JP4672303B2 - 線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品 - Google Patents

線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品 Download PDF

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Description

本発明は、線維芽細胞増殖促進作用を有する線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品に関する。
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、線維芽細胞の増殖が活発で、皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、線維芽細胞の増殖能が低下し、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少するとともに架橋による弾力性低下を引き起こす。その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が始まるため、肌は張りや艶を失い、肌荒れ、シワ形成等の皮膚の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、すなわち、シワ形成、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、線維芽細胞の増殖能の低下が深く関与していると考えられる。
このような考えに基づき、線維芽細胞の増殖を促進し、皮膚の老化を防止又は改善でき、安全性の高い天然物系の線維芽細胞増殖促進剤について種々の提案がなされている。例えば、五斂子の葉部からの抽出物(特許文献1参照)、ハス胚芽抽出物(特許文献2参照)、有色素米又は有色素米の糠からの抽出物(特許文献3参照)、月桃の葉及び/又は茎からの抽出物(特許文献4)等が提案されている。
特開2002−226323号公報 特開2002−29980号公報 特開2002−3393号公報 特開2002−3390号公報
しかしながら、上記抽出物において線維芽細胞の増殖を促進する具体的な化合物は未だ特定されておらず、更なる高い線維芽細胞の増殖促進作用を有する天然系の線維芽細胞増殖促進剤が強く望まれているのが現状である。
そこで、本発明は、安全性の高い天然物の中から、線維芽細胞増殖促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とする線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、安全な数多くの植物類の中から、線維芽細胞増殖促進作用を有するものについて鋭意研究を重ねた結果、布渣葉からの抽出物、特にその抽出物中に含まれるケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドが高い線維芽細胞増殖促進作用を有すること、そして、それらを有効成分とすることにより、皮膚の老化の予防又は改善に有効な線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、第1に、本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、布渣葉からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
また、本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、ケンフェロール−3−O−ルチノシドを有効成分として含有することを特徴とする。
さらに、本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを有効成分として含有することを特徴とする。
第2に、本発明の皮膚化粧料は、ケンフェロール−3−O−ルチノシドを配合したことを特徴とする。
また、本発明の皮膚化粧料は、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合したことを特徴とする。
第3に、本発明の美容用飲食品は、ケンフェロール−3−O−ルチノシドを配合したことを特徴とする。
また、本発明の美容用飲食品は、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合したことを特徴とする。
なお、本発明の皮膚化粧料又は美容用飲食品においては、ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをそれぞれ単独で配合してもよいし、ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをともに配合してもよい。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを含有することにより、安全性が高く、優れた線維芽細胞増殖促進作用を発揮することができる。
また、本発明の皮膚化粧料は、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合することにより、皮膚に使用した場合に使用感がよく、優れた線維芽細胞増殖促進作用を発揮することができる。さらに、本発明の美容用飲食品は、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合することにより、優れた線維芽細胞増殖促進作用を発揮し、皮膚の老化症状を効果的に予防又は改善することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
〔線維芽細胞増殖促進剤〕
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、第1の態様として、布渣葉からの抽出物を有効成分として含有する。
本発明において、「布渣葉からの抽出物」には、布渣葉を抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
抽出原料として用いる植物は、布渣葉である。布渣葉とは、シナノキ科に属する落葉高木である破布樹(学名:Microcos paniculata L.)の葉部のことをいい、破布樹は、インド東部から東南アジア、中国南部に分布し、果核は食用として用いられている。中国では、布渣葉は薬用として、風邪、消化不良、黄疸等の予防又は治療に用いられているが、線維芽細胞増殖促進作用を有することはこれまで知られていなかった。
線維芽細胞増殖促進作用を有する布渣葉からの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって得ることができる。例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま、又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、布渣葉は、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、布渣葉の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いるのが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。
水と親水性有機溶媒との混合液を抽出溶媒として使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
本発明において、抽出原料である布渣葉から線維芽細胞増殖促進作用を有する物質を抽出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分から2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)であり、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。このようにして得られた布渣葉からの抽出液はそのままでも線維芽細胞増殖促進剤として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が利用しやすい。
次に、本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、第2の態様として、下記式(1)により表されるケンフェロール−3−O−ルチノシド(kaempferol-3-O-rutinoside)又は下記式(2)により表されるアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシド(apigenin-6-C-β-D-glucopyranoside)を有効成分として含有する。
Figure 0004672303

(ただし、式中Meはメチル基を表す。)
Figure 0004672303
上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、布渣葉からの抽出物から単離・精製することにより製造することもできるし、合成により製造することもできる。なお、合成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により合成することができる。本発明の線維芽細胞増殖促進剤に含有される有効成分としてのケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、布渣葉からの抽出物から得られた単離・精製物であってもよいし、合成物であってもよい。
上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを布渣葉からの抽出物から単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、乾燥した布渣葉をエタノール等の抽出溶媒に浸漬して得られた抽出液を濃縮し、多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、水、アルコール(メタノール等)の順で溶出させ、アルコール(メタノール等)で溶出される分画として得ることができる。当該分画物を、さらにODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィーや再結晶等により精製してもよい。
次に、上記分画物又は精製物(粗精製物も含む。)を、例えば、液体クロマトグラフィー等を用いて分離・精製することにより、ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを得ることができる。
以上のようにして得られる布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、線維芽細胞増殖促進作用を有しているため、その作用を利用して線維芽細胞増殖促進剤として使用することができる。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、上記布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドのみからなるものであってもよいし、上記布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドから製剤化したものであってもよい。
布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、果粒状、錠剤状等、任意の剤形に製剤化することができ、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、軟膏剤、外用液剤、貼付剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤等として使用することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤は、布渣葉からの抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドが有する線維芽細胞増殖促進作用を通じて、皮膚における線維芽細胞の増殖を促進することができる。この結果、コラーゲンの産生量が増加し、肌荒れ、皮膚のシワ、くすみ等の老化症状を予防又は改善することができる。ただし、本発明の線維芽細胞増殖促進剤はこれらの用途以外にも、線維芽細胞増殖促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
〔皮膚化粧料〕
上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。この場合、ケンフェロール3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをそのまま配合してもよいし、ケンフェロール3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドから製剤化した線維芽細胞増殖促進剤を配合してもよい。
ケンフェロール−3−O−ルチノシド、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合し得る皮膚化粧料は特に限定されないが、その具体例として、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤等、任意の形態が可能である。
本発明の皮膚化粧料におけるケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドの配合量は、皮膚化粧料の種類等により適宜調整することができるが、好適な配合率は、約0.0001〜10質量%である。
本発明の皮膚化粧料は、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドが有する線維芽細胞増殖促進作用を妨げない限り、皮膚化粧料の製造に通常用いられる各種主剤又は助剤、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤等を併用することができる。このように併用することにより、より一般性のある製品となり、また、それにより、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
〔美容用飲食品〕
上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド、アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、線維芽細胞増殖促進作用を有しており、消化管で消化されるようなものではないことが確認されており、安全性にも優れているため、美容用飲食品に配合するのに好適である。この場合に、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをそのまま配合してもよいし、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドから製剤化した線維芽細胞増殖促進剤を配合してもよい。
ここで、「美容用飲食品」とは、美肌を図ることを目的とした飲食物、又は肌荒れ、皮膚の老化及びこれらに伴って生じる各種皮膚疾患を予防・改善することを目的とした飲食物を意味する。
上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド若しくはアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシド、又はそれらから製剤化した線維芽細胞増殖促進剤を美容用飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりのケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドの摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。
本発明の美容用飲食品は、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本発明の美容用飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合し得る美容用飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの飲食品に上記ケンフェロール−3−O−ルチノシド又はアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドを配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
以上説明した本発明の線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例及び配合例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕布渣葉抽出物の製造
布渣葉を粉砕し、得られた粉砕物を抽出原料とした。この抽出原料204gに50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)1000mLを加え、80℃に保温しながら穏やかに2時間攪拌した後、濾紙を用いて濾過し、布渣葉からの抽出液を得た。残渣に再び50質量%エタノール1000mLを加え、同様の操作を行い、抽出液を得た。この両抽出液を合わせて40℃で減圧濃縮した後、減圧乾燥機で乾燥させて布渣葉抽出物を得た。得られた布渣葉抽出物の収率は24.0質量%であった。
〔製造例2〕ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドの製造
製造例1で得られた布渣葉抽出物40.0gを多孔性樹脂(三菱化学社製,ダイヤイオンHP−20)に付し、水5L、40質量%メタノール(水とメタノールとの質量比3:2)5L、80質量%メタノール(水とメタノールとの質量比1:4)5L、メタノール5Lの順で溶出させ、80質量%メタノールによる分画物13.9gを得た。
80質量%メタノールによる分画物13.2gを水/メタノール=1:1(容量比)の混合溶液に溶解し、ODSカラム(商品名:クロマトレックスODS,富士シリシア化学社製)を用いたカラムクロマトグラフィーにより、水/メタノール=1:1(容量比)の混合溶液で展開溶出させ、その溶出液を集めた。
当該溶出液から脱溶媒した後、得られた濃縮物をメタノール3mLに溶解し、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーを用いて分離・精製を行い、ケンフェロール−3−O−ルチノシド62mg及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシド122mgを得た。
<高速液体クロマトグラフィー条件>
製品名:リサイクル分取高速液体クロマトグラフィー(日本分析工業社製)
固定相:JAIGEL GS−310(日本分析工業社製)
カラム径:20mm
カラム長:500mm(長さ250mmのカラムを2本連結)
移動相:メタノール
移動相流速:5mL/分
検出器:RI
上記のようにして単離したケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドについて、H−NMR分析及び13C−NMR分析をした。以下に、分析結果を示す。
<ケンフェロール−3−O−ルチノシド
H−NMRケミカルシフト:δ(ppm),溶媒:重DMSO]
7.97,6.86,6.40,6.19,5.30,5.05,4.37,3.67,3.41,3.25,3.16,3.07,0.97
13C−NMRケミカルシフト:δ(ppm),溶媒:重DMSO]
177.2,164.1,161.0,159.7,156.6,156.3,133.1,130.7,120.8,115.0,103.8,101.3,100.7,98.7,93.7,76.3,75.7,74.1,71.8,70.6,70.3,69.9,68.2,66.8,17.7
<アピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシド>
H−NMRケミカルシフト:δ(ppm),溶媒:重DMSO]
7.91,6.92,6.76,6.50,4.82,4.69,4.04,3.68,3.15
13C−NMRケミカルシフト:δ(ppm),溶媒:重DMSO]
181.9,163.5,163.4,161.2,160.7,156.2,128.5,121.2,116.1,109.0,103.5,102.9,93.8,81.6,79.1,73.2,70.7,70.4,61.6
以上の結果から、高速液体クロマトグラフィーにより単離されたものが、ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドであることが確認された。
〔試験例1〕線維芽細胞増殖促進作用試験
製造例1及び2で得られた試料について、MTT法(J.Immunol.Method,1986年,No.93,p.157)に準拠して、以下のようにして線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
まず、25cmの培養フラスコに入れた10%FBS含有α−MEM培地(GIBCO社製,pH7.2)に、ヒト正常新生児皮膚線維芽細胞(NB1RGB)1×10個を播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下で4日間培養した。次いでトリプシン処理し、遠心分離して細胞を集めた。
沈殿として得られた細胞を5%FBS含有α−MEM培地(GIBCO社製,pH7.2)に懸濁し、96ウェルプレートの1穴につき7×10個ずつ分注した。24時間培養した後、製造例1で得られた布渣葉抽出物、製造例2で得られたケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドをそれぞれ各種濃度(100μg/mL,200μg/mL,400μg/mL)で溶解した5%FBS含有α−MEM培地を、1穴につき100μLずつ加え、37℃、5%CO−95%airの条件下で3日間培養した。
培養後、培地を1穴につき100μLずつ除去し、MTT試薬(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H tetrazolium bromide,5mg/mL PBS(−)溶液)20μLを添加し、4.5時間インキュベーションした(増殖した細胞中のミトコンドリア由来の活性酸素がMTT試薬と反応し、黄色であった試薬の色が570nmに吸収のピークを有する青黄色に変わる)。
その後、各穴に10質量%ドデシル硫酸ナトリウムを溶解した0.02mol/Lの硫酸溶液を100μLずつ分注し、18時間インキュベーションした。インキュベーション終了後、マイクロプレートリーダーを用いて570nmにおける吸光度を測定した。それとは別に、試料だけでもブランクをとり、同様の操作を行い吸光度の測定を行った。
また、各吸光度測定値は、同時に測定した650nmの吸光度を差し引いて、増殖した細胞による濁度の影響を補正した。補正後の各吸光度から下記の式により線維芽細胞増殖促進率を算出した。
線維芽細胞増殖促進率(%)={(A−C)−(B−D)}/(B−D)×100
ただし、上記式において、Aは「試料添加時の吸光度」を、Bは「試料無添加時の吸光度」を、Cは「試料添加・細胞無添加時の吸光度」を、Dは「試料無添加・細胞無添加時の吸光度」を示す。
上記試験の結果を表1に示す。
Figure 0004672303
表1に示すように、布渣葉抽出物、ケンフェロール−3−O−ルチノシド及びアピゲニン−6−C−β−D−グルコピラノシドは、優れた線維芽細胞増殖作用を有することが確認できた。
本発明の線維芽細胞増殖促進剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品は、線維芽細胞の増殖能の低下に伴う皮膚の老化症状の予防又は改善に有用である。

Claims (2)

  1. ケンフェロール−3−O−ルチノシドを有効成分として含有することを特徴とする線維芽細胞増殖促進剤(炎症性の肌荒れ改善の用途を除く)
  2. ケンフェロール−3−O−ルチノシドを配合したことを特徴とする老化症状の予防・改善用皮膚化粧料。
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