JP5601509B2 - シリカ粒子分散体を触媒とするエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法 - Google Patents

シリカ粒子分散体を触媒とするエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリカ粒子分散体を触媒として用いたエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法に関する。
現在、エステル体の製造方法としては、鉱酸、有機酸等の酸触媒が広く用いられている。用いられる鉱酸としては、硫酸、燐酸等を挙げることができ、有機酸としては、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの触媒を用いた場合の反応後の触媒の除去は、水を投入し、分液操作を行うことにより除去することが通常行われる。
一方、均一系触媒であるチタン系若しくはスズ系の均一系触媒を用いられることもあり、このような均一系触媒では、単離・回収をして取り除くことが難しく、残留触媒のないエステル体を合成することが困難である。これらの残留触媒は、得られたエステル体中に存在する水分とエステル結合との反応を促進させ、加水分解を引き起こすため、エステル体の耐久性や保存安定性を低下させる問題がある。
また、重合性官能基を有するカルボン酸を用いたエステル体の製造方法において前記従来の触媒を用いた場合には、エステル化反応に必要な加熱を行うために、エステル化反応の他に目的としない重合反応が並行して起こることから、エステル体が高収率で得られなかった。
一般的に、均一系触媒は、先に述べた問題で通常使用可能な触媒量がごく微量に制限されるため、ポリエステル製造には多くの時間が必要となる。さらに単離・回収が困難であることから、エステル体の着色や物性への影響が避けられないという問題もある。
そこで、有機金属化合物からなる高活性な有機酸系触媒を用いて少量でもエステル化反応を促進させる効果を有する技術が提案されている(例えば特許文献1)。しかしこの方法においても、やはり触媒の使用量に制限があるため、充分な量の触媒を使用することができず、大幅な製造時間の短縮は期待できない。
また、ポリウレタン樹脂は高弾性、柔軟性、耐摩耗性等に優れ、フォーム、エラストマー、接着剤、塗料等多くの分野に使用されている。特にポリウレタン弾性繊維は、女性用ファウンデーション、水着等に多用され、近年その需要はますます増大している。ポリウレタン樹脂は主としてポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等の高分子ポリオールとポリイソシアネート及び必要により鎖伸長剤から製造されるが、このうちポリエステルポリオールを高分子ポリオールとして使用したものは、ポリエーテルポリオールを用いたものに較べ、力学的物性、耐摩耗性、耐油性、耐溶剤性等の面で優れる反面、耐加水分解性に劣るという問題があり用途が制限される場合も多い。
特にポリウレタン弾性繊維の場合、繊維の細糸化が進みこの問題が大きな課題となっている。これらの問題点が改善されたポリエステルポリオール系ポリウレタンを得る試みが今までにも数多くなされてきた。例えば、特許文献2に記載されている様に、2−メチル−1,8−オクタンジオールまたは該ジオールを含有する混合グリコールとアジピン酸等のジカルボン酸から得られるポリエステルポリオールを用いたポリウレタンが提案されている。しかしながら、これらのポリウレタンも満足出来るような耐加水分解性を有していない。
従来、ポリウレタン樹脂は、ゴム弾性を有することから、各種分野で商用されている。かかるポリウレタン樹脂のゴム弾性は、強靭性を有するハードセグメントが、柔軟性を有するソフトセグメントのマトリックスから不溶化してドメインを形成することから発現される。しかし、ポリウレタン樹脂は一般に耐熱性の弱い材料であり、通常、100〜160℃でハードセグメントの溶融により、ゴム弾性が消失して、液状化してしまう問題があった。特に近年、技術の多様化により、コーティング分野においても性能の向上が要求されるようになり、ポリウレタン樹脂については高温においてもゴム弾性を有するものが望まれている。
ポリウレタン樹脂の耐熱性を向上させる方法としては、ハードセグメントの割合を増やしたり、ハードセグメントに多くのウレア結合を導入する方法等がある。しかし、こうした方法によるとポリウレタン樹脂の溶剤不溶化または粘度上昇を招き好ましくない。また、ポリウレタン樹脂に耐熱性を付与する方法として、ゾル−ゲル法を応用した、無機ガラスとのハイブリッド体を合成する方法がある。すなわち、テトラエトキシシラン等の加水分解性アルコキシシランの加水分解と重縮合を利用して、いわゆるフィラー効果によりポリウレタン樹脂に無機ガラスを分散させたハイブリッド体を製造するものである。かかるゾル−ゲル法によれば、生成するガラス粒子径は数nmと非常に小さいため、当該ガラス粒子がポリウレタン樹脂に分散されていても有機ポリマーの透明性が失われることはない。
しかし、ゾル−ゲル法によってポリウレタン樹脂の有機・無機ハイブリッド体を製造すると、フィラー効果によって耐熱性等の性能が向上する一方で、ガラス粒子がポリウレタン樹脂全体に分散されるためポリウレタン樹脂固有のソフトセグメントの柔軟性が失われて脆くなる。例えば、特許文献3には、親水性ソフトセグメントのポリウレタン樹脂、加水分解性アルコキシシラン、必要に応じて触媒と低級アルコールに溶解したアルコールゾル溶液を用いた有機・無機ハイブリッド体の製造方法が記載されているが、得られる有機・無機ハイブリッド体は、柔軟性がなく、脆いものであり、耐熱性が十分でなかった。
特開2005−118714号公報 特開昭62−22817号公報 特開平6−136321号公報
本発明の課題は、反応終了後に生成物からの分離を必要とせず、且つ耐熱性、機械的特性に優れたポリエステル或いはポリウレタンの製造に有用なエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造に用いることのできる反応触媒、及びエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法を提供することにある。
本発明は、平均一次粒子径が1〜100nmであるシリカ粒子の分散体(A)を反応触媒として用いたエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法を提供することにより本課題を解決する。
本発明によれば、従来の触媒であるチタン系若しくはスズ系触媒を使用しないため、反応終了後に生成物からの分離操作を必要とせず、耐熱性、機械的特性に優れたポリウレタンの製造に有用なエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造に用いることのできる反応触媒、及びエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法を提供することができる。
即ち、本発明は、
1.エステル化反応用又はウレタン化反応用触媒において、
平均一次粒子径が1〜100nmであるシリカ粒子の分散体(A)であることを特徴とするエステル化反応用又はウレタン化反応用触媒、
2.前記シリカ粒子分散体(A)の分散媒が多価アルコールである1に記載のエステル化反応用又はウレタン化反応用触媒、
3.前記触媒が、常圧における多価アルコールの沸点以下の温度で加熱されたものである1又は2に記載のエステル化反応用又はウレタン化反応用触媒、
4.1〜3の何れかに記載の触媒を用いたエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法、
5.1〜3の何れかに記載の触媒を用いた多価アルコール及び多価カルボン酸からポリエステルポリオール体(B)を製造するエステル化反応物の製造方法、
6.多価アルコールが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとの共重合体又はポリカーボネートジオールであり、
多価カルボン酸が、アジピン酸、シュウ酸、コハク酸又はテレフタル酸である5に記載のエステル化反応物の製造方法、
7.6に記載のポリエステルポリオール体(B)を製造した後に、該ポリエステルポリオール体(B)にイソシアネート化合物を添加しウレタン化反応を行うウレタン化反応物の製造方法、
8.ポリエステルポリオール体(B)としてエチレングリコールとアジピン酸とのエステル化反応物を用い、イソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートを用いる7に記載のウレタン化反応物の製造方法に関するものである。
本発明で用いられるエステル化反応用又はウレタン化反応用触媒は、平均一次粒子径が1〜100nmであるシリカ粒子の分散体(A)であって、シリカ粒子が分散媒に分散していることに特徴を有する。
本発明で使用されるシリカ粒子は、公知慣用のシリカ粒子を用いることができる。
分散体(A)は、より具体的には、pH<6の水分散体であって、表面上にシラノール基を有する表面未処理シリカ粒子の分散体を挙げることができるが、これに限らない。
シリカ粒子の平均一次粒径は、特に制限がないが、本発明で得られるポリウレタンの耐熱性、機械的特性の向上のために平均一次粒径が1〜100nmであることが好ましい。
分散剤としては、上記シリカ粒子が凝集を起こすことなく分散させるものであれば、制限なく用いることができる。このような分散剤としては、公知慣用の分散媒を用いることができ、例えば、水、アルコール等を好ましい分散媒として挙げることができる。水を用いた場合には、エステル化反応を行う前に、水を留去することが好ましい。水を留去した後に、アルコール類の分散媒を添加して分散体とすることができる。エステル化反応を考慮すると、分散剤としてエステル化反応に与るアルコール類を使用することが好ましい。このようなアルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の多価アルコール類が好ましく、エステル化反応においてポリエステルポリオール体(B)を製造する場合には多価アルコール類が好ましい。
本発明の分散体(A)は、エステル化反応又はウレタン化反応を行う前に、加熱を行っても行わなくても良い。加熱を行う場合の加熱温度は、常圧における分散媒の沸点以下であることが好ましい。分散体(A)の加熱を行った場合と行わない場合での触媒活性は大きく変わることはないが、重合反応中の反応液の着色が防止されることから、加熱を行った方がより好ましい。また、分散体(A)にアルカリイオンが存在する場合には、アルカリイオンをイオン交換樹脂等で処理し、アルカリイオンを除去することが好ましい。
(エステル化反応)
本発明では、アルコール類とカルボン酸類とをシリカ粒子の分散体(A)の存在下にエステル体を製造することができる。
本発明で用いられるアルコール類としては、特に限定はなく、通常エステル体の製造に用いられるアルコールが挙げられ、好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族基に1個のアルコール基が置換した脂肪族1価アルコール、又はベンゼン環上に置換基を有しても良い芳香族基及び1個のアルコール基を有するベンゼン環上に置換基を有しても良い芳香族1価アルコールが挙げられ、さらに具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso-プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−オクタデカノール、アリルアルコール、2−プロペニルアルコール、ブテニルアルコール、ヘキセニルアルコール、ゲラニルアルコール、ベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、本発明で用いられるアルコール類として、多価アルコールを用いることもでき、例えば、主鎖炭素数2〜15の直鎖グリコール、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン若しくはp−キシレングリコールなどのグリコール類の炭化水素を主鎖にするものである。炭素原子総数が好ましくは3〜34、より好ましくは3〜17のもので、例えば1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、ネオペンチルグリコール、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、3−フエニル−1,5−ペンタンジオール、3−(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、3,3−ビス(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)シクロブタン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロペンタン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘブタン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシエドキシシクロヘキシル)プロパン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの多官能ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
また、高分子量ポリオールを併用することもでき、ポリスチレン換算でGPCによる数平均分子量500〜5000、好ましくは1200〜3000のものであり、例えば、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、重合性官能基を有するアルコールも用いることができ、このようなアルコールとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチルグリシジルエーテル等のモノグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸の反応物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニールエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等のビニルエーテル化合物等が挙げられる。
本発明で用いられるカルボン酸類としては、特に限定なく通常エステル体の合成に用いられるカルボン酸が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族基に1個のカルボキシ基が置換した脂肪族1価カルボン酸、又はベンゼン環上に置換基を有しても良い芳香族基及び1個のカルボキシ基を有するベンゼン環上に置換基を有しても良い芳香族1価カルボン酸が挙げられ、さらに具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリル酸、ピバリル酸、ラウリル酸、パルミチル酸、ステアリン酸、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−メトキシ安息香酸等が挙げられる。
また、本発明で用いられるカルボン酸類として、多価カルボン酸を用いることもでき、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタール酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、又芳香族系ジカルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸又はそれらの無水物等が挙げられる。また、高分子量ポリカルボン酸を用いることもできる。
また、重合性官能基を有するカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、オレイン酸等の不飽和多重結合を有するカルボン酸が挙げられる。
アルコールとして1価のアルコールを単独若しくは2種類以上組み合わせて用いた場合は、カルボン酸は、1価又は多価のカルボン酸を単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。また、アルコールとして多価のアルコールを単独又は2種類以上組み合わせて用いた場合、或いは1価のアルコールと多価のアルコールとを2種類以上組み合わせて用いた場合、カルボン酸は、1価のカルボン酸を単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明で使用するアルコール類とカルボン酸類との割合は、当量比で1:3〜3:1であることが好ましく、より好ましくは1:2〜2:1であるが、適宜当量比が選択される。
(ウレタン化反応)
ウレタンの製造原料であるアルコールは、通常のウレタンの製造に用いられる化合物であれば特に制限されないが、例えば、一価アルコール、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールなどが挙げられる。一価アルコール、多価アルコールは、前記エステル化反応で記載したアルコール類を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、従来公知のポリエーテルポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのアルキレンポリオールと、エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させることにより得られる。
ポリエステルポリオールとしては、従来公知のポリエステルポリオールを用いることができ、例えば、マレイン酸やフタル酸などのポリカルボン酸と、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのアルキレンポリオールとを反応させることにより得られる。
ポリマーポリオールとしては、従来公知のポリマーポリオールを用いることができ、例えば、ヒドロキシエチルアクリレートやヒドロキシブチルアクリレートなどの水酸基含有アクリレートの単独重合体、又はアクリル酸やスチレンなど上記アクリレートと共重合可能なモノマーとの共重合体が挙げられる。
反応は、通常加熱して行うが、反応温度はエステル化反応が進行すれば、特に制限はないが、一般的に30℃〜常圧における分散媒であるアルコールの沸点以下の温度を挙げることができる。
また、イソシアネート化合物は、通常のウレタンの製造に用いられる化合物であれば特に限定されない。
ポリウレタンの製造原料であるイソシアネート化合物としては、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートと略す)が好適に使用される。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ジメチルジフェニルジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などが挙げられる。また、これらの変性体、例えば、ウレタン変性TDI、アロファネート変性TDI、ビウレット変性TDI、イソシアヌレート変性体なども用いることができる。これらのポリイソシアネートは1種単独でも2種以上を混合しても使用することができる。
ウレタン化反応を利用して、ウレタン結合を有する反応性化合物を製造する場合には、水酸基含有化合物又はイソシアネート化合物のいずれか一方に、反応性基を有することが好ましい。反応性基としては、ラジカル重合性基が、活性エネルギー線硬化や熱硬化に利用することができ、好ましい。
例えば、1つのイソシアネート基とラジカル重合性基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネートなどが挙げられる。
また、1つの活性水素基、例えばヒドロキシ基とラジカル重合性基とを有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレート若しくはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの反応性基を有する水酸基含有化合物又はイソシアネート化合物のいずれか一方と、前記ポリウレタンの原料として記載したポリオール又はポリイソシアネートとを反応させればよい。
この方法を利用して、例えばウレタン(メタ)アクリレート等を製造する場合には、ポリエステルポリオールの原料となるポリオールと多価カルボン酸とを仕込み、シリカ粒子の分散体(A)の存在下で前記ポリオールと多価カルボン酸とを反応させてポリエステルポリオールを得る。
次に、該ポリエステルポリオールを含む反応生成物に前記イソシアネート化合物を加えると、シリカ粒子の分散体(A)が存在するために容易に反応する。この方法は同一槽内で製造できるために工業的に非常に有用な方法であり、しかも最終生成物であるウレタン(メタ)アクリレートから触媒であるシリカ粒子の分散体(A)を分離することも容易である。
具体的には、ポリオールと多価カルボン酸とを、シリカ粒子の分散体(A)の存在下にてエステル化反応する。本発明で使用するポリオールとしては、前記ウレタン化反応物の原料として記載したポリオールがそのままポリエステルの合成にも使用できる。
次に、イソシアネート化合物を添加し、ウレタン化反応を行う。イソシアネート化合物は、前記したものが挙げられる。
即ち、本発明では、本発明を用いてポリエステルポリオールの製造を行った後に、生成物の移送或いは分割等の工程を経て、異なる反応槽内で、ポリエステルポリオールの製造に用いた触媒を使用して、イソシアナート化合物とのウレタン化反応を順次行うことができ、工業的に有用である。
実施例で更に本発明を詳細に説明する。
なお、本実施例における測定は以下の方法で行った。
1.耐熱性:動的粘弾性測定による溶融温度測定
ポリウレタンフィルムを幅6mm、長さ40mmの短冊状に切り出し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、RSAIII)にて周波数1Hzで繰り返し引張荷重を加え、ガラス転移温度以上の温度範囲で発現する溶融によるtanδのピーク温度をメルトダウン温度として測定した。
2.分子量
WATERS製GPCシステム2690を用い、0.2質量%のTHF溶液を用い、検量線としてPMMAを用いて測定した。
3.引張特性評価
該短冊状試験片を用い、引張速度100mm/min.、グリップ間隔10mm、標線間隔10mmで引張試験機にて測定し、引張強さ、伸びを求めた。
4.水酸基価
JIS K0070記載の化学製品の酸価、けん化価、エステル価、ヨウ素価、水酸基価及び不けん化反応物の試験方法の電位差法により酸価を求めた。
1)試料を約3.0g量りとり、100mL三角フラスコに投入。
2)アセチル化剤(ピリジン/無水酢酸=20/1)15mLを添加。
3)115℃/1時間アセチル化した後、イオン交換水を加え、未反応の無水酢酸を水で加水分解する。
4)滴定溶剤(アセトン/ブタノール=5/1)を60mL加える。
5)常温にて0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液を用いて滴定を行い、同時に試料を加えないアセチル化剤についても滴定を行い、水酸基価を求める。
(実施例1)
市販の酸性水性シリカゾル[スノーテックス(商標)0、BET粒子径12nm、SiO濃度20質量%、pH=2.8、日産化学工業(株)製]1000gを強酸性陽イオン交換樹脂アンバーリスト15JWET(オルガノ製)を用いて陽イオンを除去した。ついで得られたゾル242gとエチレングリコール193.6gを500mLのフラスコに仕込み、窒素気流中で撹拌しながら常温から2℃/min.の昇温速度で、発生する水を除去しながら140℃まで昇温し、1時間保持した。ついで2℃/min.の昇温速度で195℃まで昇温し、更に流出する水を除去しながら195℃で5時間保持し、シリカ含有量18.1質量%のエチレングリコール熱処理ナノシリカ分散体(EGT1)を得た。得られたエチレングルコールの分子量をゲルパーミテーションクロマトグフ(GPC)で測定したところ、分子量の増加は見られなかった。
得られたEGT1 121g、アジピン酸190.6gを500mLフラスコに一括して仕込み、更にエチレングリコール/アジピン酸モル比=1.35/1になるようにエチレングリコール12.6gを追加して仕込んだ。
窒素気流中で、攪拌下に2℃/分の昇温速度で140℃まで昇温し、140℃で1時間反応した。次いで、生成する水を除去しながら、0.6℃/分の昇温速度で225℃まで昇温し、225℃で1時間反応させた後、1時間かけて12kPaまで減圧した。該温度及び減圧度で8時間反応させ、以下に示す性状のポリエステルポリオール(PS1)を得た。
シリカ含有量:9.1質量%
数平均分子量:2161(検量線:PMMA)
水酸基価;45(KOHmg/g)
次に、得られたポリエステルポリオール(PS1)を60℃に加温し、MDI(日本ポリウレタン製、商品名ミリオネートMTL、NCO当量146)を用い、NCO当量/水酸基当量=1.0になるようにPS1と該MDIを配合した。また触媒としてジオクチル錫ジラウリレートを50ppm配合し、撹拌後、減圧脱泡を行い、離型剤を塗布したガラス板上に厚み0.4mmになるように塗工した。該塗工樹脂を60℃/1時間、80℃/1時間、120℃/2時間、ついで80℃/16時間の条件で硬化させ、ポリエステルポリオールウレタンフィルムPSF1を得た。このPSF1について、メルトダウン温度、引張特性を測定した。
(実施例2)
実施例1の陽イオン除去水分散体シリカゾル242gとエチレングリコール193.6gを1000mLのフラスコに仕込み、窒素気流中で撹拌しながら常温から2℃/min.の昇温速度で、発生する水を除去しながら140℃まで昇温し、1時間保持した。ついで2℃/min.の昇温速度で195℃まで昇温し、更に流出する水を除去しながら195℃で5時間保持し、シリカ含有量18.1質量%のエチレングリコール熱処理ナノシリカ分散体(EGT2)を得た。得られたエチレングルコールの分子量をゲルパーミテーションクロマトグラフ(GPC)で測定したところ、分子量の増加は見られなかった。
得られたEGT2 121g、アジピン酸194.8gを500mLフラスコに一括して仕込み、更にエチレングリコール/アジピン酸モル比=1.27/1になるようにエチレングリコール8.8gを追加して仕込んだ。
窒素気流中で、攪拌下に2℃/分の昇温速度で140℃まで昇温し、140℃で1時間反応した。次いで、生成する水を除去しながら、0.6℃/分の昇温速度で225℃まで昇温し、該温度で1時間反応させた後、イソプロピルチタネート30ppm仕込み、12kpaまで減圧し、225℃で生成する水を除去しながら、1.5時間反応を行い、以下に示す性状のポリエステルポリオール(PS2)を得た。
シリカ含有量:9.5質量%
数平均分子量:2292(検量線:PMMA)
水酸基価;15(KOHmg/g)
本発明の製造方法は従来のチタン系触媒と併用することが可能であり、併用した場合、減圧後の反応時間わずか1.5時間で十分な分子量まで反応させることができる。
得られたポリエステルポリオール(PS2)を実施例1と同様な条件でポリエステルポリオールウレタンフィルムをPSF2を得た。このPSF2について、メルトダウン温度、引張特性を測定した。結果を表−1に示す。
本発明のポリウレタンフィルムは比較例に比べ、メルトダウン温度、自重変形温度が高く、かつ従来の柔軟性を損なわずに、引張強さも優れている。また、従来のチタン系触媒と併用した場合、重合時間の短縮ができた。
(実施例3)
ポリウレタンフィルムの製造において、ジオクチル錫ラウリレートを使用しない他は、実施例1と同様にしてポリウレタンフィルムを製造した。
得られたフィルムは、実施例1とほぼ同等の物性値を示した。
(比較例1)
エチレングリコール/アジピン酸モル比=1.12/1になるようにエチレングリコール109.7g、アジピン酸230.3gを500ccフラスコに一括して仕込んだ。
窒素気流中で、攪拌下に2℃/分の昇温速度で140℃まで昇温し、140℃で1時間反応した。次いで、生成する水を除去しながら、0.6℃/分の昇温速度で225℃まで昇温し、該温度で1hr反応させた後、イソプロピルチタネート30ppm仕込み、12kpaまで減圧し、225℃で生成する水を除去しながら、10時間反応を行い、以下に示す性状のポリエステルポリオール(PES1)を得た。このPES1について、メルトダウン温度、引張特性を測定した。結果を表−1に示す。
数平均分子量:2102(検量線:PMMA)
水酸基価;56(KOHmg/g)
Figure 0005601509
本発明のシリカ分散体を用いたエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法は、耐熱性、機械的特性に優れたポリウレタンの製造に利用することができる。

Claims (6)

  1. エステル化反応用又はウレタン化反応用触媒において、
    平均一次粒子径が1〜100nmのシリカ粒子の分散体(A)である、多価アルコール及び多価カルボン酸を反応させるエステル化反応用又はポリエステルポリオールとイソシアネート化合物とを反応させるウレタン化反応用触媒であって、前記シリカ粒子分散体(A)の分散媒が多価アルコールであって、前記触媒が常圧における多価アルコールの沸点以下の温度で加熱されたものであることを特徴とする、エステル化反応用又はウレタン化反応用触媒。
  2. 請求項1に記載の触媒を用いたエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の触媒を用いた多価アルコール及び多価カルボン酸からポリエステルポリオール体(B)を製造するエステル化反応物の製造方法。
  4. 多価アルコールが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとの共重合体又はポリカーボネートジオールであり、
    多価カルボン酸が、アジピン酸、シュウ酸、コハク酸又はテレフタル酸である請求項3に記載のエステル化反応物の製造方法。
  5. 請求項3に記載のポリエステルポリオール体(B)を製造した後に、該ポリエステルポリオール体(B)にイソシアネート化合物を添加しウレタン化反応を行うウレタン化反応物の製造方法。
  6. ポリエステルポリオール体(B)としてエチレングリコールとアジピン酸とのエステル化反応物を用い、イソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートを用いる請求項5に記載のウレタン化反応物の製造方法。
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