JP2011001281A - グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒を用いない簡単なプロセスで、高転化率下に高い選択率でグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)R1−COOH(R1は炭素数8〜25のアルキル基)で表される脂肪酸とグリセリンとを、一般式(2)で表される疎水基で表面修飾されたシリカ粒子の存在下に反応させる、グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法である。
Figure 2011001281

(式中、R2はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を示し、nは1〜3の整数、k及びmはそれぞれ0又は1、(k+m)は(3−n)である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、溶媒を用いない簡単なプロセスで、高転化率下に高い選択率でグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法に関する。
グリセリンモノ脂肪酸エステル(以下、「モノグリセリド」ともいう)は、食品添加剤、化粧品等の乳化剤や保湿剤、工業用乳化剤、帯電防止剤、潤滑油の油性剤等として有用で広く用いられている。
このモノグリセリドは、通常グリセリンと脂肪酸から直接エステル化反応により、又はグリセリンと油脂のエステル交換反応により製造されている。これらの反応では、一般に、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドの混合物が生成し、グリセリンを除いて計算したモノグリセリドの含量は、エステル混合物中約40〜50質量%である。
このため、高純度グリセリンモノ脂肪酸エステルを得る方法としては、直接油脂とグリセリンをアルカリ触媒存在下で反応させ、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステルの混合物を得た後、分子蒸留にてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみを得る方法がとられている。しかし、この方法はグリセリンモノ脂肪酸エステル以外の生成物の回収と再反応を行うため、設備が大掛かりとなる。
これに対し、有機溶剤を用いることで直接高純度グリセリンモノ脂肪酸エステルを得る方法が知られている。
例えば、特許文献1には、アルカリ触媒、脂肪酸又は脂肪酸アルキルエステルにグリセリンを混合して反応させた後、その反応混合物を有機溶剤とアルカリ触媒との存在下にエステル交換反応させるモノグリセリドの製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は2段階の工程が必要で生産性に問題がある。
特許文献2には、無触媒で溶媒として乳酸メチルを使用したグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造法が開示されており、特許文献3には、酸触媒、溶媒としてt−ブタノールを使用したグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造法が開示されている。しかしながら、特許文献2及び3の方法は、プロトン性の溶媒を用いているため、グリセリンや脂肪酸と反応し、選択性を低下させるおそれがある。
更に、特許文献4には、グリセリンと脂肪酸に対して撹拌羽根の先端周速が3m/s以上、かつパス回数0.1回/hr以上となる混合操作を含むモノグリセリドの製法が開示されている。この方法では、触媒や溶媒を用いることなく、グリセリンと脂肪酸から直接、短時間でモノグリセリド含量55質量%以上の生成物を得ることができる。
特許文献5には、脂肪酸と、ケトン又はアルデヒドと、グリセリン類とを、触媒の存在下で反応させて、α−モノグリセリドケタールを得たのち、該ケタールを脱ケタール化して、α−モノグリセリドを製造する方法が開示されている。この方法では、純度90%以上の高品質のα−モノグリセリドを製造することができる。
特開平1−268663号公報 米国特許出願公開第2002−0120159号明細書 欧州特許出願公開第1672053号明細書 特開2003−252829号公報 特開2001−181271号公報
本発明は、溶媒を用いない簡単なプロセスで、高転化率下に高い選択率でグリセリンモノ脂肪酸エステルを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、脂肪酸とグリセリンとを、疎水化シリカ粒子の存在下に、反応させることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(1)
1−COOH (1)
(式中、R1は炭素数8〜25のアルキル基を示す。)
で表される脂肪酸とグリセリンとを、一般式(2)
Figure 2011001281
(式中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は環上に炭化水素基を有していてもよい、総炭素数6〜30のアリール基若しくは総炭素数7〜30のアラルキル基を示し、nは1〜3の整数、結合手の数k及びmはそれぞれ0又は1、(k+m)は(3−n)である。nが2又は3である場合、複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。)
で表される疎水基で表面修飾されたシリカ粒子の存在下に反応させる、グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法を提供する。
本発明によれば、高脂肪酸転化率下に高選択率で、例えば脂肪酸転化率90%以上において、グリセリンモノ脂肪酸エステルを、選択率60%以上で効率よく製造することができる。
本発明のグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法は、下記一般式(1)で表される脂肪酸とグリセリンとを、下記一般式(2)で表される疎水基で表面修飾されたシリカ粒子の存在下に反応させることを特徴とする。
[脂肪酸]
本発明において原料として用いられる脂肪酸は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
1−COOH (1)
一般式(1)において、R1は炭素数8〜25のアルキル基を示す。このアルキル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数11〜21、より好ましくは炭素数13〜17のアルキル基である。
1の具体例としては、各種ノニル基、各種ウンデシル基、各種トリデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘプタデシル基、各種ノナデシル基等の各種アルキル基を挙げることができる。なお、各種アルキル基とは、同一炭素数のアルキル基における各種の異性体をいう。
一般式(1)で表される脂肪酸の具体例としては、各種デカン酸、各種ドデカン酸、各種テトラデカン酸、各種ヘキサデカン酸、各種オクタデカン酸、各種イコサン酸等の各種アルカン酸を挙げることができる。なお、各種アルカン酸とは、同一炭素数のアルカン酸における各種の異性体をいう。
これらの脂肪酸の中では、得られるグリセリンモノ脂肪酸エステルの用途及び原料脂肪酸入手の容易さの観点から、直鎖状の脂肪酸が好ましく、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸等がより好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が更に好ましい。
上記の脂肪酸は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[疎水基で表面修飾されたシリカ粒子]
本発明においては、前記の脂肪酸とグリセリンとを、疎水基で表面修飾されたシリカ粒子(以下、「疎水化シリカ粒子」ともいう)の存在下に反応させる。
疎水化シリカ粒子の原料となるシリカ粉末に特に制限はない。例えば、(i)四塩化ケイ素等のハロゲン化シランを、蒸気相酸化により生成させ、ヒュームドシリカと称せられる乾式シリカ粉末、及び(ii)水ガラスやテトラアルコキシシラン等から製造されるいわゆる湿式シリカ粉末のいずれも使用することができるが、表面及び内部にあるシラノール基が少ない乾式シリカ粉末が好ましい。
(表面修飾に用いる疎水基)
当該疎水化シリカ粒子においては、表面修飾に、下記一般式(2)で表される疎水基を用いる。
Figure 2011001281
一般式(2)において、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は環上に炭化水素基を有してもよい、総炭素数6〜30のアリール基若しくは総炭素数7〜30のアラルキル基を示し、nは1〜3の整数、結合手の数k及びmはそれぞれ0又は1、(k+m)は(3−n)である。nが2又は3である場合、複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。k及びmが0の場合は、k及びmの結合手がないことを意味する。
2である炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基等の各種アルキル基が挙げられる。
2である炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種イコセニル基等の各種アルケニル基が挙げられる。なお、各種アルケニル基とは、同一炭素数のアルケニル基における各種の異性体をいう。
2である環上に炭化水素基を有していてもよい、総炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等が挙げられる。これらのアリール基は、環上に1つ又は複数の炭化水素基を、該アリール基を含む総炭素数が7〜30の範囲内で有していてもよい。この環上に有していてもよい炭化水素基としては、前記の炭素数1〜20の各種アルキル基や炭素数2〜20の各種アルケニル基が挙げられる。
2である環上に炭化水素基を有していてもよい、総炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、各種ナフチルメチル基、各種ナフチルエチル基、各種3−ナフチルプロピル基等が挙げられる。これらのアラルキル基は、環上に1つ又は複数の炭化水素基を、該アラルキル基を含む総炭素数が8〜30の範囲内で有していてもよい。この環上に有していてもよい炭化水素基としては、前記の炭素数1〜20の各種アルキルや炭素数2〜20の各種アルケニル基が挙げられる。
前記一般式(2)で表される疎水基としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基;アルケニル基の炭素数が2〜20のトリアルケニルシリル基、ジアルケニルシリル基、モノアルケニルシリル基;環上に炭化水素基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基を有する、トリアリールシリル基、ジアリールシリル基、モノアリールシリル基;環上に炭化水素基を有してもよい総炭素数7〜30のアラルキル基を有する、トリアラルキルシリル基、ジアラルキルシリル基、モノアラルキルシリル基が挙げられる。
これらの疎水基の中では、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、トリアリールシリル基、ジアリールシリル基、及びモノアリールシリル基が好ましく、トリアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、及びモノアリールシリル基がより好ましく、トリアルキルシリル基が更に好ましい。
前記トリアルキルシリル基の代表例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基等が挙げられ、モノアルキルシリル基の代表例としては、プロピルシリル基、ヘキシルシリル基、オクタデシルシリル基等が挙げられ、モノアリールシリル基の代表例としては、フェニルシリル基、ナフチルシリル基等が挙げられる。
このような疎水基を与える表面修飾剤としては特に制限はないが、例えばヘキサメチルジシラザン、トリプロピルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記の表面修飾剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記表面修飾剤の使用量は、シリカ粒子の疎水化の観点から、該表面修飾剤由来の疎水基の量が、用いるシリカ粉末に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは5〜30質量%になるように調整することが望ましい。
(シリカ粒子の表面修飾)
前記表面修飾剤を使用し、シリカ粒子表面を疎水基で修飾して、疎水化シリカ粒子を得る方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
すなわち、トルエン等の適当な溶媒中で、所定量のシリカ粉末と表面修飾剤とを、好ましくは不活性ガスの雰囲気下、20〜180℃程度の温度において、1〜24時間程度反応を行い、反応終了後、固形分を濾取し、洗浄後、40〜120℃程度の温度で乾燥処理することにより、疎水化シリカ粉末を得ることができる。
このようにして得られた疎水化シリカ粉末におけるシリカ粒子の修飾基量及び疎水化度の測定は、以下のように行うことができる。
<修飾基量の測定>
差動型示唆熱天秤を用いて、空気流通(300mL/min)下、60℃から700℃まで10℃/minの速度で昇温する。700℃で残存した質量をシリカの質量とし、減量分を修飾基の質量として、単位質量あたりの修飾基量(mmol/g)を算出する。
<疎水化度の測定>
疎水化度は濡れ張力(mNm-2)で評価する。具体的には、様々な濡れ張力を有する濡れ張力試験液の液滴上に、疎水化シリカ粉末を落としたときに、粉末が弾かれるか染み込むかを調べる。濡れ張力が大きくなるほど親水的であり、その液より疎水性の高い粉末は染み込むことなく弾かれることとなる。したがって粉末が染み込むことのできる溶液の最大の濡れ張力を、その粉末の疎水化度とする。
このようにして表面修飾された疎水化シリカ粉末の修飾基量は、単位質量あたり、通常0.01〜2mmol/g程度、好ましくは0.1〜1mmol/gである。
また、疎水化度は、通常25〜60mNm-2程度、好ましくは35〜50mNm-2である。
本発明においては、疎水化に用いられる原料のシリカ粒子の平均一次粒子径は、懸濁性の観点から、0.01〜1μm程度が好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。なお、この平均一次粒子径は、株式会社堀場製作所製のレーザー/散乱式粒度分布測定装置、LA−920を用いて測定した値である。なお、表面修飾を行うことによって疎水化されたシリカ粒子の平均一次粒子径は、原料のシリカ粒子の平均一次粒子径と殆ど変化はなかった。
本発明においては、当該疎水化シリカ粉末の使用量は、グリセリンモノ脂肪酸エステルの選択性及び操作性等の観点から、脂肪酸に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
[酸触媒]
本発明の方法においては、触媒として酸触媒が用いられる。この酸触媒は、反応性の観点から、25℃における酸解離指数(pKa)が3以下のものが好ましく、2以下のものがより好ましい。
その具体例としては、硫酸(水溶液中2段目pKa:1.9)、リン酸(pKa:2.2)、パラトルエンスルホン酸(pKa:−2.6)、ベンゼンスルホン酸(pKa:−6.5)、トリフルオロメタンスルホン酸(pKa:−13)及びナフィオン[デュポン社の登録商標、ペルフルオロスルホン酸/PTFE共重合体]分散液(pKa:約−6)等の有機スルホン酸、リンタングステン酸(pKa:1.6)、リンモリブデン酸(pKa:2.4)等のヘテロポリ酸等が挙げられる。これらの中では、硫酸及び有機スルホン酸が好ましく、特に硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
上記の酸触媒は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸解離指数(pKa)は、例えば日本化学会編の化学便覧(改訂3版、昭和59年6月25日、丸善株式会社発行)に記載の酸解離指数等を利用することができる。
酸触媒の使用量は、反応速度及び副反応抑制の観点から、脂肪酸に対して1〜20モル%が好ましく、2〜17モル%がより好ましく、5〜15モル%が更に好ましい。
また、原料として用いるグリセリンとしては、特に制限はないが、純度95%以上のものが好ましい。
グリセリンの仕込み量は、反応速度及びモノグリセリドの選択性等の観点から、脂肪酸に対して1〜25モル倍が好ましく、3〜20モル倍がより好ましく、5〜20モル倍が更に好ましい。
反応温度は、反応速度、グリセリンモノ脂肪酸エステルの選択性、副反応抑制等の観点から、80〜180℃が好ましく、90〜160℃がより好ましく、100〜140℃が更に好ましい。
反応は、攪拌下、反応速度向上のために、通常0.01〜0.09MPa程度の減圧下、又は常圧で反応系内に窒素を導入し、生成する水を系外に除去しながら行うことが好ましい。
反応時間としては、脂肪酸転化率が90%以上になるような時間が望ましい。該反応時間は、反応温度及び酸触媒や疎水化シリカ粉末の使用量等に左右されるが、通常0.5〜10時間程度、好ましくは1〜5時間である。
本発明の製造方法によれば、脂肪酸転化率が90%以上に達し、しかもグリセリンモノ脂肪酸エステルの選択率は、通常60モル%以上となる。また、副生物は通常40モル%未満の割合で生成するが、それは主としてグリセリンジ脂肪酸エステルである。
本発明においては、上記のようにして得られた反応物をろ過等の手段で疎水化シリカ粒子を除去後、余剰のグリセリンを減圧留去したのち、水洗等により酸触媒を除去することにより、純度約65%以上のグリセリンモノ脂肪酸エステルを得ることができる。
この純度約65%以上のモノグリセリン脂肪酸エステルは、食品添加剤、化粧品等の乳化剤や保湿剤、工業用乳化剤、帯電防止剤、潤滑油の油性剤等として有用である。
なお、本発明における選択性向上の理由は解明されているわけではないが、脂肪酸とグリセリンの界面では、酸触媒によりグリセリンモノ脂肪酸エステル生成反応が有利に進行し、選択性低下の原因となる過剰反応やエステル交換反応は主に脂肪酸層中で進行すると考えられる。本発明においては、疎水化シリカ粒子を、脂肪酸とグリセリンとの反応系に加えることにより、脂肪酸で濡れた疎水化シリカ粒子がグリセリン層に懸濁し、脂肪酸とグリセリンとの界面の面積が増大し接触効率が高くなるため、グリセリンモノ脂肪酸エステルの選択性が向上すると考えられる。
(1)修飾基量の測定
差動型示唆熱天秤として、理学電気工業株式会社製の「Thermo plus TG8120」を用い、明細書本文記載の方法に従って、修飾基量を測定した。
(2)疎水化度の測定
濡れ張力試験液として、和光純薬工業株式会社製のものを用い、明細書本文記載の方法に従って、疎水化度を測定した。
製造例(疎水化シリカ粉末の製造)
攪拌装置付きフラスコに、シリカ粉末(日揮触媒化成株式会社製、「COSMO 55」、平均粒径500nm)10g、トルエン(和光純薬工業株式会社製)250ml及び表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン(和光純薬工業株式会社製)20gを仕込み、攪拌下、窒素雰囲気、120℃で還流させながら24時間反応を行った。冷却後、濾過、エタノール洗浄を行い、100℃で乾燥させ、トリメチルシリル基で表面修飾したシリカ粉末COSMO 55(TMS−C)を得た。
同様の方法で、表1のように表面修飾剤を変更し、種々の修飾基で表面修飾したシリカ粉末を製造した。
得られた疎水化シリカ粉末の修飾基量、及び疎水化度を表1に示す。
Figure 2011001281
実施例1
攪拌装置付きフラスコに、グリセリン(花王株式会社製、局方グリセリン)55.2g(0.60モル)、パルミチン酸(花王株式会社製、商品名:ルナックP−95)7.8g(0.03モル)、触媒としてパラトルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業株式会社製)0.58g(0.003モル)及び疎水化シリカ粉末としてTMS−Cを0.78g(脂肪酸に対して0.1質量倍)を仕込み、攪拌下100℃にて窒素を系内に流通させながら(窒素流通量:250mL/min)、2.5時間反応を行った。
反応終了後の溶液はトリメチルシリル化した後、ガスクロマトグラフィー[カラム:Ultra−alloyキャピラリーカラム15.0m×250μm(Frontier Laboratories社製)、検出器:FID、インジェクション温度:300℃、ディテクター温度:350℃、He流量:4.6mL/min.]にて分析し、生成物を定量した。
その結果、脂肪酸転化率90%、モノグリセリド選択率73モル%であった。
なお、脂肪酸転化率及びモノグリセリド選択率は、以下の式により算出した。
脂肪酸転化率(%)=[残存脂肪酸のモル量/原料脂肪酸の仕込みモル量]×100
モノグリセリド選択率(モル%)=[生成モノグリセリドのモル量/(生成モノグリセリドのモル量+生成ジグリセリドのモル量+生成トリグリセリドのモル量)]×100
製造条件及び結果を表2に示す。
実施例2〜7及び比較例1、2
表2に示す製造条件にて、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
Figure 2011001281
表2から、実施例1〜7の製造方法によれば、反応時間が2.5〜3時間で、脂肪酸転化率が91〜93%に達し、グリセリンモノ脂肪酸エステル(モノグリセリド)の選択率が61〜75モル%である。
これに対し、シリカ粉末を加えていない比較例1は、反応時間が3時間で、脂肪酸転化率が92%に達しているが、グリセリンモノ脂肪酸エステルの選択率は55モル%と低い。
また、疎水基で表面修飾されていないシリカ粉末を加えた比較例2では、反応時間が3時間で、脂肪酸転化率が91%に達しているが、グリセリンモノ脂肪酸エステルの選択率は56モル%と低く、シリカ粉末を加えた効果は、実質上発揮されていない。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    1−COOH (1)
    (式中、R1は炭素数8〜25のアルキル基を示す。)
    で表される脂肪酸とグリセリンとを、一般式(2)
    Figure 2011001281
    (式中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は環上に炭化水素基を有していてもよい、総炭素数6〜30のアリール基若しくは総炭素数7〜30のアラルキル基を示し、nは1〜3の整数、結合手の数k及びmはそれぞれ0又は1、(k+m)は(3−n)である。nが2又は3である場合、複数のR2は互いに同一でも異なっていてもよい。)
    で表される疎水基で表面修飾されたシリカ粒子の存在下に反応させる、グリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  2. シリカ粒子がトリアルキルシリル基で表面修飾されたシリカ粒子である、請求項1に記載のグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  3. シリカ粒子の平均一次粒子径が0.01〜1μmである、請求項1又は2に記載のグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  4. 脂肪酸とグリセリンとを、25℃における酸解離定数(pKa)が3以下である酸触媒の存在下に反応させる、請求項1〜3のいずれかに記載のグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
  5. 酸触媒が、有機スルホン酸及び硫酸の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のグリセリンモノ脂肪酸エステルの製造方法。
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