以下、本発明の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的構成について、図1および図2を参照して説明する。図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28等を備えた図柄表示装置8が設けられている。図柄表示装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。図柄表示装置8の下方には特別図柄始動電動役物15が配設されており、その下方には大入賞口16が設けられている。
次に、図柄表示装置8について説明する。図2に示すように、図柄表示装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備えている。表示画面28には、動画や文字列等様々な映像が表示されるが、特に当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。そして、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、当たり判定の結果を示す図柄の組み合わせを確定表示させることで、当たり判定の結果を遊技者に報知する。さらに、パチンコ機1では、表示領域の下部に文字列表示ウィンドウ81を表示し、遊技状態に応じて文字列を用いた様々な演出を行うことで、遊技者の興趣を惹き付ける。
表示画面28の右下には、当たり判定の結果および保留球数を表示する表示部24が設けられている。表示部24は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、普通図柄記憶数表示LEDを備えている。特別図柄表示部は、2つの7セグメントLEDからなり、大当たり判定および小当たり判定の結果を示す特別図柄を表示する。普通図柄表示部は、LEDの点灯、消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。特別図柄記憶数表示LEDは、当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂特別図柄作動保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは普通図柄作動保留球数を表示する。
次に、パチンコ機1における遊技および演出の概要について説明する。パチンコ機1の当たり遊技には、15R大当たり遊技、2R大当たり遊技、および小当たり遊技が設けられている。15R大当たり遊技とは、1回の当たり遊技中に大入賞口16が15回開閉され、遊技者が多数の遊技球を獲得できる当たり遊技である。2R大当たり遊技とは、大入賞口16の開閉回数が2回であり、且つ1回の開放時間が15R大当たり遊技中よりも短い当たり遊技である。小当たり遊技とは、大入賞口16の動作が2R大当たり遊技中と同じであり、その前後で遊技状態が変化しない当たり遊技である。特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると当たり判定が行われ、15R大当たり、2R大当たり、小当たり、およびはずれのいずれであるかが乱数に基づいて判定される。
また、パチンコ機1では、大当たりと判定される確率が通常よりも高くなる確率変動状態と、単位時間当たりに行われる当たり判定の回数が通常よりも多くなる時短状態とを生起させることができる。すなわち、パチンコ機1では、確率変動状態および時短状態のいずれも生起されていない「通常状態」、確率変動状態のみが生起されている「確変非時短状態」、時短状態のみが生起されている「非確変時短状態」、確率変動状態および時短状態が共に生起されている「確変時短状態」の4つの状態のいずれかが生起されることとなる。確率変動状態を生起させる契機となるのは、確率変動の15R大当たりおよび2R大当たりである。パチンコ機1では、非確率変動状態中に2R大当たりまたは小当たりとなった場合、チャンスモードへ移行する。チャンスモードへの移行契機となった当たりが小当たりでなく2R大当たりであれば、確率変動状態が生起されていることとなる。よって、遊技者は、確率変動状態が生起されていることを期待してチャンスモード中の遊技を楽しむことができる。さらに、パチンコ機1は、チャンスモード中に後述の文字列演出を行うことで、遊技者の興趣を強く惹き付けることもできる。
文字列演出の概要について説明する。パチンコ機1は、特別図柄の変動を開始させる際に、その時点での遊技状態を判断する。ここで、遊技状態の判断とは、その変動中にリーチ演出を実行するか否か、当たりとなる期待度が高いリーチ演出が実行されるか否か、判定結果が当たりであるか否か、確率変動状態が生起されているか否か等の判断をいう。そして、判断した遊技状態に応じて、文字列を表示させるか否か、いずれの文字列を表示させるかを決定し、文字列表示ウィンドウ81に文字列を適宜表示させる。
表示させる文字列には、通常文字列および特定文字列がある。通常文字列とは、左から右(以下、「第一方向」という。)に読んだ場合にのみ情報を読み取ることができる文字列である。特定文字列は、第一方向に読んだ場合に情報を読み取ることができる点は通常文字列と同じであるが、さらに、第一方向とは異なる第二方向に読んだ場合に情報を読み取ることが可能な部分(以下、「特定部分」という。)を含む。従って、遊技者は、特定部分に何らかの情報が隠されていることを期待しながら遊技を楽しむことができる。さらに、パチンコ機1は、特定文字列を表示させる場合、第二方向を遊技者に報知、または示唆することもできる。
次に、パチンコ機1の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、制御部40は、主基板41、サブ統合基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47から構成されている。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続されており、CPU51は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。この主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15へ入賞した遊技球を検出する。
サブ統合基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、およびスピーカ48に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46はCPU等を備え、サブ統合基板58から送信されるコマンドに応じて電飾ランプ31の発光を制御する。同様に、演出制御基板43は表示画面28の表示を制御する。なお、演出制御基板43には、文字列の画像データ等、表示画面28に表示させる画像のデータを記憶するCGROMが設けられている。また、払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ71、大入賞口開放ソレノイド72、電動役物開放ソレノイド73、大入賞口スイッチ75、および表示部24が接続されており、主基板41との間の中継を行う。普通図柄作動スイッチ71は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口開放ソレノイド72は、大当たり遊技中および小当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。電動役物開放ソレノイド73は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔毎に遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、主基板41のRAM52の当たり関係情報記憶エリアについて、図4を参照して説明する。当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図5、S14参照)において使用される。図4に示すように、当たり関係情報記憶エリアには、判定エリア、および第一〜第四記憶エリアが設けられている。そして、特別図柄作動保留球の取得した乱数が、第一〜第四記憶エリアに記憶される。判定エリアには、現在行われている当たり判定の結果報知や、当たり遊技の基になった乱数が記憶される。
判定エリアおよび第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、当たり判定カウンタの値が記憶される当たり乱数欄、特別図柄決定カウンタの値が記憶される特別図柄決定乱数欄、および変動パターン決定カウンタの値が記憶される変動パターン決定乱数欄が設けられている。特別図柄始動電動役物15を遊技球が通過すると、特別図柄作動保留球数の値に対応する記憶エリアに各値が記憶される。そして、この値に基づいて当たり判定(大当たり判定および小当たり判定)、大当たりと判定された場合の特別図柄の決定、および変動パターンの決定が行われる。判定エリアに記憶されている値に対する処理が終了したら、第一記憶エリアに記憶されている値が判定エリアにシフトされ、この値に基づいて次の当たり判定等の処理が行われる。これに伴い、第二〜第四記憶エリアの各値が1つ番号の若い記憶エリアにシフトされる。なお、普通当たり判定を行うための乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリアも同様に設けられている。
次に、パチンコ機1の主基板41による動作について、図5を参照して説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムにより行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドがサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、特別図柄始動電動役物15、および大入賞口16に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、各入賞口への遊技球の入賞を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されているカウンタの各値が所定量加算または減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、当たり遊技中に、大入賞口16の開閉動作を指示するためのコマンドの処理が行われる。また、大当たり遊技の終了時には、大当たり遊技の基となった特別図柄の種類と、大当たり判定時の遊技状態とに応じて、確変時短状態、非確変時短状態、および確変非時短状態のいずれかを生起させるためのフラグ(確率変動フラグおよび時短中フラグ)の処理が行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。特別図柄処理では、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機として乱数が取得され、取得された乱数が当たり関係情報記憶エリア(図4参照)に記憶される。そして、当たり乱数欄の値によって当たり判定が行われ、当たり判定の結果および特別図柄決定乱数の値から特別図柄が決定される。さらに、当たり判定の結果および変動パターン決定乱数欄の値から変動パターンが決定されて、決定された変動パターンを指定するコマンド、および決定された変動パターンを指定するコマンドがRAM52に記憶される。
変動パターンは、リーチ演出を実行するパターンと実行しないパターンとに大別される。当たり判定の結果が大当たりまたは小当たりであれば、リーチ演出を実行するパターンが必ず決定される。リーチ演出を実行するパターンには、当たりとなる信頼度が異なる複数のパターンが設けられている。一般的には、演出時間が長い変動パターン程当たりの場合に実行されやすくなるように、変動パターンを決定するテーブルが設定されている。演出時間は、変動パターン毎にあらかじめ決められている。
さらに、リーチ演出を実行するパターンの中には、所謂疑似連続変動を実行させるパターンが含まれる。疑似連続変動とは、当たり以外のデモ図柄の組み合わせを仮停止させ、その後再び図柄を変動させることで、1回の当たり判定の結果が表示される間に、あたかも複数回の当たり判定の結果が示されるような印象を遊技者に与えることができる演出である。疑似連続変動では、デモ図柄の変動回数が多いパターン程、当たりの場合に実行される割合が高くなるように、変動パターンを決定するテーブルが設定されている。よって、遊技者は、デモ図柄の仮停止および再変動が継続して複数回行われることを期待する。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に、特別図柄始動電動役物15に設けられた一対の開閉部材の開閉の制御が行われる。時短状態が生起されている場合、生起されていない場合よりも長く開閉部材を開放する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、先述したスイッチ読込処理(S11)にて普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過が検出されると、普通当たり判定カウンタの値が普通当たり乱数として取得される。取得された乱数に基づいて普通当たり判定が行われて、表示部24(図2および図3参照)の普通図柄を変動および停止させることで判定結果が報知される。
次いで、賞品球の払い出しを行う払出処理(S17)、およびエラーチェック(S18)が行われる。払出処理では、エラーが発生している場合に、表示画面28、電飾ランプ31、スピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータに各種の情報が出力される。
以下、サブ統合基板58における処理について説明する。まず、ROM583に記憶されている文字列、および文字列決定テーブルについて、図6を参照して説明する。ROM53には、表示画面28に表示させる文字列を記憶する文字列記憶エリアが設けられており、文字列記憶エリアには、通常文字列記憶エリアと特定文字列記憶エリアとがある。
先述したように、通常文字列記憶エリアに記憶されている通常文字列は、左から右の方向である第一方向に読んだ場合にのみ情報を読み取ることができる文字列である。例えば、「リーチ確定!/準備はいい?」という通常文字列を第一方向に読むことで、リーチ演出が実行されることを遊技者に報知することができる。
また、特定文字列とは、第一方向に読んだ場合に情報を読み取ることができ、さらに、第一方向とは異なる第二方向に読んだ場合に情報を読み取ることが可能な特定部分を含む文字列である。例えば、「今の所問題ないわ!/確かに奴を見た気がしたんだけど/変ね・・・」という特定文字列は、第一方向に読んでも情報を読み取ることができるが、行の左端の文字を上から下に読んだ場合にも「今確変」という情報を読み取ることができる。この特定文字列では、この「今確変」の部分が特定部分に相当する。パチンコ機1によると、表示された文字列に何らかの情報が隠されていることを期待させながら遊技者に遊技を楽しませることができる。また、第一方向でのみ情報を読み取らせる場合よりも多くの情報を遊技者に認識させることができるため、ROM583の記憶容量等を圧迫することなく多様な演出を行うことができる。
そして、ROM583には、乱数の値と表示させる文字列とを遊技状態に応じて対応付けるテーブルが記憶されている。例えば、擬似連続変動が継続することを示す「まだまだ続きそうよ!/期待できそうね!」という通常文字列は、疑似連続変動を実行する遊技状態でのみ表示されるようにテーブルが設定されている。また、「激熱」という特定部分を含む「昨日激しい夢を見たの。高い熱にうなされて・・・。」という特定文字列は、大当たりの変動パターンを実行する遊技状態、確率変動状態、高信頼度のリーチ演出を実行する遊技状態で主に表示されるように設定されている。このように、パチンコ機1では、通常文字列および特定文字列から、遊技状態に応じたテーブルを用いて文字列を決定し、表示画面28に表示させることができる。よって、遊技状態に応じた文字列を容易に決定して表示させることができる。
次に、サブ統合基板58で行われるサブ統合基板処理について、図7を参照して説明する。サブ統合基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581が実行する。まず、実行する変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S51)。主基板41から変動パターン指定コマンドを受信した場合(S51:YES)、コマンドによって指定されている変動パターンがRAM582に記憶され、変動パターンに従った演出の実行が開始される(S52)。そして、文字列演出の態様を決定するための文字列演出決定処理が行われる(S53)。この詳細は後述する。
次いで、決定された特別図柄を指定するコマンドが主基板41から受信・記憶されて(S54)、遊技状態を判断するための状態フラグの処理が行われる。まず、判定結果が大当たりであるか否かが判断される(S56)。大当たりでない場合、すなわち、はずれ若しくは小当たりである場合には(S56:NO)、そのままS51の判断へ戻る。大当たりであれば(S56:YES)、確率変動大当たりであるか否かが、指定された特別図柄によって判断される(S57)。確率変動大当たりでなければ(S57:NO)、大当たり遊技終了後には非確変時短状態となるため、確率変動中であるか否かを示す確変中フラグが「OFF」とされ(S61)、時短状態中であるか否かを示す時短中フラグが「ON」とされて(S62)、S51の判断へ戻る。確率変動大当たりであれば(S57:YES)、確変中フラグが「ON」とされて(S58)、15R大当たりであるか否かが特別図柄によって判断される(S59)。15R大当たりであれば(S59:YES)、さらに時短中フラグが「ON」とされて(S62)、S51の判断へ戻る。15R大当たりでなければ(S59:NO)、そのままS51の判断へ戻る。
また、変動パターン指定コマンドを受信していない場合には(S51:NO)、時短終了コマンドを主基板41から受信したか否かが判断される(S64)。非確変時短状態中に連続して100回はずれ若しくは小当たりと判定され、主基板41から時短終了コマンドが送信された場合には(S64:YES)、時短中フラグが「OFF」とされて(S65)、S51の判断へ戻る。時短終了コマンドを受信していない場合には(S64:NO)、その他の処理が行われて(S67)、S51の判断へ戻る。
次に、サブ統合基板処理で行われる文字列演出決定処理について、図8を参照して説明する。まず、指定された変動パターン、および状態フラグの値から、その時点の遊技状態が判断される(S71)。具体的には、本実施の形態における遊技状態とは、通常状態、確変時短状態、非確変時短状態、確変非時短状態のいずれが生起されているか、判定結果が大当たりであるか否か、リーチ演出を実行するか否か、大当たりの信頼度が高い処理のリーチ演出を実行するか否か、疑似連続変動演出を実行するか否かを示す。しかし、ここで判断する遊技状態はこれに限られず、他の状態について判断してもよいし、上記のいずれかの状態についてのみ判断してもよい。
次いで、判断された遊技状態に対応するテーブル(図6参照)が参照され、表示画面28に文字列を表示させるか否か、およびいずれの文字列を表示させるかの抽選が行われる(S72)。詳細には、所定のカウンタの値が乱数値として取得され、取得された乱数が対応するテーブルに当てはめられることで抽選が行われる。
次いで、文字列を表示させるか否かの抽選に当選したか否かが判断される(S73)。落選した場合には(S73:NO)、そのままサブ統合基板処理へ戻る。当選した場合には(S73:YES)、当選した文字列を表示画面28に表示させるための表示指示コマンドが演出制御基板43に送信されて(S74)、表示させる文字列が特定文字列であるか否かが判断される(S76)。通常文字列であれば(S76:NO)、そのままサブ統合基板処理へ戻る。
特定文字列であれば(S76:YES)、表示させる特定文字列の第二方向を報知するか否か、および報知の態様を抽選する処理が行われる(S77)。本実施の形態では、特定文字列毎に、乱数値と報知態様(報知するか否かを含む)とを対応付けるテーブルがROM583に記憶されており、表示させる特定文字列のテーブルに乱数値を当てはめることで抽選が行われる。この抽選態様は適宜変更が可能であり、遊技状態等に応じて抽選割合を変更してもよい。報知抽選に落選した場合には(S79:NO)、そのままサブ統合基板処理へ戻る。当選した場合には(S79:YES)、当選した報知態様を指示する報知態様指示コマンドが演出制御基板43に送信されて(S80)、サブ統合基板処理へ戻る。
以下、演出制御基板43がサブ統合基板58から報知態様指示コマンドを受信した場合に行う第二方向の報知の態様について説明する。先述したように、演出制御基板43は、特定文字列を表示させる表示指示コマンドを受信すると、表示画面28内に文字列表示ウィンドウ81を表示し、コマンドによって指示された特定文字列をウィンドウ内に表示する。さらに、報知態様指示コマンドを受信すると、受信したコマンドに応じた態様で第二方向を報知または示唆(以下、これらをまとめて「報知」という。)する。
まず、図9を参照して、文字サイズおよび文字の色の濃さの変更を指示するコマンドを受信した場合の報知態様について説明する。図9に示す例では、まず、左から2列目に「リ」「ー」「チ」の文字からなる特定部分を含む特定文字列が、文字列表示ウィンドウ81に表示されている。コマンドを受信して所定時間が経過すると、演出制御基板43のCPUは、特定部分の文字サイズを、特定部分以外の部分(以下、「非特定部分」という。)の文字サイズよりも大きく変更する。そして、非特定部分の文字の色の濃さを薄くする。
これにより、遊技者は特定部分と非特定部分とを容易に見分けることができる。よって、遊技者は、第二方向が上下方向であることを容易に把握し、特定部分の文字を上から下に読むため、特定部分に隠された「リーチ」という情報を容易に読み取ることができる。
次に、図10を参照して、文字色、文字の背景色の変更と、枠の表示とを指示するコマンドを受信した場合の報知態様について説明する。図10に示す例では、まず、「継」「続」の文字からなる特定部分を含む特定文字列が表示されている。「継続」とは、疑似連続変動が継続することを示し、この特定文字列は擬似連続変動時にのみ表示され得る(図6参照)。報知態様指示コマンドを受信して所定時間が経過すると、演出制御基板43のCPUは、特定部分を囲む枠83を表示画面28に表示し、枠内の文字の色を黒から白に変更し、さらに、枠内の文字の背景色を白から黒に変更する。これにより、第二方向が上下方向であることを遊技者に報知し、「継続」という情報を容易に読み取らせることができる。
次に、非特定部分を隠し、且つ特定部分にラインを表示する指示コマンドを受信した場合の報知態様について、図11を参照して説明する。図11に示す例では、まず、左端の列に「今」「確」「変」の文字からなる特定部分を含む特定文字列が表示されている。報知態様指示コマンドを受信して所定時間が経過すると、演出制御基板43のCPUは、非特定部分を覆う位置に図形84を表示し、且つ、特定部分にライン85を表示する。遊技者は、左端の列が特定部分であることを容易に把握し、「今確変」という隠された情報を容易に読み取ることができる。
次に、図12を参照して、文字列全体を時計回りに90度回転させる指示コマンドを受信した場合の報知態様について説明する。図12に示す例では、まず、左端の列に特定部分を含む特定文字列が表示されている。この特定部分の第二方向は下から上の方向であるため、第二方向の報知が行われなければ、特定部分から情報を読み取ることは困難である。つまり、隠された情報の存在が気付かれ難いため、その後の第二方向の報知によって遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。また、情報が隠されていることを常に遊技者に期待させながら遊技を行わせることができる。
演出制御基板43のCPUは、報知態様指示コマンドを受信して所定時間が経過すると、各文字の方向を維持したまま、文字列表示ウィンドウ81全体を時計回りに90度回転させる。すなわち、回転前に下から上の方向に順に配列されていた特定部分の文字の配列方向を、回転前の第一方向である左から右の方向に一致させる。従って、遊技者は、常に情報を読み取ることが可能な方向である第一方向で文字列を読むことができる。よって、情報が隠されていることに気付き易い。また、違和感なく「今確変」という情報を読み取ることができる。
次に、図13を参照して、特定部分のみを180度回転させる指示、および枠の表示指示を行うコマンドを受信した場合の報知態様について説明する。図13に示す例では、まず、「定」「確」の文字からなる特定部分を含む特定文字列が表示されている。この特定部分の第二方向は右から左の方向であるため、第二方向の報知が行われなければ、特定部分から情報を読み取ることは困難である。演出制御基板43のCPUは、報知態様指示コマンドを受信して所定時間が経過すると、各文字の方向を維持したまま、特定部分のみを180度回転させる。すなわち、回転前に第二方向(右から左)に配列されていた特定部分の文字の配列方向を、回転前の第一方向である左から右の方向に一致させる。さらに、特定部分を囲む枠を表示させる。これにより、遊技者は、違和感なく容易に「確定」という情報を読み取ることができる。
次に、図14を参照して、文字の配列を維持したまま各文字の方向を回転させる指示コマンドを受信した場合の報知態様について説明する。演出制御基板43のCPUは、報知態様指示コマンドを受信して所定時間が経過すると、特定文字列を構成する各文字の方向を反時計回りに90度回転させる。遊技者は、特定部分に隠された「今確変」という情報を違和感なく容易に読み取ることができる。
次に、図15を参照して、文字列表示ウィンドウの枠を通常とは異なる態様で表示させる指示コマンドを受信した場合の、第二方向の報知態様について説明する。演出制御基板43のCPUは、報知態様指示コマンドを受信すると、縦方向の模様、詳細には、複数の下向きの矢印による模様を有する枠89を、文字列表示ウィンドウの枠として表示させる。これにより、特定部分の第二方向が縦方向であることを遊技者に示唆することができる。
次に、第二方向を音声で遊技者に報知する構成について説明する。第二方向報知抽選(図8、S77参照)で、音声による第二方向の報知を実行することに当選した場合には、サブ統合基板58は、所定のタイミングでスピーカ48に特定の音声を出力させる。本実施の形態では、この特定の音声として「タテ」「逆」等の音声が用いられているが、出力させる音声は適宜変更できる。遊技者は、表示画面28に表示される文字列だけでなく、音声にも注意をしながら遊技を行うこととなる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1は、現在の遊技状態に応じて、通常文字列および特定文字列のいずれかを表示画面28に表示させる。遊技者は、表示された文字列を第一方向に読むことで常に情報を読み取ることができるため、文字列から情報を読み取りながら遊技を楽しむことができる。また、第一方向とは異なる第二方向に文字列を読んでも情報を読み取ることができる場合がある。よって、パチンコ機1は、表示された文字列に何らかの情報が隠されていることを期待させながら遊技者に遊技を楽しませることができる。複数の方向で文字列を読ませることができるため、1つの方向で読ませる場合よりも多くの情報を遊技者に認識させることができる。よって、記憶手段の記憶容量を圧迫することなく、多様な演出を行うことができる。さらに、パチンコ機1は、第二方向を遊技者に示唆または報知することもできる。従って、文字列を用いた演出の態様を十分に多様化させて、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。特定文字列を表示した場合でも、第二方向を必ず報知するとは限らないため、第二方向が報知されない場合でも特定文字列が表示されていることがある。よって、何らかの情報が隠されていることを常に遊技者に期待させることができる。
パチンコ機1は、ROM583の通常文字列記憶エリアに記憶された通常文字列と、ROM583の特定文字列記憶エリアに記憶された特定文字列とを、遊技状態に応じて表示手段に表示させる。従って、文字列を組み合わせる等の処理を要することなく、容易に通常文字列と特定文字列とを選択的に表示手段に表示させることができる。
パチンコ機1は、特定部分の表示態様と非特定部分の表示態様とを互いに異ならせることで、特定部分の第二方向を遊技者に報知することができる。詳細には、文字サイズ、文字色、文字の色の濃さ、および文字の背景色の少なくともいずれかを異ならせる、非特定部分を隠す、ラインを表示する、枠で囲む、等によって表示態様を異ならせることができる。よって、特定部分の第二方向を容易に遊技者に示唆または報知することができる。遊技者は、文字列に示された情報だけでなく、文字列の表示態様にも注目するため、遊技者の興趣をさらに強く惹き付けることができる。
パチンコ機1は、特定文字列を回転させる新しい手法を用いて、遊技者を楽しませつつ、文字列を読む方向を変更するように遊技者に促すことができる。具体的には、特定部分を構成する文字の向きを維持したまま、特定文字列を回転させることができるため、遊技者は違和感無く容易に特定部分の情報を読み取ることができる。
また、特定文字列を回転させることで、第二方向に配置されていた特定部分の文字の配列方向を、回転前の第一方向に一致させることもできる。この場合、遊技者は、常に情報を読み取れる第一方向で特定部分の文字列を読むことができるため、違和感なく容易に特定部分の情報を読み取ることができる。
本実施の形態における表示画面28が本発明の「表示手段」に相当する。サブ統合基板58のROM583が「記憶手段」に相当し、ROM583の通常文字列記憶エリアが「通常文字列記憶手段」に、特定文字列記憶エリアが「特定文字列記憶手段」に相当する。図5のS14で乱数を取得する主基板41のCPU51が「当たり乱数取得手段」として機能する。図5のS14で当たり判定を行う主基板41のCPU51が「当たり判定手段」として機能する。図5のS14で当たり判定を行う主基板41のCPU51が「当たり判定手段」として機能する。図7のS52、S54で図柄変動を制御するサブ統合基板58のCPU581が「デモ図柄制御手段」として機能する。図8のS71で遊技状態を判断するサブ統合基板58のCPU581が「遊技状態判断手段」として機能する。図8のS74で、文字列の表示制御を行うCPU581が、「表示制御手段」として機能する。図8のS80で、報知態様指示コマンドの送信および音声出力制御を行うCPU581が、「報知手段」として機能する。詳細には、S80で特定部分の表示態様と非特定部分の表示態様とを異ならせるコマンドを送信するCPU581が「第一報知手段」として機能し、特定文字列を回転させるコマンドを送信するCPU581が「第二報知手段」として機能する。スピーカ48が「音声出力手段」として機能する。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施の形態では左から右の方向を第一方向としているが、第一方向を変更可能であることは言うまでもない。また、例えば、上から下の方向と、左から右の方向とを共に第一方向とし、その他の方向(例えば、下から上の方向)を第二方向としても、本発明を実現できる。
上記実施の形態では、表示画面28に特定文字列を表示させた場合にのみ、第二方向を遊技者に報知する演出を実行している。しかし、通常文字列が表示されている場合にも同様の演出を実行してもよい。この場合、遊技者は、何らかの情報が隠されていることに対する期待感を持って文字列に注目することとなる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
上記実施の形態では、通常文字列と特定文字列とを別々に記憶し、遊技状態に応じていずれかの文字列を表示させているが、これも変更が可能である。例えば、A行の下にB行を表示させた場合には通常文字列となるが、A行の下にC行を表示させると特定文字列となるような、複数の行を記憶しておく。そして、遊技状態に応じて、表示させる行の組み合わせを決定して表示させることで、通常文字列と特定文字列とを選択的に表示させてもよい。また、上記実施の形態では、通常文字列を表示させる場合には、通常文字列として記憶されている文字列のみを表示させる必要がある。一方で、特定文字列を表示させる場合には、文字列全体の中に特定部分が少なくとも1箇所含まれていればよいため、通常文字列として記憶されている文字列を、特定文字列として記憶されている文字列と共に表示させてもよい。
上記実施の形態では、特定部分の表示態様と非特定部分の表示態様とを互いに異ならせることで第二方向を遊技者に報知しているが、この具体的な方法も変更できる。例えば、非特定部分を消去して特定部分のみを残すことで第二方向を報知してもよい。また、特定文字列を回転させる方法も適宜変更できる。例えば、図13に示す例で、特定部分(「定」「確」の部分)のみならず、文字列全体を180度回転させてもよい。図14に示す例で、全文字の方向を回転させるのではなく、特定部分の文字のみを回転させてもよい。電飾ランプ31等を用いて第二方向を報知してもよいし、音声のみで報知してもよい。
本発明は、遊技の様々な場面で適用できる。例えば、遊技球の発射強度、つまり、発射ハンドル7の回転量を指示するメッセージ(「右打ち」等)を特定部分に含ませてもよい。未だ大当たり判定が行われていない保留球の情報を取得(所謂「先読み」)し、取得した情報に応じて本発明に係る文字列の演出を実行してもよい。