JP5671254B2 - 副生成物の生成を抑制する重合体の製造方法 - Google Patents
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上記の問題に対し、例えば、凝集・循環経路において、重合禁止剤を添加する方法が考えられる。しかしながら、重合禁止剤を添加した凝縮液を再度重合槽へ戻す場合、重合禁止剤が重合槽での重合に影響を及ぼさないよう、重合禁止剤失活剤を添加する工程を設ける必要があり、さらに、重合禁止剤失活剤の添加濃度の調整が必要である。そのため、製造費用を押し上げる要因となる。
尚、重合槽外部での反応を抑制するために、重合禁止剤を添加する工程を導入することについては、特許文献1に記載されている。
1. 蒸発潜熱除熱型重合槽を用いた重合体の製造方法において、
前記重合槽の頭頂部にあるガス抜出口と、前記重合槽内の気相部と液相部の界面との距離Gを、下記式(1)から算出されるH以上1.5H以下とすることを特徴とする重合体の製造方法。
H=u/117.61 (1)
(式中、Hは距離[m]であり、uは定常状態における蒸発ガスの空塔速度[m/hr]である。)
2.原料であるモノマーの表面張力が0.01〜0.1N/m2であることを特徴とする1に記載の重合体の製造方法。
3.前記モノマーがプロピレンであることを特徴とする2に記載の重合体の製造方法。
4.前記液相部の溶液粘度が、100〜5,000mPa・sの範囲であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の重合体の製造方法。
また、重合設備の設計時において重合槽の大きさが計算できるため、必要以上に装置を大きくする必要がなく、適切な装置規模とすることができる。
図1は、本発明の実施に供する蒸発潜熱除熱型重合槽の一例の概略図である。
蒸発潜熱除熱型重合槽は、撹拌装置11を有する重合槽10に、蒸発ガスを凝縮、冷却し、凝縮液を重合槽10に循環させる循環管路20を形成したものである。
ガス抜出口21が重合槽の略頭頂部にあり、ガス抜出口21から蒸発ガスを循環管路20に導入する。蒸発ガスは循環管路20に設けられた凝縮冷却部22にて凝縮、冷却される。凝縮冷却部22は圧縮機や熱交換器により構成される。
尚、本願において、重合槽の頭頂部には、頭頂部及びその周辺を含む。また、図1において原料供給管や製品である重合体の取出管等は省略している。
H=u/117.61 (1)
(式中、Hは距離[m]であり、uは定常状態における蒸発ガスの空塔速度[m/hr]である。)
u=w/(ρ・A) (2)
(式(2)中、wは定常状態における蒸発ガス質量流量[kg/hr]であり、ρはガス密度[kg/m3]であり、Aは重合槽の断面積[m2]である。)
蒸発ガス質量流量(w)が大きいと、凝縮・循環されるガス(モノマーや溶媒等)が増加する。従って、重合槽内部の外部に排気できる熱量が増加する。しかしながら、蒸発ガス質量流量(w)が大きいと、蒸発ガスを凝縮したり冷却するための熱交換器及びコンプレッサーが大きくなるため、経済的に不利となる。
本発明では、ガス抜出口21と、重合槽内の気相部13と液相部12の界面との距離Gを、H以上1.5H以下(H≦G≦1.5H)とする。距離GがHよりも小さいと、循環管路20に導入されるミストや微粉等の同伴量が増えるため、循環管路20内で副生成物が生成し、得られる重合体の品質低下の原因となる。一方、距離Gが1.5Hよりも大きいと、重合槽が不要に大きくなるため、重合槽の費用が高くなるため、製造費が増加するため好ましくない。
距離Gは、H〜1.25Hであることが好ましく、特に、H〜1.2Hであることが好ましい。
尚、ガス抜出口21と気液界面15の距離Gは、オーバーフロー抜出等、公知を方法により制御できる。
e=3.978−12×(u/H)3.133 (3)
(eはエントレ流量/蒸発ガス流量[kg/kg]であり、uはガス空塔速度[m/s]であり、Hは距離[m]である。)
副生成物量[wtppm]=8.20×106e (4)
(eはエントレ流量/蒸発ガス流量[kg/kg]である。)
(u/H)3.133=3.067×106 (5)
(式中、Hは距離[m]であり、uは定常状態における蒸発ガスの空塔速度[m/hr]である。)
式(5)からHを求めると、下記式(1)が得られる。
H=u/117.61 (1)
原料モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。
特に、モノマーの表面張力が0.01〜0.1N/m2であるものが好ましい。
具体的に、重合温度は製品グレードや分子量により適宜調整されるが、50℃〜100℃が一般的であり、好ましくは、60℃〜90℃である。
また、重合圧力は、0.5〜3MPaGであり、好ましくは、1〜2MPaGである。低圧では、凝縮器でプロピレンが凝縮しづらく、高圧では、設備費増加し経済性から好ましくない。
溶液粘度は、150〜4、000mPa・sの範囲であることがより好ましく、特に200〜3、000mPa・sの範囲であることが好ましい。
尚、溶液粘度は、ブルックフィールド粘度計で測定した値である。
プロピレンを重合した。プロピレンの表面張力は0.02N/m2である。
表1に示すように、蒸発ガス質量流量(u)、ガス密度(ρ)及び重合槽の断面積(A)を調整した。その結果、蒸発ガス空塔速度は0.034m/s(122.4m/hr)であった。
液相部の溶液粘度を、1,000mPa・sとし、蒸発ガス抜出口と、重合槽内の気相部と液相部の界面との距離Gを1.0m付近に制御して重合した。その結果、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は100wtppmであり、製品物性への影響は無視できる程度であった。
重合槽断面積Aを7.7m2とし、距離Gを1.5m付近に制御して重合した他は、実施例1と同様にした。その結果、蒸発ガス空塔速度uは0.049m/sとなり、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は100wtppmであった。
重合槽断面積Aを23m2とした他は、実施例1と同様にした。その結果、蒸発ガス空塔速度uは0.016m/sとなり、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は100wtppmであった。
距離Gを4.0m付近に制御して重合した他は、実施例1と同様にした。その結果、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は1wtppmと低下したものの、重合槽の重量が82トンと大型化した。
距離Gを0.3m付近に制御して重合した他は、実施例1と同様にした。その結果、重合槽の重量は54トンと多少小型化したが、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は5000wtppmとなり、製品物性に悪影響が現れた。
重合槽断面積Aを3.8m2とした他は、実施例1と同様にした。その結果、蒸発ガス空塔速度uは0.1m/s、得られた重合体に含まれる副生成物の割合は3000wtppmであり、製品物性に悪影響が現れた
11 撹拌装置
12 液相部
13 気相部
15 気液界面
20 循環管路
21 ガス抜出口
22 凝縮冷却部
Claims (3)
- 蒸発潜熱除熱型重合槽を用いた重合体の製造方法において、
原料であるモノマーがエチレン、プロピレン又は1−ブテンであり、
前記重合槽の頭頂部にあるガス抜出口と、前記重合槽内の気相部と液相部の界面との距離Gを、下記式(1)から算出されるH以上1.5H以下とすることを特徴とする重合体の製造方法。
H=u/117.61 (1)
(式中、Hは距離[m]であり、uは定常状態における蒸発ガスの空塔速度[m/hr]である。) - 原料であるモノマーがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
- 前記液相部の溶液粘度が、100〜5,000mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体の製造方法。
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JP2010111347A JP5671254B2 (ja) | 2010-05-13 | 2010-05-13 | 副生成物の生成を抑制する重合体の製造方法 |
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