JP5612813B2 - 往復移動装置の位置ずれ検出装置およびそれを備えたカッター装置 - Google Patents

往復移動装置の位置ずれ検出装置およびそれを備えたカッター装置 Download PDF

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Description

本発明は、移動体とこの移動体を往復移動させるモータとを有する往復移動装置の位置ずれ検出装置およびそれを備えたカッター装置に関する。
従来から、モータを駆動源とし、ベルトやボールねじ等の駆動機構を用いて、スライダ等の移動体を往復移動させる装置(以下、往復移動装置という)が知られている。例えば、往復移動装置の一例として、電線処理機のカッター装置が知られている(特許文献1参照)。カッター装置は、移動体として一対のスライダを備えており、これらスライダに取り付けられた刃を互いに接近および離反するように往復移動させることによって、被覆電線の切断または剥ぎ取りを行う。
一般的に、サーボモータを有する往復移動装置では、移動体の位置は、サーボモータの駆動パルス数に基づいて推定される。このような往復移動装置において、例えば配線の損傷等によりサーボモータに誤った信号が供給されると、サーボモータの駆動パルス数が規定値からずれることになる。そのため、駆動パルス数の計測値と規定値とを比較し、それらのずれに基づいて、電気系統に起因する移動体の位置ずれを検出することができる。
ところが、機械的な駆動機構を備えた往復移動装置では、電気系統に異常がなくても、物理的要因によって移動体の位置がずれてしまうおそれがある。例えば、駆動機構として伝動ベルトを用いた往復移動装置では、伝動ベルトの伸びが発生する場合がある。また、駆動機構としてボールねじを用いた往復移動装置では、ボールねじの歪みが生じる場合がある。また、サーボモータと駆動機構との連結部分、例えばカプラー等において、すべりが生じるおそれもある。
そこで、複数の位置センサを設け、それら位置センサからの複数の位置情報を利用することによって、物理的要因をも含んだ移動体の位置ずれを検出することが提案されている(特許文献2および3参照)。例えば、特許文献2には、移動体の前進端位置を検出する第1のセンサと、移動体の後進端位置を検出する第2のセンサとを設け、移動体が前進端位置から後進端位置に移動したことを両センサに基づいて検出する一方、その間の駆動パルス数が所定のパルス数(=移動体が前進端位置から後進端位置まで移動するために必要なパルス数)と一致するか否かを判定し、一致しなければ位置ずれが生じたと見なして、異常を報知することが記載されている。
特開2007−135286号公報 特開2002−268749号公報 特開平5−50385号公報
しかしながら、上記従来の技術では、移動体の位置を検出するセンサが少なくとも2つ必要となる。また、移動体に位置ずれを検出するための専用のセンサが必要である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移動体の位置ずれを検出するための専用のセンサが不要であり、従来よりも少ない数のセンサによって位置ずれを検出することのできる位置ずれ検出装置およびそれを備えたカッター装置を提供することにある。
本発明に係る往復移動装置の位置ずれ検出装置は、モータと、前記モータに連結された駆動機構と、前記駆動機構によって往復移動するように駆動される移動体と、前記移動体が所定の第1位置と第2位置との間で往復移動するように前記モータを制御する通常制御を実行可能な制御装置と、前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体が前記第2位置を超えて所定の第3位置に到達したことを検出するリミットセンサと、前記移動体が前記第3位置に到達したことが前記リミットセンサによって検出されると、所定の報知を行う報知装置と、を備えた往復移動装置における前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出装置であって、前記制御装置は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体を少なくとも前記第3位置の近傍にまで移動させるように前記モータを制御したうえで、前記リミットセンサの検出に基づいて前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備えている。
前記往復移動装置では、通常制御が行われる場合には、移動体は第1位置と第2位置との間を往復する。この通常制御の実行時に、何らかの異常等によって移動体が第2位置を超えて第3位置にまで到達すると、リミットセンサがそれを検出し、報知装置によって所定の報知が行われる。これにより、移動体が通常の移動範囲(=第1位置と第2位置との間の範囲)を超えて移動してしまったことが容易に発見され、往復移動装置に異常が生じたことが認識される。
前記位置ずれ検出装置は、リミットセンサを利用して移動体の位置ずれを検出するものである。すなわち、前記制御装置の位置ずれ検出部は、報知装置の動作を停止させたうえで、移動体を少なくとも第3位置の近傍にまで移動させる。そして、リミットセンサの検出に基づいて、移動体の位置ずれを検出する。したがって、前記位置ずれ検出装置によれば、前記リミットセンサを流用するので、移動体の位置ずれを検出するための専用のセンサは不要である。また、従来よりも少ない数のセンサによって移動体の位置ずれを検出することができる。
また、前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第1方向に所定距離離れた位置を第4位置として、前記位置ずれ検出部は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第4位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第4位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達したことが検出されると前記移動体の位置がずれていると判定する。
このことにより、前記リミットセンサを流用することによって、前記移動体が前記第2方向にずれていることを検出することができる。
さらに、前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第2方向に所定距離離れた位置を第5位置として、前記位置ずれ検出部は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第5位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第5位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達しなかったことが検出されると前記移動体の位置がずれていると判定する。
このことにより、前記リミットセンサを流用することによって、前記移動体が前記第1方向にずれていることを検出することができる。
また、前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第1方向に所定距離離れた位置を第4位置とし、前記第3位置から前記第2方向に所定距離離れた位置を第5位置として、前記位置ずれ検出部は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第4位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第4位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達したことが検出されると前記移動体の位置が前記第2方向にずれていると判定する第1の検出動作と、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第5位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第5位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達しなかったことが検出されると前記移動体の位置が前記第1方向にずれていると判定する第2の検出動作と、を実行する。
このことにより、前記リミットセンサを流用することによって、前記移動体が前記第2方向にずれていること、および前記第1方向にずれていることを検出することができる。そのため、単一のリミットセンサによって、移動体がどちらの方向にずれているかを検出することができる。
さらに、前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、前記第1の検出動作と前記第2の検出動作とは、同一の往復動作のときに実行されるようにすることも可能である。
このことにより、移動体の位置ずれの検出精度を向上させることができる。
また、前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、前記第1の検出動作と前記第2の検出動作とは、別々の往復動作のときに実行されるようにしてもよい。
このことにより、一回の往復動作中に、第1の検出動作および第2の検出動作の両方が行われることはない。そのため、位置ずれの検出を含む往復動作の全体に要する時間を短縮することができる。したがって、往復動作の高速化を過度に妨げることなく、移動体の位置ずれを検出することができる。
さらに、前記モータは、サーボモータであり、前記位置ずれ検出部は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が少なくとも前記リミットセンサによって検出されるまで前記移動体を移動させるように前記サーボモータを制御したうえで、前記リミットセンサによって検出されたときの前記移動体の位置を前記サーボモータから取得し、当該位置と前記第3位置との差の絶対値が所定値よりも大きいと位置ずれが生じたと判定する。
このことにより、前記リミットセンサを流用することによって、移動体の位置ずれを検出することができる。
また、前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、前記位置ずれ検出部は、前記移動体の位置ずれ検出を所定の往復動作時に実行し、前記所定の往復動作時以外の他の往復動作時には実行しないように構成することも可能である。
このことにより、複数の往復動作において、位置ずれ検出を行う場合と行わない場合とが混在することになる。そのため、往復動作の度毎に位置ずれ検出を行う場合に比べて、往復動作の平均時間は短縮される。よって、往復動作の高速化を実質的に妨げることなく、移動体の位置ずれを検出することが可能となる。
前記位置ずれ検出部により検出した位置ずれ量を表示可能なモニターを備えさせることも可能である。
これによれば、モニターの表示により、移動体の位置ずれ量を的確に認識することができる。かかる検出結果に基づき、移動体を調整してその位置ずれを迅速に解消することができる。
さらには、上述したような往復移動装置の位置ずれ検出装置と、前記移動体として、被覆電線の切断および剥ぎ取りの少なくとも一方を行う一対の刃、またはそれらの刃を支持する一対のスライダと、を備えさせてカッター装置を構成してもよい。
このことにより、刃の位置ずれを好適に検出することのできるカッター装置を実現することができる。
本発明によれば、移動体の位置ずれを検出するための専用のセンサが不要となり、また、従来よりも少ない数のセンサによって位置ずれを検出することが可能となる。
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係る往復移動装置は、電線処理機16の一部をなすカッター装置3である。
電線処理機16は、被覆電線に対して切断、剥ぎ取り、および端子圧着の各処理を連続的に施す装置である。それらの処理によって、ハーネスが製造される。図1に示すように、電線処理機16は、所定の電線供給方向Pに沿って電線1を順次送り出すと共にその送り量を測長するための側長ユニット2と、電線1の切断および剥ぎ取り処理を行うカッター装置3と、カッター装置3に対して電線供給方向Pの上流側および下流側にそれぞれ配置されたフロント側クランプ装置4およびリア側クランプ装置5と、フロント側クランプ装置4およびリア側クランプ装置5によって把持された電線1の端部にそれぞれ端子を圧着するフロント側端子圧着ユニット6およびリア側端子圧着ユニット7と、各クランプ装置4,5をそれぞれ移動させるフロント側移動機構9およびリア側移動機構10と、製造されたハーネスを収容する排出トレイ(図示せず)等と、これらを支持する載置台12と、を備えている。なお、符号14,15は、電線1の被覆部の剥ぎ取り状態を検出するための光電センサを示している。
載置台12の近傍には、オペレータによって操作される操作盤(図示せず)が設けられ、載置台12の下側には、制御装置17が設けられている。
以上が電線処理機16の基本的構成である。このような電線処理機16の基本的構成は周知であるので、以下の説明では、電線処理機16を構成する各機器の詳細な説明は省略する。なお、本実施形態に係るカッター装置3を搭載する電線処理機16の構成は、上述の構成に何ら限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。
図2に示すように、カッター装置3は、サーボモータ41(図3参照)を有する駆動ユニット30と、サーボモータ41によって回転駆動されるボールねじ33と、ボールねじ33に嵌め込まれ、ボールねじ33の正逆回転に伴って上下に移動するスライダ32と、スライダ32に取り付けられた刃31と、スライダ32より外側の位置でボールねじ33に固定されるストッパ34とを備えている。これら駆動ユニット30、ボールねじ33、スライダ32、刃31およびストッパ34は、上下に一対設けられている。上下一対の刃31は、刃先が互いに向かい合うように配置されている。図5に示すように、各刃31には、切断部31aと剥ぎ取り部31bとが形成されている。剥ぎ取り部31bは、切断部31aの左右両側にそれぞれ設けられている。スライダ32の移動はストッパ34により一定範囲内に規制される。
図3に示すように、駆動ユニット30には、サーボモータ41と、サーボモータ41のモータ軸41aとボールねじ33とを連結するカプラー42と、が設けられている。また、駆動ユニット30には、コントローラ45と、サーボモータ41に駆動パルスを供給するサーボアンプ44と、サーボモータ41の回転角度を検出してフィードバック信号を生成するエンコーダ43と、が設けられている。
また、コントローラ45は、サーボモータ41の駆動パルス数に基づいて、スライダ32の位置を推定できるようになっている。すなわち、コントローラ45は、サーボモータ41に供給される駆動パルスの数に基づいてサーボモータ41の回転数を検出し、その回転数に基づいてスライダ32の移動量を算出し、その移動量に基づいてスライダ32の位置を推定できるようになっている。なお、刃31はスライダ32の所定位置に取り付けられているので、スライダ32の位置を推定することにより、刃31の位置も推定することができる。すなわち、カッター装置3では、スライダ32の位置を推定することにより、刃31の位置を間接的に推定することができる。
図3に示すように、カッター装置3には、所定の報知を行う報知機構46が設けられている。なお、報知機構46の設置位置は何ら限定されない。報知機構46は駆動ユニット30の内部に設けられていてもよく、駆動ユニット30の外部に設けられていてもよい。また、図示はしないがカッター装置3は、エラー表示および位置ずれ量が表示されるモニターを有している。なお、この場合、エラー表示は省略して、位置ずれ量だけを表示させても構わない。また、かかるモニターは必要に応じて備えさせればよい。
また、カッター装置3には、スライダ32の位置を検出する位置センサ50が設けられている。コントローラ45は、位置センサ50からの信号を受信するように構成されている。なお、本実施形態では、位置センサ50は、図示しない発光部と受光部とを有するフォトセンサによって形成されている。図5に示すように、スライダ32は、上記発光部からの光を遮るスリッタ51を有している。スライダ32の上下移動に伴ってスリッタ51が上記発光部からの光を遮ること、または遮られた光を上記受光部に向かって通過させることにより、位置センサ50のON/OFFが切り換えられる。本実施形態では、上記発光部からの光を遮ると位置センサ50はON状態となり、発光部からの光が受光部に到達すると位置センサ50はOFF状態となる。なお、スライダ32の位置が分かれば刃31の位置も分かるので、位置センサ50は、スライダ32を介して刃31の位置を検出するものでもある。
カッター装置3は、上下一対の刃31が互いに接近および離反するように上下に往復移動することにより、電線1の切断または剥ぎ取りを繰り返し行う。具体的には、電線1を切断する際には、まず、電線1が供給方向P(図1参照)に送り出され、上下一対の刃31における切断部31aの間に配置される。次に、この状態において、両刃31が互いに接近するように移動し、電線1が両刃31の切断部31aの間に挟み込まれ、切断される。電線1の被覆部分を剥ぎ取る際には、クランプ装置4,5が上記供給方向Pと直交する方向に移動し、クランプ装置4,5に把持された電線1の端部(先端よりも若干根元側の部分)が、上下一対の刃31における剥ぎ取り部31bの間に配置される。そして、この状態において、両刃31が互いに接近するように移動し、電線1の端部が両刃31の剥ぎ取り部31bの間に挟み込まれ、被覆部分に切り込みが入れられる。次に、クランプ装置4,5が電線1を根元側に引っ張る。これにより、電線1は、両剥ぎ取り部31bに挟まれた状態のまま根元側に引っ張られ、電線1の端部の被覆部分が剥ぎ取られる。
このように、電線1の切断処理および剥ぎ取り処理のいずれにおいても、上下一対のスライダ32が上下移動し、それに伴って上下一対の刃31も上下に移動することになる。前述したように、カッター装置3は電線1の切断、剥ぎ取りの一連の処理を連続的に実行するので、上述の刃31の上下移動は、繰り返し行われる。すなわち、上下一対のスライダ32および刃31は、それぞれ上下に往復移動する。
次に、スライダ32の位置ずれの検出方法について説明する。なお、以下ではスライダ32の位置ずれについて説明するが、刃31はスライダ32と一体となって移動するので、刃31もスライダ32と同様に往復移動することになる。そのため、スライダ32の位置ずれを検出することは、同時に、刃31の位置ずれを検出することでもある。また、上側のスライダ32と下側のスライダ32とは、上下対称の移動を行うだけであるので、以下の説明では、上側のスライダ32のみについて説明する。
まず、図5(a)および(b)に示すように、スライダ32が位置ずれすることなく正常に往復動している場合(通常制御が行われている場合)において、スライダ32が最下端に移動した際のスリッタ51の位置を第1位置K1とし、最上端に移動した際の位置を第2位置K2とする。また、図6(a)に示すように、位置センサ50の光軸Lとスリッタ51の下側の遮光部の上端51aとが一致した際のスリッタ51の位置を第3位置K3とする。
なお、前記通常制御の実行時に、何らかの異常等によってスリッタ51の下側の遮光部の上端51aが第2位置を超えて第3位置にまで到達すると、位置センサ50がそれを検出し、報知装置46によって所定の報知が行われる。また、これと同時に、モニターにはエラーおよび位置ずれ量が表示されることになる。これにより、スライダ32が通常の移動範囲(=第1位置と第2位置との間の範囲)を超えて移動してしまったことが容易に発見され、カッター装置3に異常が生じたことが認識される。
また、下向きの閉方向を第1方向D1、上向きの開方向を第2方向D2とする。さらに、図6(b)に示すように、スリッタ51の遮光部の上端51aが、前記第3位置K3よりも第1方向D1に所定距離離れて配される、スリッタ51の位置を第4位置K4とする。また、同図(c)に示すように、スリッタ51の遮光部の上端51aが、前記第3位置K3よりも第2方向D2に所定距離離れて配される、スリッタ51の位置を第5位置K5とする。本実施形態では、スリッタ51の遮光部の上端51aが位置センサ50の光軸Lを遮光すると、該位置センサ50はOFF状態からON状態に切り替わる。すなわち、位置センサ50の光軸Lが遮光された場合は、位置センサ50はON状態となり、光軸Lが透過する場合はOFF状態となる。このOFF状態/ON状態は、逆に構成してもよい。
図4に示すように、位置ずれ検出に際しては、まずステップS1において、コントローラ45によりスライダ32を上方向(第2方向D2)に向かって移動させ、ステップS2においてスリッタ51を第4位置K4で停止させる(図5(a)、図6(b)参照)。なお、この状態では、位置センサ50はOFF状態にある。
次に、コントローラ45は、ステップS3に進み、位置センサ50がON状態かOFF状態かを検出する。この場合、位置センサ50がON状態に切り替われば、ステップS4においてスライダ32の位置が上方向(第2方向D2)にずれていると判断する。これに基づいて、ステップS5に進み、モニターにエラーおよび位置ずれ量が表示されると共に、ステップS6で報知機構46が所定の報知を行う。かかる報知機構46によって、スライダ32が正規の位置よりも上方向(第2方向D2)にずれていることが報知される。以上で説明した一連の検出動作が、前記コントローラ45による「第1の検出動作」である。
一方、同図(b)に示すように、位置センサ50がOFF状態のままであれば、ステップS7に進み、スライダ32はさらに上方向(第2方向D2)に移動する。さらに、ステップS8においてスリッタ51が第5位置K5に到達した時点で、スライダ32は停止する。なお、かかるスライダ32の移動時には、報知機構46はコントローラ45によって動作しないように制御される。
その後、ステップS9において、位置センサ50がON状態かOFF状態かを検出する。位置センサ50がOFF状態のままであれば、スライダ32の位置が下方向(第1方向D1)にずれていると判断される。以上で説明した一連の検出動作が、前記コントローラ45による「第2の検出動作」である。
この場合は、ステップS10でスライダ32はさらに上方向(第2方向D2)に移動する。かかる移動時に、ステップS11で位置センサ50がOFF状態からON状態に切り替わると、ステップS12に進み、第1方向D1へのスライダ32の位置ずれ量が検出される。さらに、ステップS13でエラーおよび位置ずれ量が表示される共に、ステップS14で報知機構46が所定の報知を行う。
一方、ステップS9において、位置センサ50がON状態に切り替わると、コントローラ45はステップS15に進み、電線処理装置16において電線1が電線供給方向Pに送り出される。その後、ステップS16において、カッター装置3の上側のカッター31が下方向(第1方向D1)に移動し、スリッタ51が第1位置K1に移動した時点で、上下一対のカッター31の切断部31aにより電線1の被覆部が切断される。さらに、ステップS17に進み、電線1の被覆部はカッター31の剥ぎ取り部51bで剥ぎ取られる。
その後、スライダ32はステップS18において、上方向(第2方向D2)に移動し、スリッタ51が第2位置K2に移動した時点で停止する。さらに、ステップ19において、所望本数の電線1が連続加工された後、必要に応じて上記と同様にして第1および第2の検出動作が再度行われ、電線1の加工が連続して続行されることになる。
なお、該実施形態では、第1および第2の検出動作を同一の往復動作のときに実行しているが、別々の往復動作のときに個々に実行するようにしてもよい。また、上述の位置ずれ検出は、上記実施形態のように、切断動作または剥ぎ取り動作に先立って行う他、切断動作または剥ぎ取り動作の後に行ってもよい。さらには、スライダ32の上下移動の度毎に行ってもよく、上記実施形態の如く複数回の上下移動に対して1回だけ行っても構わない。
以上のように、本実施形態に係る位置ずれ検出装置55によれば、スライダ32の位置ずれを、位置センサ50のON/OFF状態に基づいて判断する。そのため、サーボモータ41の駆動パルスに基づいて判断する従来技術と異なり、電気系統の要因(電線の損傷等)だけでなく、駆動機構における物理的要因(ボールねじ33の歪みやカプラー42における滑り等)によってスライダ32の位置がずれた場合であっても、そのような位置ずれを検出することができる。本実施形態によれば、位置センサを複数設けなくても、そのような位置ずれ検出を行うことができる。すなわち、従来よりも少ない数のセンサによって、駆動機構における物理的要因に起因するスライダ32の位置ずれを検出することができる。さらに、本実施形態によれば、単にスライダ32の位置がずれていることだけでなく、スライダ32がどちらの方向にずれているかも検出することができる。
なお、このように本実施形態においては、第1および第2の検出動作を実行することより、第1方向D1および第2方向D2の両方向の位置ずれを検出し得るように構成している。しかるに、このような両方向の位置ずれを検出する必要がない場合等は、いずれか一方の位置ずれのみを検出するように構成してもよい。この場合は、第1位置K1から第2位置K2に向かって移動するスリッタ51を、少なくとも第3位置K3の近傍にまで移動させるように構成する。これにより、全体構成の簡略化が図れることになる。
また、報知機構46の具体的構成は何ら限定されない。報知機構46として、例えば、アラーム音等を発するブザーやスピーカなど、音を用いた機構を採用してもよい。さらに、ランプやパトライト(登録商標)など、視覚的に報知する報知機構を用いてもよい。また、報知機構46として、画像を表示する表示装置などを利用することも可能である。報知機構46は、スライダ32の位置が第1方向D1側または第2方向D2側にずれていることを報知する表示装置であってもよい。
さらに、位置センサ50は、スライダ32が所定の位置を通過することによってON/OFFが切り替えられるセンサであればよく、本実施形態のようなフォトセンサに限られない。位置センサ50として、磁気センサ等の他のセンサを用いることも可能である。
また、本実施形態では、位置センサ50によってスリッタ51を介してスライダ32の位置を検出していたが、位置センサ50によって刃31の位置を検出するようにしてもよい。その場合には、刃31が本発明に係る「移動体」に対応することになる。
なお、上記実施形態では、位置ずれ検出の際に、位置センサ50に基づく報知機構46の動作を一時的に解除するので、カッター装置3の全体の保護のため、ストッパ34の設置は重要である。但し、本発明を適用する機器等によってはストッパ34が不要な場合もあり、この場合は省略してもよい。
また、該実施形態においては、サーボモータ41に連結された駆動機構は、ボールねじ33であった。しかし、本発明に係る駆動機構は、ボールねじ33に限らず、その他の機構であってもよい。例えば、駆動機構として、伝動ベルト、歯車機構、リンク機構等を用いることも可能である。
さらに、移動体の駆動手段は上記実施形態の如きサーボモータ41に限定されず、他の種類のモータを使用してもよい。なお、サーボモータ41を駆動手段とする場合は、例えば次のように構成することが可能である。
<実施形態2>
本実施形態における各部の構成は全て上記実施形態1と同様であるために、その詳細な説明は省略し、位置ずれを検出する一連の流れについてのみ説明する。
図7に示すように、まずスリッタ51を前記第1位置K1と第2位置K2間の外側に配置された状態で、ステップS30において、スライダ32をサーボモータ41により第2方向D2に移動させる。次に、ステップS31に進み、スリット51の遮光部の上端51aが位置センサ50の光軸Lを通過して、位置センサ50がON状態に切り替わったことを確認する。この位置センサ50がON状態となったスリッタ51の位置を、ステップS32でコントローラ45に記憶させた後、スライダ32を停止させる。
次に、コントローラ45はステップS34に進み、位置センサ50がON状態に切り替わったスリッタ51の位置(前記第1位置K1または第2位置K2からのスリッタ51の移動量)から、前記第3位置K3の位置(前記第1位置K1または第2位置K2から第3位置K3までの距離)を減算し、その絶対値が許容範囲X以下であるか否かが判断される。この許容範囲Xの値は、刃31に若干の位置ずれがあっても、支障なく電線1の加工が行える範囲として予め設定されている。減算の結果、許容範囲Xよりも大きい場合は、スライダ32が上方向(第1方向D1)または下方向(第2方向D2)のいずれかの方向にずれしていると判断される。さらに、ステップS36でモニターにエラーメッセージおよび位置ずれ量(ON位置から第3位置を減算した量)が表示される。また、報知機構46により位置ずれを検出したことが報知される。
一方、前記許容範囲X内である場合は、ステップS38乃至ステップS42において、上記実施形態1と同様にして電線1の一連の加工が行われる。本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明に係る往復移動装置は、上記各実施形態のようなカッター装置3に限定される訳ではなく、他の広範な用途に利用することができる。その他、往復移動する移動体も、上下に移動するものに限定される訳ではない。
以上のように、本発明は、移動体を往復移動させるサーボモータ等の駆動手段を有する往復移動装置の位置ずれ検出装置およびそれを備えたカッター装置について有用である。
電線処理機の全体構成を示す平面図である。 (a)はカッター装置の正面図、(b)はカッター装置の側面図である。 カッター装置の駆動ユニットの構成図である。 スライダの位置ずれ検出方法のフローチャートである。 (a)および(b)は通常制御がなされている状態を示す図である。 (a)はスライダを第3位置に移動させた状態を示す図であり、(b)はスライダを第4位置に移動させた状態を示す図であり、(c)スライダを第5位置に移動させた状態を示す図である。 実施形態2に係るスライダの位置ずれ検出方法のフローチャートである。
符号の説明
3 カッター装置(往復移動装置)
30 駆動ユニット
31 刃
32 スライダ(移動体)
33 ボールねじ(駆動機構)
41 サーボモータ(モータ)
45 コントローラ(制御装置)
46 報知装置
50 リミットセンサ(位置センサ)
55 位置ずれ検出装置
D1 第1方向
D2 第2方向
K1 第1位置
K2 第2位置
K3 第3位置
K4 第4位置
K5 第5位置

Claims (9)

  1. モータと、
    前記モータに連結された駆動機構と、
    前記駆動機構によって往復移動するように駆動される移動体と、
    前記移動体が所定の第1位置と第2位置との間で往復移動するように前記モータを制御する通常制御を実行可能な制御装置と、
    前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体が前記第2位置を超えて所定の第3位置に到達したことを検出するリミットセンサと、
    前記移動体が前記第3位置に到達したことが前記リミットセンサによって検出されると、所定の報知を行う報知装置と、
    を備えた往復移動装置における前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出装置であって、
    前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第1方向に所定距離離れた位置を第4位置とし、
    前記制御装置は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第4位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第4位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達したことが検出されると前記移動体の位置がずれていると判定する位置ずれ検出部を備えている、
    往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  2. モータと、
    前記モータに連結された駆動機構と、
    前記駆動機構によって往復移動するように駆動される移動体と、
    前記移動体が所定の第1位置と第2位置との間で往復移動するように前記モータを制御する通常制御を実行可能な制御装置と、
    前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体が前記第2位置を超えて所定の第3位置に到達したことを検出するリミットセンサと、
    前記移動体が前記第3位置に到達したことが前記リミットセンサによって検出されると、所定の報知を行う報知装置と、
    を備えた往復移動装置における前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出装置であって、
    前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第2方向に所定距離離れた位置を第5位置とし、
    前記制御装置は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第5位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第5位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達しなかったことが検出されると前記移動体の位置がずれていると判定する位置ずれ検出部を備えている、
    往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  3. モータと、
    前記モータに連結された駆動機構と、
    前記駆動機構によって往復移動するように駆動される移動体と、
    前記移動体が所定の第1位置と第2位置との間で往復移動するように前記モータを制御する通常制御を実行可能な制御装置と、
    前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体が前記第2位置を超えて所定の第3位置に到達したことを検出するリミットセンサと、
    前記移動体が前記第3位置に到達したことが前記リミットセンサによって検出されると、所定の報知を行う報知装置と、
    を備えた往復移動装置における前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出装置であって、
    前記第2位置から前記第1位置に向かう方向を第1方向とし、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向を第2方向とし、前記第3位置から前記第1方向に所定距離離れた位置を第4位置とし、前記第3位置から前記第2方向に所定距離離れた位置を第5位置とし、
    前記制御装置は、
    前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第4位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第4位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達したことが検出されると前記移動体の位置が前記第2方向にずれていると判定する第1の検出動作と、
    前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が前記第5位置に向かって前記第2方向に移動し、前記第5位置で停止するように前記モータを制御したうえで、前記移動体が前記第3位置に到達したか否かを前記リミットセンサによって検出し、前記移動体が前記第3位置に到達しなかったことが検出されると前記移動体の位置が前記第1方向にずれていると判定する第2の検出動作と、
    を実行する位置ずれ検出部を備えている、
    往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  4. 前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、
    前記第1の検出動作と前記第2の検出動作とは、同一の往復動作のときに実行される、
    請求項に記載の往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  5. 前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、
    前記第1の検出動作と前記第2の検出動作とは、別々の往復動作のときに実行される、
    請求項に記載の往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  6. モータと、
    前記モータに連結された駆動機構と、
    前記駆動機構によって往復移動するように駆動される移動体と、
    前記移動体が所定の第1位置と第2位置との間で往復移動するように前記モータを制御する通常制御を実行可能な制御装置と、
    前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する前記移動体が前記第2位置を超えて所定の第3位置に到達したことを検出するリミットセンサと、
    前記移動体が前記第3位置に到達したことが前記リミットセンサによって検出されると、所定の報知を行う報知装置と、
    を備えた往復移動装置における前記移動体の位置ずれを検出する位置ずれ検出装置であって、
    前記モータは、サーボモータであり、
    前記制御装置は、前記報知装置の動作を停止させ、かつ、前記移動体が少なくとも前記リミットセンサによって検出されるまで前記移動体を移動させるように前記サーボモータを制御したうえで、前記リミットセンサによって検出されたときの前記移動体の位置を前記サーボモータから取得し、当該位置と前記第3位置との差の絶対値が所定値よりも大きいと位置ずれが生じたと判定する位置ずれ検出部を備えている、
    往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  7. 前記制御装置は、前記通常制御の際に、前記移動体が前記第1位置と前記第2位置との間を往復する往復動作を繰り返し実行するように前記モータを制御し、
    前記位置ずれ検出部は、前記移動体の位置ずれ検出を所定の往復動作時に実行し、前記所定の往復動作時以外の他の往復動作時には実行しない、
    請求項1〜のいずれか一つに記載の往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  8. 前記位置ずれ検出部により検出した位置ずれ量を表示可能なモニターを備えさせてなる、
    請求項1〜のいずれか一つに記載の往復移動装置における位置ずれ検出装置。
  9. 請求項1〜のいずれか一つに記載の往復移動装置の位置ずれ検出装置と、
    前記移動体として、被覆電線の切断および剥ぎ取りの少なくとも一方を行う一対の刃、
    またはそれらの刃を支持する一対のスライダと、を備えたカッター装置。
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