JP5615612B2 - 苦味を有する生理活性物質含有粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、苦味を有する生理活性物質を含有する粒子を製造する方法に関する。
最近取り扱われる薬物は、苦味・不快な臭いの改善のために製剤的な工夫が患者のコンプライアンス向上のために重要ポイントになっている。
従来より汎用されている最も一般的な製造方法は、打錠後に錠剤表面にコーティングを施すことで苦味マスクしている。
最近は、水無で服用できる口腔内崩壊錠が多く求められ、錠剤の表面にコーティングすると、この被膜剤の強度のために崩壊が遅延し速崩錠とはならない。
一般的な打錠用粒子は、多くは流動層造粒(湿式造粒)が汎用されている。生理活性薬物粉末と添加剤粉末を流動層造粒装置に投入し、流動状態にあるこれらの粉末に上部から下向きに結合剤溶液をスプレー添加するトップスプレーが採用され、打錠用粒子が製造されている。
その他には、予め造粒された添加剤核粒子、例えばノンパレル(フロイント産業株式会社)や結晶セルロース球形核粒子セルフィア(旭化成ケミカルズ株式会社)の表面に薬物を被覆した核粒子を調製し、この核粒子表面に膜剤をコーティングすることで苦味を抑制する粒子加工を行い、さらに、得られた粒子を他の添加剤と配合、もしくは再造粒して打錠している。
しかし、このようにあらかじめ造粒された核粒子を用いると核粒子の分だけ粒子径は大きくなり、口腔内でのザラツキ感等服用性に難点が生じる。さらに薬物含量の制約も受けるので、造粒物の粒子径はさらに大きくなる。
特許文献1には、平均粒子径が30μmの糖もしくは糖アルコール(D−マンニトール)が記載されており、生理活性物質と添加剤を乾式配合して流動層造粒装置に仕込み結合剤をスプレー添加して造粒しているが、添加剤粉末のみを流動化させる方法の記載は無い。さらに、特許文献2には、平均粒子径が、30〜300μmと記述されているが、D-マンニトールの粒子径を記述していることは粉末状で添加していることを意味する。
一般的な流動層造粒において、結合剤溶液をトップスプレー添加して得られる造粒物の表面形状は、原料粉末に起因する凹凸があり(図1)、フラクタル次元で評価すると、表面形状は1.4、程度よりも大きくなる。
特許文献3に表面が滑らかな造粒法が開示されている。複数種の原料粉末をすべて流動層装置に仕込み流動化させ、ここに粘度の低い結合剤(HPC-SSL)を単独で用い、結合剤濃度を2%にすることで、ミスト径が(d90=30μm)以下、さらに、排気温度は断熱飽和温度より3℃以上高くなるようにスプレー液の噴霧量が制御されていることを特徴とする核粒子の製造法で操作すると、表面が滑らかな造粒物が得られると記述されているが、表面形状の滑らかさを表す基準が明示されていない。
さらに、通常の流動層造粒の操作条件で、排気温度は断熱飽和温度よりも高くして操作しているが、これは、排気温度が低いと装置内面に結露による粉体の付着が生じるので、収率も低下し、さらに含量均一性や洗浄にも難点が生じるため、流動層造粒装置が採用されだした当初から排気温度は断熱飽和温度よりも高くして操作しており、公知の手法と言える(非特許文献3)。
また、原料粒子を流動層造粒すると、造粒物の表面は粒子凝集体で原料粒子サイズ固有の凹凸ができる。これら粒子の表面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)写真で観察すると図2に示すような形状である。一般的な核粒子としてはこれで十分とされてきたが、最近は、溶出制御、苦味マスク等、製剤的により滑らかな表面形状が求められるようになった。このため鋭意検討した結果、本発明を完成した。
詳細に説明すると、HPC-SSLよりも粘度の高い、HPC-SL、HPC-Lの濃度が3%であっても、結合剤溶液中に不溶性微粒子を分散・懸濁・配合して流動層を形成している原料粒子にスプレー添加することで、第一段階は粒子成長(造粒)に寄与し、粒度分布がシャープな微細造粒物が得られ、第二段階で粒子径、粒子密度に応じた流動化風量、給気温度、排気温度、スプレー速度、噴霧用空気量の選択で、この粒子表面に、不溶性微細粒子を被覆することで表面形状は図4に示すように滑らかになる。 粒子表面の形状を評価する基準として粉体工学ではフラクタル次元数を用いている。
従来技術の具体例としては、苦味を有する物質と他の添加剤を配合した核物質を定法により製造する方法は公知である。
特許第3797387号公報 特開2001-58944号公報 特開平9-267035号公報
粉体工学概論、日本粉体工業技術協会編集、1995年4月10日発行、第3〜5頁(1.1.3粒度分布) 鈴木道隆、粉体工学会誌、第27巻、693−699頁(1990) 西村憲治、他、薬剤学 Vol. 38、1978,P117-P195
本発明の課題は、苦味を有する生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法でマスキングされた粒状物を製造する方法を提供すること、さらには、その方法により、生理活性物質の溶出速度の制御が容易な固形製剤用造粒物を提供することにある。
本発明では、一般的に粉体に分類される添加剤粒子(例えば、乳糖、部分α化澱粉やケイ酸カルシウム等)を流動化状態に保持し、ここに苦味を有する生理活性薬物を高分子結合剤水溶液に分散・懸濁・一部溶解もしくは全溶解した液に、水溶性添加剤(例えば、D−マンニトール)を溶解してスプレー添加することで、特別に調製した核粒子を用いることなく、50〜150μmの薬物含有核粒子が得られることを見いだした。さらに、含量均一性の向上や、ロス、飛散、装置壁面付着が低減でき、収率も向上するため企業にとっては極めて重要なポイントであると考える。また、送液ポンプの採用等により自動化も容易であり、品質管理の点からもメリットは大きい。
本法はD−マンニトールを結合剤水溶液に溶解してスプレー添加している。分散・懸濁・一部溶解もしくは全溶解した薬物と溶解したD−マンニトールが、図3に示す粒子(PCS)の凹部を埋めるように付着するため、表面形状は滑らかになる。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、あらかじめ造粒された核粒子を用いることなく、噴流流動状態にある添加剤の粉末粒子に、水溶性高分子結合剤の水溶液中に生理活性物質を分散・懸濁・一部溶解、もしくは全溶解し、さらに水溶性添加剤(糖または糖アルコール)をスプレー液に溶解して噴霧することにより、含量均一性に優れた平均粒子径が50μm〜150μmの造粒物(核粒子)を得ることができ、造粒物の幾何標準偏差が1.2〜1.4の範囲にあり、さらに、得られたこの核粒子表面に高分子結合剤・膜剤液中に、平均粒子径が20μm以下の水不溶性微粒子や水溶性添加剤を溶解して配合しスプレー添加することで、単層もしくは複数層のバリア層を形成すると、フラクタル次元(非特許文献2)が1.0〜1.2の範囲にあり、図4に示すように滑らかな核粒子が得られることを見いだした。また、この核粒子表面に溶出制御膜剤を、単層もしくは複数層コーティングし、得られたこの粒子に他の添加剤を配合してそのまま、もしくは再造粒して打錠することで苦味マスクされた口腔内崩壊錠が得られる。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(6)に記載の発明に関するものである。
(1)一般的に粉末に分類される医薬品添加剤粒子を噴流流動層造粒装置に仕込み、流動状態を保ちながら、平均粒子径(D50)5μm以下に微粉砕した苦味を有する生理活性薬物を高分子結合剤水溶液に分散・懸濁・一部溶解した液を、噴流流動層造粒装置のノズル先端の圧縮ガス体の吐出速度が400m/秒以上で、かつ吐出液速が1m/秒以下とすることで均質で微小な液滴径としてスプレー添加して吸着・レイアリングし、その際スプレー速度は、添加剤粒子もしくは生理活性薬物粒子との混合物の特性、および供給する流動化ガス体の風量、給気温度、外気湿度等に応じた条件とすることにより、ミスト径および前記粒子の湿潤状態を制御することで、平均粒子径が60μm〜100μmで、かつ、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.1〜1.4の粒子とし、得られた粒子表面に、平均粒子径(D50)が2μm以下に微粉砕した水不溶性物質と水溶性の糖もしくは糖アルコールを高分子結合剤水溶液に溶解、分散・懸濁し、層状に被覆することにより、平均粒子径が120μm以下で、かつ、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.1〜1.4であり、さらにフラクタル次元が1.0〜1.2である表面が滑らかな粒子とすることを特徴とする苦味を有する生理活性薬物含有粒子の製造方法。
(2)苦味を有する生理活性薬物が塩酸ドネペジルである(1)記載の粒子の製造方法。
(3)高分子結合剤がPVAコポリマーである(1)又は(2)に記載の粒子の製造方法。
(4)添加剤が、ケイ酸カルシウムもしくは部分アルファー化デンプンである(1)〜(3)のいずれかに記載の粒子の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の方法により得られた粒子の表面に、さらに水不溶性高分子膜剤、可塑剤、糖アルコール及び平均粒子径(D50)が2μm以下に微粉砕した水不溶性微粒子を分散・懸濁させた液をスプレー添加する苦味を有する生理活性薬物含有粒子の製造方法。
(6)水不溶性高分子膜剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RL、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びエチルセルロースからなる群から選ばれた一種又は二種以上である()記載の粒子の製造方法。
本発明によれば、苦味を有する生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法で、マスキングし、他の添加剤と配合してそのまま、もしくは再造粒した後、打錠する口腔内崩壊錠を製造する方法を提供することができる。
一般的な流動層造粒(トップスプレー法)で製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真である(×500倍)。 一般的な流動層造粒(トップスプレー法)で、結合剤粘度を下げ、且つ、スプレー速度、噴霧空気量を制御し微細ミスト径で造粒した物の走査型電子顕微鏡写真である(×200倍)。 本発明の実施例1で用いた、添加剤(部分α化澱粉:PCS)の走査型電子顕微鏡写真である(×200倍)。 本発明の実施例1−Aで製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1−Bで製造いた造粒物の走査電子顕微鏡写真である。
本発明の実施に当たり、噴流流動層装置に仕込まれた添加剤粉末粒子の粒子径や粒子物性に応じた適正な流動状態(特に過大風量は避ける)を確認しながら、粉体物性(粒子径・形状・溶解度等)に応じたスプレーミスト径・液の粘度等を選定する。ノズル先端のガス体(一般的に圧縮空気)の吐出速度が400m/秒以上で、なおかつ、吐出液速が1m/秒以下とすることで大きめの粒子の付着凝集は抑制しながら、排気温度が断熱飽和温度よりも高く、装置内面に結露が生じない条件で操作すると、微粒域粒子の付着凝集を促進させる操作(主な要因はミスト径の調節)することで、造粒物の幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.0〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4の範囲となるようにする。
すなわち、噴流流動する粒子サイズに対して、付着した結合剤液滴径が大きいと、近傍にある粒子と付着するが、このことは、粒子の運動エネルギーに起因する分離力とスプレー液滴による結合力とのバランスで決まる。すなわち、分離力>結合力では、粒子の付着・凝集は抑制され、分離力<結合力では、粒子は付着・凝集する。しかし、同じ液滴径であっても、初期の粒子サイズが小さい時には、付着・凝集に寄与しても、粒子径が有る大きさまで成長すると、質量の増加に伴い粒子の運動による分離力が大きくなるので、粒子成長は抑制され、この結果、粒度分布のシャープな造粒物が得られる(非特許文献−3)。
このようにスプレーする液の粘度や付着力にもよるが、液滴径を制御することで、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)を制御することができることを見いだした。
本発明において、バリア層を構成する液に配合する水不溶性微粒子の平均粒子径は、造粒物の平均粒子径の約1/10程度以下、望ましくは15μm以下、より望ましくは5μm以下が好ましい。微粒子を配合することにより、造粒物表面の凹凸が少なくなり滑らかな粒子が得られる。これをフラクタル次元で表すと、1.0〜1.2の滑らかな粒子表面の造粒物が得られる。
粒子の表面に凹凸があると、バリア性や溶出制御に必要な膜剤が多く必要となる。これは、凸部の膜厚は薄くなるので溶出が早くなる、凸部の膜厚を確保するためには、凹部では過剰に添加することになる。このためには表面状態の滑らかな核粒子が重要となる。
そして、本発明のより好ましい造粒物は、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.1〜1.5の範囲内であり、かつ、フラクタル次元が1.0〜1.2の範囲内のものである。
流動層造粒装置は、通常、流動層本体、整流板、送風機、吸気フィルター、熱交換機、スプレー装置、集塵装置、排風機等から構成されている。送風ファンから供給される空気は吸気フィルターで清浄化され、熱交換機で加温されて整流板を通じて装置本体に送入されるが、この熱風は、装置に仕込まれた添加剤粉末を懸濁状態、つまり流動状態に保ち、高分子結合剤水溶液に生理活性物質(薬物)を分散、懸濁、一部溶解、もしくは全溶解した溶液を結合剤として噴霧することにより、ミストは添加剤粉末の表面に付着し、この結合剤ミストを介して流動中の微粒子は付着・凝集を繰り返し次第に粒子成長(造粒・コーティング)が進行する。
添加剤としては、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉、D−マンニトール、白糖、ショ糖、ブドウ糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム又はカルボシキメチルスターチナトリウム等、医薬品固形製剤に用いられる添加剤が挙げられる。これら賦形剤はその一部、またはすべてを結合剤溶液中に溶解もしくは分散・懸濁しても良い。
本発明において使用される水系高分子膜剤の高分子化合物としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー等、医薬品固形製剤に用いられる膜剤・結合剤を挙げることができ、なかでもヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーが好ましい。さらに、平均粒子径が20μm以下のタルクや酸化チタン、ゼオライト等、水不溶性の添加剤微粒子を配合することで、結合力を抑制しながら、微粉末の粒子成長は促進できる。
その他、使用することができる製剤上の添加物としては、通常使用されている賦形剤、崩壊剤、結合剤、矯味矯臭剤、着色剤、張化剤、その他の添加剤が適宜使用できる。
溶出制御のための膜剤としては、たとえばアミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メトローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、及びエチルセルロース系水分散液等の公知の溶出制御膜剤を挙げることができる。これらの膜剤は1種もしくは複数種配合してもよい。
崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化澱粉等を挙げることができる。
本発明における苦味の評価は、20mLの注射筒を用いた簡易溶出試験法を採用した。0.45μmのメンブランフィルターを取り付けた20mLの注射筒に、37℃に加温した日局崩壊試験法第2液を入れ、本発明の口腔内崩壊錠を投入し、直ちに正倒立を開始した後30秒後に液をろ過し、ろ液をHPLCにて測定した。苦味の閾値として、官能試験の結果、塩酸ドネペジル濃度200μg/mL以下を基準として評価を行った。
A)平均粒子径:70μmの部分アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製:PCS)317.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し流動させ、ここにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成製:POVACOAT)3.0gを精製水に溶解した液500.0gに、平均粒子径約5μmに粉砕した塩酸ドネペジル100.0gを分散・懸濁・一部溶解した液をスプレー添加し、平均粒子径約73μm、フラクタル次元1.3、幾何標準偏差(σg)1.3の粒子を得た(核粒子−1)。
B)得られた核粒子−1を噴流流動層造粒機に投入し流動させ、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体8.0gを精製水に溶解した液720.0gに、平均粒子径0.5μmに湿式粉砕したタルク72.0gを分散させた液をスプレー添加し、平均粒子径78μm、幾何標準偏差(σg)1.3、フラクタル次元、1.2の粒子を得た(核粒子−2)。
C)得られた核粒子−2を噴流流動層造粒機に投入し流動させ、メタクリル酸コポリマーLD(エボニックデグサジャパン製:オイドラギットL30D−55)600.0g、D−マンニトール50.0g、クエン酸トリエチル20.0gおよび0.5μmに湿式粉砕したタルク50.0gに精製水を加え、均一に分散させた液1500.0g(固形分20%)をスプレー添加することで平均粒子径88μmの粒子を得た(核粒子−3)。
得られた核粒子−3の簡易溶出試験における30秒後の塩酸ドネペジルの溶出量は115μg/mLであった。
A)平均粒子径:30μmのケイ酸カルシウム(トクヤマ製:フローライトRE)70.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し流動させ、ここにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成製:POVACOAT)30.0gを精製水に溶解した液5000.0gに、平均粒子径約5μmに粉砕した塩酸ドネペジル1000.0gを分散・懸濁・一部溶解した液をスプレー添加し、平均粒子径約84μm、フラクタル次元1.3、幾何標準偏差(σg)1.2の粒子を得た(核粒子−4)。
B)得られた核粒子−4 275.0gを噴流流動層造粒機に投入し流動させ、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体12.5gを精製水に溶解した液1125.0gに、平均粒子径0.5μmに湿式粉砕したタルク112.5gを分散させた液をスプレー添加し、平均粒子径86μm、幾何標準偏差(σg)1.3、フラクタル次元、1.1の粒子を得た(核粒子−5)。
C)得られた核粒子−5を噴流流動層造粒機に投入し流動させ、メタクリル酸コポリマーLD(エボニックデグサジャパン製:オイドラギットL30D−55)400.0g、D−マンニトール33.3g、クエン酸トリエチル13.3gおよび0.5μmに湿式粉砕したタルク33.3gに精製水を加え、均一に分散させた液1000.0g(固形分20%)をスプレー添加することで平均粒子径、98μmの粒子を得た(核粒子−6)。
得られた核粒子−6の簡易溶出試験における30秒後の塩酸ドネペジルの溶出量は109μg/mLであった。
A)平均粒子径:70μmの部分アルファー化デンプン(旭化成ケミカルズ製:PCS)194.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し流動させ、ここにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成製:POVACOAT)6.0gを精製水に溶解した液1000.0gに、平均粒子径約5μmに粉砕した塩酸ドネペジル200.0gを分散・懸濁・一部溶解した液をスプレー添加し、平均粒子径約85μm、フラクタル次元1.2、幾何標準偏差(σg)1.3の粒子を得た(核粒子−7)。
B)得られた核粒子−7を噴流流動層造粒機に投入し流動させ、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体8.0gを精製水に溶解した液720.0gに、平均粒子径0.5μmに湿式粉砕した結晶セルロース72.0gを分散させた液をスプレー添加し、平均粒子径97μm、幾何標準偏差(σg)1.2、フラクタル次元、1.2の粒子を得た(核粒子−8)。
C)得られた核粒子−8を噴流流動層造粒機に投入し流動させ、メタクリル酸コポリマーLD(エボニックデグサジャパン製:オイドラギットL30D−55)600.0g、D−マンニトール50.0g、クエン酸トリエチル20.0gおよび0.5μmに湿式粉砕したタルク50.0gに精製水を加え、均一に分散させた液1500.0g(固形分20%)をスプレー添加することで平均粒子径112μmの粒子を得た(核粒子−9)。
得られた核粒子−9の簡易溶出試験における30秒後の塩酸ドネペジルの溶出量は98μg/mLであった。
本発明によれば、苦味を有する生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法で、患者の服用性を改善した粒状物を製造する方法を提供することができる。固形製剤用造粒物の製造に適しており、医薬品の口腔内速崩壊錠の製造に利用することができる。

Claims (6)

  1. 一般的に粉末に分類される医薬品添加剤粒子を噴流流動層造粒装置に仕込み、流動状態を保ちながら、平均粒子径(D50)5μm以下に微粉砕した苦味を有する生理活性薬物を高分子結合剤水溶液に分散・懸濁・一部溶解した液を、噴流流動層造粒装置のノズル先端の圧縮ガス体の吐出速度が400m/秒以上で、かつ吐出液速が1m/秒以下とすることで均質で微小な液滴径としてスプレー添加して吸着・レイアリングし、その際スプレー速度は、添加剤粒子もしくは生理活性薬物粒子との混合物の特性、および供給する流動化ガス体の風量、給気温度、外気湿度等に応じた条件とすることにより、ミスト径および前記粒子の湿潤状態を制御することで、平均粒子径が60μm〜100μmで、かつ、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.1〜1.4の粒子とし、得られた粒子表面に、平均粒子径(D50)が2μm以下に微粉砕した水不溶性物質と水溶性の糖もしくは糖アルコールを高分子結合剤水溶液に溶解、分散・懸濁し、層状に被覆することにより、平均粒子径が120μm以下で、かつ、幾何標準偏差(σg:D84.1/D50)が1.1〜1.4であり、さらにフラクタル次元が1.0〜1.2である表面が滑らかな粒子とすることを特徴とする苦味を有する生理活性薬物含有粒子の製造方法。
  2. 苦味を有する生理活性薬物が塩酸ドネペジルである請求項1記載の粒子の製造方法。
  3. 高分子結合剤がPVAコポリマーである請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  4. 添加剤が、ケイ酸カルシウムもしくは部分アルファー化デンプンである請求項1〜3のいずれかに記載の粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られた粒子の表面に、さらに水不溶性高分子膜剤、可塑剤、糖アルコール及び平均粒子径(D50)が2μm以下に微粉砕した水不溶性微粒子を分散・懸濁させた液をスプレー添加する苦味を有する生理活性薬物含有粒子の製造方法。
  6. 水不溶性高分子膜剤がアミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RL、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びエチルセルロースからなる群から選ばれた一種又は二種以上である請求項に記載の粒子の製造方法。
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