉末のいずれか、あるいはそれら粉末のうちから選んだ2種以上の混合物が例示できる。なお、それら粉末のうちから選んだ2種以上を別々に配合しても問題はない。
さらに、アルカリガラス粉末とアルカリ炭酸塩粉末は、任意に組合せて用いることができる。
さらに、アルカリガラス粉末とアルカリ炭酸塩粉末は、任意に組合せて用いることができる。
ここに、本発明では、切削性改善用粉末の均一分散性の観点から、その平均粒径は0.01〜20μm程度の範囲とすることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザ回折法を利用して求めたものを使用するものとする。
アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末の配合量は、切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、10〜80%の範囲とすることが好ましい。配合量が10質量%未満では、焼結時に十分なフラックスが形成されず、一方、80質量%を超える配合量では、焼結時に十分な低融点の複合酸化物が形成されず、共に所望の切削性が期待できないからである。
また、本発明に従う粉末冶金用混合粉における切削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%とする必要がある。というのは、配合量が、0.01質量%未満では、切削性改善効果が不十分となり、一方、1.0質量%を超えて配合すると、圧粉体密度が低下するだけでなく、さらにこの成形体を焼結して得た焼結体の機械的強度が低下してしまうからである。
そのため、粉末冶金用混合粉における切削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲に限定する。
上記した粉末を切削性改善用粉末として配合した粉末冶金用混合粉を成形して、焼結すると、焼結体中に低融点の複合酸化物が効果的に形成される。そのため、切削時に、工具表面に対し複合酸化物による保護膜が形成されて工具寿命が向上するのである。
本発明の粉末冶金用混合粉には、上記した鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末に加えて、適正量の潤滑剤を配合する。配合する潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の金属石鹸、あるいはオレイン酸などのカルボン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド、エチレンビスステアロアミドなどの、アミドワックスが好ましい。
潤滑剤の配合量は、本発明ではとくに限定されないが、金属粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計100質量部に対し、0.1〜1.0質量部とすることが好ましい。潤滑剤の配合量が、0.1質量部未満では、金型との摩擦が増加して抜き出し力が増大し、金型寿命が低下するおそれがある。一方、1.0質量部を超えて多量となると、成形密度が低下して、焼結体密度が低くなるおそれがあるからである。
つぎに、本発明の粉末冶金用混合粉の好ましい製造方法について説明する。
鉄基粉末に、合金用粉末、および、前記した種類、配合量の粉末からなる切削性改善用粉末、さらに潤滑剤を、それぞれ所定量配合し、通常公知の粉末冶金用混合機を用いて、一回に、あるいは二回以上に分けて混合し、混合粉(鉄基混合粉)とすることが望ましい。
鉄基粉末に、合金用粉末、および、前記した種類、配合量の粉末からなる切削性改善用粉末、さらに潤滑剤を、それぞれ所定量配合し、通常公知の粉末冶金用混合機を用いて、一回に、あるいは二回以上に分けて混合し、混合粉(鉄基混合粉)とすることが望ましい。
上記した切削性改善用粉末は、必ずしも全量を一度に混合する必要はなく、一部のみを配合して混合(一次混合)を行ったのち、残部を配合して混合(二次混合)することもできる。なお、潤滑剤も、二回に分けて配合してもよい。
また、鉄基粉末の一部または全部を、合金用粉末および/または切削性改善用粉末の一部または全部が結合材を用いて表面に固着している偏析防止処理が施された鉄基粉末に替えても良い。なお、偏析防止処理としては、例えば、特許第3004800号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明では、鉄基粉末に、合金用粉末および切削性改善用粉末と、潤滑剤とを所定量配合した粉末を、該潤滑剤の融点中、最低値以上の温度にまで加熱することで、上記粉末中、少なくとも1種の潤滑剤を溶融させてから一次混合し、ついで所定の温度以下に冷却して潤滑剤を固化させ、さらに二次混合材を添加してから二次混合をすることができる。
また、混合手段としては、とくに制限はなく、前述したように、従来公知の混合機いずれもが使用できる。なお、加熱が容易な、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機および円錐遊星スクリュー形混合機などは特に有利に適合する。
また、混合手段としては、とくに制限はなく、前述したように、従来公知の混合機いずれもが使用できる。なお、加熱が容易な、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機および円錐遊星スクリュー形混合機などは特に有利に適合する。
続いて、本発明に従う粉末冶金用混合粉を用いた、焼結体の好ましい製造方法について説明する。
まず、上記した好適手順で製造された粉末冶金用混合粉を、金型に充填して圧縮成形し、成形体とする。その際の成形方法は、常法であればいずれも好適に使用することができる。
まず、上記した好適手順で製造された粉末冶金用混合粉を、金型に充填して圧縮成形し、成形体とする。その際の成形方法は、常法であればいずれも好適に使用することができる。
また、本発明に従う粉末冶金用混合粉を用いることにより、成形圧力を294MPa以上の高成形圧とすることができるだけでなく、常温において成形することができる。なお、安定した成形性を確保するためには、混合粉や金型を適正な温度に加熱したり、金型に潤滑剤を塗布したりすることが好ましい。
さらに、成形を加熱雰囲気中で行う場合には、混合粉や金型の温度を150℃未満とすることが好ましい。というのは、本発明の粉末冶金用混合粉は、圧縮性に富んでいるため、150℃未満の温度でも優れた成形性を示すうえ、150℃以上になると、混合粉の酸化による劣化が懸念されるためである。
得られた成形体は、その後焼結処理を施され、焼結体となる。焼結処理の温度は、金属粉末の融点の約70%の温度で行うことが好ましい。具体的には、鉄基粉末の場合、1000℃以上好ましくは1300℃以下とする。焼結処理の温度が1000℃未満では、所望の密度の焼結体とすることが難しくなる。一方、焼結処理の温度が1300℃を超えて高温となると、異常粒成長が起こり、焼結体強度が低下するからである。
また、焼結処理の雰囲気は、窒素あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気、あるいは、これに水素を混合した不活性ガス−水素ガス混合雰囲気、あるいは、アンモニア分解ガス、RXガス、天然ガスなどの還元雰囲気とすることが好ましい。
焼結処理後、さらに、必要に応じて、ガス浸炭熱処理や浸炭窒化処理等の熱処理を施し、所望の特性を具備された製品(焼結部品等)とする。なお、切削加工等の加工を適宜施し、所定寸法の製品とすることは言うまでもない。
以下、実施例に基づき、さらに本発明を説明する。
以下、実施例に基づき、さらに本発明を説明する。
鉄基粉末として、表1に示す鉄基粉末(いずれも平均粒径:約80μm)を使用した。使用した鉄基粉末は、アトマイズ純鉄粉(A)、還元純鉄粉(B)、鉄粉表面に合金元素としてCuを部分拡散させ合金化した部分拡散合金化鋼粉(C)、鉄粉表面に合金元素としてNi、Cu、Moを部分拡散させ合金化した部分拡散合金化鋼粉(D)、合金元素としてNi、Moを予合金化した予合金化鋼粉(完全合金化鋼粉)(E)、合金元素としてMoを予合金化した予合金化鋼粉(完全合金化鋼粉)(F)および(G)と、合金元素として、Moを予合金化した完全合金化鋼粉にさらにMoを部分拡散合金化した鋼粉(ハイブリッド型合金鋼粉)(H)とした。
上記した鉄基粉末に、合金用粉末と、切削性改善用粉末と、潤滑剤とを、表2に示す種類および配合量でそれぞれ配合し、高速底部撹拌式混合機を利用して、一次混合した。なお、一次混合では、混合しながら140℃に加熱した後、60℃以下に冷却した。また、合金用粉末として配合した天然黒鉛粉は平均粒径:5μmの粉末とし、銅粉は平均粒径:20μmの粉末とした。
一次混合したのち、さらに、表2に示した二次混合用の種類および配合量の切削性改善用粉末並びに潤滑剤からなる二次混合材を配合し、混合機の回転数を1000rpmとし、1分間撹拌する二次混合を行なった。
二次混合終了後、混合機から混合粉を排出した。なお、切削性改善用粉末は、一次混合と二次混合時の二回に分けて配合した。また、本実施例中、切削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で表示し、潤滑剤の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量100質量部に対する質量部で表示した。
これにより、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末が、偏析を生じることなく、均一に混合された混合粉が得られた。
一方、比較例として、表2に示した種類および配合量で、鉄基粉末、合金用粉末および潤滑剤を配合し、V型容器回転式混合機を用いて、常温で混合し、混合粉を得た。
一次混合したのち、さらに、表2に示した二次混合用の種類および配合量の切削性改善用粉末並びに潤滑剤からなる二次混合材を配合し、混合機の回転数を1000rpmとし、1分間撹拌する二次混合を行なった。
二次混合終了後、混合機から混合粉を排出した。なお、切削性改善用粉末は、一次混合と二次混合時の二回に分けて配合した。また、本実施例中、切削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で表示し、潤滑剤の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末の合計量100質量部に対する質量部で表示した。
これにより、鉄基粉末、合金用粉末および切削性改善用粉末が、偏析を生じることなく、均一に混合された混合粉が得られた。
一方、比較例として、表2に示した種類および配合量で、鉄基粉末、合金用粉末および潤滑剤を配合し、V型容器回転式混合機を用いて、常温で混合し、混合粉を得た。
得られた混合粉を用いて、それぞれ切削試験用の試験片(リング状:外径60mm×内径20mm×長さ20mm)を加圧力:590MPaで圧粉成形し、成形体を得た。ついで、得られた成形体に、RXガス雰囲気中で、1130℃、20分の焼結処理を施して、焼結体を得た。
得られた焼結体を3個重ね、その側面側について、旋盤を利用して切削した。その際の切削条件は、超硬の切削工具を用いて、切削速度:200m/min、送り量:0.1mm/回、切込み深さ:0.5mm、切削距離:1000mとし、切削後、切削工具の逃げ面の摩耗幅を測定した。一般に、切削工具は、その逃げ面の摩耗幅が0.2mmを超えると工具寿命に達したとみなされる。そこで、本実施例では、逃げ面磨耗幅が0.2mm未満のものを合格、0.2mm以上のものを不合格とした。
得られた結果を、表2に併せて示す。
得られた焼結体を3個重ね、その側面側について、旋盤を利用して切削した。その際の切削条件は、超硬の切削工具を用いて、切削速度:200m/min、送り量:0.1mm/回、切込み深さ:0.5mm、切削距離:1000mとし、切削後、切削工具の逃げ面の摩耗幅を測定した。一般に、切削工具は、その逃げ面の摩耗幅が0.2mmを超えると工具寿命に達したとみなされる。そこで、本実施例では、逃げ面磨耗幅が0.2mm未満のものを合格、0.2mm以上のものを不合格とした。
得られた結果を、表2に併せて示す。
表2に示したとおり、本発明に従う発明例はいずれも、切削工具の逃げ面摩耗幅が0.2mm未満となっており、切削性に優れた焼結体となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、そのいずれの焼結体においても切削性が低下していた。
Claims (4)
- 鉄基粉末と、合金用粉末と、さらに切削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用混合粉であって、
上記切削性改善用粉末が、酸化マグネシウム(MgO)粉末と、アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末とからなり、かつ該切削性改善用粉末の配合比率を、上記鉄基粉末、上記合金用粉末および該切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.01〜1.0%の範囲とすることを特徴とする粉末冶金用混合粉。 - 前記アルカリガラス粉末および/またはアルカリ炭酸塩粉末の配合比率を、前記切削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、10〜80%の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用混合粉。
- 前記アルカリガラス粉末が、ソーダガラス粉末、カリウムガラス粉末およびリチウムガラス粉末のうちから選んだ1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用混合粉。
- 前記アルカリ炭酸塩粉末が、炭酸ナトリウム粉末、炭酸カリウム粉末および炭酸リチウム粉末のうちから選んだ1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末冶金用混合粉。
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