JP5604969B2 - 光電変換素子用電解質、光電変換素子、および、色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
非シリコン系太陽電池の中でも特に、スイスのグレツェルらが開発した色素増感太陽電池は、有機材料を用いた太陽電池の中では光電変換効率が高く、シリコン系太陽電池と比較して製造コストが安い等の利点もあり、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている。
例えば、特許文献1には、「(i)層状粘土鉱物及び/又は有機化層状粘土鉱物並びに(ii)イオン性液体を含んでなる光電変換素子用電解質。」が記載されている([請求項1])。
これは、光電変換素子内に侵入した水分や湿気が、電解質や増感色素を変質させるためであると考えられる。
そこで、本発明は、優れた耐湿性を達成することができる光電変換素子用電解質を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(g)を提供する。
本発明の光電変換素子用電解質(以下、単に「本発明の電解質」ともいう。)は、イオン性液体(A)と、有機化層状粘土鉱物(B)と、無機多孔粒子である吸湿剤(C)と、を含有し、上記吸湿剤(C)と上記有機化層状粘土鉱物(B)との質量比(C/B)が、無機物換算で、0.1/10〜5/10である、光電変換素子用電解質である。
次に、本発明の電解質の各成分について詳述する。
本発明の電解質で用いられるイオン性液体(A)は、カチオンおよびその対イオンであるアニオンを有する有機塩化合物であって、室温でも液体で存在するものである。
上記イオン性液体(A)としては、従来から電解質として使用されている任意のイオン性液体を使用することができ、例えば、大野弘幸編「イオン性液体−開発の最前線と未来−」CMC出版(2003)、「イオン性液体の機能創製と応用」エヌ・ティー・エス(2004)等に記載されている第4級アンモニウム塩類、イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類、ピロリジニウム塩類、ピペリジニウム塩類等を使用することができる。
式(2)中、Qは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を表し、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただし、Qが酸素原子または硫黄原子の場合、R7は存在しない。
次いで、上記式(1)中のR1が有していてもよい、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等)、炭素数1〜12のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基等)、炭素数2〜12のアルキルアルコキシ基(例えば、メチレンメトキシ基(−CH2OCH3)、エチレンメトキシ基(−CH2CH2OCH3)、n−プロピレン−イソ−プロポキシ基(−CH2CH2CH2OCH(CH3)2)、メチレン−t−ブトキシ基(−CH2−O−C(CH3)3等)であるのが好ましい。また、上記式(1)中のR1は、この置換基を2以上有していてもよい。
具体的には、下記式(3)〜(6)のいずれかで表されるカチオンが好適に例示される。
このうち、下記式(3)および(5)で表されるカチオンであるのが、本発明の電解質を用いた光電変換素子(以下、「本発明の光電変換素子」ともいう。)の光電変換効率がより良好となる傾向がある理由から好ましい。
より具体的には、以下に示すカチオンが挙げられる。
具体的には、以下に示すカチオンが好適に例示される。
このうち、脂肪族4級アンモニウムイオンであるのが、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好となる傾向がある理由から好ましい。
このうち、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好となる傾向がある理由から、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン(I-)であるのが好ましく、ヨウ素イオン(I-)であるのがより好ましい。
また、本発明の光電変換素子の耐湿熱性が良好になるという観点からは、チオシアネートアニオン(SCN-)(連結異性体であるイソチオシアネートアニオンを含む。以下同様。)が好ましい。
中でも、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好になるという理由からは、カチオンとしてイミダゾリウムイオンを有し、アニオンとしてヨウ素イオンを有する有機塩化合物が好ましく、本発明の光電変換素子の耐湿熱性が良好になるという理由からは、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物が好ましく、イミダゾリウムイオンおよびヨウ素イオンを有する有機塩化合物と、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物とを併用することがより好ましい。
すなわち、光電変換素子を加熱することにより光電変換効率が低下する原因は、光電変換素子を構成する光電極に担持させる色素としてチオシアネートアニオンが配位した金属錯体を用いた場合においては、加熱により、チオシアネートアニオンの配位が外れ、その部位に電解質中に存在するヨウ素イオンやピリジン等が配位してしまうためであると考えられる。
これに対し、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物を系内に添加しておくことにより、金属錯体(色素)からチオシアネートアニオンの配位が外れた場合であっても、有機塩化合物が有するチオシアネートアニオンが配位することが可能となり、色素としての機能、すなわち光を吸収し、電子を放出する機能を維持することができたためと考えられる。
本発明の電解質に用いられる有機化層状粘土鉱物(B)は、有機オニウムイオンにより有機化された層状粘土鉱物である。
上記有機化層状粘土鉱物(B)は、層状粘土鉱物における層間の陽イオン交換を行なうことで得ることができ、例えば、層状粘土鉱物の水系スラリーに有機オニウムイオンを添加し、撹拌させて反応させることにより得ることができる。
これらのうち、水中で膨潤し、陽イオン交換能を有するスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性のマイカが好ましい。
層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は、10〜300ミリ当量/100gであるのが好ましい。
このような層状粘土鉱物(b1)としては、市販品を用いることができ、例えば、天然モンモリロナイト(商品名:クニピアF、平均粒径:0.1〜1μm、クニミネ工業社製)、合成スメクタイト(商品名:スメクトンSA、平均粒径:20nm、クニミネ工業社製)、合成膨潤性雲母(商品名:ソマシフME−100、平均粒径:5〜7μm、コープケミカル社製)、合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSWN、平均粒径:0.02μm、コープケミカル社製)、合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSWF、平均粒径:0.02μm、コープケミカル社製)が好適に用いられる。
これらのうち、アンモニウムイオンが最も一般的であり、具体的には、脂肪族アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ベタイン類、レシチン、カチオン染料(色素)等が挙げられる。
また、下記式(I)または(II)に示す脂肪族アンモニウムイオンが好ましく、具体的には、例えば、ヒドロキシポリオキシエチレントリアルキルアンモニウム、ヒドロキシポリオキシプロピレントリアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム、ジ(ヒドロキシポリオキシプロピレン)ジアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、メチルエチルジオクチルアンモニウム、メチルエチルジオクチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、メチルトリドデシルアンモニウム、ベンジルメチルジオクチルアンモニウム、ベンジルメチルジドデシルアンモニウム、ベンジルエチルジオクチルアンモニウム、ベンジルエチルジオクチルアンモニウム、ベンジルトリオクチルアンモニウム、ベンジルトリドデシルアンモニウム等が挙げられる。
ここで、無機物換算とは、上記有機化層状粘土鉱物(B)における層間の陽イオン、すなわち上述した有機オニウムイオンを除外した質量をいう。
本発明の電解質に用いられる吸湿剤(C)は、有機物を含有しない無機物の粒子であって多数の細孔または空隙を有する無機多孔粒子であり、その細孔または空隙に水分子を吸着する。
また、上記吸湿剤(C)と上記有機化層状粘土鉱物(B)との質量比(C/B)は、無機物換算で、1/10〜5/10である。
ここで、上記質量比(C/B)を無機物換算としたのは、上記有機化層上粘土鉱物(B)を考慮したものである。したがって、上記吸湿剤(C)だけに関していえば、無機物であるため、当然、無機物換算と全体量換算とは同じ値となる。
これは、電解質に混入した大気中の水分が上記吸湿剤(C)によってトラップされるためと考えられる。
さらに、上記吸湿剤(C)の含有量は、本発明の電解質の総質量に対して0.01〜5質量%であるのが好ましく、0.01〜4質量%であるのがより好ましい。
上記吸湿剤(C)の含有量がこの範囲であると、本発明の光電変換素子の光電変換効率が、吸湿剤を添加しない電解質で構成された光電変換素子の光電変換効率を維持しつつ、耐湿性もより優れる。
これらのうち、吸湿性により優れるという理由から、層状粘土鉱物(b1)、活性炭がより好ましく、層状粘土鉱物の層間に存在する層間陽イオンと外部から電解質中に侵入した水分子とが相互作用し、電解質中の水分子を層状粘土鉱物の層間に効率良く吸着できることから、層状粘土鉱物(b1)がさらに好ましい。
なかでも、水分子を吸着する能力が大きいという理由から、スメクタイト系粘土鉱物、雲母系粘土鉱物を用いることがより好ましい。
また、上記吸湿剤(C)として用いられる層状粘土鉱物(b1)としては、上記有機化層状粘土鉱物(B)の調製に用いる層状粘土鉱物(b1)として例示した市販品を好ましく用いることができる。
また、比表面積は、10〜2500m2/gが好ましく、20〜2000m2/gがより好ましい。
また、平均細孔径は、2〜500nmが好ましく、5〜250nmがより好ましい。
また、細孔容積は、0.1〜1.0ml/gが好ましく、0.3〜0.7ml/gがより好ましい。
上記吸湿剤(C)として用いるシリカゲル、活性炭等における平均粒径等が、上記範囲内であれば、耐湿性により優れる。
本発明の電解質は、本発明の光電変換素子の光電変換効率をより向上させる観点から、酸化還元対(レドックス対)を添加することができる。
酸化還元対としては、色素増感太陽電池において一般的に使用されているまたは使用することができる任意のものを本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。
例えば、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオン等を用いることができる。具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI等との金属ヨウ化物、ヨウ素と4級イミダゾリウム化合物とのヨウ化物塩、ヨウ素と4級ピリジニウム化合物とのヨウ化物塩、ヨウ素とテトラアルキルアンモニウム化合物とのヨウ化物塩等のヨウ素/ヨウ化物イオン対;臭素とLiBr、NaBr、KBr等との金属臭化物、臭素と4級イミダゾリウム化合物との臭化物塩、臭素と4級ピリジニウム化合物との臭化物塩、臭素とテトラアルキルアンモニウム化合物との臭化物塩等の臭素/臭化物イオン;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウム塩等の金属錯体;ジスルフィド化合物とメルカプト化合物との硫黄化合物;ヒドロキノン;キノン;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭素化物イオンが好ましい。
無機塩、有機塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩等を挙げることができ、具体的には、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、トリフルオロ酢酸リチウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化りん酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機塩、有機塩の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
具体的には、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン等のアルキルピリジン類;メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類;メチルベンズイミダゾール、エチルベンズイミダゾール、ブチルベンズイミダゾール、プロピルベンズイミダゾール等のアルキルベンズイミダゾール類;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ピリジン類、ベンズイミダゾール類の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
有機溶媒の含有量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
本発明の電解質の製造方法は特に限定されず、例えば、上記イオン性液体(A)、上記有機化層状粘土鉱物(B)、上記吸湿剤(C)等を混合し、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、すりつぶし機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、ロール、ニーダー等を用いて室温下または加熱下(例えば40〜150℃)で十分に混合し、均一に分散(混練)させることにより製造することができる。
ここで、上記混合には、必要に応じて有機溶剤(例えば、トルエン等)を併用し、混合後に有機溶剤を真空留去する方法を用いてもよい。
次に、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池について、図1を用いて詳述する。図1は、本発明の光電変換素子の基本構成の一例を示す模式断面図である。
上記光電極は、例えば、図1に示すように、透明基板1と透明導電膜2と酸化物半導体多孔質膜3により構成されている。
ここで、透明基板1は、光透過性が良好なものが好ましく、その具体例としては、ガラス基板の他、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、環状オレフィンポリマー、ポリエーテルサルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂基板(フィルム)が挙げられる。
また、透明導電膜2の厚さは、0.01〜1.0μm程度であるのが好ましい。
更に、透明導電膜2を設けるための方法は特に限定されず、例えば、塗布法、スパッタリング法、真空蒸着法、スプレーパイロリシス法、化学気相成長法(CVD)、ゾルゲル法等が挙げられる。
上記酸化物半導体微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記分散液は、分散機で混合して得た後、使用(塗布)直前に、超音波ホモジナイザー等を用いて超音波処理を施すのが好ましい。使用直前に超音波処理を施すことにより、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好となる。これは、使用直前に超音波処理を施した分散液を用いて形成した酸化物半導体多孔質膜に対して、上述したイオン性液体(A)を含有する本発明の電解質が充填されやすくなったり、色素の吸着能が高まったりしたためと考えられる。
さらに、上記分散液には、分散液中の上記酸化物半導体微粒子の再凝集を防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤等を添加してもよく、分散液の増粘のために、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等の高分子やセルロース系の増粘剤等を添加してもよい。
湿式成膜法としては、具体的には、例えば、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法等が挙げられる。
加熱処理の温度としては、40℃〜700℃であるのが好ましく、40℃〜650℃であるのが好ましい。また、加熱処理の時間としては、特に制限はないが、通常は10秒〜24時間程度である。
化学処理としては、具体的には、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理、カルボン酸誘導体を用いた化学吸着処理、三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理等が挙げられる。
上記対向電極とは、図1に示すように、光電極4に対向して配置される電極5であり、例えば、金属基板、表面に導電膜を有するガラス基板や樹脂基板等を用いることができる。
金属基板としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン等の金属を用いることができる。樹脂基板としては、光電極4を構成する透明基板1で例示した基板(フィルム)に加えて、不透明あるいは透明性に劣る一般的な樹脂基板も用いることができる。
また、表面に設ける導電膜としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン等の金属;炭素;酸化スズ;アンチモンやフッ素がドープされた酸化スズ;酸化亜鉛;アルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛;スズがドープされた酸化インジウム;等の導電性金属酸化物;等が挙げられる。導電膜の厚さや形成方法は、光電極4を構成する透明導電膜2と同様のものを挙げることができる。
導電性高分子としては、具体的には、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。
基板上に導電性高分子膜を形成させる方法は、通常湿式成膜法として知られているディッピング法やスピンコーティング法等を用いて、高分子分散液から基板上に導電高分子膜を形成することができる。
導電性高分子分散液としては、特開2006−169291号公報で開示したポリアニリン分散液や市販品であるポリチオフェン誘導体水分散液(バイトロンP、バイエル社製)、三菱レイヨン社製(アクアセーブ、ポリアニリン誘導体水溶液)等を用いることができる。
また、基板が上記導電基板である場合、上記手法に加えて電解重合法によっても基板上に導電性高分子膜を形成させることができる。導電性高分子フィルム電極は、電解重合法によって電極上に形成された導電性高分子フィルムを電極から剥離した自立性フィルムまたは導電性高分子分散液から通常湿式成膜法として知られているキャスティング法やスピンコーティング法等を用いて形成された自立性フィルム等を用いることもできる。ここで言う導電性高分子分散液は、導電性高分子微粒子が溶媒中に分散している状態と導電性高分子が溶媒中に溶解している状態とが混在しているものを、便宜上導電性高分子分散液としている。
上記電解質層は、図1に示すように、光電極4および対向電極5の間に設けられる電解質層6であり、本発明の光電変換素子においては、上述した本発明の電解質を用いる。
ここで、光増感色素としては、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ色素であれば特に限定されなく、金属錯体又は有機色素等を用いることができる。
金属錯体としては、具体的には、例えば、ビピリジン構造やターピリジン構造などの配位子が配位したルテニウム錯体色素、鉄錯体色素、オスミウム錯体色素、白金錯体色素、イリジウム錯体色素等を用いることができ、有機色素としては、具体的には、例えば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、インドール系色素、フルオレン系色素、トリフェニルアミン系色素等を用いることができる。
光増感色素を担持させる方法に特に制限はないが、上記色素を、例えば、水、アルコール系溶媒、二トリル系溶媒に溶解させ、色素溶液に酸化物半導体多孔質膜3を浸漬または色素溶液を酸化物半導体多孔質膜3に塗布することにより担持される。
[電解質の調製]
混合容器中で、下記第1表に示すイオン性液体等を下記第1表に示す組成比で、撹拌し、混合することにより電解質を調製した。
具体的には、下記第1表に示す組成比で、下記第1表に示すイオン性液体A1およびイオン性液体A2の混合液に、あらかじめトルエン中に有機化層状粘土鉱物B1を膨潤分散させて得られた分散液を加えて、室温下で3時間撹拌し、静置した後に、トルエンを除去して沈殿物を得た。その後、得られた沈殿物をトルエン洗浄し、乾燥することによりゲル状物質であるイオン性液体/粘土複合体を得た。次に、得られた複合体に、下記第1表に示すヨウ素、N−メチルベンズイミダゾール、および吸湿剤を、下記第1表に示す組成比で添加し、混合した。
透明導電性ガラス(FTOガラス、表面抵抗15Ω/□、日本板硝子社製)上に、酸化チタンペーストTi-Nanoxide D(Solaronix社製)を塗布し、室温下で乾燥させた後、450℃の温度で30分間焼結することにより、透明導電性ガラス上に酸化チタン多孔質膜が形成された光電極を作製した。
作製した光電極を、ルテニウム錯体色素(シス−(ジイソチオシアネート)−N,N′−ビス(2,2′−ビピリジル−4,4′−ジカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体)(Ruthenium 535-bisTBA、Solaronix社製)のブチルアルコール/アセトニトリル溶液(体積比:1/1、濃度3×10-4mol/L)に4時間浸漬させた。
その後、アセトニトリルで洗浄し、暗所において窒素気流下で乾燥することにより光電極の酸化チタン電極に増感色素を担持させたものを光電極として用いた。
光増感色素を担持させた光電極上に調製した上記電解質を塗りつけ、これと、透明導電性ガラス基板(導電面にスズがドープされた酸化インジウム、シート抵抗:8Ω/□、日本板硝子社製)表面にスパッタリング法で厚さ約100nmの白金薄膜を形成させた白金対向電極とを張り合わせた。貼り合せる際、光電極と白金対向電極の間に熱融着フィルムを介在させ、150℃で熱融着させて電極間の封止を行うことにより、色素増感太陽電池を得た。
得られた色素増感太陽電池の光電変換効率および低減率を以下に示す方法により測定し、評価した。その結果を第1表に示す。
図2に示すように、光源としてソーラーシミュレーターを用い、AM1.5の擬似太陽光を100mW/cm2の光強度で光電極側から照射し、電流電圧測定装置(ケースレーインスツルメンツ社製デジタルソースメーター2400)を用いて変換効率を求めた。
光電変換効率を測定した色素増感太陽電池を、40℃、85%RHの条件で1000時間放置し、その後に上記と同様の方法により光電変換効率を測定し、その低減率(加湿後の光電変換効率/加湿前の光電変換効率)を算出した。
この結果、光電変換効率の低減率が0.80以上であれば、耐湿性に優れていると評価できる。
光電変換効率を測定した色素増感太陽電池を、85℃、85%RHの条件で1000時間放置し、その後に上記と同様の方法により光電変換効率を測定し、その低減率(加湿後の光電変換効率/加湿前の光電変換効率)を算出した。
この結果、光電変換効率の低減率が0.80以上であれば、耐湿熱性に優れていると評価できる。
・イオン性液体A1:1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(東京化成社製)
・イオン性液体A2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(Merck社製)
・有機化層状粘土鉱物B1:合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSPN(ルーセンタイトSWN(平均粒径:0.02〜0.05μm、コープケミカル社製)を有機化処理した有機化層状粘土鉱物)、コープケミカル社製)
・吸湿剤C1:合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイトSWN、平均粒径:0.02〜0.05μm、コープケミカル社製)
・吸湿剤C2:膨潤性合成雲母(商品名:ソマシフME−100、平均粒径:5〜7μm、コープケミカル社製)
・吸湿剤C3:活性炭(商品名:YP50F、平均粒子径:6μm、比表面積:1550m2/g、クラレケミカル社製)
・吸湿剤1:塩化カルシウム(関東化学社製)
とりわけ、吸湿剤1を含有する比較例2は、いずれの吸湿剤も含有しない比較例1と比べると、加湿前の光電変換効率が大きく低減することが分かった。
2:透明導電膜
3:酸化物半導体多孔質膜
4:光電極
5:対向電極
6:電解質層
11:透明基板
12:透明導電膜(ITO、FTO)
13:金属酸化物
14:電解質
15:白金薄膜
16:透明導電膜(ITO、FTO)
17:基板
18:対向電極
Claims (7)
- イオン性液体(A)と、有機化層状粘土鉱物(B)と、無機多孔粒子である吸湿剤(C)と、を含有し、
前記吸湿剤(C)と前記有機化層状粘土鉱物(B)との質量比(C/B)が、無機物換算で、0.1/10〜5/10であり、
前記吸湿剤(C)の含有量が、前記イオン性液体(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部である、光電変換素子用電解質。 - 前記吸湿剤(C)の含有量が、0.01〜5質量%である、請求項1に記載の光電変換素子用電解質。
- 前記吸湿剤(C)が、層状粘土鉱物、シリカゲル、アルミナシリカゲル、ゼオライト、セピオライト、アロフェン、パーライト、活性白土、および、活性炭からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の光電変換素子用電解質。
- 前記イオン性液体(A)が、下記式(1)または(2)で表されるカチオンを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子用電解質。
(式(1)中、R1は、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい置換基を有していてもよい。R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただし、窒素原子が二重結合を含む場合、R3は存在しない。式(2)中、Qは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を表し、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただし、Qが酸素原子または硫黄原子の場合、R7は存在しない。) - 前記イオン性液体(A)が、チオシアネートアニオンを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子用電解質。
- 透明導電膜および金属酸化物半導体多孔質膜を有する光電極と、
前記光電極に対向して配置される対向電極と、
前記光電極と前記対向電極との間に配された電解質層と、を有し、
前記電解質層が、請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子用電解質である、光電変換素子。 - 請求項6に記載の光電極に光増感色素を担持させてなる、色素増感太陽電池。
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