JP5604077B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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また、キキョウ全草又は根の60℃での温水抽出物又は全草乾燥粉末には、抗チロシナーゼ活性及び保湿効果があることが知られている(特許文献3)。
なお、キキョウ(Platycodon grandiflorum A.DC.)の根には、トリテルペノイドサポニン(キキョウサポニン)やステロールが含まれていることが知られており、糖類としてイヌリン;サポゲニンとして、polygalacic acid,platycodinin,platycogenic acid A−C,platycogenin;プロサポゲニンとして3-O-β-glucosylplatycodigenin;ステロール類としてα-spinasterol,Δ7 -stigmastenol,α-spinasteryl−β-D-glucoside,betulinが含まれていることが知られている。
しかしながら、アシル化トリテルペノイドサポニン類に、メラニン産生抑制作用やc−kit発現抑制作用があることは知られていない。
1) 次の一般式(I):
ここで、キキョウとは、キキョウ科(Campanulaceae)のPlatycodon grandiflorum A. De Candolle又はその類縁植物を意味する。
また、「活性成分」とは、次の一般式(I)で表わされるアシル化トリテルペノイドサポニン類である。
また、後記実施例に示すように、一般式(I)のアグリコンの3位水酸基の結合糖がグルコース2分子である2''-O- acetylpolygalacin D2及び3''-O- acetylpolygalacin D2は、c−kit発現抑制作用等が弱くなることから、強いc−kit発現抑制作用等を有するため当該結合糖はグルコース1分子であることが必要である。
acetylpolygalacin Dのうち、2''-O- acetylpolygalacin D(上記式(I)中、R1=アセチル基,R2=水素原子,R3=メチル基)及び3''-O- acetylpolygalacin D (上記式(I)中、R1=水素原子,R2=アセチル基,R3=メチル基)が好ましい。
また、acetylplatycodin Dのうち、2''-O- acetylplatycodin D(上記式(I)中、R1=アセチル基,R2=水素原子,R3=ヒドロキシ基)及び3''-O- acetylplatycodin D (R1=水素原子,R2=アセチル基,R3ヒドロキシ基)が好ましい。
なお、上記活性成分として、これら化合物から選ばれる1種又は2種以上のものを使用してもよい。
好ましくは、アルコール類(好ましくは、炭素数1〜4のアルコール類)、アルコール類・水混合液であり、このときのアルコール類の濃度は70〜100容量%(好ましくは80〜99.5容量%)であるのが好ましい。
クロマトグラフィーに用いる固定相としては、例えば、強・弱酸性イオン交換樹脂又は強・弱塩基性イオン交換樹脂;オクタデシル化シリカゲル、オクチル化シリカゲル、ブチル化シリカゲル、トリメチルシリル化シリカゲル等の逆相担体;シリカゲル、フロリジール、アルミナ等の順相担体;スチレン−ジビニルベンゼン系、メタクリル酸エステル系等の芳香族系合成吸着樹脂;修飾デキストラン系、親水性ビニルポリマー系等のゲルろ過クロマトグラフィー用充填剤;活性炭等が挙げられるが、このうち、芳香族合成吸着樹脂、順相樹脂及び逆相樹脂等が好ましい。
具体的には、上記植物抽出物を、芳香族系合成樹脂を用いたクロマトグラフィー、順相担体を用いたクロマトグラフィー、次いで逆相担体を用いたクロマトグラフィーの順に、供することによって、活性画分又は目的とする化合物を得ることができる(例えば図1参照)。なお、活性画分を検出する際の波長としては、一般的にトリテルペノイドサポニン類を検出できる波長(例えば210〜240nm)であれば特に限定されない。
このときの溶出溶媒としては、15〜25mMリン酸2水素カリウム水溶液:アセトニトリル=60〜80:20〜40(容量比)混合液が好ましい。カラム温度としては20〜50℃、より30〜40℃が好ましい。
C5活性画分から得られるC5c活性画分には、3''-O-acetylpolygalacin D又は/及び3''-O-acetylplatycodin Dが活性成分が主として(好ましくは90質量%以上)含まれる。また、C5f活性画分には、2''-O-acetylpolygalacin D及び/又は2''-O-acetylplatycodin Dが主として(好ましくは90質量%以上)含まれる。
また、C7活性画分から得られるC7d活性画分には、3''-O-acetylplatyconic acid Aが主として(好ましくは90質量%以上)含まれ、C8活性画分から得られるC8g活性画分には、2''-O-acetylplatyconic acid Aが主として(好ましくは90質量%以上)含まれる。
従って、本発明の上記アシル化トリテルペノイドサポニン類は、メラニン産生抑制;c−kit発現抑制;美白;c−kit発現に起因する各症状の予防、改善又は治療等の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物(非ヒト動物)用の医薬品、医薬部外品、化粧料、外用剤、食品、機能性食品又は飼料等の有効成分として又はこれら医薬品等の有効成分として配合し得る製剤として使用可能であり、また、これらを、製剤を製造するために使用することができる。
斯かる医薬品製剤では、上述した活性成分を単独で、又この他と、薬学的に許容される担体とを組み合わせて使用してもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、香料、被膜剤等が挙げられる。
このような種々の剤型の外用剤、外用医薬品、医薬部外品又は化粧品は、上述した活性成分を、単独で、又は外用剤、外用医薬品、医薬部外品若しくは皮膚化粧料に配合される、油又は油状物質(油脂類、ロウ類、高級脂肪酸類、精油類、シリコーン油類等)、保湿剤(グリセロール、ソルビトール、ゼラチン、ポリエチレングリコール等)、粉体(チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム等)、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬効成分、香料、樹脂、防菌防黴剤、他の植物抽出物(生薬、漢方薬、ハーブ類)、アルコール類、多価アルコール類、無機酸(重炭酸塩、炭酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等)、有機酸(コハク酸、グルタル酸、フマル酸、グルタミン酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸等)、ビタミン類(ビタミンA類、ビタミンE類、ビタミンB類、ビタミンC、葉酸等)、水溶性高分子、アニオン性界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等)、カチオン性界面活性剤(アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)、両性界面活性剤(アルキル基を有するイミダゾリン系、カルボベタイン系等)等を組み合わせることにより調製することができる。
上述した活性成分を、医薬品等に用いる場合、上記活性成分の投与量は、上記アシル化トリテルペノイドサポニン類換算で、患者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、成人(60kg)1日当たり、通常0.001〜1mg、より0.01〜0.05mgであるのが好ましい。また、上記本発明の製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日当たり1回〜数回に分けて投与することが好ましい。
実施例1:キキョウ抽出物の調製
キキョウ(Platycodon grandifloruin、中国安徽省産)根乾燥物の細断品1.0kgに90vol%(以下、「%」とも云う)エタノール水溶液(容量比:エタノール90:水10)10kgを加え、室温(20〜30℃)下で7日間静置抽出した後ろ過し、90vol%エタノール抽出液(1)を得た。
ろ別された抽出残渣に90%エタノール水溶液10kgを加え、再び室温下で7日間静置抽出した後ろ過し、90%エタノール抽出液(2)を得た。
90%エタノール抽出液(1)および(2)をまとめて減圧下濃縮を行い、90%エタノール抽出物(242.0g)を得た。
〔吸着カラムクロマトグラフィーによる各画分の調製〕
90%エタノール抽出物に10%エタノール水溶液1Lを加え、分散溶解させ、ダイヤイオンHP20(芳香族合成吸着剤:三菱化学製)を充填したカラムに吸着させた後、10、30、50、及び99.5%エタノール水溶液で順次溶出し、各画分を回収し、濃縮した。
これら各画分を50%エタノール水溶液に溶解し、それぞれ各試験の際に最終濃度が1.0w/v%となるように調製した。
その結果を図2及び表1に示す。このうちメラニン産生抑制効果及びc-kit発現抑制効果のあった50%エタノール溶出画分(以下、「50ET画分」と云う)(10.1g)を、活性画分とした。なお、50ET画分中に、アシル化トリテルペノイドサポニン類は、15.8質量%含まれていた。
(1)MEL-300皮膚モデルの培養
メラノサイト入りMEL-300皮膚モデルカップ(倉敷紡績株式会社)に、メラノサイト活性化因子エンドセリン−1(ET-1)及び幹細胞増殖因子(SCF)を培地中終濃度で10×10-7mol/m3になるように添加したEPI-100-NMM113培地を添加し、37℃の条件下で培養した。培養期間中は3日に1度、培地交換を行った。培養1日目より、試料(得られた各画分)をそれぞれ0.1w/v%となるよう添加した。培地交換時には再度同じ試料をそれぞれ0.1w/v%となるよう添加した。
なお、ポジティブコントロールとして、SCF及びET-1を添加して上述のように培養し、試料として50%エタノールを添加したもの、ネガティブコントロールとして、SCF及びET-1を未添加のまま上述のように培養し、試料として50%エタノールを添加したもので培養を行った。
培養開始から14日後、皮膚モデルカップをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で十分洗浄した後、ピンセットで個々の皮膚モデルを剥離してエッペンドルフチューブに移し、PBSで更に3回洗浄した。続いて50%エタノール水溶液で3回洗浄、100%エタノールで2回洗浄した後、室温で1晩乾燥させた。
10cm培養皿に2-3継代目のヒト新生児包皮由来培養メラノサイト(NEHM,Lightly,倉敷紡績株式会社)を2×104/cm2の細胞密度となるよう播種した。培地はMedium254にPMAを除くHMGS(Human Melanocyte Growth Supplement)(いずれもCascade Biologics社)を添加したものを用いた。
72時間の培養後、試料を0.1w/v%となるように添加し、更に10日間培養を行った。培養期間中は3日に1度、培地交換を行った。培地交換時には再度同じ試料をそれぞれ0.1w/v%となるよう添加した。培養10日後にトリプシン処理によって細胞を回収した。
前記(1)で調製した乾燥させた皮膚モデルにSoluene-350(商品名、パーキンエルマージャパン):水=9:1の溶液200μLを加えて100℃で1時間処理した。皮膚モデルが完全に溶解した後、遠心分離により上清を回収し、500nm吸光度を測定し、トータルメラニンを定量した。
なお、トータルメラニン量は、ポジティブコントロールにおけるトータルメラニン量に対する相対値で示している。
96穴と24穴プレートにヒト培養メラノサイトを播種し、セミコンフルエントになるまで培養後、試料(得られた各画分)を所定の最終濃度になるように添加し、さらに4日間培養した。c-kitの発現量は、24穴プレートに125I-SCF(1nM)を加え、室温下にて90分間反応させた後、メラノサイトへの125I-SCF結合量をγ−カウンターで測定することにより求めた。その際125I-SCFに対してその100倍量の未標識SCFを加えることで非特異的結合量とした。50%エタノール濃度で0.1%になるように添加した時の測定値から非特異的結合分の値を差し引いた値を100%とし、これに対する相対値で評価した。
〔順相カラムクロマトグラフィーによる各画分の調製〕
上記50ET画分を、シリカゲル(順相担体)を充填したフラッシュカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム:メタノール=容量比9:1→容量比7:3、次いでクロロホルム:メタノール:水=容量比7::3:1→容量比6:4:1、更にメタノールで順次溶出し、50ET-C(以下、「50ET-C」とする)1画分、C2画分、C3画分、C4画分、C5画分(2.21g)、C6画分、C7画分(1.75g)、及びC8画分(1.32g)を得た。
これら各画分を50%エタノール水溶液に溶解し、c-kit発現抑制試験の際の最終濃度がそれぞれ表2に示すような濃度になるように調製し、上記c-kit発現抑制試験に従って測定を行った。
このうち、強いc-kit抑制作用が認められた50ET-C5画分、50ET-C7画分及び50ET-C8画分を活性画分とした。なお、それぞれの画分中に、アシル化トリテルペノイドサポニン類が含まれていた。
上記50ET-C5画分(280mg)を、ODSカラムを備えた高速液体クロマトグラフィーに供し、20mMリン酸2水素カリウム水溶液:アセトニトリル=70:30(容量比)混合液でアイソクラティック溶出し、図1に示すように50ET-C5a〜C5g画分に取りまとめた。溶出液は減圧濃縮し、アセトニトリルを除去した後、ダイヤイオンHP20を充填したショートカラムに通液し、サポニンを樹脂に吸着させた。樹脂をイオン交換水で洗浄し、溶離液に使用したリン酸2水素カリウムを除去したあと、80%EtOHで溶出、溶媒を減圧濃縮して目的のサポニンを得た。
NMR、MSスペクトル等により、各画分の化合物の同定を行った結果、以下に示す既存の化合物であることが確認された。これらはいずれもビスデスモシド型サポニンであった。
50ET-C5b画分:platycodin D
50ET-C5c画分:3''-O-acetylplatycodin D及び3''-O-acetylpolygalacin D(質量比割合7:3)の混合物
50ET-C5d画分:3''-O-acetylplatycodin D2
50ET-C5e画分:2''-O-acetylplatycodin D2
50ET-C5f画分:2''-O-acetylplatycodin Dおよび2''-O-acetylpolygalacin D(質量比割合7:3)の混合物
その結果、50ET-C5c画分(106.2mg)及び50ET-C5f画分(48.7mg)に強いc-kit抑制効果が認められた。一方、50ET-C5b画分(platycodin D:上記一般式(I)中、R1がヒドロキシメチル基、ラムノース残基の2及び3位が共に水素原子)、50ET-C5d画分及び50ET-C5e画分(2''-or 3''-O-acetylplatycodin D2:アグリコンの3位の水酸基結合糖がグルコース2分子)のc-kit抑制効果が、精製前の50ET-5C画分のときよりも弱くなったことが認められた。このことは、ビスデスモシド型サポニンのラムノース残基の2又は3位に少なくともアセチル基が結合し、かつアグリコンの3位の水酸基結合糖がグルコース1分子であることが、強い活性を有する点で必要であると考えた。
よって、50ET-C5c画分及び50ET-C5f画分を活性画分として得た。
50ET-C8画分(270mg)を、上記ODSカラムを備えた高速液体クロマトグラフィーに供し、20mMリン酸2水素カリウム水溶液:アセトニトリル=70:30(容量比)混合液でアイソクラティック溶出にて分画し、50ET-C8a画分〜50ET-C8g画分の各画分を回収し、濃縮した。
これら画分のうち、50ET-C7d画分又は50ET-C8g画分について、NMRによる構造解析を行った結果、前者は3''-O-acetylplatyconic acid Aであり、後者は2''-O-acetylplatyconic acid Aであると同定した(表3)。これらの化合物はいずれも新規化合物であることを明らかにした(表3)。
同様にNMR解析により、50ET-C8e画分は、Platyconic acid A(上記一般式(I)中、R1がカルボキシル基、ラムノース残基の2及び3位が共に水素原子)であることを確認した。
50ET-C7d画分:3''-O-acetylplatyconic acid A
50ET-C8g画分:2''-O-acetylplatyconic acid A
50ET-C8e画分:platyconic acid A
Claims (4)
- 次の一般式(I):
- 次の一般式(I):
- 次の一般式(I):
- 上記アシル化トリテルペノイドサポニン類を、製剤全質量中、0.0001〜0.1質量%含有する請求項1に記載の皮膚外用剤。
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