JP6253958B2 - 不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents
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[1]アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する方法であって、触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、前記反応器においてアンモ酸化反応を進行させる第1の工程と、前記アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを、熱交換器に導入して冷却する第2の工程と、前記熱交換器において冷却された前記反応生成ガスを急冷塔に導入して冷却する第3の工程と、を有し、前記熱交換器において前記反応生成ガスを冷却する冷媒として、110℃以上の液体又は気体を用い、かつ、前記急冷塔が、充填層を有しない空塔であるか、又は、高さが1.5m以下若しくは空隙率が90%以上の充填層を有し、前記急冷塔は、前記反応生成ガスを冷却水により冷却する急冷塔であり、前記急冷塔において、前記反応生成ガスの導入位置が前記冷却水の供給位置よりも下方であり、前記第3の工程において、前記反応生成ガスに含まれる高沸点副生成物及び未反応アンモニアが前記急冷塔において同時に除去される、不飽和ニトリルの製造方法。
[2]前記冷媒の温度が140〜260℃である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[3]前記第3の工程において、前記反応生成ガスを65〜95℃の冷却水により冷却する、上記不飽和ニトリルの製造方法
[4]前記急冷塔の底部から抜き出される液の温度が75〜98℃である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[5]前記急冷塔から流出するガスの温度が65〜95℃であり、かつ前記ガスは飽和水蒸気圧の水蒸気を含む、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[6]前記急冷塔の底部から抜き出される液の比重が、1.10〜1.20である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[7]前記原料ガスが、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記不飽和ニトリルの製造方法。
第1の工程は、触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、反応器においてアンモ酸化反応を進行させる反応工程である。原料ガスは、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。また、反応器における反応方式は、流動層反応であってもよく、固定層反応であってもよい。流動層反応は、気相アンモ酸化反応、例えばプロパン又はプロピレンと、アンモニアと酸素とを原料とする気相アンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造、イソブテン、第3級ブタノール又はイソブタンとアンモニアと酸素とを原料とする気相アンモ酸化反応によるメタアクリロニトリルの製造等を工業的規模で行う際に多く用いられる。本実施形態においても、このような流動層反応が好ましい。
第2の工程は、アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを熱交換器に導入して、冷媒により冷却する冷却工程である。好ましくは流動層反応によって生成した生成ガスは、反応器から流出し、反応器出口ラインに設置された熱交換器に流入して冷却される。熱交換器は、適当な冷却能力を有するものであれば、その方式や構造に特に制限はない。ただし、熱交換器での冷却効率の観点から、好ましくはシェル/チューブ式の熱交換器である。この熱交換器の伝熱部材であるチューブ側(チューブ内)には、反応器からの生成ガスが導入され、シェル側(チューブ外部)には冷媒が導入されて、それらの間の熱交換により、生成ガスが持つ熱が回収される。
第3の工程は、生成ガスを75〜95℃の冷却水により冷却する冷却工程である。まず、反応器出口ラインの熱交換器で冷却された生成ガスは、急冷塔に導入される。急冷塔においては、目的生成物に加えて、第1の工程においてアンモ酸化反応で副次的に生成した高沸点副生成物、未反応アンモニア、及び反応器から飛散した触媒等を含む生成ガスが、冷却水により冷却されると共に洗浄される。冷却水は、水以外に酸を含むことが好ましい。これにより、生成ガスに含まれ得る未反応アンモニアは酸により中和されて、アンモニウム塩が生成する。
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法及びそれに用いられる装置において、急冷塔のガス出口に、ミストセパレーター、液体サイクロン等の装置を設けて、ガスに含まれるミスト(水分)を除去するための装置が設置されてもよい。
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法について、好ましい1つの実施態様を、プロピレンを原料とする気相アンモ酸化反応を用いた製造方法を例にとって説明する。ただし、本実施形態の製造方法はこれに限定されない。図1に示す装置は、この製造方法に用いられる装置であり、流動層反応器である反応器1、反応器1で生成した生成ガスを冷却するための熱交換器2、生成ガスを洗浄、冷却する急冷塔3を備える。
図1に示すのと同様の構成を含む装置にプロピレン、アンモニアガス及び空気を供給して、アクリロニトリルを製造した。反応器として直径5.3mのものを用い、触媒として、粒径10〜100μm、平均粒径50μmであるモリブデン−ビスマス−鉄系のシリカ担持触媒を用いた。反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.4m、長さ5.0m、チュ−ブ内径/外径36.0mm/43.2mm、チューブ本数531本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。冷媒にはボイラー水を用いた。反応圧力は0.7kg/cm2G、反応生成ガス量は38000Nm3/hr、熱交換器への生成ガス入口温度は420℃であり、その熱交換器の冷媒(ボイラー水)の入口温度を235℃に設定して、連続運転を行った。
熱交換器のボイラー水の入口温度を205℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを1.2mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
熱交換器のボイラー水の入口温度を150℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
熱交換器のボイラー水の入口温度を135℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるポールリングタイプの充填物(充填層の空隙率が92%になるもの)に変更し、充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔を、充填物を充填しない空塔に変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の塔底液の比重が1.21〜1.25になるように補給水の供給量を変更し、充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の塔底液の比重が0.95〜1.0になるように補給水の供給量を変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例9と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が89%になるもの)に変更し、充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
図1に示すのと同様の構成を含む装置にターシャリーブチルアルコール、アンモニアガス及び空気を供給して、メタクリロニトリルを製造した。反応器として直径5.3mのものを用い、触媒として、粒径10〜100μm、平均粒径50μmであるモリブデン−ビスマス−鉄系のシリカ担持触媒を用いた。反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.27m、長さ4.65m、チュ−ブ内径/外径34.0mm/40.8mm、チューブ本数733本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。冷媒にはボイラー水を用いた。反応圧力は0.78kg/cm2G、反応生成ガス量は36500Nm3/hr、熱交換器への生成ガス入口温度は440℃であり、その熱交換器の冷媒(ボイラー水)の入口温度を245℃に設定して、連続運転を行った。
反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.27m、長さ8.41m、チュ−ブ内径/外径34.0mm/40.8mm、チューブ本数733本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を2基並列に設置し、冷媒を加熱空気に変更したこと以外は、実施例12と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を、セラミック製であって、長さ及び直径が3インチであるポールリングタイプの充填物(充填層の空隙率が79%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.6mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
熱交換器のボイラー水の入口温度を108℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを1.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を実施例11で用いたもの(充填層の空隙率が89%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を、磁製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が75%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例12と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
急冷塔の充填物を、磁製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が75%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例13と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
Claims (7)
- アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する方法であって、
触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、前記反応器においてアンモ酸化反応を進行させる第1の工程と、
前記アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを、熱交換器に導入して冷却する第2の工程と、
前記熱交換器において冷却された前記反応生成ガスを急冷塔に導入して冷却する第3の工程と、
を有し、
前記熱交換器において前記反応生成ガスを冷却する冷媒として、110℃以上の液体又は気体を用い、かつ、
前記急冷塔が、充填層を有しない空塔であるか、又は、高さが1.5m以下若しくは空隙率が90%以上の充填層を有し、
前記急冷塔は、前記反応生成ガスを冷却水により冷却する急冷塔であり、
前記急冷塔において、前記反応生成ガスの導入位置が前記冷却水の供給位置よりも下方であり、
前記第3の工程において、前記反応生成ガスに含まれる高沸点副生成物及び未反応アンモニアが前記急冷塔において同時に除去される、不飽和ニトリルの製造方法。 - 前記冷媒の温度が140〜260℃である、請求項1記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記第3の工程において、前記反応生成ガスを65〜95℃の冷却水により冷却する、請求項1又は2に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記急冷塔の底部から抜き出される液の温度が75〜98℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記急冷塔から流出するガスの温度が65〜95℃であり、かつ前記ガスは飽和水蒸気圧の水蒸気を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記急冷塔の底部から抜き出される液の比重が、1.10〜1.20である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
- 前記原料ガスが、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
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