JP5235008B2 - 溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents
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X=2.5×[Mn]+5×[Ti]+50×[Mg]−100×[Ca]−30×[Al]+2.5×[Zr] ・・・(1)
(但し、[Mn]、[Ti]、[Mg]、[Ca]、[Al]、[Zr]は、夫々Mn、Ti、Mg、Ca、Al、Zrの含有量(質量%)を表す。)
Cは溶接金属の強度を確保するために有効な元素である。そこでC量を0.02%以上と定めた。C量は好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。一方、C量が過剰になると溶接金属中にマルテンサイトなどの硬質組織を増加させ、靭性が劣化する。そこでC量を0.12%以下と定めた。C量は好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.09%以下である。
Siは脱酸元素であり、溶接金属を清浄にする作用を有する。また溶接金属中に歩留った場合は固溶強化により溶接金属を強化する作用を有する。そこでSi量を0.30%以上と定めた。Si量は好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.6%以上である。一方、Si量が過剰になると溶接金属の強度が上昇しすぎたり、マルテンサイトなどの硬質組織が生成したりすることにより靭性が劣化する。そこでSi量は1.0%以下と定めた。Si量は好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.7%以下である。
Mnは脱酸元素であり、溶接金属を清浄にする作用を有する。またMnが溶接金属中に歩留まった場合は溶接金属の組織を微細化することにより溶接金属の強度および靭性を確保することができる。そこでMn量を1.2%以上と定めた。Mn量は好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.6%以上である。一方、Mn量が過剰になると焼入性が向上して強度が上昇しすぎたり、Mnが偏析することによってマルテンサイトなどの硬質組織が生成したりすることによって靭性が劣化する。そこでMn量を2.0%以下と定めた。Mn量は好ましくは1.9%以下であり、より好ましくは1.8%以下である。
Tiは、脱酸元素であり溶接金属を清浄にするとともに、アシキュラーフェライトと呼ばれる微細組織の生成核としても機能するため組織微細化にも寄与する元素である。そこでTi量を0.05%以上と定めた。Ti量は好ましくは0.07%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。一方、Ti量が過剰になるとTiCの析出強化によって靭性が劣化する。そこでTi量を0.30%以下と定めた。Ti量は好ましくは0.28%以下であり、より好ましくは0.25%以下である。
CuおよびNiは、溶接金属の強度および靭性を確保するのに有効な元素である。そこでCu量を0.2%以上、Ni量を0.5%以上と定めた。Ni量は好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは1.5%以上である。一方、Cu量やNi量が過剰になると焼入性が向上して強度が上昇しすぎることによって靭性が劣化する。そこでCu量を2.5%以下、Ni量を3.5%以下と定めた。Cu量は好ましくは2.3%以下、より好ましくは2%以下である。Ni量は好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.2%以下である。
CrおよびMoは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素である。このような効果を有効に発揮するため、Cr量は0.1%以上とすることが好ましい(より好ましくは0.15%以上)。またMo量は0.5%以上と定めた。Mo量は好ましくは0.6%以上であり、より好ましくは0.7%以上である。一方、Cr量やMo量が過剰になると焼入性が向上して強度が上昇しすぎることによって靭性が劣化する。そこでCr量を1.0%以下、Mo量を1.5%以下と定めた。Cr量は好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.6%以下である。Mo量は好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.8%以下である。
Mg、Ca、AlおよびZrはいずれも強脱酸元素であり、脱酸作用により溶着金属を清浄にする作用を有する。このような効果を有効に発揮するため、Mg量を0.0005%以上と定めた。Ca量は0.0005%以上とすることが好ましく(より好ましくは0.0008%以上)、Al量は0.003%以上とすることが好ましく、Zr量は0.03%以上とすることが好ましい。一方、Ca量は過剰になるとスパッタが増加し著しく作業性が劣化するため、0.0020%以下と定めた。Ca量は好ましくは0.0018%以下、より好ましくは0.0017%以下である。また、Mgは後述するように酸化物を微細化する効果があるものの、Mg量が過剰になると微細な酸化物が凝集することによって粗大酸化物を形成してしまう。そこでMg量を0.020%以下と定めた。Mg量は好ましくは0.018%以下であり、より好ましくは0.015%以下である。Alは後述するように粗大酸化物を形成しやすい元素であるため、Al量を0.050%以下と定めた。Al量は好ましくは0.045%以下であり、より好ましくは0.043%以下である。Zr量は過剰になると粗大な炭化物を形成し、かえって靭性を低下させるため、0.2%以下と定めた。
NbおよびVは組織を微細化することにより、溶接金属の強度を向上させる作用を有するが、NbやVの炭化物が析出すると延性を劣化させ、靭性の向上も妨げるので、含有する場合であってもできるだけ制限することが好ましい。従ってNb量は好ましくは0.012%以下(より好ましくは0.005%以下)であり、V量は好ましくは0.010%以下(より好ましくは0.005%以下)である。なお、特に靭性向上の観点からはNbおよびVは含有しない方が好ましい。
X=2.5×[Mn]+5×[Ti]+50×[Mg]−100×[Ca]−30×[Al]+2.5×[Zr] ・・・(1)
(但し、[Mn]、[Ti]、[Mg]、[Ca]、[Al]、[Zr]は、夫々Mn、Ti、Mg、Ca、Al、Zrの含有量(質量%)を表す。)
電流 :280A
電圧 :35V
溶接速度 :25cm/min
入熱量 :24kJ/cm
予熱温度およびパス間温度:250℃
層数/パス数 :5層/10パス
シールドガス :100%CO2
母材鋼板 :HT780
図2(a)に示す位置から、JIS Z2201に規定される1A号試験片を採取し、JIS Z2241に従って溶接金属の引張試験を行った。溶接金属の引張強度は780MPa以上を合格とした。
図2(b)に示す位置から、JIS Z2242に規定される10mm×10mm×55mmのサイズの試験片を採取し、JIS Z2242に従って0℃におけるシャルピー吸収エネルギー(vE0)を求めた。vE0が70J以上のものを合格とした。
Claims (3)
- C :0.02〜0.12%(質量%の意味。以下、同じ。)、
Si:0.30〜1.0%、
Mn:1.2〜2.0%、
Ti:0.05〜0.30%、
Cu:0.19〜2.5%、
Ni:0.5〜3.5%、
Mo:0.5〜1.5%を夫々含有し、更に、
Mg:0.0005〜0.020%、Ca:0.0020%以下(0%を含まない)、Al:0.050%以下(0%を含まない)およびZr:0.2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有し、残部は鉄および不可避不純物であるとともに、
下記(1)式で表されるX値が4.5≦X≦6.0を満たすことを特徴とする溶接用ソリッドワイヤ。
X=2.5×[Mn]+5×[Ti]+50×[Mg]−100×[Ca]−30×[Al]+2.5×[Zr] ・・・(1)
(但し、[Mn]、[Ti]、[Mg]、[Ca]、[Al]、[Zr]は、夫々Mn、Ti、Mg、Ca、Al、Zrの含有量(質量%)を表す。) - 更に、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の溶接用ソリッドワイヤ。 - 更に、
Nb:0.012%以下(0%を含まない)および/またはV:0.010%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の溶接用ソリッドワイヤ。
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JP2009004690 | 2009-01-13 | ||
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