JP6253958B2 - 不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、不飽和ニトリルを製造する方法に関する。
従来、炭化水素化合物の不飽和ニトリルを製造する方法として、プロピレン、イソブテン又は第3級ブタノールのアンモ酸化反応により、α,β−不飽和ニトリルを製造する方法がよく知られている。また、近年、プロパン、イソブタン等の飽和炭化水素をアンモ酸化に供することにより、同じ炭素数を有するα,β−不飽和ニトリルを製造する方法が実用化されている。それらのアンモ酸化反応においては、一般的に流動層反応器が用いられる。また、オレフィンを原料とする場合、触媒としてモリブデン及び/又はアンチモンの複合酸化物が用いられる。また、パラフィンを原料とする場合、触媒としてモリブデン・バナジウムの複合酸化物が一般的に用いられる。
流動層反応器を用いたアンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する際、その反応により生成する高温の反応生成ガスを冷却するため、その反応器出口ラインには熱交換器が設置されている。さらに、その熱交換器で冷却された生成ガスは、急冷塔に導入される。
この方法に用いられる急冷塔として多段急冷塔を用いる方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された方法によれば、急冷塔は上下2段区画に分割され、反応生成ガスはまず急冷塔下段区画へ導かれ、ここで硫酸を含んだ第1冷却水で冷却及び洗浄され、反応生成ガス中の未反応アンモニアの中和、高沸点副生成物、重合物、及び飛散触媒等の分離除去が行われる。続いて、反応生成ガスは急冷塔の上段区画へ導かれ、再度硫酸を含んだ第2冷却水で冷却されると共に、反応生成ガスから未反応アンモニアが分離される。この方法によれば、第1、第2の両冷却水の循環ラインには冷却器が設置されている。
米国特許第3649179号明細書
アンモ酸化反応により生成する反応生成ガス中には、反応によって生成する有用成分と水以外に、高沸点副生成物が存在する。アンモ酸化反応は高温で進行するが、反応器の出口ラインには、生成した高温(典型的には400〜500℃)の反応生成ガスが持つ熱を回収するために、熱交換器が設置されている。アンモ酸化反応によって生成する高沸点副生成物は、その熱交換器の伝熱部材付近(例えば、管式熱交換器の場合は側管路付近)で凝縮・凝集し、熱交換器の伝熱部材表面に付着して、生成ガス流路の詰まりを引き起こす原因となる。その結果、反応器内の圧力が上昇し、反応器の運転を長期にわたって安定に継続することが困難になるという技術的な課題を有している。
また、仮に反応器出口ラインに設置された熱交換器において、反応生成ガス流路の詰まりを防げたとしても、その熱交換器を通過した高沸点副生成物は、急冷塔に設けられる液循環ラインの汚れ及び詰まりの原因となる。また、液循環ラインに冷却器が設けられる場合は、その冷却器の汚れ及び詰まりにより、冷却器の洗浄頻度が増大することになる。さらには、急冷塔内に充填物を充填した充填層があり、その充填層の汚れ及び詰まりにより、急冷塔が所望のとおりに機能しなくなると、反応器を含めた不飽和ニトリル製造装置全体の運転を停止して、急冷塔のメンテナンスを行う必要が生じるため、装置の運転を長期にわたって継続することが困難となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、反応器出口ラインに設置された熱交換器及びその下流の急冷塔の詰まり、特に塔内部の詰まりを防止することのできる不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、反応器出口ラインに設置された熱交換器の詰まりを防止すると共に、その熱交換器の下流に設置された急冷塔の詰まり、特に塔内部の詰まりをも防止する方法について、鋭意検討を重ねた。その結果、熱交換器に用いられる冷媒として所定の温度の冷媒を用い、かつ、急冷塔における充填層を所定のものにすることにより、それら熱交換器及び急冷塔の詰まりを一挙に解決ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する方法であって、触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、前記反応器においてアンモ酸化反応を進行させる第1の工程と、前記アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを、熱交換器に導入して冷却する第2の工程と、前記熱交換器において冷却された前記反応生成ガスを急冷塔に導入して冷却する第3の工程と、を有し、前記熱交換器において前記反応生成ガスを冷却する冷媒として、110℃以上の液体又は気体を用い、かつ、前記急冷塔が、充填層を有しない空塔であるか、又は、高さが1.5m以下若しくは空隙率が90%以上の充填層を有し、前記急冷塔は、前記反応生成ガスを冷却水により冷却する急冷塔であり、前記急冷塔において、前記反応生成ガスの導入位置が前記冷却水の供給位置よりも下方であり、前記第3の工程において、前記反応生成ガスに含まれる高沸点副生成物及び未反応アンモニアが前記急冷塔において同時に除去される、不飽和ニトリルの製造方法。
[2]前記冷媒の温度が140〜260℃である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[3]前記第3の工程において、前記反応生成ガスを65〜95℃の冷却水により冷却する、上記不飽和ニトリルの製造方法
[4]前記急冷塔の底部から抜き出される液の温度が75〜98℃である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[5]前記急冷塔から流出するガスの温度が65〜95℃であり、かつ前記ガスは飽和水蒸気圧の水蒸気を含む、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[6]前記急冷塔の底部から抜き出される液の比重が、1.10〜1.20である、上記不飽和ニトリルの製造方法。
[7]前記原料ガスが、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記不飽和ニトリルの製造方法。
本発明によれば、反応器出口ラインに設置された熱交換器及びその下流の急冷塔の詰まりを防止することのできる不飽和ニトリルの製造方法を提供することができる。
本発明の不飽和ニトリルの製造方法に用いられる装置の一例を模式的に示すフロー図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法は、アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する方法であって、触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、反応器においてアンモ酸化反応を進行させる第1の工程と、アンモ酸化反応により生成した反応生成ガス(以下、単に「生成ガス」ともいう。)を、熱交換器に導入して冷却する第2の工程と、熱交換器において冷却された反応生成ガスを急冷塔に導入して冷却する第3の工程とを有し、熱交換器において反応生成ガスを冷却する冷媒として、110℃以上の液体又は気体を用い、かつ、急冷塔が、充填層を備えない空塔であるか、又は、高さが1.5m以下若しくは空隙率が90%以上100%未満の充填層を有するものである。かかる製造方法によると、反応器出口ラインに設置された熱交換器の詰まり防止と、熱交換器の下流に設置された急冷塔の特に塔内部の詰まり防止とを同時に解決することができる。
(1)第1の工程(反応工程)
第1の工程は、触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、反応器においてアンモ酸化反応を進行させる反応工程である。原料ガスは、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。また、反応器における反応方式は、流動層反応であってもよく、固定層反応であってもよい。流動層反応は、気相アンモ酸化反応、例えばプロパン又はプロピレンと、アンモニアと酸素とを原料とする気相アンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造、イソブテン、第3級ブタノール又はイソブタンとアンモニアと酸素とを原料とする気相アンモ酸化反応によるメタアクリロニトリルの製造等を工業的規模で行う際に多く用いられる。本実施形態においても、このような流動層反応が好ましい。
流動層反応器では、触媒粒子が流動状態を保持されていることが必要である。触媒としては、従来、上記原料ガスからアンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する際に用いられる触媒として知られているものであってもよい。例えば、オレフィンのアンモ酸化反応では、モリブデン及び/又はアンチモンを主成分とする複合酸化物であってもよい。また、パラフィンのアンモ酸化反応に用いられる触媒としては、例えば、モリブデン又はバナジウムを主成分とする複合酸化物が挙げられる。流動層反応器での反応圧力は、特に限定されず、例えば1.5kg/cm2G以下であってもよい。反応温度としては、原料が気相状態で反応する限り特に制限はなく、400〜500℃であってもよい。
(2)第2の工程(熱交換器による生成ガスの冷却工程)
第2の工程は、アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを熱交換器に導入して、冷媒により冷却する冷却工程である。好ましくは流動層反応によって生成した生成ガスは、反応器から流出し、反応器出口ラインに設置された熱交換器に流入して冷却される。熱交換器は、適当な冷却能力を有するものであれば、その方式や構造に特に制限はない。ただし、熱交換器での冷却効率の観点から、好ましくはシェル/チューブ式の熱交換器である。この熱交換器の伝熱部材であるチューブ側(チューブ内)には、反応器からの生成ガスが導入され、シェル側(チューブ外部)には冷媒が導入されて、それらの間の熱交換により、生成ガスが持つ熱が回収される。
熱交換器に導入される冷媒の温度は110℃以上であり、予めその温度に加熱されたものを用いればよい。110℃以上に加熱された冷媒を用いることにより、生成ガス中の高沸点副生成物の温度より高く維持し、反応器出口ラインの熱交換器における高沸点副生成物の凝縮による閉塞を防止することができる。
反応工程で用いられる触媒は、例えば平均粒径が50μm前後の微小な粒子であり、生成ガス中にはその触媒粒子が含まれている。そのような触媒粒子が熱交換器内に堆積することをより有効に防止する観点から、シェル/チューブ式の熱交換器を用いる場合、管(チューブ)は直管であることが好ましく、その管内を生成ガスが1パスで通過する構造が好ましい。
熱交換器の生成ガス流路の壁面に高沸点副生成物が付着することをより有効かつ確実に防止する観点から、熱交換器に導入する冷媒の温度をモニタリングして温度制御することが好ましい。生成ガス流路のガス温度は下流ほど低くなり高沸点副生成物が付着しやすくなる。そこで、冷媒を、生成ガス流路の下流側から導入する方式、すなわち、対向流式にして、冷媒の熱交換器への入口温度(供給温度)を制御すると、生成ガスの下流側の温度も管理しやすくなるので好ましい。また、同様の観点から、生成ガスの熱交換器出口の温度をモニタリングして、その温度が一定温度以上になるように、熱交換器に導入する冷媒の温度及び/又は流量を制御することも好ましい。ただし、必ずしも生成ガスの熱交換器出口の温度を正確に計測する必要はなく、生成ガスの熱交換器出口の温度と熱交換器に導入する冷媒の温度との間に一定の関係があることが把握されていれば、熱交換器に導入する冷媒の温度をモニタリングして、その冷媒の温度及び/又は流量を制御してもよい。
熱交換器に導入する冷媒は液体であっても気体であってもよい。冷媒として用いられる液体としては水が好ましく、例えば、純水、工業用水、海水及びそれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。このような冷媒は、ボイラーで加圧・加温し、110℃以上の温度に調整すればよい。冷媒として用いられる気体としては、例えば、水蒸気、空気、窒素、二酸化炭素、又はそれらのうち2種以上の混合物が挙げられる。このような冷媒を、ボイラーなどで加温して、110℃以上に調整すればよい。生成ガスに含まれる高沸点副生成物が熱交換器の内壁(例えば伝熱部材の表面)に付着するのをより有効かつ確実に抑制する観点から、熱交換器に導入する冷媒の温度は、好ましくは140〜260℃であり、より好ましくは170〜240℃である。冷媒の温度を所望の温度に制御するためには、熱交換器へ供給される予熱された冷媒の量及び温度を調整すればよい。なお、反応器から流出する生成ガスの温度は、反応温度とほぼ同等の温度であるので、一般に400〜500℃である。よって、冷媒の温度が上述の範囲であっても、生成ガスの冷却は何ら問題なく行うことができる。
(3)第3の工程(急冷塔での生成ガス冷却工程)
第3の工程は、生成ガスを75〜95℃の冷却水により冷却する冷却工程である。まず、反応器出口ラインの熱交換器で冷却された生成ガスは、急冷塔に導入される。急冷塔においては、目的生成物に加えて、第1の工程においてアンモ酸化反応で副次的に生成した高沸点副生成物、未反応アンモニア、及び反応器から飛散した触媒等を含む生成ガスが、冷却水により冷却されると共に洗浄される。冷却水は、水以外に酸を含むことが好ましい。これにより、生成ガスに含まれ得る未反応アンモニアは酸により中和されて、アンモニウム塩が生成する。
また、冷却水は、急冷塔において少なくとも一部が循環されることが好ましい。すなわち、冷却水は、生成ガスを冷却して急冷塔から流出した後に、再び急冷塔に流入することが好ましい。この場合、冷却水は、急冷塔から流出した後に少なくとも一部が冷却されて、再び急冷塔に流入することがより好ましい。例えば、急冷塔に冷却水の循環ラインを設け、その循環ラインに急冷塔から流出した冷却水を冷却するための熱交換器が設置されてもよい。これにより、冷却水を循環する場合であっても、冷却水の温度を容易に制御することができる。急冷塔での冷却水の循環は、例えば、循環ラインに設けられたポンプを用いて行われる。その循環量は、特に限定されないが、例えば、生成ガスに含まれる不飽和ニトリル1t当たり40〜60tである。
なお、冷却水は、上述のとおり循環して再利用されるものであってもよいが、少なくとも一部は新たに急冷塔に供給されるもの(補給水)であってもよい。補給水についての詳細は後述する。
生成ガス冷却工程では、急冷塔に導入される生成ガスを冷却すると同時に、生成ガスと冷却水が直接接触するため、反応によって生じた生成ガス中の水分を凝縮させることができる。また、生成ガスは急冷塔に導入されると、冷却水の蒸発によって増湿冷却される。
冷却水は、急冷塔内部に設置されたスプレーノズルより噴霧されることが好ましい。これにより、生成ガスと冷却水との接触が更に促進される。
また、急冷塔での冷却水による冷却を目的として、急冷塔内部には生成ガスと冷却水とを効率よく接触させるための充填物が充填されてもよい。ただし、反応器出口ラインに設置された熱交換器を通過した生成ガスに含まれる高沸点副生成物は、急冷塔において汚れや詰まり(閉塞)の原因となるが、この汚れや詰まりは、急冷塔が充填物を備えるとより顕著になる。そこで、詰まりを引き起こす原因となる充填物を減らすことにより、急冷塔の塔内部の詰まりをより有効かつ確実に抑制することができる。具体的には、充填層の空隙率を90%以上とすること、又は、充填層の高さを1.5m以下とすることである。ここで「充填層」とは、充填物が存在する空間のことであり、充填物間の隙間や充填物の孔部などは充填層の一部とみなす。
充填層の空隙率を指標とする場合、充填層の空隙率は90%以上であり、92%以上であることが好ましい。充填層の空隙率が90%以上であることにより、汚れによる閉塞をより抑制することができる。なお、明細書中、充填層の「空隙率」とは、充填層全体の体積(容積)に対して充填物間の隙間や充填物の孔部が占める割合とする。充填層の空隙率は、充填層に充填される充填物の形状に依存するので、空隙率を調整するには、空隙率が上記の範囲になるような形状を有する充填物を用いればよい。そのような範囲に空隙率を調整できる充填物としては、例えば、ポールリングタイプ及びラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物が挙げられる。充填層の空隙率の測定方法は、下記のとおりである。すなわち、充填物を容積既知の容器に充填し、容器の縁の高さまで水を張り、その水の容積を測定する。容器に水を張る際、気泡があると正確な値が算出できないため、気泡は除去しておく。容器の容積をA、水の容積をBとしたとき、B/A×100で算出される値を充填層の空隙率(%)とする。
充填層の高さを指標とする場合、充填層の高さは1.5m以下であり、1.0m以下であることがより好ましい。生成ガスは、急冷塔内の充填層を少なくとも高さ方向に移動するため、充填層の高さが1.5m以下であることにより、生成ガスの移動方向の距離が短くなり、急冷塔の詰まりは発生し難くなる。
さらに急冷塔の詰まりを一層抑制する観点から、上述した充填層の空隙率及び充填層の高さの条件を同時に満たすことが好ましい。具体的には、充填層の空隙率が90%以上であり、かつ、充填層の高さが1.5m以下であることが好ましく、充填層の空隙率が92%以上であり、かつ、充填層の高さが1.0m以下であることがより好ましく、空塔であることが特に好ましい。なお、ここでいう空塔とは、急冷塔が充填層を有しないことを意味する。
なお、不飽和ニトリルの工業的生産において、生産能力によらず、急冷塔の高さは通常5〜7mである。一方、急冷塔の直径は、不飽和二トリルの生産能力に合わせて異なるのが一般的である。
充填層の空隙率が90%以上である場合、又は充填層の高さが1.5m以下である場合、生成ガスと冷却水との接触効率が低下する傾向にある。そこで、急冷塔内部にスプレーノズルを設けることによって、生成ガスと冷却水との接触の増大を図ることが望ましい。この場合、急冷塔の内部にスプレーノズルが設置される場合、急冷塔に導入された生成ガスの冷却のために、そのスプレーノズルから冷却水が均一に噴霧される。生成ガスに対し冷却水がより均一に噴霧されるよう、スプレーノズルの数、設置密度、及び型式などが適宜調整される。より十分に生成ガスを冷却するため、スプレーノズルは、急冷塔の高さ方向に多段に設置されることが望ましい。使用するスプレーノズルの型式は例えばホローコーン(空円錐)タイプ及びフルコーン(充円錐)タイプが挙げられ、好ましくはホローコーンタイプである。スプレーノズルの設置密度は、好ましくは急冷塔の断面積(高さに対して垂直に切断した場合の断面積)に対し、2〜5個/m2である。
なお、従来の一般的なアクリロニトリルの製造プロセスの場合、急冷塔における気液接触の効率を向上させる観点から、充填層の空隙率は概ね80%以下であり、充填層の高さは2m以上である。
急冷塔の塔底部には、高沸点副生成物及び硫安(硫酸アンモニウム)などが滞留して濃縮するため、塔底部に存在する液(以下、「塔底液」という。)を連続式又はバッチ式で急冷塔から抜き出すことが好ましい。塔底液の量は、塔底液中の高沸点副生成物や硫安が過度に濃縮されないような量、例えば、不飽和ニトリル1tに対して0.1〜0.3tであってもよい。塔底液の抜き出し量は、後述するように、塔底液の比重(濃縮度)を確認しながら調整することが好ましい。
塔底液の過濃縮を防止するため、塔底液の抜き出し量は、その比重に基づいて管理することが好ましい。塔底液の比重の目安としては、好ましくは1.10〜1.20である。ただし、塔底液の比重はこの数値範囲に限定されるものではなく、配管の詰まりを抑制し、ポンプによる塔底液の送液が可能な程度の濃縮度であれば問題はない。塔底液の比重は、急冷塔に新たに供給する補給水の量によっても調整することができる。なお、塔底液の抜き出し配管の詰まりを更に抑制する観点から、塔底液の温度は75〜98℃であることが好ましく、80〜95℃であることがより好ましい。
また、急冷塔には、水バランスを調整する、すなわち系内の水の量を一定範囲に維持するために、補給水を供給することが好ましい。反応や触媒の種類によっても異なるが、例えば、オレフィンのアンモ酸化の場合、反応器出口ラインに設置した熱交換器で冷却された生成ガスは、200〜300℃の乾きガスであり、飽和湿度には達していない。急冷塔から流出する生成ガスに同伴される水分も存在するため、補給水量の目安としては不飽和ニトリル1t当たり0.1〜0.5tであると好ましい。なお、この水バランスを調整するのに好ましい冷却水の温度、及び急冷塔(好ましくは急冷塔の塔頂)から流出するガス(以下、「急冷塔出口ガス」ともいう。)の温度は、65〜95℃であり、より好ましくは75〜95℃である。好ましい急冷塔出口ガスの温度は、反応器からの反応生成物の組成及び反応圧力によって多少変化し得るものの、その影響は限定的である。ただし、急冷塔出口ガス温度は、冷却水の温度より高くなってもよく、冷却水の温度より10℃以下の範囲で高くなってもよい。
循環する冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度は、冷却水の循環ラインに冷却器を設置し、その冷却器により制御することができる。冷却器は、熱交換器であってもよい。また、循環ラインが閉塞した場合に備えて、バイパスラインを設置してもよい。なお、急冷塔の循環ラインに、循環する冷却水の冷却用に熱交換器を設置しなければ、上段冷却水温度、塔底液温度、及び急冷塔出口ガスの温度は、ほぼ同じ温度になる。
補給水としては、不飽和ニトリルの製造方法の他工程において生じた排水、又は急冷塔出口ガスの冷却により生じた凝縮水などを利用できる。通常、排水はその中に含まれる水以外の成分を濃縮されるものであり、そのために加熱される場合もある。排水を急冷塔の補給水として利用することで、生成ガスの持つ熱を効率的に利用し、濃縮に必要な熱量を削減することができる。濃縮を効率的に進める観点から、急冷塔出口ガスの湿度又は水蒸気圧は高い方が好ましく、湿度が100%すなわち飽和水蒸気圧であることが最も好ましい。急冷塔出口ガスの湿度を高めるため、生成ガスの滞留時間を十分に取ることが望ましい。
急冷塔内での生成ガスの平均滞留時間は、未反応アンモニアの中和、高沸点副生成物、重合物、及び飛散触媒等の分離除去の観点から、2秒以上であると好ましく、より好ましくは3秒以上である。急冷塔内での生成ガスの平均滞留時間は、急冷塔に流入する生成ガスの標準状態(0℃、1気圧)での容量を、急冷塔入口での生成ガスの実際の温度、圧力(運転条件によって異なるが、例示すれば300℃、0.7kg/cm2G)で換算した実際のガスの容量、及び急冷塔の容積から求めることができる。
(その他の工程及び装置)
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法及びそれに用いられる装置において、急冷塔のガス出口に、ミストセパレーター、液体サイクロン等の装置を設けて、ガスに含まれるミスト(水分)を除去するための装置が設置されてもよい。
(4)具体的態様
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法について、好ましい1つの実施態様を、プロピレンを原料とする気相アンモ酸化反応を用いた製造方法を例にとって説明する。ただし、本実施形態の製造方法はこれに限定されない。図1に示す装置は、この製造方法に用いられる装置であり、流動層反応器である反応器1、反応器1で生成した生成ガスを冷却するための熱交換器2、生成ガスを洗浄、冷却する急冷塔3を備える。
反応器1には、モリブデン及び/又はアンチモンを含有する触媒が収容されており、原料ガスであるプロピレン及びアンモニアガスと空気とがライン13A、13Bから供給されて、アンモ酸化反応によりアクリロニトリルを含む生成ガスが生成する。反応温度は400〜500℃に維持される。生成ガスはライン6、熱交換器2を経由し、ライン7を経て、生成ガスを洗浄及び冷却するための急冷塔3に導入される。熱交換器2はシェル/チューブ式の熱交換器であり、シェル側(チューブ外部)にはボイラー水が導入され、それにより、熱交換器2のチューブ側(チューブ内)を流れる生成ガスが冷却される。熱交換器2での生成ガス中の高沸点副生成物の凝縮を防止するために、シェル側に注水するボイラー水の温度を140〜260℃となるように制御する。
急冷塔3の循環ライン11には冷却用の熱交換器9が設置されているが、本実施形態の製造方法では必須ではない。急冷塔3内部には、充填層8、冷却水を噴霧するスプレーノズル12が設置されている。ライン7から急冷塔3に導入された生成ガスは、スプレーノズル12から噴霧される冷却水によって冷却及び洗浄され、特に充填層8内では冷却水との接触がより効率的に行われるため、更に十分に冷却及び洗浄される。また、急冷塔3には、必要に応じてライン5から補給水が供給される。その補給水と生成ガスの冷却に用いられた冷却水とを含む塔底液は、その一部がライン10を経由して系外に排出され、他の一部は循環ライン11を経由して熱交換器9により冷却されて急冷塔3に供給される。
急冷塔3を通過した生成ガスは、ライン4を経由して、ここでは図示されていないが、更なる生成ガス冷却塔を経て吸収塔に導入される。その後、吸収塔で水に吸収されたアクリロニトリル等の有用成分は、通常のプロセス、すなわち、回収塔、精製塔の順に精製され、製品であるアクリロニトリルが得られる。
本実施形態の不飽和ニトリルの製造方法によると、反応器、特に流動層反応器を用いたアンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造するに際し、熱交換器及び急冷塔での閉塞を抑制し、長期的に安定した運転が可能となる。
以下、プロピレンを原料とする気相アンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造方法及びターシャリーブチルアルコールを原料とする気相アンモ酸化反応によるメタクリロニトリルの実施例により、本発明の流動層反応方法を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。なお、反応器出口ラインに設置した熱交換器及び急冷塔の詰まりが抑制されたことは、生成ガス流量が同一の場合に、それらの熱交換器及び急冷塔の圧力損失の上昇速度がなくなる又は緩やかになることをもって確認した。熱交換器の圧力損失は、その熱交換器の生成ガス入口ライン及び出口ラインに圧力タップを設置し、水中マノメーターで測定した。また、熱交換器へ供給される予熱された冷媒の温度は、その熱交換器の冷媒入口ラインに設置された温度計によって測定した。各実施例における反応器出口ラインに設置された熱交換器及び急冷塔の運転条件を表1に、その運転結果を表2に示す。
[実施例1]
図1に示すのと同様の構成を含む装置にプロピレン、アンモニアガス及び空気を供給して、アクリロニトリルを製造した。反応器として直径5.3mのものを用い、触媒として、粒径10〜100μm、平均粒径50μmであるモリブデン−ビスマス−鉄系のシリカ担持触媒を用いた。反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.4m、長さ5.0m、チュ−ブ内径/外径36.0mm/43.2mm、チューブ本数531本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。冷媒にはボイラー水を用いた。反応圧力は0.7kg/cm2G、反応生成ガス量は38000Nm3/hr、熱交換器への生成ガス入口温度は420℃であり、その熱交換器の冷媒(ボイラー水)の入口温度を235℃に設定して、連続運転を行った。
急冷塔として、内径3.7m、高さ7mであり、内部には充填層の上下にスプレーノズルを設置したものを用いた。スプレーノズルはホローコーンタイプのものを用い、そのスプレーノズルを急冷塔の断面積に対し4個/m2設置し、生成ガスの洗浄及び冷却を確実に行うようにした。
急冷塔の循環ラインには冷却器を設置した。冷却器として、直径0.85m、長さ4.66m、チュ−ブ内径/外径17.7mm/21.7mm、チューブ本数558本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。上段スプレーノズルの下方には、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるポールリングタイプの充填物を、充填層の高さが1.5mになるように不規則に充填した。充填物は、充填層の空隙率が96%になるものを選択した。補給水は急冷塔の下段のスプレーノズルよりも下方であって、塔底液の液面よりも上方の位置から、1.3t/hrの量で供給した。冷却水の循環量は上段/下段それぞれ420/250t/hrとし、塔底液の比重が1.15になるように塔底液の抜き出し量を調整したところ、1.3t/hrであった。上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度は、冷却水の循環ラインに設置した冷却器を用いて、表1に示す温度になるよう制御した。
[実施例2]
熱交換器のボイラー水の入口温度を205℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを1.2mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例3]
熱交換器のボイラー水の入口温度を150℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例4]
熱交換器のボイラー水の入口温度を135℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例5]
急冷塔の充填物を、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるポールリングタイプの充填物(充填層の空隙率が92%になるもの)に変更し、充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例6]
急冷塔を、充填物を充填しない空塔に変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例7、8]
急冷塔の充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例9]
急冷塔の塔底液の比重が1.21〜1.25になるように補給水の供給量を変更し、充填層の高さを0.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例10]
急冷塔の塔底液の比重が0.95〜1.0になるように補給水の供給量を変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更したこと以外は、実施例9と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例11]
急冷塔の充填物を、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が89%になるもの)に変更し、充填層の高さを0.8mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[実施例12]
図1に示すのと同様の構成を含む装置にターシャリーブチルアルコール、アンモニアガス及び空気を供給して、メタクリロニトリルを製造した。反応器として直径5.3mのものを用い、触媒として、粒径10〜100μm、平均粒径50μmであるモリブデン−ビスマス−鉄系のシリカ担持触媒を用いた。反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.27m、長さ4.65m、チュ−ブ内径/外径34.0mm/40.8mm、チューブ本数733本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。冷媒にはボイラー水を用いた。反応圧力は0.78kg/cm2G、反応生成ガス量は36500Nm3/hr、熱交換器への生成ガス入口温度は440℃であり、その熱交換器の冷媒(ボイラー水)の入口温度を245℃に設定して、連続運転を行った。
急冷塔として、内径3.7m、高さ12.3mであり、内部には充填層の上下にスプレーノズルを設置したものを用いた。スプレーノズルはホローコーンタイプのものを用い、そのスプレーノズルを急冷塔の断面積に対し4個/m2設置し、生成ガスの洗浄及び冷却を確実に行うようにした。
急冷塔の循環ラインには冷却器を設置した。冷却器として、直径0.75m、長さ6.05m、チュ−ブ内径/外径17.7mm/21.7mm、チューブ本数332本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を用いた。上段スプレーノズルの下方には、金属製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物を、充填層の高さが1.5mになるように不規則に充填した。充填物は、充填層の空隙率が95%になるものを選択した。補給水は急冷塔の下段のスプレーノズルよりも下方であって、塔底液の液面よりも上方の位置から、3.0t/hrの量で供給した。冷却水の循環量は上段/下段それぞれ470/400t/hrとし、塔底液の比重が1.13になるように塔底液の抜き出し量を調整したところ、3.5t/hrであった。上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度は、冷却水の循環ラインに設置した冷却器を用いて、表1に示す温度になるよう制御した。
[実施例13]
反応器出口ラインに設置した熱交換器として、直径1.27m、長さ8.41m、チュ−ブ内径/外径34.0mm/40.8mm、チューブ本数733本の管側1パスのチューブ/シェル式熱交換器を2基並列に設置し、冷媒を加熱空気に変更したこと以外は、実施例12と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
[比較例1]
急冷塔の充填物を、セラミック製であって、長さ及び直径が3インチであるポールリングタイプの充填物(充填層の空隙率が79%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.6mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[比較例2]
熱交換器のボイラー水の入口温度を108℃に変更し、急冷塔の充填層の高さを1.5mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[比較例3]
急冷塔の充填物を実施例11で用いたもの(充填層の空隙率が89%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例2と同様の条件で、アクリロニトリルを製造した。
[比較例4]
急冷塔の充填物を、磁製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が75%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例12と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
[比較例5]
急冷塔の充填物を、磁製であって、長さ及び直径が3インチであるラシヒ(登録商標)リングタイプの充填物(充填層の空隙率が75%になるもの)に変更し、充填層の高さを1.7mに変更し、上段の冷却水の温度、塔底液の温度、及び急冷塔出口ガスの温度を表1に示す温度になるよう変更した以外は、実施例13と同様の条件で、メタクリロニトリルを製造した。
Figure 0006253958
Figure 0006253958
本発明は、反応器出口ラインに設置された熱交換器及びその下流の急冷塔の詰まりを防止することのできる不飽和ニトリルの製造方法を提供することができるため、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスから、アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造するのに、産業上の利用可能性がある。
1…流動層反応器、2…熱交換器、3…急冷塔、4、5、6、7、10、11、13A、13B…ライン(配管)、8…充填層、9…冷却器、12…スプレーノズル。

Claims (7)

  1. アンモ酸化反応により不飽和ニトリルを製造する方法であって、
    触媒を充填した反応器にアルカン、オレフィン、及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む原料ガスを供給し、前記反応器においてアンモ酸化反応を進行させる第1の工程と、
    前記アンモ酸化反応により生成した反応生成ガスを、熱交換器に導入して冷却する第2の工程と、
    前記熱交換器において冷却された前記反応生成ガスを急冷塔に導入して冷却する第3の工程と、
    を有し、
    前記熱交換器において前記反応生成ガスを冷却する冷媒として、110℃以上の液体又は気体を用い、かつ、
    前記急冷塔が、充填層を有しない空塔であるか、又は、高さが1.5m以下若しくは空隙率が90%以上の充填層を有し、
    前記急冷塔は、前記反応生成ガスを冷却水により冷却する急冷塔であり、
    前記急冷塔において、前記反応生成ガスの導入位置が前記冷却水の供給位置よりも下方であり、
    前記第3の工程において、前記反応生成ガスに含まれる高沸点副生成物及び未反応アンモニアが前記急冷塔において同時に除去される、不飽和ニトリルの製造方法。
  2. 前記冷媒の温度が140〜260℃である、請求項1記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  3. 前記第3の工程において、前記反応生成ガスを65〜95℃の冷却水により冷却する、請求項1又は2に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  4. 前記急冷塔の底部から抜き出される液の温度が75〜98℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  5. 前記急冷塔から流出するガスの温度が65〜95℃であり、かつ前記ガスは飽和水蒸気圧の水蒸気を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  6. 前記急冷塔の底部から抜き出される液の比重が、1.10〜1.20である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
  7. 前記原料ガスが、プロピレン、イソブテン、第3級ブタノール、プロパン及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不飽和ニトリルの製造方法。
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