まず、本願の塗布ユニットを備えたパターン修正装置の修正対象について説明する。ここでは、修正対象として液晶パネルのTFTアレイ基板について説明するが、修正対象はこれに限定されるものではない。
図1(a)は、修正対象であるTFTアレイ基板1の要部を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のIB−IB線断面図である。図1(a)(b)において、TFTアレイ基板1はガラス基板2を備える。ガラス基板2の表面に、図中の左右方向に延在するゲート線3が形成されるとともに、ゲート線3の所定位置に図中の下方向に突出するゲート電極3aが形成される。ゲート線3およびゲート電極3aの表面はゲート絶縁膜4で被覆され、ゲート絶縁膜4およびガラス基板2の表面はゲート絶縁膜5で被覆される。
ゲート絶縁膜5の表面に、複数の画素電極6が行列状に形成される。図中の上下方向に隣接する2つの画素電極6の間の領域にゲート線3が配置されている。ゲート電極3aの上方にゲート絶縁膜4,5を介して半導体膜7が形成される。図中の左右方向に隣接する2つの画素電極6の間の領域に図中の上下方向に延在するドレイン線(シグナル線)8が形成されるとともに、ドレイン線8の所定位置に図中の左方向に突出するドレイン電極8aが形成される。このドレイン電極8aの端部は、半導体膜7の一方端部の表面まで延びている。また、半導体膜7の他方端部の表面から画素電極6の一端部の表面にかけてソース電極9が形成される。
このようにして、ゲート電極3aとドレイン電極8aとソース電極9と半導体膜7とを含むTFT10が形成される。全体が保護膜11および配向膜(図示せず)で被覆されて、TFTアレイ基板1が完成する。TFTアレイ基板1と液晶とカラーフィルタとで液晶パネルが構成される。
ここで図1(a)に示すように、ドレイン線8にオープン欠陥部8bが存在するものとする。保護膜11まで形成した後にオープン欠陥部8bを修正する場合、保護膜11の一部をレーザ加工により除去してオープン欠陥部8bを露出させ、修正インク(導電性インク)12を塗布し、焼成してドレイン線8の導通を確保した後で、修正個所の上に保護膜11を再形成する必要がある。そのため、修正の手間を簡略化できるように、保護膜11を形成する前の工程でオープン欠陥部8bの修正を行なう方が好ましい。たとえば、ドレイン線8の形成が終了した時点では保護膜11は無く、この時点でオープン欠陥部8bを修正する。
このように、直線形(I形)のオープン欠陥部8bを修正する場合には、図2に示すように、欠陥部8bの両側にあるドレイン線8に重なるように修正インク12が塗布される。オープン欠陥部8bに修正インク12を塗布し、焼成して修正パターン12aを得る。ドレイン線8の幅は微細化する傾向にあり、最近では5μm以下のものが製作されている。修正パターン12aは画素電極6の領域にはみ出すことなく、ドレイン線8の配線幅と略同じ程度に形成されるが、はみ出しが大きい場合には、はみ出し部をレーザ(図示せず)で除去する処理を追加してもよい。
図3は、オープン欠陥部8bに修正インク12を塗布し、その後で焼成することが可能なパターン修正装置13の全体構成を示す斜視図である。図3において、このパターン修正装置13では、定盤14の中央部にチャック15が設けられ、チャック15には修正対象の基板1が固定される。
また、定盤14には、ガントリ型のXYステージ16が搭載されている。XYステージ16は、X軸ステージ16aと門型のY軸ステージ16bとを含む。Y軸ステージ16bは、チャック15を跨ぐように設けられ、図中のY軸方向に移動する。X軸ステージ16aは、Y軸ステージ16bに搭載され、図中のX方向に移動する。
X軸ステージ16aには、上下方向に移動可能なZ軸ステージ17が搭載される。Z軸ステージ17には、観察光学系18、塗布ユニット19、レーザ22、および焼成装置23が搭載されている。X軸ステージ16a、Y軸ステージ16b、およびZ軸ステージ17を制御することにより、観察光学系18、レーザ22、塗布ユニット19、および焼成装置23の各々を基板1表面の所望の位置の上方に移動させることが可能となっている。
観察光学系18は、対物レンズ24を含み、基板1上の欠陥部8bなどを観察するために用いられる。レーザ22は、観察光学系18を介して基板1上の欠陥にレーザ光を照射し、レーザアブレーションによってその欠陥形状を整形したり、欠陥およびその周囲に余分に付着した修正インク12を除去するために用いられる。塗布ユニット19は、修正インク12を塗布する塗布部20と、塗布部20によって捨て打ちされた修正インク12を受ける捨て打ち部21とを含む。この例では、塗布ユニット19は上下方向に進退可能なZ軸ステージ25を介してZ軸ステージ17に固定されている。塗布ユニット19は、Z軸ステージ17に直接固定してあってもよいし、Z軸ステージ25以外のものに固定されていてもよい。また、焼成装置23は、基板1に塗布された修正インク12を焼成するために使用される。
図4は、塗布部20の構成を示す断面図である。図4において、この塗布部20は円筒部材26を含む。円筒部材26の下端の開口部は、円形のフィルム27で閉蓋されている。円筒部材26およびフィルム27は、第1の容器を構成する。フィルム27に一定の張力が与えられた状態で、フィルム27の外周部が円筒部材26の下端面に接着あるいは機械的に固着されている。フィルム27は、たとえばポリイミドフィルムであり、その厚さは、たとえば10〜25μm程度である。
フィルム27の略中央には、貫通孔27aが形成されている。貫通孔27aは、修正対象の基板1上に形成されたドレイン線8のオープン欠陥部8bに応じた形状(たとえば直線状)に加工されている。フィルム27がポリイミドフィルムの場合、貫通孔27aは、YAG第3高調波レーザやYAG第4高調波レーザ、あるいはエキシマレーザなどのパルスレーザを用いたレーザアブレーションにより加工される。フィルム27の表面にレーザ光を照射して貫通孔27aを形成すると、フィルム27の裏面側の貫通孔27aの縁にバリが発生する。このバリが修正パターンの形状に悪影響を及ぼすことを防止するため、バリの無いフィルム27の表面側(レーザ照射面)を塗布部20の外側(下側)に向けることが好ましい。
また、レーザアブレーションによる貫通孔27aの形成が終了した時点では、フィルム27の表面(レーザ照射面)には、レーザアブレーションの際に発生したゴミが飛散している。このようなゴミを除去するため、貫通孔27aを中心として、フィルム27の広い範囲に低パワーのレーザ光を照射してもよい。このとき、YAG第2高調波レーザに切り替えて、低パワーのレーザ光で貫通孔27aを中心とする広い範囲に照射すれば、ゴミのみを除去することも可能であり、レーザ照射によって新たにゴミが発生することを防止することができる。レーザとしては、貫通孔27aを開けるためのレーザ光と、ゴミを除去するためのレーザ光の2種類のレーザ光のうちのいずれかのレーザ光を選択的に出射できるものを使用するとよい。または、レーザ加工が完了したフィルム27は、円筒部材26を含めて洗浄してから乾燥するようにしてもよい。
また、円筒部材26の内側の中央には、案内孔26aが形成されており、案内孔26aの開口部とフィルム27の上面とは隙間を開けて略平行に対峙している。案内孔26aには、円筒状のインク容器28が挿入されており、インク容器28は、案内孔26aおよびフィルム27によって上下方向に移動可能に支持されている。インク容器28の下端の開口部28aの縁は、フィルム27の貫通孔27aを囲むようにしてフィルム27の上面に当接している。インク容器28内には予め修正インク12が充填され、第2の容器を構成する。これにより、修正インク12は、貫通孔27aを含む限定した範囲にだけに供給される。
修正インク12としては、修正対象が配線の場合には、金や銀などの金属ナノインクを用いる。たとえば、1Pa・s〜20Pa・s程度の粘度からなる金ナノインクを用いることも可能である。なお、インク容器28の開口部28aとフィルム27とが当接する部分は接着により固着するが、修正インク12として高粘度のインクを用いる場合には接着を省略しても構わない。この場合、修正インク12はインク容器28の端面とフィルム27との隙間に保持されるため、修正インク12がインク容器28から漏れる量は抑制される。また、修正インク12はフィルム27の表面上に漏れるだけなので塗布に問題は生じない。
円筒部材26の上側の開口部は、円板状の蓋29により閉蓋されている。蓋29の中央部には気体を供給するための気体供給孔(ノズル)29aが形成され、気体供給孔29aの周りには1または2以上の通気孔29bが形成されている。気体供給孔29aの開口部は、インク容器28の開口部に所定の隙間を開けて対峙している。その隙間は、たとえば1mm〜2mm程度に設定される。したがって、蓋29がストッパとなり、インク容器28が上方に移動しても、案内孔26aから抜け出すことはない。インク容器28上方の開口部近傍に気体通気性のある栓28bを内挿してあってもよい。
蓋29の気体供給孔29aには継手30の出口が接続され、継手30の入口は配管(図示せず)を介して気体噴射装置31に接続されている。気体噴射装置31は、気体の圧力を調整するレギュレータ(R)32と、気体供給孔29aへの気体の流入をオン/オフ制御する電磁バルブ(V)33と、電磁バルブ33の開放時間を制御するタイマ(T)34とを含む。レギュレータ32には気体供給源(G)35が接続される。気体としては、たとえば窒素ガスが用いられるが、使用する修正インク12の劣化がなければ圧縮空気でもよい。なお、タイマ34を設けずに、制御用コンピュータやPLC(Programmable Logic Controller)のタイマ機能によって電磁バルブ33を制御してもよい。
図4〜図6を用いてオープン欠陥部を修正する工程を説明する。図4において、塗布部20と基板1が位置決め装置(図示せず)によって相対移動され、基板1上のドレイン線8に発生したオープン欠陥部8bの上方に塗布部20の貫通孔27aが位置決めされた状態で、塗布部20の底のフィルム27と基板1の表面とが所定の隙間W1を開けて対峙する。隙間W1は、フィルム27が変形して基板1およびドレイン線8に接触可能な範囲、たとえば10μm〜200μm程度に設定される。
次に、電磁バルブ33をタイマ34で設定した時間だけ開放する。これにより図5に示すように、気体供給孔29aの先端からインク容器28の開口部を含む範囲に気体が噴射され、気体の圧力でインク容器28が押されて下方に移動し、フィルム27が変形してフィルム27の中央部が下方に突出し、貫通孔27aを含む範囲のフィルム27の下面が基板1に接触する。また、気体供給孔29aから噴射された気体により、インク容器28に充填された修正インク12を貫通孔27aから押し出す。このとき、修正インク12が貫通孔27aを介してオープン欠陥部8bに塗布される。円筒部材26内に噴射された気体は通気孔29bを介して外部に排出される。
気体の噴射を停止すると、図6に示すように、フィルム27の復元力により、貫通孔27aを含む範囲のフィルム27が基板1から離れ、オープン欠陥部8bには貫通孔27aと略同じ形状の修正パターン12aが形成される。なお、気体の圧力と噴射時間は、予め行なわれた実験結果に基づいて最適値に調整されている。気体の噴射時間は、たとえば1秒以下である。また、気体の圧力は、たとえば、0.1〜0.3MPa程度に設定される。
このように、インク容器28の開口部を含む範囲に気体を噴射するので、貫通孔27a内の修正インク12が気体によって貫通孔27aの下側(基板1側)に押し出される。このため、修正パターン12aの膜厚をより厚くすることが可能となる。
その後、必要に応じて焼成装置23を用いて修正パターン12aを焼成して硬化した導電性の修正パターンを得る。焼成装置23としては、YAG第2連続発振レーザなどを用いる。修正パターン12aを一括照射して焼成してもよいし、レーザ光を絞って修正パターン12a上を走査させながら焼成してもよい。
この塗布形態では、気体を噴射してフィルム27を基板1(オープン欠陥部8bを含む基板1の表面)に接触させるので、均一にフィルム27を押すことができる。また、基板1の表面に凹凸があっても、それに倣ってフィルム27が接触するので、凹凸の影響を受けることなくオープン欠陥部8bに修正インク12を塗布することができる。また、突起部に集中して荷重が加わることも無いので、基板1が変形したり損傷することもない。また、インクジェットやディスペンサによる塗布方法に比べて高粘度の修正インク12を用いることができるので、修正膜厚を厚くして修正部の抵抗値をより低くすることができる。
同じ塗布部20を用いて繰り返し欠陥修正を行なうことが可能であり、欠陥修正のタクトタイムの短縮化を図ることができる。塗布部20内の修正インク12の液量が少なくなった場合は、修正インク12を補充するようにしてもよいし、塗布部20を交換してもよい。なお、塗布部20を用いた修正が長時間実施されず待機時間が長くなると、待機直後の塗布時に修正パターン12aが擦れたり、あるいは修正インク12の溶媒成分が多く塗布される場合が想定される。このような場合には、通常、基板1の外側に設けた捨て打ちエリア(図示せず)に移動して捨て打ちを行なうが、基板1の大型化に伴い、移動時間が長くなって修正タクトが長くなる傾向がある。そのため、タクト時間短縮のため塗布部20の近傍に捨て打ち部21を備えるのが望ましい。塗布部20近傍に捨て打ち部21を備えれば、待機持に修正インク12が漏れてボタ落ちした場合であっても捨て打ち部21が受けるので、基板1の汚染を予防することが可能となる。
図7から図9は、塗布部20および捨て打ち部21を含む塗布ユニット19の構成を示す図であり、特に、図7は塗布ユニット19の正面図であり、図8は図7のVIII−VIII線断面図であり、図9は図8のA矢視図である。図7から図9は、修正インク12を塗布する塗布部20の直下に捨て打ち板36が隙間を開けて対峙しており、捨て打ち動作が可能な状態を示している。
また、図10から図12は、捨て打ち板36が横に退避すると共に塗布部20が下降して、塗布部20と基板1とが隙間W2を持って対峙した状態を示す。この状態で欠陥部8bに対して修正インク12の塗布が可能となる。図10は塗布ユニット19の正面図であり、図11は図10のXI−XI線断面図であり、図12は図11のB矢視図である。
まず、図7から図9を用いて塗布ユニット19の構成について説明する。塗布ユニット19全体を支持するベース板37は垂直に設けられており、ベース板37の表面に直動案内軸受38のスライド部38aが固定され、ベース板37の裏面に直動案内軸受39のスライド部39aが固定されている。直動案内軸受38のスライド部38aは垂直に配置され、直動案内軸受39のスライド部39aは水平に配置されている。
直動案内軸受38のレール部38bには、断面L字型のZテーブル40が固定される。したがって、Zテーブル40は、直動案内軸受38によってベース板37に対して上下方向に進退可能に支持される。また、Zテーブル40の突出した端部にはローラ41が固定され、その一側面には複数の磁石42が埋設されている。直動案内軸受39のレール部39bには、Xテーブル43が固定される。したがって、Xテーブル43は、直動案内軸受39によってベース板37に対して水平方向に進退可能に支持される。
塗布部20は、固定台44に保持される。固定台44の一端面には複数の磁石45が埋設されている。固定台44は、磁石42と磁石45の吸引力によりZテーブル40に装着される。磁石42と磁石45とは中心をずらして配置してあるため、固定台44をZテーブル40に装着する際には固定台44は下方に吸引されて、その端面44aがZテーブル40の上面40aに押し付けられて位置決めされる。
Xテーブル43の下端にはモータ46が固定され、モータ46の回転軸は円板状の捨て打ち板36の表面の中央に固定される。モータ46によって捨て打ち板36を所定角度ずつ回転させることにより、修正インク12の捨て打ち位置を少しずつ変えることが可能となる。塗布部20の直下に一定の隙間W1を開けて捨て打ち板36が対峙しており、捨て打ちの際にはフィルム27の一部が捨て打ち板36に接触して捨て打ちが行なわれる。捨て打ちされた修正インク12がフィルム27に接触してフィルム27を汚染しないように、予め捨て打ち前に捨て打ち板36を所定角度だけ回転させておく。
Zテーブル40に固定されたローラ41は、Xテーブル43の上端部に当接している。Xテーブル43の上端部には、水平部43aと傾斜部43bを持つ倣い面(カム面)が形成されている。このため、塗布部20の垂直方向の高さ位置は、ローラ41とXテーブル43との当接位置で決定される。Xテーブル43を水平方向に移動させて、ローラ41とXテーブル43との当接位置を変えることで、捨て打ち板36の退避と塗布部20の下降を同時に行なうことが可能となる。Xテーブル43を移動させる駆動装置47(たとえばエアシリンダや直動ソレノイドアクチュエータ)はベース板37に固定されており、その出力軸はXテーブル43に連結されている。駆動装置47の出力軸は水平方向に伸縮する。
図7の状態で塗布部20が修正インク12の捨て打ちを行なうと、修正インク12が捨て打ち板36上に付着する。捨て打ち終了後、モータ46の回転軸を所定角度だけ回転させて捨て打ち板36を所定角度だけ回転させて、次回の捨て打ちに備える。仮に捨て打ち板36を回転させず常に同じ位置に捨て打ちを実行すると、捨て打ちされた修正インク12の液滴が堆積して塗布部20の下端面に接触し、フィルム27の貫通孔27a近傍に修正インク12が付着して、修正時に欠陥部8bの周りを汚染することが懸念される。しかし、捨て打ち板36を回転させる機能を備えたことでその心配が払拭される。捨て打ちが完了し、捨て打ち板36の所定角度の回転が終了した時点で、捨て打ち板36の退避と塗布部20の下降を駆動装置47の操作により実行する。
次にXテーブル43の移動に伴ってZテーブル40が下降する工程について説明する。駆動装置47の操作によりXテーブル43が水平移動すると、初期はローラ41とXテーブル43の水平部43aとが当接した状態にあるため、Zテーブル40は下降せず、Xテーブル43のみが水平方向に移動する。この状態は塗布部20の直下から捨て打ち板36が外れるまで続く。その後、ローラ41がXテーブル43の傾斜部43bに当接し始めると、Zテーブル40は直動案内軸受38によってその自重で下降を始め、Zテーブル40の突出部がベース板37の上部に接触した時点で下降が停止する。図10から図12はZテーブル40が下降して停止した状態を示す。
このような構成にすることで、1つの駆動装置47であっても水平方向と垂直方向の2軸駆動が可能となり、装置の簡略化を実現することができる。また、それにより、捨て打ち板36の退避と塗布部20の下降を短時間で行なうことが可能となる。
図13は、パターン修正装置13を用いて欠陥部8bを修正する工程を示すフローチャートである。ステップS1において、検査装置(図示せず)から欠陥位置情報を取得し、ステップS2において、取得した欠陥位置情報に基づいてXYステージ16を制御し、観察光学系18を欠陥位置座標に移動させて欠陥部8bの観察、確認を行なう。ステップS3において、欠陥部8bの観察結果に基づいて欠陥部8bの修正形状を決定して、ステップS4において、欠陥部8bの上に塗布部20が対峙するようにXYステージ16を移動させる。なお、塗布部20が複数搭載されている場合には、ステップS3において、使用する塗布部20を決定する。
ステップS5において、修正インク12の捨て打ちを実行し、ステップS6において、捨て打ち板36を微小角度だけ回転させ、塗布した修正インク12が塗布部20の直下に無い状態として次回の捨て打ちに備える。ステップS7において、捨て打ち板36の退避と塗布部20の下降を実行する。このステップS7では、捨て打ち板36が水平方向に移動退避するとともに塗布部20が下降し、基板1と塗布部20との隙間を狭めて塗布可能な隙間とする。この状態で修正が可能となり、ステップS8において、欠陥部8bに修正インク12を塗布する。ステップS9において、欠陥部8bに対して修正インク12の塗布が完了した時点で、塗布部20を上昇させて捨て打ち板36を元の状態(待機状態)に復帰させる。
ステップS10において、XYステージ16を制御して観察光学系18の直下に欠陥部8bを移動させ、欠陥部8bに修正インク12が塗布された状態を観察する。ステップS11において、修正インク12が塗布された欠陥部8bを焼成位置に移動させ、修正インク12を焼成して修正部の導通を確保する。なお、捨て打ち実行から塗布可能な状態にするまでの時間をより短縮するために、ステップS6をステップS8とS9の間に変更してもよい。欠陥修正が必要な欠陥が残っていれば、ステップS2〜S12を繰り返し実行する。
以下、この実施の形態の種々の変更例について説明する。図14の変更例では、Xテーブル43の水平部43aが終わる位置に突起部43cが設けられる。したがって、ローラ41が突起部43cに当接している間、Zテーブル40は通常の位置よりも高くなり、塗布部20と捨て打ち板36との隙間が広くなる。
図15は、捨て打ち板36を退避させる動作において、捨て打ち板36の移動距離と塗布部20の高さとの関係を示す図である。塗布部20の高さは、基板1の表面を基準としている。退避動作が終了した時点で塗布部20と基板1との隙間W2は、修正インク12の塗布が可能な状態に設定される。図15において、点線の軌跡は突起部43cが存在する場合である。
塗布部20と捨て打ち板36との隙間W1は、たとえば100μmと狭く設定される。捨て打ち板36と塗布部20の移動は剛性の高い直動案内軸受38、39を介して行なうため、移動に際して塗布部20と捨て打ち板36との衝突が回避されるように倣い面43a,43bが設定されるが、移動の際にこれらの隙間W1を広くすることで、安全性をより高めることができる。捨て打ち板36から修正インク12が流れて落下するのを防止するため、捨て打ち板36の外周に鍔や段差を設けた構造では、その部分で捨て打ち板36の鍔部と塗布部20先端との隙間がより狭くなるため、突起部43cのような隙間を増す機構を備える方がより安全性が高まる。たとえば、隙間W1と隙間W2は略同じに設定される。
塗布部20を固定した固定台44は、上下方向に進退可能なZテーブル40に着脱が容易なように装着されるが、塗布部20を交換する場合には固定台44ごと交換を行なう。このとき、固定台44に固定された塗布部20の先端は、予め治具を用いてその長さを決められた値になるように予め調節しておけば、装着後の隙間W1,W2の調整は不用となり交換時間を短縮することができる。
図16の変更例では、塗布部20の先端位置を調節する治具48が使用される。治具48には、Zテーブル40と同様に複数の磁石49が埋設されている。固定台44の端面44aを治具48の端面48aに当接させると、磁石45,49の吸引力によって固定台44の端面44aが治具48の端面48aに押圧され、固定台44が治具48の所定位置に位置決めされる。
塗布部20を仮止めした固定台44を治具48に装着した後、固定台44の端面44aから塗布部20の先端までの長さL1が治具48の長さL2と一致するように、塗布部20の先端部を拡大観察するカメラ50の画像を見ながら塗布部20の突出量を調整する。カメラ50の代わりとしてパターン修正装置13に備えた観察光学系18を用いて観察しながら、XYステージ16の絶対位置を利用して長さL1を調整することも可能である。
治具48を用いて塗布部20先端部の位置合わせが終了した後、塗布部20に修正インク12を充填すると、塗布部20の交換準備が完了する。交換作業時には、塗布部20の先端が作業者の手や周りの装置に触れないように注意して、塗布部20を固定台44に固定する。これにより、塗布部20先端の損傷を防止して塗布安定性を確保する。
図17(a)〜(c)の変更例では、塗布部20の先端を保護する保護カバー51が固定台44に設けられる。図17(a)〜(c)では、図面の簡単化のため、固定台44の磁石45の図示は省略されている。図17(a)は塗布部20の先端を保護カバー51で保護し、保護カバー51の上下動を拘束した状態を示し、この状態でZテーブル40への着脱が行なわれる。図17(b)は保護カバー51の上下動拘束を解除した状態を示す。図17(c)は、保護カバー51を上昇させて塗布部20の先端を露出し、修正インク12の塗布が可能になった状態を示す。
保護カバー51は筒状に形成されており、保護カバー51内に塗布部20が配置される。保護カバー51は、固定台44の下部に設けた穴44bに内挿される。保護カバー51の側面には長孔51aが形成され、固定台44に形成された孔44cに挿入したピン52は、その先端部が長孔51aにかかるように配置され、保護カバー51は固定台44に対して穴44bの範囲内で上下方向に進退可能に支持される。
また、保護カバー51にはフランジ51bが形成され、その側面には磁性材料のピン53が固着され、その外周面には手で掴むためのピン54が固着されている。ピン53と対峙する固定台44の一端面には磁石55が埋め込まれている。
図17(a)は、塗布部20の先端を保護カバー51で保護した状態を示し、保護カバー51は最下端まで下降し、その下端は塗布部20の下端よりも充分下に位置している。固定台44と保護カバー51のフランジ51bとの間にはU字形状のストッパ56が装着され、ストッパ56は保護カバー51が上下動しないように拘束している。この状態で固定台44をZテーブル40に装着する。装着作業を容易に行なえるように、捨て打ち板36を退避した図10の状態で装着する。このとき、Z軸ステージ17またはZ軸ステージ25を上昇させることで塗布ユニット19全体を予め上昇して、基板1との隙間を充分確保しておく。
固定台44をZテーブル40に装着した後、ストッパ56を手で抜き取り、図17(b)の状態にする。その後、手でピン54を持ち上げて保護カバー51を上方に移動させ、ピン53と磁石55とを接触吸引させることで保護カバー51を固定台44側に固定支持して、図17(c)に示すように塗布部20の先端を露出させる。この状態で塗布部20の装着が完了する。Zテーブル40から固定台44を外す場合には、逆の手順で作業を実施する。
このように、塗布部20に対して保護カバー51を上下に進退させることで塗布部20の先端を保護することができるので、着脱時に塗布部20が損傷するのを回避することができる。また、塗布部20の下側から独立したキャップを被せる方式の場合には、キャップを塗布部20の先端に衝突させる場合が想定されるが、図16に示した構造のように保護カバー51を上下に移動させる方式であれば、塗布部20と保護カバー51との衝突もなく操作性は良好である。
なお、塗布部20として図4で説明した塗布部20を装着した場合、塗布形状を変えることはできないので、塗布部20に回転機構(図示せず)を備えることで、塗布角度を変更するようにしてあってもよい。また、塗布部20に設けた貫通孔27aの形状をそれぞれ異なるようにして、複数の塗布ユニット19をパターン修正装置13に搭載し、欠陥部8bの形状に合わせて使用する塗布ユニット19を選択するようにしてもよい。
図18の変更例では、塗布ユニット19の固定場所が変更される。Z軸ステージ17のテーブル上に固定支持したXYZステージ57のX軸上に塗布ユニット19を固定している。この場合、観察光学系18で欠陥部8bを観察した状態で、XYZステージ57を操作して、対物レンズ24と基板1との間に塗布部20を挿入して、欠陥部8bに修正インク12を塗布することも可能であり、XYステージ16の相対移動が省略される。
図19の変更例では、対物レンズ24の倍率の切り換えを行なう対物レンズ切換器(XYステージ)58に塗布ユニット19が固定される。対物レンズ切換器58は、水平方向(XY方向)に移動可能な可動板58aを含む。可動板58aには、複数の孔が開口されている。可動板58aの下面には、互いに倍率の異なる複数の対物レンズ24が搭載されている。可動板58aには、各対物レンズ24に対応して貫通孔が開口されている。各対物レンズ24の光軸は、孔の中心を垂直に貫通している。対物レンズ切換器58を制御して、所望の倍率の対物レンズ24の光軸を観察光学系18の光軸に一致させることにより、所望の倍率で欠陥部8bを観察することができる。
塗布ユニット19は、可動板58aの下面に複数の対物レンズ24とともに搭載される。したがって、対物レンズ切換器58を制御することにより、塗布ユニット19を欠陥部8bの上方に移動させることができる。この変更例では、図18の変更例にあったXYZステージ57を省略できるので、装置構成が簡素化される。また、対物レンズ24で欠陥部8bを観察している位置から近い位置に塗布ユニット19が配置されるため、移動時間が短縮され、修正タクトタイムが短縮される。
図20の変更例では、対物レンズ切換器58と基板1との距離を測定する距離センサ59が対物レンズ切換器58に搭載される。図20は、図19のC矢視図に対応する図である。通常、対物レンズ24で観察している画像が焦点(フォーカス)位置にあるZ軸ステージ17の位置を基準として、この状態(フォーカス状態)で捨て打ち板36の退避および塗布部20を下降した際に、塗布部20と基板1との隙間がW2になるように塗布ユニット19の位置が固定される。
しかし、基板1が大型化するのに従って基板1の表面の平坦度は悪くなるため、捨て打ち板36の移動に伴って自動で塗布部20が下降する場合(ステップS7)に、塗布部20の先端が基板1に接触する場合が想定される。あるいは、人為的にデフォーカス状態で捨て打ち板36の移動と塗布部20の下降を行なった場合(ステップS7)にも、同様に塗布部20と基板1との接触が発生する可能性があって好ましくない。
そこで、基板1と塗布部20との接触あるいは衝突を回避するため、対物レンズ切換器58に、基板1までの距離を非接触で測定する距離センサ59を設ける。ステップS7を行なう前に、距離センサ59で測定した距離に基づいてステップS7の実施が可能か否かを判定し、距離が足らない、あるいは距離が離れすぎている場合には、Z軸ステージ17を制御して対物レンズ切換器58の上下方向の位置を微調整する。
図21の変更例では、捨て打ち板36を回転させるモータ46は、捨て打ち制御部60により制御される。捨て打ち制御部60は、捨て打ち板36が1回転したかどうかを判定することが可能な回転角カウンタを備え、1回転した段階で作業者に警告を出す。すなわち、捨て打ち制御部60は、ステップS21において捨て打ちを実行し、ステップS22において捨て打ち板36を所定角度だけ回転させる。ステップS23において回転角カウンタを積算(+1)し、ステップS24において回転角カウンタのカウント値に基づいて捨て打ち板36が1回転したか否かを判別する。
捨て打ち板36が1回転していないと判別した場合はステップS21に戻り、捨て打ち板36が1回転したと判別した場合はステップS25において、捨て打ち板36が1回転したことを作業者に報知する。報知方法としては、モニタの画面に表示する方法、警告灯を点灯する方法、ブザーを鳴らす方法などがある。警告が出た時点で、捨て打ち板36の上に塗布された修正インク12の清掃除去を行なう。
図22は、捨て打ち板36の上に塗布された修正インク12を清掃除去する方法を示す。図22では、塗布部20を固定した固定台44の代わりに拭き取りユニット61がZテーブル40に装着される。拭き取りユニット61の下端には、修正インク12の溶媒を染み込ませたシート62が設けられている。シート62は、捨て打ち板36の表面に接触している。シート62を捨て打ち板36の表面に接触させた状態で捨て打ち板36を回転させて、捨て打ち板36に捨て打ちされた修正インク12をシート62で拭き取る。シート62としては、不織布やスポンジなど溶媒を吸収可能な部材を用いる。
図23の変更例では、捨て打ち板36と塗布部20とが対峙する位置とは異なる位置で、捨て打ち板36の表面に溶媒を染み込ませたシート62を常時接触させる。シート62は支柱63の下端に固定され、支柱63はモータ46を支持するXテーブル43に固定される。捨て打ち板36の平面上に複数のシート62を配置して常に拭き取るようにしてもよい。この場合、図22で説明した捨て打ち板36に塗布された修正インク12を清掃するためのメンテナンス作業を省略することが可能となる。溶媒としては、たとえば、テルピネオール、デカノール、シクロドデセンなどの高沸点溶媒を使用し、早期にシート62が乾燥するのを抑制する。
また、この実施の形態では、円板状の捨て打ち板36を所定角度ずつ回転させて使用したが、これに限るものではなく、図24(a)(b)に示すように、四角形状の捨て打ち板65を所定距離ずつ直線的に移動させて使用してもよい。捨て打ち板65は、水平に配置され、短辺をX方向に向けて配置され、長辺をY方向に向けて配置される。捨て打ち板65は、Xテーブル43によってX方向に移動され、捨て打ち動作時は図24(a)(b)に示すように塗布部20の下に挿入され、塗布時は図24(c)に示すように、上方から見て捨て打ち板65から外れた位置に配置される。
また、捨て打ち板65の使用開始時は、図24(a)(b)に示すように、塗布部20は捨て打ち板65の表面の一方端の使用開始位置の上に配置される。捨て打ち板65は、修正インク12の捨て打ちが行なわれる毎に、駆動装置66によってY方向(図中の左方向)に所定距離ずつ移動される。捨て打ち制御部67は、捨て打ちを実行した後、捨て打ち板65を所定の距離だけ移動させ、移動させた回数をカウントする。カウントした回数が所定数に到達した場合は、図24(d)に示すように、捨て打ち板65の表面の他方端の使用終了位置の上に塗布部20が配置され、使用終了位置への捨て打ちが終了している。このため、捨て打ち制御部67は、捨て打ち板65を移動させた回数が所定数に到達した場合は、その旨(換言すれば、捨て打ち板65の表面の清掃、または捨て打ち板65の交換が必要である旨)をパターン修正装置の使用者に報知する。
また、捨て打ち板65の表面を清掃する場合は、図24(e)に示すように、塗布部20の代わりに拭き取りユニット68が設けられる。拭き取りユニット68の下端には、修正インク12の溶媒を染み込ませたシート69が設けられている。シート69は、捨て打ち板65の表面に接触している。シート69を捨て打ち板65の表面に接触させた状態で捨て打ち板65を駆動装置66によってY方向に移動させて、捨て打ち板65に捨て打ちされた修正インク12をシート69で拭き取る。シート69としては、不織布やスポンジなど溶媒を吸収可能な部材を用いる。
また、図24(f)に示すように、捨て打ち板65と塗布部20とが対峙する位置よりも一方端側で、捨て打ち板65の表面に溶媒を染み込ませたシート69を常時接触させる。シート69は支柱70の下端に固定される。この場合、図24(e)で説明したメンテナンス作業を省略することが可能となる。溶媒としては、たとえば、テルピネオール、デカノール、シクロドデセンなどの高沸点溶媒を使用し、早期にシート69が乾燥するのを抑制する。
また、図25(a)(b)は、実施の形態のさらに他の変更例を示す断面図であって、図17(a)〜(c)と対比される図である。図25(a)(b)の変更例が図17(a)〜(c)の変更例と異なる主な点は、塗布ユニット19の固定台44に複数(図では2つ)の塗布部20が固定され、保護カバー51が保護カバー71で置換されている点である。図25(a)は、保護カバー71を下降させて複数の塗布部20の先端を保護した状態を示す。また図25(b)は、保護カバー71を上昇させて複数の塗布部20の先端を露出させた状態を示し、塗布部20による修正インク12の塗布が可能な状態を示す。
保護カバー71は筒状に形成されており、保護カバー71内に複数の塗布部20が挿入されている。複数の塗布部20の先端位置は、図16に示した治具48により同じ高さに揃える。保護カバー71は、固定台44の下部に設けられた穴44bに内挿される。各塗布部20の上端部は、固定台44の穴44bの底の孔に挿嵌される。固定台44には図11と同様、磁石(図示せず)が固着され、その磁石の磁気吸引力によって着脱自在とされ、たとえば基板1に対して垂直方向に進退可能なZテーブル(図示せず)に装着される(図8参照)。
保護カバー71の側面にはレバー72が固定されている。このレバー72は、固定台44の穴44bの側壁に形成された長孔44dに挿入されている。レバー72は、長孔44d内において上下方向に移動可能に設けられている。レバー72を手で上下方向に移動させると、保護カバー21は固定台44に対して長孔44dの範囲内で上下方向に移動する。
保護カバー71の上端部の外周には環状の溝71aが形成され、保護カバー71の下端部の外周には環状の溝71bが形成される。固定台44の穴44bの下端部の側壁にはプランジャ73が設けられる。プランジャ73の球73a(またはシリンダ)は、スプリング73bによって保護カバー71の外周面に対して垂直方向に付勢される。球73aが溝71aまたは71bに入ることにより、保護カバー71は上側の位置または下側の位置に固定される。
溝71aに球73aが入ると、図25(a)に示すように、保護カバー71は下側の位置で固定され、各塗布部20の先端は保護カバー71で覆われて保護される。溝71bに球73aが入ると、図25(b)に示すように、保護カバー71は上側の位置で固定され、各塗布部20の先端が露出して各塗布部20による塗布が可能となる。このとき、各塗布部20に他の塗布部20と異なる色の修正インク12を注入しておけば、複数の塗布部20のうちのいずれか1つの塗布部20を選択して塗布することにより、複数色の修正インク12のうちの所望の色の修正インク12を塗布することが可能となる。
また、図7に示した塗布ユニット19に複数の塗布部20を固定した固定台44を装着すれば、複数の塗布部20に対して捨て打ち板36を始めとした捨て打ち機構が1つで済むため、機構を簡略化することができる。
また、塗布部20に対して保護カバー71を上下に進退させることで塗布部20の先端を保護することができるので、固定台44を着脱するときに塗布部20の先端が損傷するのを防止することができる。
図26は、複数の塗布部20を固定した固定台44を図7で示した塗布ユニット19に装着した状態を示す図である。図26では、保護カバー71は上側の位置で固定され、各塗布部20の先端が露出している。パターン修正装置13の制御部(図示せず)からの塗布指令は、切換装置74に入力される。切換装置74は、塗布指令に従って、複数の塗布部20のうちのいずれかの塗布部20を選択し、選択した塗布部20を用いて修正インク12を塗布する。
切換装置74は、塗布量などを制御する塗布制御部75と、その信号を選択した塗布部20に送る選択部76とを含む。図4に示した塗布部20を例とすれば、気体噴射装置31が塗布制御部75に相当し、気体噴射装置31と選択した塗布部20とを接続する多連バルブが選択部76として使用される。なお、各塗布部20の塗布位置を予め把握しておけば、選択された塗布部20の直下に欠陥部8bを位置決めすることが可能となる。
図26の状態で、選択した塗布部20を制御して捨て打ちが行なわれる。その後、捨て打ち板36の退避とZステージ40の下降を行なえば、図27に示すように塗布部20の先端は基板1の欠陥部8bと対峙する。この状態で、選択した塗布部20を操作して欠陥部8dに修正インク12を塗布する。
図28(a)〜(c)は、図26に示した塗布ユニット19を用いて図1(a)(b)に示した保護膜11を有する基板1の欠陥部8bを修正する工程を示す。図28(a)〜(c)において、配線(ドレイン線)8の一部に断線欠陥部8bが存在し、その上にある保護膜11の一部も欠損して欠陥部8bが露出した状態にある。また、固定台44に固定された2つの塗布部20のうちの一方側(図中の左側)の塗布部20には導電性の修正インク12が注入され、他方側(図中の右側)の塗布部20には液状絶縁材料(たとえば樹脂インク)77が注入されている。
1回目の塗布工程では、図28(b)に示すように、2つの塗布部20のうちの一方側(図中の左側)の塗布部20を用いて欠陥部8bに導電性の修正インク12を塗布し、その後の局所焼成することで修正パターン12aを得て導通を確保する。2回目の塗布工程では、図28(c)に示すように、他方側(図中の右側)の塗布部20を用いて修正パターン12aを塞ぐように液状絶縁材料77を塗布し、その後に硬化させて保護膜11を形成する。
なお、この変更例では、2つの塗布部20を用いて修正インク12と液状絶縁材料77を塗布したが、これに限るものではなく、複数の塗布部20を用いて互いに異なる複数種類(たとえば複数色)の修正インク12を塗布してもよい。また、互いに異なる塗布形状を有する複数の塗布部20を固定台44に固定しておき、欠陥部8bの形状に応じた塗布形状を有する塗布部20を選択してもよい。
今まで図4で示した塗布部20を用いた実施例について説明したが、これに限定されるものでは無く、たとえば、ディスペンサ方式、インクジェット方式の塗布部を使用することも可能である。また、インクジェット方式としては、圧力や熱を用いた吐出方式や、静電吸引を利用した静電方式など種々の方式が提案されているが、いずれの方式を使用してもよい。
インクジェット方式やディスペンサ方式の塗布部を使用する場合、欠陥部8bを修正する際には、塗布部と基板1とを水平方向に相対移動させながら修正インク12を吐出することで塗布が行われ、繰り返し修正インク12を吐出することで修正インク12の堆積が可能となる。また、塗布部20としてガラス製のキャピラリーチューブ(ノズル)を使用する場合には、塗布部20を固定台44に固定した後、Zテーブル40に着脱する際にはノズル先端が繊細なため、その保護が必要になるが、上記保護カバー51,71を設けることにより、ノズル先端の損傷を回避することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。