JP5609838B2 - ステアリングコラム装置 - Google Patents
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Description
(1) ハイドロフォーミング工法により造られた被挟持ブラケット部は、肉厚が小さく、その分だけ強度及び剛性が低くなる。この為、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するべく、挟持ブラケットに設けた左右1対の挟持板部同士の間で強く挟持すると、前記被挟持ブラケット部が、幅寸法が縮む方向に変形し易い。そして、変形した場合には、前記挟持ブラケットによる前記アウタコラムの支持強度が低下し、前記ステアリングホイールを調節後の位置に保持する事が難しくなる。
(2) 上述の様に被挟持ブラケット部の強度及び剛性が低くなる結果、衝突事故に伴ってこの被挟持ブラケット部に衝撃荷重が加わると、この被挟持ブラケット部が変形し、前記アウタコラムの挙動が不安定になる可能性がある。
(3) 被挟持ブラケット部に形成した透孔の内側縁とロッドの外周面とが金属同士で接触する。この為、ステアリングホイールの前後位置を調節する際に、これら内側縁と外周面とが金属同士で接触し(擦れ合い乃至は衝突し)、運転者等の乗員にとって、不快な振動や異音を発生する。
又、前記アウタコラムのうちで前記インナコラムの端部と嵌合した部分に被挟持ブラケット部を、このアウタコラムを構成する金属板を径方向外方に膨出させる事により、このアウタコラムと一体に形成している。
更に、前記被挟持ブラケット部を構成する、互いに平行な左右1対の被挟持板部の互いに整合する部分に、これら両被挟持板部の間隔を拡縮する為のロッドを挿通する1対の透孔を形成している。
そして、前記両透孔を、このアウタコラムの軸方向に長い前後方向長孔部と、この前後方向長孔部の前後方向両端部からそれぞれ下方に向け突出する状態で設けられた、前記両透孔毎に1対ずつの切り欠き部とから成るものとする。
更に、前記被挟持ブラケット部の内側で前記両被挟持板部同士の間部分に、スペーサを組み付けている。
このスペーサは、合成樹脂、硬質ビニル等の高分子材料の如く、前記アウタコラムを構成する、鉄系合金乃至はアルミニウム系合金等の金属板よりも軟質な材料製である。そして、前記両透孔のうちの前後方向長孔部に整合する部分に、前記ロッドを挿通する為の挿通孔である前後方向に長い長孔を設けている。
更に、前記長孔の上下方向に関する幅寸法を、前記前後方向長孔部の同方向の幅寸法よりも小さくする。
そして、前記スペーサの上面を前記被挟持ブラケット部の内面に当接させると共に前記各係止凸部を前記各切り欠き部に係合させた状態で、前記両長孔の上下両側縁を前記前後方向長孔部の上下両側縁よりも、これら各長孔及び長孔部の幅方向に関して内側に(上側縁に関しては下側に、下側縁に関しては上側に)存在させる。
従って、前記長孔に挿通した前記ロッドの外周面は、前記両透孔を構成する前後方向長孔部の内側縁と接触しない。
又、衝突事故に伴って前記被挟持ブラケット部に衝撃荷重が加わった場合にも、この被挟持ブラケット部が変形しにくく、アウタコラムの挙動を安定させ易くなり、運転者保護の面から有利になる。
更に、それぞれが鉄系合金等の硬質の金属製である、前記被挟持ブラケット部に形成した透孔の内側縁とロッドの外周面とが接触しない。この為、ステアリングホイールの前後位置を調節する際にも、運転者等の乗員にとって、不快な振動や異音が発生する事を防止できる。
図1〜10は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のステアリングコラム6bは、それぞれが筒状であるアウタコラム20aの前端部とインナコラム19aの後端部とを、軸方向の相対変位を可能に嵌合させて成る、テレスコピックステアリングコラムである。そして、前記ステアリングコラム6bの内側にステアリングシャフト5aを、単列深溝型の玉軸受等の軸受27により、回転自在に支持している。このステアリングシャフト5aは、円杆状のインナシャフト17aの後端部と、円管状のアウタシャフト18aの前端部とをスプライン係合させる事により、トルクの伝達を可能に、且つ、全長の伸縮を可能にしている。前記アウタコラム20aの外面には吊り合いばねを係止する為の係止部28を設けている。又、前記アウタシャフト18aの中間部に、ステアリングロック装置を構成するキーロックカラー29を外嵌している。但し、これらに就いては、従来から知られており、本発明の要旨とは関係しない為、説明は省略する。
更には、前記ステアリングホイール1の位置調節機構を構成すべく、金属製の前記アウタコラム20aに設けた前記被挟持ブラケット部30に形成した透孔33、33の内側縁と、工具鋼の如き硬質金属製のロッド15の外周面とが接触しない。このロッド15の外周面が接触するのは、合成樹脂製の前記スペーサ37に形成した長孔40の内周縁である。この結果、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節する際にも、運転者等の乗員にとって、不快な振動や異音を発生する事を防止できる。
図11〜13は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、アウタコラム20bの前端部に被挟持ブラケット部30aを、上述した実施の形態の第1例の場合とは逆に、下側に向けて膨出形成している。この被挟持ブラケット部30aは、左右1対の被挟持板部31a、31aの下端部同士を、底板部49により連続させて成る。そして、これら両被挟持板部31a、31aに、それぞれ前後方向長孔部34と切り欠き部35、35とから成る透孔33、33を、上述した実施の形態の第1例とは、上下方向を逆向きにした(前記各切り欠き部35、35を前記前後方向長孔部34の前後方向両端から上方に突出する)状態で設けている。そして、前記被挟持ブラケット部30aの内側に、上述した実施の形態の第1例と同様のスペーサ37を、上下方向を逆向きにした{凸部41(図6、9参照)を前記底板部49の上面に当接させる}状態で組み付けている。
前記アウタコラム20bに対する前記被挟持ブラケット部30aの形成箇所等の上下方向が逆になった以外の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図14〜15は、本発明に関する参考例の第1例を示している。本参考例の構造は、ステアリングホイールの前後位置を調節する為のテレスコピック機能を省略し、チルト機能のみを備えたステアリングコラム装置に、スペーサ37を組み込んだ構造の1例に就いて示している。テレスコピック機構を省略した事に伴って本参考例の場合には、左右1対の被挟持板部31b、31bに形成した透孔を、これら両被挟持板部31b、31bの前後方向中間部の互いに整合する部分に形成された、円孔50としている。又、前記両被挟持板部31b、31bの前後両端寄り部分で、これら両円孔50よりも少し下寄り部分に、前記スペーサ37の係止凸部42、42を係合させる為の係止孔51、51を、それぞれ形成している。この様なアウタコラム20cと組み合わせるスペーサ37は、部品の共用化による低コスト化等の為、前述の実施の形態の第1例及び上述の実施の形態の第2例と同様のものを使用している。尚、本参考例の場合には、テレスコピック機能を省略した事に伴ない、ステアリングホイールの位置調節時にも、ロッド15(図2、4、5、11参照)が透孔(円孔50)に対し大きく変位する事はない。従って、前記ロッド15の外周面とこの透孔(円孔50)の周縁との擦れ合い防止の為の配慮は不要である。
テレスコピック機能を省略した事に伴ない、透孔を単なる円孔50とした点以外は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図16〜17は、本発明に関する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、アウタコラム20dの前端部に被挟持ブラケット部30bを、上述した参考例の第1例の場合とは逆に、下側に向けて突出形成している。この点に関しては、前述した実施の形態の第1例に対する第2例の構造の場合と同様である。
前記アウタコラム20dに対する前記被挟持ブラケット部30bの形成箇所等の上下方向が逆になった以外の構成及び作用は、上述した参考例の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a、6b ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10、10a 横軸
11、11a 車体
12 被挟持ブラケット
13、13a 挟持ブラケット
14、14a 挟持板部
15 ロッド
16 上下方向長孔
17、17a インナシャフト
18、18a アウタシャフト
19、19a インナコラム
20、20a、20b、20c、20d アウタコラム
21 前後方向長孔
22 頭部
23 押圧駒
24 調節レバー
25 カム装置
26 揺動支持ブラケット部
27 軸受
28 係止部
29 キーロックカラー
30、30a、30b 被挟持ブラケット部
31、31a、31b 被挟持板部
32 天板部
33 透孔
34 前後方向長孔部
35 切り欠き部
36 スリット
37 スペーサ
38 基板部
39 垂下板部
40 長孔
41 凸部
42 係止凸部
43 前側抑え板部
44 後側抑え板部
45 取付板部
46 係止カプセル
47 ボルト若しくはスタッド
48 エネルギ吸収部材
49 底板部
50 円孔
51 係止孔
Claims (2)
- それぞれが筒状であるアウタコラムの端部とインナコラムの端部とを嵌合させ、且つ、このアウタコラムのうちで前記インナコラムの端部と嵌合した部分に被挟持ブラケット部を、このアウタコラムを構成する金属板を径方向外方に膨出させる事により、このアウタコラムと一体に形成すると共に、前記被挟持ブラケット部を構成する、互いに平行な左右1対の被挟持板部の互いに整合する部分に、これら両被挟持板部の間隔を拡縮する為のロッドを挿通する1対の透孔を形成して成るステアリングコラム装置に於いて、
前記アウタコラムの端部と前記インナコラムの端部とが、軸方向の相対変位を可能に嵌合すると共に、前記被挟持ブラケット部が、前記アウタコラムの端部から上方に突出する状態で設けられており、前記両透孔が、このアウタコラムの軸方向に長い前後方向長孔部と、この前後方向長孔部の前後方向両端部からそれぞれ下方に向け突出する状態で設けられた、前記両透孔毎に1対ずつの切り欠き部とから成るものであり、
前記被挟持ブラケット部の内側で前記両被挟持板部同士の間部分に、前記アウタコラムを構成する金属板よりも軟質な材料製で、前記両透孔のうちの前後方向長孔部に整合する部分に、前記ロッドを挿通する為の挿通孔である前後方向に長い長孔を設けたスペーサが組み付けられており、
前記スペーサの左右両外側面の一部で前記長孔の前後方向両端部の下側部分に、前記各切り欠き部と嵌合する係止凸部が設けられており、前記両長孔の上下方向に関する幅寸法が前記前後方向長孔部の同方向の幅寸法よりも小さく、前記スペーサの上面を前記被挟持ブラケット部の内面に当接させると共に前記各係止凸部を前記各切り欠き部に係合させた状態で、前記両長孔の上下両側縁が前記前後方向長孔部の上下両側縁よりも、これら各長孔及び長孔部の幅方向に関して内側に存在し、これら各長孔及び長孔部に挿通した前記ロッドの外周面が、前記両前後方向長孔部の内側縁と接触しない事を特徴とするステアリングコラム装置。 - それぞれが筒状であるアウタコラムの端部とインナコラムの端部とを嵌合させ、且つ、このアウタコラムのうちで前記インナコラムの端部と嵌合した部分に被挟持ブラケット部を、このアウタコラムを構成する金属板を径方向外方に膨出させる事により、このアウタコラムと一体に形成すると共に、前記被挟持ブラケット部を構成する、互いに平行な左右1対の被挟持板部の互いに整合する部分に、これら両被挟持板部の間隔を拡縮する為のロッドを挿通する1対の透孔を形成して成るステアリングコラム装置に於いて、
前記アウタコラムの端部と前記インナコラムの端部とが、軸方向の相対変位を可能に嵌合すると共に、前記被挟持ブラケット部が、前記アウタコラムの端部から下方に突出する状態で設けられており、前記両透孔が、このアウタコラムの軸方向に長い前後方向長孔部と、この前後方向長孔部の前後方向両端部からそれぞれ上方に向け突出する状態で設けられた、前記両透孔毎に1対ずつの切り欠き部とから成るものであり、
前記被挟持ブラケット部の内側で前記両被挟持板部同士の間部分に、前記アウタコラムを構成する金属板よりも軟質な材料製で、前記両透孔のうちの前後方向長孔部に整合する部分に、前記ロッドを挿通する為の挿通孔である前後方向に長い長孔を設けたスペーサが組み付けられており、
前記スペーサの左右両外側面の一部で前記長孔の前後方向両端部の上側部分に、前記各切り欠き部と嵌合する係止凸部が設けられており、前記両長孔の上下方向に関する幅寸法が前記前後方向長孔部の同方向の幅寸法よりも小さく、前記スペーサの下面を前記被挟持ブラケット部の内面に当接させると共に前記各係止凸部を前記各切り欠き部に係合させた状態で、前記両長孔の上下両側縁が前記前後方向長孔部の上下両側縁よりも、これら各長孔及び長孔部の幅方向に関して内側に存在し、これら各長孔及び長孔部に挿通した前記ロッドの外周面が、前記両前後方向長孔部の内側縁と接触しない事を特徴とするステアリングコラム装置。
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