JP7070902B2 - 抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤 - Google Patents

抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤 Download PDF

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Description

本発明は、抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤に関する。
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞、並びにこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
しかし、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分の一つであるヒアルロン酸の産生量が減少するとともに、分解や変質が引き起こされる。その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が生じるため、肌は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、ヒアルロン酸等のマトリックス成分の減少・変性等が関与している。したがって、ヒアルロン酸の産生を促進することは、皮膚の老化を予防、治療又は改善する上で重要である。
これらの細胞外マトリックス成分のうち、ヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、細胞間の間隙に充填されることにより細胞を保持する機能を有し、さらに細胞間隙への水分の保持、組織への潤滑性や柔軟性の付与、機械的障害等の外力に対する抵抗等、数多くの機能を有している。ヒアルロン酸の産生を促進することができれば、皮膚の荒れ、しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下及び保湿機能の低下等といった皮膚の老化症状を予防、治療又は改善することができると考えられる。
また、ヒアルロン酸は、皮膚組織の他にも、軟骨、関節液、臍帯、眼硝子体、その他の結合組織に存在する。このうち、関節液に含まれるヒアルロン酸は、関節軟骨の表面を覆い、ヒアルロン酸が有する潤滑機能、軟骨に対する被覆・保護機能等により、関節の円滑な作動に役立っている。一方、慢性関節リウマチ等の関節炎において、関節液におけるヒアルロン酸の濃度が低下していることが知られている。したがって、ヒアルロン酸の産生を促進することで、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎又は骨関節炎等の関節炎を予防又は治療することができると考えられる。さらに、創傷又は熱傷の治癒過程において、肉芽(組織)が形成するが、肉芽中にヒアルロン酸が著しく増加することが知られている。そのため、ヒアルロン酸の産生を促進することで、創傷又は熱傷の治癒を促進することができると考えられる。ヒアルロン酸産生促進作用を有するものとしては、ゴレンシ抽出物(特許文献1参照)等が知られている。
特開2003-55244号公報
本発明は、天然物由来の化合物の中から抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤は、下記式で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
Figure 0007070902000001
本発明によれば、天然物由来の化合物であって、抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を有するものを有効成分とする抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤を提供することができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔抗老化剤、ヒアルロン酸産生促進剤〕
本実施形態に係る抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤は、いずれも、下記式で表される化合物(アピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide))を有効成分として含有する。
Figure 0007070902000002
上記化合物は、ヤグルマギクから単離することができるが、ヤグルマギク以外の植物にも存在する可能性がある。したがって、上記化合物の単離源は、ヤグルマギクに限定されるものではなく、上記化合物を含有するいずれの植物を用いてもよい。
上記化合物は、例えば、ヤグルマギク抽出物に、液-液分配抽出、各種クロマトグラフィー、膜分離等の有機化合物を濃縮するのに有効な精製操作を施した後、ポリビニルアルコール系ポリマー等を固定相として用いた液体クロマトグラフィーにより処理することで得ることができる。
具体的には、まず、ヤグルマギクを水、親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒による抽出処理に付し、ヤグルマギク抽出物を得る。本実施形態における「ヤグルマギク抽出物」には、ヤグルマギクを抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
抽出原料として使用するヤグルマギクの構成部位は、特に限定されるものではなく、例えば、花部、茎部、枝部、葉部、根部等が挙げられる。これらのうち、特に花部を抽出原料として使用することが好ましく、これらを単独で使用してもよいし、併用してもよい。なお、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)は、ヨーロッパ東・南部、コーカサス地方等が原産のキク科ヤグルマギク属に属する多年草であって、これらの地域から容易に入手され得る。
「花」とは、一般に、種子植物の有性生殖にかかわる器官の総体をいい、葉の変形である花葉と茎の変形である花軸とから構成され、花葉には、萼、花弁、雄しべ、心皮等の器官が含まれる。本実施形態において抽出原料として使用する「花部」には、種子植物の有性生殖にかかわる器官の総体の他、その一部、例えば、花葉、花被(萼と花冠)、花冠、花弁等も含まれる。
ヤグルマギク抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、ヤグルマギクの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用するのが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。
したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1~90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1~40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10~90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、少なくとも抽出原料に含まれる上記化合物を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物から上記化合物を単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、抽出物を展開溶媒に溶解し、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、上記化合物を含む画分を回収する方法等が挙げられる。この場合、展開溶媒は使用する固定相に応じて適宜選択すればよいが、例えば、多孔質性合成吸着樹脂であるダイヤイオンHP-20(三菱化学社製)等の多孔性合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーにより抽出物を分離する場合、展開溶媒としては、水、メタノール又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られた上記化合物を含む画分を、有機シリカハイブリッド材料(YMC-Actus Triart C18,YMC社製)等を充填剤として用いた分取カラムクロマトグラフィー、再結晶、液-液向流抽出等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
以上のようにして得られる上記化合物は、ヒアルロン酸産生促進作用を有しているため、その作用を利用して抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤の有効成分として使用することができる。
本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、有効成分である上記化合物が有するヒアルロン酸産生促進作用を通じて、皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態の抗老化剤は、これらの用途以外にもヒアルロン酸産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、上記化合物は、そのヒアルロン酸産生促進作用を利用して、ヒアルロン酸の産生量低下に起因する疾患・症状等の予防、治療又は改善剤(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、骨関節炎等の関節炎の予防、治療又は改善剤;創傷又は熱傷の治癒の促進剤等)の有効成分として用いることもできる。
本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、上記化合物のみからなるものでもよいし、上記化合物を製剤化したものでもよい。
上記化合物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。上記化合物を製剤化した抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤の形態としては、例えば、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、必要に応じて、ヒアルロン酸産生促進作用を有する天然抽出物等を、上記化合物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤の患者に対する投与方法としては、皮下組織内投与、筋肉内投与、静脈内投与、経口投与、経皮投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、優れた抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤等に配合するのに好適である。この場合に、上記化合物をそのまま配合してもよいし、上記化合物から製剤化した抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、後述する皮膚化粧料のほか、経皮的に使用される医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
また、本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、優れた抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
なお、本実施形態に係る抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
〔皮膚化粧料〕
上述した本実施形態に係る抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤は、それらに含まれる上記化合物による抗老化作用及びヒアルロン酸産生促進作用を奏するため、皮膚化粧料に好適に配合され得る。この場合において、当該皮膚化粧料には、上記化合物をそのまま配合してもよいし、上記化合物から製剤化した抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤を配合してもよい。
上記化合物、又は上記抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤を配合し得る皮膚化粧料としては、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション等が挙げられる。
上記化合物、又は上記抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、約0.0001~10質量%であり、特に好適な配合率は約0.001~1質量%である。
本実施形態に係る皮膚化粧料は、上記化合物が有する抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を妨げない限り、通常の化粧料の製造に用いられる主剤、助剤またはその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
上記化合物、又は上記抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤は、皮膚化粧料に配合されることにより、抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を化粧料に付与することができる。
本実施形態に係る皮膚化粧料は、上記化合物が有する抗老化作用又はヒアルロン酸産生促進作用を通じて、ヒアルロン酸の産生量低下に起因する疾患・症状等の予防又は改善(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、化膿性関節炎、痛風性関節炎、外傷性関節炎、骨関節炎等の関節炎の予防又は改善;創傷又は熱傷の治癒の促進等)の用途に用いられ得る。
〔飲食品〕
本実施形態に係る飲食品は、上記化合物が配合されるものである。本実施形態に係る飲食品には、上記化合物がそのまま配合されてもよいし、上記化合物から製剤化した抗老化剤又はヒアルロン酸産生促進剤が配合されてもよい。
ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態に係る「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する組成物を幅広く含むものである。本実施形態に係る飲食品は、当該飲食品又はその包装に上記化合物が有する好ましい作用(抗老化作用、ヒアルロン酸産生促進作用)が表示されるものであってもよいし、当該飲食品は、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、医薬部外品又は医薬品であってもよい。
上記化合物、又は上記化合物から製剤化した抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象飲食品が顆粒状、錠剤状又はカプセル状の形態である場合、上記化合物、又は上記化合物から製剤化した抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤の添加量は、添加対象飲食品に対して通常0.1~100質量%であり、好ましくは5~100質量%である。
本実施形態に係る飲食品は、上記化合物の活性を妨げないような任意の飲食品に、上記化合物、又は上記化合物から製剤化した抗老化剤若しくはヒアルロン酸産生促進剤を配合したものであってもよいし、上記化合物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態に係る飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品とすることができる。
上記化合物を配合可能な飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等が挙げられる。これらの飲食品に上記化合物を配合するときには、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
以下、試験例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕アピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)の製造
ヤグルマギクの花部500gを50容量%エタノール5000mLに投入して1時間加熱還流抽出し、減圧下にて溶媒を留去することで、ヤグルマギク抽出物108.16g(収率:21.6%)を得た。
得られたヤグルマギク抽出物50gに、500mLの精製水を加えることで懸濁させ、多孔性樹脂(Diaion HP-20)750gに付し、水4000mL、30容量%メタノール4000mL、メタノール4000mL、アセトン4000mLで順次溶出させた。次いで、30容量%メタノール4000mLで溶出させた画分に含まれる30容量%メタノールを留去して、30容量%メタノール溶出画分3.7gを得た。
得られた30容量%メタノール溶出画分3.7gを、メタノール:水=15:85(容量比)の混合溶媒に溶解させ、固定相として有機シリカハイブリッド材料(YMC-Actus Triart C18,YMC社製)、移動相としてメタノール:水=15:85(容量比)を用いた分取高速液体クロマトグラフィーにより、アピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)0.35gを単離した。
単離したアピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)について1H-NMR及び13C-NMR分析を行った。結果を以下に示す。
<1H-NMRケミカルシフトδ(帰属水素):>
5.26(1H, d, J=7.2Hz, GlcA-1-H), 6.45(1H, d, J=2.0Hz, 6-H), 6.86(1H, d, J=2.0Hz, H-8), 6.92(1H, s, 3-H), 7.19(2H, d, J=8.8Hz, H-3', 5'), 8.03(2H, d, J=8.8Hz, H-2', 6')
<13C-NMRケミカルシフトδ(帰属水素):>
60.9(Glc-3-C), 69.9(Glc-4-C), 71.5(GlcA-4-C), 73.0(GlcA-2-C), 73,4(Glc-2-C), 75.7(GlcA-5-C), 75.9(GlcA-3-C), 76.8(Glc-3-C), 77.5(Glc-5-C), 95.0(C-8), 99.5(GlcA-1-C), 99.8(C-6), 100.2(Glc-1-C), 104.5(C-3), 106.0(C-10), 116.9(C-3', 5'), 124.2(C-1'), 128.6(C-2', 6'), 157.4(C-9), 160.8(C-4'), 161.4(C-5), 162.9(C-7), 164.0(C-2), 164.0(C-2), 170.4(GlcA-6-C), 182.4(C-4)
以上の結果から、ヤグルマギクから単離された化合物が、下記式で表されるアピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)であることが確認された。
Figure 0007070902000003
〔試験例1〕ヒアルロン酸産生促進作用試験
上記化合物(アピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide))を被験試料として用いて、以下のようにしてヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10質量%FBS含有ダルベッコMEM(minimum essential medium)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×105cells/mLの細胞密度になるように10質量%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96wellプレートに1wellあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、0.25質量%FBS含有ダルベッコMEMに溶解した被験試料を各wellに100μL添加し、3日間培養した。培養後、各wellの培地中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸結合タンパク(HABP)を用いたサンドイッチ法により測定した。
測定結果から、下記式によりヒアルロン酸産生促進率(%)を求めた。
ヒアルロン酸産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加時のヒアルロン酸量」を表し、Bは「被験試料無添加時のヒアルロン酸量」を表す。
結果を表1に示す。
Figure 0007070902000004
表1に示すように、アピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)は優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。
本実施形態に係る抗老化剤及びヒアルロン酸産生促進剤は、シワ、くすみ等の皮膚の老化の予防・改善に大きく貢献することができる。

Claims (2)

  1. 下記式にて示される構造を有するアピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
    Figure 0007070902000005
  2. 下記式にて示される構造を有するアピゲニン4’-O-β-D-グルコシド7-O-β-D-グルクロニド(apigenin 4’-O-β-D-glucoside 7-O-β-D-glucuronide)を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
    Figure 0007070902000006
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JP2011213699A (ja) 2010-04-02 2011-10-27 Kinki Univ デイジー花部から得られるコラーゲン産生促進作用を有する皮膚外用剤

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