JP5597401B2 - 高強度高靭性溶接金属 - Google Patents
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Z=1.75×[Mn]+[Ti]+2.5×[Mg]−10×[Ca]−12×[Al]+0.75×[Zr] ・・・(1)
(但し、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
Cは溶接金属の強度を確保するとともに、残留オーステナイトを安定化させるために不可欠な元素である。そこでC量を0.03%以上と定めた。C量は好ましくは0.04%以上であり、より好ましくは0.06%以上である。一方、C量が過剰になると焼入性が増大しすぎることによって靭性が劣化する。そこでC量は0.12%以下とする。C量は好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.09%以下である。
Siは脱酸元素であり、溶接金属を清浄にする作用を有し、溶接金属中に歩留まった場合は溶接金属を固溶強化させる作用を有する。更に、Siはセメンタイトの抑制効果を有しているため残留オーステナイトの生成に寄与するとともに、C濃度の高い残留オーステナイトの生成にも大きく寄与する元素である。そこでSi量を0.4%以上と定めた。Si量は好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.6%以上である。一方、Si量が過剰になると強度が上昇しすぎたり、硬質な第二相が形成したりすることによって靭性が劣化する。そこでSi量は1.0%以下と定めた。Si量は好ましくは0.9%以下であり、より好ましくは0.8%以下である。
Mnは脱酸元素であり、溶接金属を清浄にする作用を有するとともに、溶接金属中に歩留った場合には組織を微細化することによって溶接金属の強度および靭性を向上させる作用を有する。さらにMnは残留オーステナイトを安定化させる作用を有し、さらにMnの偏析部には安定した残留オーステナイトが生成することを見出した。そこでMn量は1.00%以上と定めた。Mn量は、好ましくは1.1%以上であり、より好ましくは1.25%以上(特に1.3%以上)である。一方、Mn量が過剰になると焼入性が増大しすぎることによって靭性が劣化する。そこでMn量は2.0%以下とする。Mn量は、好ましくは1.9%以下であり、より好ましくは1.8%以下(特に1.6%以下)である。
Tiは脱酸元素であり、溶接金属を清浄にする作用を有するとともに、溶接金属中に歩留まった場合にはアシキュラーフェライトと呼ばれる微細組織の生成核として作用するため溶接金属の組織微細化に寄与する元素である。また、溶接金属中に微細な酸化物を形成することにより、溶接金属の靭性の向上に寄与する。そこでTi量を0.010%以上と定めた。Ti量は、好ましくは0.020%以上であり、より好ましくは0.030%以上である。一方、Ti量が過剰になるとTiCによる析出強化によって靭性が劣化する。そこでTi量を0.10%以下と定めた。Ti量は、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
Ni:1.5〜3.5%
CuおよびNiは、いずれも溶接金属の強度および靭性を向上させる作用を有する元素である。また、これら元素はオーステナイト安定化元素であり、さらにこれらの元素の偏析部に残留オーステナイトが生成することを見出した。そこで、Cu量は0.2%以上、Ni量は1.5%以上と定めた。Cu量は、好ましくは0.3%以上であり、より好ましくは0.5%以上である。Ni量は、好ましくは1.8%以上であり、より好ましくは2.0%以上である。一方、Cu量およびNi量が過剰になると、焼入れ性が増大することによって靭性が劣化する。そこでCu量は2.5%以下、Ni量は3.5%以下と定めた。Cu量は、好ましくは2.3%以下であり、より好ましくは1.8%以下である。Ni量は、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは2.5%以下である。CuおよびNiは、それぞれ単独で用いても良いし、併用しても良い。
Mo:0.5〜1.5%
CrおよびMoは、いずれも溶接金属の強度を向上させる作用を有する元素である。このような効果を有効に発揮させるため、Cr量は0.1%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.2%以上である。Mo量は、0.5%以上であり、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.8%以上である。一方、Cr量およびMo量が過剰になると、焼入性が増大することによって靭性が劣化する。そこでCr量を1.0%以下、Mo量を1.5%以下と定めた。Cr量は、好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.7%以下である。Mo量は、好ましくは1.3%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。CrおよびMoは、それぞれ単独で用いても良いし、併用しても良い。
Ca:0.002%以下(0%を含まない)
Al:0.05%以下(0%を含まない)
Zr:0.02〜0.08%
Mg、Ca、Al、およびZrは、いずれも強脱酸元素であり、脱酸作用によって溶接金属を清浄にする作用を有する。特にMgおよびZrは、溶接金属中に歩留まった場合は、微細な酸化物を形成することによって靭性を向上させる効果も有しており、Mg量は0.0001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0005%以上である。Zr量は好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.04%以上である。Ca量は0.0001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0002%以上である。Al量は0.001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.002%以上である。一方、MgおよびZrは前述した通り、微細な酸化物を形成して溶接金属の靭性を向上させる効果があるものの、Mg量およびZr量はが過剰になると微細な酸化物が凝集して粗大な酸化物を形成することにより、却って靭性を劣化させてしまう。そこでMg量は0.002%以下とする。Mg量は、好ましくは0.0015%以下であり、より好ましくは0.001%以下である。Zr量は0.08%以下であり、好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.05%以下である。Ca量は過剰になるとスパッタが増加するため著しく作業性が劣化する他、後述するように溶接金属中に歩留まった場合には粗大酸化物を形成しやすい元素であるため、Ca量は0.002%以下と定めた。Ca量は、好ましくは0.001%以下であり、より好ましくは0.0008%以下である。Alは、後述するように溶接金属中に歩留まった場合には粗大酸化物を形成しやすい元素であるため、Al量は0.05%以下とする。Al量は、好ましくは0.03%以下であり、より好ましくは0.02%以下である。Mg、Ca、Al、およびZrは、それぞれ単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。
V:0.01%以下(0%を含まない)
NbおよびVは、溶接金属の組織を微細化することにより、強度を向上させる作用を有する。そこでNb、Vを含有させる場合は、Nb量は0.005%以上が好ましく、より好ましくは0.01%以上であり、V量は0.001%以上が好ましく、より好ましくは0.003%以上である。NbおよびVは、それぞれ単独で用いても良いし、併用しても良い。一方、NbやVの炭化物が析出すると延性を劣化させ、靭性の向上も妨げるので、含有する場合であってもできるだけ制限することが好ましい。従って、Nb量は好ましくは0.012%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。V量は好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。なお、特に靭性を向上させる観点からは、NbおよびVは含有しない方が好ましい。
Z=1.75×[Mn]+[Ti]+2.5×[Mg]−10×[Ca]−12×[Al]+0.75×[Zr] ・・・(1)
(但し、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
X=2.5×[Mn]+5×[Ti]+50×[Mg]−100×[Ca]−30×[Al]
+2.5×[Zr] ・・・(2)
(但し、[Mn]、[Ti]、[Mg]、[Ca]、[Al]、[Zr]は、夫々Mn、
Ti、Mg、Ca、Al、Zrの含有量(質量%)を表す。)
電流 :280A
電圧 :33V
溶接速度 :25cm/min
入熱量 :22kJ/cm
予熱温度およびパス間温度:250℃
層数/パス数 :5層/10パス
シールドガス :100%CO2
母材鋼板 :HT780
図2(a)に示す位置から、JIS Z2201に規定される1A号試験片を採取し、
JIS Z2241に従って溶接金属の引張試験を行った。
図2(b)に示す位置から、JIS Z2242に規定される10mm×10mm×5
5mmのサイズの試験片を採取し、JIS Z2242に従って0℃におけるシャルピー
吸収エネルギー(vE0)を求めた。
溶接金属の中央部から、試験片を採取して鏡面研磨した後、X線回折法によって、リーベルト法でα−Fe(200)面とγ−Fe(200)面のピーク強度比から理論強度比を計算によって求め、残留オーステナイト分率を求めた。X線回折装置は、理学電気製の「RAD−RU300」を使用し、ターゲットはCoとし、ターゲット出力は40kV、200mAとした。
上記X線回折によって、残留オーステナイトの格子定数a0を測定し、D.J.Dysonet al., Journal of The Iron and Steel Institute,(1970),p469〜474に示される以下の式を用いて残留オーステナイト中のC量(CγR)を求めた。
CγR=(a0−3.578−0.00095×[Mn]+0.0002×[Ni]−0.0006×[Cr]−0.022×[N]−0.0056×[Al]+0.0004×[Co]−0.0015×[Cu]−0.0031×[Mo]−0.0051×[Nb]−0.0039×[Ti]−0.0018×[V]−0.0018×[W])/0.033
JIS Z3158のy形溶接割れ試験法に従い、板厚50mmのHT780級鋼板を入熱量:14kJ/cm、予熱温度:25℃で溶接を行って断面割れ率を測定し、割れ率が0%のものを合格とした。
Claims (4)
- C:0.03〜0.12%(質量%の意味。以下、成分組成について同じ。)、
Si:0.4〜1.0%、
Mn:1.00〜2.0%、
Ti:0.010〜0.10%を夫々含有するとともに、
Cu:0.2〜2.5%および/またはNi:1.5〜3.5%、
Mo:0.5〜1.5%を含有し、残部が鉄および不可避不純物であって、
下記(1)式で表されるZ値が2.00<Z<2.6を満たし、
残留オーステナイトを体積分率で3.0〜10%含有し、
前記残留オーステナイト中のC量が0.9%以上であることを特徴とする高強度高靭性溶接金属。
Z=1.75×[Mn]+[Ti]+2.5×[Mg]−10×[Ca]−12×[Al]+0.75×[Zr] ・・・(1)
(但し、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。) - 更に、Cr:1.0%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の高強度高靭性溶接金属。
- 更に、
Mg:0.002%以下(0%を含まない)、Ca:0.002%以下(0%を含まない)、Al:0.05%以下(0%を含まない)、およびZr:0.02〜0.08%よりなる群から選択される1種以上を含有する請求項1または2に記載の高強度高靭性溶接金属。 - 更に、
Nb:0.012%以下(0%を含まない)および/またはV:0.01%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高強度高靭性溶接金属。
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