JP5602362B2 - 歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法に関するものである。
従来より、シリカを主成分とする金属酸化物粒子の製造方法として、ゾルゲル法を利用して作製した材料を機械的に粉砕する方法が知られている。このような方法としては、ゾルゲル法により作製して得られたゲルを焼成後に粉砕する方法(例えば、特許文献1参照)が一般的に広く用いられているが、ゲルを粉砕した後に焼成する方法(例えば、特許文献2、3参照)も知られている。後者の方法では、ゾルの粉砕には、ボールミルやジェットミルが用いられている。
一方、固体原料を粉砕する装置としては、固体原料をメディアと共にアジテータにより攪拌して粉砕する粉砕機が知られている。このような粉砕機では、粉砕能力以外にも粉砕効率が高いことが望まれており、粉砕効率の改善を狙った装置も提案されている(特許文献4参照)。
特開平11−302011号公報 特開平3−197311号公報 特開平2−132102号公報 特開2005−270780号公報
一方、シリカを主成分とする金属酸化物粒子は、その主成分がシリカであるため硬度が高い。このため、従来のゾルゲル法を利用して作製した材料を粉砕する工程を経て金属酸化物粒子を作製する方法では、粉砕性が悪く、結果として生産性の更なる向上が望まれていた。
特に、こうした金属酸化物粒子の重要な用途の一つに、歯科用修復材や歯科用接着剤などの歯科用組成物用のフィラーが挙げられる。このようなフィラーに用いられる金属酸化物粒子は、歯牙に設けられた窩洞への充填性の高さや、充填後の強度の高さが要求されるため、その体積平均粒径は2μm〜4μm、より好ましくは2μm〜3.7μmの範囲が要求されている。これに対して、斯様な微小粒子になると、その粉砕性は極度に悪化し、効率的な生産が困難であった。詳述すると、ボールミルなどの通常の機械的粉砕方法では、一般的に粉砕限界粒径が3μm前後と言われている(例えば、http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/nouyaku/0009.html、http://www.nittofunka.co.jp/HP/Dic/903.html、http://www.nises.affrc.go.jp/pub/library/se1110.htm等を参照)。このため、機械的粉砕のみによって上記体積平均粒径が2μm〜4μm程度の金属酸化物粒子を得ようとする場合、目標粒径が粉砕限界粒径に近づけば近づく程、長時間の粉砕処理や、幾度も分級処理を繰り返すことが必要となり、粉砕効率が極めて悪かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ゾルゲル法を利用して作製され且つ粉砕限界粒径前後の粒径を有する歯科用組成物用の金属酸化物粒子を効率的に製造することができる歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明の歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法は、ゾルゲル法により作製され、金属酸化物成分として少なくとも50モル%〜95モル%のSiOおよび5モル%〜50モル%のその他の金属酸化物を含み、かつ含有される全金属酸化物成分の割合が60質量%〜75質量%であるゲル状有機金属酸化物を、上部が開口する縦型筒状を成すとともに、底部に流動ガスの吹き出し口が設けられ、室内にメディアが供給された粉砕室と、該粉砕室内に回転可能に設けられるアジテーターとからなる粉砕部と、前記粉砕室の上部開口部に接続される分級室と、該分級室の内部に回転可能に設けられる分級ローターと、前記分級室内外を貫通して前記分級ローターに近接する製品回収管とからなる分級部と、を少なくとも備えた粉砕機の、前記粉砕室に供給して、体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲内の粒子となるように粉砕と分級とを連続的に実施する粉砕・分級工程と、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子を焼成する焼成工程と、を少なくとも経て、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子よりも体積平均粒径の小さい歯科用組成物用の金属酸化物粒子を作製することを特徴とする。
本発明の歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法の一実施態様は、前記粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子中に含まれる全金属酸化物成分の割合が50質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法の他の実施態様は、前記粉砕・分級工程後で、前記焼成工程前に、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子から、当該粒子の粒度分布における微小粒径成分を選択的に除去する微小粒径成分除去工程を実施することが好ましい。
本発明によれば、ゾルゲル法を利用して作製され且つ粉砕限界粒径前後の粒径を有する歯科用組成物用の金属酸化物粒子を効率的に製造することができる歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
本実施形態の歯科用組成物用の金属酸化物粒子(以下、単に「金属酸化物粒子」と略す場合がある)の製造方法は、ゾルゲル法により作製され、金属酸化物成分として少なくとも50モル%〜95モル%のSiOおよび5モル%〜50モル%のその他の金属酸化物を含み、かつ含有される全金属酸化物成分の割合が60質量%〜75質量%であるゲル状有機金属酸化物を、上部が開口する縦型筒状を成すとともに、底部に流動ガスの吹き出し口が設けられ、室内にメディアが供給された粉砕室と、該粉砕室内に回転可能に設けられるアジテーターとからなる粉砕部と、前記粉砕室の上部開口部に接続される分級室と、該分級室の内部に回転可能に設けられる分級ローターと、前記分級室内外を貫通して前記分級ローターに近接する製品回収管とからなる分級部と、を少なくとも備えた粉砕機の、前記粉砕室に供給して、体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲内の粒子となるように粉砕と分級とを連続的に実施する粉砕・分級工程と、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子を焼成する焼成工程と、を少なくとも経て、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子よりも体積平均粒径の小さい金属酸化物粒子を作製することを特徴とする。
ここで粉砕・分級工程で利用される粉砕機は、粉砕室の上部開口部に接続された分級室を有し、この分級室の内部に回転可能に設けられる分級ローターが設けられ、さらに分級室内外を貫通して前記分級ローターに近接する製品回収管が設けられている。この為、粉砕室で粉砕されたゲル状有機金属酸化物の粒子(以下、「ゲル粒子」と称す場合がある)が、直ぐに分級され、所望の粒径成分(体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲内の粒子)のみが回収される。また、粉砕後に連続的に分級し、回収を行うため、粉砕機中で一旦粉砕された微粉が再度凝集するのを抑制できる。従って、微粉の凝集物を再度粉砕する手間を省くことができ、この点で、ボールミル等の通常の粉砕機に比較して高い粉砕効率を得ることができる。また、ジェットミルに対してもより速い粉砕速度で、粒径制御等に優れた状態で粉砕を行うことができる。さらに、粉砕対象物が、ゲル状有機金属酸化物を焼成した硬度の高い材料ではなく、硬度の低いゲル状有機金属酸化物であるため、粉砕に必要な単位エネルギー量当たりの粉砕効率も高い。
また、粉砕・分級工程後に実施される焼成工程では、粉砕・分級処理された体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲内のゲル粒子を焼成する。この焼成工程では、ゲル粒子中の有機成分を、熱分解により除去し、焼結反応によりゲル粒子中の空隙を減少させることでゲル粒子を収縮させる。これにより、粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子よりも体積平均粒径が小さく、粉砕限界粒径前後の粒径を有する金属酸化物粒子を得ることができる。また、この金属酸化物粒子の体積平均粒径は、焼成工程前のゲル粒子の体積平均粒径の他に、ゲル粒子中に含まれる全金属酸化物成分の含有割合(実質的には、粉砕・分級処理前のゲル状有機金属酸化物中に含まれる全金属酸化物成分の含有割合に相当)、焼成条件等を適宜選択することで容易に2μm〜4μm、さらには2μm〜3.7μmの範囲内に調整することができる。
一方、上述したように、ボールミルなどの通常の機械的粉砕方法では、一般的に粉砕限界粒径が3μm前後と言われている。このため、機械的粉砕のみによって粉砕限界粒径前後の粒径を有する金属酸化物粒子を得ようとする場合、目標粒径が粉砕限界粒径に近づけば近づく程、粉砕効率が極めて悪くなり、粉砕機として、たとえ前記本発明で使用する粉砕効率の改善が図られた装置を用いたとしても、ゾルゲル法により作製して得られたゲルを焼成して得た硬質な金属酸化物を粉砕したのでは、このような微小粒子を効率的に得ることはできない。
これに対して、本実施形態では、機械的粉砕により粉砕限界粒径よりも粒径が十分に大きい体積平均粒径である4μm〜8μmの範囲内のゲル粒子を準備した後、このゲル粒子を焼成により収縮させて、最終的に得られる金属酸化物粒子の体積平均粒径を小さく制御している。すなわち、本実施形態では、機械的粉砕後に焼成による収縮を利用して粉砕限界粒径前後の粒径を有する粒子を製造する。このため、上記粉砕限界粒径前後の粒径を有する粒子を製造する場合であっても、機械的粉砕のみを利用して金属酸化物粒子を製造する場合と比べて製造効率が高い。
以上に説明したように、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法を利用すれば、ゾルゲル法を利用して作製され且つ粉砕限界粒径前後の粒径を有する金属酸化物粒子を効率的に製造することができる。次に、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法の各工程や、各工程で用いられる材料、装置などについてより詳細に説明する。
−ゲル状有機金属酸化物−
本実施形態で用いられるゲル状有機金属酸化物は、ゾルゲル法により作製され、金属酸化物成分として少なくとも50モル%〜95モル%のSiOおよび5モル%〜50モル%のその他の金属酸化物を含むものである。
SiOの全金属酸化物成分中の配合割合は、50モル%〜95モル%の範囲内であることが必要であるが、70モル%〜95モル%の範囲内であることが好ましく、80モル%〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。また、その他の金属酸化物の全金属酸化物成分中の配合割合は、5モル%〜50モル%の範囲内であることが必要であるが、5モル%〜30モル%の範囲内であることが好ましく、10モル%〜20モル%の範囲内であることがより好ましい。SiOの配合割合が50モル%未満の場合(その他の金属酸化物の配合割合が50モル%を超える場合)、得られる金属酸化物粒子の強度が不十分となる。このため、機械的強度が要求される用途での利用が困難となる。また、SiOの配合割合が95%を超える場合(その他の金属酸化物の配合割合が5モル%未満の場合)、その他の金属酸化物成分の配合量が制限されるため、得られる金属酸化物粒子の諸特性・諸物性が、シリカ粒子と殆ど差異が無くなる。言い換えれば、金属酸化物粒子の諸特性・諸物性を意図的に制御することが困難となる。
なお、その他の金属酸化物としては、公知の金属酸化物であれば特に限定されず、例えば、Li、Na、K等のIA族元素、Ca、Sr、Ba等のIIA族元素、Y、La等のIIIA族元素、Ti、Zr、Hf等のIVA族元素、B、Al等のIIIB族元素等の金属元素又は半金属元素の酸化物を金属酸化物粒子の用途に応じて適宜選択できる。しかしながら、その他の金属酸化物としては、金属酸化物粒子を歯科用修復材や歯科用接着剤などの歯科用組成物用の原料として利用する場合は、その特性や安全性の観点からBaO、SrO、TiO、ZrO、NaO、KO、Alなどを用いることが好ましい。BaO、SrO、TiO、ZrOを用いた場合、歯科用組成物に用いるのに重要な特性である屈折率を、歯科用組成物を構成するもう一つの主成分である重合性単量体とほぼ同等とすることができる。金属酸化物と重合性単量体の屈折率がほぼ同等であることで、作製した歯科用組成物に適度な半透明性を付与できるため、好ましい。また、BaO、SrO、ZrOを用いた場合、歯科用組成物として重要な特性であるX線造像性を金属酸化物粒子に付与することができる。この場合、BaO、SrO、ZrOは5モル%〜30モル%の範囲内が好ましく、10モル%〜20モル%の範囲内がより好ましい。BaO、SrO、ZrOを5モル%以上とすることで、X線造像性を付与することが出来る。また、BaO、SrO、ZrOを30モル%を以下とすることで、屈折率を重合性単量体に近似させることができ、歯科用組成物に必要な半透明性を付与することができる。一方、歯科用組成物として利用される金属酸化物粒子は、その表面に強酸点が存在すると、歯科用組成物用の重合促進剤として用いられることが多いアミン化合物を吸着してしまい、アミン化合物の重合促進剤としての機能を減殺してしまったり、歯科用組成物の保存安定性を低下させることがある。しかし、NaOやKOを用いることで、このような吸着や保存安定性の低下を抑制する金属酸化物粒子を得ることができる。このため、前記その他の金属酸化物の一部としてはNaOやKOを配合させるのが好ましい。この場合、NaO及びKOの総量は、0.01モル%〜10モル%の範囲内が好ましく、0.1モル%〜4モル%の範囲内がより好ましい。NaO及びKOの総量が0.01モル%未満の場合には、重合促進剤としてアミン化合物を用いた歯科用組成物に、金属酸化物粒子も併用すると、アミン化合物の重合促進効果を減殺してしまう場合がある。また、NaO及びKOの総量が10モル%を超えると金属酸化物粒子の強度が低下したり、金属酸化物粒子からこれらの成分が溶出することがあり金属酸化物粒子を歯科用組成物用として用いる場合にも実用に耐え無くなる場合がある。また、この他に、歯牙材料との色調を合わせるなどの目的でTiOなども必要に応じて併用することができる。なお、SiO−ZrO系の金属酸化物は、融点が非常に高いことや分相が生じやすいため、溶融法で作製するのは困難であるが、低温プロセスであるゾルゲル法を利用すれば均質かつ高品質なものを容易に作製できる点でも有利である。
ゲル状有機金属酸化物は、金酸化物成分を構成する金属を含む有機金属材料や、有機溶媒を用いて公知のゾルゲル法を利用して得られたゾルを縮合反応させた後乾燥処理することで得ることができる。ゲル状有機金属酸化物の作製に用いることができる原料としては、例えば、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランやテトラブトキシジルコネート、テトライソプロポキシチタン、ナトリウムメチラート、カリウムメチラートなどの金属アルコキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン等の芳香族類などの溶媒、その他に触媒として塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などの酸類などを適宜利用することができる。そして、これら原料を用いて作製された湿潤ゲルを、60℃〜200℃で乾燥処理することでゲル状有機金属酸化物を得ることができる。なお、作製する金属酸化物粒子の体積平均粒径を、歯科用組成物用のフィラーとして利用する場合にも有用な2〜4μmの範囲内に制御するためには、上記乾燥処理を調整することにより、ゲル状有機金属酸化物中に含まれる全金属酸化物成分(すなわち、ゲル状有機金属酸化物を焼成した後に金属酸化物粒子として残る部分)の割合を、60質量%〜75質量%の範囲内とする。ゲル状有機金属酸化物中に含まれる全金属酸化物成分の割合が、上記範囲を外れる場合、すなわち、金属酸化物成分の割合が低い場合にはゲル状有機金属酸化物が乾燥不十分で柔らかすぎ、逆に金属酸化物成分の割合が高すぎるとゲル状有機金属酸化物が乾燥し過ぎることで静電気力による凝集が起こりやすくなることから粉砕が困難となり、焼成工程において、得られる金属酸化物粒子の体積平均粒径を上記2μm〜4μmの範囲内に収まるように調整し難くなる。
−粉砕・分級工程及び粉砕機−
上述のゲル状有機金属酸化物は、粉砕機の粉砕室に投入され、粉砕および分級処理される。この粉砕機は、上部が開口する縦型筒状を成すとともに、底部に流動ガスの吹き出し口が設けられる粉砕室と、該粉砕室内に回転可能に設けられるアジテーターとからなる粉砕部と、前記粉砕室の上部開口部に接続される分級室と、該分級室の内部に回転可能に設けられる分級ローターと、前記分級室内外を貫通して前記分級ローターに近接する製品回収管とからなる分級部と、を少なくとも備えたものである。この粉砕機では、上記粉砕室内にメディアが供給され、このメディアが供給された粉砕室内に原料が供給され、該原料はメディアと共にアジテータにより攪拌して粉粒体に粉砕される。粉砕室で粉砕された粉粒体は流動ガスにより上昇し、分級室に到達することになる。そして、分級室では分級ローターによって分散、分級され、ゲル粒子として連続的に回収されることになる。また、分級ローターから受けた遠心力により排除された粉粒体は降下して粉砕室内に戻り、再び粉砕されることになる。従って、微粉が凝集することを防止できるので、粉砕効率及びエネルギー効率を向上させることができる。
この粉砕・分級工程では、上述した粉砕機を利用してゲル状有機金属酸化物を粉砕・分級し、体積平均粒径が4μm〜8μmのゲル粒子を得る。この粉砕機は、粉砕部と分級部とを備えているため、各々の稼働条件を別個に制御できる。このため、ゲル状有機金属酸化物の粉砕・分級により得られるゲル粒子の体積平均粒径を4μm〜8μmの範囲内に調整することが極めて容易である。なお、ゲル粒子の粒度分布をよりシャープにするなどの目的で、必要に応じて粉砕・分級工程の後で、且つ、焼成工程前に、粉砕・分級処理されたゲル粒子から、このゲル粒子の粒度分布における微小粒径成分を選択的に除去する微小粒径成分除去工程を実施してもよい。この微小粒径成分除去工程を実施するためには、例えば、バグフィルターなどの公知の集塵機を用いることができる。この場合、金属酸化物粒子の生産性を向上させるために、粉砕機と集塵機とを接続することにより、粉砕機における粉砕・分級処理と、集塵機における微小粒径成分除去とを連続的に実施することが好ましい。
また、ゲル粒子の体積平均粒径は4μm〜8μmの範囲内であることが必要であるが4μm〜6μmの範囲内であることが好ましい。ゲル粒子の体積平均粒径が、4μm未満の場合は、粉砕・分級工程における粉砕効率が低下し、結果的に、金属酸化物粒子の製造効率も低下する。また、ゲル粒子の体積平均粒径が8μmを超える場合は、焼成工程を経て得られる金属酸化物粒子の粒径が大きくなり過ぎるため、粉砕限界粒径前後の粒径を有する金属酸化物粒子を得ることができなくなる。さらに、ゲル粒子の体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲を外れる場合は、その他の条件を制御しても、焼成後に得られる金属酸化物粒子を粉砕限界粒径前後の粒径に調整することが困難となる場合がある。
なお、本願明細書において、「体積平均粒径」は、レーザー散乱法(測定装置としてベックマン・コールター社製LS230を用い、分散媒としてエタノールを使用)を使用して測定することができる。測定に際しては、分散媒としてエタノール5ml中に測定試料を0.01〜1g加える。試料を懸濁した液は超音波分散器で約1〜5分間分散処理を行い、0.04〜2000μmの範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径(D50)とした。なお、実施例において後述する粒径D90は、累積分布を描いた際に累積90%となる粒径を意味する。
粉砕・分級工程に用いられる粉砕機としては、基本的に図1に例示する構成を少なくとも備えた粉砕機が用いられる。図1は、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法に用いられる粉砕機の一例を示す模式図である。この粉砕機は、上部が開口する縦型筒状をなすとともに、底部に流動ガスの吹き出し口9が設けられる粉砕室1と、粉砕室1内に回転可能に設けられるアジテータアーム4を有するアジテータ3とからなる粉砕部Aと、粉砕室1の上部開口部に接続される分級室29と、分級室29内に回転可能に設けられる分級ローター25と、分級室29の内外を貫通して分級ローター25に接続される製品を回収するための製品回収管17とからなる分級部Cとを備えている。なお、必要に応じて、粉砕室1の外周部に冷却用のジャケット(図中、不図示)を設けることができる。また、粉砕室1は、アルミナ、ジルコニア、チッ化珪素又は炭化ケイ素等から選択されるセラミックスから形成されていることが好ましい。これにより粉砕室1の摩耗を防止すると共に、不純物の混入を防止することができる。粉砕室に供給されるメディアは、粉砕対象であるゲルとともにアジテーターアームで攪拌されることで、ゲルを粉砕する媒体として機能するものであり、アルミナボール、ジルコニアボール、磁製ボール等が使用される。ボールの直径は、特に制限されるものではないが、体積平均粒径が4μm〜8μmのゲル粒子を得る観点からは、0.5〜30mm好適には1〜15mmの範囲から採択するのが望ましい。メディアの供給量は、5〜12Lが好ましい。
分級ローター25は、ガスの吸入口に羽根19を備え、分級ローター25が回転することにより発生する半径方向の遠心力に逆らって微粉含有のガスが分級ローター25内に流入するものであり、分級ローター25内へのガスの流入と分級ローター25の回転による遠心力との作用により分級するものである。
斯様な構造の粉砕機の運転条件は、得ようとするゲル粒子の体積平均粒径に応じて適宜に設定すれば良いが、一般には、粉砕室1の底部に設けられた流動ガスの吹き出し口9からの風量が10〜1000m/hr、好適には50〜200m/hrであり、アジテータ3の回転数が50〜1000rpm好適には100〜500rpmであり、分級ローター25のローター回転数100〜10000rpm、好適には1000〜5000rpmから採択される。なお、金属酸化物粒子の用途によっては、不純物の混入が問題となる場合もある。この場合は、アジテータ3及びアジテータアーム4をジルコニア、チッ化珪素等の耐磨耗セラミック製とし、分級ローター25をジルコニア、チッ化珪素等の耐磨耗セラミック製、又はウレタンゴムライニング製とし、粉砕室1、アジテータ3、及び分級ローター25以外の他の接粉部を四フッ化エチレン樹脂、ウレタンゴムライニング等の有機材でコーティングすることが好ましい。これにより、金属酸化物粒子中への不純物の混入を防止することができる。
なお、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法に用いられる粉砕機としては、特に図2に示す構成を有する粉砕機を用いることが好適である。図2は、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法に用いられる粉砕機の他の例を示す模式図である。図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、下記(1)〜(5)に示す構成を更に付加した点を除けば、その基本構成は、図1に示す粉砕機と同様である。
(1)まず、第一に、図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、分級室29の分級ローター25の外側に、分級ローター25の中心軸と中心軸が一致するように環状の環状路32を設け、この環状路32に外部からガスを導入するためのガス導入管22を接続している。この場合、環状路32の分級ローター25との対向面には内外を貫通する開口部が設けられ、この開口部に導入ガスの旋回流を引き起こすための案内羽根20が設けられる。
ここで、環状路32は、環状をなすものであって、外周板、内周板、天板、及び底板から構成される。環状路32の外周板、天板、及び底板は、分級室29の側壁及び天板を利用して構成しても良い。環状路32の内周板には内外を貫通する開口部が設けられ、この開口部に案内羽根20が設けられている。ガス導入管22は、環状路32の内周以外の箇所であればどこへどのように接続しても良いが、旋回流を生じさせるという点からは外周の接線方向に接続するのが好ましい。
また、案内羽根20は、固定式のものでも良いが、分散及び分級効果を高めるためには回動自在な構造とし、案内羽根20の傾きにより環状路32の開口部の開度を調節し、処理状況に合わせた旋回ガス流量に調節できるようにすることが好ましい。ただし、ガス噴出の円周上における均一性を考慮するために、環状路32の開口部(ガス吹き出し口)の合計面積はガス導入管の断面積以下にすることが好ましい。
案内羽根20と対面しているのは分級ローター25の吸入部であり、この吸入部には分級ローター25の羽根19が設けられている。案内羽根20により生じる旋回流の回転方向は、分級ローター25の回転方向と同じ方向としている。
(2)第二に、図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、粉砕部Aと分級部Cとの間にドラフト部Bを設けている。このドラフト部Bは、下部が粉砕室1に接続され、上部が分級室29に接続される円筒状の外筒10と、この外筒10の内部に設けられる上下が開口する筒状のドラフト管11とから構成される。なお、金属酸化物粒子の用途によっては、不純物の混入が問題となる場合もある。この場合は、ドラフト管11の接粉部を四フッ化エチレン樹脂、ウレタンゴム等の有機材でコーティングすることが好ましい。これにより、金属酸化物粒子への不純物の混入が防止できる。
(3)第三に、図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、ドラフト部Bのドラフト管11の内部に、分級ローター25の外径よりも大きい外径の整流ガイド12を、その中心軸がドラフト管11の中心軸と一致するように設けられている。ここで、この整流ガイド12は、上下端が閉塞された略筒状をなすものであって、分級ローター25の下部との間に微小隙間が形成されるように設けられている。また、整流ガイド12の下端部は円錐状に形成されている。なお、金属酸化物粒子の用途によっては、不純物の混入が問題となる場合もある。この場合は、整流ガイド12の接粉部を四フッ化エチレン樹脂、ウレタンゴム等の有機材でコーティングすることが好ましい。これにより、金属酸化物粒子への不純物の混入が防止できる。
(4)第四に、図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、粉砕室1の底部に補助ガスの吹き出し口13を設けている。
(5)第五に、図2に示す粉砕機は、図1に示す粉砕機に対して、分級ローター25の下部に、ドラフト部Bの外筒10、ドラフト管11、及び整流ガイド12を貫通して製品回収管17を接続し、この製品回収管17を介して製品を回収するように構成している。ここで、製品回収管17は、一端が整流ガイド12の上端を貫通して分級ローター25の下部に接続され、他端は整流ガイド12の中心軸上を下降して、適当な位置で水平方向に屈曲されて整流ガイド12、ドラフト管11、及び外筒10を貫通し、機外に引き出されている。製品回収管17と分級ローター25との接続は、非回転の製品回収管17に対して分級ローター25を回転可能に接続できる手段、例えば、両者間に微小隙間を設けるなどの手段が挙げられる。但し、これに限定することなく、同様の機能が得られる公知の接続手段であれば使用することができる。なお、ゲル状有機金属酸化物の供給口は粉砕部Aの上部あるいはドラフト部Bに設けることができる。
なお、金属酸化物粒子の用途によっては、不純物の混入が問題となる場合もある。この場合は、不純物の混入が問題となる場合は、製品回収管17の接粉部を四フッ化エチレン樹脂、ウレタンゴム等の有機材でコーティングすることが好ましい。これにより、金属酸化物粒子への不純物の混入を防止することができる。
次に、粉砕機によるゲル状有機金属酸化物は下記のように粉砕・分級処理される。まず、粉砕室1内のゲル状有機金属酸化物は、アジテータアーム4が回転することにより、メディアとゲル状有機金属酸化物との間で繰り返される剪断・衝撃作用により粉砕され、微粉となる。この微粉は、粉砕されたままの状態を維持した一次微粉粒子と、その一次微粉粒子が凝集することにより生じた二次凝集粒子となって粉砕室1内に存在する。
粉砕室1で生じたこれらの粉粒体は、アジテータアーム4の回転軸の周囲の主ガスの吹き出し口9より粉砕室1に噴出した流動ガスとともに上昇し、分級室29へと移送される。なお、図1に示す粉砕機では、粉砕室1で生じた粉粒体の分級室29への移送は、吹き出し口9より粉砕室1に噴出した流動ガスを利用している。しかしながら、より粉砕効率や粉砕時のエネルギー効率の改善を図る上では、粉粒体の粉砕室1中での滞留期間を短くすると共に、粉砕室1から分級室29への移送速度を早くすることが好ましい。これにより微粉の凝集を抑制すると共に凝集された二次凝集粒子も上昇流に乗せて粉砕室1から速やかに排出することができるためである。この点では、図2に示す粉砕機のように、粉砕室1の底部に補助ガスの吹き出し口13を設けて、この吹き出し口13をからの噴出ガス量を追加して粉砕室1内に噴出させて流動ガス量の増大を図ることがより好ましい。
上昇した粉粒体は、図1に示すように、分級ローター25により所望の粒径以下に分級され、分級ローター25に設けられた製品回収口から製品回収管17を経由して外部へ抜き出され、製品として回収される。なお、分級効率をより向上させる為には、図2に示す構成を採用することがより好ましい。この場合、分級室29へ移送されてきた二次凝集粒子は、分級室29の環状路32内から吹き出すガスの旋回流に当たり、二次凝集粒子は一次微粉粒子に再び分散されるとともに分級室29内に流入した粉粒体の予備分級を行うことができる。なお、環状路32内から吹き出すガスの旋回流は、案内羽根20の傾きを変更して吹き出し口の開度を調節することにより制御され、分散あるいは予備分級の程度を調節できる。ここで、分級ローター25の回転と環状路32の旋回流の回転は同じ方向することで、ガスの乱れが防がれる。
図1及び図2に示す粉砕機において、吹き出し口9を介して粉砕室1へ噴出させる主ガスは圧縮ガスを供給するが、図2に示す粉砕機において、吹き出し口13を介して粉砕室1へ噴出させる補助ガスは圧縮ガスを押し込んでも、あるいは大気圧状態のガスを吸引してもどちらでも良い。また、図2に示す粉砕機において、分級室29の環状路32内へのガスの導入は、ガス導入管22を環状路32に接続し、外部からガスを導入するが、導入するガスについては通常においては大気圧状態のガスを吸入するが、送風抵抗の大きい場合には圧縮ガスを供給しても良い。
また、図1に示す粉砕機では、粉砕室1で粉砕された粉粒体はガス流とともに上昇し、直接、分級室29内へ到達し、その後、分級ローター25により分級処理される。
これに対して、図2に示す粉砕機では、外筒10とドラフト管11とからなるドラフト部Bを設けることにより、粉砕室1で粉砕された粉粒体はガス流とともに上昇してドラフト管11内へ流入し、ドラフト管11内を上昇し、分級室29内へ到達する。分級室29で除外された所望の粒径以上の粉粒体は環状路32から吹き出す旋回流と分級ローター25の遠心力とドラフト管11内側からの上昇流とによりドラフト管11の外側に弾かれ、外筒10の内側を降下し、再び粉砕室1内に戻り、再度粉砕される。
また、図2に示す粉砕機では、ドラフト管11内に整流ガイド12を設けることにより、粉砕室1で粉砕された粉粒体は、ガス流とともにドラフト管11内に流入し、整流ガイド12によって整流、誘導されて上昇する。この際、分級ローター25の外径以上の外径を有する整流ガイド12により、粉粒体が旋回流を介さないで短絡的に分級ローター25に接触することはなくなる。
図1および図2に示す粉砕機粉砕室1内の除熱に関しては、粉砕室1外周にジャケットを設けて、ジャケット内に冷却媒体を導入したり、あるいは粉砕室1内への噴出ガスにより行われる。従って、粉砕室1内への噴出ガスについては粉粒体の搬送だけではなく、冷却効果をも目的としている。
−焼成工程−
焼成工程では、粉砕・分級工程や、必要に応じて微小粒径成分除去工程を経て得られたゲル粒子を、焼成する。この焼成は、ゲル粒子中に含まれる有機成分を除去できる条件であれば特に限定されない。焼成するゲル粒子が全金属酸化物成分の割合が50質量%〜90質量%のものである場合は、焼成後に得られる金属酸化物粒子の体積平均粒径が2μm〜4μmの範囲内に収まる条件で行うのが好ましい。しかしながら、焼成温度としては800℃〜1100℃が好ましく、850℃〜950℃がより好ましい。焼成温度が800℃未満では、ゲル粒子中から有機成分が十分に除去できないため、実質的に金属酸化物のみからなる粒子が得られなかったり、焼成時の収縮が不十分なために、焼成後の体積平均粒径を十分に小さくすることが困難となる場合がある。一方、焼成温度が1100℃を超えると、焼成の過程でゲル粒子同士が融着し、やはり焼成後の体積平均粒径を十分に小さくすることが困難となる場合がある。また、焼成時間は0.1時間〜48時間が好ましく、0.5時間〜7時間がより好ましい。焼成時間が0.1時間未満の場合はゲル粒子中から有機成分が十分に除去できないため、実質的に金属酸化物のみからなる粒子が得られなかったり、焼成時の収縮が不十分なために、焼成後の体積平均粒径を十分に小さくすることが困難となる場合がある。一方、焼成時間が48時間を超えると焼成の過程でゲル粒子同士が融着し、やはり焼成後の体積平均粒径を十分に小さくすることが困難となる場合がある。
なお、このような焼成工程を経て得られた金属酸化物粒子に対して、粒度分布をよりシャープにすることなどを目的として、必要であれば既述した微小粒径成分除去工程を実施してもよい。
−金属酸化物粒子−
以上に説明した本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法により製造された金属酸化物粒子は、SiOを50モル%〜95モル%、その他の金属酸化物を5モル%〜50モル%含有し、その体積平均粒径は、粉砕・分級処理されたゲル状有機金属酸化物からなる粒子よりもより小さい。これに加えて、ゲル粒子の体積平均粒径や、ゲル粒子中に含まれる全金属酸化物成分の割合、焼成条件等を適宜選択することにより、得られる金属酸化物粒子の体積平均粒径を2μm〜4μmの範囲内に容易に調整することができる。この金属酸化物粒子の用途は特に限定されないが、既述したように、体積平均粒径が2μm〜4μmの範囲内のものは、歯科用組成物(特に歯科用修復材)の原料として好ましく利用することができる。すなわち、本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法により製造された2μm〜4μmの範囲内の体積平均粒径を有する金属酸化物粒子を原料とする歯科用組成物は、歯牙に設けられるようなサイズの窩洞への充填性および歯科用組成物の強度に共に優れたものになり、治療に際して有利に使用される。特に、その他の金属酸化物としてBaO、SrO、ZrOに加えて、NaO及び/又はKOを用いたものは、X線造像性を備え、重合促進剤としてアミンを用いてもその機能が保持され、歯科用組成物の保存安定性にも優れたものになり、同用途に最適である。
以下に、本発明の金属酸化物粒子の製造方法を、実施例を挙げて説明するが、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<ゲル状有機金属酸化物A及びBの作製>
下記成分の混合溶液に、濃度0.06質量%の硫酸水を3.5質量部添加して、3時間攪拌し、部分的に加水分解させた。
・テトラエチルシリケート(日本曹達社製、エチルシリケート28):100質量部
・イソブチルアルコール(協和油化社製、IBA):400質量部
続いて、部分加水分解させた溶液に下記成分を更に添加して1時間攪拌した後、攪拌しながら、純水20質量部を加え、更に加水分解してゲルを得た。
・テトラブトキシジルコネート(北興化学社製、HZ−NB):36.5質量部
・ナトリウムメチラート(和光純薬社製、ナトリウムメトキシド):6質量部
次に、得られたゲルを130℃で17時間及び5時間加熱乾燥させて、溶媒分を除去することによりゲル状有機金属酸化物A(17時間乾燥品)及びB(5時間乾燥品)を得た。なお、このゲル状有機金属酸化物A中に占める金属酸化物成分の割合はゲル状有機金属酸化物Aが74質量%であり、ゲル状有機金属酸化物Bが62質量%である。また、ゲル状有機金属酸化物A及びBにおいて、それぞれの金属酸化物成分中、SiOは84モル%、ZrOは14.5モル%、NaOは1.5モル%である。
<焼成物Aの作製>
ゲル状有機金属酸化物Aを、900℃で1時間加熱処理し、有機成分を分解除去することにより、焼成物Aを得た。
<粉砕・分級装置>
粉砕・分級装置としては、主要部の構造が図2と略同様の構成を有する分級機内蔵型乾式粉砕機(ファインミルSF15、三井鉱山株式会社製、粉砕タンク容量:15L、以下「ファインミル」と略す)、および、横型ジェット粉砕機(FS−4、株式会社セイシン企業製、容量:約3L、以下「ジェットミル」と略す)を用いた。なお、横型ジェット粉砕機は、ノズルを介して円形状の粉砕室内へ吐出される流体により粉体同士の相互衝突による粉砕が行われると共に、円形状の粉砕室内で生じる旋回運動の遠心力により微粉が分級されアウトレットから排出される分級機能も有するものである。
なお、ファインミルおよびジェットミルの主要な稼働条件は以下の通りである。ファインミルの運転条件については、目的とする粒子に応じて適宜設定すれば良いが、代表的な
条件としては、風量85m/hr、粉砕媒体:直径5mmΦジルコニアボール、ローター回転数1000〜5000rpmである。また、ジェットミルの運転条件は、空気圧:4.8kg/cm、フィードレート33g/minである。
<評価>
粉砕用原料として、ゲル状有機金属酸化物A、ゲル状有機金属酸化物Bまたは焼成物Aを用い、粉砕・分級装置としてファインミルまたはジェットミルを用いて、粉砕、分級、さらに粉砕用原料がゲル状有機金属酸化物Aである場合は焼成を行い、得られた金属酸化物粒子の粒径やこの粒子を原料として用いた歯科用修復材料の強度、また、金属酸化物粒子製造時の時間当たり製造量や回収率を評価した。結果を表1および表2に示す。
なお、表1および表2中、「粉砕・焼成実施順」の項目が「粉砕→焼成」となっている場合は、ゲル状有機金属酸化物Aを用いて粉砕・分級処理した後に得られたゲル粒子を、900℃で1時間焼成することにより金属酸化物粒子を作製したことを意味する。一方、「粉砕・焼成実施順」の項目が「焼成→粉砕」となっている場合は、焼成物Aを用いて粉砕・分級処理することにより金属酸化物粒子を作製したことを意味する。
Figure 0005602362
Figure 0005602362
なお、表1中において、時間・容量当たり製造量とは、ファインミルおよびジェットミルの粉砕室の容量の違いも考慮して、時間当たり製造量を更に粉砕室の容量で割った値を意味する。
また、表1および表2中に示す「強度」は、各実施例、比較例の金属酸化物粒子をシランカップリング剤(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン:チッソ社製S710)で処理した粒子100質量部と直径0.2μmの粒径を有する球状シリカジルコニア粒子をシランカップリング剤(γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン:チッソ社製S710)で処理した粒子50質量部とからなるフィラー成分に、2,2−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン23質量部、トリエチレングリコールジメタクリレート15質量部、カンファーキノン0.2質量部、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.2質量部からなるマトリックス成分を混合して作製した歯科用修復材料をJIS T 6514に規定される曲げ強さ試験に基づき、3点曲げ試験により測定した。
本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法に用いられる粉砕機の一例を示す模式図である。 本実施形態の金属酸化物粒子の製造方法に用いられる粉砕機の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1 粉砕室
3 アジテータ
4 アジテータアーム
9 吹き出し口
10 外筒
11 ドラフト管
12 整流ガイド
13 吹き出し口
17 製品回収管
19 羽根
20 案内羽根
22 ガス導入管
25 分級ローター
29 分級室
32 環状路

Claims (3)

  1. ゾルゲル法により作製され、金属酸化物成分として少なくとも50モル%〜95モル%のSiOおよび5モル%〜50モル%のその他の金属酸化物を含み、かつ含有される全金属酸化物成分の割合が60質量%〜75質量%であるゲル状有機金属酸化物を、
    上部が開口する縦型筒状を成すとともに、底部に流動ガスの吹き出し口が設けられ、室内にメディアが供給された粉砕室と、該粉砕室内に回転可能に設けられるアジテーターとからなる粉砕部と、
    前記粉砕室の上部開口部に接続される分級室と、該分級室の内部に回転可能に設けられる分級ローターと、前記分級室内外を貫通して前記分級ローターに近接する製品回収管とからなる分級部と、を少なくとも備えた粉砕機の前記粉砕室に供給して、
    体積平均粒径が4μm〜8μmの範囲内の粒子となるように粉砕と分級とを連続的に実施する粉砕・分級工程と、
    粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子を焼成する焼成工程と、を少なくとも経て、
    粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子よりも体積平均粒径の小さい歯科用組成物用の金属酸化物粒子を作製することを特徴とする歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子中に含まれる全金属酸化物成分の割合が50質量%〜90質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記粉砕・分級工程後で、前記焼成工程前に、
    粉砕・分級処理された前記ゲル状有機金属酸化物からなる粒子から、当該粒子の粒度分布における微小粒径成分を選択的に除去する微小粒径成分除去工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科用組成物用の金属酸化物粒子の製造方法。
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