JP5606153B2 - ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィンの製造方法に関する。さらに詳しくは、重合槽内の温度を高い精度で制御することにより、重合温度及び得られるポリオレフィンの分子量を厳密に制御できる製造方法に関する。
一般に、オレフィンの重合反応は発熱反応であるため、ポリオレフィンの製造においては、重合反応により発生する熱を除去する必要がある。重合槽内で発生する重合熱を効率良く除去しないと、安定的な運転に支障をきたし、かつ、均質なポリマーを得ることができない。
連続溶液重合において、重合を定常的に進行させるためには、重合反応による熱を除去して重合槽内の温度の上昇を防ぎ、かつ、重合温度を所望の値に一定に保つことが必要である。重合温度を一定に保つことは、分子量のムラが少ない高品位な重合体を安定して製造することにも繋がる。
ポリオレフィン製造時における重合熱の除去方式としては、熱伝達型、顕熱利用型及び蒸発潜熱型が挙げられる。
熱伝達型は、重合槽外壁に設けたジャケット又は重合槽内部に設けたコイル等に冷媒を流し、伝熱面を介して熱伝達により除熱する方式である。
顕熱利用型は、予め低い温度に設定したモノマーや溶媒等を重合槽に供給することで重合槽内部の温度を低下されるものである。
蒸発潜熱型は、モノマーや溶媒等の蒸発潜熱を利用して重合槽を冷却する方式である。
上記のうち、熱伝達型除熱方式には、重合体の生成によりポリマー溶液粘度が上昇して熱伝導率が低下し、除熱効率が急速に低下するため、特に大型の反応器を用いた場合には重合熱の除去が困難であるという問題がある。また、局所的な低温滞留部での反応により生成したポリマーが、製品の分子量に影響を及ぼすという問題点がある。
顕熱利用型除熱方式では、所望の除熱量を確保するために、モノマーや溶媒等を超低温で供給する必要があるため、重合槽内のフィードノズル近傍が局所的な超低温場となる。そのため、熱伝達型除熱方式と同様に、製品の分子量への影響が問題となる。
蒸発潜熱型除熱方式は、反応液中の液状揮発性物質が蒸発する際に蒸発熱として熱量が奪われる現象を利用した方法であり、凝縮器の伝熱機構は凝縮伝熱であるため、他の除熱方式に比較して伝熱効果は著しく大きい。また、上述したような局所的な低温部が少ないことから、製品の分子量への影響も抑えやすい。連続溶液重合において、反応液の強制攪拌で所定の混合性能を確保することにより、反応場の更なる温度ムラの抑制が可能となる。
このような特徴を有する蒸発潜熱型除熱は、除熱手段として工業操作上一般的に用いられる技術であり、オレフィンの重合を始め、ジエン重合や塩化ビニル重合等に広く適用され、実用例も多い。
例えば、特許文献1にはバッチで行うブロック共重合の反応熱除去に蒸発潜熱型を適用した重合方法が開示されている。この重合方法では、重合温度を検出し、凝縮器における非凝縮ガスを反応液に戻す量(非凝縮ガスリターン流量)をコントロールバルブによりフィードバック制御することで、重合温度の制御を行っている。
特開2000−159819号公報
上述のとおり、蒸発潜熱型除熱方式は重合槽の除熱に有効であるが、さらなる製品品質の向上の要求から、重合槽内の温度をより厳密に制御する必要がある。
特許文献1の重合方法では、重合温度に対する操作因子である非凝縮ガスの循環量の操作感度が非常に大きいため、バッチ反応における短時間の大まかな温度の制御は可能であるが、連続系で重合温度を厳密に制御することは困難であった。
本発明は、上記のような従来の蒸発潜熱型除熱の温度制御方法における問題点を解決し、重合温度を厳密に制御することにより、分子量のムラが少ない高品位な重合体を安定して製造できるポリオレフィンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下のポリオレフィンの製造方法が提供される。
1.蒸発潜熱除熱型重合槽を用いたポリオレフィンの製造方法において、蒸発ガスを凝縮及び冷却する凝縮器への冷媒供給量を略一定とし、前記凝縮器で凝縮された凝縮液を重合槽に供給する量を制御することにより重合槽内の温度を制御して、オレフィンを重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
2.前記凝縮器で凝縮された凝縮液を受け取る凝縮液受槽を設け、前記凝縮液受槽における凝縮液の量を所定量に制御することを特徴とする1に記載のポリオレフィンの製造方法。
3.前記凝縮液受槽の凝縮液の量を、非凝縮ガスを重合槽に戻す量により制御することを特徴とする1又は2に記載のポリオレフィンの製造方法。
4.前記凝縮器への冷媒供給量をA、非凝縮ガスを重合槽に戻す量をB、凝縮液を重合槽に戻す量をCとした際に、下記の条件(1)及び(2)を満たすようにA〜Cを制御することを特徴とする3に記載のポリオレフィンの製造方法。
0.57≦A/B≦53.3 (1)
5.0≦A/C≦320 (2)
5.前記重合槽内の液相部の溶液粘度を、0.1〜5,000mPa・sとし、連続溶液重合することを特徴とする1〜4のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
6.原料モノマーがプロピレンであることを特徴とする1〜5のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
本発明によれば、重合温度を厳密に一定に制御でき、その結果、高品位な重合体を安定して製造できるポリオレフィンの製造方法が提供できる。
本発明の実施に供する蒸発潜熱除熱型重合槽の一例の概略図である。
本発明のポリオレフィンの製造方法では、蒸発潜熱除熱型重合槽を用いる。
図1は、本発明の実施に供する蒸発潜熱除熱型重合槽の一例の概略図である。尚、図1において各種の供給管や製品であるポリオレフィンの取出管等は省略している。
蒸発潜熱除熱型重合槽は、撹拌装置を有する重合槽10、蒸発ガスを凝縮、冷却し、凝縮液を重合槽10に循環させる循環管路20、及び非凝縮ガスを重合槽10に循環させる循環管路30を主な構成要素とする。
稼働中の重合槽10内には液相部と気相部が形成され、供給されたオレフィンモノマーを液相部にて重合させてポリオレフィンとする。
重合槽10の略頭頂部にはガス抜出口があり、ガス抜出口から気相部の蒸発ガスを循環管路20に導入する。蒸発ガスは循環管路20に設けられた凝縮器21にて凝縮、冷却される。凝縮器21は圧縮機や熱交換器により構成される。凝縮器21では、蒸発ガスを38.0℃以下に冷却することにより一部を凝集させる。
尚、凝縮器には固定管板式熱交換器を利用できる。蒸発ガス内に微量に含まれる飛沫同伴ポリマー溶液が熱交換器内で固化することを防ぐため、縦型で、重合槽気相部からの蒸発ガスを下降流で冷却するダウンフロー型とし、重合槽気相部からの蒸発ガスはチューブ側を、冷媒はシェル側を通過させることが好ましい。また、凝縮液の一部を凝縮器管板に連続的にスプレーすることも好ましい。
凝縮液は、凝縮液受槽22に受け取られる。重合槽10に設置された温度センサー11により観測された温度、及び凝縮液流量を観測する流量計23で観測された流量に合わせて、バルブ24を開閉することにより、重合槽10に循環させる凝集液量を調整する。凝集液は、ポンプPを利用して原料供給管を経由して重合槽10に流入させる。尚、凝集液は原料供給管を介さず、直接重合槽10に流入させてもよい。
一方、蒸発ガスのうち凝縮器21にて液化されない非凝縮ガスは、凝縮液受槽22から圧縮機32を利用して循環管路30にて重合槽10に流入させる。
本発明のポリオレフィンの製造方法では、蒸発ガスを凝縮及び冷却する凝縮器21への冷媒供給量を略一定とする。従来、蒸発潜熱除熱型重合槽の制御においては、凝縮器21への冷媒供給量を変動させることにより、重合槽10に循環させる凝縮液量を制御していた。そのため、凝縮液の循環量を微調整することが困難であり、重合槽10内の温度の変動の原因となっていた。
本発明では、凝縮器21への冷媒供給量を略一定とする。そして、重合槽10の手前に設けたバルブ24等の流量調節手段により凝縮器21で凝縮した凝縮液を重合槽に供給する量を制御する。これにより、凝縮液の循環量を直接的に制御できるため、重合槽10内の温度をより高精度に制御できる。
尚、本願において「略一定」とは、定常状態における重合槽の温度制御のために冷媒供給量を意図的に変動させないという意味である。従って、設備始動時や冷媒循環装置の性能上生じうる供給量の変動等は考慮しない。
本発明では、凝縮液の循環量を安定させるために、凝縮器21と流量調節手段の間に、凝縮器で凝縮された凝縮液を受け取る凝縮液受槽22を設置し、凝縮液受槽における凝縮液の量を所定量に制御することが好ましい。これにより、重合槽10に循環させる凝縮液が不足したり、逆に過剰な凝縮液により循環管路20の稼働を停止するような事態を避けることができる。
尚、本発明は凝縮液受槽22の設置に限定されず、凝縮液の過不足を防止できる機構であれば問題なく採用できる。
凝縮液受槽の凝縮液の量は、例えば、非凝縮ガスを重合槽に戻す量により制御することができる。具体的には、凝縮液受槽22に設置された液面レベル計31の観測結果に応じて、非凝縮ガスの流量を観測する流量計33で観測された流量をバルブ34の開閉により制御する。この際、併せてスピルバックラインの流量計35で観測された流量を、バルブ36を開閉することにより制御することにより、圧縮機32の出力を一定とすることができる。例えば、凝縮液受槽22における凝縮液の液面レベルが低下した場合、バルブ34を開け非凝縮ガスの流量を増加させる。これにより、凝縮器21に供給される蒸発ガス量も増加し、凝集液の発生量が増加する。この際、併せてバルブ36を閉めスピルバックで循環するガス量を減らすことにより、圧縮機32の出力を一定とすることができる。一方で、スピルバックラインは使用せず、非凝縮ガスの流量を圧縮機32の出力自体を変えることにより制御することもできる。
本発明において、凝縮器への冷媒供給量(A)は製造規模や重合発熱量に応じて適宜設定することができる。重合発熱量により最低限必要な供給量が決定できる。一方、供給量が大きいと冷媒を循環させるポンプが大きくなり現実的ではなくなってしまうことがある。従って、本発明では1〜1000t/hが好ましく、200〜800t/hがより好ましく、特に、400〜500t/hが好ましい。
尚、冷媒としては入手が容易な35℃以下の水が好ましい。一般に使用される循環機構により凝縮器に冷媒を循環させる。
非凝縮ガスを反応液に戻す量(B)について、重合発熱量に応じて、液面レベルを一定に保つために最低限必要な流量が決まる。Bが大きいと、凝縮器及びコンプレッサの能力が大きくなるため、経済的に不利となることがある。従って、本発明でBは1〜500m/hが好ましく、15〜350m/hがより好ましく、30〜250m/hが特に好ましい。
凝縮液を反応液に戻す量(C)は、製造規模や重合発熱量に応じて適宜設定することができる。重合発熱量に応じて、最低限必要な流量が決まるが、流量が大きいと、凝縮液受槽における凝縮液の保有量が低下し、運転継続が不可となってしまうことがある。また、凝縮液の保有量低下を防ぐため凝縮液受槽を大きくする必要があり、経済的に不利となることがある。従って、本発明でCは0.1〜50.0t/hが好ましく、2.5〜40.0t/hがより好ましく、5.0〜35.0t/hが特に好ましい。
また、重合槽内の液相部における反応物であるポリオレフィンの濃度(D)は、1〜41.1wt%とすることが好ましく、5〜35.6wt%がより好ましく、25〜35wt%が特に好ましい。ポリオレフィンの濃度は、液相部の粘度に関係する。粘度が大きいと良好な攪拌状態が得られず、液相部の温度ムラ及び原料・触媒の濃度ムラが生じ、製品分子量のムラが大きくなることがある。また、攪拌動力が過大となり、製造装置として現実的ではなくなることがある。
重合槽内の液相部の溶液粘度は、0.1〜5,000mPa・sとすることが好ましく、10〜2,000mPa・sがより好ましく、100〜1,000mPa・sが特に好ましい。
本発明の製造方法は、粘度が100mPa・sより高い粘度領域で特に有用な技術である。重合槽ジャケットで温度を制御する場合は、熱伝導率が小さいことから温度制御が困難となるが、本発明では多少粘度が高くても高精度な温度制御が可能である。
また、連続溶液重合することが好ましい。
本発明では、凝縮器への冷媒供給量をA(t/h)、非凝縮ガスを重合槽に戻す量をB(m/h)、凝縮液を重合槽に戻す量をC(t/h)とした際に、下記の条件(1)及び(2)を満たすようにA〜Cを制御することが好ましい。
0.57≦A/B≦53.3 (1)
5.0≦A/C≦320 (2)
条件(1)は、1.60〜16.7がより好ましく、2.5〜4.5が特に好ましい。また、条件(2)は、11.4〜100がより好ましく、20〜30が特に好ましい。
本発明においては、さらに、下記の条件を満たすことが好ましい。
5.62≦A/D≦50 (3)
0.38≦B/C≦140 (4)
0.42≦B/D≦13 (5)
0.07≦C/D≦1.5 (6)
(式中、A〜Cは上記式(1)(2)と同様であり、Dはポリオレフィンの濃度(wt%)である。)
条件(3)は、12.7〜25がより好ましく、13〜19が特に好ましい。条件(4)は、0.86〜50.0がより好ましく、4〜7が特に好ましい。条件(5)は、0.95〜10.0がより好ましく、3〜6が特に好ましい。条件(6)は、0.16〜1.50がより好ましく、0.5〜0.8が特に好ましい。
本発明で重合する原料モノマーについては特に限定なく、公知のオレフィンを使用できる。例えば、エチレンやα−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンは炭素数3〜30のα−オレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセン等が挙げられる。これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。プロピレン、1−ブテンがより好ましく、プロピレンが特に好ましい。
重合触媒については、特に限定なく、公知の触媒を使用できる。例えば、国際公開第WO2006−117983を参照することができる。本発明の製造方法は、特に、上記文献に記載されたメタロセン触媒を用いたポリオレフィンの重合に好適である。
必要に応じて反応溶媒を使用することができる。反応溶媒としては、重合槽よりも下流の分離工程において反応溶液中のポリマー及び未反応プロピレンとの分離が容易であり、かつ触媒活性に影響のないものが好ましい。例えば、ノルマルヘプタンやシクロヘキサンが好ましい。このうち、特にノルマルヘプタンはシクロヘキサンよりも粘度が低く、攪拌機や下流の工程で使用する回転機等の機械的な負荷が少なくて済むため特に好ましい。
分子量の微調節用に水素を用いてもよい。この場合、重合槽気相部の水素濃度は、0.70〜5.0mol%が好ましく、0.75〜4.0mol%がより好ましく、0.80〜3.5mol%が特に好ましい。
尚、重合中に水素を少量存在させることにより、ドーマント状態の触媒を再活性化させる効果がある。そのため、水素濃度が下限値より小さいと触媒活性が低下し、一定の生産量を確保するために必要な触媒量が増加するため、経済的に不利となることがある。一方、水素濃度は製品グレードに応じて分子量を制御するため、上限値より大きいと分子量が低くなりすぎてしまうことがある。
また、水素を使用する場合、重合槽に戻す非凝縮ガスを直接液相部に供給することが好ましい。これにより、液相部への水素溶解を促進でき、重合反応が水素溶解律速となることを防止できる。
本発明の製造方法において、触媒は液相部に直接供給してもよいが、反応溶媒を使用する場合は、予め触媒を反応溶媒に加え希釈してから重合槽内に供給することが好ましい。これにより、反応液中のフィードノズル近傍において、触媒濃度が局所的に高くなることが防止でき、製品の分子量分布の増大を回避することができる。
重合槽に供給する触媒と原料は、反応液中のフィードノズル近傍の局所的な高濃度場の影響による製品分子量分布の増大を回避するため、それぞれ別々に供給することが好ましい。例えば、互いのフィードノズルを重合槽の反対側に設置することが好ましい。
重合溶液の抜出し方法は、重合槽上部からのオーバーフロー抜出し、あるいは、ボトムからの抜出しも利用できる。
本発明では、重合温度を設定温度で一定に保つことができる。例えば、重合温度の変動幅を±0.4℃以下に抑えることが可能となる。従って、製品であるポリオレフィンの分子量のムラを低減でき、高品位な重合体を安定して製造することが可能となる。尚、重合温度は製品のグレード等により設定する必要があるが、50℃〜100℃が好ましく、特に、60℃〜90℃が好ましい。
実施例1
大型翼を備えた内容積68.2m(気相部18.2m、液相部50.0m)の重合槽に、溶媒としてヘプタン、モノマーとしてプロピレンを連続的に供給し、ポリプロピレンを製造した。重合槽温度を71.5℃に設定し、圧力1.7MpaG、液相の平均滞留時間は1.9時間に設定した。重合条件下での気相部の組成は、水素/プロピレン/ヘプタン=3.1/95.3/1.6mol%に設定した。触媒は、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液を含む(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド及びジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを溶解させたメタキシレン溶液に予めプロピレンを反応させ予備活性化したものを用い、連続的に重合槽へ供給した(国際公開第WO2006−117983を参照)。
尚、攪拌機の単位液容積当たりの攪拌動力は1.5kW/mであった。分子量の微調節には水素を用いた。
重合槽の気相部から、コンプレッサにより蒸発ガスを844m/hの流量で強制的に抜出し、凝縮器にて38.0℃に冷却した。
定常状態において、凝縮器への冷媒供給量Aを474t/hで一定とした。また、非凝縮ガスを重合槽に戻す量Bを制御することで凝縮液受槽における凝縮液の保有量を一定に制御した。非凝縮ガスを重合槽に戻す量は、154m/h付近で制御した。
さらに、凝縮液を重合槽に戻す量Cを制御することにより、重合温度を制御した。凝縮液を重合槽に戻す量は、22.5t/h付近で制御した。
重合槽液相部のポリマー濃度Dは30重量%、粘度は769mPa・sであった。製造中、重合温度の変動は±0.4℃と極めて小さかった。
得られたポリプロピレンの極限粘度[η]は0.90〜0.95dL/gであり、分子量分布(Mw/Mn)は2.4以下であった。分子量分布が小さく、分子量のムラが少ない高品位な重合体が得られた。
尚、液相部の粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド社製、型式:HADV−E、型番:KN3312442)で測定した。
また、ポリプロピレンの極限粘度[η]は(株)離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中135℃において測定した。
分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリエチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
・GPC測定装置
カラム:TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
・測定条件
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速:1.0ミリリットル/分
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量:60マイクロリットル
検量線:Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
実施例2
以下に示す条件を変更した他は、実施例1と同様にして重合した。
・気相部からの蒸発ガス量の抜き出し量:803m/h
・重合温度:78.0℃に設定
・製造中の気相部の組成:水素/プロピレン/ヘプタン=3.3/94.4/2.3mol%
・非凝縮ガスを重合槽に戻す量B:145m/h付近で制御
・凝縮液を重合槽に戻す量C:20.9t/h付近で制御
・重合槽液相部の粘度:153mPa・s
製造中の重合温度の変動は±0.4℃と極めて小さかった。また、ポリプロピレンの極限粘度は0.60〜0.64dL/g、分子量分布は2.4以下であった。
実施例3
以下に示す条件を変更した他は、実施例1と同様にして重合した。
・気相部からの蒸発ガス量の抜き出し量:715m/h
・重合温度:88.5℃に設定
・重合条件下での気相部の組成:水素/プロピレン/ヘプタン=3.1/93.3/3.6mol%
・非凝縮ガスを反応液に戻す量B:106m/h付近で制御
・凝縮液を反応液に戻す量C:18.9t/h付近で制御
・重合槽液相部の粘度:33mPa・s
製造中の重合温度の変動は±0.4℃と極めて小さかった。また、ポリプロピレンの極限粘度は0.40〜0.43dL/g、分子量分布は2.4以下であった。
比較例1
実施例1において、凝縮器への冷媒供給量Aを474t/hとし、非凝縮ガスを重合層に戻す量を変動させることで重合温度を制御した。非凝縮ガスの供給量は154m/h付近で制御した。尚、凝縮液を重合槽に戻す量は、凝縮液受槽における凝縮液の保有量を一定に保つように適宜変動させた。凝縮液を重合槽に戻す量の平均値は22.5t/hであった。
その結果、製造中の重合温度の変動は±0.4℃よりも大きくなった。また、分子量分布は2.4よりも大きくなり、実施例1で得られたポリマーと比較して分子量のバラつきが大きかった。
表1に、実施例1−3及び比較例1の製造条件及び計算結果を示す。尚、表1の値は製造時の定常状態(設定値)の値である。

Figure 0005606153
本発明のポリオレフィンの製造方法は、蒸発潜熱除熱型重合槽を用いた各種ポリオレフィンの製造方法、特に、メタロセン触媒を使用したポリオレフィンの製造方法として好適である。
10 重合槽
11 温度センサー
20 循環管路
21 凝縮器
22 凝縮液受槽
23 流量計
24 バルブ
30 循環管路
31 液面レベル計
32 圧縮機
33、35 流量計
34、36 バルブ
P ポンプ

Claims (6)

  1. 蒸発潜熱除熱型重合槽を用いたポリオレフィンの製造方法において、
    蒸発ガスを凝縮及び冷却する凝縮器への冷媒供給量を略一定とし、
    前記凝縮器で凝縮された凝縮液を重合槽に供給する量を、凝縮液の流量調節手段で制御することにより重合槽内の温度を制御して、オレフィンを重合することを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  2. 前記凝縮器で凝縮された凝縮液を受け取る凝縮液受槽を設け、
    前記凝縮液受槽における凝縮液の量を所定量に制御することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィンの製造方法。
  3. 前記凝縮液受槽の凝縮液の量を、非凝縮ガスを重合槽に戻す量により制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィンの製造方法。
  4. 前記凝縮器への冷媒供給量をA、非凝縮ガスを重合槽に戻す量をB、凝縮液を重合槽に戻す量をCとした際に、下記の条件(1)及び(2)を満たすようにA〜Cを制御することを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィンの製造方法。
    0.57≦A/B≦53.3 (1)
    5.0≦A/C≦320 (2)
  5. 前記重合槽内の液相部の溶液粘度を、0.1〜5,000mPa・sとし、
    連続溶液重合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
  6. 原料モノマーがプロピレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィンの製造方法。
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