JP5281344B2 - 光拡散シート用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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本発明は、光拡散シート用積層ポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等、光の反射による干渉ムラの軽減、および光拡散層やスティッキング防止層との良好な密着性が必要な各種光学用の積層ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイがテレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、液晶表示ユニット単独では発光機能を有していないので、裏側からバックライトを使用して光を照射することにより表示させる方式が普及している。
バックライト方式には、エッジライト型あるいは直下型と呼ばれる構造がある。最近は液晶ディスプレイを薄型化する傾向があり、エッジライト型を採用する場合が多くなってきている。エッジライト型は、一般的には、反射シート、導光板、光拡散シート、プリズムシートの順で構成されている。光線の流れとしては、バックライトから導光板に入射した光線が反射シートで反射され、導光板の表面から出射される。導光板から出射された光線は光拡散シートに入射し、光拡散シートで拡散・出射され、次に存在するプリズムシートに入射する。プリズムシートで光線は法線方向に集光させられ、液晶層に向けて出射される。
本構成で使用される光拡散シートは、透過する光を多方向で均一に拡散させるために用いられており、光拡散性が大きいことや、光透過性が高いことが必要である。光拡散シートとしては、仕上げ加工の際に加熱・加圧によってシート表面に凹凸をつける、いわゆるエンボス加工を施したものや、透明基材フィルム上に、粒子を含有した透明樹脂からなる光拡散層をコーティングにより作成したものが知られている。また、光拡散シートにおいて、透明基材フィルムの光拡散層とは反対側の面に、光拡散シートと導光板とのスティッキング(部分的密着)を防止する等のために、バインダーと少量のビーズを含有するスティッキング防止層を形成することも提案されている(特許文献1〜3)。
光拡散シートを形成する透明基材フィルムとしては、透明性、機械特性を考慮してポリエステルフィルムが一般的に使用され、基材のポリエステルフィルムと光拡散層あるいはスティッキング防止層との密着性を向上させるために、これらの中間層として易接着性の塗布層が設けられる場合が一般的である。
近年、液晶ディスプレイ分野では、さらなる大画面化および高画質化が求められてきている。それに伴い特に蛍光灯下での虹彩状色彩(干渉ムラ)の抑制に対する要求レベルが高くなってきている。また、蛍光灯は昼光色の再現性のため3波長形が主流となってきており、より干渉ムラが出やすくなっている。光拡散層側は光が高度に拡散されるため、干渉ムラは発生しにくいが、スティッキング防止層側は光の拡散性が高くないため、光拡散層に比べて干渉ムラが発生しやすい状況にある。そのため、特にスティッキング防止層側においては、ポリエステルフィルム上に積層する塗布層の光学設計が重要になってきている。具体的には、ポリエステル基材の屈折率と光拡散層あるいはスティッキング防止層に使用される樹脂の屈折率との間となるように調整した高めの屈折率を有する塗布層が求められている。
塗布層の屈折率を調整しないと、干渉ムラの発生を十分に抑えられない場合がある。干渉ムラが顕著に発生しているフィルムを、液晶ディスプレイとして使用すると、視認性の悪化による各種不具合が顕在化する場合がある。また、干渉ムラにより引き起こされた視認性の悪化による各種不具合で、目の疲労や健康障害を起こす要因になることも考えられる。
そのため、塗布層の屈折率を高くして、干渉ムラを改善することが望まれている。例えば、光拡散層側の干渉ムラを軽減する方法としては、水性ポリエステル樹脂と水溶性のチタンキレート化合物等の金属キレート化合物を組み合わせて、塗布層の屈折率を高くする方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、水溶液中では金属キレート化合物の不安定さから、組み合わせによっては塗布液の安定性が十分でない場合があり、長時間の生産を行う場合、液交換作業の増加を招く可能性がある。また、当該塗布層構成では、光拡散層に使用する樹脂や耐久試験の条件によっては密着性が十分でない場合がある。
特開2000−89007号公報 特開2004−4598号公報 特開2007−286166号公報 特開2006−208993号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光の反射による干渉ムラの発生を軽減すること、および光拡散層やスティッキング防止層に対して良好な密着性を有することが求められる用途、例えば液晶ディスプレイのバックライトユニット等において好適に利用することができる光拡散シート用積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムを構成する主成分が、下記式(1)および(2)を同時に満足する量のチタン化合物およびリン化合物を含有するポリエステルであるポリエステルフィルムの両面に、メラミン化合物と15〜80重量%のウレタン樹脂とを含有する塗布層を有し、当該塗布層表面からの絶対反射率の極小値が波長350nm以上750nm以下の範囲に存在し、波長350nm以上550nm未満の範囲に極小値が存在する場合、当該極小値が3.0〜3.8%の範囲であり、波長550nm以上750nm以下の範囲に極小値が存在する場合、当該極小値が2.8〜3.6%であることを特徴とする光拡散シート用積層ポリエステルフィルムに存する。
1≦WTi≦20 …(1)
1≦W≦300 …(2)
(上記式中、WTiはポリエステルフィルム中のチタン元素含有量(ppm)、Wはポリエステルフィルム中のリン元素含有量(ppm)を示す)
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全体の主成分として、チタン化合物およびリン化合物の双方を含有する層を有することが好ましい。当該層において、チタン元素含有量は、20ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm以下であり、下限は通常1ppmであるが、好ましくは2ppmである。一方、リン元素含有量は、通常1ppm以上、好ましくは5ppm以上であり、上限は好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。すなわち、ポリエステルフィルムの主成分が、下記式(1)および(2)を同時に満足する量のチタン化合物およびリン化合物を含有することが好ましい。
1≦WTi≦20 …(1)
1≦W≦300 …(2)
(上記式中、WTiはポリエステルフィルム中のチタン元素含有量(ppm)、Wはポリエステルフィルム中のリン元素含有量(ppm)を示す)
上記チタン化合物およびリン化合物の双方を含有する層において、チタン化合物の含有量が多すぎると、溶融押出工程において、チタン化合物の高い活性のため、ポリエステルが分解してオリゴマーが副生したり、黄色の着色が発生したりする場合がある。また、リン化合物は上記の範囲で使用することにより、チタン化合物の活性を適度に調製することができる。リン化合物の含有量が多すぎると、ゲル化が起こり、異物となってフィルムの品質を低下させる原因となる場合があり、少なすぎるとチタン化合物の活性を十分に抑えることができず、オリゴマーの副生や、黄色の着色の発生を十分に制御することができない場合がある。
また、上記チタン化合物およびリン化合物を含有する層中には、アンチモン元素を含まないことが好ましく、通常は100ppm以下、好ましくは60ppm以下、さらに好ましくは、10ppm以下である。アンチモン元素の量が多すぎると、溶融押出する際に、凝集して異物の原因となったり、フィルムが黒ずみ、透明性が損なわれたりする恐れがある。
チタン化合物を触媒とすることにより、アンチモンを使用したときのような黒ずみを防止し、透明性に極めて優れたフィルムとすることができ、かつリン化合物を同時に配合することにより、フィルムの色調を悪化させないという効果を発揮する。具体的にはアンチモンを触媒とするよりも、輝度が向上し、光拡散シート用積層ポリエステルとしてはより好ましい状態となる(特開2007−86562号公報)。特に近年、液晶ディスプレイのバックライトユニットにおいて、ランプの数を減らす等により、消費電力を削減する方向にあるので、輝度の向上はそれを補うために必要な技術となってきている。
また、フィルム加工中の熱履歴等により、フィルム中に含有しているオリゴマーがフィルムの表面に析出し、生産ラインの汚染やフィルムヘーズの悪化等によるフィルムの視認性の悪化を招く場合があるため、多層構造フィルムの最外層を形成するポリエステルとして含有するオリゴマー量を低減したものを用いることも可能である。ポリエステル中のオリゴマー量を低減する方法としては、固相重合等を用いることができる。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、易滑性を十分に付与できなかったり、粒子が凝集して、分散性が不十分となり、フィルムの透明性を低下させたりする場合がある。一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において光拡散層やスティッキング防止層等を形成させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは50〜250μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの両面に、メラミン化合物とウレタン樹脂を含有する塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明においては、塗布層は屈折率の調整をする必要がある。干渉ムラが発生しにくい塗布層の最適な屈折率は、ポリエステルフィルムの屈折率と光拡散層あるいはスティッキング防止層の屈折率の相乗平均付近になるように設計することが好ましい。例えば、ポリエステルフィルムの屈折率が1.65程度であり、光拡散層あるいはスティッキング防止層に使用される樹脂の屈折率が1.50程度である場合を考えると、これらの層の中間に位置する塗布層の理想的な屈折率としては、1.57程度となり、通常、易接着性を付与するために使用される塗布層成分としてのウレタン樹脂のみでは達成しにくい程度の高屈折率である。それゆえ、高めの屈折率調製が必要であり、なおかつ密着性の低下を防ぐことができる化合物設計が可能な縮合多環式芳香族を使用することで、干渉ムラがなく、密着性が良好な塗布層を形成する手法が有効的となる。
本発明におけるおいて両面に積層される塗布層は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、同一の塗布層が形成されても、また、異なる塗布層が形成されても良い。製造の利便性を考慮して、塗布層は同一であることが好ましい。異なる塗布層を必要とする場合は、例えば、一方の面に形成する光拡散層の屈折率と他方の面に形成するスティッキング防止層の屈折率が大きく異なり、双方とも干渉ムラが発生しないような条件を、同一の塗布層で整わせることができない場合や、あるいは、光拡散層とスティッキング防止層の双方の樹脂が異なるものを使用するために、同じ塗布層では双方ともに良好な密着性を出すことができない場合が考えられる。しかし、通常、製造の利便性を考慮すれば、光拡散層とスティッキング防止層を形成する樹脂は同一あるいは類似の化合物を使用することが得策である。そのため、同一の塗布層で対応することが可能となり、塗布層においても、製造上、同一の方が利便性が良くなるので好ましい形態となる。
本発明におけるメラミン化合物の必要性は、メラミン化合物は高密度な芳香環を有するため、塗布層の高屈折率化材料として有用であるところにある。また、同時に架橋機能を有するため、塗布層の塗膜を強固にし、光拡散層やスティッキング防止層を形成後の耐湿熱性や耐溶剤性を向上させることができる。すなわち1つの化合物で高屈折率化と耐久性の2つの特性を引き出す可能性がある化合物であり有用である。
本発明におけるメラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
本発明におけるウレタン樹脂とはウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。インラインコーティングの適正を考慮した場合、水分散性または水溶性のウレタン樹脂が好ましい。水分散性または水溶性を付与させるためには、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をウレタン樹脂に導入することが重要である。前記の親水性基のなかでも、塗膜物性及び密着性の点からカルボン酸基またはスルホン酸基が好ましい。
本発明で用いる塗布層の構成成分であるウレタン樹脂を作成する方法の一つに、水酸基とイソシアネートとの反応によるものがある。原料として用いられる水酸基としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いても良い。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
塗布層の屈折率を上げるために、ウレタン樹脂には密着性の特性を損なわない範囲で、芳香族化合物を含有することも可能である。ポリエステルフィルム製造工程において、着色がしにくいという点で、芳香族化合物としては、ベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格が挙げられる。
本発明における光拡散シート用積層ポリエステルフィルムにおいて、塗布面状の向上、塗布面上に種々の光拡散層やスティッキング防止層が形成されたときの視認性の向上や透明性を向上させるためにウレタン樹脂以外のバインダーポリマーを併用することも可能である。バインダーとして、ウレタン樹脂を使用せずポリエステル樹脂のみの構成で塗布層を形成すると、光拡散層あるいはスティッキング防止層との密着性が十分でない場合があるため、本発明の趣旨を損なわない範囲で併用する必要がある。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。
さらに塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、メラミン化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。メラミン化合物以外の架橋剤としては、種々公知の樹脂が使用できるが、例えば、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。代表的な例は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの縮合物である。特に、低分子ポリオールのエピクロロヒドリンとの反応物は、水溶性に優れたエポキシ樹脂を与える。
本発明におけるオキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン環を持つ化合物であり、オキサゾリン環を有するモノマーや、オキサゾリン化合物を原料モノマーの1つとして合成されるポリマーも含まれる。
本発明におけるイソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を持つ化合物を指し、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートや、これらの重合体、誘導体等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。さらにインラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。
また、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、不活性粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中のメラミン化合物の含有量に関しては、塗布層全体の重量比で、通常5〜80%の範囲、より好ましくは10〜60%の範囲、さらに好ましくは10〜30%の範囲である。5%未満の場合、光拡散層やスティッキング防止層を形成後に干渉ムラの発生や、密着性が低下してしまう。特に耐湿熱試験後の密着性において、特に塗布層中に含有しているウレタン樹脂の量が少ない場合には、メラミン化合物が少量でも含有している塗布層は、含有していない塗布層に比べ密着性が向上する場合がある。メラミン化合物により塗布層の架橋密度が上がることにより、塗布層の湿熱に対する耐久性が向上するためではないかと推測している。ところが、他方、多量のメラミン化合物を含有している塗布層は、ウレタン樹脂と光拡散層やスティッキング防止層との密着性を阻害するように働く場合がある。架橋密度が高すぎ、かつメラミン化合物が主体となっているために、ウレタン樹脂の動きが阻害され、光拡散層やスティッキング防止層中の樹脂成分との結合力が弱くなるためではないかと推測している。そのため、メラミン化合物の含有量が80%を超える場合は、密着性の低下が懸念される。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中のウレタン樹脂の含有量に関しては、塗布層全体の重量比で、通常5〜90%の範囲、より好ましくは15〜80%の範囲、さらに好ましくは25〜70%の範囲である。5%未満の場合、光拡散層あるいはスティッキング防止層との密着性が良くない場合があり、90%を超える場合、光拡散層あるいはスティッキング防止層形成後の干渉ムラにより、視認性が良くない場合がある。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.02〜0.3g/m、より好ましくは0.05〜0.25g/m、さらに好ましくは0.07〜0.20g/mの範囲である。本発明における塗布層の屈折率調製では、塗布量が上記の範囲を外れる場合、光拡散層あるいはスティッキング防止層を形成した後、干渉ムラが発生し、視認性が低下する場合がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明における塗布層は干渉ムラの発生を抑制するために、屈折率の調整がされたものであり、その屈折率は基材のポリエステルフィルムと拡散層あるいはスティッキング防止層の相乗平均付近に設計したものである。塗布層の屈折率と塗布層の反射率は密接な関係がある。本発明の範囲内における膜厚において、横軸に波長、縦軸に反射率を示すグラフを描き、反射率の極小値が波長350〜800nmの範囲に1つ現れる場合が好ましく、その極小値が同じ波長に現れるならば、極小値の反射率は、屈折率が高い場合は高い値となり、屈折率が低い場合は低い値となる。また、本発明においては、塗布層の材料設計が全く同じであっても極小値の波長範囲によって、極小値の反射率は異なる。具体的には、極小値の波長範囲が短波長領域に存在する場合と長波長領域に存在する場合を比較すると、長波長領域に存在する場合の方が反射率は低い値を示す。
本発明において良好な反射率とは、絶対反射率において、波長350nm以上550nm未満の範囲に極小値が存在する場合、その極小値の値が、好ましくは3.0〜4.5%、より好ましくは3.3〜4.0%、さらに好ましくは3.4〜3.9%の範囲であり、波長550nm以上750nm以下の範囲に極小値が存在する場合は、その極小値の値が、好ましくは2.8〜4.3%、より好ましくは3.1〜3.8%、さらに好ましくは3.2〜3.7%の範囲である。波長350nm以上750nm以下の間に極小値が無い場合、また、極小値の絶対反射率が上記の値を外れる場合は、光拡散層やスティッキング防止層を形成後に干渉ムラが発生し、フィルムの視認性が低下する場合がある。
本発明の積層ポリエステルフィルムには、塗布層に光拡散層、スティッキング防止層等を設けるものが一般的である。光拡散層は粒子とバインダーを含有してなるものである。
光拡散層に含有させる粒子としては、光を拡散するような性質を有するものであれば良く、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂等の有機粒子や、シリカ、金属酸化物、硫酸バリウム等の無機粒子を使用することができる。中でも透明性が良好であるアクリル樹脂やアクリルウレタン樹脂が好適に用いられる。また、これら粒子の粒径は特に限定されるものではないが、平均粒径として1〜50μm、より好ましくは5〜15μmである。
光拡散層に含有させるバインダーは粒子を固定し光拡散性を発現させるために使用するものであり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられる。加工性を考慮するとポリオール化合物が好適に用いられ、例えば、アクリルポリオールやポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリオール化合物をバインダーとして用いた場合は、硬化剤としてイソシアネートを含有させると良い。イソシアネートを含有させることにより、より強固な架橋構造を形成することができ、光拡散層としての物性が向上する。また、バインダーとして紫外線硬化型樹脂を使用する場合はアクリレート系樹脂が好ましく、光拡散層の硬度の向上に役立てることができる。
光拡散層には光拡散の性能を阻害しない範囲内で、界面活性剤、微小無機充填剤、可塑剤、硬化剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防錆剤等を含有していても良い。
光拡散層におけるバインダーと粒子の混合割合は、得ようとする光拡散性により適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、重量比で、バインダー/粒子が0.1〜50の範囲、より好ましくは0.5〜20の範囲である。
光拡散層を形成する方法としては、バインダーと粒子を含む塗布液を調製し、塗布・乾燥させることによる方法が挙げられる。塗布方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スプレーコート、スピンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。光拡散層の厚みは、特に限定されるものではないが、光拡散性、膜強度等を考慮して、1〜100μmの範囲、より好ましくは3〜30μmの範囲である。
光拡散層とは反対側の面にはスティッキング防止層が形成されることが好ましい。スティッキング防止層は光拡散層と同様なバインダーと粒子を含有するもので、粒子の含有量は、光拡散性が目的ではないため、より小さい粒径で、より少ない量を含有させる方法が一般的である。形成方法も光拡散層と同様に塗布により形成でき、厚みは、特に限定されるものではないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
本発明の光拡散シート用積層ポリエステルフィルムによれば、光拡散層あるいはスティッキング防止層を形成した際に、干渉ムラの発生がなく、密着性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)ポリエステルフィルムにおける塗布層表面からの絶対反射率極小値の測定方法
あらかじめ、ポリエステルフィルムの測定裏面に黒テープ(ニチバン株式会社製ビニールテープVT―50)を貼り、分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視分光光度計 V−570 および自動絶対反射率測定装置 AM−500N)を使用して同期モード、入射角5°、N偏光、レスポンス Fast、データ取区間隔1.0nm、バンド幅10nm、走査速度1000m/minで、塗布層表面を波長範囲300〜800nmの絶対反射率を測定し、その極小値における波長(ボトム波長)と絶対反射率を評価した。
(4)干渉ムラの評価方法
光拡散層用塗布液として、アクリルポリオール(大日本インキ化学工業製 アクリディック A−801)60部、ポリイソシアネート(三井化学ポリウレタン製、タケネートD110N)15部、平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−15)25部、トルエン 100部、メチルエチルケトン 100部を調製し、塗布・加熱硬化させることにより、厚さ15g/m光拡散層を形成した。また、光拡散層とは反対面側にスティッキング防止層として、上記光拡散層用塗布液に用いた平均粒径15μmのアクリル樹脂粒子を、平均粒径5μmのアクリル樹脂粒子(積水化成品工業製 MBX−5)7部に変えて、厚さ3g/mの層を形成した以外は同様な方法で、両面加工品を作成した。得られたフィルムに対して、光拡散層側に黒テープ(ニチバン株式会社製ビニールテープVT―50)を貼り付け、スティッキング防止層側から3波長光域型蛍光灯下で目視にて、干渉ムラを観察し、干渉ムラが確認できないものを◎、色が不明瞭な干渉ムラが確認されるものを○、色を判別できる干渉ムラが確認されるものを△、色を判別できる強い干渉ムラが確認され、白色蛍光灯下においても干渉ムラ確認されるものを×として評価した。通常の光拡散層の場合は、上記の光拡散層と同様に光拡散性が高いため、ほとんど干渉ムラは観察されない。ところが、光拡散性が低い光拡散層の場合は、干渉ムラが観察される可能性があるため、塗布層の屈折率調製がより重要となる。一方、スティッキング防止層は、光拡散層と同様、粒子とバインダーにより形成されているが、光拡散層に比べて、粒子の配合量が少なく、かつ膜厚が薄いのが一般的である。そのため、光拡散性が低くなり、干渉ムラが観察される場合があるので、塗布層の屈折率調製が非常に重要となる。
(5)密着性の評価方法
干渉ムラの評価方法と同様な方法により、積層ポリエステルフィルムの片面に光拡散層、他方面にスティッキング防止層を形成した。その後、恒温恒湿槽中で、80℃、85%RHの環境下で50時間放置した後、光拡散層、およびスティッキング防止層各々に対して、18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、より剥離面積が大きい方に対して、剥離面積が0%ならば◎、0%を超え5%以下なら○、5%を超え20%以下ならば△、20%を超えるならば×とした。通常は、スティッキング防止層の方が、表面凹凸が少ないため、剥離するテープとの接着が良いので、光拡散層に比べて剥離面積が大きくなる傾向にある。
(6)ポリエステル層の厚み測定
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を層厚さとした。
実施例、比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.63のポリエステル(A)を得た。
<ポリエステル(B)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウム加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.65のポリエステル(B)を得た。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.0μmのシリカ粒子を0.2部を加えて、極限粘度0.66に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いて、極限粘度0.66のポリエステル(C)を得た。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
メラミン化合物:(I)ヘキサメトキシメチルメラミン
ウレタン樹脂:(IIA)DMSネオレジン社製 ネオレッツ R−960
ウレタン樹脂:(IIB)DIC社製 ハイドラン AP−40
ポリエステル樹脂:(III)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
粒子:(IV) 平均粒径65nmのシリカゾル
金属キレート化合物:(V) チタントリエタノールアミネート
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ85%、5%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗工量(乾燥後)が0.10g/mの塗布層を有する厚さ188μm(表層9μm、中間層170μm)のポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムの絶対反射率を波長範囲300〜800nmで測定したところ、極小値における波長(ボトム波長)は430nmでその絶対反射率は3.6%であった。スティッキング防止層の干渉ムラはなく、視認性は良好であった。また、密着性も良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
実施例2〜
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであり、スティッキング防止層を形成後の干渉ムラを評価したところ、視認性は良好であり、また、密着性も良好であった。
比較例1〜4:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであった。
Figure 0005281344
なお、上記塗布液の濃度はいずれも10重量%水溶液とした。
Figure 0005281344

本発明のフィルムは、例えば、液晶ディスプレイのバックライトユニット等、光の反射による干渉ムラの軽減が必要な用途に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムを構成する主成分が、下記式(1)および(2)を同時に満足する量のチタン化合物およびリン化合物を含有するポリエステルであるポリエステルフィルムの両面に、メラミン化合物と15〜80重量%のウレタン樹脂とを含有する塗布層を有し、当該塗布層表面からの絶対反射率の極小値が波長350nm以上750nm以下の範囲に存在し、波長350nm以上550nm未満の範囲に極小値が存在する場合、当該極小値が3.0〜3.8%の範囲であり、波長550nm以上750nm以下の範囲に極小値が存在する場合、当該極小値が2.8〜3.6%であることを特徴とする光拡散シート用積層ポリエステルフィルム。
    1≦WTi≦20 …(1)
    1≦W≦300 …(2)
    (上記式中、WTiはポリエステルフィルム中のチタン元素含有量(ppm)、Wはポリエステルフィルム中のリン元素含有量(ppm)を示す)
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