以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
(車両構成)
図1は、本発明の実施の形態による電動車両の構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、電動車両100は、直流電源部10♯と、インバータ20,30と、制御装置50と、モータジェネレータ110と、動力伝達ギヤ120と、駆動輪130とを含む。直流電源部10♯は、メインバッテリ10と、コンバータ15とを含む。
制御装置50は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)51と、ROM(Read Only Memory)52とを含む、電子制御ユニット(ECU)により構成される。制御装置50は、ROM52に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、制御装置50の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
メインバッテリ10は、電動車両100に搭載された「蓄電装置」の一例として示される。たとえば、メインバッテリ10の出力電圧は、200V程度である。メインバッテリ10は、代表的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池により構成される。あるいは、電気二重層キャパシタによって、あるいは二次電池とキャパシタ等の組合せ等によって「蓄電装置」を構成してもよい。
メインバッテリ10の正極端子と電力線6との間には、システムメインリレーSMR1が接続される。同様に、メインバッテリ10の負極端子と接地線5との間には、システムメインリレーSMR2が接続される。システムメインリレーSMR1,SMR2のオンオフは、制御装置50によって制御される。
メインバッテリ10の電流(バッテリ電流)Ibは電流センサ11によって検出され、メインバッテリ10の温度(バッテリ温度)Tbは温度センサ12によって検出され、メインバッテリ10の出力電圧(バッテリ電圧)Vbは電圧センサ13によって検出される。電流センサ11、温度センサ12および電圧センサ13によって検出された、バッテリ電圧Vb、バッテリ電流Ibおよびバッテリ温度Tbは、制御装置50へ出力される。
平滑コンデンサC1は、接地線5および電力線6の間に接続される。平滑コンデンサC1は、電力線6上の直流電圧VLの高調波成分を除去する。
コンバータ15は、電力線6(直流電圧VL)と電力線7(直流電圧VH)との間で、双方向の直流電圧変換を実行するように構成される。図1の例では、コンバータ15は、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2、逆並列ダイオードD1,D2およびリアクトルL1を含む、いわゆる昇圧チョッパにより構成される。電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは電力用バイポーラトランジスタ等の、オンオフが制御可能な任意の素子を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2のオンオフは、制御装置50からのスイッチング制御信号S1,S2によって制御される。
コンバータ15は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。スイッチング周期に対するスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)は、電力線7の直流電圧VHが、コンバータ15に対する電圧指令値と一致するように制御される。コンバータ15は、昇圧動作時(メインバッテリ10の放電時)には、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2のオフ期間に、スイッチング素子Q1および/または逆並列ダイオードD1を介して電力線7へ供給することにより、電力線6の直流電圧VLを昇圧して電力線7へ出力する。
コンバータ15は、降圧動作時(メインバッテリ10の充電時)には、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1のオフ期間に、スイッチング素子Q2および/または逆並列ダイオードD2を介して電力線6へ供給することによって、電力線7の直流電圧VHを降圧して電力線6に出力する。これらの昇圧動作または降圧動作における電圧変換比(VH/VL比)は、スイッチング素子Q1,Q2のデューティ比により制御される。なお、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC0は、接地線5および電力線7の間に接続される。平滑コンデンサC0は、電力線7上の直流電圧VHの高調波成分を除去する。
インバータ20および30の直流電圧側は、共通の接地線5および電力線7を介して、コンバータ15と接続される。以下では、インバータ20,30の直流側電圧に相当する、電力線7の直流電圧VHをシステム電圧VHとも称する。電圧センサ13は、システム電圧VHを検出する。電圧センサ13に検出されたシステム電圧VHは、制御装置50へ送出される。
インバータ20は、電力線7および接地線5の間に並列に設けられる、U相アーム22と、V相アーム24と、W相アーム26とから成る。各相アームは、電力線7および接地線5の間に、モータジェネレータ110と接続される中間点を介して直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相アーム22は、スイッチング素子Q11,Q12から成り、V相アーム24は、スイッチング素子Q13,Q14から成り、W相アーム26は、スイッチング素子Q15,Q16から成る。また、スイッチング素子Q11〜Q16に対して、逆並列ダイオードD11〜D16がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q11〜Q16のオンオフは、制御装置50からのスイッチング制御信号S11〜S16によって制御される。
インバータ30は、インバータ20と同様に構成されて、電力線7および接地線5の間に並列に設けられる、U相アーム32と、V相アーム34と、W相アーム36とから成る。スイッチング制御信号S21〜S26によってオンオフ制御されるスイッチング素子Q21〜Q26および、逆並列ダイオードD21〜D26によって、U相アーム32、V相アーム34、およびW相アーム36が構成される。
モータジェネレータ110は、車両駆動力を発生するための走行用電動機であり、たとえば複数相の永久磁石型同期電動機で構成される。モータジェネレータ110の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ120を介して、駆動輪130に伝達されて、電動車両100を走行させる。また、モータジェネレータ110は、電動車両100の回生制動時には、駆動輪130の回転力によって発電する。この発電電力は、インバータ20,30によって直流電力に変換される。この直流電力は、コンバータ15を介して、メインバッテリ10の充電に用いられる。
なお、モータジェネレータ110のほかにエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ110を協調的に動作させることによって、電動車両100の必要な車両駆動力が発生される。この際には、エンジンの回転による発電電力を用いてメインバッテリ10を充電することも可能である。このように、電動車両100は、走行用電動機および蓄電装置を搭載する車両を包括的に示すものであり、エンジンおよび電動機により車両駆動力を発生するハイブリッド自動車と、エンジンを搭載しない電気自動車および燃料電池車等との両方を含むものである。
モータジェネレータ110のステータ(図示せず)には、U1相、V1相およびW1相の固定子巻線(図示せず)が巻回されている。以下では、U1相、V1相およびW1相の固定子巻線について、単に、コイル巻線U1,V1,W1と表記する。同様に、モータジェネレータ110のステータ(図示せず)には、U2相、V2相およびW2相の固定子巻線(図示せず)が巻回されている。以下では、U2相、V2相およびW2相の固定子巻線について、単に、コイル巻線U2,V2,W2と表記する。
図示を省略しているが、コイル巻線U1,V1,W1の一端同士は第1の中性点で接続される。コイル巻線U1,V1,W1の他端は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26の中間点とそれぞれ接続される。コイル巻線U2,V2,W2の一端同士は、上記第1の中性点とは異なる第2の中性点(図示せず)で接続される。コイル巻線U2,V2,W2の他端は、U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36の中間点とそれぞれ接続される。このように、図1の構成例では、モータジェネレータ110では、異なる中性点にそれぞれ接続された2組の3相コイル巻線を有する、6相モータによって構成される。
インバータ20は、モータジェネレータ110のU1相、V1相およびW1相と、電力線7との間で、双方向に直流/交流電力変換を実行する。インバータ30は、モータジェネレータ110のU2相、V2相およびW2相と、電力線7との間で、双方向に直流/交流電力変換を実行する。
図1の構成において、コイル巻線U1,V1,W1は「複数の第1巻線」に対応し、インバータ20は「第1のインバータ」に対応する。コイル巻線U2,V2,W2は「複数の第2巻線」に対応し、インバータ30は「第2のインバータ」に対応する。
モータジェネレータ110の出力トルクは、インバータ20によって制御されたコイル巻線U1,V1,W1の交流電流によって発生するトルクと、インバータ30によって制御されたコイル巻線U2,V2,W2の交流電流によって発生するトルクとの和となる。
モータジェネレータ110には、電流センサ27および回転角センサ(レゾルバ)28が設けられる。電流センサ27は、インバータ20,30の各々の各相電流が検出できるように配置される。3相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように、電流センサ27を2相に配置すれば、残り1相の電流は演算で求めることが可能である。
回転角センサ28は、モータジェネレータ110の図示しない回転子の回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置50へ送出する。制御装置50では、回転角θに基づきモータジェネレータ110の回転速度(回転角速度ω)を算出することができる。
以下では、インバータ20の相電流を包括的にインバータ電流Iinv(1)とも表記する。同様に、インバータ30の相電流を包括的にインバータ電流Iinv(2)とも表記する。これらのセンサによって検出された、インバータ電流Iinv(1),Iinv(2)およびロータ回転角θは、制御装置50へ送出される。
電動車両100は、外部充電のための構成として、充電リレー180および充電インレット190をさらに含む。充電インレット190は、充電ケーブル300を介して、外部電源400と電気的に接続される。図1の例では、外部電源400は、3相交流電源である。
充電ケーブル300を充電インレット190および外部電源400に対して正常に接続することによって、外部電源400からの電力は、充電インレット190へ伝達される。なお図示は省略するが、充電ケーブル300によって充電インレット190および外部電源400の間が電気的に接続されたことを示す信号が、充電ケーブル300から制御装置50へ入力されてもよい。
充電リレー180は、電気的に接続されたコイル巻線U2,V2,W2およびインバータ30と、充電インレット190との間に設けられる。充電リレー180のオンオフは制御装置50によって制御される。充電リレー180は「開閉器」の代表例として示される。すなわち、オンオフを制御可能な任意の素子を、リレーに代えて用いることができる。
次に、電動車両100の動作について説明する。
電動車両100の走行時(走行モード)には、制御装置50は、インバータ20,30によって、モータジェネレータ110の出力をトルク指令値に従って制御する。トルク指令値は、電動車両100の車両状態(車速等)およびドライバ操作(アクセルペダル操作、ブレーキペダル操作等)に基づいて演算された、電動車両100全体で必要な車両駆動力に基づいて設定することができる。たとえば、車両加速時にはトルク指令値は正値に設定される一方で、制動時にはトルク指令値は負値に設定される。
インバータ20,30は、制御装置50からのスイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26に従って、システム電圧VHを3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータ110へ出力する。この3相交流電圧は、後述するように、モータジェネレータ110の出力トルクがトルク指令値に一致するように制御される。
また、制御装置50は、モータジェネレータ110の動作状態(代表的には、トルクおよび回転数)に応じて、モータジェネレータ110を最適に駆動できるように、システム電圧VHの指令値を設定する。さらに、制御装置50は、システム電圧VHが電圧指令値に一致するように、コンバータ15を制御する。走行時には、充電リレー180はオフされる。
図1に示されるように、充電リレー180を介して外部電源400と電気的に接続されるノードNu,Nv,Nwと、モータジェネレータ110(コイル巻線U2,V2,W2)との間には、開閉器が接続されていない。
電動車両100の外部充電時(充電モード)には、制御装置50は、充電リレ−180をオンする。これにより、充電ケーブル300を経由して充電インレット190と接続された外部電源400からの交流電力が、インバータ30へ供給される。制御装置50は、充電指令値に従って、外部電源400からの交流電力をメインバッテリ10の充電電力(直流電力)に変換するように、コンバータ15およびインバータ30を制御する。
外部充電時には、ノードNu,Nv,Nwおよびモータジェネレータ110の間に開閉器が設けられていないので、インバータ30による交流/直流電力変換の際に生じる交流電流が、モータジェネレータ110のコイル巻線U2,V2,W2に流れる。したがって、この交流電流によってモータジェネレータ110がトルクを発生すると、外部充電中に車両駆動力が発生することになり、好ましくない。
したがって、本実施の形態による電動車両では、インバータ20,30の制御を図2に示すように制御する。
図2は、本実施の形態による電動車両におけるインバータ20,30の制御動作を説明するためのフローチャートである。図2に示すフローチャートは、たとえば、車両起動時に制御装置50によって実行される。なお、車両起動時とは、ユーザによって、電動車両100に設けられたスイッチが、オフ状態から操作された場合を示すものとする。すなわち、「車両起動時」には、(1)車両運転を開始するための操作をユーザが実行したとき、(2)外部充電を開始するための操作をユーザが実行したとき、および、(3)車両運転および外部充電を開始せずにオーディオ等の補機類を動作させるための操作をユーザが実行したときが少なくとも含まれる。
図2を参照して、制御装置50は、車両起動時には、ステップS100により、走行モードが選択されているかどうかを判定する。たとえば、ユーザが車両運転を開始するための操作を行っているときに、ステップS100はYES判定とされる。
制御装置50は、走行モードが選択されているとき(S100のYES判定時)には、ステップS110に処理を進めて、インバータ20,30の制御動作として、トルク制御を選択する。さらに、制御装置50は、ステップS120により、充電リレー180をオフする。一方、システムメインリレーSMR1,SMR2はオンされる。トルク制御での具体的な動作については後述する。
走行モードでは、コンバータ15およびインバータ20,30による電力変換によって、メインバッテリ10の電力を用いて、モータジェネレータ110が車両走行のためのトルクを出力することが可能な状態となる。
一方、制御装置50は、走行モードが選択されていないとき(S100のNO判定時)には、ステップS150により、充電モードが選択されているかどうかを判定する。たとえば、充電ケーブル300によって外部電源400が充電インレット190に接続されており、かつ、ユーザ操作等によってメインバッテリ10の充電が要求されているときに、ステップS150はYES判定とされる。
制御装置50は、充電モードが選択されているとき(S150のYES判定時)には、ステップS160に処理を進めて、インバータ20,30の制御動作として、充電制御を選択する。充電制御での具体的な動作については後述する。さらに、制御装置50は、ステップS170により、充電リレー180をオンする。図1の構成例では、充電モードにおいても、システムメインリレーSMR1,SMR2はオンされる。
走行モードおよび充電モードのいずれも選択されていないとき(S150のNO判定時)には、制御装置50は、ステップS120に処理を進めて、充電リレー180をオフする。この場合には、インバータ20,30は、トルク制御および充電制御のいずれも選択されないため停止状態とされる。すなわち、スイッチング素子Q11〜Q16およびQ21〜Q26はオフに固定される。この場合にも、車両起動時の操作に応答して、図示しない補機バッテリからの給電を開始することによって、補機類の動作が可能となる。あるいは、システムメインリレーSMR1,SMR2をオンすることによって、電力線6,7から電力供給を受ける補機類を、メインバッテリ10の電力によって動作させることも可能である。
図3は、インバータ20,30によるトルク制御の制御構成を説明する機能ブロック図である。
なお、図3を始めとする以降の各ブロック図に記載された各機能ブロックは、制御装置50によるソフトウェア処理および/またはハードウェア処理によってその機能が実現されるものとする。
図3を参照して、トルク制御部200は、トルク分配部210と、電流制御部220(1)および220(2)と、電圧制御部230(1)および230(2)とを有する。
トルク分配部210は、モータジェネレータ110のトルク指令値Tqcomを、インバータ20に対するトルク指令値Tr1と、インバータ30に対するトルク指令値Tr2とに分配する。すなわち、Tqcom=Tr1+Tr2である。
電流制御部220(1)は、インバータ電流Iinv(1)のフィードバック制御により、トルク指令値Tr1に従ったトルクを出力するためのdq軸の電圧指令値Vd1,Vq1を生成する。同様に、電流制御部220(2)は、インバータ電流Iinv(2)のフィードバック制御により、トルク指令値Tr2に従ったトルクを出力するためのdq軸の電圧指令値Vd2,Vq2を生成する。
図4は、図3に示した電流制御部220(1),220(2)の構成をさらに説明するためのブロック図である。
図4は、図3に示した電流制御部の構成をさらに説明するためのブロック図である。なお、電流制御部220(1)および220(2)は、同様の構成を有するので、両者を総称して単に電流制御部220とも表記する。
図4を参照して、電流制御部220は、電流指令生成部222と、座標変換部224と、偏差演算部225,226と、制御演算部228とを有する。
電流指令生成部222は、予め作成されたマップ等に従って、トルク指令値Tr(Tr1およびTr2を総称するもの)に基づいて、d軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
なお、電流指令値Idcom,Iqcomの組み合わせにより、電流振幅および電流位相(電流動作点)が決定される。たとえば、同一の出力トルクに対して電流振幅が最小となる電流位相を有する電流動作点の集合を、予め電流指令値マップとしてROM52に記憶しておく。そして、トルク指令値Trを用いて上記電流指令値マップを参照することによって、電流指令生成部222の機能を実現することができる。
座標変換部224は、回転角センサ28によって検出されるモータジェネレータ110の回転角θを用いた座標変換(dq変換)によって、電流センサ27によって検出された3相電流であるインバータ電流Iinv(Iinv(1),Iinv(2)を総称するもの)を、d軸電流Idおよびq軸電流Iqへ変換する。
偏差演算部225は、d軸電流偏差ΔId(ΔId=Idcom−Id)を算出する。偏差演算部226は、q軸電流偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−Iq)を算出する。制御演算部228は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、PI(比例積分)演算に代表される制御演算を行なって制御偏差を求める。そして、この制御偏差に応じて、d軸電圧指令値Vd(Vd1,Vd2を総称するもの)およびq軸電圧指令値Vq(Vq1,Vq2を総称するもの)が生成される。
再び、図3を参照して、電圧制御部230(1)は、電流制御部220(1)からの電圧指令値Vd1,Vq1に従って、スイッチング制御信号S11〜S16を発生する。スイッチング制御信号S11〜S16に従って、インバータ20を構成するスイッチング素子Q11〜Q16のオンオフが制御される。これにより、モータジェネレータ110のコイル巻線U1,V1,W1に印加される交流電圧の振幅および位相が制御される。
同様に、電圧制御部230(2)は、電流制御部220(2)からの電圧指令値Vd2,Vq2に従って、スイッチング制御信号S21〜S26を発生する。スイッチング制御信号S21〜S26に従って、インバータ30を構成するスイッチング素子Q21〜Q26のオンオフが制御される。これにより、モータジェネレータ110のコイル巻線U2,V2,W2に印加される交流電圧の振幅および位相が制御される。
図5は、図3に示した電圧制御部の構成をさらに説明するためのブロック図である。なお、電圧制御部230(1)および230(2)は、同様の構成を有するので、両者を総称して単に電圧制御部230とも表記する。
図5を参照して、電圧制御部230は、座標変換部232と、PWM部234とを有する。
座標変換部232は、モータジェネレータ110の回転角θを用いた座標変換(dq逆変換)によって、dq軸の電圧指令値Vd,Vqを、3相の交流電圧指令Vu,Vv,Vwに変換する。PWM部234は、所定周波数のキャリア信号と、座標変換部232からの電圧指令Vu,Vv,Vwとに基づいて、U相,V相,W相のスイッチング制御信号を生成する。
図6は、PWM部234の変調動作を説明するための概念的な波形図である。
図6を参照して、PWM部234は、キャリア信号240と、交流電圧指令242(Vu,Vv,Vwを総称するもの)との電圧比較に基づいて、インバータ20,30の各相における上下アーム素子のオンオフを制御する。たとえば、交流電圧指令242の電圧がキャリア信号240の電圧よりも高い区間では、上アーム素子(Q11,Q13,Q15,Q21,Q23,Q25)がオンされる一方で下アーム素子(Q12,Q14,Q16,Q22,Q24,Q26)がオフされる。反対に、交流電圧指令242の電圧がキャリア信号240の電圧よりも低い区間では、下アーム素子がオンされる一方で上アーム素子がオフされる。
この結果、インバータ20,30の各相の出力電圧として、モータジェネレータ110の各相コイル巻線には、疑似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧245が印加される。キャリア信号240は、所定周波数の三角波やのこぎり波によって構成される。
なお、インバータ制御のためのPWM(パルス幅変調)において、キャリア信号240の振幅は、インバータ20,30の入力直流電圧(システム電圧VH)に相当する。ただし、交流電圧指令242の振幅について、本来の各相電圧指令Vu,Vv,Vwの振幅をシステム電圧VHで除算したものに変換すれば、PWM部234で用いるキャリア信号240の振幅を固定できる。
再び図5を参照して、PWM部234は、インバータ20,30のU相,V相、W相の各々における図6に示した変調動作に従って、スイッチング制御信号S11〜S16,S21〜S26を生成する。これにより、モータジェネレータ110のコイル巻線U1,V1,W1,U2,V2,W2に印加される交流電圧は、モータジェネレータ110の出力トルクがTr1+Tr2となるように制御される。すなわち、インバータ20,30は、電動車両100がドライバ操作に従って走行するように設定されたトルク指令値Tqcomに従って、モータジェネレータ110に印加される交流電圧を制御する。
次に、インバータ20,30を充電制御における制御動作について説明する。
図7は、インバータ20,30の充電制御の制御構成を説明するためのブロック図である。
図7を参照して、充電制御部250は、外部電源400と接続されるインバータ30を制御するための電流制御部260および電圧制御部265と、外部電源400と非接続のインバータ20を制御するための電圧制御部270とを有する。すなわち、電流制御部260および電圧制御部265は「充電制御部」に対応し、電圧制御部270は「逆トルク制御部」に対応する。
図8は、電流制御部260の構成をさらに説明するためのブロック図である。
図8を参照して、電流制御部260は、電流指令生成部262および制御演算部264を有する。
電流指令生成部262は、充電電力指令値Pcrと、外部電源400からの交流電圧の各相電圧Veu,Vev,Vewに基づいて、各相の電流指令iu*,iv*,iw*を生成する。
図9を参照して、各相の電流指令i*(iu*,iv*,iw*を総称するもの)は、外部電源400の相電圧Ve(Veu,Vev,Vewを総称するもの)と同位相に設定される。これにより、外部電源400からの充電における力率を1に制御できる。
さらに、電流指令i*の振幅iampは、充電電力指令値Pcrおよび相電圧Veの振幅に基づいて設定される。すなわち、外部電源400からの充電電力が充電電力指令値Pcrと一致するように、電流指令i*の振幅iampが調整される。
再び図8を参照して、制御演算部264は、電流指令生成部262からの電流指令iu*,iv*,iw*と、インバータ30の各相電流iu(2),iv(2),iw(2)とに基づいて、インバータ30の各相の交流電圧指令Vu2,Vv2,Vw2を生成する。たとえば、電圧指令Vu2は、相電流iu(2)を電流指令iu*に合致させるように生成される。V相およびW相においても同様に、相電流iv(2),iw(2)を電流指令iv*,iw*に合致させるように、電圧指令Vv2,Vw2が生成される。
再び図7を参照して、電流制御部260によって設定された電圧指令Vu2,Vv2,Vw2は、電圧制御部265へ入力される。
電圧制御部265は、図5に示したPWM部234を有する。PWM部234は、電流制御部260からの電圧指令Vu2,Vv2,Vw2を交流電圧指令とするPWM制御に基づいて、スイッチング制御信号S21〜S26を発生する。これにより、インバータ30は、電流指令iu*,iv*,iw*に従った各相電流(インバータ電流Iinv(2))を発生させるように制御される。これにより、メインバッテリ10は、充電電力指令値Pcrに従った電力で、外部電源400からの電力によって充電される。
上述のように、図1の構成では、外部充電の際に、インバータ30とモータジェネレータ110との間を切離すための開閉器が配置されていない。したがって、外部充電のためにインバータ30が発生する交流電圧は、モータジェネレータ110のコイル巻線U2,V2,W2にも印加される。すなわち、インバータ電流Iinv(2)は、モータジェネレータ110のコイル巻線U2,V2,W2にも流れるので、コイル巻線U2,V2,W2に生じる磁界によって、モータジェネレータ110にトルクが発生する。
インバータ20は、外部充電のために制御されたインバータ30によってモータジェネレータ110に生じる上記トルクを相殺するための逆トルクを発生するように制御される。
電圧制御部270は、上記逆トルクを発生するためのインバータ20のスイッチング制御信号S11〜S16を発生する。電圧制御部270は、dq変換部272と、反転演算部274と、電圧制御部230(1)とを有する。
dq変換部272は、電流制御部260によって発生された、外部充電のためのインバータ30の各相電圧指令Vu2,Vv2,Vw2をdq変換して、d軸電圧Vd2およびq軸電圧Vq2を算出する。
反転演算部274は、dq変換部272によって演算されたq軸電圧Vq2を反転することによって、インバータ20のq軸電圧指令値Vq1を発生する。一方で、dq変換部272によって演算されたd軸電圧Vd2は、そのままインバータ20のd軸電圧指令値Vd1として用いられる。すなわち、Vd1=Vd2に設定され、Vq1=−Vq2に設定される。これにより、インバータ30によってコイル巻線U2,V2,W2に印加される交流電圧のトルク寄与成分を相殺するための、インバータ20の電圧指令値を生成することができる。
電圧制御部230(1)は、図5に示したのと同様に構成される。すなわち、上述のように設定された電圧指令値Vd1,Vq1に従ったトルクをモータジェネレータ110が発生するように、PWM制御に基づいてスイッチング制御信号S11〜S16が発生される。これにより、インバータ20は、インバータ30によって制御されたq軸電圧Vq2を相殺するような逆q軸電圧(Vd1=−Vd2)を発生させるための交流電圧(以下、「逆交流電圧」とも称する)を、コイル巻線U1,V1,W1に印加することができる。この結果、逆トルクの発生により、外部充電時におけるモータジェネレータ110の出力トルクを零に制御することができる。
このように、本実施の形態による電動車両では、走行用電動機(モータジェネレータ)の複数相のコイル巻線のうちの一部の相のコイル巻線ずつを複数のインバータによって独立に制御する構成としている。そして、複数のインバータのうちの一部のインバータの各相に対して外部電源400を電気的に接続することによって、車載蓄電装置(メインバッテリ10)を外部充電する。
このため、特許文献1,2に記載された、外部電源を電動機の中性点と電気的に接続する構成と比較して、多相電源による外部充電のために必要な電動機(モータジェネレータ)の個数を少なくできる。これにより、多相交流電源による高速な外部充電のための構成を、走行用電動機(モータジェネレータ)を駆動するためのインバータを用いてコンパクトに構成できる。
さらに、外部充電時は、外部電源と非接続のコイル巻線を制御するためのインバータによって、外部充電のための電力変換によって走行用電動機(モータジェネレータ)に生じるトルクを相殺するための逆トルクを発生することができる。これにより、故障発生時に車両走行を制約してしまうことになる開閉器(リレー)を、インバータとモータジェネレータとの間の経路に設けることなく、外部充電時に、走行用電動機(モータジェネレータ)によるトルク出力を防止することできる。
(充電制御の変形例)
図10は、インバータの充電制御の制御構成の第1の変形例を説明するためのブロック図である。図10には、図7に示した充電制御時にインバータ20を制御するための電圧制御部270に代えて用いられる電圧制御部275が示される。すなわち、電圧制御部275は、「逆トルク制御部」に対応する。
図10を参照して、第1の変形例に従う電圧制御部275は、図7に示したdq変換部272、反転演算部274、および電圧制御部230(1)に加えて、ゼロトルク補償部280をさらに含む。
ゼロトルク補償部280は、補償トルク演算部282と、ゼロトルク補償のための電流制御部284と、トルク加算部286,288とを有する。
補償トルク演算部282は、外部充電時におけるモータジェネレータ110のロータ回転角θに基づいて、モータジェネレータ110の出力トルクを零とするための補償トルクTzを演算する。具体的には、ロータ回転角θの時間変化によってモータジェネレータ110の回転角速度ωが求められるとともに、ω=0とするためのトルクが補償トルクTzとして求められる。
電流制御部284は、補償トルク演算部282によって演算された補償トルクTzを発生させるための、d軸電圧指令値Vd1zおよびq軸電圧指令値Vq1zを生成する。電流制御部284は、たとえば、図4に示した電流制御部220の構成において、トルク指令値Tr=Tzとすることによって実現できる。
dq変換部272および反転演算部274は、図7と同様に、インバータ30によって制御されたq軸電圧Vq2を相殺する逆q軸電圧(Vd1=−Vd2)を発生させるための、インバータ20のd軸電圧指令値Vd1vおよびq軸電圧指令値Vq1vを発生する。すなわち、Vd1v=Vd2であり、Vq1v=−Vq2である。これにより、インバータ30によってコイル巻線U2,V2,W2に印加される交流電圧のトルク寄与成分を相殺するための、インバータ20の電圧指令値が生成される。
トルク加算部286は、d軸電圧指令値Vd1vと、電流制御部284からのd軸電圧指令値Vd1zとを加算することによって、d軸電圧指令値Vd1を生成する。同様に、トルク加算部288は、反転演算部274によって演算されたq軸電圧指令値Vq1vと、電流制御部284からのq軸電圧指令値Vq1zとを加算することによって、q軸電圧指令値Vq1を生成する。
電圧制御部230(1)は、トルク加算部286,288によって求められたd軸電圧指令値Vd1およびq軸電圧指令値Vq1に基づいて、スイッチング制御信号S11〜S16を発生する。
このようにすると、図7に示した電圧制御部270と同様の逆交流電圧と、補償トルクTzを発生させるための交流電圧との和に従った電圧が、コイル巻線U1,V1,W1に印加されるように、インバータ20は制御される。
したがって、図10の制御構成によると、図7と同様に逆交流電圧を印加するように制御している状態下で、モータジェネレータ110の実際の出力トルクを零とするためのフィードバック制御によって、逆トルクを補償することができる。これにより、外部充電時に、逆トルクをさらに精密に設定することができるので、走行用電動機(モータジェネレータ)からトルクが出力されることを、より確実に防止することできる。
図11は、インバータの充電制御の制御構成の第1の変形例を説明するためのブロック図である。図11には、図7に示した充電制御時にインバータ20を制御するための電圧制御部270に代えて用いられる電圧制御部276が示される。すなわち、電圧制御部276は、「逆トルク制御部」に対応する。
図11を参照して、第2の変形例に従う電圧制御部276は、図7に示したdq変換部272、反転演算部274、および電圧制御部230(1)に加えて、電流補償部280♯をさらに含む。すなわち、電圧制御部276は、図10に示した電圧制御部275において、ゼロトルク補償部280を電流補償部280♯に置き換えた構成を有する。
電流補償部280♯は、電流補償のための電流制御部220♯と、座標変換部272♯と、反転演算部274♯と、トルク加算部286,288とを有する。
dq変換部272♯は、電流制御部260における各相電流iu(2),iv(2),iw(2)をdq変換して、d軸電流Id2およびq軸電流Iq2を算出する。さらに、反転演算部274♯は、dq変換部272♯によって演算されたインバータ30でのq軸電流Iq2を反転することによって、インバータ20のq軸電流指令値Iqcom1を発生する。一方で、dq変換部272♯によって演算されたd軸電流Id2は、そのままインバータ20のd軸電流指令値Idcom1として用いられる。すなわち、Idcom1=Id2に設定され、Iqcom1=−Iq2に設定される。これにより、インバータ30によってコイル巻線U2,V2,W2によって流される各相電流のトルク寄与成分を相殺するための、インバータ20の電圧指令値が生成される。
電流制御部220♯は、dq変換部272♯および反転演算部274♯によって設定された、d軸電流指令値Idcom1およびq軸電流指令値Iqcom1に従って、コイル巻線U1,V1,W1に流される電流を制御する。電流制御部220♯は、図4に示した電流制御部220の構成において、電流指令生成部222を除去するとともに、dq変換部272♯および反転演算部274♯によって設定された、d軸電流指令値Idcom1およびq軸電流指令値Iqcom1を、偏差演算部225,226に直接入力する構成とすることによって実現できる。
これにより、電流制御部220♯は、d軸電流指令値Idcom1およびq軸電流指令値Iqcom1に従った、d軸電圧指令値Vd1cおよびq軸電圧指令値Vq1cを生成することができる。d軸電圧指令値Vd1cおよびq軸電圧指令値Vq1cは、インバータ30によるq軸電流Iq2を相殺するようなq軸電流(以下、「逆交流電流」とも称する)をインバータ20によって発生させるように設定される。
トルク加算部286は、図10と同様のd軸電圧指令値Vd1vと、電流制御部220♯からのd軸電圧指令値Vd1cとを加算することによって、d軸電圧指令値Vd1を生成する。同様に、トルク加算部288は、図10と同様のq軸電圧指令値Vq1vと、電流制御部220♯からのq軸電圧指令値Vq1cとを加算することによって、q軸電圧指令値Vq1を生成する。
電圧制御部230(1)は、トルク加算部286,288によって求められたd軸電圧指令値Vd1およびq軸電圧指令値Vq1に基づいて、スイッチング制御信号S11〜S16を発生する。
このようにすると、図7に示した電圧制御部270と同様の逆交流電圧と、q軸電流Iq2を相殺する逆交流電流を発生するため交流電圧との和に従った電圧が、コイル巻線U1,V1,W1に印加されるように、インバータ20は制御される。
したがって、図11の制御構成によると、図7と同様に逆交流電圧を印加するように制御している状態下で、インバータ30によって発生しているq軸電流Iq2を相殺するためのフィードバック制御によって、逆トルクを補償することができる。これにより、外部充電時に、逆トルクをさらに精密に設定することができるので、走行用電動機(モータジェネレータ)からトルクが出力されることを、より確実に防止することできる。
(外部電源の変形例)
図12には、外部電源が単相交流電源である場合の電動車両の構成例が示される。
図12を参照して、外部電源400♯は、単相交流電源である。充電リレー180は、インバータ30と電気的に接続されたコイル巻線U2,V2,W2のうちの所定の2相(たとえば、U相およびV相)と、充電インレット190との間に設けられる。
あるいは、図1と同様に構成された充電リレー180について、単相交流電源と接続される2相を、充電インレット190の構造等によって予め固定することも可能である。このような構成とすると、外部電源が単相交流電源であることを検知した場合に、単相交流電源と非接続とされるリレーを常時オフとするように制御することができる。この結果、同一の構成(充電リレー180)によって、単相交流電源および3相交流電源のいずれによる外部充電にも対応することが可能となる。
外部電源が単相交流電源であるときには、充電制御におけるインバータ30の電流指令iu*,iv*,iw*を生成するための電流指令生成部262(図8)の動作を変更する必要がある。具体的には、外部電源400♯と接続された相の電流指令(図12の例ではiu*,iv*)は、図8,9で説明したのと同様に、外部電源400♯の相電圧および充電電力指令値Pcrに従って設定される。一方で、外部電源400♯と非接続の相の電流指令(図12の例ではiw*)は、3相電流の瞬時値の和が零となる関係式に従って設定される。すなわちiw*=−(iu*+iv*)で設定される。
充電制御のその他の制御動作、および、トルク制御における制御動作は、上述した実施の形態と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
このように、本実施の形態による電動車両によれば、外部電源が3相交流電源および単相交流電源のいずれであっても、車載蓄電装置(メインバッテリ10)の外部充電に用いることができる。
なお、本実施の形態では、2組の3相コイル巻線を有する6相モータの3相ずつを2個の3相インバータに制御する構成を例示したが、モータの複数相のコイル巻線の一部の相ずつを独立に制御可能であれば、モータの相数ならびにインバータの個数および相数については、任意に設定することができる。また、直流電源部10♯におけるコンバータ15の配置は必須ではなく、メインバッテリ10の出力電圧と、電力線7の直流電圧VHとが同一となる構成に対しても、本発明を適用することが可能である。
なお、本実施の形態では、インバータ20,30は表記の都合上、別々の3相インバータとして記載しているが、単一の6相インバータの3相ずつを用いて複数のインバータ20,30を構成することが可能である点についても確認的に記載する。すなわち、単一の多相インバータの一部の相ずつによって「第1のインバータ」および「第2のインバータ」を構成することことも可能である。
さらに、本実施の形態において、駆動系の構成は、図1の例示に限定されるものではない。すなわち、上述したように、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等、走行用電動機を搭載した電動車両に対して、本発明を共通に適用することができる。また、走行用電動機の個数についても、特に限定されるものではない。
また、逆トルクを発生させるための制御演算についても、上記の例に限定されるものではなく、外部充電のための電力変換によって走行用電動機(モータジェネレータ)に生じるトルクと、逆極性で同じ大きさのトルクを発生することが可能であれば、任意の制御構成を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。