JPH11140025A - カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸エステルの製造方法

Info

Publication number
JPH11140025A
JPH11140025A JP9303876A JP30387697A JPH11140025A JP H11140025 A JPH11140025 A JP H11140025A JP 9303876 A JP9303876 A JP 9303876A JP 30387697 A JP30387697 A JP 30387697A JP H11140025 A JPH11140025 A JP H11140025A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carboxylic acid
catalyst
titanium
acid ester
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9303876A
Other languages
English (en)
Inventor
Masamichi Onuki
正道 大貫
Yasuyuki Sasaki
康之 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP9303876A priority Critical patent/JPH11140025A/ja
Publication of JPH11140025A publication Critical patent/JPH11140025A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エステルの収率が良く、副生物が少なく、か
つ触媒の回収・再使用が可能なカルボン酸エステルの製
造方法を提供する。 【解決手段】 カルボン酸及び/またはその無水物とア
ルコールとを反応させてカルボン酸エステルを製造する
方法において、チタンと珪素の複合酸化物であって疎水
性基を有する触媒を用いる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボン酸エステ
ルの製造方法に関するものである。詳しくは、塩化ビニ
ル系樹脂や酢酸ビニル樹脂等の可塑剤として用いられる
カルボン酸エステルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、フタル酸ジアルキル等の可塑
剤を(無水)フタル酸と脂肪族アルコールとをエステル
化して工業的に製造する場合、エステル化反応用触媒と
して、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の強酸類やテト
ラアルキルチタネート等が知られている。特にテトラア
ルキルチタネートは、強酸触媒に比べてアルコールの脱
水等の副反応が少なく、着色のない高品質のカルボン酸
エステルが得られることから、広く用いられている。
【0003】しかしながら、テトラアルキルチタネート
は均一系触媒であるために、製品であるエステルとの分
離が難しいという問題がある。すなわち、フタル酸ジア
ルキル等の高沸点カルボン酸エステルを蒸留分離するこ
とは困難なため、反応終了後に触媒を加水分解して析出
させた上で、濾過分離する方法が一般に用いられてお
り、結果的に触媒の回収・再使用は行われておらず、ま
た、加水分解されたテトラアルキルチタネートが粘稠な
ゲル状となるために、濾過分離に長時間を要するという
問題があった。
【0004】この様な問題点を解決するために、担持ア
ルキルチタネート触媒、チタン含有金属酸化物触媒など
の不均一系チタン触媒が種々提案されている。担持アル
キルチタネート触媒は、表面に水酸基を有する無機化合
物を担体としてアルキルチタネートを担持させたもので
あり、例えば特開昭52−75684号公報には、シリ
カ、アルミナにテトラアルキルチタネートを担持させた
触媒の使用が開示されている。また、特開平2−628
49号公報には、シリカマグネシアに担持れたメチルチ
タネート触媒が開示されている。これらの触媒は均一系
チタネート触媒に匹敵する活性を発現するが、担体とチ
タネートとの結合が弱いため、チタンが溶出するという
問題があった。特に主にプラスチック製品の可塑剤とし
て使用されるフタル酸ジエステルの製造に使用する場
合、チタンの溶出は製品の体積固有抵抗値の低下を招
き、絶縁性不良など最終製品の品質に悪影響を与えるこ
とがあるので好ましくない。
【0005】一方、チタン含有金属酸化物触媒によるエ
ステル化反応については主にチタニアやシリカチタニア
を中心として種々の検討がなされているが、一般的には
活性が不十分であり、一方、水和チタニアなどのエステ
ル化活性が高い触媒の場合には、Collect.Cz
ech.Chem.Commun.(1984)、49
(1)、253に報告されているように、担持アルキル
チタネート触媒の場合と同様に、チタンが多量に溶出し
てしまうという問題があった。また特開平7−2757
01号公報には、高い酸濃度下でチタン化合物とシリコ
ン化合物を共沈させる方法によって得られたシリカチタ
ニア触媒が、高いエステル化活性を示すことが示されて
いるが、経時的に活性の低下が起こる点で問題がある。
このように不均一系チタン触媒の場合は、工業的に実施
できるレベルには未だ到達していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エス
テルの収率が良く、かつ触媒の回収・再使用が可能な、
カルボン酸エステルの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、カルボン酸及び/ま
たはその無水物とアルコールとを反応させてカルボン酸
エステルを製造するに際し、チタンと珪素の複合酸化物
であって、疎水性基を含有する触媒を使用することによ
り目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、カルボン酸及
び/またはその無水物とアルコールとを反応させてカル
ボン酸エステルを製造するに際し、チタンと珪素の複合
酸化物であって疎水性基を含有する触媒を使用すること
を特徴とするカルボン酸エステルの製造方法に存し、更
に該チタンと珪素の複合酸化物触媒が、アモルファス状
のシリカチタニアもしくはメソポーラス構造を有するチ
タノシリケートである上記のカルボン酸エステルの製造
方法、カルボン酸がフタル酸である上記のカルボン酸エ
ステルの製造方法及びアルコールが炭素原子数4〜18
の脂肪族一価アルコールである上記のカルボン酸エステ
ルの製造方法にも存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、まず本発明における疎水性
基を含有したチタンと珪素の複合酸化物触媒の調製方法
について詳述する。まず、本発明における疎水性基とし
ては、炭素数2〜18のアルキル基、フェニル基、ナフ
チル基、炭素数7〜18のアルキルフェニル基、及び炭
素数11〜20アルキルナフチル基が挙げられる。また
芳香環の一部及び全ての水素がフルオロ基で置換されて
いてもよい。中でも、芳香環を有する炭素数6〜18の
炭化水素基が好ましく、特にフェニル基及び炭素数7〜
18のアルキルフェニル基は原料の入手のしやすさに加
えて、エステル化反応の原料基質を相互作用をするため
に活性向上へとつながるので、特に有効である。
【0010】疎水性基を導入する方法としては、チタン
と珪素の複合酸化物を合成した後で疎水性基を含有した
ハロゲン化シラン類やアルコキシシラン類などを用いて
表面水酸基と反応させる方法、及びチタンと珪素の複合
酸化物を合成する段階で疎水基含有のアルコキシシラン
類やハロゲン化シラン類をテトラアルコキシシラン類や
テトラハロゲン化シランなどの疎水性基を有しない置換
シラン類に共存させて加水分解させる方法がある。後者
では珪素に直接疎水基が導入されるので200℃を越え
る温度に対しても安定である。従って特にフタル酸エス
テルの製造の場合のように高い反応温度が要求される場
合には、後者の方法が望ましい。
【0011】本発明におけるチタンと珪素の複合酸化物
としては、アモルファス状のシリカチタニアやTSー
1、TSー2、Ti−βに代表されるミクロポーラスチ
タノシリケートやTi−HMS、Ti−MCM−41に
代表されるメソポーラスチタノシリケートなどが挙げら
れる。特にエステル化反応にはアモルファス状のシリカ
チタニア及びメソポーラスチタノシリケートが有効であ
る。
【0012】まず、疎水性官能基を有するアモルファス
状のシリカチタニアの合成方法について述べる。本発明
におけるアモルファス状のシリカチタニア触媒は、2段
階の加水分解工程、すなわち、疎水性の官能基を有する
アルコキシシラン類及び/またはハロゲン化珪素類(以
下「疎水基含有アルコキシシラン類等」と記す)と疎水
性の官能基を有しないアルコキシシラン類及び/または
ハロゲン化珪素類(以下「アルコキシシラン類等」と記
す)を混合し部分的に加水分解する第一工程、及び、次
いで加水分解性のチタン化合物を加え、塩基性触媒の存
在下で加水分解する第二工程により調製される。空気中
の水分による加水分解を極力避けるため、該触媒の調製
は窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0013】本発明で用いられるアルコキシシラン類等
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブト
キシシラン、テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラ
ン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テト
ラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラフェノキ
シシラン、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、テト
ラクロロシラン、テトラフルオロシラン、トリ−n−ブ
トキシクロロシラン、トリ−i−プロポキシクロロシラ
ン等が挙げられる。特にテトラエトキシシランは入手が
容易であることから、好適に使用される。
【0014】本発明で用いられる疎水基含有アルコキシ
シラン類等としては、炭素数2〜18のアルキル基を有
するモノアルキルトリエトキシシラン、モノアルキルト
リメトキシシラン、ジアルキルジエトキシシラン、ジア
ルキルジメトキシシラン、芳香環を含有した炭素数6〜
18の炭化水素で置換されたアルコキシシラン類が挙げ
られる。もちろんフッ素で置換されたアルキル基及び芳
香環を有していてもよい。また炭素数2〜18のアルキ
ル基を有するモノアルキルトリクロロシラン、ジアルキ
ルジクロロシラン、芳香環を含有した炭素数6〜18の
炭化水素で置換されたクロロシラン類なども挙げられ
る。特にフェニルトリエトキシシランに代表される、芳
香環を含有した炭素数6〜18の炭化水素基でモノ置換
されたアルコキシシラン類が有効である。疎水性官能基
でジ置換されたものは、堅固なシリケートのネットワー
クを構築することができないため、熱安定性の点で劣る
ので好ましくない。また疎水性官能基については、炭素
数が小さいと十分な疎水性効果を発現できない。炭素数
が大きすぎると基質が細孔内を拡散する際の障害となり
エステル化活性は低下する。
【0015】また、疎水基含有アルコキシシラン類とア
ルコキシシラン類等を混合して使用する際の比率として
は「疎水基含有アルコキシシラン類/アルコキシシラン
類等」がモル比で2/98〜70/30が好ましく、更
には10/90〜60/40であるのが好ましい。疎水
基含有アルコキシシラン類の割合が少ないと十分な疎水
性効果が発揮できず、エステル化活性の向上にはつなが
らない。一方割合が大きすぎると堅固なシリケートのネ
ットワークを構築することができないため、触媒の熱安
定性が低下する。
【0016】疎水基含有アルコキシシラン類等とアルコ
キシシラン類等混合物を部分加水分解工程(第一工程)
においては、不均一に加水分解が進行することを防ぐた
めに、通常エタノール、2−プロパノールなどのアルコ
ールで希釈してから加水分解を行う。加水分解触媒とし
ては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などの酸類またはアンモ
ニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウ
ムなどの塩基を用いる。均一な加水分解を行うためには
酸を用いるのが好ましい。触媒の使用量は特に制限はな
いが、通常アルコキシシラン類等に対して0.01〜1
倍当量、好ましくは0.05〜0.5倍当量である。
【0017】添加する水の量はアルコキシシラン類等に
対して4倍当量未満、通常0.5〜3.5倍当量、好ま
しくは1〜2.5倍当量である。水が少なすぎても多す
ぎても、シリカチタニア中でチタンとシリコンの原子レ
ベルでの分散が不均一となりやすく安定性の良い(チタ
ン溶出量の少ない)シリカチタニア触媒は得られない。
添加する水の量をこのように調節することにより、アル
コキシシラン類等の部分加水分解物が得られる。部分加
水分解の程度は好ましくは10〜90%であり、更に好
ましくは25〜65%である。加水分解が過度に進行す
ると、その結果得られた加水分解生成物が重合し、シリ
カのオリゴマーが生成するので、前記したように安定性
の良いシリカチタニア触媒は得られない。
【0018】加水分解性のチタン化合物(以下、単に
「チタン化合物」と記す)としては、例えば、テトラメ
チルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラ−n
−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネー
ト、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチ
ルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート
などのアルキルチタネート類及びチタンジ−n−ブトキ
サイド(ビス−2、4−ペンタンジオネート)、チタン
オキシド(ビス−2、4−ペンタンジオネート)などの
チタンジケトネート類及び四塩化チタン、三塩化チタン
などのハロゲン化チタン類が挙げられる。好適には、取
り扱いが容易で安価である炭素原子数4〜8のアルキル
基を有するテトラアルキルチタネートが用いられる。チ
タン化合物/アルコキシシラン類等のモル比は通常0.
1/99.9〜50/50、好ましくは1/99〜10
/90の範囲が適当である。チタン化合物の割合が少な
いとシリカチタニアの活性が低下し、また多すぎるとシ
リカチタニア中のチタンの分散が不均一となり安定性が
低下するので好ましくない。
【0019】チタン化合物は通常エタノール、2−プロ
パノールなどのアルコールに分散させた後、部分加水分
解したアルコキシシラン類等と混合する。混合方法につ
いては特に制限はないが、複合酸化物中でチタンと珪素
とを均一に分散させるために、アルコキシシラン類等に
対して、チタン化合物を徐々に添加する方法が好まし
い。チタン化合物を添加した後で行う加水分解(第二工
程)は、塩基性触媒の存在下で進行させることが高いエ
ステル化活性を有するシリカチタニア触媒を得るために
必要である。
【0020】塩基性触媒としては、アンモニア、炭酸ア
ンモニウム、尿素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸カリウムなどが挙げられるが、乾燥及び焼成に
よって容易に除去できるので、アンモニアが好適であ
る。塩基性触媒の量は前記の部分加水分解において酸性
触媒を用いた場合には、通常その酸性触媒の1.1〜5
倍当量好ましくは1.5〜3倍当量とすればよく、塩基
性触媒を用いた場合には、反応系が塩基性になっている
ので、新たに塩基性触媒を添加しなくてもよい。加水分
解に用いる水の量は、通常チタン化合物とアルコキシシ
ラン類等の総量に対して0.25〜100倍当量、好ま
しくは2〜10倍当量である。水の量が少ないと加水分
解によるシリカチタニアの架橋構造の生成が不十分とな
り、シリカチタニア触媒の安定性が低下する。また水を
多量に用いても、後の濾過工程の負荷が増加するだけで
特に利点はない。前記の量の水を添加することにより、
加水分解(第二工程)の程度は理論的には100%とな
るが、実際は、架橋構造の生成の過程で該構造の内部に
取り込まれてしまい、加水分解を受けにくい部位も存在
するので、通常は95%〜99%程度である。塩基性触
媒は通常、水溶液の状態で系に添加するのが簡便でよい
が、さらにその水溶液がエタノール、2−プロパノール
などのアルコールで希釈されていてもよい。
【0021】塩基性触媒の存在下での加水分解及び続い
て起こる脱水縮合等により、ゾル状のシリカチタニアは
徐々にゲル化する。ゲルの熟成のためには、通常15〜
50℃の温度で、1〜14日の間静置するのが良い。こ
うして生成したゲルを常法によりろ過、洗浄、乾燥し、
さらに必要に応じて空気中で焼成を行う。焼成温度は通
常150℃〜600℃、特に150℃〜400℃が好ま
しい。
【0022】上記調製法に従うことにより、カルボン酸
エステルの製造に適した疎水性官能基を含有したアモル
ファス状のシリカチタニア触媒を得ることができる。次
にメソポーラスチタノシリケートに疎水性を導入する方
法について述べる。まず本発明におけるメソポーラスチ
タノシリケート触媒としては、Ti−HMS(WO96
/29297特許)やTi−MCM−41(J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,(1994)147)、Ti−MSU−1(Sci
ence,269,(1995)1242)などが挙げられる。特にTi−
HMSは触媒の型剤であるアルキルアミンが安価である
点、水熱処理を必要としない点、調製に要する時間が短
い点などで工業触媒として優れている。これらのメソポ
ーラスチタノシリケートはゾルゲル法で合成されるた
め、疎水性を導入するには合成する段階で疎水基含有の
アルコキシシラン類をテトラアルコキシシラン類に混合
する。疎水性官能基を含有するメソポーラスチタノシリ
ケートを調製するには、基本的にWO96/29297
等の文献記載の調製方法に従えばよいが、疎水基含有ア
ルコキシシラン等を原料に添加すること、及びアルコー
ル洗浄によりテンプレートを除去することが望ましい。
本発明で使用するメソポーラス構造のチタノシリケート
触媒は、粉末X線回折において、20〜80Åの面間隔
に相当するピークを有するものが好ましい。
【0023】本発明で用いられる疎水基含有アルコキシ
シラン類等としては、アモルファス状のシリカチタニア
の場合と同様であり、炭素数2〜18のアルキル基を有
するモノアルキルトリエトキシシラン、モノアルキルト
リメトキシシラン、ジアルキルジエトキシシラン、ジア
ルキルジメトキシシラン、芳香環を含有した炭素数6〜
18の炭化水素で置換されたアルコキシシラン類が挙げ
られる。もちろんフッ素で置換されたアルキル基及び芳
香環を有していてもよい。また炭素数2〜18のアルキ
ル基を有するモノアルキルトリクロロシラン、ジアルキ
ルジクロロシラン、芳香環を含有した炭素数6〜18の
炭化水素で置換されたクロロシラン類なども挙げられ
る。特にフェニルトリエトキシシランに代表される、芳
香環を含有した炭素数6〜18の炭化水素基でモノ置換
されたアルコキシシラン類が有効である。疎水性官能基
でジ置換されたものは、堅固なシリケートのネットワー
クを構築することができないため、熱安定性の点で劣る
ので好ましくない。また疎水性官能基については、炭素
数が小さいと十分な疎水性効果を発現できない。炭素数
が大きすぎると基質が細孔内を拡散する際の障害となり
エステル化活性は低下する。
【0024】また、疎水基含有アルコキシシラン類とア
ルコキシシラン類等を混合して使用する際の比率として
は「疎水基含有アルコキシシラン類/アルコキシシラン
類等」がモル比で2/98〜30/70好ましくは10
/90〜20/80である。疎水基含有アルコキシシラ
ン類の割合が少ないと十分な疎水性効果が発揮できず、
エステル化活性の向上にはつながらない。一方割合が大
きすぎると堅固なシリケートのネットワークを構築する
ことができないため、テンプレートを除去した後でメソ
ポーラス構造を維持できなくなり、エステル化活性が低
下する。また、テンプレートを除去する際には、エタノ
ール及びイソプロピルアルコールなどのアルコールや希
塩酸などの酸で洗浄するか、400℃以下の低温で焼成
する。高温で焼成すると、疎水性官能基の一部が燃焼ま
たは分解するので好ましくない。
【0025】次に本発明の触媒を用いたカルボン酸エス
テルの製造方法について述べる。カルボン酸及び/また
はその無水物をアルコールと不活性ガス雰囲気下で混合
し、さらに上述のようにして得られたシリカチタニア触
媒を添加し、通常はアルコールの還流下(一般に100
〜760mmHg、用いるアルコールの蒸気圧に応じ設
定する。)で60〜250℃の温度、好ましくは100
〜220℃の温度でエステル化反応を行う。生成する水
はアルコールとの共沸により反応系から除去される。こ
の際トルエンなどの共沸剤を用いることも可能である。
【0026】本発明におけるカルボン酸としては、安息
香酸、トルイル酸、α−及びβ−ナフトエ酸、o−、m
−及びp−エチル安息香酸、o−、m−及びp−フェニ
ル安息香酸などの炭素原子数7〜30の芳香族一価カル
ボン酸類や、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸な
どの脂肪族二価カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸、等の芳香族多価カルボン酸が挙げられる。特
に(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、アジピ
ン酸は可塑剤の原料として有用であり、本発明において
好適に用いられる。
【0027】アルコールとしては、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、t−ブタノール、イソアミルアルコール、n−ヘキ
サノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノー
ル、n−デカノール、イソデカノール、2−オクタノー
ル、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の脂
肪族飽和一価アルコール及びエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ
ール、ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ソ
ルビトール、グリセロール、ペンタエリスリトール等の
脂肪族多価アルコールが挙げられる。またこれらのアル
コールの混合物を用いてもよい。中でも炭素原子数4〜
18、更には4〜10の脂肪族飽和一価アルコールの単
独または混合物は、可塑剤の原料として有用である。特
に、上記した(無水)フタル酸、(無水)トリメリット
酸またはアジピン酸と前記のアルコールの単独または混
合物から得られたカルボン酸エステルは、可塑剤として
好適に使用されるので好ましい。
【0028】このような場合のアルコール/カルボン酸
(その無水物も含む)のモル比は通常1/1〜10/
1、好ましくは2/1〜5/1の範囲が適当である。モ
ル比の値が小さすぎるとカルボン酸及び/またはその無
水物のエステルへの転化率が高くなりにくく、一方、こ
の値が大きすぎると未反応アルコールの量が増加し、そ
の循環系に負担がかかり、好ましくない。シリカチタニ
ア触媒は濾過により容易に生成物と分離でき、濾別した
触媒はそのまま再使用が可能である。したがってバッチ
法のみならず連続法でもエステル化反応を実施すること
が出来る。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの
実施例により限定されるものではない。
【0030】実施例1 (フェニル基含有シリカチタニア触媒の調製)窒素雰囲
気下でテトラエトキシシラン45.5g(218.3ミ
リモル)、フェニルトリエトキシシラン52.5g(2
18.3ミリモル)及びエタノール300ミリリットル
をセパラブルフラスコ(1リットル)に秤取し室温下3
00rpmで攪拌した。次いであらかじめ調製しておい
たアルコール性希塩酸溶液(35wt%塩酸4.55
g、脱塩水15g、エタノール30ミリリットル)を滴
下ロートにより30分間かけて添加しテトラエトキシシ
ランの部分加水分解を行った。さらに30分間攪拌した
後、テトラ−n−ブチルチタネート4.59g(13.
5ミリモル)とエタノール30ミリリットルの混合物を
30分間かけて滴下した。更に30分間攪拌を継続した
後、28wt%アンモニア水4.5ミリリットルと脱塩
水30ミリリットルとの混合液を30分間かけて添加し
加水分解(第二工程)を行いゲル化させた。ついで8日
静置しゲルを熟成させた。得られた沈殿物をろ別し、ろ
液中に塩素イオン及びアンモニウムイオンが検出されな
くなるまで水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥し、フェ
ニル基で修飾したシリカチタニア37.9gを得た。
【0031】(カルボン酸エステル(ジオクチルフタレ
ート)の合成)攪拌棒、温度計、還流管、エステル管を
備えたフラスコに、無水フタル酸37g(0.25モ
ル)と2−エチルヘキサノール81.4g(0.625
モル)を加え常圧、窒素雰囲気下で210℃に保ち、生
成水を系外に除去しつつ0.5時間反応を行った。この
時点でNMR(核磁気共鳴スペクトル分析:(株)バリ
アン製UNITY−300使用)、酸価及び液体クロマ
トグラフィー(島津製作所製LC−6A使用)により反
応率を測定したところ、無水フタル酸の転化率は100
%、ジオクチルフタレート(DOP)の収率は68%で
あった。次いで、前記のようにして得られた疎水基修飾
シリカチタニア触媒1gを加え、再び210℃に保ち、
1時間常圧で反応をさせた後、徐々に減圧度を上げて
(560mmHgで0.5時間、460mmHgで0.
5時間、さらに360mmHgで0.5時間)反応を行
った。酸価測定及び液体クロマトグラフィーによりジオ
クチルフタレート(DOP)の生成量を求めた結果、収
率は99.8%であった。
【0032】実施例2 (フェニル基修飾メソポーラスチタノシリケート触媒)
窒素雰囲気下でテトラエトキシシラン56.2g(27
0ミリモル)、フェニルトリエトキシシラン7.2g
(30ミリモル)及びエタノール115ミリリットルを
フラスコ(500ミリリットル)に秤取し室温下300
rpmで撹拌した。これにテトラーi−プロピルチタネ
ート2.56g(9ミリモル)とイソプロピルアルコー
ル46ミリリットルの混合物を室温下10分間かけて添
加した。ついでこの混合物を70℃まで加熱し3時間保
持した後、室温まで冷却した。水115ミリリットル及
びドデシルアミン15.0gをセパラブルフラスコ(1
リットル)に秤取し400rpmで攪拌した中に、先ほ
ど調製したバイメタリックアルコキサイド溶液を約1時
間かけて添加した。ついで4時間攪拌を継続させた後に
約1日静置した。得られた沈殿物をろ別し、エタノール
2.8リットルで煮沸洗浄を3回繰り返してテンプレー
トを除去した後、80℃で減圧乾燥してフェニル基修飾
メソポーラスチタノシリケート20.5gを得た。粉末
X線回折分析(リガクRINT1500使用)によりこの触媒は
図1に示すように36.0Åの面間隔に相当するピーク
を有することがわかった。これを触媒として用いて実施
例1と同様にしてエステル化反応を開始し、1時間常圧
で反応をさせた段階で反応を終了したところDOPの収
率は95.0%であった。
【0033】比較例1 (無修飾シリカチタニア触媒)窒素雰囲気下でテトラエ
トキシシラン60.6g(291ミリモル)及びエタノ
ール150ミリリットルをセパラブルフラスコ(1リッ
トル)に秤取し室温下300rpmで攪拌した。次いで
あらかじめ調製しておいたアルコール性希塩酸溶液(3
5wt%塩酸3.03g、脱塩水10g、エタノール2
0ミリリットル)を滴下ロートにより30分間かけて添
加しテトラエトキシシランの部分加水分解を行った。さ
らに30分間攪拌した後、テトラ−n−ブチルチタネー
ト3.06g(9ミリモル)とエタノール20ミリリッ
トルの混合物を30分間かけて滴下した。更に30分間
攪拌を継続した後、28wt%アンモニア水3ミリリッ
トルと脱塩水20ミリリットルとの混合液を30分間か
けて添加し加水分解(第二工程)を行いゲル化させた。
ついで10日静置しゲルを熟成させた。得られた沈殿物
をろ別し、ろ液中に塩素イオン及びアンモニウムイオン
が検出されなくなるまで水で洗浄した後、70℃で減圧
乾燥した。得られた固体をJIS50メッシュ篩全通と
なるまで乳ばちを用いて粉砕し、空気流通下400℃で
3時間焼成し、シリカチタニア18.1gを得た。これ
を触媒として用いて実施例1と同様にしてカルボン酸エ
ステルの合成を行ったところ、DOPの収率を求めたと
ころ99.5%であった。
【0034】比較例2 (無修飾メソポーラスチタノシリケート触媒)窒素雰囲
気下でテトラエトキシシラン62.5g(300ミリモ
ル)及びエタノール115ミリリットルをフラスコ(5
00ミリリットル)に秤取し室温下300rpmで撹拌
した。これにテトラーi−プロピルチタネート2.56
g(9ミリモル)とイソプロピルアルコール46ミリリ
ットルの混合物を室温下10分間かけて添加した。つい
でこの混合物を70℃まで加熱し3時間保持した後、室
温まで冷却した。水115ミリリットル及びドデシルア
ミン15.0gをセパラブルフラスコ(1リットル)に
秤取し400rpmで攪拌した中に、先ほど調製したバ
イメタリックアルコキサイド溶液を約1時間かけて添加
した。ついで4時間攪拌を継続させた後に約1日静置し
た。得られた沈殿物をろ別し、水で1回洗浄した後、8
0℃で減圧乾燥した。得られた固体を窒素流通下500
℃で1時間焼成した後、引き続き空気流通下650℃で
4時間焼成し、メソポーラスチタノシリケート18.1
gを得た。これを触媒として用いて実施例2と同様にし
てエステル化反応を行ったところ、DOPの収率は9
4.3%であった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、高収率で、チタン混入
が少ない高品質なカルボン酸エステルが得られ、また、
使用した触媒の再使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた触媒の粉末X線回折図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸及び/またはその無水物とア
    ルコールとを反応させてカルボン酸エステルを製造する
    に際し、チタンと珪素の複合酸化物であって疎水性基を
    有する触媒を使用することを特徴とするカルボン酸エス
    テルの製造方法。
  2. 【請求項2】 チタンと珪素の複合酸化物がアモルファ
    ス状のシリカチタニアである請求項1に記載のカルボン
    酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 チタンと珪素の複合酸化物がメソポーラ
    ス構造を有するチタノシリケートである請求項1に記載
    のカルボン酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 チタンと珪素の複合酸化物が粉末X線回
    折分析において20〜80Åの面間隔に相当するピーク
    を有するメソポーラス構造のチタノシリケートである請
    求項1または3に記載のカルボン酸エステルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 疎水性基が炭素数2〜18のアルキル基
    または芳香環を有する炭素数6〜18の炭化水素基であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルボン酸エス
    テルの製造方法。
  6. 【請求項6】 カルボン酸がフタル酸である請求項1〜
    5のいずれかに記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 アルコールが炭素原子数4〜18の脂肪
    族一価アルコールである請求項1〜6のいずれか1項に
    記載のカルボン酸エステルの製造方法。
JP9303876A 1997-11-06 1997-11-06 カルボン酸エステルの製造方法 Pending JPH11140025A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9303876A JPH11140025A (ja) 1997-11-06 1997-11-06 カルボン酸エステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9303876A JPH11140025A (ja) 1997-11-06 1997-11-06 カルボン酸エステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11140025A true JPH11140025A (ja) 1999-05-25

Family

ID=17926345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9303876A Pending JPH11140025A (ja) 1997-11-06 1997-11-06 カルボン酸エステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11140025A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011001281A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Kao Corp グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法
JP2012016648A (ja) * 2010-07-07 2012-01-26 Dic Corp シリカ粒子分散体を触媒とするエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法
JP2016517840A (ja) * 2013-04-17 2016-06-20 ビーエーエスエフ コーポレーション 第4族金属のケイ酸塩の製造方法及びその使用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011001281A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Kao Corp グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法
JP2012016648A (ja) * 2010-07-07 2012-01-26 Dic Corp シリカ粒子分散体を触媒とするエステル化反応物又はウレタン化反応物の製造方法
JP2016517840A (ja) * 2013-04-17 2016-06-20 ビーエーエスエフ コーポレーション 第4族金属のケイ酸塩の製造方法及びその使用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100596348B1 (ko) 프로필렌 옥사이드의 제조방법
KR20070121058A (ko) 실릴이소시아누레이트의 제조방법
KR100626104B1 (ko) 프로필렌 옥사이드의 제조방법
JPS63190648A (ja) ヒドロシリル化触媒の製造方法
JP2002542030A (ja) 炭化水素の部分的酸化用の触媒としての貴金属含有ゾル−ゲルハイブリッド物質
US5656252A (en) Process for obtaining zeolites containing titanium
JPH11140025A (ja) カルボン酸エステルの製造方法
CN1177758C (zh) 含钛沸石的生产方法
JP3837751B2 (ja) プロピレンオキシドの製法
KR101493996B1 (ko) 폴리에스테르 합성 복합 촉매의 제조방법
CN108786778B (zh) 一种硅酸锆改性介孔氧化硅催化剂及其制备方法和应用
US5149881A (en) Method for producing methyl isobutyl ketone
JPH10330111A (ja) 多孔性チタノシリケート及びその製造方法
US5003114A (en) Hydroxylation of phenols/phenol ethers
JPH107621A (ja) カルボン酸エステルの製造方法
JPH10287623A (ja) カルボン酸エステルの製造方法
JPH10168030A (ja) カルボン酸エステルの製造方法
JP4399913B2 (ja) オキシラン化合物の製造方法
JP3018183B1 (ja) ケイ素系複合酸化物の製造方法
JPH03150262A (ja) コージェライトの製造方法
JP2585295B2 (ja) ビニルシラン類の製造方法
JP2000107605A (ja) チタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法
JPH11140026A (ja) カルボン酸エステルの製造方法
CN113429573B (zh) 一种超声钠缩合制备聚二甲基硅烷的方法及聚二甲基硅烷
CN110339858B (zh) 用于合成甲基苯基碳酸酯的Bi2O3-PbO-SBA-15催化剂、制备方法及应用