以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態の説明を行う。尚、それぞれの図において、同一の部分または対応する部分には同一の参照符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
(インターロック機構に含まれる部材を用いた係合装置の概要)
先ず、エレベータの乗り場ドアに設けられるインターロック機構の一部の部材を、エレベータドアの係合装置の一実施形態に用いた場合の構成と動作の概要について説明を行う。図1は、インターロック機構に含まれる部材を用いた係合装置の実施形態が適用される乗りかご室のドア(乗りかごドア)の一例の全体を示し、乗りかごドアを昇降路の外の乗り場側から見た図である。図1には、いわゆる横開きの2枚戸両開き方式の乗りかごドアパネル102および104を示している。しかし、本発明は両開き方式か片開き方式かに依存するものではなく、また、ドアを構成する枚数に依存するものでもない。乗りかごが着床階に到着し、停止したことが確認されると、乗りかごドアパネル102および104は、乗りかごドアベルト106を介して、乗りかごに設けられた乗りかごドア駆動部108に含まれる乗りかごドアモータ(図示せず)の動力によって、連動して開閉する。乗りかごドアパネル102には、乗りかごドアパネル102の運動を着床階に設けられた乗り場ドアに伝える乗りかごドア側係合部110が設けられている。
図2(a)は、図1に示した乗りかごドアの一例の乗りかごドア側係合部110を含む部分の図1の拡大図である。乗りかごドア側係合部110は、2つのリンク部材202および204を含む。リンク部材202および204は、乗りかごドアパネル102に固定されたプレート206に対して、その中央部分が、それぞれ固定部材208および210によって揺動自在に取り付けられている。固定部材208および210は、これらの中心が昇降方向の直線上にあるように配置されている。2つのリンク部材202および204は、それぞれ、乗りかごドアパネル102の開方向側、すなわち戸袋側の連結部212a、212bで、戸袋側係合刃(第1の係合刃)216に連結され、乗りかごドアパネル102の閉方向側、すなわち戸当たり側の連結部214a、214bで、それぞれ、戸当たり側係合刃(第2の係合刃)218に連結されている。第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗りかごの昇降方向に平行に配設される。また、2つのリンク部材202および204は、図2(a)に示すように、乗りかごドアパネル102に平行な平面にあって、第1の係合刃216および第2の係合刃218に対して、例えば、斜めに配設される。第1の係合刃216および第2の係合刃218と、リンク部材202および204は、上述したように連結されているため、例えば、第1の係合刃216を押し下げる力が加わると、連結部212a、212bが下方に移動し、リンク部材202および204を介して、連結部214a、214bが上方に移動するため、第2の係合刃218は上方に移動する。この場合、第1の係合刃216、第2の係合刃218、リンク部材202、204が連結されているため、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が変化する。この間隔は、図2(a)に示したような形態で連結されている場合には、狭くなる。
前述したように、乗りかごドアパネル102は、乗りかごドアベルト106を介して、乗りかごに設けられた乗りかごドア駆動部108に含まれる乗りかごドアモータ(図示せず)の動力によって、開閉する。乗りかごドアパネル102の上方にある、乗りかごドアの上部パネル220には乗りかごドアの開閉方向に平行にハンガーレール222が固定されている。乗りかごドアパネル102の上方には乗りかごドア吊り部材224a、224bが固定されており、これら乗りかごドア吊り部材224a、224bの上方には、それぞれ、乗りかごドアローラ226a、226bが設けられている。乗りかごドアローラ226a、226bはハンガーレール222上を移動する。すなわち、乗りかごドアパネル102は、乗りかごドアローラ226a、226bおよび乗りかごドア吊り部材224a、224bを介して、ハンガーレール222に吊り下げられた状態で、開閉する。乗りかごドアパネル104も、対応する乗りかごドアローラおよび乗りかごドア吊り部材を介して、同様に、ハンガーレール222に吊り下げられた状態で、乗りかごドアパネル102に連動して開閉する。
第1の係合刃216の上部には、乗りかごドア側係合刃ローラ228が設けられている。乗りかごドアの上部パネル220には、乗りかごドアパネル102の開閉方向に、ほぼ平行に係合刃ローラガイド部材230が固定されている。例えば、第1の係合刃216が適切な力で上方に付勢されるか、あるいは第2の係合刃218が適切な力で下方に付勢される等のメカニズムによって、第1の係合刃216は上方に移動しようとするが、乗りかごドア側係合刃ローラ228が係合刃ローラガイド部材230に接すると、それ以上、上方に動くことはできない。すなわち、第1の係合刃216の昇降方向の移動は係合刃ローラガイド部材230によって制限され、第1の係合刃216の昇降方向の位置が定まる。乗りかごドアパネル102が完全な閉状態のときに乗りかごドア側係合刃ローラ228が接する係合刃ローラガイド部材230の部分230aは、乗りかごドアパネル102から遠ざかる方向、すなわち上向きに曲げられている。したがって、乗りかごドアパネル102が完全な閉状態から少し開方向、すなわち戸袋側に移動すると、乗りかごドア側係合刃ローラ228が係合刃ローラガイド部材230によって押し下げられ、第1の係合刃216が押し下げられる。前述したように、図2(a)に示したような場合には、第1の係合刃216が押し下げられると、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が所定の値まで狭くなる。逆に言うと、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔は所定の値以下にはならないように設定されている。第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が変化する作用は、後ほど述べる、乗り場ドアのインターロックの動作に関連する。
図2(b)は、乗りかごドア側係合部110を上方から見たときの模式図である。第1の係合刃216と第2の係合刃218の対向する面216a、218aは、例えば、乗りかごドアパネル102に垂直かつ昇降方向(図2(b)に垂直な方向)に平行な部分を含む。図2(b)に示した実施形態において、第1の係合刃216と第2の係合刃218はL字形となっている。本願において第1の係合刃216のうち面216aを含む板状の部分、および第2の係合刃218のうち218aを含む板状の部分を、それぞれ側板部217および側板部219と呼ぶ。
図3は、図1に示した乗りかごドアの一例に対応する乗り場ドアの一例を昇降路側から見た図である。したがって、図3に示すそれぞれの乗り場ドアパネル302および304は、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に対応する。乗り場ドアパネル302および304は、それぞれ、図1に示した乗りかごドアパネル102および104に連動して開閉するが、通常のエレベータシステムにおいては、着床階に乗りかごが停止していないときに、誤作動によって開いてしまうと危険なため、乗り場側には乗り場ドアパネル302および304を開閉させるための動力装置は備えられていない。さらに、乗り場ドアパネル302および304には、着床階に乗りかごが停止していないときに、乗り場ドアパネル302および304が開くことを防止するインターロック部306が備えられている。本実施形態によるインターロック部306は、乗り場ドア側係合部を含む。乗りかごが着床階に到着し所定の位置に停止すると、乗り場ドアパネル302に設けられた乗り場ドア側係合部と、乗りかごドア側係合部110が係合し、乗り場ドアは乗りかごドアによって開閉する。図3には、乗り場ドアパネル304を乗り場ドアパネル302に連動して開閉させる部材等が取り付けられ、乗り場のドアの上方に設けられた乗り場ドアの上部パネル308も示している。
次に、図4を参照しながら、一実施形態による乗り場ドアに設けられるインターロック部306について説明する。乗り場ドアパネル302の昇降路側には、その先端部に爪状の掛止部404が形成された第1のインターロック部材(掛止部材)402が、掛止部404が揺動自在になるように取り付けられている。乗り場ドアパネル304の昇降路側には、凹部の被掛止部が形成された第2のインターロック部材(被掛止部材)406が固定されている。図4は、第1のインターロック部材402と、第2のインターロック部材406とがインターロックされた状態を示している。すなわち、図4において、乗り場ドアパネル302と304は、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406を介して、インターロックされている。第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406は、インターロックされた状態において、乗り場ドアパネル302と304の少なくとも一方に開方向の力が加えられても、乗り場ドアパネル302と304が開かないような形状、強度で形成されている。図に示した乗り場ドアのインターロック状態は、その乗り場ドアが設置された着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止し、乗りかごドアが開き始めるまで維持され、安全性が確保される。
また、本実施形態における第1のインターロック部材402は第1のローラ取付け軸408によって、軸408の中間部で軸支され、第1のローラ取付け軸408はベースプレート410に取り付けられ、ベースプレート410は、例えば2本の取付けネジ412aおよび412bによって乗り場ドアの上方に設けられた乗り場ドアの上部パネル308に固定されている。第1のローラ取付け軸408は、ベアリング(図示せず)を介して、第1のローラ414を回動自在に軸支する。また、図に示すように、第1のインターロック部材402には、インターロックされた状態において、第1のローラ取付け軸408よりも乗り場ドアパネル304側、すなわち戸当たり側に設けられた第2のローラ取付け軸416が昇降路側に突き出すように設けられている。第2のローラ取付け軸416の昇降路側には、ベアリング(図示せず)を介して、第2のローラ418が回動自在に軸支されている。第1のローラ414の径と第2のローラ418の径は、通常、同一値に設計される。インターロックの動作に関しては、後ほど図6を参照しながら説明を行う。
図5に、乗り場ドア装置に乗りかごドア側係合部110が係合した状態を示す。すなわち、乗り場ドアパネル302、304が設けられた着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止した状態における、乗り場ドアパネル302に設けられたインターロック部306の部材と乗りかごドア側係合部110の係合状態を示す。
図5(a)は、係合状態を昇降路側から見た図である。尚、係合状態を明らかにするために、乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は、図5(a)には示していない。乗り場ドアパネル302、304が設けられた着床階に乗りかごが到着し、所定の位置に停止した状態においては、インターロック部306の第1のローラ414および第2のローラ418は、乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216および第2の係合刃218の間に位置する。このとき、インターロック部306の第1のインターロック部材402および第2のインターロック部材406はインターロックされた状態にある。
図5(b)は、図5(a)でI−I’で示した部分を上側から見た模式図である。図5(b)には、乗り場ドアパネル302に対応する乗りかごドアパネル102を併せて示している。
図6を参照しながら、図5に示した実施形態におけるインターロックの動作の一例を説明する。図6(a)は図5(a)に示したインターロック部306を拡大した図であり、乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は、図6には示していない。図6(a)に示す状態においては、第1のインターロック部材の掛止部404は凹部の被掛止部が形成された第2のインターロック部材(被掛止部材)406に掛止しており、第1のインターロック部材402および第2のインターロック部材406はロックされた状態にある。この状態においては第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隙はAである。
図6(b)に示す状態においては、第1のインターロック部材の掛止部404は、上方に移動し、凹部の被掛止部が形成された第2のインターロック部材406との掛止状態が解かれている。すなわち、図6(b)は、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのインターロックが解除された状態を示す。図2を参照しながら前述したように、乗りかごドアパネル102が完全な閉状態から少し開方向に移動すると、第1の係合刃216が押し下げられ、第2の係合刃218が押し上げられることによって、第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隙が所定の値A’(A’<A)まで狭くなる。前述したように第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔は所定の値以下にはならないように設定される。第1の係合刃216の側板部217の第2の係合刃218に対向する面216aと、第2の係合刃218の側板部219の第1の係合刃216に対向する面218aとの最小間隔を、例えば、第1のローラ414および第2のローラ418の直径に略等しくなるように設定することができる。第1の係合刃216と第2の係合刃218の乗りかごドアパネル102の開閉方向の間隔が狭くなると、第2のローラ418が第2の係合刃218によって第1の係合刃216側、すなわち戸袋側に押され、これに伴って第1のインターロック部材402はその掛止部404が、図6(b)に示すように、上がる方向に揺動する。第1のインターロック部材402の掛止部404が上方に揺動すると、図6(b)に示すように、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除される。ここで、第1のインターロック部材402の掛止部404が上方に揺動し、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除されるためには、第2のローラ418が、戸当たり側に配置された第2の係合刃218によって第1の係合刃216側に、すなわち戸袋側に押される必要があることに注意する必要がある。
次に、図7を参照しながら、乗り場ドアパネル302および304をそれぞれ含む乗り場ドアの開閉動作を説明する。尚、本図においても乗りかごドアの部材については、第1の係合刃216および第2の係合刃218等を含む乗りかごドア側係合部110以外は示していない。また、図1を参照しながら前述したように、本図では図示しない乗りかごドアパネル102および104をそれぞれ含む乗りかごドアは、乗りかごに設けられた乗りかごドア駆動部108に含まれる乗りかごドアモータ(図示せず)の動力によって、連動して開閉する。係合刃216、218を含む乗りかごドア側係合部110は乗りかごドアパネル102に取り付けられているから、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアは、係合刃216、218とともに開閉方向に移動する。乗りかごドアパネル104を含む乗りかごドアは、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアに連動して開閉方向に移動する。
図7を参照しながら、火災が発生していない平常時における乗り場ドアの開閉動作を説明する。図7(a)に、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除されているが、乗り場ドアパネル302および304をそれぞれ含む乗り場ドアは閉じている状態を示す。乗り場側には乗り場ドアを開閉させる動力源は備えられていないため、何らかの外力が加わらないと乗り場ドアは閉じたままの状態を保つ。
乗りかごに設けられた乗りかごドア駆動部108に含まれる乗りかごドアモータ(図示せず)の動力によって乗りかごドアが開く方向、すなわち戸袋側の方向に移動するとき、乗りかごドアパネル102に取り付けられている係合刃216および218も乗りかごドアパネル102とともに乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアの開方向に移動する。第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗り場ドア302に取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418に係合しているため、第1のローラ414および第2のローラ418、およびこれらのローラが取り付けられている乗り場ドア302は、乗りかごドアパネル102を含む乗りかごドアとともに乗り場ドア302の開方向に移動する。乗り場ドア304は、乗り場ドア302に連動して開閉するため、乗り場ドア304の開方向に移動する。このような動作によって乗り場ドア302、304が開いた状態を図7(b)に示す。以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、乗りかごドアパネル102の戸当たり側に取り付けられている第2の係合刃218が乗り場ドア302に取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418を戸袋側に押すことによって、乗り場ドアが開く。すなわち、第2の係合刃218は、乗り場ドアを開方向に移動させるドア開放用係合刃の機能を有する。したがって、乗りかごドアに取り付けられている第2の係合刃218によって乗り場ドアに取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418をドアの開方向に押すことができない状態になると、乗り場ドアを開けることはできない。本実施形態において、第1のローラ414および第2のローラ418は、インターロック部306を構成する要素であるとともに、係合装置の乗り場ドア側係合部としての機能を果たす構成要素でもある。
尚、図7(b)に示したドアが開いた状態から図7(a)に示したドアが閉じた状態にするときには、乗り場ドアに取り付けられている第1のローラ414および第2のローラ418を、乗りかごドアに取り付けられている第1の係合刃216によって、ドアの閉方向、すなわち戸当たり側に押すことによって乗り場ドアを閉じる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を、図8および図9を参照しながら説明する。この実施形態においては、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414および第2のローラ418は、熱溶解性の高分子材料でできており、これらのローラの温度が火災等によって所定の値以上になると、溶解し、それぞれ、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416から外れ消失する。また、第2の係合刃218の側板部219には、火災が発生していない平常時にエレベータの乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、それぞれ第1のローラ414および第2のローラ418に係合する位置に、切り欠き部が形成されている。
図8(a)に、平常時に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414および第2のローラ418と、乗りかご側係合部の第1の係合刃216および第2の係合刃218が係合している状態を、昇降路側から見た図を示す。第2の係合刃218の側板部219には第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804が形成されている。第1のローラ414および第2のローラ418は、一部がそれぞれ、第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804に入っている。
図8(b)に、図8(a)でJ−J’で示した位置から第2の係合刃218側、すなわち戸当たり側を見た図を示す。乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート410には、昇降方向の寸法がdであって昇降路側に突出する第1のローラ取付け軸408の一端が固定されている。第1のローラ取付け軸408の他端側には熱溶解性高分子材料からなり直径がDである第1のローラ414が回動自在に取り付けられている。第1のローラ取付け軸408のベースプレート410への取付け位置と第1のローラ414の取付け位置と中間部には、掛止部を有する第1のインターロック部材402が揺動自在に軸支されている。また、第1のインターロック部材402には、昇降方向の寸法がdである第2のローラ取付け軸416が昇降路側に突出するように一端が固定されている。第2のローラ取付け軸416の他端側には熱溶解性高分子材料からなり直径がDである第2のローラ418が回動自在に取り付けられている。尚、第1のローラ取付け軸408の一端は、ベースプレート410を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。
前述したように、乗りかごのドアパネルに取り付けられた乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216の側板部217および第2の係合刃218の側板部219は、乗りかごが平常時に乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場側ドアに取り付けられた第1のローラ414および第2のローラ418に係合する。係合したときに第1のローラ414および第2のローラ418を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する第2の係合刃218の側板部219には、平常時に乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、それぞれ第1のローラ414および第2のローラ418に係合する位置に、第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804が形成されている。第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804の昇降方向の寸法はSであり、Sの値は、ローラ414、418の昇降方向の寸法Dに比べて小さく、ローラ取付け軸408、416の昇降方向の寸法dに比べて大きい。すなわちd<S<Dの関係がある。実施にあたっては、関連する部材の寸法誤差、組立または取付け作業等による誤差を見込んでSの値を設定する。第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804の乗降方向の寸法Tは、ローラ414、418が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような値とする。例えば、第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804の乗降方向の寸法Tを、ローラ414、418が消失したときに、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416に接触しないような値にする。尚、第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804は必ずしも矩形に形成する必要はなく、ローラ414、418が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような任意の形態に形成することができる。
図9(a)および(b)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図9(a)は図8(b)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図9(b)は図9(a)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219には2つの切り欠き部802、804が形成されている。図示した例においては、切り欠き部802、804は矩形状に形成されている。図9(c)に本実施形態においてローラ414、418が消失した状態で、乗りかごが消失したローラが設けられていた乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときの、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる部材と乗りかごの乗り場側に取り付けられた第2の係合刃218との相互関係を示す。ローラ414、418が消失しており、第2の係合刃218の側板部219には、ローラ414、418が消失したときに乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような任意の形態の切り欠き部が形成されているため、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても、ローラ414、418が消失した乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、従来の係合装置に備えられている乗り場ドアのインターロック機構の構成要素であるローラを活用しつつ、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、乗り場ドアに取り付けられた熱溶解性高分子材料からなるローラ414、418が火災等によって消失することによって、簡潔な構成でローラ414、418が消失した乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態における第2の係合刃218の側板部219に形成された切り欠き部の部分を平常時には塞ぐ熱溶解性高分子材料からなるプレートを設けたものである。図10を参照しながら本実施形態の一例の説明を行うが、第1の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。図10に、第2の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図10(a)に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414および第2のローラ418と、乗りかご側係合部の戸当たり側の係合刃である第2の係合刃218が平常時に係合している状態を、戸袋側の係合刃である第1の係合刃216から戸当たり方向に見た図を示す。第1の実施形態と同様に、第2の係合刃218の側板部219には図示しない第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804が形成されている。第2の係合刃218の側板部219には、それぞれ第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804を塞ぐ熱溶解性高分子材料からなるプレート1002および1004が取り付けられている。
図10(b)および(c)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図10(b)は図10(a)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図10(c)は図10(b)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219には図示しない2つの切り欠き部802、804が第1の実施形態と同様に形成されているが、これらの切り欠き部は第2の係合刃218の側板部219に取り付けられた熱溶解性高分子材料からなるプレート1002および1004によって、それぞれ塞がれている。
乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた第1のローラ414および第2のローラ418は、平常時においては、それぞれ熱溶解性高分子材料からなるプレート1002および1004が取り付けられた位置で乗りかごに取り付けられた第2の係合刃218と係合する。火災等の熱によってローラ414、418が溶解し消失するときには、熱溶解性高分子材料からなるプレート1002および1004も溶解し、第2の係合刃218の側板部219から外れる。このような状態になると、図9(c)に示した第1の実施形態の場合と全く同じ状態となり、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても、ローラ414、418が消失した乗り場ドアは開かない。尚、以上述べた本実施形態の説明および図10においては、第2の係合刃218の側板部219に形成された2つの切り欠き部802、804の両方を熱溶解性高分子材料からなるプレートによって塞ぐ形態としたが、切り欠き部802および切り欠き部804のいずれか一方のみを熱溶解性高分子材料からなるプレートによって塞ぐ形態としてもよい。熱溶解性高分子材料からなるプレートによって塞がれない切り欠き部には、第1の実施形態による効果が及ぶためである。
本実施形態によれば、第1の実施形態による効果に加えて、平常時における第2の係合刃218の補強およびローラ414、418の係合時の脱落を防ぐことができる係合装置が提供される。
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態における第2の係合刃218の側板部219に形成された切り欠き部の部分を平常時には塞ぐプレートを熱溶解性高分子材料からなる部材によってドア開放用係合刃の側板部に接合したものである。本実施形態におけるプレートは熱溶解性である必要はなく、例えば、鉄鋼等の金属であってもよい。図11を参照しながら本実施形態の一例の説明を行うが、第1の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。
図11に、第3の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図11(a)に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414および第2のローラ418と、乗りかご側係合部の戸当たり側の係合刃である第2の係合刃218が平常時に係合している状態を、戸袋側の係合刃である第1の係合刃216から戸当たり方向に見た図を示す。第1の実施形態と同様に、第2の係合刃218の側板部219には図示しない第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804が形成されている。第2の係合刃218の側板部219には、それぞれ第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804を塞ぐプレート1102および1104が熱溶解性高分子材料からなる接合部材1106によって接合されている。接合部材1106としては、例えば、適切な熱溶解性高分子材料からなる接着剤、適切な熱溶解性高分子材料からなるネジまたは接合ピン等を用いることができる。
図11(b)および(c)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図11(b)は図11(a)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図11(c)は図11(b)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219には図示しない2つの切り欠き部802、804が第1の実施形態と同様に形成されているが、これらの切り欠き部は第2の係合刃218の側板部219に熱溶解性高分子材料からなる接合部材1106によって接合されたプレート1102および1104によって、それぞれ塞がれている。
乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた第1のローラ414および第2のローラ418は、平常時においては、それぞれプレート1102および1104が取り付けられた位置で乗りかごに取り付けられた第2の係合刃218と係合する。火災等の熱によってローラ414、418が溶解し消失するときには、熱溶解性高分子材料からなる接合部材1106も溶解し、プレート1102および1104は第2の係合刃218の側板部219から外れる。このような状態になると、図9(c)に示した第1の実施形態の場合と全く同じ状態となり、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても、ローラ414、418が消失した乗り場ドアは開かない。尚、以上述べた本実施形態の説明および図11においては、第2の係合刃218の側板部219に形成された2つの切り欠き部802、804の両方をプレート1102および1104によって塞ぐ形態としたが、切り欠き部802および切り欠き部804のいずれか一方のみをプレートによって塞ぐ形態としてもよい。
本実施形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態による効果に加えて、平常時における第2の係合刃218の係合部分が、さらに、補強された係合装置が提供される。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を、図12を参照しながら説明する。この実施形態においては、第1の実施形態ないし第3の実施形態とは異なり、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414’および第2のローラ418’は、一実施形態において高分子材料からなるが、必ずしも熱溶解性の高分子材料で形成されている必要はなく、他の実施形態においては不燃性の材料によって構成してもよい。したがって、これらのローラの温度が火災等によって所定の値以上になったときでも、それぞれ、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416から外れ消失するとは限らない。
図12に、第4の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図12(a)に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414’および第2のローラ418’と、乗りかご側係合部の戸当たり側の係合刃である第2の係合刃218が平常時に係合している状態を、戸袋側の係合刃である第1の係合刃216から戸当たり方向に見た図を示す。第1のローラ414’および第2のローラ418’の材質が熱溶解性の高分子材料に限定されない点を除くと、インターロック部306の構成は第1の実施形態における構成と同一である。すなわち、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート410には、昇降方向の寸法がdであって昇降路側に突出する第1のローラ取付け軸408の一端が固定されている。第1のローラ取付け軸408の他端側には直径がDである第1のローラ414’が回動自在に取り付けられている。第1のローラ取付け軸408のベースプレート410への取付け位置と第1のローラ414’の取付け位置と中間部には、掛止部を有する第1のインターロック部材402が揺動自在に軸支されている。また、第1のインターロック部材402には、昇降方向の寸法がdである第2のローラ取付け軸416が昇降路側に突出するように一端が固定されている。第2のローラ取付け軸416の他端側には直径がDである第2のローラ418’が回動自在に取り付けられている。尚、第1のローラ取付け軸408の一端は、ベースプレート410を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。
乗りかごのドアパネルに取り付けられた乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216および第2の係合刃218のうち、第2の係合刃218は、乗りかごが平常時に乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場側ドアに取り付けられた第1のローラ414’および第2のローラ418’に係合し、その側板部219によって、第1のローラ414’および第2のローラ418’を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する。
乗りかごのドアパネルに取り付けられた乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216の側板部217および第2の係合刃218の側板部219は、乗りかごが平常時に乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場側ドアに取り付けられた第1のローラ414’および第2のローラ418’に係合する。本実施形態においては、係合したときに第1のローラ414’および第2のローラ418’を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する第2の係合刃218の側板部219の一部は、熱溶解性高分子材料からなるプレート1202で構成されている。熱溶解性高分子材料からなるプレート1202は、側板部219の、平常時に乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに第1のローラ414’および第2のローラ418’に係合する位置に配置される。プレート1202の昇降方向の寸法S’は、ローラ414’、ローラ418’の昇降方向の寸法Dに比べて大きい。すなわちD<S’の関係がある。図12(a)には、プレート1202の昇降方向の寸法S’が、第2のローラ418’の上端から第1のローラ414’の下端までの距離よりも長い形態を示している。熱溶解性高分子材料からなるプレート1202は、図12(a)に示したように1枚構成としてもよいし、第1のローラ414’および第2のローラ418’それぞれに対応する2枚構成としてもよい。さらに、第2の係合刃218の側板部219の略全長を熱溶解性高分子材料からなるプレート1202によって構成してもよい。実施にあたっては、関連する部材の寸法誤差、組立または取付け作業等による誤差、およびプレートンの強度を考慮して、プレート1202の昇降方向の寸法S’の値を設定する。プレート1202は、例えば、側板部219の一部にプレート1202の寸法に対応する切り欠き部を形成し、その切り欠き部を塞ぐように設けることができる。プレート1202の乗降方向の寸法は、プレート1202が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような値とする。例えば、第1の切り欠き部802および第2の切り欠き部804の乗降方向の寸法を、プレート1202が消失したときに、第1のローラ414’、第2のローラ418’、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416に接触しないような値にする。尚、プレート1202は必ずしも矩形に形成する必要はなく、プレート1202が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような任意の形態に構成することができる。
図12(b)および(c)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図12(b)は図12(a)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図12(c)は図12(b)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219の一部が、熱溶解性高分子材料からなるプレート1202で構成されている。
本実施形態において熱溶解性高分子材料からなるプレート1202が消失した状態で、乗りかごが消失したプレート1202が設けられていた乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときには、プレート1202が消失しているために、第2の係合刃218の側板部219はローラ414’、418’等の乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しない。このため、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
本実施形態は、様々な形態に変形することができる。本実施形態においては、従来の係合装置に備えられている乗り場ドアのインターロック機構の構成要素であるローラを乗り場ドア側係合部としても用いているが、乗りかごドアと乗り場ドアの係合機構と乗り場ドアのインターロック機構を分離すれば、乗り場ドア側係合部の形態の自由度が増す。例えば、乗り場ドア側係合部はローラである必要はなく、その断面形状も矩形等にすることができる。また、乗り場ドア側係合部の数を1とすることもできる。前述したように、プレート1202の寸法は、所定の条件を満たす範囲で任意である。さらに、プレート1202を第2の係合刃218に取り付ける方法も、熱溶解性高分子材料からなるネジ、ピン等の連結部材を用いる方法、あるいは熱溶解性の接着剤を用いる方法等、多岐に亘る。
本実施形態によれば、従来の係合装置に備えられている係合刃の一部を変更するだけで、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、乗りかごに取り付けられたドア開放用係合刃の側板部の少なくとも一部が熱溶解性高分子材料からなるプレートが火災等によって消失することによって、簡潔な構成によって乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第5の実施形態)
本実施形態においては、第1のローラ取付け軸408の一端と乗り場ドアに固定されたベースプレート410との接合部、および第2のローラ取付け軸416の一端と掛止部材402との接合部の少なくとも一方が、熱溶解性高分子材料から構成されている。尚、本実施形態の説明においては、先ず、第1のローラ取付け軸408の一端と乗り場ドアに固定されたベースプレート410との接合部、および第2のローラ取付け軸416の一端と掛止部材402との接合部の両方が、熱溶解性高分子材料から構成されている場合について述べる。図13を参照しながら本実施形態の説明を行うが、第1の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。
図13に、第5の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図13(a)に、平常時に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414’および第2のローラ418’と、乗りかご側係合部の第1の係合刃216および第2の係合刃218’が係合している状態を、昇降路側から見た図を示す。本実施形態においては、第1のローラ414’および第2のローラ418’は、第1の実施形態における第1のローラ414および第2のローラ418とは異なり、必ずしも熱溶解性高分子材料で構成されている必要はない。また、本実施形態においては、第2の係合刃218’は、第1の実施形態における第2の係合刃218とは異なり、必ずしも切り欠き部が形成されている必要はない。
図13(b)に、図13(a)でJ−J’で示した位置から第2の係合刃218’側、すなわち戸当たり側を見た図を示す。乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート410は、昇降路側に突出する第1のローラ取付け軸408の一端と接合部1302で接合されている。第1のローラ取付け軸408の他端側には第1のローラ414’が回動自在に取り付けられている。尚、第1のローラ取付け軸408の一端は、ベースプレート410を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。第1のローラ取付け軸408は、その中間部で乗り場ドアの開放を制限するための第1のインターロック部材402を揺動自在に軸支している。インターロック部材402は、昇降路側に突出する第2のローラ取付け軸416の一端と接合部1304で接合されている。第2のローラ取付け軸416の他端側には第2のローラ418’が回動自在に取り付けられている。第1のローラ取付け軸408の一端とベースプレート410との接合部1302、および第2のローラ取付け軸416の一端とインターロック部材402との接合部1304は、熱溶解性高分子材料からなる部材によって形成されている。接合部1302、1304として、例えば、適切な熱溶解性高分子材料からなるプレートあるいは接着剤等を用いることができる。また、他の実施形態においては、接合部1302および1304を、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416の一端にネジを形成し、少なくともネジが形成された部分を熱溶解性高分子材料からなる部材としてもよい。
乗りかごのドアパネルには乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216および第2の係合刃218’が取り付けられている。第1の係合刃216および第2の係合刃218’のうち、第2の係合刃218’は、平常時に乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場側ドアに取り付けられた第1のローラ414’および第2のローラ418’に係合し、その側板部219’によって、第1のローラ414’および第2のローラ418’を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する。前述したように、乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときには、第1の係合刃216と第2の係合刃218’の間隙が狭くなり、第2のローラ418が第2の係合刃218によって第1の係合刃216側、すなわち戸袋側に押され、これに伴って第1のインターロック部材402はその掛止部404が上がる方向に揺動する。第1のインターロック部材402の掛止部404が上方に揺動すると、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除される。
本実施形態において第1のローラ取付け軸408の一端とベースプレート410または乗り場ドアの上部パネル308とを接合している熱溶解性高分子材料からなる接合部1302が火災等によって消失すると、第1のローラ取付け軸408、第1のローラ取付け軸408に取り付けられている第1のローラ414’、および第1のインターロック部材402は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は、ローラ414’、418’等の乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しない。このため、第2の係合刃218’は乗り場ドアとは係合することがなく、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
また第2のローラ取付け軸416の一端と第1のインターロック部材402とを接合している熱溶解性高分子材料からなる接合部1304が火災等によって消失すると、第2のローラ取付け軸416、および第2のローラ取付け軸416に取り付けられている第2のローラ418’は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は第2のローラ418’を押すことができず、第1のインターロック部材402は揺動しない。すなわち、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除されないため、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
したがって、接合部1302接合部1304の少なくとも一方を熱溶解性高分子材料で構成すれば良く、必ずしも接合部1302接合部1304の両方を熱溶解性高分子材料で構成する必要はない。
本実施形態によれば、従来の係合装置に備えられているローラ取付け軸408またはローラ取付け軸416の接合部を熱溶解性高分子材料で構成することによって、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、火災が発生し乗り場ドアの温度が所定の値以上に上昇したときには乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第6の実施形態)
本実施形態においては、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416の少なくとも一方が、熱溶解性高分子材料から構成されている。尚、本実施形態の説明においては、先ず、第1のローラ取付け軸408の一端と乗り場ドアに固定されたベースプレート410との接合部、および第2のローラ取付け軸416の一端と掛止部材402との接合部の両方が、熱溶解性高分子材料から構成されている場合について述べる。図14を参照しながら本実施形態の説明を行うが、第5の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。
図14に、第6の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図14(a)に、平常時に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられたインターロック部306に含まれる第1のローラ414’および第2のローラ418’と、乗りかご側係合部の第1の係合刃216および第2の係合刃218’が係合している状態を、昇降路側から見た図を示す。本実施形態においては、第5の実施形態とは異なり、第1のローラ取付け軸408の一端と乗り場ドアに固定されたベースプレート410との接合部、または第2のローラ取付け軸416の一端と掛止部材402との接合部が、熱溶解性高分子材料から構成されている必要は必ずしもない。
図14(b)に、図14(a)でJ−J’で示した位置から第2の係合刃218’側、すなわち戸当たり側を見た図を示す。乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート410は、昇降路側に突出する第1のローラ取付け軸408と締結されている。第1のローラ取付け軸408の他端側には第1のローラ414’が回動自在に取り付けられている。尚、第1のローラ取付け軸408の一端は、ベースプレート410を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。第1のローラ取付け軸408は、その中間部で乗り場ドアの開放を制限するための第1のインターロック部材402を揺動自在に軸支している。インターロック部材402は、昇降路側に突出する第2のローラ取付け軸416と締結されている。第2のローラ取付け軸416の他端側には第2のローラ418’が回動自在に取り付けられている。第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416は、熱溶解性高分子材料からなる部材によって形成されている。
本実施形態において熱溶解性高分子材料からなる第1のローラ取付け軸408が火災等によって消失すると、第1のローラ取付け軸408に取り付けられていた第1のローラ414’および第1のインターロック部材402は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は、ローラ414’、418’等の乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しない。このため、第2の係合刃218’は乗り場ドアとは係合することがなく、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
また、熱溶解性高分子材料からなる第2のローラ取付け軸416が火災等によって消失すると、第2のローラ取付け軸416に取り付けられていた第2のローラ418’は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は第2のローラ418’を押すことができず、第1のインターロック部材402は揺動しない。すなわち、第1のインターロック部材402と第2のインターロック部材406とのロック状態が解除されないため、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
したがって、第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416の少なくとも一方を熱溶解性高分子材料で構成すれば良く、必ずしも第1のローラ取付け軸408および第2のローラ取付け軸416の両方を熱溶解性高分子材料で構成する必要はない。
本実施形態によれば、従来の係合装置に備えられているローラ取付け軸408またはローラ取付け軸416を熱溶解性高分子材料で構成することによって、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、火災が発生し乗り場ドアの温度が所定の値以上に上昇したときには乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第7の実施形態)
本実施形態においては、第1のローラ414、第1のインターロック部材402等が取り付けられる第1のローラ取り付け軸が取り付けられるベースプレート410を乗り場ドアに締結するベースプレート取付けネジ412a、412bが熱溶解性高分子材料から構成されている。図15を参照しながら本実施形態の説明を行うが、第5の実施形態と共通する内容の一部は説明を割愛する。
図15に、第7の実施形態によるエレベータドアの係合装置の一例に用いられるベースプレート410およびベースプレート410に取り付けられる部材を表す図を示す。前述したように、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート410には、昇降路側に突出する第1のローラ取付け軸408が取り付けられている。第1のローラ取付け軸408の他端側には第1のローラ414’が回動自在に取り付けられている。第1のローラ取付け軸408は、その中間部で乗り場ドアの開放を制限するための第1のインターロック部材402を揺動自在に軸支している。インターロック部材402は、昇降路側に突出する第2のローラ取付け軸416と締結されている。第2のローラ取付け軸416の他端側には第2のローラ418’が回動自在に取り付けられている。
すなわち、第1のローラ取付け軸408は直接的にベースプレート410に取り付けられており、第1のローラ414’、第1のインターロック部材402、第2のローラ取付け軸416および第2のローラ418’は、間接的にベースプレート410に取り付けられている。一方、ベースプレート410は、熱溶解性高分子材料からなるベースプレート取付けネジ412a、412bによって乗り場ドアに締結されている。
熱溶解性高分子材料からなるベースプレート取付けネジ412a、412bが火災等によって消失すると、ベースプレート410は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は、ローラ414’、418’等の乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しない。このため、第2の係合刃218’は乗り場ドアとは係合することがなく、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、従来の係合装置に備えられている乗り場側係合部材が取り付けられているベースプレート410を乗り場ドアに締結するベースプレート取付けネジを熱溶解性高分子材料で構成することによって、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、火災が発生し乗り場ドアの温度が所定の値以上に上昇したときには乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
以上、エレベータの乗り場ドアに設けられるインターロック機構の一部の部材を、エレベータドアの係合装置に用いた場合の実施形態について説明を行った。
(インターロック機構に含まれる部材を用いない係合装置の概要)
次に、インターロック機構に含まれる部材を用いない係合装置の実施形態について説明を行う。個別の実施形態について説明する前に、インターロック機構に含まれる部材を用いない係合装置に共通する内容の説明を、図16および図17を参照しながら行う。
図16(a)に、乗りかごドアを昇降路の外の乗り場側から見た、乗りかごドア側係合部1600を含む乗りかごドアの一例の拡大図を示す。図16では、乗り場ドアに設けられるインターロック機構の一部の部材を乗りかごドアの係合部に用いた場合と同様に、例として、いわゆる横開きの2枚戸両開き方式の乗りかごドアパネル102および104のうち、乗りかごドアパネル102を含む部分のみを示している。しかし、以下に述べる実施形態は両開き方式か片開き方式かに依存するものではなく、また、ドアを構成する枚数に依存するものでもない。乗りかごドア側係合部1600は、乗りかごドアパネル102の開方向側、すなわち戸袋側の係合刃(第1の係合刃)216と、乗りかごドアパネル102の閉方向側、すなわち戸当たり側の係合刃(第2の係合刃)218を含む。一実施形態において、第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗りかごドアパネル102に対して固定されている。前述した実施形態と異なり、乗り場ドアに設けられるインターロック機構を係合刃によって動作させる必要がないためである。図16には、第1の係合刃216および第2の係合刃218を、プレート206を介して、乗りかごドアパネル102に対して取り付けている形態が示されているが、第1の係合刃216および第2の係合刃218を、直接、乗りかごドアパネル102に対して取り付けてもよい。第1の係合刃216および第2の係合刃218は、第1の係合刃216の側板部217の外側面216aと、第2の係合刃218の側板部219の外側面218aが、乗りかごの昇降方向に平行になるように配設される。尚、図16(a)は乗りかごドアが閉じた状態を示しており、乗りかごドアが開くときには、乗りかごドアパネル102は図の左側に移動し、図示しない乗りかごドアパネル104は図の右側に移動する。
図16(b)に、乗りかごドア側係合部1600を上方から見た模式図を示す。第1の係合刃216と第2の係合刃218の対向する外側面216a、218aは、例えば、乗りかごドアパネル102に垂直かつ昇降方向(図16(b)に垂直な方向)に平行な部分を含む。第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙、すなわち第1の係合刃216の外側面216aと第2の係合刃218の外側面218aとの間の距離は、後述する乗り場側係合部の横方向(ドアの開閉方向)の寸法より僅かに大きな値に設定される。図16(b)に示した実施形態において、第1の係合刃216と第2の係合刃218は、一例として、L字形となっている。
次に、図17を参照しながら、一実施形態による乗り場ドア側に設けられる係合部材の一例について説明する。図17に、乗り場ドア側係合機構1700を含み、図16に示した乗りかごドア102に対応する乗り場ドア302の拡大図を示す。図17(a)は、乗り場ドア302を昇降路側から見た図である。図17(a)は、乗り場ドア302を上方から見た図であり、乗り場ドア側係合機構1700が乗りかごドア側係合部1600に係合している状態における図である。乗り場ドアパネル302の昇降路側には、乗り場ドア側係合機構1700が昇降路側に突出するように取り付けられている。乗り場ドア側係合機構1700は、乗り場ドア側係合部1702と、乗り場ドア側係合部1702が取り付けられる乗り場ドア側係合部取り付け軸1704を含む。乗り場ドア側係合部取り付け軸1704の一端は、一実施形態において、ベースプレート1706に取り付けられ、ベースプレート1706は、例えば取付けネジによって乗り場ドアの上方に設けられた乗り場ドアの上部パネル308に固定される。他の実施形態においては、乗り場ドア側係合部取り付け軸1704の一端は、直接、乗り場ドアの上部パネル308に固定される。乗り場ドア側係合部取り付け軸1704の昇降路側の他端には、乗り場ドア側係合部1702が軸支されている。乗り場ドア側係合部1702は、ローラである必要はなく、乗りかごに設けられた係合刃216、218との係合に適合する任意の形状とすることができる。したがって、乗り場ドア側係合部1702の外形を、例えば、四角柱状にすることもできる。乗り場ドア側係合部1702のドア開閉方向(図における横方向)の寸法は、乗りかごドア側係合部1600に備えられた第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙より僅かに小さな値に設定される。また、乗り場ドア側係合部1702のドア開閉方向の位置は、乗りかごドア側係合部1600に備えられた第1の係合刃216と第2の係合刃218との間隙に乗り場ドア側係合部1702が入りうるようにするため、第1の係合刃216と第2の係合刃218の中間に相当する位置とする。
乗りかごが乗り場のある階床に着床し、所定の位置で停止し、乗りかごドア102が開方向(図17(b)における右方向)に移動するときには、乗りかごに設けられた係合刃216、218は乗りかごドア102とともに開方向に移動する。平常時には係合刃216、218と乗り場ドア側係合部1702は係合しており、乗り場ドア側係合部1702は乗りかごドア102に連動して開方向に移動する。乗り場ドア側係合部1702は乗り場ドア302に取り付けられているため、乗り場ドア302も乗りかごドア102に連動して開方向に移動する。ドアが開くとき乗り場ドア側係合部1702を開方向に押すのは第2の係合刃218であり、第2の係合刃218はドア開放用係合刃とも言える。乗りかごドア102が閉方向(図17(b)における左方向)に移動するときには、第1の係合刃216が乗り場ドア側係合部1702を閉方向に押すことによって、乗り場ドア302が乗りかごドア102に連動して閉方向に移動する。前述したように、乗りかごドア104は乗りかごドア102に連動して開閉し、乗り場ドア102は乗り場ドア302に連動して開閉する。
尚、乗り場ドア側係合機構1700を複数設けてもよいが、その場合には、乗り場ドア側係合部1702のドア開閉方向の側面が昇降方向で一致するようにする。
(第8の実施形態)
本実施形態においては、乗り場側係合機構1700に含まれる乗り場ドア側係合部1702が熱溶解性高分子材料からできており、乗り場ドア側係合部1702の温度が火災等によって所定の値以上になると、溶解し、乗り場ドア側係合部取付け軸1704から外れ消失する。また、平常時に乗り場ドア側係合部1702に係合して乗り場ドア302を開方向に移動させるドア開放機能を担う第2の係合刃218の側板部219には、昇降方向の寸法が、乗り場ドア側係合部1702の昇降方向の寸法に比べて小さく、かつ、乗り場ドア側係合部取り付け軸1704の昇降方向の寸法に比べて大きな、切り欠き部が形成されている。切り欠き部は、火災が発生していない平常時にエレベータの乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに乗り場ドア側係合部1702に係合する位置に形成されている。また、切り欠き部は、乗り場ドア側係合部1702が消失したときには、乗りかごが、乗り場ドア側係合部1702が消失した乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、ドア開放機能を担う第2の係合刃218がその乗り場に設けられた乗り場ドア側係合部取付け軸1704を含む如何なる部材とも接触しない形態に構成されている。
第8の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を、図18および図19を参照しながら説明する。図18(a)に、平常時に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場側係合機構1700に含まれる乗り場ドア側係合部1702と、乗りかご側係合部の第1の係合刃216および第2の係合刃218が係合している状態を、昇降路側から見た図を示す。第2の係合刃218の側板部219には切り欠き部1802が形成されている。
図18(b)に、図18(a)でJ−J’で示した位置から第2の係合刃218側、すなわち戸当たり側を見た図を示す。乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート1706には、昇降方向の寸法がdであって昇降路側に突出する乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端が固定されている。乗り場ドア側係合部取付け軸1704の他端側には熱溶解性高分子材料からなり直径がDである乗り場側係合部1702が回動自在に取り付けられている。尚、前述したように、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端は、ベースプレート1706を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。
前述したように、乗りかごのドアパネルに取り付けられた乗りかごドア側係合部110の第1の係合刃216の側板部217および第2の係合刃218の側板部219は、乗りかごが平常時に乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場側ドアに取り付けられた乗り場ドア側係合部1702に係合する。係合したときに乗り場ドア側係合部1702を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する第2の係合刃218の側板部219には、平常時に乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、乗り場ドア側係合部1702に係合する位置に、切り欠き部1802が形成されている。切り欠き部1802の昇降方向の寸法はSであり、Sの値は、乗り場ドア側係合部1702の昇降方向の寸法Dに比べて小さく、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の昇降方向の寸法dに比べて大きい。すなわちd<S<Dの関係がある。実施にあたっては、関連する部材の寸法誤差、組立または取付け作業等による誤差を見込んでSの値を設定する。切り欠き部1802の乗降方向の寸法Tは、乗り場ドア側係合部1702が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような値とする。例えば、切り欠き部1802の乗降方向の寸法Tを、乗り場ドア側係合部1702が消失したときに、乗り場ドア側係合部取付け軸1704に接触しないような値にする。尚、切り欠き部1802は必ずしも矩形に形成する必要はなく、乗り場ドア側係合部1702が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219が乗り場側に設けられた乗り場ドア側係合部取付け軸1704を含む如何なる部材とも接触しないような任意の形態に形成することができる。
図19(a)および(b)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図19(a)は図18(b)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図19(b)は図19(a)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219には切り欠き部1802が形成されている。図示した例においては、切り欠き部1802は矩形状に形成されている。図19(c)に本実施形態において乗り場ドア側係合部1702が消失した状態で、乗りかごが消失した乗り場ドア側係合部1702が設けられていた乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときの、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場側係合機構1700に含まれる部材と乗りかごの乗り場側に取り付けられた第2の係合刃218との相互関係を示す。乗り場ドア側係合部1702が消失しており、第2の係合刃218の側板部219には、乗り場ドア側係合部1702が消失したときに乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような任意の形態の切り欠き部が形成されているため、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても、乗り場ドア側係合部1702が消失した乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、乗り場ドアに取り付けられた熱溶解性高分子材料からなる乗り場ドア側係合部1702が火災等によって消失することによって、簡潔な構成で乗り場ドア側係合部1702が火災等によって消失した乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第9の実施形態)
本実施形態は、第8の実施形態における第2の係合刃218の側板部219に形成された切り欠き部1802を、平常時には塞ぐ熱溶解性高分子材料からなるプレートを設けたものである。図20を参照しながら本実施形態の説明を行うが、第8の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。図20に、本実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図20(a)に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場ドア側係合機構1700に含まれる乗り場ドア側係合部1702と、乗りかご側係合部の戸当たり側の係合刃である第2の係合刃218が平常時に係合している状態を、戸袋側の係合刃である第1の係合刃216から戸当たり方向に見た図を示す。第8の実施形態と同様に、第2の係合刃218の側板部219には図示しない切り欠き部1802が形成されている。第2の係合刃218の側板部219には、切り欠き部1802を塞ぐ熱溶解性高分子材料からなるプレート2002が取り付けられている。
図20(b)および(c)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図20(b)は図20(a)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図20(c)は図20(b)の側面図である。第2の係合刃218の側板部219には図示しない切り欠き部1802が第8の実施形態と同様に形成されているが、切り欠き部は第2の係合刃218の側板部219に取り付けられた熱溶解性高分子材料からなるプレート2002によって、塞がれている。
乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場ドア側係合部1702は、平常時においては、熱溶解性高分子材料からなるプレート2002が取り付けられた位置で乗りかごに取り付けられた第2の係合刃218と係合する。火災等の熱によって乗り場ドア側係合部1702が溶解し消失するときには、熱溶解性高分子材料からなるプレート2002も溶解し、第2の係合刃218の側板部219から外れる。このような状態になると、図9(c)に示した第8の実施形態の場合と全く同じ状態となり、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合することがない。したがって、乗りかご側ドアが開いても、乗り場ドア側係合部1702が消失した乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、第8の実施形態による効果に加えて、平常時における第2の係合刃218の補強および乗り場ドア側係合部1702の係合時の脱落を防ぐことができる係合装置が提供される。
(第10の実施形態)
本実施形態は、第2の係合刃218の側板部219に熱溶解性高分子材料からなるプレートを設けた点で、第9の実施形態と共通する。しかし、熱溶解性高分子材料からなるプレートの昇降路方向の長さが第9の実施形態とは異なる。さらに、乗り場ドア側係合部1702が、熱溶解性高分子材料から構成されている必要がない点でも、第9の実施形態とは異なる。図21を参照しながら本実施形態の説明を行うが、第9の実施形態と共通する内容については説明を割愛する。図21に、本実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および係合装置の作用を説明するための図を示す。図21(a)に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場ドア側係合機構1700に含まれる乗り場ドア側係合部1702と、乗りかご側係合部の戸当たり側の係合刃である第2の係合刃218が平常時に係合している状態を、戸袋側の係合刃である第1の係合刃216から戸当たり方向に見た図を示す。前述したように、第9の実施形態と同様に、第2の係合刃218の側板部219に熱溶解性高分子材料からなるプレート2102を設けているが、プレート2102の昇降路方向の長さS’は第9の実施形態に用いられるプレート2002の昇降路方向の長さSに比べ、長い。すなわち、本実施形態におけるプレート2102の昇降路方向の長さS’の値は、乗り場ドア側係合部1702の昇降方向の寸法Dに比べて大きい。すなわちD<S’の関係がある。実施にあたっては、関連する部材の寸法誤差、組立または取付け作業等による誤差を見込んでS’の値を設定する。プレート2102の乗降方向の寸法Tは、第8の実施形態における切り欠き部1802の乗降方向の寸法、すなわち第9の実施異形態におけるプレート2002の乗降方向の寸法と実質的に同様に設定する。すなわち、プレート2102の乗降方向の寸法T’は、プレート2102が消失したときに、第2の係合刃218の側板部219の残った部分が乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しないような値とする。例えば、プレート2102の乗降方向の寸法T’を、プレート2102が消失したときに第2の係合刃218の側板部219の残りの部分が、乗り場ドア側係合部取付け軸1704および乗り場ドア側係合部1702に接触しないような値にする。
図21(b)および(c)に本実施形態における第2の係合刃218の形状の一例を示す。図21(b)は図21(a)に示した矢印Kの方向から第2の係合刃218を見た図であり、図21(c)は図21(b)の側面図である。平常時に乗り場ドア側係合部1702に係合して乗り場ドアを開方向に移動させるドア開放用係合刃である第2の係合刃218の側板部219の少なくとも一部は、熱溶解性高分子材料からなるプレート2102によって形成されている。
熱溶解性高分子材料からなるプレート2102は、第2の係合刃218の側板部219の、平常時に乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに乗り場ドア側係合部1702に係合する位置に配置される。また、乗り場ドア開放用係合刃である第2の係合刃218は、火災等の熱によってプレート2102が消失した場合、乗りかごが乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに乗り場に設けられた如何なる部材とも接触しない形態に構成されている。したがって、プレート2102が消失した場合には、第2の係合刃218は乗り場ドアとは係合せず、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、乗りかごに取り付けられたドア開放用係合刃の側板部の少なくとも一部を構成する熱溶解性高分子材料からなるプレートが火災等によって消失することによって、簡潔な構成によって乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第11の実施形態)
本実施形態においては、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端と乗り場ドアとの接合部が、熱溶解性高分子材料からなる部材によって形成されている。乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端は、乗り場ドアに固定されるベースプレート1706に、熱溶解性高分子材料からなる部材によって、接合されてもよい。図22を参照しながら本実施形態の説明を行うが、インターロック機構に含まれる部材を用いない係合装置に共通する内容については説明を簡潔にする。
図22に、第11の実施形態によるエレベータドアの係合装置の構成例の細部および作用を説明するための図を示す。図22(a)に、平常時に、乗り場ドアの昇降路側に取り付けられた乗り場ドア側係合機構1700に含まれる乗り場ドア側係合部1702と、乗りかご側係合部の第1の係合刃216および第2の係合刃218が係合している状態を、昇降路側から見た図を示す。本実施形態において、乗り場ドア側係合部1702は、必ずしも熱溶解性高分子材料からなる必要はない。また、本実施形態において、第2の係合刃218には、必ずしも切り欠き部が形成されている必要はない。
図22(b)に、図22(a)でJ−J’で示した位置から第2の係合刃218側、すなわち戸当たり側を見た図を示す。乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート1706には、昇降路側に突出する乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端が接合部2202によって固定されている。乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端とベースプレート1706との接合部2202は、熱溶解性高分子材料からなる部材によって形成されている。接合部2202として、例えば、適切な熱溶解性高分子材料からなるプレート、接合ピンあるいは接着剤等を用いることができる。また、他の実施形態においては、接合部2202として、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端にネジを形成し、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の少なくともネジが形成された部分を熱溶解性高分子材料からなる部材としてもよい。乗り場ドア側係合部取付け軸1704の他端側には第1の乗り場ドア側係合部1702が取り付けられている。尚、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端は、ベースプレート1706を介さず、直接、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けてもよい。
乗りかごのドアパネルの乗り場側に取り付けられた乗りかごドア側係合部1600の第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗りかごが平常時に乗り場の階床に着床し所定の位置で停止したときに、それぞれの側板部217および219で乗り場ドア側係合部1702に係合する。前述したように、第2の係合刃218は、その側板部219によって、乗り場ドア側係合部1702を乗り場ドアの開方向、すなわち戸袋側に押すことによって乗り場ドアを開ける機能を有する。
本実施形態において乗り場ドア側係合部取付け軸1704の一端とベースプレート1706または乗り場ドアの上部パネル308とを接合している熱溶解性高分子材料からなる接合部2202が火災等によって消失すると、乗り場ドア側係合部取付け軸1704および軸1704に取り付けられている乗り場ドア側係合部1702は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、乗りかごに取り付けられた第1の係合刃216および第2の係合刃218は、乗り場ドア側係合部1702等の乗り場側に設けられた如何なる部材と係合も接触もし得ない。このため、第2の係合刃218によって乗り場ドアを開くことはできず、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない状態になる。
本実施形態によれば、乗り場ドア側係合部取付け軸1704の乗り場ドアとの接合部を熱溶解性高分子材料で構成することによって、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、火災が発生し乗り場ドアの温度が所定の値以上に上昇したときには乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
(第12の実施形態)
本実施形態においては、乗り場ドア側係合部取り付け軸1704が取り付けられるベースプレート1706を、熱溶解性高分子材料からなるベースプレート取付けネジ2302a、2302bによって乗り場ドアに締結する。図23に、第12の実施形態によるエレベータドアの係合装置の一例に用いられるベースプレート1706およびベースプレート1706に取り付けられる部材を表す図を示す。前述したように、乗り場ドアの上部パネル308に取り付けられているベースプレート1706には、昇降路側に突出する乗り場ドア側係合部取付け軸1704が取り付けられている。乗り場ドア側係合部取付け軸1704の他端側には乗り場ドア側係合部1702が取り付けられている。すなわち、乗り場ドア側係合部取付け軸1704は直接的にベースプレート1706に取り付けられており、乗り場ドア側係合部1702は間接的にベースプレート1706に取り付けられている。一方、ベースプレート1706は、熱溶解性高分子材料からなるベースプレート取付けネジ2302a、2302bによって乗り場ドアに締結されている。
熱溶解性高分子材料からなるベースプレート取付けネジ2302a、2302bが火災等によって消失すると、ベースプレート1706は落下する。この状態の乗り場の階床に乗りかごが所定の位置で停止したときには、第2の係合刃218’の側板部219’は、乗り場ドア側係合部1702等の乗り場側に設けられた如何なる部材とも接触しない。このため、第2の係合刃218’は乗り場ドアとは係合することがなく、乗りかご側ドアが開いても乗り場ドアは開かない。
本実施形態によれば、乗り場側係合部材が取り付けられているベースプレート1706を乗り場ドアに締結するベースプレート取付けネジを熱溶解性高分子材料で構成することによって、火災が発生していない平常時には正常に乗り場ドアを開くことができるが、火災が発生し乗り場ドアの温度が所定の値以上に上昇したときには乗り場ドアが開くことを防止するエレベータの係合装置が提供される。
以上、いくつかの実施形態について説明を行ったが、熱溶解性高分子材料として適切な熱溶解性の樹脂またはゴムを用いることができる。
以上述べた実施形態によれば、簡潔な構成で、乗り場が火災で高温になっている着床階の乗り場ドアが開くことを防止する機能を有するエレベータドアの係合装置が提供される。本装置によって、火災時におけるエレベータ利用者の安全性を高めることができる。
尚、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で開示した構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示した全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。