JP5609643B2 - 慢性腎不全処置剤 - Google Patents

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Description

本発明は非プロスタノイド骨格を有する、PGI受容体作動薬を有効成分とする慢性腎不全処置剤に関する。
近年、腎の機能低下によって透析を導入せざるを得ない患者数はますます増加する傾向を示している。その理由として、生活環境の変化や高齢化、さらに近年の糖尿病患者の増大に伴う糖尿病性腎症の増加があげられる。
腎不全とは、腎の血流障害、機能ネフロンの減少、尿路の閉塞により、窒素代謝物や水、電解質の排泄が十分にできなくなり、体液の量的、質的恒常性が維持できなくなった状態をいう。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があり、この両者は、血中尿素窒素(BUN)や血清クレアチニン値が上昇するという共通点があるが、病態の進行のスピードや腎機能の低下の可逆性に大きな違いがあり、明らかに異なる疾患である。急性腎不全は、急激に発症し日単位で進行(血清クレアチニン値は目安として1日あたり0.5mg/dL以上上昇)するが、原因を取り除いて全身管理を十分に行い、保存療法や透析療法を適切に行うことにより、基本的には腎機能の回復が期待できる(非特許文献1)。一方、慢性腎不全の成立には長い年月を要する。すなわち糸球体腎炎や糖尿病性腎症などの原因となる腎疾患が年単位で徐々に進行し、BUNや血清クレアチニン値が明らかに上昇してきた時点で慢性腎不全と判断される。血清クレアチニン値の上昇が認められるこの時点では、腎が果たしている最も重要な機能である、低分子老廃物の濾過機能が著しく低下し、糸球体濾過量は50%以下になっており、既に腎機能の低下は不可逆となっている。慢性腎不全成立後も、腎機能の低下は数年をかけて徐々に進行し、糸球体濾過量が10%以下になると透析あるいは腎移植が必要な末期の慢性腎不全となる。このため、保存期慢性腎不全の治療では透析へ至るまでの期間をいかに遅らせるかが重要である(非特許文献2、3)。
慢性腎不全の原因疾患としては、原発性腎疾患、全身疾患の腎障害、先天性腎疾患、腎感染症、腎毒性物質による腎障害、尿路閉塞性疾患などの腎障害性疾患があげられる。このうち、主な原因疾患としては、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎、腎硬化症、嚢胞腎などがある。中でも慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症の割合が高いが、近年の糖尿病の患者数の急増に伴い、原因疾患が糖尿病性腎症の慢性腎不全の伸びが著しい。
慢性腎不全においては、尿量の減少に伴う肺鬱血や鬱血性心不全、尿毒症の進行に伴う神経および精神症状、腎で産生されるエリスロポエチンの減少による貧血、低ナトリウム血症や高カリウム血症などの電解質異常をはじめ、消化器症状、骨代謝異常、糖代謝異常など、原因疾患によらない慢性腎不全に共通の臨床症状が見られる。
また慢性腎不全には、原疾患によらない共通した進行の機構があると考えられている。たとえば一般的な内科学教科書にも、「一般に、慢性腎不全では、原疾患が鎮静化したと思われる時期においても慢性腎不全の進行がみられ、それぞれの腎疾患の病因とは別の共通した腎機能低下機序の存在が考えられている。」(非特許文献4)と記載されている。
さらに慢性腎不全は、その原因となる基礎疾患が相違しても共通の臨床症状を呈することが知られている。すなわち、「原発性(一次性)にせよ続発性(二次性)にせよほとんどの慢性に経過する腎疾患は、病態が進行すると不可逆的な腎機能の低下がみられるようになり、慢性腎不全とよばれるようになる。この病態は最終的には尿毒症といわれる一種の症候群を呈するが、こうなると基礎疾患の種類による差はほとんど認められず、共通した臨床症状を示してくる」とされている(非特許文献5)。
また、腎病理所見においても「末期慢性腎不全患者の腎は基礎疾患が異なっても、多くの場合には共通した組織像を示し、病理学的に基礎疾患を診断することは困難なことが多い。」とされる(非特許文献6)。
このように、慢性腎不全の原因疾患は多様であるが、他の腎疾患とは異なる特徴的な臨床症状を呈すること、原疾患とは別の共通した病態の進行メカニズムを有すること、病理所見においても基礎疾患を反映しない特徴的な所見を有すること、さらにはその治療法も、慢性腎不全に特有の治療法が必要になることから、慢性腎不全は他の腎疾患とは区別できる特徴的な疾患である。
慢性腎不全の治療としては、透析に至る前の保存期での治療として、低蛋白、高カロリー食からなる食事療法が基本となるが、慢性腎不全増悪のリスクファクターである高血圧の管理のための塩分や水の制限、さらには降圧剤の使用が行われる。また病態の進行を遅らせたり尿毒症状を改善するために、経口活性炭製剤が用いられることがある。しかしながらこうした治療を行っていても、病態の進行を十分には阻止できないのが現状であり、腎機能障害の進行による尿毒症状の出現によって、血液透析を余儀なくされる患者数は増加の一途をたどっている。透析に移行した慢性腎不全患者においては、近年の血液透析療法の進歩により、延命率の改善が得られているが、週2回から3回の通院を必要とされるだけでなく、長期の透析に伴う合併症の出現、感染症、心・血管障害発症のリスクの増大、さらには医療費の高騰など、なお多くの課題を残している。特に糖尿病性腎症が原因で透析に至った場合、5年生存期間はわずか50%以下である(非特許文献7)。
上述したように、慢性腎不全患者においては、慢性腎不全に特徴的な種々の合併症が生じる。このうち特に問題となるのは、腎機能の低下に伴って発現・増悪する貧血である。貧血は、血中尿素窒素(BUN)、血中クレアチニン値の上昇開始とともに発現し始め、透析などの末期慢性腎不全患者ではほぼ全例に発症し、労作意欲の低下、易疲労感、息切れ、立ちくらみなど、患者のQOLを著しく低下させる。
慢性腎不全に伴う貧血の治療は、古くは輸血が行われていたが、現在は遺伝子組換えエリスロポエチン製剤(rHuEPO製剤)による治療が普及している。しかしながら、本製剤による治療は通院が必要であり、皮下投与によるため痛みを伴うこと、自己抗体の出現等による薬剤抵抗性患者の存在などの問題点も指摘されている。このため、投与が容易で在宅で服用管理ができ、副作用がない慢性腎不全に伴う貧血の予防または治療剤が望まれている。
近年、慢性腎不全の進行や、慢性腎不全に伴う合併症の増悪に対して活性酸素の重要性が指摘されている。スーパーオキシドジスムターゼ(以下、SODと略記することもある)は、動物、植物、微生物などの生体内に広く分布し、反応性に富む活性酸素であるスーパーオキシドアニオンラジカル(以下O と略記することもある)を分解する酵素のうち特に重要である。慢性腎不全において、腎臓あるいは肝臓に含まれるSOD活性が低下しており、この低下が、活性酸素による腎機能の低下や、心・血管障害などの慢性腎不全合併症の発症や増悪に深く関与する(非特許文献8)。
慢性腎不全においては、腎機能の低下とともに生体内に蓄積する低分子物質(尿毒物質)によって、慢性腎不全に特有の臨床症状が発現し、心血管障害の増悪や腎機能のさらなる低下を導く。インドキシル硫酸は、腸内でトリプトファンから産生されるインドールが、生体内に吸収された後、肝臓で代謝されてできる低分子物質である。インドキシル硫酸は主に腎より排泄されるため、慢性腎不全においては腎機能の低下によって効率的な排泄が行えず、血中濃度が上昇する。近年、インドキシル硫酸が種々の慢性腎不全の合併症の増悪や、内皮障害による心血管障害の増悪の原因物質のひとつとして注目されている(非特許文献9)。また、インドキシル硫酸自体が腎障害の増悪に関与することも知られている(非特許文献10)。
インドキシル硫酸は、主に腎尿細管に存在する有機アニオントランスポーターのOAT−3を介して能動的に尿細管より体外に排泄され、慢性腎不全ではOAT−3が低下していることが知られている(非特許文献11)。
さらに、慢性腎不全においては各種薬剤、特に腎排泄型の薬剤の血中濃度が、健常人と比べて上昇しやすいことが知られている。このため、慢性腎不全患者では薬剤の副作用の発現の増加をもたらしたり、適切な投与量の設定に困難を伴うことも多いが、この機序の一つに、腎における薬物トランスポーターの低下が関与している。
このように、慢性腎不全患者の処置には、腎の低分子濾過機能の低下を抑制するだけでなく、慢性腎不全に合併する貧血や活性酸素の増大をいかに抑制するか、さらには腎障害に伴って生じるトランスポーターの低下をいかに阻止するかが課題となっている。
プロスタグランジン(PG)は天然に存在する多彩な生理活性を示す一群の化合物であり、共通のプロスタン酸骨格を有する。天然に存在するPG類はその5員環の構造的な特徴によりPGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類、PGJ類に分類され、さらに不飽和や酸化の存在によって、1、2、3等のサブクラスに分類される。またこれらの合成類似体も多く知られている。PGI誘導体のなかでも代表的なPGIはプロスタサイクリンともよばれ、強力な血小板凝集抑制作用及び末梢血管拡張作用を有する物質として知られている。
PGIおよびその誘導体のうちのいくつかの化合物が、糸球体腎炎あるいは糖尿病性腎症の病態モデル動物や臨床で有効であることは、既に公知である。しかしながら、こうしたPGIまたはその誘導体による知見は、慢性腎不全に至らない原疾患を対象としたものである。このステージにおいては、腎の障害は、腎の糸球体基底膜の高分子物質のバリア機能が低下することによって増加する尿蛋白や、尿中微量アルブミンによって評価され、薬効もこれらのパラメータの低下によって評価されている。
他方、慢性腎不全におけるPGI誘導体の有効性についても報告がある(特許文献1−10、非特許文献12−15)。例えば、ベラプロストナトリウムを含むm−フェニレンPGI誘導体の、部分腎摘出モデルラットおよび抗基底膜抗体を投与して作製した腎炎を原疾患とするラット慢性腎不全モデルでの結果が報告されている(特許文献1および非特許文献12)。慢性腎不全における腎機能を的確に評価するためには、腎の低分子濾過機能マーカーである糸球体濾過量(GFR)もしくはその代用としてeGFR(estimated GFR:推定糸球体濾過量)またはクレアチニンクリアランスが用いられ、他にも腎の低分子濾過機能の低下に伴って上昇する血清クレアチニン値あるいはBUNが用いられる。特許文献1および非特許文献12においても薬効の評価として、血清クレアチニン値やBUNが指標として用いられている。すなわち、本ラットモデルにおいて、血清クレアチニン値やBUNが正常値よりも高値をとることで規定される慢性腎不全を認めた後に、m−フェニレンPGI誘導体の化合物の投与を開始し、血清クレアチニン値、BUN値という慢性腎不全マーカーの上昇が、対照群に比べて抑制されることが示されている。
非特許文献13において、PGI誘導体であるシカプロストがイヌの軽度慢性腎不全モデルでミクロアルブミン尿の改善を示したことが記載されているが、GFRは正常に比べて82%を維持しており、GFRが50%以下である慢性腎不全に至っていないモデルでの評価である。また、認められている効果も腎の低分子濾過機能の改善ではなく可逆的な変化であるミクロアルブミン尿の減少にすぎない。
慢性腎不全患者において、クレアチニンクリアランスや血清クレアチニン値の逆数の低下で示される腎機能の低下速度が、ベラプロストナトリウムの投与によって抑制されたことが報告されている(非特許文献14)。PGI誘導体であるトレプロスチニルは慢性腎不全患者において、尿の産生で見る腎機能を改善したことが記載されているが、利尿作用を見ただけであり、慢性腎不全を改善するかどうかについては明らかにされていない(特許文献2)。
低酸素血症にした場合、腎の内因性のPGEやPGI産生増加を介してエリスロポエチン産生を促す可能性が示されている(非特許文献15)。慢性腎不全においては、腎の低酸素状態があることから、内因性のPGEやPGIさらにはエリスロポエチンの産生が増加すると考えられるにも関わらず、高度の貧血が問題となっている。この理由は不明であるが、腎不全においては本文献に基づく機序での貧血改善作用が充分に機能していない可能性があると考えられる。
PGI乃至その誘導体の貧血改善効果については、末梢循環障害を有する長期透析患者の貧血を改善したとの結果がベラプロストナトリウムについてのみ報告されている(非特許文献16)。しかしながら、本文献はほとんどの腎細胞が本来の機能を失っている長期透析患者における貧血の改善である。本願の慢性腎不全ラットモデルにおける貧血の改善は、腎の細胞機能が一部維持されている保存期慢性腎不全における貧血の改善であり病態が異なる。したがって、本文献からは保存期慢性腎不全におけるベラプロストナトリウムの効果の程度を予測できないし、開示もなく、PGI誘導体間での著しい効果の違いも推測することはできなかった。また、ベラプロストナトリウムの慢性腎不全患者における尿毒症改善効果が報告されている。尿毒症の具体的合併症のひとつとして貧血が記載されているが、ベラプロスト投与による具体的な貧血改善効果については何ら記載されていない(特許文献3)。
またPGI乃至その誘導体の投与により、ラットの胃粘膜、レイノー症状を有するヒト全身性硬化症患者において、赤血球中におけるSOD活性を上昇させる(非特許文献17、18)、対象臓器や疾患が全く異なる慢性腎不全において、腎のSOD活性を上昇させるか否か、PGIおよびその誘導体の間でその効果に違いがあるか否かについては、何ら指摘も示唆もされていない。さらには、腎不全において腎の有機アニオントランスポーターの低下を抑制することについても知られていなかった。
上述した文献で用いられた化合物である、シカプロスト、m-フェニレンPGI誘導体特にベラプロストナトリウム、さらにトレプロスチニルは、いずれも天然のPGIの不安定性を改善したPGI誘導体である。
これに対し、近年非プロスタノイド骨格を有する、PGI受容体作動薬が開発されるようになった。
このうち、下記一般式
Figure 0005609643
で表される化合物は、PGI受容体作動性をもち、抗血小板作用、血管拡張作用、気管支拡張作用などを有すること、また一過性脳虚血発作、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽、末梢循環障害などの疾患に有用である可能性が指摘されている。また同じ特許文献の実施例において、PGI受容体作動性の指標となる抗血小板作用を有することが確認されている。本特許文献において、上記一般式で表される化合物が、他のPGI受容体作動薬と同様に、糸球体腎炎や糖尿病性腎症の治療薬として有用であることが記載されている(特許文献4)。
しかしながら、上記一般式で表される化合物が、腎疾患のうち、特に慢性腎不全処置剤として、特徴的で、顕著な有効性をもつことについては何ら記載されていない。
さらに、特許文献5〜10では非プロスタノイド骨格を有する、PGI受容体作動薬が腎不全に使用できることが開示されているが、特に慢性腎不全処置剤として、特徴的で、顕著な有効性をもつことについては何ら記載されていない。
すなわち上記化合物を慢性腎不全の処置剤として用いたとき、腎の低分子濾過機能の改善や、慢性腎不全での合併症として重要な貧血の改善、さらには活性酸素の除去に中心的な役割を担っているSOD活性を上昇させることや尿毒物質を能動的に排泄する腎の有機アニオントランスポーターの低下を抑制することについては、何らの記載や示唆もされていない。
国際公開第2000/067748号パンフレット 国際公開第2005/058329号パンフレット 国際公開第2007/007668号パンフレット 国際公開第2002/088084号パンフレット 国際公開第1997/03973号パンフレット 国際公開第1999/21843号パンフレット 国際公開第1999/32435号パンフレット 国際公開第2001/016132号パンフレット 国際公開第2004/034965号パンフレット 特開2000−191523号パンフレット
木村健次郎 他編、講義録 腎臓学 第1版 メジカルビュー社 2004年 第270ページ 1行目から10行目 木村健次郎 他編、講義録 腎臓学 第1版 メジカルビュー社 2004年 第274ページから275ページ 南学正臣 日薬理誌 118:68−70.2001 ハイパー臨床内科 中山書店 1997 黒川清編 腎臓学病態生理からのアプローチ 南江堂 1995年 第345ページ 左カラム1行目から7行目 黒川清編 腎臓学病態生理からのアプローチ 南江堂 1995年 第347ページ 左カラム 3行目から5行目 Villar E, et al., J Am Soc Nephrol, 18: 2125-2134. 2007 Vaziri ND, et al., Kidney Int, 63: 179-185. 2003 Dou L, et al., Kidney Int, 65: 442-451. 2004 Enomoto A, et al., Ther ApherDial, 11 Supple 1: S27-31. 2007 Villar SR, et al., Kidney Int, 68: 2704-2713. 2005 Yamada M, et al., Eur J Pharmacol, 449: 167-176. 2002 Villa E, et al., Am J Hypertens, 6: 253-257. 1993 Fujita T, et al., Prostaglandins Leukot EssentFatty Acids, 65: 223-227. 2001 黒川清編 腎臓学病態生理からのアプローチ 南江堂 1995年 第48−49ページ 守矢英和 日本透析医学会学会抄録集 O−425 2006 Zsoldos T, et al., Acta Physiol Hung, 64: 325-330. 1984 Balbir-Gurman A,et al., Clin Rheumatol, 26: 1517-1521. 2007
慢性腎不全患者においては、腎の低分子物質の濾過機能の低下が不可逆的におきることから、この低下速度を緩やかにし、透析導入までの期間をできるだけ伸ばすことが求められている。また、慢性腎不全の進行に伴って発現する合併症の貧血や、慢性腎不全に伴う心・血管障害や血管内皮細胞障害の原因となる酸化ストレスの増大を、いかに効果的に阻止するかが課題となっている。さらには、慢性腎不全で生じる尿毒症の改善や、慢性腎不全で見られる薬物の血中濃度の上昇やコントロールの困難性の克服も課題である。本発明の目的は、これらの問題点を改善するための慢性腎不全処置剤および処置方法を提供することである。
上記課題は、非プロスタノイド骨格を有する、PGI受容体作動薬である一般式(1)で表される化合物、またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする慢性腎不全処置剤によって解決できる。
すなわち本発明は、
[1]下記一般式(1)
Figure 0005609643
[式中、R、Rは、それぞれ独立してアリールを表し、
Aは、NR、O、S、SOまたはSOを表し、
は、炭素数1から6のアルキル、炭素数2から6のアルケニルまたは炭素数3から6のシクロアルキルを表し、
Dは、炭素数2から6のアルキレンまたはアルケニレンを表し、
Gは、O、S、SOまたはSOを表し、
、Rは、それぞれ独立して水素または炭素数1から6のアルキルを表し、
Qは、カルボキシル、炭素数1から6のアルコキシカルボニル、テトラゾリルまたは下記一般式(2)
Figure 0005609643
(式中、Rは、炭素数1から6のアルキルを表す。)
を表す。]
で表される化合物、またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする慢性腎不全処置剤。
[2]RおよびRが、フェニルを表し、
が、炭素数1から6のアルキルを表し、
Dが、炭素数2から6のアルキレンを表し、
Gが、Oを表し、
およびRが、水素を表し、
Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
[1]記載の慢性腎不全処置剤。
[3]Aが、NRを表し、
が、炭素数3から6の分岐アルキルを表し、
Dが、ブチレンを表し、
Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
[1]または[2]に記載の慢性腎不全処置剤。
[4]Rが、イソプロピルを表し、
Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
[1]から[3]のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。
[5]Qが、カルボキシルを表す、
[1]から[4]のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。
[6]慢性腎不全が保存期慢性腎不全であることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。
[7][1]から[5]のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬理学的に許容できる塩を用いた慢性腎不全処置のための治療方法。
である。

一般式(1)で表される化合物またはその薬理学的に許容できる塩(以下、「本発明化合物」と表記することがある)を、腎疾患が進行し、慢性腎不全に至ってから投与を開始することによって、腎の低分子濾過機能の低下を抑制するばかりか向上させ、回復させることができる。さらに、慢性腎不全に特有の合併症である貧血を改善するほか、慢性腎不全において低下するSOD活性を上昇させ、尿毒症物質の排泄に関わるOAT−3の低下を抑制する効果を併せ持つことから、慢性腎不全に伴う心・血管障害や血管内皮細胞障害を改善することができる。
慢性腎不全ラットを用いた化合物1のナトリウム塩投与群における血清クレアチニン値を示す。 慢性腎不全ラットを用いた化合物1のナトリウム塩投与群におけるBUNを示す。 慢性腎不全ラットを用いた化合物1のナトリウム塩投与群におけるクレアチニンクリアランスを示す。 化合物1および化合物2を経口投与したときの化合物1の血漿中濃度推移を示す。
一般式(1)で表される化合物における「アリール」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを挙げることができる。
「炭素数1から6のアルキル」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルを挙げることができる。
「炭素数2から6のアルケニル」としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルを挙げることができる。
「炭素数3から6のシクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを挙げることができる。
「炭素数2から6のアルキレン」としては、例えば、エチレン、1−メチルエチレン、2−メチルエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンを挙げることができる。
「炭素数2から6のアルケニレン」としては、例えば、エテニレン、1−プロペニレン、2−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、3−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン、4−ペンテニレン、4−メチル−3−ペンテニレン、1−ヘキセニレン、2−ヘキセニレン、3−ヘキセニレン、4−ヘキセニレン、5−ヘキセニレンを挙げることができる。
「炭素数1から6のアルコキシカルボニル」の「炭素数1から6のアルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシを挙げることができる。
本発明化合物における「薬理学的に許容できる塩」としては、一般式(1)で表される化合物が塩基性を示す場合は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸の塩を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物が酸性を示す場合は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物の中でも、RおよびRがフェニルを表し、AがNRを表し、Rがイソプロピルを表し、Dがブチレンを表し、GがOを表し、RおよびRが水素を表し、Qがカルボキシルで表される化合物1またはその薬理学的に許容できる塩が最も好適に用いられる。
Figure 0005609643
また、上記化合物のうち、一般式(1)中のQに相当するカルボキシルをその等価体である、炭素数1から6のアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニルなど)、テトラゾリルまたは一般式(2)で置換した化合物も特に好適に用いられる。特に、一般式(2)で、Rが、炭素数1から6のアルキルであることが好ましく、さらにはRが炭素数1のアルキル(メチル)である化合物2は特に好ましく用いられる。
Figure 0005609643
本発明における慢性腎不全とは、腎の濾過機能が時間をかけて徐々に低下し、機能異常状態が長期に亘って持続することをいう。具体的には、血液中の血液尿素窒素(BUN)や血清クレアチニン値が持続的に高値を示す、あるいは上昇する状態または症候群ということができる。この定義は背景技術の項で記載した教科書での定義と本質的に同等である。より具体的には、ヒトの場合、酵素法によって測定した血清クレアチニン値が1.4mg/dL以上であり、これが1ヶ月以上持続する場合には、確実に慢性腎不全と判断できる。他の動物種では、血清クレアチニン値の絶対値は異なる場合があるが、正常範囲よりも高値であることにより、慢性腎不全に至ったものと判断できる。
また、本発明における保存期慢性腎不全とは、慢性腎不全の中でも透析や腎移植によらなければ生命の維持ができない末期慢性腎不全に至る前のステージを示す。本発明は、腎の果たす機能の多くが低下するが、なお残存する保存期慢性腎不全において、特に有効に用いることができる。
さらに本発明は、クレアチニンクリアランス、eGFR、あるいはイヌリンクリアランス法等での実測による糸球体濾過量(GFR)が、ヒトの場合60mL/min/1.73m未満の際に、動物の場合これらの指標が正常の50%以下に低下した際に特に有効に用いることができる。またさらに腎機能が低下し、ヒトの場合40mL/min/1.73m未満、あるいは30mL/min/1.73m未満の際にも、好ましく用いることができる。
本発明における慢性腎不全の原因疾患としては、原発性腎疾患、全身疾患の腎障害、先天性腎疾患、腎感染症、腎毒性物質による腎障害、尿路閉塞性疾患などすべての腎障害性疾患があげられる。具体的には慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎、急性進行性腎炎、妊娠中毒症、嚢胞腎、腎硬化症、悪性高血圧、SLEなどの各種膠原病に伴う腎障害、アミロイド腎、痛風腎、代謝異常腎不全、結核、腎結石症、腎・尿路悪性腫瘍、閉塞性尿路疾患、骨髄腫、腎形成不全などがあるが、特に限定されない。
本発明により処置(「治療」と表記することがある)できる腎不全は、慢性腎不全、特に保存期慢性腎不全である。低下した腎の濾過機能を改善できるだけでなく、貧血の改善、SOD活性を上昇させることで、慢性腎不全で特に問題となる心・血管障害や内皮細胞障害の改善効果を有する。
本発明における貧血とは、慢性腎不全に伴って発症する貧血をいう。具体的には赤血球数、ヘマトクリット、血色素量の低下等によって貧血を判断することが可能であり、腎機能障害期以降、病期の進行に伴って発症例が増加することが知られている。
本発明によって、慢性腎不全に伴う貧血の予防または治療が可能となるため、貧血に伴う労作意欲の低下、易疲労感、息切れ、立ちくらみ、動悸等の臨床症状を改善することができる。さらに経口投与も可能なことから、皮下注射時の痛みを伴うことなく、また通院せずに在宅で毎日簡単に服用できることから、確実な貧血改善とともに、貧血に伴う諸症状の管理が可能となる。
慢性腎不全において認められるSOD活性の低下について、本発明での改善効果が初めて明らかになった。SODは生体内での酸化ストレスの軽減・除去に中心的な役割を果たしていることから、酸化ストレスの上昇による腎機能のさらなる低下に対する改善が期待できる。さらに、慢性腎不全に伴って増加することが知られている、血管や血管内皮細胞障害をはじめ、心血管イベントについても、本発明による改善が期待できる。
本発明において、慢性腎不全で顕著に低下し、尿毒物質として重要なインドキシル硫酸の主な排泄経路の有機アニオントランスポーター、OAT-3の低下を抑制することが明らかとなった。このため、本発明化合物の投与により、インドキシル硫酸の排泄の低下抑制が期待できる。さらに、有機アニオントランスポーターが排泄に関係する薬剤について、血中濃度の上昇を抑制することで副作用軽減につながったり、適切な薬剤投与量の設定を容易にすることが可能である。
このように、本発明化合物は、慢性腎不全での貧血改善、腎SOD上昇、薬物トランスポーター低下抑制効果が認められることから、慢性腎不全に用いる薬剤として、極めて好ましい特徴を備えている。
本発明化合物は、公知の方法により、例えばWO2002/088084号公報に記載されている方法にしたがって製造することができる。
また、本発明においては、本発明化合物を2種以上含んでいてもよいし、上述したような他のプロスタグランジンI誘導体や既存の腎疾患治療薬を含んでいても良い。このような薬剤の例としては、たとえばアンジオテンシン変換酵素阻害剤やアンジオテンシンII受容体拮抗薬をはじめとして、カルシウムブロッカー、βブロッカーなどの降圧剤があげられる。また、ペルサンチン、ジピリダモールなどの抗血小板薬や、腎疾患での治療効果が報告されているスタチン類などとの併用、あるいは合剤を作製することも好ましく実施可能である。
また、本発明化合物が慢性腎不全に伴う貧血の処置にも使用できることから、rHuEPO製剤や鉄剤との併用ももちろん可能であり、rHuEPO製剤や鉄剤などの投与間隔を延長したり副作用を軽減することができる。また、これらの製剤との合剤を作製したり、他のSOD製剤や酸化ストレス抑制剤との併用や合剤の作製も可能である。
本発明は、哺乳動物に特に有効に用いられる。ヒトに用いることができるほか、ヒト以外の哺乳動物、好ましくはイヌ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモットなどのペットの治療に用いることも可能である。また本発明は、慢性腎不全処置のための治療方法としても用いることができる。
本発明の慢性腎不全処置剤をヒトに使用する場合の好適な投与量は、有効成分である上記一般式(1)で表される化合物の量として、成人1回あたり、1〜10000μg/人、好ましくは5〜5000μg/人であり、これを1日1回〜4回程度、1日以上、好ましくは3日以上投与する。
ヒト以外の哺乳動物に適用する場合の好適な投与量は、有効成分である式(1)で示される化合物の量として、0.1μg/kg〜100mg/kg、好ましくは1μg/kg〜50mg/kgであり、これを1日1回〜4回程度、1日以上、好ましくは3日以上投与する。
投与方法としては、経口投与、皮下投与、静脈内ないしは血管内投与、筋肉内投与、経肺投与、十二指腸内投与、腹腔内投与などの、いずれの投与法であってもよく、特に限定されない。さらに、薬剤を直接あるいは適当な基剤に含有した状態で、障害の特に顕著な組織や臓器の障害部位に直接注入する方法も好ましく用いられる。
なお、本発明の慢性腎不全処置剤が、既存の腎不全処置剤を追加成分として含む場合、上記投与量は、それら追加成分の作用効果を考慮して減じることができる。
本発明の慢性腎不全処置剤は、1種または数種の誘導体をそのまま用いても良いが、以下に示す添加剤を含む固形物の形で経口投与することもできる。添加剤としては例えば賦形剤、例えば澱粉類、ラクトース、スクロース、葡萄糖、マンニトール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等:結合剤、例えば、澱粉類、デキストリン、アラビアゴム、トラガンド、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等:崩壊剤、例えば、澱粉類、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース等、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等:着色剤、香料等があげられる。
本発明の慢性腎不全処置剤は各種剤形により使用できるが、具体的には錠剤、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤、スプレー剤などの従来用いられる剤形が挙げられる。また、殺菌溶液の形で非経口的に投与しても良く、他の溶質、例えば薬剤溶液を等張にするために必要な塩化ナトリウムまたはグルコース等を用いることもできる。
また、各薬剤の特性によって、個別に徐放化、放出遅延化などの放出制御することも実施可能である。この場合、体内埋め込み型の徐放性ポンプ(例えばアルザミニポンプ)を用いる方法や、消化管内で徐々に分解する生分解性ポリマー内に分散させる方法など、経口的にも非経口的にも、幅広い投与法をとることが可能である。
以下実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
ラットにおける血小板凝集抑制作用
(実験方法)
化合物1のナトリウム塩とベラプロストナトリウムについてPGI受容体作動性が同等である用量を設定するため、PGI受容体作動薬の代表的な薬理作用である血小板凝集抑制効果を指標として比較した。1日絶食したラットに化合物1のナトリウム塩(30mg/kg)あるいはベラプロストナトリウム(0.3mg/kg)を経口投与し、それぞれの血漿中濃度がピークになる時間、すなわち化合物1のナトリウム塩投与時は1時間後(非特許文献:J Pharmacol Exp Ther 322:1181−1188 2007)、ベラプロストナトリウム投与時は0.5時間後(非特許文献:薬物動態 6:713−725 1989)に採血し、ADP誘発ラット血小板凝集を測定した。両群ともn=6で実験を行った。なお、ここで使用したPGI受容体作動薬のうち、化合物1のナトリウム塩は特許文献4記載の方法に従い合成したカルボン酸を、水酸化ナトリウムで処理して合成した。
(結果)
ADP 10μM刺激時のラット血小板凝集に対する抑制率は、化合物1のナトリウム塩投与群は47.0±7.9%、ベラプロストナトリウム投与群は64.2±8.3%(各群6例の平均値±標準誤差)であり、ベラプロストナトリウムの方が強い傾向であったが、統計学的な差はなかった(t検定)。この結果、化合物1のナトリウム塩の30mg/kg用量は、ベラプロストナトリウムの0.3mg/kg用量とほぼ同等のPGI受容体作動性を示すことが示された。
実施例2
慢性腎不全ラットを用いた薬理効果
(実験方法)
8週齢WKYラットに、ウサギ抗ラット糸球体基底膜抗血清(14倍希釈、3mL/kg)を静注して糸球体腎炎を誘発した。腎炎誘発の2週後に採血を行い、本時点で血清クレアチニン値が有意に上昇しており、すでに慢性腎不全に至っていると判断された(正常群:0.23±0.01mg/dL、N=4、腎炎誘発群:0.47±0.01mg/dL、N=21、t検定)。さらに、このとき糸球体濾過量(GFR)として代用されるクレアチニンクリアランスは正常群では2.63±0.07mL/min(N=3)、腎炎誘発群は1.22±0.04mL/min(N=21)であった。すなわち、腎炎誘発群のクレアチニンクリアランスは正常群の50%以下に低下しており、糸球体腎炎を原疾患とした慢性腎不全に至っていることを確認し、腎炎誘発2週後を慢性腎不全成立時点とした。腎炎誘発6週後における対照群のクレアチニンクリアランスは0.33±0.10mL/minであり、正常群(3.24±0.13mL/min)の10.2%となった。このステージはヒトにおいては透析導入を検討する時期であり、保存期腎不全のもっとも重篤な時期に相当する。
そこで、腎炎誘発2週後の慢性腎不全ラットについて血清クレアチニン値を基に、正常群(腎炎誘発および投与を行わない、n=4)、対照群(溶媒のみ投与、n=7)、化合物1のナトリウム塩群(30mg/kgを1日2回投与、n=7)、ベラプロストナトリウム群(0.3mg/kgを1日2回投与、n=7)に群分けし、薬剤の経口投与を開始し、以後連日投与した。このとき、薬剤の溶媒には0.25%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を用いた。
慢性腎不全が成立した腎炎誘発2週後から6週後まで適宜採尿・採血を行い、各群の血清クレアチニン値、BUN、クレアチニンクリアランスを測定して腎機能の評価を行った。また慢性腎不全の病態に密接にかかわる、ヘマトクリット値、ヘモグロビン量、腎組織のSOD活性を測定し、有機アニオントランスポーターOAT−3のmRNA発現量を定量した。SOD活性はSOD assay kit WST(同仁化学)を用いて測定し、OAT−3のmRNA発現量はライトサイクラーファストスタートDNAマスターSYBR Green I(ロシュ)を用いて定量した。
対照群が保存期腎不全の重篤な時期に進行した腎炎誘発6週後において、統計解析を行った。統計学的差は対照群と各薬剤群の間でBartlett検定により等分散性を検定し、等分散の場合は各薬剤群と対照群の間でパラメトリックDunnett検定を、不等分散の場合はノンパラメトリックDunnett検定を行い、危険率を5%未満とした。
(結果1)
図1に示したように、化合物1のナトリウム塩群の血清クレアチニン値は腎炎誘発6週後まで対照群に対して低値を推移した。図2に示したように、化合物1のナトリウム塩群のBUNは腎炎誘発6週後まで対照群に対して低値を推移した。図3に示したように、化合物1のナトリウム塩群のクレアチニンクリアランスは腎炎誘発6週後まで対照群に対して高値を推移した。さらに、化合物1のナトリウム塩群の腎炎誘発6週後のクレアチニンクリアランスは投与開始時(腎炎誘発2週後)よりも有意に上昇しており(2週後:1.21±0.06mL/min、6週後:1.48±0.11mL/min、t検定)、化合物1のナトリウム塩は慢性腎不全の病態進行抑制にとどまらず、明確な腎の濾過機能の改善効果をもつことが示された。
腎炎誘発6週後において各薬剤の作用を比較した結果を表1に示した。化合物1のナトリウム塩群の血清クレアチニン値は、対照群に比べて有意に低値であったが、ベラプロストナトリウム群の血清クレアチニン値は対照群との間で統計学的差は認められなかった(ノンパラメトリックDunnett検定)。化合物1のナトリウム塩群のBUNは、対照群に比べて有意に低値であったが、ベラプロストナトリウム群のBUNは対照群との間で統計学的差は認められなかった(ノンパラメトリックDunnett検定)。化合物1のナトリウム塩群のクレアチニンクリアランスは、対照群に比べて有意に高値であり、ベラプロストナトリウム群のクレアチニンクリアランスも対照群に比べて有意に高値であった(パラメトリックDunnett検定)。
以上の結果から、化合物1のナトリウム塩はベラプロストナトリウムに比べて腎機能改善作用が優れていることが示された。
Figure 0005609643
(結果2)
腎炎誘発6週後における対照群のヘマトクリット値(32.0±2.09%)、ヘモグロビン量(11.8±0.69g/dL)はそれぞれ正常群(ヘマトクリット値 44.1±0.34%、ヘモグロビン量16.0±0.09g/dL))に比べて有意に低下した(t検定、p<0.05)。他の糸球体腎炎ラット(非特許文献:Mol Med 4:413−424 1998)や腎性貧血を自然発症するICGNマウス(非特許文献:J Vet Med Sci 66:423−431 2004)とほぼ同様な値となっていることから、本慢性腎不全ラットにおいても腎性貧血に至っていると判断された。表2に示したように、化合物1のナトリウム塩群のヘマトクリット値、ヘモグロビン量は対照群に比べて有意に高値であった。ベラプロストナトリウム群のヘマトクリット値、ヘモグロビン量は対照群に比べて高値であったが統計学的差は認められなかった(ノンパラメトリックDunnett検定)。以上より、化合物1のナトリウム塩には貧血改善作用があることが示唆された。
Figure 0005609643
(結果3)
腎炎誘発6週後における腎組織のSOD活性の測定結果を表3に示した。化合物1のナトリウム塩群のSOD活性は対照群に比べて有意に高値であった。ベラプロストナトリウム群のSOD活性は対照群に比べて高値であったが統計学的差は認められなかった(パラメトリックDunnett検定)。以上より、化合物1のナトリウム塩にはSOD活性上昇による酸化ストレス改善作用があることが示唆された。
Figure 0005609643
(結果4)
腎炎誘発6週後における腎皮質に発現する有機アニオントランスポーターOAT−3のmRNAの定量結果を表4に示した。化合物1のナトリウム塩群のOAT−3発現量は対照群に比べて有意に高値であった。ベラプロストナトリウム群のOAT−3発現量は対照群に比べて高値であったが統計学的差は認められなかった(パラメトリックDunnett検定)。すなわち、化合物1のナトリウム塩にはトランスポーターであるOAT−3の低下を抑制することにより尿毒物質の排泄を改善する作用があることが示唆された。
Figure 0005609643
実施例3
化合物1および化合物2をラットに投与したときの、化合物1の血漿中濃度推移
化合物1または化合物2をラットに5mg/kgで経口投与および化合物1を1mg/kgで静脈内投与し、血漿中の化合物1の濃度を測定した。両群ともn=3で実験を行った。化合物2は生体内で化合物1に変換され、化合物1を直接投与した時と比べてバイオアベイラビリティに統計学的な差はなく(表5)、図4に示したように化合物1の血漿中濃度推移はほぼ重なることから、化合物2は化合物1と同様に使用できることが示された。なお、ここで使用した化合物1および化合物2は、特許文献4記載の方法に従い合成した。
Figure 0005609643
以上のように、PGI受容体作動性としてほぼ同程度である用量の化合物1のナトリウム塩とベラプロストナトリウムを慢性腎不全ラットに経口投与して、慢性腎不全における処置効果を検討した。この結果、化合物1のナトリウム塩は、腎機能の改善、貧血の改善、SOD活性の改善および尿毒物質の排泄に関わるOAT−3の低下の改善において、ベラプロストナトリウムと比べて優れた効果を持つことが分かった。よって、化合物1のナトリウム塩に代表される本発明化合物は、公知の他化合物に比べ、慢性腎不全処置剤として極めて有用であることが示された。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005609643
    [式中、R、Rは、それぞれ独立してアリールを表し、
    Aは、NR、O、S、SOまたはSOを表し、
    は、炭素数1から6のアルキル、炭素数2から6のアルケニルまたは炭素数3から6のシクロアルキルを表し、
    Dは、炭素数2から6のアルキレンまたはアルケニレンを表し、
    Gは、O、S、SOまたはSOを表し、
    、Rは、それぞれ独立して水素または炭素数1から6のアルキルを表し、
    Qは、カルボキシル、炭素数1から6のアルコキシカルボニル、テトラゾリルまたは下記一般式(2)
    Figure 0005609643
    (式中、Rは、炭素数1から6のアルキルを表す。)
    を表す。]
    で表される化合物、またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする慢性腎不全処置剤。
  2. およびRが、フェニルを表し、
    が、炭素数1から6のアルキルを表し、
    Dが、炭素数2から6のアルキレンを表し、
    Gが、Oを表し、
    およびRが、水素を表し、
    Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
    請求項1記載の慢性腎不全処置剤。
  3. Aが、NRを表し、
    が、炭素数3から6の分岐アルキルを表し、
    Dが、ブチレンを表し、
    Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
    請求項1または2に記載の慢性腎不全処置剤。
  4. が、イソプロピルを表し、
    Qが、カルボキシルまたは一般式(2)を表す、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。
  5. Qが、カルボキシルを表す、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。
  6. 慢性腎不全が保存期であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の慢性腎不全処置剤。








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